JP2010224033A - 表示装置及び表示装置の駆動方法 - Google Patents

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知正 上田
Yujiro Hara
雄二郎 原
Nobumi Saito
信美 斉藤
Jiro Yoshida
二朗 吉田
Kentaro Miura
健太郎 三浦
Saori Abe
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Abstract

【課題】一対のゲート電極に挟持された薄膜トランジスタに電圧を印加し、駆動させることで、しきい値の変動を非常に低減することを可能とする。
【解決手段】
本発明の表示装置の駆動方法は、マトリクス状に複数配列された画素回路のマトリクス配列に対して列毎に配線された信号線と行毎に配線された走査線と、画素回路の各々が、ゲート電極が走査線に、第一電極が信号線に接続されたトランジスタと、一端が前記トランジスタの第2電極に接続されたキャパシタと、一対のゲート電極がキャパシタに、第1電極が電源線に接続された駆動トランジスタと、第2電極に接続された発光素子とを有する表示装置においてトランジスタをオンの状態にした周期で、前記信号線より画素へ正の信号電圧を印加し、前記駆動トランジスタの前記一対のゲート電極の双方を介して、駆動トランジスタをオンの状態にするようにしたことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(Organic Electroluminescence/以下、有機LEDという)を用いたアクティブマトリクス型の表示装置及び表示装置の駆動方法に関する。
近年、液晶表示装置に代わる平面型表示装置に有機LEDを適用することが検討されている。有機LEDは、応答速度が非常に速く自己発光素子であるため、表示装置に適用した場合には視野角の広い良好な画質の平面型表示装置を提供できる。また、表示が無い場合の消費電力を非常に低く抑えることができる。このため、有機LEDを平面型表示装置に適用することは、有効である。
有機LEDを適用した平面型表示装置において、高精細表示を得ようとすると、アクティブマトリクス方式の駆動回路を用いることが適当である。アクティブマトリクス方式とは、画素電極X(以下、信号線という)と画素電極Y(以下、走査線という)をマトリクス状に張り巡らし、マトリクスの各画素にスイッチ素子を内蔵させ、点灯させたい各画素を選択する駆動方法である。
図12は、アクティブマトリクス方式を用いた代表的な画素回路である。走査線、信号線には、1画素あたり2つのトランジスタ、すなわちスイッチTFTと駆動TFTが接続される。駆動TFTのドレイン電極に有機LEDからなる発光素子のアノードが接続されており、ソース電極にはプラスの低電圧の電源線が接続されている。スイッチTFTがnチャネルの時に走査線にハイレベルの電圧が印加されると、スイッチTFTがオン状態になり、信号線からスイッチTFTを介して、電荷が補助容量に蓄積される。補助容量に蓄積された電荷によって、駆動TFTのゲート電極にデータ信号が印加される。これにより駆動TFTがオン状態になり、電源線から駆動TFTを介して発光素子に電流が流れ、発光する。走査線の非選択時はスイッチTFTがオフになるが、駆動TFTのゲート電極の電圧は、補助容量によって保持され、電源線から駆動TFTを介して発光素子に電流が流れ、発光が継続する。
上記のアクティブマトリクス方式の駆動回路では、信号線のデータ信号の値を調整することで、駆動TFTのドレイン電極とソース電極の間に流れる電流の値を調整し、発光素子の発光輝度を制御している。したがって、駆動TFTのしきい値電圧(以下、Vthという)のシフトは、平面型画像表示が良好な画像を得られない原因の1つとなる。特に、Vthのシフトは、アモルファスシリコン(以下、a−Siという)TFTを用いた際に顕著である。
ここで、特許文献1には、一画素の回路を補正することでVthのシフトを抑制する補正補償回路が記載されている。現在、TFTのバラつきを抑える回路として、右のような補償回路が数多く発表されている。
特開2006−163045公報(第18頁、図1)
しかし上記の通り、従来の補償回路は、回路を補正するために多くのトランジスタを作り込むことから、歩留まりが低下するという問題がある。また、Vthがある値以上に変化した場合、回路を補正するだけではVthのシフトを抑制できない欠点があった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、単純な回路構造のアクティブマトリクス方式の画素回路において、しきい値電圧Vthのシフトを抑制することができる表示装置及び駆動方法を提供することを目的とする。
本発明における表示装置の駆動方法は、マトリクス状に複数配列された画素回路と、前記画素回路のマトリクス配列に対して列毎に配線された信号線と、前記画素回路のマトリクス配列に対して行毎に配線された走査線とを備え、前記画素回路の各々は、ゲート電極が前記走査線に、第1電極が前記信号線にそれぞれ接続されたトランジスタと、一端が前記トランジスタの第2電極に接続されたキャパシタと、半導体層を挟んで形成される一対のゲート電極が前記キャパシタの前記一端に接続され、前記キャパシタの他端を接続した電源線に第1電極が接続された駆動トランジスタと、前記駆動トラジスタの第2電極に接続された発光素子とを有し、前記トランジスタをオンの状態にした周期で、前記信号線前記駆動トランジスタのゲート電極へ正の信号電圧を印加し、前記駆動トランジスタの前記一対のゲート電極の双方を介して、前記駆動トランジスタをオンの状態にするようにしたことを特徴とする。
また、本発明における表示装置の駆動方法は、マトリクス状に複数配列された画素回路と、
前記画素回路のマトリクス配列に対して列毎に配線された第1、第2の信号線と、
前記画素回路のマトリクス配列に対して行毎に配線された走査線とを備え、
前記画素回路の各々は、
ゲート電極が前記走査線に、また第1電極が前記第1の信号線にそれぞれ接続された第1のトランジスタと、
ゲート電極が前記走査線に、また第1電極が前記第2の信号線にそれぞれ接続された第2のトランジスタと、
一端が前記第1のトランジスタの第2電極に接続された第1のキャパシタと、
一端が前記第2のトランジスタの第2電極に接続された第2のキャパシタと、
一対のゲート電極のうち、第1のゲート電極は前記第1のキャパシタの前記一端に接続され、第2のゲート電極は前記第2のキャパシタの前記一端に接続され、また前記第1及び第2のキャパシタの他端を接続した電源線に第1電極が接続された駆動トランジスタと、前記駆動トラジスタの第2電極に接続された発光素子とを有し、前記第1トランジスタと第2トランジスタをオンの状態にした所定周期で、前記第1或いは第2の信号線のいずれかを介して前記駆動トランジスタのゲート電極へ正の信号電圧を印加し、前記駆動トランジスタの一対のゲート電極のいずれかを介して、前記駆動トランジスタをオンの状態にするようにしたことを特徴とする。
また、本発明における表示装置は、マトリクス状に複数配列された画素回路と、前記画素回路のマトリクス配列に対して列毎に配線された第1、第2の信号線と、前記画素回路のマトリクス配列に対して行毎に配線された走査線とを備え、前記画素回路の各々が、ゲート電極が前記走査線に、また第1電極が前記第1の信号線にそれぞれ接続された第1のトランジスタと、ゲート電極が前記走査線に、また第1電極が前記第2の信号線にそれぞれ接続された第2のトランジスタと、一端が前記第1のトランジスタの第2電極に接続された第1のキャパシタと、一端が前記第2のトランジスタの第2電極に接続された第2のキャパシタと、一対のゲート電極のうち、第1のゲート電極は前記第1のキャパシタの前記一端に接続され、第2のゲート電極は前記第2のキャパシタの前記一端に接続され、また前記第1及び第2のキャパシタの他端を接続した電源線に第1電極が接続された駆動トランジスタと、前記駆動トラジスタの第2電極に接続された発光素子とを有し、前記第1トランジスタと第2トランジスタをオンの状態にした所定周期で、前記第1及び第2の信号線を介して前記駆動トランジスタのゲート電極へ正負逆極性の信号電圧を印加し、前記駆動トランジスタの一対のゲート電極の双方を介して、前記駆動トランジスタをオンの状態にするようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、一対のゲート電極を有する薄膜トランジスタの各電極に、各々のタイミングで電圧を印加することにより、しきい値電圧Vthのシフトの抑制を図ることができる。
本発明の実施例1にかかる画素回路図。 本発明の実施例1にかかる駆動信号タイミングチャート図。 本発明の実施例1にかかる画素回路に用いられる駆動TFTの特性グラフ。 本発明の実施の形態にかかる駆動TFTの製造プロセス。 本発明の実施の形態にかかる駆動TFTの断面図。 本発明の実施例2、実施例3、実施例4にかかる画素回路図。 本発明の実施例2にかかる駆動信号タイミングチャート図。 本発明の実施例3にかかる駆動信号タイミングチャート図。 本発明の実施例4にかかる駆動信号タイミングチャート図。 本発明の実施例5にかかる画素回路。 本発明の実施例5にかかる駆動信号タイミングチャート図。 アクティブマトリクス方式を用いた有機LED駆動回路の従来図。
以下、本発明の実施の態様を、図面を用いて説明する。
なお、以下、アクティブ素子及び電流駆動素子には、アモルファスシリコン(以下、a−Siという)を用いた薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor/以下、TFTという)が用いられることを想定する。したがって、「ドレイン電極」、「ソース電極」は電流が流れる方向によって名称が交互するため、以下の実施例ではいずれの電極であるかを特定するものではないこととする。
〈実施例1〉
図1は、本発明の第1の実施例にかかる有機LED表示装置の1画素あたりの等価回路であり、図2(a)は、走査線に印加される走査信号を、図2(b)は信号線に印加されるデータ信号の駆動チャートを示し、図2(c)は図1の接続点Aにおける電位の変動を示している。
実施例1にかかる図1の画素回路は、走査信号を供給する走査線21、データ信号を供給する信号線22、電源線23、TFT24、デュアルゲートのTFT25、補助容量26、有機LEDからなる発光素子27から構成されている。走査線21にはTFT24のゲート電極が接続され、信号線22にはTFT24のドレイン電極が接続されている。TFT24とTFT25の間には補助容量26が接続されており、TFT25のソース電極には正の定電圧を供給する電源線23が、ドレイン電極には発光素子27のアノードが接続されている。ここで、TFT24はスイッチTFT、TFT25は第1のゲート11と第2のゲート12を有する所謂デュアルゲートの駆動TFTである。
第1の実施例の動作を説明する。走査線21に印加された電圧によりTFT24がオン状態になると、データ信号が容量26に書き込まれ、同時にTFT25の2つのゲート電極11、12にデータ信号が印加され、TFT25はオン状態になる。TFT25の一方のゲート電極の電圧はデータ信号、すなわちゲート電圧の値に応じて電源線23から発光素子27に流れる電流の値が決まることとなる。
この動作を図2の信号駆動チャートを用いて説明する。図2に示すように、1/60s毎に走査信号を走査線21に印加し(図2(a))、信号線には0−15Vの電圧のデータ信号を印加する(図2(b))。まず、最初の周期において、信号線22にVdata1のデータ信号を書き込むと、図2の接続点Aの地点の電位はVdata1となり、容量26に電荷が保持されることにより、次の周期までVdata1の電圧が維持される(図2(c))。次の周期において、信号線22にVdata2のデータ信号が印加されると、Aの地点の電位は信号線22により入力されたVdata2となる。ここで、TFT25の一方のゲート電極にかかるゲート電圧11(Vg1)と、他方のゲート電極にかかるゲート電圧12(Vg2)とには、同電位の電圧がかかることとなる。
図3は、実施例1におけるTFT25のVthの特性(a)と、一方のゲート電極だけを駆動させた駆動TFT比較したTFTのVthの特性(b)とを示したグラフである。縦軸はドレイン電流(Id)を示し、横軸はゲート電圧(Vg)を示す。例えば、Vg=10Vの時の各Idを比較すると、両ゲート電極を駆動した時のIdは一方のゲート電極だけを駆動したIdの約1.7倍になる。これは、TFT25の活性層の界面の上下にチャネルが形成されることによる。すなわち、図3は実施例1によって、ゲート電極が1つのTFTと比較して、Vgを下げて駆動させることが可能であることを示す。
一般に、VthのシフトはVgのα乗(α>1)に比例して移動することから、実施例1によりTFTのVthのシフトを抑えることが可能となる。
〈駆動TFTの構成〉
ここで、本発明の実施形態にかかるデュアルゲートのTFT25について説明する。
図4はデュアルゲートのTFT25の製造プロセス、図5は本発明の実施の形態にかかるデュアルゲートの駆動TFTの断面図を示す。
まず、スパッタ法によりガラス基板上にTaを200nm堆積し、フォトレジスタを用いて所定のパターンにパターニングし、第1のゲート電極11を作製する(a)。次にゲート酸化膜13(SiO2)、ゲート絶縁膜14(SiN)をプラズマCVDでそれぞれ連続して200nm、50nm堆積し(b)、さらに連続的に半導体層15となる微結晶シリコン層を200nm、チャネル保護層16としてSiNを200nm堆積する(c)。その後、最上層のSiNを選択的にエッチングし,所定の形状に加工する。
さらに、パターニングしたSiNをマスクとして正イオンであるP+等(以下、Pとする)を微結晶シリコン層にイオン注入し、Moを50nm堆積した後、不活性雰囲気中で300℃、1時間アニールし、Pを活性化すると共に(d)、微結晶シリコンの表層側にMoシリサイドを形成する(e)。
次に、TFTの半導体層となる部分を所定の形状に加工する。Mo/微結晶シリコンもしくはMo/チャネル保護層/微結晶シリコンを連続的に加工するため、本実施例ではCF4を主体としたRIE(Reactive Ion Etching)で加工を行う。その後、上位のMoをアンモニアと過酸化水素水の混合液で剥離し、フッ酸を主とするエッチャントで、チャネル保護層16を150nmエッチング除去する(f)。このとき、Moシリサイドがエッチング除去されないエッチャントを選ぶ。この後、プラズマCVD法によりゲート酸化膜13として200nmのSiO2を堆積する(g)。
さらに、トランジスタのソース電極17、ドレイン電極18のコンタクト用として、第2のゲート電極12の取り出し用として、スルーホールを形成する。エッチング方法としては、CF4やCHF3等を主ガスとしたRIEを用いる。
その後、第2のゲート電極12として、Moを50nm、Alを300nm、さらにMoを50nmスパッタ法で連続的に堆積し、信号線、ソース、ドレイン、ゲートの所定の形状にパターニングする(h)。
以上より、図5に示す通り、本発明の実施の形態にかかる駆動TFTが完成する。
以下、駆動TFTは上記デュアルゲートのTFTを用いるものとする。
〈実施例2〉
図6は実施例2と実施例3、実施例4に共通の画素回路を示す。なお、以下の実施例では、TFT25の第1のゲート11と第2のゲート12で駆動するタイミング切り替える周期を走査周期とするが、本実施例の効果を得るためには、周期は任意であり、信号線周期において短期間でも長期間でも切り替えることを可能とする。
図6の等価回路は、実施例1と異なり、2つの信号線32、33と、2つのスイッチTFT35、36と、2つの容量37、38を有する画素回路である。TFT35、36のゲート電極は走査線31に接続され、TFT35のドレイン電極は信号線32に接続され、TFT36のソース電極は信号線33に接続される。TFT25は前述の通りデュアルゲートで構成されており、TFT25の一方のゲート電極11は接続点Bを介してTFT35のソース電極に接続されており、TFT25の他方のゲート電極12と接続点B´を介して接続されるTFT36のドレイン電極の間には容量38が接続されている。さらに、TFT25のソース電極は電源線34に接続されており、ドレイン電極は有機LEDからなる発光素子39のアノードに接続されている。
図6の回路の動作の概要を説明する。走査線31に走査信号が印加されると、TFT35とTFT36は、ともにオンの状態になり、各TFT35、36を介して各信号線32、33からデータ信号がTFT25の各ゲート電極に印加される。このとき容量37と38には電荷が蓄積されるので、走査線31の非選択時も、TFT25の両ゲート電極11,12はデータ信号電圧が保持された状態となる。このように、図6の画素回路におけるTFT25は、信号線32と信号線33とに印加される信号データの値によって、TFTがオン/オフ状態になり、発光素子39に流れる電流の値が決まることとなる。
図6に示した実施例2の画素回路の動作を、図7の信号駆動チャートに基づいて説明する。図7(a)は走査線31に印加される走査信号を、図7(b)は信号線32に印加される第1のデータ信号を、図7(c)は信号線33に印加される第2のデータ信号を、図7(d)は接続点Bにおける電位の変移を、図7(e)は接続点B´における電位の変移を示す。
ここで、走査線には1/60s毎に、走査信号が印加されるとする(a)。最初の周期において、信号線32に印加される第1のデータ信号をVdata1とし、信号線33に印加される第2のデータ信号2を0Vとすると、画素回路図6の接続点Bの電位はVdata1を示し、接続点B´の電位は0を示す。
一方、次の周期において、信号線33に印加される第2のデータ信号をVdata2とし、信号線32に印加される第1のデータ信号を0とすると、画素回路図6の接続点B´の電位はVdata2を、接続点Bの電位は0を示す。
このように、TFT25は、走査線31に走査信号が印加されており、TFT35,36がオン状態になっている時、常にオン状態にされており、発光素子39は所定の電流で駆動し続けることが可能である。しかも、TFT25の活性層の第1のゲート電極11と第2のゲート電極12のそれぞれの界面には、オン状態になっている時間の半分の時間でのみストレスがかかることとなる。これにより、TFT25のVthのシフトが抑えられ、Vthがシフトするまでの時間が倍に伸びるとともに、TFT25の寿命が約2倍となる。
〈実施例3〉
図8は、画素回路の図7とは異なる信号駆動チャートを示す1態様の実施例3を示す。実施例3は、実施例2と異なり、2つの信号線32、33にほぼ逆極性の信号を印加する。例えば、最初の周期において、信号線32に0から15Vの信号データを印加する一方、信号線33に0から−15Vの電圧を印加する。次の周期では、信号線32に0から−15Vの電圧を印加する一方、信号線33に0から15Vの電圧の電圧を印加する。したがって、図6の接続点Bの電位と、接続点B´の電位とを比較すると、ほぼ逆極性の電位がTFT25のゲート電極に印加されていることがわかる。
逆極性の電圧をTFT25の両ゲート電極11,12にかけることによって、プラスの電圧を印加されたゲート電極側は、時間の経過に伴いゲート絶縁膜に電荷が注入され、Vthが上昇する。一方、マイナスの電圧を印加されたゲート電極側は、時間の経過に伴いゲート絶縁膜の注入された電荷が半導体層に引き戻され、Vthが回復する効果が得られる。
この点、ゲート電極にプラスの電圧が印加されている場合、Vthはプラス方向へシフトするが、ゲート電極にマイナスの電圧が印加されている場合、Vthはマイナス方向へシフトすることが判っている。しかし、通常、正負同電圧を加えた場合のVthシフトはプラス方向へのシフトが大きいとされている。また、図8(d)、(e)の通り、接続点Bの電圧及び接続点B´の地点の走査周期当たりの電圧は、ほぼ0である。したがって、マイナス方向へシフトしたゲート電極がVthのシフトを生じさせる時間は、延びると考えられる。実際にTFT25のVthの変動を評価した結果、あるしきい値変動になるまでの時間が10倍に伸びることが確認できた。
〈実施例4〉
図9は画素回路の信号駆動チャートを示す1態様の実施例4を示す。実施例4は、実施例3と異なり、TFT25の第1のゲート電極11と第2のゲート電極12の負側の信号レベルを固定したものである。
最初の走査周期において、信号線32にデータ信号Vdata1を印加することにより、TFT25の第1のゲート電極11にデータ信号を印加する。この時、第2のゲート電極12に負の固定電圧−Vrを印加するように信号線33に印加するデータ信号を調整する。ここで、−Vrとは、ゲート絶縁膜界面に注入された電荷をa−Siに引き戻すのに適当な負の電圧である。
一方、次の走査周期において、信号線33に−Vrのデータ信号を印加することにより、TFT25の第2のゲート電極12に負の固定電圧−Vrを印加するよう調整する。この時、第1のゲート電極11には、データ信号Vdata2を印加する。
通常、データ信号を供給する駆動用信号源はプラスの電圧しか供給できないので、供給する度にマイナスの電圧へ反転させるよりも、マイナスの電圧で固定したほうが、Vthのシフトを非常に少ないレベルまで低減することが可能である。また、既に述べたように、Vthは徐々にプラス方向へ変動するので、負側の固定電圧を大きめに印加することで、よい効果が得られる。具体的には、白レベルの逆極性、すなわち通常の信号線のハイレベルの逆極性に固定しておくことが考えられる。
なお、信号を逆極性にする周期は、前述のように適宜変更して用いることができる。
〈実施例5〉
図10は、実施例5にかかる画素回路であり、図11は実施例5における駆動信号チャートである。実施例5の画素回路はVthの補償回路であり、近年、Vthのシフトを低減する回路として提案されているものを本実施例のデュアルゲート型の駆動トランジスタに適応したものである。
図10の画素回路は、実施例2、3、4にかかる図6の画素回路に、さらに、走査線を1つと、トランジスタと容量の組み合わせ2組とを接続した、補償回路を付加したものである。接続点Cを中心に、TFT25の一方のゲート電極11、TFT45、容量51が接続されている。また、接続点C´を中心に、TFT25の他方のゲート電極12、TFT46、容量52が接続されている。図11(a)は1/60の走査周期で走査線41に印加される第1の走査信号を、図11(b)は走査線42に印加される第2の走査信号を、図11(c)は電源線40に接続した発光制御線56に印加される信号を、図11(d)は信号線43に印加される第1のデータ信号を、図11(e)信号線44に印加される第2のデータ信号を示す。ここで、発光制御線56には、電源電圧をスイッチングするトランジスタTNOを接続してある。図11(f)は図10の接続点Cの電位の変化を、図11(g)は図10の接続点C´の電位の変化を示す。
実施例5の動作を説明する。まず、発光制御線56のトランジスタTNOがオンの状態であるから、接続点Cと接続点C´は電源電圧Vdを示す。次に、走査線41をオンの状態し、また、発光制御線56のトランジスタTNOがオフの状態になることで、TFT45がオンとなり、TFT49がオンの期間にTFT25の第1のゲート電極11にしきい値Vthが書き込まれる。これによって、接続点Cの電位は、電源電圧Vdからしきい値電圧Vthになる。その際、容量51の他端の電圧はTFT49がオンであるからVrefとなる。なお、ここでは説明の都合上、Vref=0とする。一方、接続点C´の電位も同様に電源電圧Vdからしきい値電圧Vthとなる。
次に、走査線41がオフの状態となり、走査線42がオンの状態となることで、TFT47がオンの状態となり、容量51の一端がVrefから信号線43の電位Vdata1となる。また、発光制御線56のトランジスタTNOがこれに従い、接続点Cの電位は、しきい値VthからVdata1上昇し、Vth+Vdata1となる。その後、走査線42がオフの状態になっても、第1のゲート電極11に書き込まれたVth+Vdata1で制御された電流で有機LEDから構成された発光素子55が駆動されることがわかる。一方、走査線41がオフの状態となり走査線42がオンの状態となることで、TFT48がオンの状態となり、容量52の一端がVrefから−Vr下降する。これに従い、接続点C´の電位は、しきい値電圧Vth−Vrとなる。
さらに次の周期で、走査線42がオフの状態になるとともに、発光制御線56がオンの状態になるため、接続点CがVth+Vdata1−Vrefで保持される。一方、接続点C´の電位は、Vth−Vr−Vrefとなり、本発明の効果を得られることがわかる。
以上の通り、実施例5は、補正補償回路と組み合わせて使用することで、さらに階調精度が高く、駆動電圧を低く抑えた高品位な表示素子を提供することができるという効果を有する。
11 第1のゲート電極
12 第2のゲート電極
17 ソース電極
18 ドレイン電極
21 走査線
22 信号線
23 電源線
24 スイッチTFT1
25 駆動(デュアルゲート)TFT
26 容量
27 発光素子

Claims (7)

  1. マトリクス状に複数配列された画素回路と、
    前記画素回路のマトリクス配列に対して列毎に配線された信号線と、
    前記画素回路のマトリクス配列に対して行毎に配線された走査線とを備え、
    前記画素回路の各々は、
    ゲート電極が前記走査線に、第1電極が前記信号線にそれぞれ接続されたトランジスタと、
    一端が前記トランジスタの第2電極に接続されたキャパシタと、
    半導体層を挟んで形成される一対のゲート電極が前記キャパシタの前記一端に接続され、前記キャパシタの他端を接続した電源線に第1電極が接続された駆動トランジスタと、
    前記駆動トラジスタの第2電極に接続された発光素子とを有し、
    前記トランジスタをオンの状態にした周期で、前記信号線前記駆動トランジスタのゲート電極へ正の信号電圧を印加し、前記駆動トランジスタの前記一対のゲート電極の双方を介して、前記駆動トランジスタをオンの状態にするようにしたことを特徴とする表示装置の駆動方法。
  2. マトリクス状に複数配列された画素回路と、
    前記画素回路のマトリクス配列に対して列毎に配線された第1、第2の信号線と、
    前記画素回路のマトリクス配列に対して行毎に配線された走査線とを備え、
    前記画素回路の各々は、
    ゲート電極が前記走査線に、また第1電極が前記第1の信号線にそれぞれ接続された第1のトランジスタと、
    ゲート電極が前記走査線に、また第1電極が前記第2の信号線にそれぞれ接続された第2のトランジスタと、
    一端が前記第1のトランジスタの第2電極に接続された第1のキャパシタと、
    一端が前記第2のトランジスタの第2電極に接続された第2のキャパシタと、
    一対のゲート電極のうち、第1のゲート電極は前記第1のキャパシタの前記一端に接続され、第2のゲート電極は前記第2のキャパシタの前記一端に接続され、また前記第1及び第2のキャパシタの他端を接続した電源線に第1電極が接続された駆動トランジスタと、
    前記駆動トラジスタの第2電極に接続された発光素子とを有し、
    前記第1トランジスタと第2トランジスタをオンの状態にした所定周期で、
    前記第1或いは第2の信号線のいずれかを介して前記駆動トランジスタのゲート電極へ正の信号電圧を印加し、前記駆動トランジスタの一対のゲート電極のいずれかを介して、前記駆動トランジスタをオンの状態にするようにしたことを特徴とする表示装置の駆動方法。
  3. マトリクス状に複数配列された画素回路と、
    前記画素回路のマトリクス配列に対して列毎に配線された第1、第2の信号線と、
    前記画素回路のマトリクス配列に対して行毎に配線された走査線とを備え、
    前記画素回路の各々が、
    ゲート電極が前記走査線に、また第1電極が前記第1の信号線にそれぞれ接続された第1のトランジスタと、
    ゲート電極が前記走査線に、また第1電極が前記第2の信号線にそれぞれ接続された第2のトランジスタと、
    一端が前記第1のトランジスタの第2電極に接続された第1のキャパシタと、
    一端が前記第2のトランジスタの第2電極に接続された第2のキャパシタと、
    一対のゲート電極のうち、第1のゲート電極は前記第1のキャパシタの前記一端に接続され、第2のゲート電極は前記第2のキャパシタの前記一端に接続され、また前記第1及び第2のキャパシタの他端を接続した電源線に第1電極が接続された駆動トランジスタと、
    前記駆動トラジスタの第2電極に接続された発光素子とを有し、
    前記第1トランジスタと第2トランジスタをオンの状態にした所定周期で、
    前記第1及び第2の信号線を介して前記駆動トランジスタのゲート電極へ正負逆極性の信号電圧を印加し、前記駆動トランジスタの一対のゲート電極の双方を介して、前記駆動トランジスタをオンの状態にするようにしたことを特徴とする表示装置の駆動方法。
  4. 前記第1の信号線と前記第2の信号線を介して前記駆動トランジスタのゲート電極へ印加する前記正負逆極性の前記信号電圧のうち、負の極性の前記信号電圧を一定になるように印加するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の表示装置の駆動方法。
  5. 前記第1トランジスタと前記第2トランジスタをオンの状態にした前記所定周期毎に、
    前記第1の信号線と前記第2の信号線を介して前記駆動トランジスタのゲート電極へ印加した信号電圧を交互に切り替えるようにしたことを特徴とする請求項2ないし4に記載の表示装置の駆動方法。
  6. マトリクス状に複数配列された画素回路と、
    前記画素回路のマトリクス配列に対して列毎に配線された信号線と、
    前記画素回路のマトリクス配列に対して行毎に配線された走査線とを備え、
    前記画素回路の各々が、
    ゲート電極が前記走査線に、また第1電極が前記信号線にそれぞれ接続されたトランジスタと、
    一端が前記トランジスタの第2電極に接続されたキャパシタと、
    一対のゲート電極が前記キャパシタの前記一端に接続され、また前記キャパシタの他端を接続した電源線に第1電極が接続された駆動トランジスタと、
    前記駆動トラジスタの第2電極に接続された発光素子とを有することを特徴とする表示装置。
  7. マトリクス状に複数配列された画素回路と、
    前記画素回路のマトリクス配列に対して列毎に配線された第1、第2の信号線と、
    前記画素回路のマトリクス配列に対して行毎に配線された走査線とを備え、
    前記画素回路の各々が、
    ゲート電極が前記走査線に、また第1電極が前記第1の信号線にそれぞれ接続された第1のトランジスタと、
    ゲート電極が前記走査線に、また第1電極が前記第2の信号線にそれぞれ接続された第2のトランジスタと、
    一端が前記第1のトランジスタの第2電極に接続された第1のキャパシタと、
    一端が前記第2のトランジスタの第2電極に接続された第2のキャパシタと、
    一対のゲート電極のうち、第1のゲート電極は前記第1のキャパシタの前記一端に接続され、第2のゲート電極は前記第2のキャパシタの前記一端に接続され、また前記第1及び第2のキャパシタの他端を接続した電源線に第1電極が接続された駆動トランジスタと、
    前記駆動トラジスタの第2電極に接続された発光素子とを有することを特徴とする表示装置。
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