JP2010223122A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関のトルクを吸入空気量と点火時期とによって制御することができる内燃機関の制御装置に関し、吸入空気量で達成可能なトルク要求の実現精度を向上させる。
【解決手段】トルク集約部2およびトルク調停部4は吸入空気量で実現するためのトルク要求(将来トルク)と点火時期で実現するためのトルク要求(直近トルク)との何れか一方を選択し、内燃機関で要求される目標トルクを設定する。吸気系制御部10は目標トルクを達成するための目標空気量を算出し、該目標空気量に基づいて吸入空気量を制御する。点火時期算出部30は、吸入空気量の制御で達成されるトルク(推定トルク)が目標トルクを超えるときには、そのトルク差を補償するように点火時期を遅角する。ガード部6は、点火時期が遅角されている場合には、目標トルク補正部8に入力される目標トルクに将来トルクを上限とするガードを設ける。
【選択図】図1

Description

この発明は、内燃機関の制御装置に係り、特に、内燃機関のトルクを吸入空気量と点火時期とによって制御することができる内燃機関の制御装置に関する。
従来、例えば、特開2008−151054号公報では、いわゆるトルクデマンド制御についての技術が開示されている。このシステムでは、より具体的には、スロットルによる吸気制御によって達成できるトルクが目標トルクよりも大きい場合に、そのトルク差を点火時期によるトルク調整によって補償するように、点火時期の遅角制御が行われる。
特開2008−151054号公報 特開平11−141388号公報
ところで、内燃機関に要求されるトルクには、吸入空気量で実現するためのトルク要求(以下、「将来トルク」と称する)と、点火時期等で実現するためのトルク要求(以下、「直近トルク」と称する)とが存在する。これらのトルク要求は集約されて、1つのトルク要求として出力される。より具体的には、例えば、通常は将来トルクが要求トルクとして設定され、直近トルクの要求がある期間にのみ、該直近トルクが要求トルクとして設定される。
ここで、要求トルクが将来トルクから直近トルクへ切り替わる場合において、該直近トルクが将来トルクよりも大きい場合には、要求トルクが将来トルクよりも増大してしまうことが想定される。この場合、将来トルクが増大していなくても吸入空気量が増大するため、吸入空気量で達成する要求トルクの実現精度が低下してしまう。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、吸入空気量で達成可能なトルク要求の実現精度を向上させることを可能とした内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、吸入空気量と点火時期とによってトルクを制御可能な内燃機関の制御装置において、
吸入空気量で実現するためのトルク要求(以下、将来トルク)と点火時期で実現するためのトルク要求(以下、直近トルク)との何れか一方を選択し、前記内燃機関で要求される目標トルクとして設定する目標トルク設定手段と、
前記目標トルクを達成するための目標空気量を算出し、前記目標空気量に基づいて、吸入空気量を制御する吸気制御手段と、
吸入空気量の制御で達成されるトルク(以下、推定トルク)が前記目標トルクを超えるときには、そのトルク差を補償するように点火時期を遅角する点火時期制御手段と、
前記点火時期制御手段によって点火時期が遅角されている場合には、前記目標空気量が算出される過程で用いられる目標トルクに、上限のガードを設けるガード手段と、
を備えることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、
前記内燃機関の目標効率を設定する目標効率設定手段と、
前記目標効率に基づいて、前記目標トルクに所定の補正を加える補正手段と、
を更に備え、前記吸気制御手段は、前記補正手段による補正後の目標トルクに基づいて前記目標空気量を算出し、
前記ガード手段は、前記補正手段に用いられる目標トルクに、第1のガード値を上限とするガードを設けることを特徴とする。
第3の発明は、第2の発明において、
前記第1のガード値は、前記将来トルクであることを特徴とする。
第4の発明は、第1の発明において、
前記内燃機関の目標効率を設定する目標効率設定手段と、
前記目標効率に基づいて、前記目標トルクに所定の補正を加える補正手段と、
を更に備え、前記吸気制御手段は、前記補正手段による補正後の目標トルクに基づいて前記目標空気量を算出し、
前記ガード手段は、前記補正手段による補正後の目標トルクに、第2のガード値を上限とするガードを設けることを特徴とする。
第5の発明は、第4の発明において、
前記第2のガード値は、前記将来トルクを最適点火時期で達成するための要求トルクであることを特徴とする。
第6の発明は、第1の発明において、
前記内燃機関の目標効率を設定する目標効率設定手段と、
前記目標効率に基づいて、前記目標トルクに所定の補正を加える補正手段と、
を更に備え、前記吸気制御手段は、前記補正手段による補正後の目標トルクに基づいて前記目標空気量を算出し、
前記ガード手段は、
前記補正手段に用いられる目標トルクに、第1のガード値を上限とするガードを設ける第1のガード手段と、
前記補正手段による補正後の目標トルクに、第2のガード値を上限とするガードを設ける第2のガード手段と、
前記目標効率の時間変化量を計算し、算出した時間変化量が基準量を超える場合には、前記第1のガード手段から第2のガード手段への切り替えを指示する切替指示手段と、
を含むことを特徴とする。
第1の発明によれば、将来トルクと直近トルクとの何れか一方が目標トルクとして設定される。そして、目標トルクを達成するための目標空気量を計算し、算出された目標空気量に基づいて吸入空気量が制御される。また、推定トルクが目標トルクを超えるときには、そのトルク差を補償するように点火時期が遅角制御される。このような内燃機関において、点火遅角が実行されている場合には、目標空気量が算出される過程で用いられる目標トルクに上限のガードが設けられる。このため、本発明によれば、点火時期の遅角中に目標空気量が増大することを抑制することができるので、吸入空気量で制御するトルク要求の実現精度を向上させることができる。
第2の発明によれば、点火時期の遅角中に、目標空気量が算出される過程で用いられる目標トルクに上限のガードが設けられる。このため、本発明によれば、目標空気量が必要以上に増大する事態を抑止することができるので、吸入空気量で制御するトルク要求の実現精度が悪化する事態を抑制することができる。また、本発明によれば、ガード後の目標トルクが目標効率で嵩上げ補正される。このため、本発明によれば、効率減少分のトルク補償を確実に行うことができる。
第3の発明によれば、点火時期の遅角中に、目標空気量が算出される過程で用いられる目標トルクに将来トルクを上限値とするガードが設けられる。このため、本発明によれば、目標空気量が将来トルクの要求以上に増大する事態を抑止することができるので、吸入空気量で制御するトルク要求の実現精度が悪化する事態を抑制することができる。
第4の発明によれば、点火時期の遅角中に、補正後の目標トルクに上限のガードが設けられる。このため、本発明によれば、目標効率が急変動した場合であっても、目標空気量が必要以上に増大する事態を安定して抑止することができる。
第5の発明によれば、点火時期の遅角中に、将来トルクを最適点火時期で達成するための要求トルクを上限値とするガードが、補正後の目標トルクに設けられる。このため、本発明によれば、最適点火時期がMBTを採ることができずにノック限界になる場合であっても、最適なガード値を設定することができる。
第6の発明によれば、点火時期の遅角中に、目標空気量が算出される過程で用いられる目標トルクに上限のガードを設ける場合において、目標効率の時間変化量が基準量を超えるときには、第1のガード手段から第2のガード手段への切り替えが指示される。このため、本発明によれば、吸入空気量で制御するトルク要求の実現精度向上と目標空気量の安定性とを高い次元で両立することができる。
本発明の実施の形態1としての内燃機関の制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1のガード部6の構成を示すブロック図である。 要求トルクと推定トルクとの関係を説明するための図である。 本発明の実施の形態2としての内燃機関の制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態2のガード部12の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態3としての内燃機関の制御装置の構成を示すブロック図である。
実施の形態1.
本発明の実施の形態1について図1乃至図3の各図を参照して説明する。
[実施の形態1の構成]
本実施の形態にかかる内燃機関は、火花点火式の内燃機関であって、その動作を制御するためのアクチュエータとしてスロットル弁、点火装置及び燃料噴射装置を備えている。本実施の形態の制御装置は、いわゆるトルクデマンド制御によって内燃機関を制御するものであり、要求トルクを含む種々の機関要求に基づいて各アクチュエータの制御に用いる目標値、すなわち、目標スロットル開度、目標点火時期及び目標A/Fを算出する。なお、ここでいう機関要求とは、内燃機関の動作を決定する物理量の要求値である。内燃機関の動作はトルク、効率及びA/F(空燃比)の3つの物理量によって決定することができることから、機関要求としては要求トルク、要求効率及び要求A/Fが入力される。これらの要求は、制御系統の上位に設けられたパワートレインマネージャ(図示略)から数値で入力される。トルク要求には、吸入空気量で実現するトルク要求(将来トルク)と、点火時期等で実現するトルク要求(直近トルク)とが存在する。将来トルクは常時要求されるトルクであるのに対し、直近トルクはトルク応答性が要求される限定的な期間のみに要求される。また、トルク要求には、上述した要求の他に、ISC(Idle Speed Control)等の車両制御に必要なトルクも含まれる。効率要求は、トルクに変換可能な熱エネルギのトルクへの変換効率の要求値という意味を有しており、点火時期が最適点火時期であるMBTのときを基準にして設定される無次元パラメータである。例えば、触媒暖機のために熱エネルギを排気ガスの昇温に利用したい場合等には、効率要求値は基準値の1よりも小さい値とされる。
本実施の形態の制御装置は、図1のブロック図にて示すように構成されている。図1では制御装置の各要素をブロックで示し、ブロック間の信号の伝達(主なもの)を矢印で示している。以下、図1を参照して本実施の形態の制御装置の全体の構成と、その特徴について説明する。
トルク集約部2は、パワートレインマネージャから供給される将来トルクと直近トルクとを集約して一本化された要求トルクを出力する。より具体的には、トルク集約部2は、基本的には常時入力されている将来トルクを一本化された要求トルクとして出力する。そして、直近トルクの入力がある期間は、該将来トルクに該直近トルクを上書きする形で要求トルクを出力する。また、本実施の形態の制御装置は、効率算出部20を備えている。効率算出部20は、トルク集約部2に入力された複数のトルク要求を受けて要求効率を算出する。
トルク集約部2から出力された要求トルクはトルク調停部4に入力される。また、効率算出部20から出力された要求効率は効率調停部22に入力される。パワートレインマネージャからはトルクや効率で表現された複数の要求が出力されるが、それらの要求を全て同時に実現することはできない。複数のトルク要求があったとしても実現できるトルクは1つであるため、要求の調停という処理が必要となる。効率に関しても同様である。そこで、トルク調停部4は、入力された複数のトルク要求を集約して1つの値に調停し、調停したトルク値をエンジンの目標トルクとして出力する。また、効率調停部22は、入力された複数の効率要求を集約して1つの値に調停し、調停した効率値をエンジンの目標効率として出力する。なお、ここでいう調停とは、予め定められた計算規則に従って複数の数値から1つの数値を得る動作である。計算規則には例えば最大値選択、最小値選択、平均、或いは重ね合わせ等が含まれる。それら複数の計算規則を適宜に組み合わせたものとしてもよい。
トルク調停部4で設定された目標トルクはガード部6に入力される。尚、ガード部6の構成とその機能に関しては追って詳細に説明する。ガード部6から出力されたガード後の目標トルクと、効率調停部22で設定された目標効率とは、目標トルク補正部8に入力される。目標トルク補正部8は目標トルクを目標効率で除算して補正し、効率補正後の目標トルクを空気系制御部10に出力する。目標効率が通常値の1であれば、トルク調停部4で設定された目標トルクがそのまま空気系制御部10に出力される。一方、目標効率が通常値の1よりも小さければ、目標効率による除算によって目標トルクは嵩上げされ、嵩上げされた目標トルクが空気系制御部10に出力される。
空気系制御部10は、マップを用いて効率補正後の目標トルクを吸気量に変換する。このマップは、効率補正後の目標トルクを含む複数のパラメータを軸とする多次元マップであって、点火時期、エンジン回転数、A/F等、トルクと吸気量との関係に影響する各種の運転条件がパラメータとして用いられている。これらのパラメータには現在の運転状態情報から得られる値が入力される。ただし、点火時期は最適点火時期(MBT若しくはトレースノック点火時期)とされている。空気系制御部10は、効率補正後の目標トルクから変換された吸気量をエンジンの目標吸気量とし、吸気系モデルの逆モデルを用いて該目標吸気量を実現可能なスロットル開度を計算する。吸気系モデル(エアモデル)は、スロットルの動作に対する吸入空気量の応答を流体力学等に基づいてモデル化し、それを数式で表したものである。吸気系モデルの順モデルにスロットル開度を入力することで、そのスロットル開度で実現できる吸入空気量が算出される。一方、吸気系モデルの逆モデルに吸入空気量を入力することで、その吸入空気量を実現するためのスロットル開度が算出される。空気系制御部10は、算出されたスロットル開度に従いスロットル弁を制御する。
本実施の形態の制御装置において目標点火時期の計算に用いられる信号はトルク効率である。トルク効率は、内燃機関の推定トルクに対する要求トルクの比として定義される。尚、ここで言う推定トルクは、現在のスロットル開度から推定される内燃機関のトルクを意味している。本実施の形態の制御装置は、図示しない推定トルク算出部を備えている。推定トルクの算出部は、より具体的には、現在のスロットル開度で実現できる吸入空気量を吸気系の物理モデルであるエアモデルを用いて計算する。そして、エアモデルで計算した見込みの吸入空気量をトルクマップに照合してトルクに変換する。トルクマップは、トルクと吸入空気量との関係を示す統計モデルであり、吸入空気量を含む複数のパラメータを軸とする多次元マップになっている。各パラメータには現在の機関情報から得られる値が入力される。ただし、点火時期は最適点火時期(MBTとトレースノック点火時期のうちより遅角側の点火時期)とされている。推定トルク算出部は、見込みの吸入空気量から変換されたトルクを内燃機関の最適点火時期における推定トルクとして算出する。
推定トルク算出部で算出された推定トルクと、トルク調停部4で設定された目標トルクとは、点火時期算出部30へ入力される。点火時期算出部30は、先ず、目標トルクと推定トルクとの比をトルク効率として算出する。上述したとおり、目標効率の分だけ低下するトルクを吸入空気量の増量によって補うために、スロットル開度は目標トルクを目標効率で除算して嵩上げした補正目標トルクを実現するように制御される。ただし、スロットル開度の変化に対する実際の吸入空気量の応答には遅れがあるため、実際に出力可能なトルク(推定トルク)は目標効率の変化に対して応答遅れを有している。推定トルクと目標トルクとの比であるトルク効率は、目標効率と実際の吸入空気量の変化とを共に目標点火時期の計算に反映させるためのパラメータになっている。少なくとも吸入空気量が一定となった定常状態では、理論的には推定トルクは補正目標トルクに一致し、トルク効率は目標効率に一致するようになる。
点火時期算出部30は、次に、トルク効率から最適点火時期に対する遅角量を計算する。遅角量の計算には遅角量マップ等の統計モデルが用いられる。遅角量マップは、トルク効率を含む複数のパラメータを軸とする多次元マップになっている。各パラメータには、機関回転数やバルブタイミング等の点火時期に影響する各種の運転状態に関する機関情報が用いられる。トルク効率が小さいほど点火遅角量は大きい値に設定される。次に、点火時期算出部30は、内燃機関の運転状態に基づいて最適点火時期を計算する。点火時期算出部30は、点火遅角量を最適点火時期に加算し、得られた最終的な点火時期を目標点火時期として出力する。点火系制御部32は、算出された点火時期に従い点火装置を制御する。
以上が本実施の形態の制御装置の基本的な構成に関する説明である。次に、本実施の形態の制御装置にとっての要部であるガード部6の構成とその機能について説明する。図2は、ガード部6の詳細な構成を説明するためのブロック図である。
この図に示すとおり、ガード部6は、トルク調停部4で設定された目標トルクを所定範囲に制限するための上限ガード部64、および該上限ガード部64に設定されるガード値を所定範囲に制限するための下限ガード部62を備えている。下限ガード部62には、下限のガード値として最小トルクが設定されている。尚、最小トルクは、最適点火時期で燃焼可能な最小空気量でのトルクを示しており、現在のエンジン回転数をパラメータとするマップで規定されている。下限ガード部62では、入力された将来トルクの下限を該ガード値でガードする。
ガード後の将来トルクは、ガード部6における上限のガード値として用いられる。上限ガード部64では、トルク調停部4で設定された目標トルクの上限を該ガード値でガードする。ガード後の目標トルクは、上述した目標トルク補正部8へ供給される。
次に、図3を参照して、ガード部6の特徴的な機能について説明する。図3は、要求トルクと推定トルクとの関係を説明するための図である。上述したとおり、トルク集約部2は、直近トルクの要求がある期間に限り、集約後の要求トルクとして、将来トルクに替えて直近トルクを出力する。このため、この図に示すとおり、将来トルクよりも大きな直近トルクが要求された場合には、かかる要求期間の目標トルクが増大することとなる。
ここで、将来トルクの実現精度に誤差がある場合、すなわち、この図に示すとおり、推定トルクが将来トルクよりも大きい場合においては、かかるトルク差を補償するように点火時期が遅角されている。このような状態において、上述した直近トルクが要求されると、目標トルクが増大することにより推定トルクが増大し、これにより将来トルクと推定トルクとのトルク差が拡大してしまう。これは、吸入空気量で実現するトルクの誤差が拡大したことを意味している。
そこで、本実施の形態の制御装置では、ガード部6を備えることとしている。ガード部6は、空気系制御部10において吸入空気量の算出に用いる目標トルクに将来トルクを上限とするガードを設けている。これによれば、将来トルクよりも大きい直近トルクの要求期間であっても、吸入空気量の算出に用いる目標トルクは将来トルクの値より大きくなることはない。このため、この図に示すとおり、ガード後の目標トルクを用いた推定トルクは、目標トルクの増大にもかかわらず増大が抑止される。したがって、将来トルクよりも大きなトルク要求が出され場合であっても、吸入空気量で実現すべきトルクの実現精度が更に悪化することを効果的に抑制することができる。これにより、点火時期の遅角量を減少させることができるので、燃費の悪化を抑制することができる。
また、本実施の形態の制御装置では、目標トルク補正部8の前にガード部6が設けられている。このような構成によれば、ガード後の目標トルクに目標効率を用いた嵩上げ補正が行われるので、触媒の暖機要求などによる効率減少分のトルク補償を確実に行うことができる。
以上、本発明の実施の形態1について説明した。実施の形態1には、本発明のうち第1乃至第3の発明が具現化されている。詳しくは、図1に示す構成において、トルク集約部2およびトルク調停部4は第1の発明の「目標トルク設定手段」に、吸気系制御部10は第1の発明の「吸気制御手段」に、点火時期算出部30は第1の発明の「点火時期制御手段」に、ガード部6は第1の発明の「ガード手段」に、それぞれ相当している。また、図1に示す構成において、効率算出部20および効率調停部22は第2の発明の「目標効率設定手段」に、目標トルク補正部8は第2の発明の「補正手段」に、それぞれ相当している。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について図4及び図5を用いて説明する。
本実施の形態の制御装置の全体の構成は、図4のブロック図にて示される。図4に示すブロック図では、実施の形態1の制御装置におけるガード部6に替えて、ガード部12を備える構成に違いがある。尚、図4におけるブロック図において図1に示すブロック図と共通する要素には、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
図4に示すとおり、本実施の形態にかかる制御装置はガード部6を備えていない。つまり、トルク調停部4において設定された目標トルクは、そのまま目標トルク補正部8へ入力される。一方、本実施の形態の制御装置はガード部12を備えている。尚、ガード部12の構成とその機能に関しては追って詳細に説明する。該目標トルク補正部8から出力された補正後の目標トルクは、該ガード部12に入力される。ガード部12による処理の結果、入力された補正後の目標トルクは、ガード後の目標トルクとなる。空気系制御部10は、ガード後の目標トルクに基づいて、目標スロットル開度を算出する。
次に、図5を参照して、ガード部12の構成とその機能について説明する。図5は、ガード部12の詳細な構成を説明するためのブロック図である。この図に示すとおり、ガード部12は、将来トルクをMBT点火時期での要求トルクへ変換する変換部122と、当該変換後の要求トルクを所定範囲に制限するための下限ガード部124と、目標トルク補正部8で嵩上げ補正された補正後の目標トルクを所定範囲に制限するための上限ガード部126と、を備えている。
変換部122では、より具体的には、入力された将来トルクを最適点火時期トルク係数で除することにより、変換後の将来トルクを算出する。尚、最適点火時期トルク係数は、現在エンジン回転数、現在空気量、および最適点火時期をパラメータとするトルクマップで特定されたトルクを、現在エンジン回転数、現在空気量、およびMBTをパラメータとするトルクマップで特定されたトルクで除することにより算出する。また、現在エンジン回転数、および現在空気量をパラメータとする係数マップを用いて、最適点火時期トルク計数を算出することとしてもよい。
下限ガード部124では、上述した下限ガード部62と同様に、下限のガード値として最小トルクが設定されている。下限ガード部124では、変換後の将来トルクの下限を該ガード値でガードする。
下限ガード部124におけるガード後のトルクは、上限ガード部126における上限のガード値として用いられる。上限ガード部126では、目標トルク補正部8で嵩上げ補正された補正後の目標トルクの上限を、当該ガード値でガードする。空気系制御部10は、ガード後の目標トルクに基づいて、目標スロットル開度を算出する。
次に、ガード部12の特徴的な機能について説明する。上述した実施の形態1における制御装置では、目標トルク補正部8の前にガード部6が設けられている。このような構成によれば、ガード後の目標トルクに目標効率を用いた嵩上げ補正が行われるので、触媒の暖機要求などによる効率減少分のトルク補償を確実に行うことができる。
しかしながら、その一方で、上述した実施の形態1における制御装置では、ガード部6におけるガード後の目標トルクが、目標トルク補正部8で嵩上げ補正される。このため、目標効率の変化によっては、空気系制御部10へ入力される目標トルクが急激に変動してしまい、空気系の制御を安定して行うことができないという問題が生じるおそれがある。
そこで、本実施の形態2の制御装置では、目標トルク補正部8の後にガード部12を設ける構成としている。このような構成によれば、目標トルク補正部8において嵩上げされた後に、ガード部12でのガード処理が行われる。これにより、要求効率が変化した場合であっても、空気系制御部10へ入力される目標トルクが、該ガード部12における上限ガード値より大きな値に変動することはない。これにより、空気系の制御を安定して行うことが可能となる。
また、本実施の形態2の制御装置では、上限ガード部126のガード値として、将来トルクをMBTの要求トルクに変換した値が用いられる。このため、最適点火時期がMBTでない場合であっても、最適なガード値を設定することができる。
以上、本発明の実施の形態2について説明した。実施の形態2には、本発明のうち第1、第4および第5の発明が具現化されている。詳しくは、図4に示す構成において、トルク集約部2およびトルク調停部4は第1の発明の「目標トルク設定手段」に、吸気系制御部10は第1の発明の「吸気制御手段」に、点火時期算出部30は第1の発明の「点火時期制御手段」に、ガード部12は第1の発明の「ガード手段」に、それぞれ相当している。また、図4に示す構成において、効率算出部20および効率調停部22は第4の発明の「目標効率設定手段」に、目標トルク補正部8は第4の発明の「補正手段」に、それぞれ相当している。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について図5を用いて説明する。
本実施の形態の制御装置の全体の構成は、図6のブロック図にて示される。図6に示すブロック図では、実施の形態1の制御装置におけるガード部6と実施の形態2の制御装置におけるガード部12との両方を備えている点に特徴を有している。尚、図6におけるブロック図において図1または図6に示すブロック図と共通する要素には、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
図6に示すとおり、本実施の形態にかかる制御装置はガード部6とガード部12とを備えている。また、本実施の形態の制御装置は、空気系制御部10に入力される目標トルクにガード処理を実行するガード部として、該ガード部6と該ガード部12との間で切り替えを行う切替判定部14を備えている。切替判定部14は、目標効率の時間変化量に応じてガード部の切替動作を実行する。より具体的には、切替判定部14は、目標効率の時間変化量を算出し、該変化量が所定の基準量を越える場合に、ガード処理を行うガード部をガード部6からガード部12へ切り替える。
目標効率の時間変化量は、空気系制御部10へ入力される目標トルクの変動度合を判断する指標となる。そこで、本実施の形態の制御装置では、目標効率の時間変化量が基準量を超える場合に、ガード部6からガード部12への切り替えを行うこととしている。このような構成によれば、目標効率の時間変化量が基準量を超える場合に、上述した実施の形態2の制御が行われ、該時間変化量が基準量以下の場合に、上述した実施の形態1の制御が行われることとなる。このため、本実施の形態の制御装置によれば、吸入空気量で実現するトルクの実現精度の悪化抑制と、空気系の制御の安定性の向上とを高い次元で両立することができる。
以上、本発明の実施の形態3について説明した。実施の形態3には、本発明のうち第1および第6の発明が具現化されている。詳しくは、図6に示す構成において、トルク集約部2およびトルク調停部4は第1の発明の「目標トルク設定手段」に、吸気系制御部10は第1の発明の「吸気制御手段」に、点火時期算出部30は第1の発明の「点火時期制御手段」に、ガード部6およびガード部12は第1の発明の「ガード手段」に、それぞれ相当している。また、図6に示す構成において、効率算出部20および効率調停部22は第6の発明の「目標効率設定手段」に、目標トルク補正部8は第6の発明の「補正手段」に、ガード部6は第6の発明の「第1のガード手段」に、ガード部12は第6の発明の「第2のガード手段」に、切替判定部14は第6の発明の「切替指示手段」に、それぞれ相当している。
2 トルク集約部
4 トルク調停部
6 ガード部
8 目標トルク補正部
10 空気系制御部
12 ガード部
14 切替判定部
20 効率算出部
22 効率調停部
30 点火時期算出部
32 点火系制御部
62 下限ガード部
64 上限ガード部
122 変換部
124 下限ガード部
126 上限ガード部

Claims (6)

  1. 吸入空気量と点火時期とによってトルクを制御可能な内燃機関の制御装置において、
    吸入空気量で実現するためのトルク要求(以下、将来トルク)と点火時期で実現するためのトルク要求(以下、直近トルク)との何れか一方を選択し、前記内燃機関で要求される目標トルクとして設定する目標トルク設定手段と、
    前記目標トルクを達成するための目標空気量を算出し、前記目標空気量に基づいて、吸入空気量を制御する吸気制御手段と、
    吸入空気量の制御で達成されるトルク(以下、推定トルク)が前記目標トルクを超えるときには、そのトルク差を補償するように点火時期を遅角する点火時期制御手段と、
    前記点火時期制御手段によって点火時期が遅角されている場合には、前記目標空気量が算出される過程で用いられる目標トルクに、上限のガードを設けるガード手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記内燃機関の目標効率を設定する目標効率設定手段と、
    前記目標効率に基づいて、前記目標トルクに所定の補正を加える補正手段と、
    を更に備え、前記吸気制御手段は、前記補正手段による補正後の目標トルクに基づいて前記目標空気量を算出し、
    前記ガード手段は、前記補正手段に用いられる目標トルクに、第1のガード値を上限とするガードを設けることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記第1のガード値は、前記将来トルクであることを特徴とする請求項2記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記内燃機関の目標効率を設定する目標効率設定手段と、
    前記目標効率に基づいて、前記目標トルクに所定の補正を加える補正手段と、
    を更に備え、前記吸気制御手段は、前記補正手段による補正後の目標トルクに基づいて前記目標空気量を算出し、
    前記ガード手段は、前記補正手段による補正後の目標トルクに、第2のガード値を上限とするガードを設けることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記第2のガード値は、前記将来トルクを最適点火時期で達成するための要求トルクであることを特徴とする請求項4記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記内燃機関の目標効率を設定する目標効率設定手段と、
    前記目標効率に基づいて、前記目標トルクに所定の補正を加える補正手段と、
    を更に備え、前記吸気制御手段は、前記補正手段による補正後の目標トルクに基づいて前記目標空気量を算出し、
    前記ガード手段は、
    前記補正手段に用いられる目標トルクに、第1のガード値を上限とするガードを設ける第1のガード手段と、
    前記補正手段による補正後の目標トルクに、第2のガード値を上限とするガードを設ける第2のガード手段と、
    前記目標効率の時間変化量を計算し、算出した時間変化量が基準量を超える場合には、前記第1のガード手段から第2のガード手段への切り替えを指示する切替指示手段と、
    を含むことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
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