JP2010218541A - 無線通信システム - Google Patents

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Abstract

【課題】間欠受信間隔をカウントするタイマ手段の周波数温度特性による時間ずれに起因した同期外れを防ぐ。
【解決手段】子局TR2〜TR4の制御部1が同期信号から検出した時間ずれを補正したときに温度検出部8で検出された周囲温度に対して、その後に温度検出部8で検出される周囲温度が所定値以上変化したときに、当該制御部1が、親局TR1に対して同期信号の送信を要求するメッセージを含む無線信号を無線送受信部2から送信させる。親局TR1の制御部1は同期信号の送信要求メッセージを受け取ると無線送受信部2から同期信号を送信させる。よって、子局TR2〜TR4の制御部1は、親局TR1から送信される同期信号に基づいて周囲温度の変動に起因した時間ずれを検出し且つ補正して同期外れを防ぐことができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複数の無線局からなる無線通信システムに関し、特に各無線局が電池を電源として動作する無線通信システムに関するものである。
我が国で使用する無線局については、占有周波数帯幅や隣接チャンネル漏洩電力などの使用電波の特性(RF特性)が電波法の規定を満たしていなくてはならない。また、電波法では使用目的ごとに異なる規格(通信規格)が規定されている。例えば、電波法第4条ただし書きにおいて免許を要しない無線局の一つとして規定される「小電力無線局」には、「コードレス電話の無線局」、「特定小電力無線局」、「小電力セキュリティシステム」、「小電力データ通信システムの無線局」などがあり、それぞれの無線局の無線設備について同法施行規則の設備規則によって規格が規定されている。
従来、電池を電源として動作する複数の無線局からなる無線通信システムとして特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に記載されている従来システムでは、各無線局が間欠的に受信回路を起動して所望の電波(他の無線局が送信した無線信号)を受信できるか否かをチェックし、当該電波が捉えられなければ直ちに受信回路を停止して待機状態に移行することで平均消費電力を大幅に低減している。
しかしながら、上述のように間欠受信動作を行うと、本来受信しなければならない無線信号を受信するタイミングが受信回路の間欠受信間隔の分だけ遅延することになる。したがって、消費電力の低減を目的として単純に間欠受信間隔を伸ばすことはできない。
そこで本発明者は、数時間乃至数十時間の周期で送信される同期信号を受信した各無線局が当該同期信号に同期して間欠受信間隔をカウントすることにより、何れかの無線局が送信した無線信号を他の無線局が受信できるまでの遅延時間を短くするようにした無線通信システムを考案した。
特開2008−176515号公報
ところで、各無線局が間欠受信間隔のカウントに使用する信号発生器(クロックジェネレータ)は、図11に示すように常温(25℃)との温度差が大きくなるにつれて周波数が低くなる特性(周波数温度特性)を有しているため、気候の変化や室内の空調などの影響で信号発生器の周波数がずれて同期外れが生じてしまう虞があった。
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、間欠受信間隔をカウントするタイマ手段の周波数温度特性による時間ずれに起因した同期外れを防ぐことができる無線通信システムを提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために、複数の無線局からなり、これら複数の無線局間で電波を媒体とする無線信号を送受信する無線通信システムであって、各無線局は、無線信号を送信する送信手段と、無線信号を受信する受信手段と、所定のイベントが発生した
ときに送信手段を起動し、所定の送信期間に前記イベントに対応したメッセージを含む無線信号を送信させるとともに所定の休止期間に無線信号の送信を休止させる動作を交互に繰り返し且つ前記イベントが発生していないときには送信手段を停止させる送信制御手段と、一定の間欠受信間隔を繰り返しカウントするタイマ手段と、タイマ手段による間欠受信間隔のカウント中は受信手段を停止させ、タイマ手段による間欠受信間隔のカウントが完了する度に受信手段を起動する受信制御手段と、電池を電源として各手段の動作電源を供給する給電手段とを備え、受信制御手段は、受信手段で同期信号を受信した場合にタイマ手段による間欠受信間隔のカウントを中止させるとともに、当該同期信号の終了時点から一定の待機時間が経過した時点でタイマ手段による間欠受信間隔のカウントを再開させ、送信制御手段は、前記イベントが発生した場合、タイマ手段による間欠受信間隔のカウントが完了する時点と重なる前記送信期間に送信手段から無線信号を送信させる無線通信システムにおいて、複数の無線局のうちの特定の無線局の送信制御手段は、タイマ手段による間欠受信間隔のカウントが一定回数完了する毎に送信手段から前記同期信号を送信させ、前記特定の無線局を除く他の無線局は、受信手段で同期信号を受信したときに当該同期信号の受信タイミングとタイマ手段がカウントする間欠受信間隔との時間ずれを検出する時間ずれ検出手段と、時間ずれ検出手段で検出される時間ずれを縮小するようにタイマ手段のカウント動作を補正する補正手段と、周囲温度を検出する温度検出手段とを備え、当該他の無線局の送信制御手段は、補正手段がタイマ手段のカウント動作を補正したときの周囲温度に対して温度検出手段で検出される周囲温度が所定値以上変化したときに同期信号の送信を要求するメッセージを含む無線信号を送信手段から前記特定の無線局に宛てて送信させ、当該特定の無線局の送信制御手段は、他の無線局から受け取った前記メッセージに基づいて送信手段から同期信号を送信することを特徴とする。
本発明によれば、タイマ手段のカウント動作が補正されたときの周囲温度に対して温度検出手段で検出される周囲温度が所定値以上変化したときに特定の無線局から同期信号が送信されるので、当該同期信号を受信する他の無線局においてタイマ手段のカウント動作が補正され、その結果、間欠受信間隔をカウントするタイマ手段の周波数温度特性による時間ずれに起因した同期外れを防ぐことができる。
本発明によれば、間欠受信間隔をカウントするタイマ手段の周波数温度特性による時間ずれに起因した同期外れを防ぐことができる。
本発明の実施形態における無線局(火災警報器)のブロック図である。 同上における無線信号のフレームフォーマットである。 同上の待機状態から火災連動状態へ遷移する動作を説明するためのフローチャートである。 同上の連動鳴動状態から連動停止状態へ遷移する動作を説明するためのタイムチャートである。 同上の連動鳴動状態から連動停止状態へ遷移する動作を説明するためのタイムチャートである。 同上の火災連動状態から待機状態へ遷移する動作を説明するためのタイムチャートである。 同上の火災連動状態における動作を説明するためのタイムチャートである。 同上における時間ずれ検出手段の動作説明図である。 同上における時間ずれ検出手段の動作説明図である。 同上における時間ずれ検出手段の動作説明図である。 信号発生器の周波数温度特性を説明する説明図である。
以下、火災を感知して警報音を鳴動するとともに電波を媒体とし且つ火災感知メッセージを含む無線信号を送信する火災警報器を無線局とした無線通信システム(火災警報システム)に本発明の技術思想を適用した実施形態について説明する。
図1は本実施形態のシステム構成図であり、複数台(図示は2台のみ)の火災警報器TRで火災警報システムが構成されている。なお、以下の説明では、火災警報器TRを個別に示す場合は火災警報器TR1,TR2,…,TRnと表記し、総括して示す場合は火災警報器TRと表記する。
火災警報器TRは、アンテナ3から電波を媒体とした無線信号を送信するとともに他の火災警報器TRが送信した無線信号をアンテナ3で受信する無線送受信部2と、音(ブザー音や音声メッセージなど)による火災警報(以下、「警報音」と呼ぶ。)を報知(スピーカから鳴動)する警報部5と、マイコンや書換可能な不揮発性の半導体メモリなどからなるメモリ部1aを主構成要素とし火災感知部4で火災を感知したときに警報部5に警報音を鳴動させるとともに他の火災警報器TRに対して火災警報を報知させるための火災警報メッセージを含む無線信号を無線送受信部2より送信させる制御部1と、後述するように警報音の鳴動を停止するための操作入力などを受け付ける操作入力受付部6と、サーミスタなどの温度検出素子を用いて周囲温度を検出する温度検出部8と、乾電池等の電池を電源として各部に動作電源を供給する電池電源部7とを具備している。操作入力受付部6は1乃至複数のスイッチ(例えば、押釦スイッチ)を有しており、スイッチが操作されることで各スイッチに対応した操作入力を受け付けるとともに当該操作入力に対応した操作信号を制御部1に出力する。なお、各火災警報器TR1,TR2,…には固有の識別符号が割り当てられてメモリ部1aに格納されており、当該識別符号によって無線信号の宛先並びに送信元の火災警報器TR1,TR2,…が特定できる。
無線送受信部2は、電波法施行規則第6条第4項第3号に規定される「小電力セキュリティシステムの無線局」に準拠して電波を媒体とする無線信号を送受信するものである。また火災感知部4は、例えば、火災に伴って発生する煙や熱、炎などを検出することで火災を感知するものである。但し、無線送受信部2並びに火災感知部4の詳細な構成については、従来周知であるから詳細な説明は省略する。
制御部1は、図示しないメモリ(ROMあるいはEEPROMなど)に格納されたプログラムをマイコンで実行することによって後述する各種の機能を実現している。火災感知部4で火災の発生が感知されると、制御部1は警報部5が備えるブザーを駆動して警報音を鳴動させたり、あるいは予めメモリ(あるいはメモリ部1a)に格納されている警報用の音声メッセージ(例えば、「火事です」など)をスピーカに鳴動させることで火災警報を報知するとともに、他の火災警報器TRにおいても火災警報を報知させるため、火災警報メッセージを含む無線信号を無線送受信部2より送信させる。また、他の火災警報器TRから送信された無線信号を無線送受信部2で受信することにより火災警報メッセージを受け取ったときも、制御部1が警報部5を制御して警報音を鳴動させる。つまり、制御部1では火災感知部4が火災を感知したときに警報部5から警報音を鳴動させて火災警報を報知するとともに火災警報メッセージを含む無線信号を無線送受信部2より送信させる機能を有している。
ここで、電波法施行規則の無線設備規則第49条の17「小電力セキュリティシステムの無線局の無線設備」では、無線信号を連続して送信してもよい期間(送信期間)が3秒以下、送信期間と送信期間の間に設けられた、無線信号を送信してはいけない期間(休止期間)が2秒以上とすることが規定されている(同条第5号参照)。このために本実施形態における制御部1では、上記無線設備規則に適合する送信期間に無線信号を送信させる
とともに休止期間に送信を停止し且つ受信可能な状態としている。
また電池電源部7の電池寿命をできるだけ長くするため、制御部1ではタイマ(タイマ手段)で所定の間欠受信間隔(但し、間欠受信間隔は前記送信期間よりも長い時間とする)を繰り返しカウントするとともに間欠受信間隔のカウントが完了する毎に無線送受信部2を起動して所望の電波(他の火災警報器TRが送信した無線信号)が受信できるか否かをチェックし、当該電波が捉えられなければ直ちに無線送受信部2を停止して待機状態に移行させることで平均消費電力を大幅に低減している。なお、電波の受信チェックは、無線送受信部2から出力される、受信信号強度の大小に比例した直流電圧信号である受信信号強度表示信号(Receiving Signal Strength Indication:RSSI信号)に基づいて制御部1が行っており、詳細については従来周知であるから省略する。
さらに特定の火災警報器TR1(以下、親局と呼ぶ。)の制御部1では、定期的(例えば、24時間毎)に無線送受信部2を起動して他の火災警報器TR2,TR3,…(以下、子局と呼ぶ。)が正常に動作しているか否かの確認(定期監視)を行うために定期監視メッセージを含む無線信号を送信させる。子局TR2,…においては、制御部1が火災感知部4の故障の有無及び電池電源部7の電池切れの有無を一定周期で(例えば、1時間毎に)監視するとともに、その監視結果(故障の有無及び電池切れの有無)をメモリ部1aに記憶しており、親局TR1から定期監視メッセージを受け取ったときに、メモリ部1aに記憶している監視結果を通知するための通知メッセージを含む無線信号を親局TR1に返信する。親局TR1の制御部1は、通知メッセージを含む無線信号を送信した後、無線送受信部2を受信状態に切り換えて各子局TR2,…から送信される無線信号を受信し、定期監視メッセージを含む無線信号を送信してから所定時間内に通知メッセージを含む無線信号を送信してこない子局TR2,…があったり、あるいは、何れかの子局TR2,…が送信してきた通知メッセージが故障有り若しくは電池切れ有りの監視結果を通知するものである場合に、警報部5が備えるブザーを駆動して報知音を鳴動させるなどして子局TR2,…に異常(通信不可や故障有り、電池切れなど)が発生したことを知らせる機能も有している。尚、親局TR1及び子局TR2,…の制御部1は、故障若しくは電池切れが生じていると判断した場合、直ちに警報部5から異常(故障若しくは電池切れ)の発生を知らせるための警告音(ブザー音や音声メッセージなど)を警報部5のスピーカから鳴動させるようになっている。
また親局TR1の制御部1は、火災感知部4が火災を感知して警報部5から警報音を鳴動させるとともに各子局TR2,…に火災警報メッセージを送信した後、若しくは何れかの子局TR2,…から火災警報メッセージを受信した後においては、無線送信部2に一定周期で同期ビーコンを送信させる。この同期ビーコンは、複数の火災警報器TR同士でTDMA(時分割多元接続)方式の無線通信(以下、「同期通信」と呼ぶ。)を行うために必要なタイムスロットを規定する信号であって、その1周期(サイクル)が複数のタイムスロットに分割され、全ての子局TR2,…にそれぞれ互いに異なるタイムスロットが1つずつ割り当てられる。そして、親局TR1から子局TR2,…へのメッセージは同期ビーコンに含めて送信され、子局TR2,…から親局TR1へのメッセージを含む無線信号は、各子局TR2,…に割り当てられているタイムスロットに格納されて送信される。故に、複数台の火災警報器TR(親局TR1並びに子局TR2,…)から送信される無線信号の衝突を確実に回避することができる。なお、各火災警報器TRに対するタイムスロットの割当は固定であってもよいが、親局TR1から送信する同期ビーコンによってタイムスロットの割当情報を各子局TR2,…に通知しても構わない。
図2は火災警報器TRが送受信する無線信号のフレームフォーマットを示しており、同期ビット(プリアンブル:PA)、フレーム同期パターン(ユニークワード:UW)、宛先アドレスDA、送信元アドレスSA、メッセージM、CRC符号で1フレームが構成さ
れている。ここで、宛先アドレスDAとして各火災警報器TRの識別符号を設定すれば当該識別符号の火災警報器TRのみが無線信号を受信してメッセージを取得することになるが、宛先アドレスDAとして何れの火災警報器TRにも割り当てられていない特殊なビット列(例えば、すべてのビットを1としたビット列)を設定することで無線信号を同報(マルチキャスト)して全ての火災警報器TRにメッセージを取得させることができる。例えば、火災警報メッセージを含む無線信号が親局TR1から全ての子局TR2,…に同報される。
次に、図3のタイムチャートを参照して、火災感知の前後における本実施形態の送受信動作を説明する。
ここで、各火災警報器TR(親局TR1並びに子局TR2,…)が動作を開始する(タイマが間欠受信間隔のカウントを開始する)タイミングは通常一致しないので、制御部1が無線送受信部2を起動して電波を受信するタイミング(図3における下向きの矢印参照)も不揃いとなる。これに対して本実施形態では、親局TR1から送信される同期信号が子局TR2,…の無線送受信部2で受信されると、各子局TR2,…の制御部1がタイマによる間欠受信間隔Txのカウントを中止させるとともに同期信号の終了時点(t=t0)から一定の待機時間Twが経過した時点でタイマによる間欠受信間隔Txのカウントを再開させる。したがって、同期信号を受信した後は、各火災警報器TR(親局TR1並びに子局TR2,…)においてタイマが間欠受信間隔Txのカウントを完了するタイミングが揃うことになる。
例えば、子局TR2において火災感知部4が火災を感知すると、子局TR2の制御部1は警報部5より警報音を鳴動させるとともに、タイマによる間欠受信間隔Txのカウント完了前に無線送受信部2を起動し、当該カウント完了時点を含む送信期間内に火災警報メッセージを含む無線信号を他の全ての火災警報器TR(親局TR1及び他の子局TR3,…)に宛てて送信する。この際、送信元の子局TR2の制御部1は、送信期間内で送信可能なフレーム数だけ無線信号を連続して送信し、送信期間後の休止期間(受信期間)には無線送受信部2を受信状態に切り換える。尚、各火災警報器TRにおいて間欠受信間隔Txのカウントが完了するタイミングが揃っているので、1回の送信期間で火災警報メッセージを含む無線信号を受信することができる。
ここで、小電力無線を利用すれば、無線通信距離としては通常の住宅ひとつのエリア内であれば十分カバーできるので、火災元の子局TR2が、他の火災警報器TR(親局TR1及び他の子局TR3,…)に対しメッセージを送信することは通常は十分可能である。しかしながら、上述したように親局TR1は各子局TR2〜TR4に対して定期監視を行っており、親局TR1と各子局TR2〜TR4との間では通信パスの正常性が確認されているが、子局TR2〜TR4間の通信パスは確認されていないため、例えば障害物などの影響によって、ある子局にはメッセージが届いていない可能性もある。
そこで、火災警報メッセージを受信した親局TR1の制御部1は、送信元の子局TR2を除く他の子局TR3,TR4に対して火災警報メッセージを含む無線信号を、タイマによる間欠受信間隔Txのカウント完了時点を含む送信期間に送信する。他の子局TR3,TR4の制御部1では、子局TR2又は親局TR1から送信された火災警報メッセージを受け取ると直ちに警報部5より警報音を鳴動させるとともに無線送受信部2より火災警報メッセージの受信を確認する応答メッセージ(ACK)を無線信号によって返信する。尚、このように少なくとも1台の火災警報器TRで火災が感知されることで全ての火災警報器TRが火災警報を報知(警報音を鳴動)することを、以下では「火災連動」と呼ぶ。
親局TR1の制御部1は、他の全ての子局TR3,TR4からACKを受け取れば、タ
イムスロットを規定するための同期ビーコンを一定の周期で無線送受信部2から送信させる。尚、本実施形態では先頭のタイムスロットTS1を子局TR2に、2番目のタイムスロットTS2を子局TR3に、3番目のタイムスロットTS3を子局TR4にそれぞれ割り当てている。
ここで、親局TR1は各子局TR2〜TR4に対して定期監視を行っており、親局TR1と各子局TR2〜TR4との間では通信パスの正常性が確認されているが、子局TR2〜TR4間の通信パスは確認されていない。したがって、子局TR2,…が多数配置された場合、子局TR2,…間の通信パスの数は非常に多くなる為、子局TR2,…間の通信パスの正常性の確認を行うと電池消耗が激しくなるので、上述のように特定の火災警報器TR1を親局とし、その他の火災警報器TR2,…を子局として親局TR1から各子局TR2,…に火災警報メッセージやその他のメッセージ(後述する)を通知することで相互に通信パスが確立できない子局が存在する場合でも確実に火災連動させることができるものである。
また、全ての火災警報器TRが警報音を鳴動することにより連動が開始されると、上述のように親局TR1から一定周期で同期ビーコンが送信されてTDMA方式の同期通信に移行するのであるが、親局TR1の制御部1では、同期ビーコンに含めることで火災警報メッセージを一定周期で全ての子局TR2,…に繰り返し送信している。そして、各子局TR2,…の制御部1では、親局TR1から送信される火災警報メッセージを受け取る度に警報部5の状態を確認し、仮に警報部5が停止していたとしたら警報部5に再度警報音を鳴動させる。したがって、全ての火災警報器TRで火災警報が報知され始めてからは特定の火災警報器(親局)TR1が送信する同期ビーコンによって規定される複数のタイムスロットに他の全ての火災警報器(子局)TR2,…を割り当てて時分割多元接続(TDMA)による無線通信を行うことで衝突を回避することができ、さらに、特定の火災警報器(親局)TR1から他の全ての火災警報器(子局)TR2,…に対して火災警報メッセージを同期ビーコンに含めて周期的に送信することで確実に火災警報を報知することができる。その結果、無線信号の衝突を回避しつつ複数の火災警報器TRを効果的に連動させることができる。
上述のように本実施形態によれば、火災発生時には全ての火災警報器TRで火災警報が報知されるので、利用者が火災警報を知覚する(警報音を聞く)機会が増えるために安全性を向上することができる。
ところで、本実施形態の火災警報システムは、何れの火災警報器TRにおいても火災が検出されていない状態(待機状態)と、全ての火災警報器TRが警報音を鳴動している状態(連動鳴動状態)と、後述するように火災を検出している(火元の)火災警報器TRのみが警報音を鳴動し、火元以外の火災警報器TRが警報音を停止している状態(連動停止状態)との間で動作状態を遷移させている。すなわち、待機状態において少なくとも何れか1台の火災警報器TR(例えば、子局TR2)で火災が検出されると、上述したように火元の子局TR2並びに親局TR1から他の全ての子局TR3,…に火災警報メッセージが送信されることで親局TR1と子局TR2,…を含む全ての火災警報器TRで警報音が鳴動されて連動鳴動状態に遷移する。
そして、連動鳴動状態において何れかの火災警報器TRの操作入力受付部6で警報音の鳴動を停止するための操作入力が受け付けられた場合、当該火災警報器TRが親局TR1であれば親局TR1から全ての子局TR2,…に対して警報音の停止を要求するメッセージ(警報停止メッセージ)を送信することにより、あるいは、当該火災警報器TRが子局TR2,…であれば当該子局TR2,…から警報停止メッセージを受け取った親局TR1が他の子局TR2,…に対して警報停止メッセージを送信することにより、火元以外の火
災警報器TRで警報音が停止されて連動停止状態に遷移する。但し、火元の火災警報器TRの操作入力受付部6で警報音停止の操作入力が受け付けられた場合、当該火元の火災警報器TRにおいても警報音を停止する。ここで、親局TR1の制御部1はメモリ部1aに親局TR1並びに各子局TR2,…毎の火災検出状況を随時更新しながら保持しており、後述するように全ての火災警報器TRで火災が検出されなくなったときに火災連動状態から待機状態に遷移する。
また、連動鳴動状態から連動停止状態に遷移した場合、親局TR1の制御部1では所定の警報音停止時間(例えば、5分間)の限時を開始する。そして、警報音停止時間が経過したのち、親局TR1の制御部1はメモリ部1aに保持している火災検出状況を参照し、全ての火災警報器TRで火災を検出していなければ、同期ビーコンによって復旧通知のメッセージを送信することで火災連動状態から待機状態に遷移し、仮に少なくとも1台の火災警報器TRで火災を検出していれば、同期ビーコンによって火災警報メッセージを送信することで連動停止状態から連動鳴動状態へ遷移させる。尚、連動停止状態において何れかの火災警報器TRが新たに火災を検出した場合にも親局TR1の制御部1が同期ビーコンによって火災警報メッセージを送信することで連動停止状態から連動鳴動状態へ遷移させる。
例えば、図4のタイムチャートに示すように、親局TR1を火元とする火災連動状態(連動鳴動状態)において、火元でない子局TR4の操作入力受付部6で警報音停止の操作入力が受け付けられることで当該子局TR4から警報停止メッセージが送信されると、警報停止メッセージを受け取った親局TR1の制御部1は同期ビーコンによって警報停止メッセージM2を送信しつつ警報音停止時間の限時を行う。但し、火元である親局TR1では警報部5による警報音の鳴動は継続される。そして、警報音停止時間が経過したのち、親局TR1の制御部1は自らの火災感知部4による火災検出状況並びに子局TR2,…おける火災検出状況を確認し、少なくとも何れか1台の火災警報器TRが火災を検出しているときは再度火災警報メッセージを同期ビーコンにより各子局TR2,…に送信することで連動停止状態から連動鳴動状態へ遷移させる。
一方、図5のタイムチャートに示すように、警報音停止時間内に火災が鎮火して火災感知部4が火災を検出しなくなっていれば、親局TR1の制御部1は警報音停止時間が経過したのちに同期ビーコンによって各子局TR2,…に復旧通知メッセージを送信し、全ての子局TR2,…から返信されるACKを受け取った時点で連動停止状態から待機状態に遷移し、同期ビーコンの送信を停止することでTDMA方式による無線通信から間欠送信・間欠受信による無線通信に戻る。
また、図6のタイムチャートに示すように、子局TR4を火元とする連動鳴動状態において、火元の火災が鎮火して子局TR4の火災感知部4が火災を検出しなくなれば、子局TR4から親局TR1に宛てて復旧通知メッセージが送信される。当該復旧通知メッセージを受け取った親局TR1の制御部1はメモリ部1aに保持している火災検出状況を参照し、全ての火災警報器TRで火災を検出していなければ同期ビーコンによって復旧通知メッセージM3を各子局TR2,…に送信する。そして、全ての子局TR2,…から返信されるACKを親局TR1の制御部1が受け取れば、連動停止状態から待機状態に遷移し、同期ビーコンの送信を停止することでTDMA方式による無線通信から間欠送信・間欠受信による無線通信に戻る。
一方、図7のタイムチャートに示すように、新たに別の火災警報器(例えば、子局TR3)で火災が検出された場合、初めの火元である子局TR4から復旧通知メッセージを受け取った親局TR1の制御部1は、メモリ部1aに保持している火災検出状況を参照し、子局TR3が火災検出中であることから復旧通知メッセージを送信せず、引き続き火災警
報メッセージを送信することで火災連動状態を維持する。
而して本実施形態によれば、同期信号を受信することによって各無線局(火災警報器TR)の受信制御手段(制御部1)が受信手段(無線送受信部2)を起動するタイミングが揃い、しかも、イベント(火災感知)が発生した無線局の送信制御手段(制御部1)が受信手段の起動するタイミングに合わせて無線信号を送信するので、一の無線局から送信される無線信号を他の全ての無線局がほぼ同時に受信することができる。その結果、間欠受信を行うことで消費電力を低減して電池の寿命を延ばしつつ何れかの無線局が送信した無線信号を他の無線局が受信できるまでの遅延時間を短くすることができる。
また本実施形態においては、複数の無線局(火災警報器TR)のうちの特定の無線局(親局TR1)の送信制御手段(制御部1)が、タイマ手段による間欠受信間隔のカウントが一定回数完了する毎に送信手段(無線送受信部2)から同期信号を送信しており、同期信号を送信するための専用の送信機(送信局)などが不要でシステム構成が簡略化できるという利点がある。尚、同期信号を送信する間隔(前記一定回数)は、例えば、数時間(数百回)とすればよい。
ところで、間欠受信間隔をカウントするタイマにはタイマクロックとして、音叉型水晶振動子を用いた発振器が使用されている。このような発振器は、一般に32.768kHzの発振周波数で発振しており、例えば、間欠受信間隔が5秒の場合、163840(32.768kHz×5s)カウント毎に間欠受信を行う。しかしながら、その周波数安定度(周波数偏差)はおよそ±50〜100ppmであり、長期間の使用によって間欠受信間隔の時間ずれが徐々に増加し、いずれは同期信号との同期が取れなくなる虞がある。そこで本実施形態では、無線送受信部2で同期信号を受信したときに当該同期信号の受信タイミングとタイマでカウントする間欠受信間隔との時間ずれを検出する時間ずれ検出手段と、時間ずれ検出手段で検出される時間ずれを縮小するようにタイマのカウント動作を補正する補正手段とを各子局TR2〜TR4が備えている。但し、時間ずれ検出手段及び補正手段は何れも制御部1のマイコンに専用のプログラムを実行させることで実現される。
図8に示すように、同期信号がプリアンブルとユニークワード(UW)からなるフレーム構成である場合、時間ずれ検出手段たる制御部1では、同期信号のプリアンブルを受信した時点t0からユニークワードの受信完了時点t1までの時間(検出時間)を計測する。例えば、同期信号の時間幅をT(秒)とし、同期信号の中間値(=T/2)を時間ずれ検出の基準点とすれば、時間ずれΔTはΔT=検出時間−T/2として計算することができる(図8参照)。
あるいは、同期信号のフレーム構成が、図9に示すようにビット同期用のプリアンブル並びにフレーム同期用のユニークワードからなるヘッダHDと、先頭から順に番号(連送番号)が割り当てられたデータフィールドとの対からなる複数の同期フレームが連送されるフレーム構成とした場合、時間ずれ検出手段たる制御部1では、間欠受信において最初に受信したデータフィールドの連送番号i(i=1,2,…,n)に基づいて時間ずれを検出する。例えば、データフィールドに割り当てられた連送番号iがn/2の同期フレームを基準としたとき、最初に受信した同期フレームの連送番号iがi=2であったとすると、時間ずれΔTはΔT=T×(n/2−2)として計算することができる。
あるいは、上述した連送番号iの代わりに、図10に示すように同期信号の中間値を基準点とする時間ずれの値(0ppm,±1ppm,…,±10ppm)をデータフィールドに格納すれば、時間ずれ検出手段たる制御部1では、間欠受信において最初に受信したデータフィールドのデータ(0ppm,±1ppm,…,±10ppm)から時間ずれΔTを検出することができる。
次に、補正手段たる各子局TR2〜TR4の制御部1の補正処理について説明する。制御部1は、上述した何れかの方法で検出した時間ずれΔTを、ΔTの大きさに応じてタイマのカウント動作を微調整することで補正する。すなわち、間欠受信間隔Txをカウントするタイマのカウント値を正規の値よりも増減させることで、間欠受信間隔Txを変化させることができるので、制御部1がタイマのカウント値を増減させることにより時間ずれΔTを補正することができる。ここで、上述したように音叉型水晶発振子は通常、32.768kHzで発振しており、例えば、間欠受信間隔Txが5秒の場合、163840(=32.768kHz×5)のカウント毎に間欠受信を行うため、1カウント分だけ増減させたときの変化量はおよそ±6ppm(≒1÷163840)相当になり、これが補正可能な最小単位となる。したがって、検出された時間ずれΔTが前記最小値よりも小さい値であると補正ができないので、この場合、制御部1では、例えば、10分に1回の割合でカウント値の増減を実行することで時間ずれΔTを補正する。尚、同期信号の受信が可能な時間(同期信号の時間幅Tの半分よりも僅かに小さい値)を上限値として、累積された時間ずれが前記上限値を超える直前にカウント値の増減を行うようにしても構わない。
また、信号発生器(音叉型水晶発振器)は周囲温度と常温(25℃)との温度差が大きくなるにつれて周波数偏差が大きくなり(図11参照)、常温との温度差が大きい時間が長くなれば間欠受信間隔の時間ずれが徐々に増加し、何れは同期信号との同期が取れなくなる虞がある。
そこで本実施形態では、子局TR2〜TR4の制御部1が同期信号から検出した時間ずれを補正したときに温度検出部8で検出された周囲温度に対して、その後に温度検出部8で検出される周囲温度が所定値(例えば、数℃〜十数℃)以上変化したときに、当該制御部1が、親局TR1に対して同期信号の送信を要求するメッセージを含む無線信号を無線送受信部2から送信させるようにしている。そして、親局TR1の制御部1は、前記無線信号を受信して同期信号の送信要求メッセージを受け取ると、無線送受信部2から同期信号を送信させる。よって、子局TR2〜TR4の制御部1は、親局TR1から送信される同期信号に基づいて周囲温度の変動に起因した時間ずれを検出し且つ補正することができる。その結果、間欠受信間隔をカウントするタイマ手段の周波数温度特性による時間ずれΔTに起因した同期外れを防ぐことができる。
TR1,TR2 火災警報器(無線局)
1 制御部(送信制御手段,受信制御手段,タイマ手段,時間ずれ検出手段,補正手段)
2 無線送受信部(送信手段,受信手段)
7 電池電源部(給電手段)
8 温度検出部(温度検出手段)

Claims (1)

  1. 複数の無線局からなり、これら複数の無線局間で電波を媒体とする無線信号を送受信する無線通信システムであって、
    各無線局は、無線信号を送信する送信手段と、無線信号を受信する受信手段と、所定のイベントが発生したときに送信手段を起動し、所定の送信期間に前記イベントに対応したメッセージを含む無線信号を送信させるとともに所定の休止期間に無線信号の送信を休止させる動作を交互に繰り返し且つ前記イベントが発生していないときには送信手段を停止させる送信制御手段と、一定の間欠受信間隔を繰り返しカウントするタイマ手段と、タイマ手段による間欠受信間隔のカウント中は受信手段を停止させ、タイマ手段による間欠受信間隔のカウントが完了する度に受信手段を起動する受信制御手段と、電池を電源として各手段の動作電源を供給する給電手段とを備え、
    受信制御手段は、受信手段で同期信号を受信した場合にタイマ手段による間欠受信間隔のカウントを中止させるとともに、当該同期信号の終了時点から一定の待機時間が経過した時点でタイマ手段による間欠受信間隔のカウントを再開させ、
    送信制御手段は、前記イベントが発生した場合、タイマ手段による間欠受信間隔のカウントが完了する時点と重なる前記送信期間に送信手段から無線信号を送信させる無線通信システムにおいて、
    複数の無線局のうちの特定の無線局の送信制御手段は、タイマ手段による間欠受信間隔のカウントが一定回数完了する毎に送信手段から前記同期信号を送信させ、
    前記特定の無線局を除く他の無線局は、受信手段で同期信号を受信したときに当該同期信号の受信タイミングとタイマ手段がカウントする間欠受信間隔との時間ずれを検出する時間ずれ検出手段と、時間ずれ検出手段で検出される時間ずれを縮小するようにタイマ手段のカウント動作を補正する補正手段と、周囲温度を検出する温度検出手段とを備え、
    当該他の無線局の送信制御手段は、補正手段がタイマ手段のカウント動作を補正したときの周囲温度に対して温度検出手段で検出される周囲温度が所定値以上変化したときに同期信号の送信を要求するメッセージを含む無線信号を送信手段から前記特定の無線局に宛てて送信させ、
    当該特定の無線局の送信制御手段は、他の無線局から受け取った前記メッセージに基づいて送信手段から同期信号を送信することを特徴とする無線通信システム。
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