JP2010217236A - 光利得等化モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】反射光の集光に起因する異常発熱を解消する。
【解決手段】第1の光ファイバ保持器52′に固定された第1の光ファイバ51端部と、第1のレンズ56と、光利得等化フィルタ55と、第2のレンズ57と、第2の光ファイバ保持器59に固定された第2の光ファイバ60端部とが少なくとも筐体61内に収容されてなり、第1の光ファイバ51端部から出射し、第1のレンズ56を通って光利得等化フィルタ55に入射し、光利得等化フィルタ55を透過した透過光72が第2のレンズ57を通って第2の光ファイバ60端部に入射する光利得等化モジュールにおいて、第1の光ファイバ保持器52′を透明な部材で構成する。光利得等化フィルタ55で反射されて再び第1のレンズ56を通った反射光73は第1の光ファイバ保持器52′を透過する。
【選択図】図1
【解決手段】第1の光ファイバ保持器52′に固定された第1の光ファイバ51端部と、第1のレンズ56と、光利得等化フィルタ55と、第2のレンズ57と、第2の光ファイバ保持器59に固定された第2の光ファイバ60端部とが少なくとも筐体61内に収容されてなり、第1の光ファイバ51端部から出射し、第1のレンズ56を通って光利得等化フィルタ55に入射し、光利得等化フィルタ55を透過した透過光72が第2のレンズ57を通って第2の光ファイバ60端部に入射する光利得等化モジュールにおいて、第1の光ファイバ保持器52′を透明な部材で構成する。光利得等化フィルタ55で反射されて再び第1のレンズ56を通った反射光73は第1の光ファイバ保持器52′を透過する。
【選択図】図1
Description
この発明は光増幅手段の増幅利得を動作波長域に亘って平坦にする光利得等化モジュールに関する。
高速大容量の通信システムとして、一本の光ファイバに波長多重の光信号を伝送する波長多重伝送方式(以下、WDM方式と言う)が実用化されている。このような通信システムでは光信号が長距離伝送されるため、伝送途中で光信号を増幅する必要がある。そして、WDM方式に有効な光増幅手段として、波長多重の光信号を一括して増幅することができることから、希土類であるエルビウムを用いたエルビウムドープファイバアンプ(以下、EDFAと言う)が広く使用されている。
しかしながら、EDFAによる増幅利得は波長依存性が大きいため、EDFAを用いて増幅された光信号は波長によって増幅利得が異なってしまう。従って、EDFAと共に光利得等化モジュールを光信号伝送路に配設し、光利得等化モジュールによってEDFAの増幅利得を修正して結果的な利得を平坦化することが行われている。
図6はこのような光利得等化モジュールの従来例として、特許文献1に記載されている構成を示したものである。
中空棒状の筐体11の一端側は入射用光ファイバ挿通孔12が設けられた入射側ファイバスリーブ11aをなしており、その入射用光ファイバ挿通孔12に入射用光ファイバ13が挿通されて固定されている。また、筐体11の他端側は出射用光ファイバ挿通孔14が設けられた出射側ファイバスリーブ11bをなしており、その出射用光ファイバ挿通孔14に出射用光ファイバ15が挿通されて固定されている。
筐体11には、その筐体軸と筒軸とがほぼ一致されて入射用光ファイバ13側から出射用光ファイバ15側に向かって順に筒状の第1レンズ固定部11c、第1筒状部16、第2筒状部17及び第2レンズ固定部11dが設けられている。第1及び第2筒状部16,17は各筒軸を中心として回転可能にそれぞれ入射側及び出射側ファイバスリーブ11a,11bに支持されている。
筐体11内には第1コリメータレンズ18、第1エタロンフィルタ19、第2エタロンフィルタ20及び第2コリメータレンズ21が順に配設されている。第1及び第2コリメータレンズ18,21はそれぞれ固定台22,23を介して第1及び第2レンズ固定部11c,11d内に固定されている。第1及び第2エタロンフィルタ19,20はそれぞれ第1及び第2筒状部16,17内に、フィルタ面の法線と筒軸とが所定角度をなすように固定治具24,25を介して設置されている。
EDFA等の光増幅手段により増幅され、波長によって増幅利得が異なっている光信号の増幅利得を波長によらず一定とするためには、光信号にその増幅利得特性と逆の損失特性を重ね合わせればよく、図6に示した光利得等化モジュールでは2つのエタロンフィルタ19,20を用い、2つの正弦波形状の損失特性を光信号に重ね合わせることにより、増幅利得一定の光信号を得るものとなっている。損失特性の形状は光信号のエタロンフィルタへの入射角を調整することにより所望のものにすることができ、この例では第1及び第2筒状部16,17をそれぞれ回転させることにより、光信号の第1エタロンフィルタ19への入射角及び第2エタロンフィルタ20への入射角を調整することができるものとなっている。
しかるに、この図6に示した構成では筒体11の中間部分に回転可能な第1及び第2筒状部16,17を必要とするものであり、構造が極めて複雑にならざるをえない。なお、第1及び第2筒状部16,17を各筒軸を中心として回転可能にそれぞれ入射側及び出射側ファイバスリーブ11a,11bに支持すると特許文献1には記載されているが、具体的な支持構造は記載されておらず、また例えば入射用光ファイバ13や出射用光ファイバ15、第1及び第2コリメータレンズ18,21等を良好に調芯固定するための具体的な構造・方法についても記載されていない。
一方、図7は特許文献2に記載されている光の分波や合波に使用される光モジュールの構成を示したものであり、この例では各光部品の調芯固定を良好に行うことができ、かつ調芯後の接着固定における接着剤の硬化収縮に起因する調芯性能劣化も抑制することができるものとなっている。
2本の光ファイバ31,32はその被覆が除去された端部(端末)が光ファイバ保持器33に挿入保持されている。光ファイバ保持器33は円柱形状をなし、その中心部には2つの細孔33aが中心軸と平行に形成されており、光ファイバ31,32の端部はこれら細孔33aに挿入されて互いに平行に配置され、それらの光軸は光ファイバ保持器33の中心軸と平行とされている。細孔33aの光ファイバ31,32が挿入される側には誘い込み用のテーパ33bが設けられている。光ファイバ31,32は光ファイバ保持器33に接着剤を使用して固定されている。光ファイバ保持器33に保持された光ファイバ31,32の端面(先端面)は光ファイバ保持器33の端面33cと同一面に位置されている。
光ファイバ31,32を保持した光ファイバ保持器33は円筒体であるスリーブ34に挿入され、軸方向(Z方向)に位置合わせされて、互いに対接する面が接着固定されている。
ホルダ35は円柱状とされてその軸心には両端面35a,35bからそれぞれ凹部35c,35dが互いに連通して形成されており、一方の凹部35cに球体をなすレンズ36が収容固定され、他方の凹部35dに光フィルタ37が収容固定されている。これらレンズ36及び光フィルタ37はホルダ35に接着剤を使用して固定されている。
レンズ36及び光フィルタ37を保持したホルダ35はそのレンズ36が位置する側の端面35aがスリーブ34の端面34aと当接され、面内方向(X,Y方向)に位置合わせされて、互いの当接面が接着固定されている。
ホルダ35の他方の端面35bには円板状をなすホルダ38が接着固定されて配置され、このホルダ38には球体をなすレンズ39が取り付けられている。ホルダ38にはその中心に貫通孔38aが形成され、さらにホルダ35と当接する面38bと反対側の面38cにさら穴状の凹部38dが形成されており、この凹部38dにレンズ39が位置決めされて接着固定されている。
ホルダ38の面38cには円筒体のスリーブ40がその端面40aが突き当てられて接着固定され、このスリーブ40に光ファイバ保持器41が挿入されて接着固定されている。光ファイバ保持器41は光ファイバ保持器33と同様、円柱形状をなし、テーパ41bを備えた細孔41aを有するものとなっている。この細孔41aには光ファイバ42の被覆が除去された端部が挿入保持され、その光軸は光ファイバ保持器41の中心軸と平行とされている。光ファイバ42は光ファイバ保持器41に接着剤を使用して固定されている。
なお、ホルダ35とホルダ38及びホルダ38とスリーブ40とはそれぞれ当接する面内方向(X,Y方向)に位置合わせされて接着固定され、またスリーブ40と光ファイバ保持器41とは軸方向(Z方向)に位置合わせされて接着固定されている。
上記のように互いに接着一体化されてなる各部は円筒状をなす筐体43に収納されている。図7中、44は筐体43内に充填された充填材を示す。
上記のような構成を有する光モジュールでは、例えば光ファイバ31の端面から出射された入力光(波長多重光)はレンズ36で平行光とされて光フィルタ37に入射され、特定の波長の光は光フィルタ37を透過する。透過光はレンズ39で集光されて光ファイバ42の端面に入射される。一方、光フィルタ37に入射された光のうち、他の波長の光は光フィルタ37で反射され、反射光はレンズ36で集光されて光ファイバ32の端面に入射される。このようにして光の分波が行われるものとなっている。
この図7に示した光モジュールによれば、光ファイバ31,32を保持した光ファイバ保持器33と、レンズ36及び光フィルタ37が固定されたホルダ35との調芯固定において、スリーブ34を使用するものとなっており、光ファイバ保持器33をスリーブ34に挿入し、軸方向(Z方向)の位置決めをして接着固定し、その軸に対して垂直方向に位置調整可能な平面(端面35a)を有するホルダ35にスリーブ34の端面を突き当てて、面内方向(X,Y方向)の位置決めをし、それらホルダ35とスリーブ34の互いの当接面を接着固定することにより、光ファイバ保持器33とホルダ35との3軸方向の調芯及び固定が行われるものとなっている。
スリーブ34とホルダ35との間に存在する接着剤は接着固定時のスリーブ34・ホルダ35間の適切な圧接力によりその厚さを薄くすることができ、この場合の接着剤の収縮はほとんどZ方向に作用するため、接着剤の硬化収縮によるX,Y方向の位置ずれはほとんど発生せず、よって調芯後の接着固定に起因する結合効率の劣化はほとんど発生しないものとなっている。なお、スリーブ40とホルダ38の接着固定及びホルダ35とホルダ38の接着固定についても同様である。
図8は上述の図7に示したような構造を採用して、光利得等化モジュールの構成を考えた例を示したものである。
入射用の光ファイバ51はその被覆が除去された端部が光ファイバ保持器52に挿入保持される。光ファイバ保持器52は円柱形状をなし、その中心部には細孔52aが中心軸と平行に形成されており、光ファイバ51の端部は細孔52aに挿入され、光ファイバ保持器52の中心軸と平行とされる。細孔52aの光ファイバ51が挿入される側には誘い込み用のテーパ52bが設けられている。光ファイバ51は光ファイバ保持器52に接着剤を使用して固定される。光ファイバ保持器52に保持された光ファイバ51の端面は光ファイバ保持器52の端面52cと同一面に位置される。なお、図8では詳細図示を省略しているが、この光ファイバ51の端面を含む端面52cには反射減衰量を抑えるために一般に斜め研磨が施され、さらに反射損失を抑えるために研磨面に反射防止膜が一般に成膜形成される。
光ファイバ51を保持した光ファイバ保持器52は円筒体であるスリーブ53に挿入され、軸方向(Z方向)に位置合わせされて、互いに対接する面が接着固定される。
ホルダ54は円筒状をなすものとされ、その軸方向中間部の内周にはリング状をなす段部54aが突出形成されている。段部54aには光利得等化フィルタ55が対接固定され、またホルダ54の両端面54b,54cにはそれぞれレンズ56,57が対接固定される。レンズ56,57はこの例では図8に示したように、外周部にフランジ状の平板部を有するものとされる。レンズ56,57及び光利得等化フィルタ55はホルダ54に接着剤を使用して固定される。
ホルダ54に固定されたレンズ56の外側面にはスリーブ53の端面53aが当接され、面内方向(X,Y方向)に位置合わせされて、互いの当接面が接着固定される。
レンズ57の外側面には円筒体のスリーブ58がその端面58aが突き当てられて接着固定され、このスリーブ58に光ファイバ保持器59が挿入されて接着固定される。光ファイバ保持器59は光ファイバ保持器52と同様、円柱形状をなし、テーパ59bを備えた細孔59aを有するものとされる。この細孔59aには光ファイバ60の被覆が除去された端部が挿入保持され、その光軸は光ファイバ保持器59の中心軸と平行とされている。光ファイバ60は光ファイバ保持器59に接着剤を使用して固定される。
光ファイバ60の端面が位置する光ファイバ保持器59の端面59cは詳細図示を省略しているが、光ファイバ保持器52の端面52cと同様、一般に斜め研磨が施され、さらに反射防止膜が成膜形成される。
なお、レンズ57とスリーブ58とは当接する面内方向(X,Y方向)に位置合わせされて接着固定され、またスリーブ58と光ファイバ保持器59とは軸方向(Z方向)に位置合わせされて接着固定される。
上記のように互いに接着一体化されてなる各部は円筒状をなす筐体61に収納され、筐体61内には充填材62が充填されて光利得等化モジュールが完成する。
上記のような構成において、光ファイバ保持器52の端面52cとレンズ56の中心との距離はレンズ56の焦点距離と同じ長さに設定され、レンズ57の中心と光ファイバ保持器59の端面59cとの距離はレンズ57の焦点距離と同じ長さに設定される。また、光利得等化フィルタ55に入射する平行光の入射角が所定の入射角になるように、光ファイバ51の光軸はレンズ56の光軸に対して+Y方向にずらされ、さらに光ファイバ60の光軸はレンズ57の光軸に対して−Y方向にずらされている。これにより、光ファイバ51の端面から出射された入力光71はレンズ56で平行光とされて光利得等化フィルタ55に所定の入射角で入射し、光利得等化フィルタ55を透過した透過光72はレンズ57により集光されて光ファイバ60の端面に入射する。
図9は上記構成における光利得等化フィルタ55の損失特性の一例を示したものであり、光利得等化フィルタ55の損失特性はEDFAの増幅利得の波長依存性と相反する特性とされ、このような光利得等化フィルタ55を用いることにより、この図8に示した光利得等化モジュールではEDFAの増幅利得を修正して光利得の平坦化を図ることができるものとなっている。なお、損失特性は図9に示す通り、複雑な特性となっている。図9中、実線は目標損失を示し、2つの破線はそれぞれ上側許容値及び下側許容値を示す。損失特性はこの上側許容値と下側許容値内に入れる必要があり、光利得等化フィルタ55に入射する平行光の入射角を調整することにより、所望の損失特性を得ることができる。
ところで、図8に示したような構成を有する光利得等化モジュールでは光利得等化フィルタ55に入射した光のうち、光利得等化フィルタ55で反射された反射光73は図8中に破線で示したように再びレンズ56を通って光ファイバ保持器52の端面52cに集光する。
ここで、仮に光利得等化フィルタ55に強度分布ピークが1Wの光が入射したとすると、図10に示したように光利得等化フィルタ55の損失特性に対応し、反射光73は作動波長範囲で最大680mWもの光パワーが集光されることになる。また、例えば異常動作等により作動波長範囲以外の波長帯の光が入力されると、最悪1Wの光パワーが集光されることになる。
集光部Pのモードフィールド径は入射用の光ファイバ51がシングルモードファイバとすると約10μmなので、そこでの発熱は想像以上に高くなる。光ファイバ保持器52の構成材料には一般にステンレス等の金属やジルコニアなどが使用されており、筐体61の径がφ5mm程度の光利得等化モジュールについて、熱伝導率と反射率を元に熱シミュレーションすると、図11に示した表1の通りとなる。
表1によれば、ステンレスでは焼損するほど温度が上昇することはないが、相当高温になる。一方、ジルコニアの場合、高屈折率の材料でもあり、ステンレスに比べれば反射率は5%程度と小さくなり、その分、集光部Pは高温となり、焼損の可能性がでてくる。また、常時、スポット的に高温がかかっていると、例えば光ファイバ保持器52と光ファイバ51とを固定している接着剤が高温のため劣化し、接着部の剥離や焼損が生じる可能性がある。
この発明の目的はこのような問題に鑑み、スポット的な高温部が生じないようにし、これにより光ファイバ保持器や他の構成部材の焼損や劣化が生じないようにした光利得等化モジュールを提供することにある。
請求項1の発明によれば、第1の光ファイバ保持器に固定された第1の光ファイバ端部と、第1のレンズと、光利得等化フィルタと、第2のレンズと、第2の光ファイバ保持器に固定された第2の光ファイバ端部とが少なくとも筐体内に収容されてなり、第1の光ファイバ端部から出射し、第1のレンズを通って光利得等化フィルタに入射し、光利得等化フィルタを透過した透過光が第2のレンズを通って第2の光ファイバ端部に入射する光利得等化モジュールにおいて、第1の光ファイバ保持器は第1の光ファイバ端部から出射し、第1のレンズを通って光利得等化フィルタに入射し、光利得等化フィルタで反射されて再び第1のレンズを通った反射光が透過する、透明な部材で構成される。
請求項2の発明によれば、第1の光ファイバ保持器に固定された第1の光ファイバ端部と、第1のレンズと、光利得等化フィルタと、第2のレンズと、第2の光ファイバ保持器に固定された第2の光ファイバ端部とが少なくとも筐体内に収容されてなり、第1の光ファイバ端部から出射し、第1のレンズを通って光利得等化フィルタに入射し、光利得等化フィルタを透過した透過光が第2のレンズを通って第2の光ファイバ端部に入射する光利得等化モジュールにおいて、第1の光ファイバ保持器には第1の光ファイバ端部と共に第3の光ファイバ端部が固定され、第1の光ファイバ端部から出射し、第1のレンズを通って光利得等化フィルタに入射し、光利得等化フィルタで反射されて再び第1のレンズを通った反射光が第3の光ファイバ端部に入射する構成とされる。
請求項3の発明では請求項1の発明において、第1の光ファイバ保持器の第1のレンズと反対側に隣接する筐体内の空間に、不透明の熱伝導性ゲル材もしくは熱伝導性グリースが充填され、その熱伝導性ゲル材もしくは熱伝導性グリースが充填された空間に連なる筐体の開口が樹脂によって封止されているものとされる。
請求項4の発明では請求項2の発明において、第1の光ファイバ保持器の第1のレンズと反対側に隣接する筐体内の空間に、不透明の熱伝導性ゲル材もしくは熱伝導性グリースが充填され、その熱伝導性ゲル材もしくは熱伝導性グリースが充填された空間に連なる筐体の開口が樹脂によって封止され、第3の光ファイバ端部を構成する光ファイバは前記熱伝導性ゲル材もしくは熱伝導性グリースの中にもう一方の端面が位置される。
請求項5の発明では請求項2の発明において、第3の光ファイバ端部を構成する光ファイバは筐体の外部にもう一方の端面が位置される。
この発明によれば、光利得等化フィルタで反射された反射光が入射側の光ファイバを保持する光ファイバ保持器の端面に集光することに起因する光ファイバ保持器端面のスポット的な発熱・高温化を回避することができる。よって、光ファイバ保持器や他の構成部材の焼損や劣化を防止することができ、また高温化に伴う性能変動や性能劣化を防止することができる。
この発明の実施形態を図面を参照して実施例により説明する。
図1はこの発明による光利得等化モジュールの一実施例の構成を示したものであり、図8と対応する部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図1はこの発明による光利得等化モジュールの一実施例の構成を示したものであり、図8と対応する部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
この例では図8と同様、筐体61内に光学部品として第1の光ファイバ保持器52′に固定された第1の光ファイバ51端部と、第1のレンズ56と、光利得等化フィルタ55と、第2のレンズ57と、第2の光ファイバ保持器59に固定された第2の光ファイバ60端部とが収容されている。入射側の光ファイバ51を保持する光ファイバ保持器52′はこの例ではガラス等の透明な部材で構成されている。
光ファイバ51の端面から出射した入力光71はレンズ56で平行光とされて光利得等化フィルタ55に入射し、光利得等化フィルタ55を透過した透過光72はレンズ57で集光されて光ファイバ60の端面に入射する。
一方、光利得等化フィルタ55で反射された反射光73は再びレンズ56を通って光ファイバ保持器52′の端面に集光するが、この例では光ファイバ保持器52′はガラス等の透明な部材で構成されているため、反射光73は低損失で光ファイバ保持器52′を透過する。従って、集光部Pでスポット的に光が熱に変換されることはなく、集光部Pの発熱(高温化)を回避することができる。また、光ファイバ保持器52′を透過した光がその後にスリーブ53や筐体61等の透明でない部材を照射して熱に変換される時には光ビーム径が十分に拡大してエネルギ密度が低くなっているので、それにより光利得等化モジュールが高温になることはない。
なお、この例では筐体61の両端の開口は樹脂81によって封止されており、この樹脂81によって防塵、防水され、また光ファイバ51,60が保護されている。
図2は図1に示した構成に対し、光ファイバ保持器52′のレンズ56と反対側に隣接する筐体61内の空間に、高熱伝導性の充填材82を充填した例を示したものである。充填材82は不透明の熱伝導性ゲル材もしくは熱伝導性グリースとされる。
このような高熱伝導性の充填材82を充填すれば、光ファイバ保持器52′を透過した反射光73が充填材82を照射し、それにより発生した熱を効率良く、光利得等化モジュールの外部に伝導することができ、光利得等化モジュールの高温化をさらに抑制することができる。なお、筐体61の開口は充填材82より硬い樹脂81によって封止されているため、グリースやゲル状の柔軟性が高い充填材82が筐体61から流れ出すことはない。
次に、図3に示した実施例について説明する。
この例では光ファイバ保持器52″には入射用の光ファイバ51の端部と共に、反射光透過用の第3の光ファイバ83の端部が固定保持されている。光ファイバ保持器52″には2つの細孔52aが形成されており、光ファイバ51,83の端部はこれら細孔52aに挿入されて接着固定されている。
この例では光ファイバ保持器52″には入射用の光ファイバ51の端部と共に、反射光透過用の第3の光ファイバ83の端部が固定保持されている。光ファイバ保持器52″には2つの細孔52aが形成されており、光ファイバ51,83の端部はこれら細孔52aに挿入されて接着固定されている。
光ファイバ83の一方の端面は反射光73の集光部Pに位置されており、光利得等化フィルタ55で反射された反射光73はこの例では光ファイバ83の端面に入射するものとなっている。
光ファイバ保持器52″のレンズ56と反対側に隣接する筐体61内の空間には、図2と同様、高熱伝導性の充填材82、即ち不透明の熱伝導性ゲル材もしくは熱伝導性グリースが充填されており、筐体61の両端開口は樹脂81によって封止されている。
光ファイバ83は図3に示したように短尺とされ、光利得等化モジュールの外に導出されることなく、その前記一方の端面に対するもう一方の端面は充填材82の中に位置されて終端されている。
この図3に示した例では反射光73は光ファイバ83を伝播するため、集光部Pでスポット的に光が熱に変換されることはなく、集光部Pの発熱を回避することができる。また、光を放射する光ファイバ83の端面は高熱伝導性の充填材82の中に埋め込まれているため、光の照射により発生した熱を効率良く光利得等化モジュールの外部に伝導することができ、よってこの例においても光利得等化モジュールの高温化を抑制することができる。なお、光ファイバ保持器52″の構成材料はこの例ではガラス等の透明な部材でなくてもよい。
図4は図3における光ファイバ83を光利得等化モジュール内で終端させることなく、筐体61の外部に導出した例を示したものであり、これにより反射光73を光ファイバ83を介して光利得等化モジュールの外部に導くものとなっている。このような構成を採用すれば、反射光73に起因する光利得等化モジュール内での発熱を解消することができる。
反射光73は光ファイバ83により光利得等化モジュールの外部に放射するようにすればよいが、好ましくは光利得等化モジュールを使用する装置に影響しない発熱箇所として設けられる外部の構成部品において熱変換する構成を採用するのがよい。
図4Bはその一例を示したものであり、この例では反射光用の光ファイバ83の出射端(終端)を放熱用保持器84に接着剤等で固定保持したものとなっている。放熱用保持器84は光利得等化モジュールを使用する装置に取り付けられる。
図5は光利得等化モジュールの外部に導出された光ファイバ83の各種終端構造を示したものである。
図5Aは図4Bに示した構成に対し、光ファイバ83の出射端を放熱用保持器84の内部で光ファイバ83の屈折率に概略整合した接着剤85で接着固定したものである。このような構成を採用すれば、光ファイバ83の端面での反射を抑えることができ、反射光が再び光利得等化モジュール内に戻ることを防止することができる。
図5Bは光ファイバ83の被覆部を光利得等化モジュールを使用する装置の放熱板86に接着剤87で固定し、被覆を除去した心線の先端部を光ファイバ83の屈折率に概略整合した接着剤85で放熱板86に接着固定し、その接着剤85のまわりを反射光の透過しない接着剤88で固定したものである。終端用に特に部品を用いることなく、このような簡易な構成とすることもできる。
図5Cは光ファイバ83の先端部が光ファイバ保持器(キャピラリ)89に挿入固定されたもので、光ファイバ保持器89の端面には、反射減衰量の要求に応じ、反射防止膜が形成されたり、斜め研磨が施される。このように光ファイバ保持器89を取り付けて、光利得等化モジュールを組み込む装置の反射光73の放射を許容できる個所に取り付けるか、または、前述の図4B、図5Aに例示した放熱用保持器84や図5Bの終端の形態、或いは後述する図5E(1)、(2)の終端の形態において使用し、取り扱いの容易化を図ることができる。
図5Dは光ファイバ83の先端に光コネクタ90を取り付けたものである。この光コネクタ90は例えば光利得等化モジュールを使用する装置側に設けられた、別途の放熱用の終端に接続する放熱用コネクタに差し込まれる。このような構成を採用すれば、着脱が容易となる。
図5E(1)は光ファイバ83を円筒状のホルダ91の一端に挿入して接着剤等で固定し、ホルダ91の他端側は接着剤92で密閉したもので、これにより放熱用終端部が構成されている。ホルダ91は図5E(2)に示したように光利得等化モジュールを使用する装置に例えば押えバンド93により取り付けられ、放熱される。
以上、光ファイバ83の各種終端構造について説明したが、いずれの例においても光ファイバ83の出射端面は斜め研磨され、また必要に応じ反射防止膜を成膜するのが好ましい。これにより、光ファイバ83の端面からの反射を少なくすることができ、光利得等化モジュール内に反射光が戻ることを防止することができる。
なお、図2及び図3に示した例では筐体61内の光ファイバ保持器52′,52″側のみ、高熱伝導性の充填材82を充填しているが、出射側の光ファイバ60を保持する光ファイバ保持器59側にも光利得等化モジュールの温度上昇を抑えるべく、充填するようにしてもよい。
Claims (5)
- 第1の光ファイバ保持器に固定された第1の光ファイバ端部と、第1のレンズと、光利得等化フィルタと、第2のレンズと、第2の光ファイバ保持器に固定された第2の光ファイバ端部とが少なくとも筐体内に収容されてなり、第1の光ファイバ端部から出射し、第1のレンズを通って光利得等化フィルタに入射し、光利得等化フィルタを透過した透過光が第2のレンズを通って第2の光ファイバ端部に入射する光利得等化モジュールにおいて、
前記第1の光ファイバ保持器は、前記第1の光ファイバ端部から出射し、前記第1のレンズを通って前記光利得等化フィルタに入射し、前記光利得等化フィルタで反射されて再び前記第1のレンズを通った反射光が透過する、透明な部材で構成されていることを特徴とする光利得等化モジュール。 - 第1の光ファイバ保持器に固定された第1の光ファイバ端部と、第1のレンズと、光利得等化フィルタと、第2のレンズと、第2の光ファイバ保持器に固定された第2の光ファイバ端部とが少なくとも筐体内に収容されてなり、第1の光ファイバ端部から出射し、第1のレンズを通って光利得等化フィルタに入射し、光利得等化フィルタを透過した透過光が第2のレンズを通って第2の光ファイバ端部に入射する光利得等化モジュールにおいて、
前記第1の光ファイバ保持器には前記第1の光ファイバ端部と共に第3の光ファイバ端部が固定され、
前記第1の光ファイバ端部から出射し、前記第1のレンズを通って前記光利得等化フィルタに入射し、前記光利得等化フィルタで反射されて再び前記第1のレンズを通った反射光が前記第3の光ファイバ端部に入射する構成とされていることを特徴とする光利得等化モジュール。 - 請求項1記載の光利得等化モジュールにおいて、
前記第1の光ファイバ保持器の前記第1のレンズと反対側に隣接する前記筐体内の空間に、不透明の熱伝導性ゲル材もしくは熱伝導性グリースが充填され、
その熱伝導性ゲル材もしくは熱伝導性グリースが充填された空間に連なる前記筐体の開口が樹脂によって封止されていることを特徴とする光利得等化モジュール。 - 請求項2記載の光利得等化モジュールにおいて、
前記第1の光ファイバ保持器の前記第1のレンズと反対側に隣接する前記筐体内の空間に、不透明の熱伝導性ゲル材もしくは熱伝導性グリースが充填され、
その熱伝導性ゲル材もしくは熱伝導性グリースが充填された空間に連なる前記筐体の開口が樹脂によって封止され、
前記第3の光ファイバ端部を構成する光ファイバは前記熱伝導性ゲル材もしくは熱伝導性グリースの中にもう一方の端面が位置されていることを特徴とする光利得等化モジュール。 - 請求項2記載の光利得等化モジュールにおいて、
前記第3の光ファイバ端部を構成する光ファイバは前記筐体の外部にもう一方の端面が位置されていることを特徴とする光利得等化モジュール。
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2009
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