JP2010216124A - 熨斗瓦支持体及びこの熨斗瓦支持体を用いた瓦葺き家屋の棟構造 - Google Patents

熨斗瓦支持体及びこの熨斗瓦支持体を用いた瓦葺き家屋の棟構造 Download PDF

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Abstract

【課題】 熟練を要しない簡易な作業により熨斗瓦の効率的かつ精度よい積層が行われ、工期の短縮化、軽量化、強度の向上等を図る
【解決手段】 耐候性や耐久性を有する金属板素材にプレス加工を施して一体に形成し、取付板部13と、その両側縁部に沿って折曲形成された左右一対の熨斗瓦支持板部14L、14Rと、これら熨斗瓦支持板部14の先端部に形成された立壁部18と受け部19からなる補強リブ部15とから構成され、取付板部13を棟木6上に固定するとともに熨斗瓦支持板部14上に熨斗瓦3を並べて取り付ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は、瓦葺き家屋の棟構造において、棟木を挟んで多数枚の熨斗瓦を並べて固定するとともに多層に段組する熨斗瓦支持体及びこの熨斗瓦支持体を用いて棟構造に用いて熨斗瓦を所定層に積層してなる棟構造に関する。
瓦葺き家屋においては、一般に母屋上に組み合わせた垂木に野地板を敷き込み、この野地板上に所定の間隔を以って桟木を固定して構成した屋根面上に軒先側から順次桟瓦等を葺いてそれぞれ桟木に固定する。瓦葺き家屋においては、最上部の桟瓦が突き合わされる棟部位において、棟木に対して面斗瓦や複数段の熨斗瓦を漆喰やモルタル等により固めるとともに銅線やステンレス釘等により固定し、最上段の熨斗瓦間を覆って棟瓦を被せて固定することにより棟構造が施工される。
棟構造は、上述したように棟木を挟んだ両側の領域に漆喰等を介して多数の熨斗瓦を長さ方向に並べて多数段に積み上げて構成され、地震や強風に対する屋根の耐性を高め或いは棟部位からの雨漏り防止等の機能を奏するとともに家屋の見栄えや格調を高める重要な部位である。棟構造においては、多数枚の熨斗瓦を上下左右に歪み無く精密に積み上げなければならず熟練を積んだ職人によっても時間と手間がかかる施工となる。また、棟構造においては、漆喰等を用いる湿式工法であることから、漆喰が乾いて固まるまでの時間を必要として工期が長くなるといった問題があった。さらに、棟構造においては、段数が多くなるにしたがって大量の漆喰等を用いるために重量が大きくなる。
棟構造においては、上述した湿式工法の問題を可決する種々の工法が提案されている。特許文献1には、棟木に所要の間隔を以って立設したネジ棒からなる支持体と、この支持体にねじ止めされる格段の支持部材と、熨斗瓦を並べて固定する受支板とから構成され、桟瓦の突き合わせ部位に跨って盛り上げた台面を構成する漆喰上に組み上げて構成する棟構造が記載されている。また、特許文献2には、棟瓦を野地板に固定するための棟垂木と棟補強金具の機能を一体化することにより施工性の向上や軽量化等を図る棟瓦支持材が記載されている。
特許第2612548号公報 特開2003−278322号公報
特許文献1には、各層の熨斗瓦を受支板上に並べて積層することにより作業を簡略化して棟積み施工の能率化を図り、熟練を要せずとも熨斗瓦を歪みなくかつ位置ずれなく積層して、安定性よく支持することが可能であると記載されている。ところで、かかる特許文献1においては、各層の受支板が幅方向の中央部位をブロック状の支持部材に固定され、下方に向かって傾斜された両側部位上に熨斗瓦を並べて固定する構造である。
特許文献1においては、各熨斗瓦の下端側が浮いた構造となり、屋根面に沿って吹き上がってくる強風により熨斗瓦が煽られることにより種々の問題が発生する虞がある。特許文献1においては、棟木からの支持体の脱落、受支板の変形等により棟の変形や破損等が発生し、また吹き込んだ雨水により台面の漆喰が流出する等の虞がある。特許文献1においては、湿式工法との比較において作業の大幅な簡略化が図られるが、棟木に対して支持体を位置決めしながら打ち込むとともに、各支持体を取付孔に貫通させて支持部材と受支板を組み付ける手間のかかる作業が必要となる。
一方、特許文献2においては、構成部材の削減と単純構造化による効率化や工期の短縮化、或いは棟勾配の相違に対する互換性、コスト低減等が図られるとの記載がある。しかしながら、かかる特許文献2は、棟部位において棟瓦のみを設置する1層構造の棟構造に適用されるものであり、熨斗瓦を多数段に積層してある程度の高さに構成する棟構造に適用されるものでは無い。
したがって、本発明は、熨斗瓦を多数段に積層してなる瓦葺き家屋の棟構造において、熟練を要しない簡易な作業により熨斗瓦の効率的かつ精度よい積層が行われ、工期の短縮化、軽量化、強度の向上等を図ることを可能とする熨斗瓦支持体を提供することを目的とする。
また、本発明は、熨斗瓦を多数段に積層してなる瓦葺き家屋の棟構造であり、熟練を要せず簡易な作業により熨斗瓦を効率的かつ精度よく積層して工期の短縮化、軽量化或いは強度の向上等を図ることを目的とする。
上述した目的を達成する本発明にかかる熨斗瓦支持体は、耐候性や耐久性を有する金属板素材にプレス加工を施して、取付板部と、左右一対の熨斗瓦支持板部と、左右一対の補強リブ部とが一体に形成された略チャンネル状の部材からなる。熨斗瓦支持体は、取付板部が、矩形板状部位からなり、長さ方向に並んで複数個の固定孔が所定の間隔を以って穿孔されてなる。熨斗瓦支持体は、左右同形の熨斗瓦支持板部が、取付板部の長さ方向の両側縁部に沿って傾斜した状態で一体に連設された矩形板状部位からなり、取付板部との連設部の近傍に位置して長さ方向に並んで複数個の熨斗瓦取付孔が所定の間隔を以って穿孔されてなる。熨斗瓦支持体は、左右同形の補強リブ部が、熨斗瓦支持板部の取付板部と対向する長さ方向の両側縁部に沿ってそれぞれ連続して折曲加工を施すことにより、少なくとも断面が略L字状を呈して連設された立壁部と受け部からなる。
本発明にかかる熨斗瓦支持体は、それぞれが棟木に対して取付板部を被せて左右の補強リブ部の受け部をそれぞれ最上段に葺いた左右の桟瓦上に載せ、熨斗瓦支持板部によって桟瓦の上方部位をそれぞれ被覆した状態で、棟木の長さ方向に沿って順次設置される。熨斗瓦支持体は、取付板部が棟木に対して、固定孔から打ち込んだ釘やボルト或いは固定孔に嵌挿した銅線等の固定手段によって固定される。熨斗瓦支持体には、左右の熨斗瓦支持板部上に、熨斗瓦が長さ方向に並んで順次載置されるとともに、各熨斗瓦を熨斗瓦取付孔から打ち込んだ釘やボルト或いは熨斗瓦取付孔に嵌挿した銅線等の取付手段により取り付ける。
熨斗瓦支持体においては、熨斗瓦支持板部の両側縁部に沿って断面略L字状に折曲した補強リブ部を一体に形成した機械的強度の大きな構造であることから、熨斗瓦を強固に取り付けるとともに軽量化が図られるようにする。熨斗瓦支持体においては、漆喰等を用いて熨斗瓦を積層固定する従来の一般的な湿式工法との比較において、熟練を要しない簡易な作業によって左右の熨斗瓦を順序よく積層して仕上がり精度の高い棟構造の施工を可能とし、漆喰の乾燥工程を不要として工期の短縮化を図り、軽量化を図った棟構造の施工を可能とする。熨斗瓦支持体においては、熨斗瓦を適宜の段数に積層した棟構造の簡易な作業により施工可能とする。
また、上述した目的を達成する本発明にかかる瓦葺き家屋の棟構造は、棟木を挟んで最上段に葺いた左右の桟瓦間にそれぞれ所定枚数の熨斗瓦を積層するとともに、互いに向き合う最上層に積層した左右の熨斗瓦間に跨って棟瓦を積層してなる。棟構造には、耐候性や耐久性を有する金属板素材にプレス加工を施して一体に形成された熨斗瓦の積層段数と同数の熨斗瓦積層支持体が用いられる。棟構造は、熨斗瓦積層支持体が、矩形板状部位からなり長さ方向に並んで複数個の固定孔が所定の間隔を以って穿孔された取付板部と、この取付板部の長さ方向の両側縁部に沿ってそれぞれ屋根の傾斜角度とほぼ等しい傾斜角度を付されて一体に連設された傾斜した矩形板状部位からなり連設部の近傍に位置して長さ方向に並んで複数個の熨斗瓦取付孔が所定の間隔を以って穿孔された左右一対の熨斗瓦支持板部と、これら熨斗瓦支持板部の取付板部と対向する長さ方向の両側縁部に沿ってそれぞれ連続して折曲加工を施すことにより少なくとも立壁部と受け部を連設した断面が略L字状部位からなる左右一対の補強リブ部とから構成される。
瓦葺き家屋の棟構造は、第1層において、多数個の第1層熨斗瓦積層支持体が、それぞれ棟木に対して取付板部を被せ、受け部を最上段に葺いた左右の桟瓦に対してその上面にそれぞれ突き当てて組み合わせることにより、熨斗瓦支持板部が桟瓦の上方部位をそれぞれ被覆した状態にして長さ方向に並べて設置され、それぞれが固定孔を介して固定手段により棟木上に固定される。棟構造は、第1層熨斗瓦積層支持体に対して、左右の熨斗瓦支持板部上にそれぞれ熨斗瓦を長さ方向に並べて載置するとともに、これら熨斗瓦を熨斗瓦取付孔を介して取付手段によりそれぞれ取り付けて第1層構造体を施工する。
瓦葺き家屋の棟構造は、上述した第1層構造体に対して、第1層熨斗瓦積層支持体の取付板部を挟んで棟木上に第1層支持材を固定する。棟構造は、第2層において、第2層熨斗瓦積層支持体が、取付板部を第1層支持材上に被せ、受け部を第1層熨斗瓦の上面にそれぞれ突き当てて組み合わせることにより、熨斗瓦支持板部が第1層熨斗瓦をそれぞれ被覆した状態にして固定孔を介して固定手段により第1層支持材上に固定される。棟構造は、第2層熨斗瓦積層支持体に対して、左右の熨斗瓦支持板部上にそれぞれ熨斗瓦を長さ方向に並べて載置するとともに、これら熨斗瓦を熨斗瓦取付孔を介して取付手段によりそれぞれ取り付けて第2層構造体を施工する。
瓦葺き家屋の棟構造は、上述した第2層構造体上に、それぞれ支持材と熨斗瓦積層支持体と熨斗瓦とを組み合わせた同等構造の上層構造体を所定層数に積層して施工する。棟構造は、最上層の構造体上に、互いに向き合う最上層の熨斗瓦間に跨って棟瓦を積層し、この棟瓦を最上層の支持材に固定して完成される。
本発明にかかる瓦葺き家屋の棟構造においては、熨斗瓦支持板部の両側縁部に沿って断面略L字状に折曲した補強リブ部を一体に形成した機械的強度の大きな構造の熨斗瓦支持体を用いることにより、熨斗瓦を強固に固定するとともに軽量化が図られる。棟構造においては、漆喰等を用いて熨斗瓦を積層固定する従来の一般的な湿式工法との比較において、熟練を要しない簡易な作業による施工を可能とし、漆喰の乾燥工程を不要として工期の短縮化を図り、軽量化を図った棟構造の施工を可能とする。
本発明にかかる熨斗瓦支持体は、取付板部と、その両側縁部に沿って折曲形成された左右一対の熨斗瓦支持板部と、これら熨斗瓦支持板部の先端部に形成された立壁部と受け部からなる補強リブ部とから構成され、取付板部を棟木に固定するとともに熨斗瓦支持板部上に熨斗瓦を並べて取り付ける。熨斗瓦支持体においては、熟練を要しない簡易な作業により、熨斗瓦を適宜の段数に積層しかつ左右の熨斗瓦を順序よく積層して仕上がり精度の向上を図った強固かつ軽量化を図った棟構造の施工を可能とする。
また、本発明にかかる瓦葺き家屋の棟構造においては、取付板部と、その両側縁部に沿って折曲形成された左右一対の熨斗瓦支持板部と、これら熨斗瓦支持板部の先端部に形成された立壁部と受け部からなる補強リブ部とから構成され、取付板部を棟木に固定するとともに熨斗瓦支持板部上に熨斗瓦を並べて取り付ける熨斗瓦支持体を用いて、熨斗瓦を所定の段数に積層して構成する。棟構造においては、熟練を要しない簡易な作業により、熨斗瓦を適宜の段数に積層しかつ左右の熨斗瓦を順序よく積層して仕上がり精度の向上が図られ、強固かつ軽量化が図られる。
本発明の実施の形態として示す瓦葺き家屋の棟構造の要部断面図である。 同棟構造の要部斜視図である。 本発明の実施の形態として示す熨斗瓦支持体であり、同図(A)は一部切欠き斜視図、同図(B)は断面図である。 瓦葺き家屋の棟構造の施工工程の説明図であり、棟木への面斗構造体の取付工程を示す。 同棟構造の施工工程の説明図であり、第1層熨斗瓦支持体の取付工程を示す。 同第1層施工工程の説明図であり、第1層熨斗瓦の取付工程を示す。 同棟構造の施工工程の説明図であり、棟瓦の取付工程を示す。 本発明の他の実施の形態として示す瓦葺き家屋の棟構造の要部断面図である。 本発明の他の実施の形態として示す熨斗瓦支持体の説明図である。 本発明の他の実施の形態として示す補強付き熨斗瓦支持体であり、同図(A)は一部切欠き斜視図、同図(B)は断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。実施の形態として示す瓦葺き家屋の棟構造1は、詳細を後述する熨斗瓦積層支持体(以下、支持体と略称する。)2を用いて、例えば切妻屋根や寄棟屋根或いは入母屋屋根等の水平な主棟(大棟)に適用される。棟構造1は、棟を挟んだ左右領域L、Rに支持体2を介してそれぞれ多数枚の熨斗瓦3L、3R(以下、個別に説明する場合を除いて熨斗瓦3と総称する。)を棟方向に並べて取り付けてなる層構造体4を構成し、この層構造体4を3段に積層する。棟構造1は、最上段の第3層構造体4C上に、熨斗瓦3L、3Rに跨って棟瓦(冠瓦)5を重ねて固定する。
なお、棟構造1は、主棟の適用例に限定されず、例えば寄棟屋根や入母屋屋根等の隅棟等にも適用されることは勿論であり、また層構造体4を1段以上の適宜の段数に積層した構造であってもよい。棟構造1は、棟部位を挟んだ両側領域に同等の部材が組み合わされることから、以下の説明において特に個別に説明する必要がある場合に上述した「熨斗瓦3L、3R」の表現のように左側領域の部材に符号Lを右側領域の部材に符号Rを付記するものとする。
瓦葺き家屋は、周知のように小屋の頂点部に水平方向に設置した棟木6と、この棟木6と平行でかつ勾配を付して設置した母屋により横木組を構成し、この横木組に対して勾配に沿って垂木を架け渡し設置し、これら垂木上に野地板7を敷き込んで図1及び図2に示す屋根面を構成する。瓦葺き家屋は、野地板7上に防水紙を敷き込むとともに、所定の間隔を以って棟木6と平行に多数本の桟木8を設置し、これら桟木8を介して屋根面上の所定箇所に適応した各種の瓦を固定する。瓦葺き家屋は、最下位置となる軒先部位には軒瓦を固定するとともに、両側の袖部位には裾垂れを揺する袖瓦30を固定した状態で、平部位に桟瓦9が葺かれる。
桟瓦9は、詳細を省略するが、図2に示すように断面が略波形に形成され、それぞれ頭側を下方の桟瓦や軒瓦の尻上に重ね合わせるとともに、凸部である桟を隣り合う桟瓦や袖瓦の側方部の差し込み上に重ね合わせ、尻側に設けた固定用孔を介して打ち込む例えばステンレスネジ、ステンレス釘或いは引き出した銅線等の固定用部材により桟木8に固定される。なお、軒瓦や袖瓦も、同様の固定用部材により桟木8に固定される。
瓦葺き家屋は、図1及び図2に示すように、主棟において、最上部に葺かれた左右の桟瓦9UL、9UR及び外側の袖瓦30UL、30URが棟木6を挟んで互いの尻を対向させて桟木8に固定される。瓦葺き家屋においては、後述する層構造体4が左右の桟瓦9UL、9URや袖瓦30UL、30URを跨いで積層されるとともに最上段に棟瓦5が設置されて棟部位を閉塞する棟構造1を施工する。棟構造1は、第1層構造体4Aと棟木6との間に詳細を後述する一対の面斗体10L、10R(以下、個別に説明する場合を除いて面斗体10と総称する。)を有する面斗構造体11を設置し、面斗体10により熨斗瓦3と桟瓦9UL、9URの谷部位を閉塞する。なお、以下の説明において、桟瓦9と袖瓦30を同一とみなし、桟瓦9と構成部材との構成について説明する。
上述した構成の瓦葺き家屋は、層構造体4や面斗構造体11を有する棟構造1を除いて基本的な構成を従来の瓦葺き家屋と同様とする。瓦葺き家屋は、伝統的な和瓦を用いた仕様の家屋について説明するが、洋瓦等を用いて棟構造を施工する仕様の家屋にも適用されることは勿論である。棟構造1には、層構造体4に用いる熨斗瓦3が従来と同等の熨斗瓦が用いられる。棟構造1は、以下に説明する熨斗瓦3に限定されず、屋根構造に応じて従来用いられている様々な熨斗瓦を用いることが可能である。
棟構造1は、上述したように支持体2を用いて多数枚の熨斗瓦3を、棟木6を挟みかつ長さ方向に並べて固定した1層分の層構造体4を構成するとともに、この層構造体4を多層に積層してなる。棟構造1は、詳細には台面となる第1層構造体4Aの施工が、面斗構造体11を設置した棟木6上において行われる。棟構造1は、後述するように第1層構造体4Aが、棟木6を挟んで屋根面に葺かれた桟瓦9UL、9URを跨ぐ面斗構造体11上に固定した第1層支持材12Aを介して棟木6に固定される。棟構造1は、第2層構造体4Bと第3層構造体4Cが、それぞれ下層側の第2層支持材12Bと第3層支持材12Cを介して棟木6に固定される。棟構造1は、第3層構造体4C上に棟瓦5が固定される。なお、第1層支持材12A〜第3層構造体4Cは、ほぼ同一の部材であるから、個別に説明する場合を除いて支持材12と総称する。
支持体2は、耐候性や耐久性或いは加工性等を有する金属板素材、例えば屋根材や外装材として提供されている所定の厚みを有する溶融アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板(ガリバニウム鋼板:登録商標)を素材とし、このガリバニウム鋼板に簡易なプレス加工を施して一体に形成される。支持体2は、ガリバニウム鋼板以外の素材として、例えば銅板やステンレス鋼板等の金属薄板を用いることも可能ではある。支持体2は、銅板が比較的高価であり、ステンレス鋼板も高価であるとともに重量も大きくかつ現場での切断等の加工も困難であることから、建築現場で汎用されているガリバニウム鋼板を素材とすることが好ましい。支持体2は、後述する構造により素材として薄厚のガリバニウム鋼板を用いて形成しても大きな機械的強度を有しており、軽量化を図って強固な棟構造1を構築することが可能である。
支持体2は、図3に示すように、取付板部13と、この取付板部13の長さ方向の両側縁部に沿って連設された左右一対の熨斗瓦支持板部14L、14R(以下、個別に説明する場合を除いて支持板部14と総称する。)と、これら支持板部14の先端部に沿って連設された左右一対の補強リブ部15L、15R(以下、個別に説明する場合を除いて補強リブ部15と総称する。)とから構成された断面が下向き略コ字状を呈する長尺のチャンネル状部材からなる。支持体2は、取付板部13の両側に、支持板部14と補強リブ部15が左右対称形状を以って形成され、後述する棟構造1の施工に際して左右の向きを合わせる等の作業を不要とする。
支持体2は、例えば支持板部14上にそれぞれ6〜7枚の熨斗瓦3を長さ方向に並べて取り付けるに足る長さを有している。支持体2は、後述するように主棟の長さに応じて多数個が棟木6や支持材12上に長さ方向に並べて固定され、現場対応により両側に設置されたものが適宜の長さに切断されて調整される。
支持体2は、取付板部13が、棟木6と略同幅若しくはやや大きな幅を有する矩形板状部位からなり長さ方向に並んで複数個の固定孔16が所定の間隔を以って穿孔される。支持体2は、支持板部14が、取付板部13の長さ方向の両側縁部に沿って、屋根面の勾配とほぼ等しい角度に折曲されて連設された先端下がりの矩形板状の部位からなる。支持体2は、取付板部13と左右の支持板部14L、14Rとの全体の幅が、棟木6を挟んで最上段の桟瓦9UL、9URが対向する棟部の間隔よりも大きく形成される。支持体2は、後述するように棟木6に取り付けた状態で、支持板部14L、14Rが桟瓦9UL、9URの上方部位に被さるに足る幅に形成される。
支持板部14は、熨斗瓦3の幅と略同幅であり、取付板部13からの連設部の近傍に位置して長さ方向に並んで熨斗瓦3の取付用孔3Bと相対して複数個の熨斗瓦取付孔17が穿孔されている。支持板部14は、隣り合う熨斗瓦取付孔17を、例えば熨斗瓦3の長さ寸法の略1/2の間隔を以って穿孔する。なお、支持体2は、図3において取付板部13の固定孔16が支持板部14の熨斗瓦取付孔17に相対して形成されるように図示されるが、かかる構成に限定されないことは勿論である。
支持体2は、補強リブ部15が、支持板部14の取付板部13と対向する長さ方向の両側縁部に沿ってそれぞれ全長に亘って連続して折曲加工を施すことにより、図3に示すように断面が略コ字状を呈して連設される立壁部18と、受け部19と、補強壁部20とから構成される。補強リブ部15は、立壁部18が、支持板部14の側縁部から略直交して折曲形成され、熨斗瓦3の先端部に折曲形成される剣垂れ3Aの高さと略同一の高さを有している。
補強リブ部15は、受け部19が、立壁部18の下端部に沿って内方へと略直交して折曲形成される。受け部19は、棟構造1において、後述するように第1層構造体4Aの支持体2では棟木6に沿って葺かれた最上段の桟瓦9UL、9URの桟部上に跨って突き当てられ、第2層構造体4Bや第3層構造体4Cの支持体2では下層側の熨斗瓦3上に跨って突き当てられる。受け部19は、所定の幅を有して形成されることにより、下層側の桟瓦9UL、9URや下層側の熨斗瓦3に対して安定した姿勢での突き当てが行われて歪み等の発生を低減し、また部位に応力が集中してこれら部材の突き当て部位に破損が生じないようにする。
補強リブ部15は、補強壁部20が、受け部19の先端部に沿って上方へと略直交して折曲形成される。補強壁部20は、受け部19の機械的強度を大きくして変形等の発生を低減する。なお、補強リブ部15は、立壁部18と受け部19と補強壁部20とが連設された全体が断面略コ字状の部位として形成したが、かかる形状に限定されないことは勿論である。補強リブ部15は、加工効率がやや低下するが、例えば所定の外径を有するカール状に形成してもよく、また受け部19にさほど大きな荷重が付加されない場合には立壁部18と受け部19からなる断面略L字状に形成してもよく、さらに受け部19に長さ方向のリブを形成することにより機械的強度を大きくするようにしてもよい。
支持体2は、後述するように支持板部14を相対する桟瓦9UL、9URの上方部位に対向させ、取付板部13を棟木6或いは支持材12上に設置する。支持体2は、固定孔16から例えばステンレス釘21を打ち込むことにより、取付板部13を棟木6或いは支持材12上に固定する。支持体2には、支持板部14L、14R上にそれぞれ所定枚数の熨斗瓦3L、3Rが長さ方向に並べられて取り付けられる。支持体2は、図1及び図2に示すように各層において、熨斗瓦3を相対する上下段で積層位置を長さ方向に1/2ずらして積層する、いわゆる長手積みの形態で積層する。
熨斗瓦3は、周知のように横長矩形の平板形状を基本形態に形成され、積層段に応じて適宜の幅に破断されて積層される。熨斗瓦3には、詳細を省略するが下方側の側縁部に沿って積層高さの規定や強度向上等を図る剣垂れ3Aが形成されるとともに、長さ方向の一端側近傍に位置して取付用孔3Bが形成される。熨斗瓦3は、所定の幅に破断した上方側の側縁部を、図1に示すように支持材12と対向させて支持体2の支持板部14上に並べられ、取付用孔3Bを介して相対する熨斗瓦取付孔17にステンレス釘21を打ち込んで支持板部14上に固定される。
熨斗瓦3は、図1に示すように支持体2に対して、下方側の剣垂れ3Aが補強リブ部15の立壁部18に延在するようにして所定幅に破断される。熨斗瓦3は、上述したように剣垂れ3Aと立壁部18が略同一の高さに形成されることにより、この剣垂れ3Aの下端縁が補強リブ部15の受け部19とともに下層側の桟瓦9UL、9URや下層側の熨斗瓦3の上面に突き当てられる。熨斗瓦3は、上述したように支持体2を介して互いに位置決めされて、棟木6を挟んだ両側に位置して整列された状態で設置される。
層構造体4は、上述した支持体2に対して、左右の支持板部14L、14R上にそれぞれ所定枚数の熨斗瓦3L、3Rが長さ方向の側縁部を対向させて取り付けることにより、構成する。層構造体4は、支持体2が、取付板部13を棟木6或いは支持材12上に固定した状態で、支持板部14が桟瓦9の上方部位を覆い或いは下層の熨斗瓦3を覆って延在する。層構造体4は、支持体2の支持板部14に対して熨斗瓦3が、熨斗瓦取付孔17に取付用孔3Bを位置合わせし、補強リブ部15の立壁部18に沿って剣垂れ3Aを当てがって載置される。層構造体4は、支持体2に対して熨斗瓦3が、取付用孔3Bにステンレス釘21を打ち込んで支持板部14上に位置決めされて取り付けられる。層構造体4は、以下同様の手順により支持体2に対して熨斗瓦3を取り付けて施工する。
面斗構造体11は、図1及び図4に示すように、取付板22と、この取付板22の両側に固定された面斗体10L、10Rとから構成される。面斗構造体11は、取付板22が、支持体2と同様に素材としてガリバニウム鋼板が用いられ、プレス加工を施して桟瓦9UL、9URの対向間隔よりもやや大きい長さを有する板状部材に形成されてなる。取付板22は、固定用孔22Aを形成した中央部位を頂点として両側部位が次第に下がりとなるように長さ方向に対してやや大きな曲率でわん曲されて形成される。
面斗構造体11は、面斗体10も、素材としてガリバニウム鋼板が用いられ、プレス加工を施して熨斗瓦3の長さとほぼ等しい略横長矩形の板状部材に形成される。面斗体10は、一端側を取付板22の先端部と一体化されるとともに、他端側の側縁に沿ってそれぞれ面斗部23L、23R(以下、個別に説明する場合を除いて面斗部23と総称する。)が一体に折曲形成される。面斗体10は、面斗部23が、図4に示すように桟瓦9の円弧形状に倣った円弧状の立壁部として形成され、さらに立壁部の頂点部が桟瓦9の谷とほぼ等しい高さに形成される。
面斗構造体11は、棟木6に対してその上面に取付板22を被せるようにして設置されて固定用孔22Aにステンレス釘21が打ち込まれることにより、棟木6に固定される。面斗構造体11は、棟木6に固定した状態でわん曲された取付板22が弾性変形し、面斗体10を桟瓦9上に押し当てる。面斗構造体11は、隣り合う面斗体10が、図5に示すように隣り合う桟瓦9の桟間に跨り、桟上において相対する長さ方向の端部を突き合わされる。面斗構造体11は、面斗体10の面斗部23が桟瓦9の谷部位を塞ぎ、棟構造1の棟空間部24内への風雨の侵入を阻止する。
なお、棟構造1においては、上述したようにガリバニウム鋼板を素材として取付板22と面斗体10とから構成した面斗構造体11を棟木6に固定して各桟瓦9の谷部位を閉塞するようにしたが、かかる面斗構造体11を用いる構造に限定されるものでは無い。面斗構造体11は、棟木6を挟んで対向する左右の桟瓦9UL、9UR或いは袖瓦30UL、30URの1組毎に組み合わせるようにしたがかかる構造に限定されない。面斗構造体11は、取付板22に対して面斗部23を有する複数の面斗体10を連設して構成し、或いは面斗体10に複数の面斗部23を一体に形成して構成し、複数組の桟瓦9や袖瓦30に組み合わせるようにしてもよい。
また、棟構造1においては、従来と同様に漆喰を用いて面瓦を棟部位に塗り込めて固定する面斗構造を採用してもよい。棟構造1は、漆喰の使用箇所が最下層の1箇所でありかつ層構造体4の積層工程にさほど影響を及ぼすことはなく、また重量がさほど大きくなることも無い。
棟構造1においては、図1及び図2に示すように第3層構造体4Cの棟木6を挟んで相対する熨斗瓦3UL、3UR上に跨って所定枚数の棟瓦5が長さ方向に並べられて位置決め設置されることにより、これら熨斗瓦3UL、3UR間に構成される長さ方向の棟空間部24が全長に亘って閉塞される。棟瓦5は、周知のように両側端部がそれぞれ相対する熨斗瓦3UL、3UR上に跨る間隔を有する半円、半角筒状の瓦であり、一端側に小径の嵌合筒部25を同心にして一体に突出形成するとともに他端側の内部にこの嵌合筒部25が嵌合される嵌合凹部を形成してなる。棟瓦5には、嵌合筒部25の頂点部に固定用孔5Aが穿孔されるとともに嵌合凹部の頂点部にも固定用孔が穿孔される。
棟瓦5は、図1及び図2に示すように第3層構造体4Cの熨斗瓦3UL、3URに跨って設置され、その嵌合凹部に対して隣り合って設置される棟瓦5の嵌合筒部25がはめ込まれて設置される。棟瓦5は、嵌合された嵌合凹部と嵌合筒部25の固定用孔が連通するように位置合わせされる。棟瓦5は、固定用孔を位置合わせした状態で詳細を省略するパッキン付きステンレス釘26が第4層支持材12Dまで打ち込まれることにより、第3層構造体4C上に固定される。棟瓦5は、各層の構造体4を積層した状態で固定する。
支持材12は、それぞれが所定の厚みを有する木製のブロック体からなり、対応する下層側の部材に対して長さ方向に沿って所定の間隔を以って載置されて固定される。なお、支持材12は、ブロック体に限定されず、所定の長さを有する角材で構成してもよい。支持材12は、第1層支持材12Aが面斗構造体11を固定した棟木6上に固定され、第2層支持材12Bが第1層構造体4Aを固定した第1層支持材12A上に固定され、第3層支持材12Cが第2層構造体4Bを固定した第2層支持材12B上に固定され、第4層支持材12Dが第3層構造体4Cを固定した第3層支持材12C上に固定される。
以下、図4乃至図7を参照して棟構造1の施工手順について説明する。棟構造1の施工は、棟木6を挟んで左右の桟瓦9UL、9UR及び外側の袖瓦30UL、30URが対向された棟に対して、面斗構造体11を設置する。面斗構造体11は、取付板22を棟木6上に跨がせるとともに面斗体10の面斗部10Aを相対する桟瓦9(袖瓦30を含む)の谷に突き合わせて設置される。面斗構造体11は、固定用孔22Aから棟木6にステンレス釘21を打ち込んで、取付板22を棟木6上に固定する。面斗構造体11は、面斗体10の面斗部10Aにより桟瓦9の谷部位を塞いで風雨を遮断する。
棟構造1の施工は、図5に示すように面斗構造体11を固定した棟木6上に、複数個の第1層支持材12Aを長さ方向に所定の間隔を以って固定する。棟構造1の施工は、第1層支持材12Aを取付部材として第1層支持体2を固定する工程と、この支持体2に対して多数枚の第1層熨斗瓦3を取り付ける工程とを施して第1層構造体4Aを施工する。第1層構造体4Aの施工は、同図に示すように、支持体2の支持板部14を相対する桟瓦9UL、9URの上方部位に対向させ、取付板部13を支持材12上に設置して固定孔16からステンレス釘21を打ち込んで支持材12Aに固定する。支持体2は、この状態で補強リブ部15の受け部19が隣り合う桟瓦9の桟上に跨り、安定した状態に保持される。
第1層構造体4Aの施工は、図6に示すように支持体2に対して、支持板部14L、14R上にそれぞれ第1層の熨斗瓦3L、3Rを位置決めした状態で並べて取り付ける。第1層構造体4Aの施工は、熨斗瓦3を棟木6との間隔に応じて所定の幅に破断し、剣垂れ3Aを立壁部18の外面に当てがって支持板部14上に載置し、取付用孔3Bに打ち込んだステンレス釘21により支持体2上に位置決めする。第1層構造体4Aの施工は、支持板部14上において隣り合う熨斗瓦3の長さ方向の端部を互いに突き当てるように並べて取り付ける。第1層構造体4Aの施工は、支持体2を介して棟木6を挟んで桟瓦9上に熨斗瓦3を積層する。
棟構造1の施工は、上述した工程を経て第1層構造体4Aを施工した後に、支持体2の取付板部13上に第2層支持材12Bを固定し、この第2層支持材12B上に第2層支持体2を固定する工程と、この支持体2に対して多数枚の第2層熨斗瓦3を並べて取り付ける工程とを施して第2層構造体4Bを施工する。第2層構造体4Bの施工においては、第2層熨斗瓦3を、上述したように第1層構造体4Aの熨斗瓦3に対して、長さ方向に1/2ずらした状態で支持板部14上に取り付ける。
棟構造1の施工は、第2層構造体4Bを施工した後に、同様にして支持体2の取付板部13上に第3層支持材12Cを固定し、この第2層支持材12C上に第3層支持体2を固定する工程と、この支持体2に対して支持板部14L、14R上にそれぞれ多数枚の第3層熨斗瓦3UL、3URを長さ方向に並べて取り付ける工程とを施して第3層構造体4Cを施工する。第3層構造体4Cの施工においては、第3層熨斗瓦3UL、3URを、第1層構造体4Aの熨斗瓦3と同じ位置で支持板部14上に取り付ける。
棟構造1の施工は、第3層構造体4Cを施工した後に、図7に示すように支持体2の取付板部13上に第4層支持材12Dを固定し、この第4層支持材12Dを取付部材として棟瓦5を積層する工程を施す。棟瓦5の積層工程は、第3層構造体4Cの熨斗瓦3UL、3UR上に跨って棟瓦5を設置し、隣り合う棟瓦5間において嵌合凹部と嵌合筒部25の嵌合を行い、固定用孔からステンレス釘26を打ち込むことにより第4層支持材12Dに固定する。なお、棟構造1の施工においては、パッキン付きステンレス釘26を用いて棟瓦5を固定することにより、固定用孔からの雨水の浸入を防止するようにしたが、例えばステンレス釘26を打ち込んだ後に固定用孔を漆喰で塞ぐようにしてもよい。
棟構造1の施工は、上述したように棟木6や支持材12に対して支持体2を固定する作業と、支持体2に対して熨斗瓦3を並べて取り付ける作業と、棟瓦5を固定する作業を主たる内容とする。棟構造1の施工においては、第1層構造体4Aにおいて、補強リブ部15の受け部19が隣り合う桟瓦9の桟上に跨って延在することにより支持板部14の屋根面との平行度が保持される。棟構造1の施工においては、支持板部14上に多数枚の第1層熨斗瓦3を位置決めした状態で取り付けることで、これら第1層熨斗瓦3が互いに水平な状態に並べられかつ左右においてもバランスよく並べられる。
棟構造1の施工においては、正確に並べられた第1層熨斗瓦3に対して、その上面に第2層構造体4Bの受け部19が突き当たって積層される。したがって、棟構造1の施工においては、第1層構造体4Bにおいても多数枚の第2層熨斗瓦3が互いに水平な状態に並べられかつ左右においてもバランスよく並べられるとともに、第1層熨斗瓦3に対してバランスよく積層される。棟構造1の施工においては、以下同様の構成により上層の熨斗瓦3が下層の熨斗瓦3に対してバランスよく積層される。
棟構造1の施工においては、上述した支持体2を用いる簡易な作業により、さほどの熟練を要せずとも仕上がり精度の高い棟構造1を効率よく施工することが可能である。棟構造1の施工においては、上述した支持体2を用いることにより、軽量化を図った強固な棟構造1を施工することが可能である。棟構造1の施工においては、段数仕様に対しての互換性も有し、従来極めて難易度が高かった多段の棟構造でも低段仕様と同等に施工することが可能である。
棟構造1は、上述した施工手順により完成されるが、かかる手順に限定されないことは勿論である。棟構造1は、上述したように面斗構造体11に代えて面瓦と漆喰により面斗部位を施工するようにしてもよい。棟構造1は、特に必要の無い工程であるが、層構造体4の施工に際して、例えば防水下地層として上層の補強リブ部15との対応部位に予め薄い漆喰層を形成するようにしてもよい。かかる防水下地層は、従来構造のように漆喰により熨斗瓦3を固定するためのものではないことから、漆喰を大量に使用することは無く、また補強リブ部15により流れ止めされるために乾燥を待って上層の層構造体4の施工を行う必要も無い。
棟構造1は、上述したように比較的薄厚のガリバニウム鋼板を素材に用いて支持体2を形成し、この支持体2を介して熨斗瓦3を位置決めして取り付けた層構造体4を構成し、この層構造体4を積層して構成する。棟構造1は、図8に示すように急峻な角度を有する屋根の棟構造の施工にも、支持体2を共用して施工することが可能である。支持体2は、上述したように取付板部13の両側縁部に沿って左右の支持板部14L、14Rが一体に折曲形成される。支持体2は、図9に示すように取付板部13に対して支持板部14の折曲角度θを適宜調整することにより、屋根の角度に応じた棟構造1の施工を可能とする。また、支持体2は、屋根の角度に係わらず折曲角度θを適宜調整することにより、熨斗瓦3の積層枚数が同枚であっても高さを異にする棟構造1の施工を可能とする。
支持体2は、取付板部13に対する支持板部14の折曲角度θがある程度の範囲において支持板部14上に熨斗瓦3を保持することが可能である。支持体2は、急峻な角度で用いる場合には支持板部14上の1箇所で熨斗瓦3を取り付けるようにしたが、それぞれに複数の熨斗瓦取付孔17や取付用孔3Bを形成して複数カ所で取り付けるようにすることが好ましい。なお、支持体2は、上述したガリバニウム鋼板を素材とすることにより、現場対応において簡易な作業により支持板部14の折曲角度θの調整或いは熨斗瓦取付孔17の追加等の調整も容易に行うことが可能である。
棟構造1においては、上述したように支持体2により複数枚の熨斗瓦3を長さ方向に並べて支持した層構造体4を構成し、この層構造体4を多層に積層する簡易な作業により軽量かつ強固な構成を実現することが可能である。ところで、棟構造1においては、熨斗瓦3の積層段数が多くなるにしたがって、最下層の第1層構造体4Aに対する上層側の層構造体4の重量が次第に大きな負荷となる。また、棟構造1においては、例えば強風地域或いは豪雪地域等では他の地域と比較して構造体4に対する負荷が大きい。
図10に示した支持体40は、上述した基材となる支持体2に対してその内面側に複数の補強部材41を組み付けて構成したものである。支持体40は、補強部材41により支持体2のチャンネル形状が強固に保持するようにしてさらなる機械的強度の向上を図ることにより、強風や大きな負荷に対する大きな耐久特性を奏する棟構造1の施工を可能とする。支持体40は、支持体2を用いた上述した棟構造1の施工と同等の施工手順により、棟構造1を施工する。
補強部材41は、支持体2と同様に耐候性や耐久性を有するガリバニウム鋼板等の金属板素材が用いられ、この金属板素材にプレス加工を施して支持体2の幅寸法とほぼ同等の長さを有する矩形板状に形成される。補強部材41は、図10(B)に示すように中央部位の取付部42と、この取付部42の両側に折曲形成された左右一対の補強部43L、43R(以下、個別に説明する場合を除いて補強部43と総称する。)と、補強部43の先端部に形成された突当部44L、44R(以下、個別に説明する場合を除いて突当部44と総称する。)とから断面が下向きコ字状を呈して形成される。
補強部材41は、支持体2に対して、取付部42が取付板部13と対応し、補強部43が支持板部14と対応し、突当部44が補強リブ部15と対応する。補強部材41は、取付部42が取付板部13の幅とほぼ等しい長さを有し、補強部43が支持板部14の幅とほぼ等しい長さを有し、突当部44が補強リブ部15の立壁部18の高さとほぼ等しい長さを有している。補強部材41は、補強部43が取付部42に対して、支持体2の取付板部13に対する支持板部14の折曲角度θとほぼ等しい角度で折曲されてなる。
支持体40は、図10に示すように補強部材41が支持体2に対して、内面側において長さ方向に所定の間隔を以って組み付けられる。補強部材41は、同図(B)に示すように支持体2に対して、取付部42を取付板部13の内面に重ね合わせ、補強部43を支持板部14とそれぞれ対向させ、突当部44を立壁部18の内面にそれぞれ突き合わせるようにして補強リブ部15に嵌合される。なお、補強部材41は、同図(A)に示すように支持体2に対して、固定孔16や熨斗瓦取付孔17と対応位置しないようにして組み付けられる。
補強部材41は、支持体2に対して、取付板部13の内面に重ね合わせた取付部42が例えばスポット溶接を施されて一体化されることで、移動したり脱落したりすることは無い。補強部材41は、図10(B)に示すように補強部43が支持板部14と対向して取付板部13と補強リブ部15との間において筋交い状態で延在するとともに、突当部44が立壁部18を裏打ちするようにしてその内面に突き当てられることにより支持体2の補強リブ部15を補強する。補強部材41は、支持体2の全長に亘って筋筋状態に組み付けられてこれを補強する。
支持体40は、上述したように支持体2の内面に複数個の補強部材41を筋筋状態に組み付けることにより支持体2の支持板部14における機械的強度の向上が図られる。支持体40は、補強リブ部15も補強部材41により裏打ちされて機械的強度の向上が図られる。したがって、支持体40は、廉価で取り扱いが簡便な比較的薄厚の金属板素材により形成しても、層構造体4を多層に積層することにより負荷される大きな荷重に対して支持体2の支持板部14や補強リブ部15に変形等が生じることは無く、また強風が吹き付けられても飛ばされることが無い強固な棟構造1を施工することが可能である。
補強部材41は、上述したように補強部43の先端部に補強リブ部15の立壁部18の内面にそれぞれ突き合わされる突当部44を一体に形成したが、かかる構成に限定されないことは勿論である。補強部材41は、補強部43の先端部を補強リブ部15に突き当てることにより支持板部14を補強する部材であってもよい。
支持体40においては、上述したように別部材で形成した複数個の補強部材41を組み付けて支持体2を補強するようにしたが、本発明はかかる補強構造に限定されないことは勿論である。支持体2は、例えば金属板素材に対して、上述した各部を形成するプレス工程の前工程において、幅方向に多数の凸部を形成するビード形成工程を施し、各凸部が内側に位置するようにして各部の形成工程を施すようにしてもよい。支持体2は、ビード形成工程により形成した各凸部により支持板部14や補強リブ部15の機械的強度の向上が図られる。
1 棟構造、2 熨斗瓦積層支持体(支持体)、3 熨斗瓦、4 層構造体、5 棟瓦、6 棟木、7 野地板、8 桟木、9 桟瓦、10 面斗体、11 面斗構造体、12 支持体、13 取付板部、14 熨斗瓦支持板部(支持板部)、15 補強リブ部、16 固定孔、17 熨斗瓦取付孔、18 立壁部、19 受け部、20 補強壁部、21 ステンレス釘、22 取付板、23 面斗部、24 棟空間部、40 支持体、41 補強部材

Claims (8)

  1. 耐候性や耐久性を有する金属板素材にプレス加工を施して一体に形成され、矩形板状部位からなり長さ方向に並んで複数個の固定孔が所定の間隔を以って穿孔された取付板部と、この取付板部の長さ方向の両側縁部に沿って所定の折曲角度を付して連設された矩形板状部位からなり長さ方向に並んで複数個の熨斗瓦取付孔が所定の間隔を以って穿孔された左右一対の熨斗瓦支持板部と、これら熨斗瓦支持板部の上記取付板部と対向する長さ方向の両側縁部に沿ってそれぞれ連続して折曲加工を施すことにより少なくとも所定の高さの立壁部と所定の幅を有する受け部からなる左右一対の補強リブ部とから構成され、
    上記取付板部を上記棟木上に被せて左右の上記補強リブ部の上記受け部をそれぞれ最上段に葺いた左右の桟瓦上に載せて上記熨斗瓦支持板部により上記桟瓦をそれぞれ被覆した状態で設置し、上記固定孔を介して固定手段により上記棟木に固定するとともに上記熨斗瓦支持板部上に複数枚の上記熨斗瓦を長さ方向に並べて取り付けることを特徴とする熨斗瓦積層支持体。
  2. 上記金属板素材は、溶融アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板であることを特徴とする請求項1に記載の熨斗瓦積層支持体。
  3. 上記熨斗瓦支持板部は、上記取付板部に対して、屋根の傾斜角度とほぼ等しい傾斜角度を付されて一体に連設されることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の熨斗瓦積層支持体。
  4. 長さ方向の複数箇所に、複数の補強手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の熨斗瓦積層支持体。
  5. 上記補強手段は、耐候性や耐久性を有する金属板素材にプレス加工を施して全体略矩形板状に形成された複数個の補強部材により構成され、
    それぞれが中央部位を上記取付板部の内面に固定されるとともに、両側部位を上記熨斗瓦支持板部の内面に倣って上記補強リブ部に導かれて固定されることを特徴とする請求項4に記載の熨斗瓦積層支持体。
  6. 棟木を挟んで最上段に葺いた左右の桟瓦間にそれぞれ所定枚数の熨斗瓦を積層するとともに、互いに向き合う最上層に積層した左右の熨斗瓦間に跨って棟瓦を積層してなる瓦葺き屋根の棟構造であり、
    耐候性や耐久性を有する金属板素材にプレス加工を施して一体に形成され、矩形板状部位からなり長さ方向に並んで複数個の固定孔が所定の間隔を以って穿孔された取付板部と、この取付板部の長さ方向の両側縁部に沿って所定の折曲角度を付して連設された矩形板状部位からなり長さ方向に並んで複数個の熨斗瓦取付孔が所定の間隔を以って穿孔された左右一対の熨斗瓦支持板部と、これら熨斗瓦支持板部の上記取付板部と対向する長さ方向の両側縁部に沿ってそれぞれ連続して折曲加工を施すことにより少なくとも所定の高さの立壁部と所定の幅を有する受け部からなる左右一対の補強リブ部とから構成された熨斗瓦積層支持体が、上記熨斗瓦の積層段数と同数が用いられ、
    第1層において、多数個の第1層熨斗瓦積層支持体が、上記棟木に対してそれぞれの上記取付板部を被せるとともにそれぞれの上記受け部を最上段に葺いた左右の上記桟瓦に対してその上面に突き当てて組み合わせることにより、それぞれの上記熨斗瓦支持板部が上記桟瓦の上方部位を被覆した状態にして長さ方向に並べて設置され、それぞれが上記固定孔を介して固定手段により棟木上に固定され、
    上記第1層熨斗瓦積層支持体に対して、左右の上記熨斗瓦支持板部上にそれぞれ第1層熨斗瓦を長さ方向に並べて載置するとともに、これら第1層熨斗瓦を上記熨斗瓦取付孔を介して取付手段によりそれぞれ取り付けて第1層構造体を施工し、
    第2層において、上記第1層熨斗瓦積層支持体の上記取付板部を挟んで上記棟木上に支持材を固定し、
    多数個の第2層熨斗瓦積層支持体が、上記支持材に対してそれぞれの上記取付板部を被せるとともにそれぞれの上記受け部を上記第1層熨斗瓦の上面に突き当てて組み合わせることにより、それぞれの上記熨斗瓦支持板部が上記第1層熨斗瓦を被覆した状態にして長さ方向に並べて設置され、それぞれが上記固定孔を介して固定手段により上記支持材上に固定され、
    上記第2層熨斗瓦積層支持体に対して、左右の上記熨斗瓦支持板部上にそれぞれ第2層熨斗瓦を長さ方向に並べて載置するとともに、これら第2層熨斗瓦を上記熨斗瓦取付孔を介して取付手段によりそれぞれ取り付けて第2層構造体を施工し、
    以下、上層において、下層構造体上に、それぞれ上層支持材と上層熨斗瓦積層支持体と上層熨斗瓦とからなる同等構造の上層構造体が所定層数に積層して施工され、
    互いに向き合う最上層熨斗瓦間に跨って棟瓦を積層してなる瓦葺き屋根の棟構造。
  7. 上記熨斗瓦積層支持体に対して、それぞれ長さ方向の複数箇所に、複数の補強手段を設けたことを特徴とする請求項6に記載の瓦葺き屋根の棟構造。
  8. 上記第1層構造体は、上記棟木上に固定された面斗支持体と、この面斗支持体に組み付けられて最上段に葺いた左右の上記桟瓦の谷部の上面にそれぞれ突き当てて組み合わされる面斗体からなる面斗構造体を介して上記棟木上に施工される請求項6又は請求項7のいずれか1項に記載の瓦葺き屋根の棟構造。
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