JP2010215504A - 連続繊維強化型複合材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】短時間で製造可能でありかつ特性に優れたセラミックス基複合材料を製造する。
【解決手段】所定の繊維束からなる繊維織物と、該繊維織物の上記繊維束に対して付着形成されるマトリックスとを備える連続繊維強化型複合材料の製造方法であって、上記マトリックスを形成する工程は、上記マトリックスの原料粉末中に上記繊維織物を配置した状態で上記原料粉末を加圧することによって上記繊維織物の内部に上記原料粉末を含浸させる含浸工程と、上記含浸工程後の上記繊維織物に対して熱処理を行うことによって上記マトリックスを形成する熱処理工程とを有する。
【選択図】図2
【解決手段】所定の繊維束からなる繊維織物と、該繊維織物の上記繊維束に対して付着形成されるマトリックスとを備える連続繊維強化型複合材料の製造方法であって、上記マトリックスを形成する工程は、上記マトリックスの原料粉末中に上記繊維織物を配置した状態で上記原料粉末を加圧することによって上記繊維織物の内部に上記原料粉末を含浸させる含浸工程と、上記含浸工程後の上記繊維織物に対して熱処理を行うことによって上記マトリックスを形成する熱処理工程とを有する。
【選択図】図2
Description
本発明は、連続繊維強化型複合材料の製造方法に関するものである。
セラミックスは金属材料と比較して耐熱性や剛性等が高いため機械部品の材料として広く使用されているが、靭性が小さく脆性破壊を起こし易いことから、高度な信頼性が要求される機械部品の材料として用いることは難しかった。
そこで、近年、所定の繊維束からなる繊維織物等とセラミックスを複合化させることによってセラミックスの長所を生かしつつ靭性が向上されたセラミックス基複合材料が注目されている。
そこで、近年、所定の繊維束からなる繊維織物等とセラミックスを複合化させることによってセラミックスの長所を生かしつつ靭性が向上されたセラミックス基複合材料が注目されている。
例えば、一般的な耐熱性材料であるニッケル基超合金は、その耐熱性が1100〜1200℃程度で、既に耐熱温度に近い温度域で使用されているが、今後、大幅な耐熱性の向上が難しくなってきている。これに対してセラミックス基複合材料は、1200℃以上の耐熱性を持つことが可能である。また、ニッケル基超合金の1/4程度の比重であるため、機械の軽量化や低燃費化を図ることが可能となる。このため、セラミックス基複合材料は、ニッケル基超合金に代わる耐熱性材料として期待されている。
ところが、現在のところ、このようなセラミックス基複合材料の製造には非常に長い時間が必要とされるため、セラミックス基複合材料の製造コストが高くなり、実際の材料として用いることが難しい状態にある。具体的には、セラミックス基複合材料は、繊維織物と当該繊維織物の繊維束に付着形成されるSiCマトリックスとから構成されており、SiCマトリックスが、いわゆるCVI(Chemical Vapor Infiltration:気相法)処理とPIP(Polymer Impregnation & Pyrolisis:液相法)処理とによって形成されている。そして、このSiCマトリックスを形成する工程のみで、数ヶ月の時間が必要とされており、中でもPIP処理によるSiCマトリックスの形成工程に非常に長い時間が必要とされている。
このような問題を解決するために、特許文献1には、Si粉末とC粉末とが含有されたスラリー中に繊維織物を配置することによって、繊維織物の内部にSi粉末とC粉末とを含浸させ、その後、焼成することによってSiCマトリックスを形成する技術が記載されている。
ところで、特許文献1に記載された技術では、Si粉末とC粉末とを含浸できる量がスラリーの濃度(=スラリー中の粉末の体積分率)により決まるが、スラリーの濃度を高くすることでスラリーの粘度が大きくなると、スラリーが繊維織物の内部に十分入り込まないという問題が生じる。一方、スラリーの粘度を小さくした場合には、スラリーの粘度は小さくなりスラリーが繊維織物の内部に十分に入り込めるものの、粉末の含浸量が少なくなる。このため、繰り返し含浸処理を行う必要が生じ、SiCマトリックスの形成工程の十分な短縮化が望めなくなるという問題が生じる。
また、繊維織物を構成する繊維束に予めC粉末と骨材としてのSiC粉末を含有しておき、不活性ガス中において繊維織物に溶融したSiをかけることでSiCマトリックスを形成する、いわゆるMI(Melt Intiltration)法も提案されている。しかしながら、MI法では、SiとCとの反応が早すぎて残存Siを多く含んだセラミックス基複合材料が製造されてしまう。このような多くの残存Siを含むセラミックス基複合材料は、Siの融点近くまで使用環境温度が上昇した場合に残存Siが軟化することでセラミックス基複合材料の強度が大きく低下するという問題を有する。
なお、上述したセラミックス基複合材料は、連続繊維強化型複合材料(所定の繊維束からなる繊維織物と、該繊維織物の上記繊維束に対して付着形成されるマトリックスとを備えるもの)の一例である。そして、連続繊維強化型複合材料全般において、マトリックスを形成する際に上述したセラミックス基複合材料と同様の問題が生じると考えられる。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、短時間で製造可能でありかつ特性に優れた連続繊維強化型複合材料を製造することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、第1の手段として、所定の繊維束からなる繊維織物と、該繊維織物の上記繊維束に対して付着形成されるマトリックスとを備える連続繊維強化型複合材料の製造方法であって、上記マトリックスを形成する工程は、上記マトリックスの原料粉末あるいは/及び上記繊維織物に対して振動を加えることによって上記繊維織物の内部に上記原料粉末を含浸させる含浸工程と、上記含浸工程後の上記繊維織物に対して熱処理を行うことによって上記マトリックスを形成する熱処理工程とを有するという構成を採用する。
第2の手段として、上記第1の手段において、上記含浸工程は、液体中で行われるという構成を採用する。
第3の手段として、上記第1または第2の手段において、上記マトリックスの少なくとも一部がセラミックであるという構成を採用する。
第4の手段として、上記第3の手段において、上記セラミックがSiCであり、上記マトリックスの原料粉末がSi粉末とC粉末との混合粉末を少なくとも含むという構成を採用する。
第5の手段として、上記第4の手段において、上記C粉末の平均粒径が1〜10μmであるという構成を採用する。
第6の手段として、所定の繊維束からなる繊維織物と、該繊維織物の上記繊維束に対して付着形成されるマトリックスとを備える連続繊維強化型複合材料の製造方法であって、上記マトリックスを形成する工程は、上記マトリックスの原料粉末中に上記繊維織物を配置した状態で上記原料粉末を加圧することによって上記繊維織物の内部に上記原料粉末を含浸させる含浸工程と、上記含浸工程後の上記繊維織物に対して熱処理を行うことによって上記マトリックスを形成する熱処理工程とを有するという構成を採用する。
第7の手段として、上記第6の手段において上記原料粉末に対する加圧力が100MPa以下であるという構成を採用する。
第8の手段として、上記第1〜第7いずれかの手段において、上記マトリックスの原料粉末がSi粉末とC粉末との混合粉末を少なくとも含む場合に、上記C粉末の形状が球形であるという構成を採用する。
第9の手段として、上記第1〜第8いずれかの手段において、上記マトリックスの原料粉末がSi粉末とC粉末との混合粉末を少なくとも含む場合に、上記Si粉末の粒径が75μm以下であるという構成を採用する。
第10の手段として、上記第1〜第9いずれかの手段において、上記マトリックスを形成する工程は、上記含浸工程より前に、CVI処理によって上記マトリックスの一部を形成する工程をさらに有するという構成を採用する。
本発明の連続繊維強化型複合材料の製造方法によれば、マトリックスの原料粉末あるいは/及び上記繊維織物に対して振動を加える、若しくは、マトリックスの原料粉末中に上記繊維織物を配置した状態で上記原料粉末を加圧することによって上記繊維織物の内部に上記原料粉末を含浸し、その後熱処理することによって、マトリックスが形成される。このため、従来のPIP処理によるマトリックスの形成工程よりも短時間でマトリックスを形成することができ、かつ、特許文献1に記載された技術よりも緻密なマトリックスを形成することができる。
したがって、本発明の連続繊維強化型複合材料の製造方法によれば、特性に優れた連続繊維強化型複合材料を短時間で製造することが可能となる。
したがって、本発明の連続繊維強化型複合材料の製造方法によれば、特性に優れた連続繊維強化型複合材料を短時間で製造することが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明に係る連続繊維強化型複合材料の製造方法の一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態においては、連続繊維強化型複合材料の製造方法の一例であるセラミックス基複合材料の製造方法について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態のセラミックス基複合材料の製造方法によって製造されたセラミックス基複合材料S1の断面図である。
この図に示すように、セラミックス基複合材料S1は、繊維織物1とSiCマトリックス2(マトリックス)とを備えて構成されている。
繊維織物1は、所定の繊維束をXYZ方向に織った3次元織物である。なお、一般的に、繊維束としては、SiC繊維を数百〜数千本束ねたSiC繊維束が用いられる。そして、この繊維織物にSiCマトリックス2が付着形成されている。
図1は、本実施形態のセラミックス基複合材料の製造方法によって製造されたセラミックス基複合材料S1の断面図である。
この図に示すように、セラミックス基複合材料S1は、繊維織物1とSiCマトリックス2(マトリックス)とを備えて構成されている。
繊維織物1は、所定の繊維束をXYZ方向に織った3次元織物である。なお、一般的に、繊維束としては、SiC繊維を数百〜数千本束ねたSiC繊維束が用いられる。そして、この繊維織物にSiCマトリックス2が付着形成されている。
次に、図2のフローチャートを参照して、本実施形態のセラミックス基複合材料の製造方法について説明する。
図2に示すように、本実施形態のセラミックス基複合材料の製造方法は、繊維製造工程(ステップS1)、織り工程(ステップS2)、デサイズ工程(ステップS3)、SiCマトリックス(マトリックス)形成工程(ステップS4)及び機械加工工程(ステップS5)を有している。
繊維製造工程(ステップS1)では、例えば、SiC繊維を製造し、このSiC繊維を複数束ねることによってSiC繊維束を形成する。そして、織り工程(ステップS2)において、ステップS1によって形成されたSiC繊維束をXYZ方向に織ることによって3次元織物である繊維織物1が形成される。
デサイズ工程(ステップS3)は、ステップS2において形成された繊維織物1を構成する繊維束上に被覆された余分なポリマーを除去する工程である。
デサイズ工程(ステップS3)は、ステップS2において形成された繊維織物1を構成する繊維束上に被覆された余分なポリマーを除去する工程である。
SiCマトリックス形成工程(ステップS4)は、SiCマトリックス2を繊維織物1に対して付着形成する工程であり、含浸工程(ステップS41)と熱処理工程(ステップS42)とに大別される。なお、本SiCマトリックス形成工程(ステップS4)の前に、繊維織物1の表層にカーボンまたはBN等のコーティング層を形成する工程を行っても良い。このように繊維織物1の表層にカーボンまたはBN等のコーティング層を形成することによって、セラミックス基複合材料の靭性を強化することができる。そして、当該コーディング層の厚さは0.1〜1.0μmであることが好ましい。
含浸工程(ステップS41)は、Si粉末とC粉末との混合粉末(マトリックスの原料粉末)を繊維織物1の内部に含浸させる工程である。なお、ここで言う、繊維織物1の内部とは、繊維織物1を構成する各繊維束同士の間の空間を示す意味である。また、含浸とは、本来、液体が空洞組織等を有する材料に浸み込む状態を示す文言であるが、本発明においては、混合粉末が液体に似た流体としての動きを有するため、混合粉末が繊維織物1の内部に侵入する状態を示す文言とする。
そして、本実施形態のセラミックス基複合材料の製造方法においては、本含浸工程(ステップS41)は、混合粉末あるいは/及び繊維織物1に対して振動を加えることによって混合粉末を繊維織物1の内部に含浸する方法、若しくは、混合粉末中に繊維織物1を配置した状態で混合粉末を加圧することによって繊維織物の内部に混合粉末を含浸させる方法を用いて行われる。なお、以下の説明において、気体中あるいは真空中において混合粉末あるいは/及び繊維織物1に対して振動を加えることによって混合粉末を繊維織物1の内部に含浸する方法を乾式加振含浸法と称し、液体中において混合粉末あるいは/及び繊維織物1に対して振動を加えることによって混合粉末を繊維織物1の内部に含浸する方法を湿式加振含浸法と称し、混合粉末中に繊維織物1を配置した状態で混合粉末を加圧することによって繊維織物の内部に混合粉末を含浸させる方法を乾式加圧含浸法と称する。
そして、本実施形態のセラミックス基複合材料の製造方法においては、本含浸工程(ステップS41)は、混合粉末あるいは/及び繊維織物1に対して振動を加えることによって混合粉末を繊維織物1の内部に含浸する方法、若しくは、混合粉末中に繊維織物1を配置した状態で混合粉末を加圧することによって繊維織物の内部に混合粉末を含浸させる方法を用いて行われる。なお、以下の説明において、気体中あるいは真空中において混合粉末あるいは/及び繊維織物1に対して振動を加えることによって混合粉末を繊維織物1の内部に含浸する方法を乾式加振含浸法と称し、液体中において混合粉末あるいは/及び繊維織物1に対して振動を加えることによって混合粉末を繊維織物1の内部に含浸する方法を湿式加振含浸法と称し、混合粉末中に繊維織物1を配置した状態で混合粉末を加圧することによって繊維織物の内部に混合粉末を含浸させる方法を乾式加圧含浸法と称する。
このような、乾式加振含浸法、湿式加振含浸法あるいは乾式加圧含浸法を用いてSi粉末及びC粉末を繊維織物1に含浸させることによって、特許文献1に記載されたスラリー中に繊維織物を配置することによって繊維織物1の内部にSi粉末とC粉末とを含浸させる方法(以下、スラリー含浸法)と同程度の時間(PIP処理によるSiCマトリックスの形成工程に必要な時間よりも短い時間)で繊維織物1の内部にSi粉末とC粉末とを含浸させることができるとともにスラリー含浸法よりもSi粉末とC粉末とを緻密に繊維織物1の内部に含浸させることが可能となる。
なお、乾式加振含浸法においては、繊維織物1を混合粉末内に配置しておき、混合粉末あるいは/及び繊維織物1に対して振動を加えることによって、混合粉末が振動する。このため、混合粉末粒子が再配列して緻密化し、この粒子が緻密化された混合粉末が繊維織物1の内部に含浸される。よって、繊維織物1の内部に混合粉末が緻密に含浸されると考えられる。
また、湿式加振含浸法は、乾式加振含浸法と同様の原理で繊維織物1の内部に混合粉末が緻密に含浸されると考えられるが、液体によって混合粉末粒粒子が運動しやすくなり混合粉末の流動性が乾式加振含浸法の場合よりも向上する。このため、乾式加振含浸法よりも、繊維織物1の内部に混合粉末がより緻密に含浸されると考えられる。
また、乾式加圧含浸法においては、乾燥された混合粉末が加圧されることによって、繊維織物1の内部の細部にまで圧密される。よって、繊維織物1の内部に混合粉末が緻密に含浸されると考えられる。
熱処理工程(ステップS42)は、含浸工程(ステップS41)後の繊維織物1に対して熱処理を行うことによってSi粉末とC粉末とを反応させる工程である。この熱処理工程(ステップS42)でSi粉末のSiとC粉末のCとが反応することでSiCが形成されSiCマトリックスが形成される。ここで、上述の乾式加振含浸法、湿式加振含浸法あるいは乾式加圧含浸法によれば、スラリー含浸法よりも繊維織物1の内部にSi粉末とC粉末とが緻密に含浸されているため、本熱処理工程(ステップS42)によって、スラリー含浸法を用いて形成されるSiCマトリックスよりも緻密なSiCマトリックス2を形成することができる。
また、MI法によるSiCマトリックスの形成工程と比較してSi粉末とC粉末との反応速度が緩やかであるため、SiCマトリックス2内の残存Siの量を低減させることが可能となる。なお、SiCマトリックス2内の残存Siは、X線回折法によって容易に確認することができる。
また、MI法によるSiCマトリックスの形成工程と比較してSi粉末とC粉末との反応速度が緩やかであるため、SiCマトリックス2内の残存Siの量を低減させることが可能となる。なお、SiCマトリックス2内の残存Siは、X線回折法によって容易に確認することができる。
機械加工工程(ステップS5)は、SiCマトリックス2が形成されたセラミックス基複合材料S1を最終製品形状に加工する工程である。具体的には、ダイヤモンド砥石等によってセラミックス基複合材料S1を加工することができる。そして、本機械加工工程(ステップS5)が終了することによって、セラミックス基複合材料S1の製造が完了する。
このように、本実施形態のセラミックス基複合材料S1の製造方法によれば、乾式加振含浸法、湿式加振含浸法あるいは乾式加圧含浸法を用いてSi粉末及びC粉末が繊維織物1に含浸される。このため、従来のPIP処理によるSiCマトリックスの形成工程よりも短時間でSiCマトリックス2を形成することができ、MI法よりもSiCマトリックス2に残有するSiを減少することができ、特許文献1に記載された技術よりも緻密なSiCマトリックス2を形成することができる。
したがって、本実施形態のセラミックス基複合材料の製造方法によれば、短時間で製造可能でありかつ特性に優れたセラミックス基複合材料S1を製造することが可能となる。
したがって、本実施形態のセラミックス基複合材料の製造方法によれば、短時間で製造可能でありかつ特性に優れたセラミックス基複合材料S1を製造することが可能となる。
なお、本実施形態のセラミックス基複合材料の製造方法においては、C粉末の形状が球形であることが好ましい。形状が球状のC粉末は、特に乾燥状態における流動性が高いため、乾式加振含浸法及び乾式加圧含浸法において、優れた含浸性を発揮することが期待できる。
また、本実施形態のセラミックス基複合材料の製造方法においては、Si粉末の粒径が75μm以下であることが好ましい。このような75μm以下の粒径のSi粉末を用いることによって、熱処理工程(ステップS42)におけるSi粉末とC粉末との反応性を確保することが可能となる。
また、本実施形態のセラミックス基複合材料の製造方法においては、上述の湿式加振含浸法を用いる場合には、C粉末の平均粒径が1〜10μmであることが好ましい。このように湿式加振含浸法の場合に、平均粒径が1〜10μmのC粉末を用いることによって、含浸工程において、高い含浸率を得ることが可能となる。
また、本実施形態のセラミックス基複合材料の製造方法においては、上述の湿式加振含浸法を用いる場合には、C粉末の平均粒径が1〜10μmであることが好ましい。このように湿式加振含浸法の場合に、平均粒径が1〜10μmのC粉末を用いることによって、含浸工程において、高い含浸率を得ることが可能となる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態の説明においては、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態の説明においては、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
図3は、本第2実施形態のセラミックス基複合材料の製造方法によって製造されたセラミックス基複合材料S2の断面図である。
この図に示すように、本実施形態のセラミックス基複合材料の製造方法によって製造されたセラミックス基複合材料S2のSiCマトリックス2は、繊維織物1の表層に付着する部分(SiCマトリックスの一部)がCVIマトリックス21によって構成されている。
この図に示すように、本実施形態のセラミックス基複合材料の製造方法によって製造されたセラミックス基複合材料S2のSiCマトリックス2は、繊維織物1の表層に付着する部分(SiCマトリックスの一部)がCVIマトリックス21によって構成されている。
このCVIマトリックス21は、CVI処理によって形成されたSiCマトリックスであり、SiCマトリックス2の他の部位(乾式加振含浸法、湿式加振含浸法あるいは乾式加圧含浸法)と比較してより緻密化されている。
そして、このようなセラミックス基複合材料S2を製造する場合、すなわち、本実施形態のセラミックス基複合材料の製造方法によれば、図4のフローチャートに示すように、SiCマトリックス形成工程(ステップS4)が、含浸工程(ステップS41)より前に、CVI処理によってCVIマトリックス21を形成するCVI処理工程(ステップ43)をさらに有している。
このようにCVI処理工程(ステップS43)によってSiCマトリックス2の一部21を形成することによって、繊維織物1の表面に緻密なSiCマトリックス21が形成される。よって、含浸工程(ステップS41)において、繊維織物1の形状が崩れ難いものとすることが可能となり、含浸工程(ステップS41)が容易化される。
このようにCVI処理工程(ステップS43)によってSiCマトリックス2の一部21を形成することによって、繊維織物1の表面に緻密なSiCマトリックス21が形成される。よって、含浸工程(ステップS41)において、繊維織物1の形状が崩れ難いものとすることが可能となり、含浸工程(ステップS41)が容易化される。
(実施例)
次に、上記第1実施形態において示したセラミックス基複合材料の製造方法の実施例について説明する。
次に、上記第1実施形態において示したセラミックス基複合材料の製造方法の実施例について説明する。
(1)含浸工程の比較
本実施例においては、まず最初に、(a)スラリー含浸法、(b)乾式加振含浸法、(c)湿式加振含浸法、(d)乾式加圧含浸法の4つの含浸法について比較検討を行った。なお、本比較検討においては、3次元織りSiC繊維成形体(繊維構成 x:y:z=1:1:0.2)を繊維織物1として用意した。なお、この繊維織物の寸法は、約10×10×5mmである。そして、この繊維織物に対して、繊維表面に約200nmの炭素界面層を形成した後、上記第2実施形態において示したCVI処理工程を施すことによってSiCマトリックスを形成したものを試験片として用いた。なお、この試験片におけるSiCマトリックスの気孔率は28.9%(アルキメデス法にて測定)であった。
また、本実施例においては、含浸性の確認のために、粒径が5μm相当の真球状カーボンと、粒径の異なる3種のSiC粉末とを用意した。なお、粒径が5μm相当の真球状カーボンとして、平均粒径が4.5μm±2.0μmで密度が2.2g/cm3のもの(人造黒鉛微粉末「UF−G10」(昭和電工株式会社製))を用いた。また、3種のSiC粉末とは、粒径が1μm相当のもの(微粉研磨材「デンシックウルトラファイン」(昭和電工株式会社製):平均粒径0.48μm)と、粒径が3μm相当のもの(高純度SiC(株式会社高純度科学研究所製):平均粒径2.5μm)と、粒径が40μm相当のもの(研磨材「グリーンデンシック」(昭和電工株式会社製):平均粒径40μm)とであり、密度はどれも3.2g/cm3である。
本実施例においては、まず最初に、(a)スラリー含浸法、(b)乾式加振含浸法、(c)湿式加振含浸法、(d)乾式加圧含浸法の4つの含浸法について比較検討を行った。なお、本比較検討においては、3次元織りSiC繊維成形体(繊維構成 x:y:z=1:1:0.2)を繊維織物1として用意した。なお、この繊維織物の寸法は、約10×10×5mmである。そして、この繊維織物に対して、繊維表面に約200nmの炭素界面層を形成した後、上記第2実施形態において示したCVI処理工程を施すことによってSiCマトリックスを形成したものを試験片として用いた。なお、この試験片におけるSiCマトリックスの気孔率は28.9%(アルキメデス法にて測定)であった。
また、本実施例においては、含浸性の確認のために、粒径が5μm相当の真球状カーボンと、粒径の異なる3種のSiC粉末とを用意した。なお、粒径が5μm相当の真球状カーボンとして、平均粒径が4.5μm±2.0μmで密度が2.2g/cm3のもの(人造黒鉛微粉末「UF−G10」(昭和電工株式会社製))を用いた。また、3種のSiC粉末とは、粒径が1μm相当のもの(微粉研磨材「デンシックウルトラファイン」(昭和電工株式会社製):平均粒径0.48μm)と、粒径が3μm相当のもの(高純度SiC(株式会社高純度科学研究所製):平均粒径2.5μm)と、粒径が40μm相当のもの(研磨材「グリーンデンシック」(昭和電工株式会社製):平均粒径40μm)とであり、密度はどれも3.2g/cm3である。
(a)スラリー含浸法
スラリー含浸法では、真球状カーボンと水あるいはエタノールとを混合してスラリー化したものと、SiC粉末とエタノールあるいはアセトンとを混合してスラリー化したものを用いた。具体的には、液体に粉末を添加して超音波により10分間分散し、さらに10分間攪拌し、その後10分間脱気することによって調整されたスラリーを用いた。なお、全てのスラリーの濃度は、20vol%に調整した。
そして、試験片を各スラリー中に沈め、この周囲を真空引きすることによって試験片内から空気を脱気してスラリーと置換した。その後、試験片を乾燥させて液体のみを蒸発させることによって粉末のみを試験片の内部に残し、重量変化を測定することによって含浸率を計測した。なお、粉末として真球状カーボンを用いたスラリーでは、含浸時間が含浸率に与える影響を見るため、含浸時間を1分と10分との2種類で行った。
スラリー含浸法では、真球状カーボンと水あるいはエタノールとを混合してスラリー化したものと、SiC粉末とエタノールあるいはアセトンとを混合してスラリー化したものを用いた。具体的には、液体に粉末を添加して超音波により10分間分散し、さらに10分間攪拌し、その後10分間脱気することによって調整されたスラリーを用いた。なお、全てのスラリーの濃度は、20vol%に調整した。
そして、試験片を各スラリー中に沈め、この周囲を真空引きすることによって試験片内から空気を脱気してスラリーと置換した。その後、試験片を乾燥させて液体のみを蒸発させることによって粉末のみを試験片の内部に残し、重量変化を測定することによって含浸率を計測した。なお、粉末として真球状カーボンを用いたスラリーでは、含浸時間が含浸率に与える影響を見るため、含浸時間を1分と10分との2種類で行った。
その結果、図5のグラフに示すように、真球状カーボンの含浸率は、分散媒として水が用いられた場合とエタノールが用いられた場合、及び、含浸時間が1分の場合と10分の場合とで、全てほぼ同じ値を示した。そして、図6に示すように、SiC粉末が3μm相当の場合に最も高い含浸率が得られることが分かった。
(b)乾式加振含浸法
乾式加振含浸法では、試験片が完全に埋まる程度の粉末をビーカにとり、これに振動を与えながら試験片を粉末中に埋めた。埋めてから10分後に振動を停止して試験片を取り出して、重量変化を測定することによって含浸率を計測した。なお、振動の付与は振動周波数が50Hzの振動台と振動周波数が38kHzの超音波振動器の2種類について行った。また、粉末として真球状カーボンを用いた場合には、含浸時間が含浸率に与える影響を見るため、含浸時間10分の他に、30分及び60分の場合についても計測した。
乾式加振含浸法では、試験片が完全に埋まる程度の粉末をビーカにとり、これに振動を与えながら試験片を粉末中に埋めた。埋めてから10分後に振動を停止して試験片を取り出して、重量変化を測定することによって含浸率を計測した。なお、振動の付与は振動周波数が50Hzの振動台と振動周波数が38kHzの超音波振動器の2種類について行った。また、粉末として真球状カーボンを用いた場合には、含浸時間が含浸率に与える影響を見るため、含浸時間10分の他に、30分及び60分の場合についても計測した。
その結果、図7のグラフに示すように、真球状カーボンの含浸率は、振動台にて振動を付与した場合で30%程度、超音波振動器にて振動を付与した場合で20%弱であった。なお、明確には言えないが、振動台にて振動を付与する場合には、含浸時間が長くなるにつれて含浸率が低下する傾向にあった。また、超音波振動器にて振動を付与する場合には、含浸時間が長くなるにつれて含浸率が上昇する傾向にあった。そして、図8に示すように、SiC粉末の粒径が大きくなるにつれて含浸率が向上する傾向にあった。
以上の結果から、乾式加振含浸法の場合には、少なくともスラリー含浸法と同程度の含浸率を得ることができるとともに、低振動周波数の場合には、スラリー含浸法よりも明らかに高い含浸率を得られることが分かった。また、高振動周波数の場合であっても、1時間以上振動を加えることによって、スラリー含浸法よりも高い含浸率を得られる可能性があることが分かった。
以上の結果から、乾式加振含浸法の場合には、少なくともスラリー含浸法と同程度の含浸率を得ることができるとともに、低振動周波数の場合には、スラリー含浸法よりも明らかに高い含浸率を得られることが分かった。また、高振動周波数の場合であっても、1時間以上振動を加えることによって、スラリー含浸法よりも高い含浸率を得られる可能性があることが分かった。
(c)湿式加振含浸法
湿式加振含浸法では、粉末とメタノール(液体)をビーカの中に入れ、さらに試験片をビーカに入れ振動を付与した。その後、試験片を取り出して、大気中において105℃で1時間以上乾燥させてから重量変化を測定することによって含浸率を計測した。なお、振動の付与は振動周波数が50Hzの振動台と振動周波数が38kHzの超音波振動器との2種類について10分間行った。また、メタノールに代えてアセトンを用いた場合についても計測した。
湿式加振含浸法では、粉末とメタノール(液体)をビーカの中に入れ、さらに試験片をビーカに入れ振動を付与した。その後、試験片を取り出して、大気中において105℃で1時間以上乾燥させてから重量変化を測定することによって含浸率を計測した。なお、振動の付与は振動周波数が50Hzの振動台と振動周波数が38kHzの超音波振動器との2種類について10分間行った。また、メタノールに代えてアセトンを用いた場合についても計測した。
その結果、図9に示すように、真球状カーボンの含浸率は、振動台にて振動を付与した場合であっても、超音波振動器にて振動を付与した場合であっても、40%程度であった。なお、図10に示すように、分散媒(液体)として、メタノールを用いた場合であっても、アセトンを用いた場合であっても、SiC粉末が3μm相当の場合に最も高い含浸率が得られることが分かった。
以上の結果から、湿式加振含浸法の場合には、低振動周波数の場合であっても、高振動周波数の場合であっても、スラリー含浸法よりも明らかに高い含浸率を得られることが分かった。
以上の結果から、湿式加振含浸法の場合には、低振動周波数の場合であっても、高振動周波数の場合であっても、スラリー含浸法よりも明らかに高い含浸率を得られることが分かった。
(d)乾式加圧含浸法
乾式加圧含浸法では、天然ラテックス製の薄肉の袋の内部において粉末に試験片が包まれるように配置し、この天然ラテックス製の袋をさらに一回り大きな天然ラテックス製の厚肉の袋に入れた。そして袋の内部を真空引きした。なお、ここまでの状態をバギングと称する。この袋を3分間、静水圧で加圧し、その後重量変化を測定することによって含浸率を計測した。なお、含浸率の計測は、バギング状態のもの、100MPa加圧したもの、300MPa加圧したものについて行った。また、乾式加圧含浸法については、粉末として真球状カーボンを用いた場合のみの含浸率の計測を行った。
乾式加圧含浸法では、天然ラテックス製の薄肉の袋の内部において粉末に試験片が包まれるように配置し、この天然ラテックス製の袋をさらに一回り大きな天然ラテックス製の厚肉の袋に入れた。そして袋の内部を真空引きした。なお、ここまでの状態をバギングと称する。この袋を3分間、静水圧で加圧し、その後重量変化を測定することによって含浸率を計測した。なお、含浸率の計測は、バギング状態のもの、100MPa加圧したもの、300MPa加圧したものについて行った。また、乾式加圧含浸法については、粉末として真球状カーボンを用いた場合のみの含浸率の計測を行った。
その結果、図11に示すように、真球状カーボンの含浸率は、バギング状態のもので30%程度であり、100MPaで加圧したもので最も高い60%程度の含浸率を得ることができた。なお、300MPaで加圧したものは、試験片が圧壊したため、計測不能であった。
以上の結果から、乾式加圧含浸法の場合には、スラリー含浸法よりも明らかに高い含浸率を得られることが分かった。
以上の結果から、乾式加圧含浸法の場合には、スラリー含浸法よりも明らかに高い含浸率を得られることが分かった。
ここまでの実施例から、乾式加振含浸法、湿式加振含浸法及び乾式加圧含浸法では、スラリー含浸法よりも高い含浸率が得られる、または、得られる可能性があることが分かった。
なお、以上の含浸率は、粉末として真球状カーボンを用いた場合の含浸率であるため、上記実施形態と同様に、粉末としてSi粉末とC粉末(真球状カーボン)との混合粉末を用いた場合における含浸性の確認を行った。また、今回の含浸性の確認は、湿式加振含浸法を用いて行った。具体的には、粒径が75μmのSi粉末と、粒径が5μmのSi粉末と、粒径が1μmのSi粉末とを用いて含浸性の確認を行った。なお、C粉末としては、粒径が5μmの真球状カーボンを用いた。
なお、以上の含浸率は、粉末として真球状カーボンを用いた場合の含浸率であるため、上記実施形態と同様に、粉末としてSi粉末とC粉末(真球状カーボン)との混合粉末を用いた場合における含浸性の確認を行った。また、今回の含浸性の確認は、湿式加振含浸法を用いて行った。具体的には、粒径が75μmのSi粉末と、粒径が5μmのSi粉末と、粒径が1μmのSi粉末とを用いて含浸性の確認を行った。なお、C粉末としては、粒径が5μmの真球状カーボンを用いた。
その結果、図12に示すように、粉末として真球状カーボンのみを使用した場合よりもさらに高い含浸率を得ることができた。よって、混合粉末として、Si粉末とC粉末との混合粉末を用いた場合であっても、Si粉末の粒径にかかわらずスラリー含浸法より高い含浸率を得られることが確認できた。
(2)熱処理工程における反応性の検討
次に、本実施例においては、Si粉末の種類や粒径とC粉末の種類や粒径とが熱処理工程(ステップS42)における反応性に与える影響について検討した。なお、本実施例においては、粒径が75μmのSi粉末と粒径が5μmの真球状カーボンとの混合粉末を用い、室温から1450℃までにおける重量変化及び発熱・吸熱を測定することによって、熱重量−視差熱分析(TG−DTA)を行った。
次に、本実施例においては、Si粉末の種類や粒径とC粉末の種類や粒径とが熱処理工程(ステップS42)における反応性に与える影響について検討した。なお、本実施例においては、粒径が75μmのSi粉末と粒径が5μmの真球状カーボンとの混合粉末を用い、室温から1450℃までにおける重量変化及び発熱・吸熱を測定することによって、熱重量−視差熱分析(TG−DTA)を行った。
図13に、測定結果を示す。この図に示すように、DTA曲線では1340℃付近から微小なピークが出ており、化学反応が起こっていると見られる。1400℃で吸熱、1410℃で発熱の大きなピークがある。主な反応は、1410℃で起きているが、その後の1450℃まで微小なピークが出ており、反応が続いていると見られる。TG曲線では、1250℃付近まで重量が徐々に2.0%まで増加し、その後減少している。
Siの融点は、1414℃であるが、Cの存在下では1405±5℃で溶解し、SiC化反応を起こすことが知られている。このことから、1400℃での吸熱とそれに続く発熱は、Siの溶解とSiC化反応が連続して起きていることを示していると考えられる。そして、反応開始の初期では、Siが徐々にカーボンを取り込み融解していくために融解熱を吸収して吸熱のピークが現れ、取り込まれるカーボンが多くなりSiCの生成が進むと、発生する生成熱量が融解熱の吸熱量を上回って発熱のピークが現れるものと考えられる。なお、1400℃以下及び1410℃以上で見られる微小なピークについては、今回の結果からは何の反応であるかを特定することはできない。ただし、Siとカーボンの粉末を混合したものを1400℃以下で焼成した試験においても、X線回折によってSiCが生成されることが確認されているため、今回の試験においても1400℃以下においても局所的にSiC化反応が起こっていると予想される。また、1410℃以上においては、Siと離れて存在していたカーボンが融解してきたSi、またはSiが過剰なSiCと接触することで、徐々に反応が進んでSiC化しているためにピークが現れると推定される。また、重量の増加については、測定エリアに入り込んだ酸素によってSiが酸化したためと予想される。また、1250℃以上での重量の減少は、Siとカーボンの反応が徐々に始まり、酸素または二酸化炭素が脱離するための予想される。
Siの融点は、1414℃であるが、Cの存在下では1405±5℃で溶解し、SiC化反応を起こすことが知られている。このことから、1400℃での吸熱とそれに続く発熱は、Siの溶解とSiC化反応が連続して起きていることを示していると考えられる。そして、反応開始の初期では、Siが徐々にカーボンを取り込み融解していくために融解熱を吸収して吸熱のピークが現れ、取り込まれるカーボンが多くなりSiCの生成が進むと、発生する生成熱量が融解熱の吸熱量を上回って発熱のピークが現れるものと考えられる。なお、1400℃以下及び1410℃以上で見られる微小なピークについては、今回の結果からは何の反応であるかを特定することはできない。ただし、Siとカーボンの粉末を混合したものを1400℃以下で焼成した試験においても、X線回折によってSiCが生成されることが確認されているため、今回の試験においても1400℃以下においても局所的にSiC化反応が起こっていると予想される。また、1410℃以上においては、Siと離れて存在していたカーボンが融解してきたSi、またはSiが過剰なSiCと接触することで、徐々に反応が進んでSiC化しているためにピークが現れると推定される。また、重量の増加については、測定エリアに入り込んだ酸素によってSiが酸化したためと予想される。また、1250℃以上での重量の減少は、Siとカーボンの反応が徐々に始まり、酸素または二酸化炭素が脱離するための予想される。
以上の実施例から、熱処理工程における反応性という観点からすればSi粉末の粒径が75μm以下であれば、その反応性が確保できることが分かった。また、さらに含浸性という観点からすれば、含浸工程として乾式加振含浸法を用いた場合には、粒径が大きい方が好ましい結果が得られているため、75μmにより近い粒径の混合粉末を用いることが好ましいことが分かる。また、含浸工程として湿式加振含浸法を用いた場合には、図10から分かるように、平均粒径が1〜10μmである場合に好ましい結果が得られているため、1〜10μmの混合粉末を用いることが好ましいことが分かる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る連続繊維強化型複合材料の製造方法の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、本発明のマトリックスとしてSiCからなるSiCマトリックス2を備えるセラミックス基複合材料の製造方法を例にとって説明した。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明のマトリックスとして金属(例えば、Ti)からなるマトリックスを備える連続繊維強化型複合材料の製造方法や、本発明のマトリックスとしてガラスセラミックを備える連続繊維強化型複合材料の製造方法に適用することが可能である。なお、このようなマトリックスを備える連続繊維強化型複合材料の製造方法に本発明を適用した場合には、マトリックスの原料粉末を効率的にかつ純分に繊維織物に対して含浸させることができるため、特性に優れた連続繊維強化型複合材料を短時間で製造することが可能となる。
S1,S2……セラミックス基複合材料(連続繊維強化型複合材料)、1……繊維織物、2……SiCマトリックス(マトリックス)
Claims (5)
- 所定の繊維束からなる繊維織物と、該繊維織物の前記繊維束に対して付着形成されるマトリックスとを備える連続繊維強化型複合材料の製造方法であって、
前記マトリックスを形成する工程は、
前記マトリックスの原料粉末中に前記繊維織物を配置した状態で前記原料粉末を加圧することによって前記繊維織物の内部に前記原料粉末を含浸させる含浸工程と、
前記含浸工程後の前記繊維織物に対して熱処理を行うことによって前記マトリックスを形成する熱処理工程と
を有することを特徴とする連続繊維強化型複合材料の製造方法。 - 前記原料粉末に対する加圧力が100MPa以下であることを特徴とする請求項1記載の連続繊維強化型複合材料の製造方法。
- 前記マトリックスの原料粉末がSi粉末とC粉末との混合粉末を少なくとも含む場合に、前記C粉末の形状が球形であることを特徴とする請求項1または2記載の連続繊維強化型複合材料の製造方法。
- 前記マトリックスの原料粉末がSi粉末とC粉末との混合粉末を少なくとも含む場合に、前記Si粉末の粒径が75μm以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の連続繊維強化型複合材料の製造方法。
- 前記マトリックスを形成する工程は、前記含浸工程より前に、CVI処理によって前記マトリックスの一部を形成する工程をさらに有することを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の連続繊維強化型複合材料の製造方法。
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-
2010
- 2010-05-18 JP JP2010114329A patent/JP2010215504A/ja active Pending
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