JP2010215005A - 車両の後部装備品配設構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】サイレンサを大型化しつつ、クラッシュスペースと荷室空間を確保可能な車両の後部装備品配設構造を提供する。
【解決手段】No.6クロスメンバ12の車両前後方向後側には、断面略扁平形状とされ、スペアタイヤパン13よりも幅広のサイレンサ18が設置される。サイレンサ18は、車両前後方向前側部分に対して後側部分が上方に位置するように前傾配置されると共に、スペアタイヤパン13と略同一厚みとされるサイレンサ18の正面視投影領域は、車両上下方向においてサイレンサ18の厚みの1/2程度がスペアタイヤパン13と重合するよう配置されている。排気管19は、フロアパネル6下方において第2サブフレーム14b下方位置近傍の屈曲部19aまで側面視で略水平状に延設されると共に、屈曲部19aからサイレンサ18の下方部分までは次第に上昇するよう後傾配置に構成されている。
【選択図】 図3
【解決手段】No.6クロスメンバ12の車両前後方向後側には、断面略扁平形状とされ、スペアタイヤパン13よりも幅広のサイレンサ18が設置される。サイレンサ18は、車両前後方向前側部分に対して後側部分が上方に位置するように前傾配置されると共に、スペアタイヤパン13と略同一厚みとされるサイレンサ18の正面視投影領域は、車両上下方向においてサイレンサ18の厚みの1/2程度がスペアタイヤパン13と重合するよう配置されている。排気管19は、フロアパネル6下方において第2サブフレーム14b下方位置近傍の屈曲部19aまで側面視で略水平状に延設されると共に、屈曲部19aからサイレンサ18の下方部分までは次第に上昇するよう後傾配置に構成されている。
【選択図】 図3
Description
本発明は、少なくとも排気サイレンサとスペアタイヤ等、車両後部に配設された剛性を有する車両装備品の配設構造に関するものである。
従来より、後突時の衝撃を、車両後部のクラッシュスペースによって吸収し、乗員の安全を確保しようとする提案がなされている。また、近年では、乗員の快適性及び利便性向上の観点から、車室内スペースを拡大する傾向にある。このように車室内スペースを拡大した場合、前述したクラッシュスペースの確保が困難になることから、この点についての提案も種々なされている。
特許文献1は、リアクロスメンバの後方上側に配設したサイレンサと、このサイレンサの上方に配設したスペアタイヤとを有し、後突時、前方に押されたサイレンサを収容可能な空間をリアクロスメンバとスペアタイヤとの間に形成する技術を提案している。特許文献1では、後突時、サイレンサの前方移動を許容して、潰れ可能なリアサイドフレーム長を長くすることでクラッシュスペースを確保することができる。
一方、車両の燃費改善の観点から、走行時の空気抵抗を低減可能な後部構造が提案されている。特許文献2は、リアオーバーハング部付近のスペアタイヤハウスの下端面下方位置に、断面略扁平状のマフラーを横置き状態で配置し、このマフラーの下端面をホイールベースの床下面、所謂車室フロアパネルの上方且つリアバンパ下端よりも下方位置に配置した技術を提案している。
特許文献2では、ホイールベースの床下面を通過した走行風を、マフラーの下端面で進行方向をガイドしてスムーズにリアバンパ後方に流すことができる。これにより、リアオーバーハング部付近において、走行風の急激な流速低下や剥離現象を防止することができ、走行時の空気抵抗を低減することが可能となる。
最近では、環境改善等を背景として、車両の燃費改善とエンジン性能向上の要求が今まで以上に高まっている。その1つの解決策として大型サイレンサが着目されている。大型サイレンサを車両に搭載した場合、消音効果を増大させると共に、排気抵抗の低減を図ることができる。
しかしながら、サイレンサの大型化は、排気抵抗低減を図れる一方、小型サイレンサに比べて容積が増大するため、車体後部スペースを大きく占有することとなる。その結果、以下のような新たな課題を生じる。
第一に、効率的なクラッシュスペースを確保できない点である。後突時の衝撃吸収のメカニズムは、後突初期に主にリアサイドフレームが潰れ、後突中期以降はスペアタイヤを格納したスペアタイヤパンとサイレンサとリアサイドフレームとが同時に変形や潰れを生じながら進行する。つまり、剛体であるサイレンサとスペアタイヤを格納したスペアタイヤパンが上下配置される場合、リアサイドフレームの効率的な潰れ挙動を阻害する可能性があり、更に、サイレンサが移動した結果、車室内に侵入することも懸念される。
第二に、広い荷室空間を確保できない点である。スペアタイヤパンとサイレンサが車両上下方向で上下配置とされるため、サイレンサが大容量になる程、荷室フロアを上方配置にする必要がある。
本発明の目的は、サイレンサを大型化しつつ、クラッシュスペースと荷室空間を確保可能な車両の後部装備品配設構造を提供することである。
本発明の車両の後部装備品配設構造は、車両の後部荷室の底面を形成する荷室フロアと、この荷室フロア下方で且つ車両前後方向に延びる左右一対のリアサイドフレームと、この一対のリアサイドフレームの間に配置された排気サイレンサとを有する。
請求項1の発明は、前記排気サイレンサは、前記一方側のリアサイドフレームから他方側のリアサイドフレームの間に両リアサイドフレームに亙って延設され、前記排気サイレンサの車両前後方向前方且つ近接する荷室フロア下方位置に配置されたスペアタイヤを有すると共に、前記排気サイレンサの正面視投影領域は、前記スペアタイヤと車両上下方向において少なくとも一部重合することを特徴とする。
請求項1の発明では、一方側のリアサイドフレームから他方側のリアサイドフレームの間に両リアサイドフレームに亙って延設される排気サイレンサとスペアタイヤとを共に荷室フロア下方に配設するため、リアサイドフレームのオーバーハングと両リアサイドフレーム間の空間を利用して、スペアタイヤの後方スペースに排気サイレンサを配設できる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記スペアタイヤの上端部は、前記排気サイレンサの上端部と車両上下方向において略同一高さとされたことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記スペアタイヤは、車幅方向略中央領域に配設されたことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1〜3の何れか1つの発明において、前記排気サイレンサは、車両前後方向前側部分に対して後側部分が上方に位置するように前傾配置され、前記スペアタイヤは、車両前後方向前側部分に対して後側部分が下方に位置するように後傾配置されたことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1〜4の何れか1つの発明において、前記スペアタイヤの車両前後方向前方側に燃料タンクを有し、前記スペアタイヤと前記燃料タンクの間に前記一対のリアサイドフレームを車幅方向に連結する第1連結部材を設けたことを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1〜5の何れか1つの発明において、車両前後方向後方側から衝突荷重が入力したとき、前記排気サイレンサを車両上下方向下方側に移動する退避手段を有することを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記退避手段は、車両前後方向前側部分に対して後側部分が上方に位置するように前傾配置された前記排気サイレンサを含むことを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項6の発明において、前記退避手段は、前記排気サイレンサから車両前後方向前方側に延びると共に、脆弱部を備えた排気管を含むことを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項6の発明において、前記退避手段は、前記排気サイレンサと前記スペアタイヤの間に前記一対のリアサイドフレームを車幅方向に連結する第2連結部材を含むことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、排気サイレンサを大型化しつつ、クラッシュスペースと荷室空間を確保することができる。つまり、スペアタイヤの配置に影響することなく両リアサイドフレーム間に亙って延設された大型の排気サイレンサを搭載可能であるため、荷室空間を確保しながら、車両の燃費改善とエンジン性能向上とが可能にできる。
しかも、スペアタイヤを排気サイレンサの車両前後方向前方且つ近接する荷室フロア下方位置に配置したため、後突時の中期以降、先ず排気サイレンサに衝撃を入力し、その後、スペアタイヤに衝撃を入力することが可能になり、リアサイドフレームの潰れ挙動を阻害しない。更に、排気サイレンサの正面視投影領域は、前方に配置されるスペアタイヤと車両上下方向において少なくとも一部重合するため、後突時、積極的に排気サイレンサを車両下方に退避させることができ、リアサイドフレームの効率的な潰れ挙動を得ることができる。
請求項2の発明によれば、前記スペアタイヤの上端部は、前記排気サイレンサの上端部と車両上下方向において略同一高さとされるため、荷室フロアの上昇を防止しつつ、スペアタイヤと排気サイレンサの最適レイアウトを確保できる。
請求項3の発明によれば、前記スペアタイヤは、車幅方向略中央領域に配設されたため、左右の車体剛性を均等化でき、後突時、リアサイドフレームの安定した潰れ挙動を得ることができる。
請求項4の発明によれば、前記排気サイレンサは、車両前後方向前側部分に対して後側部分が上方に位置するように前傾配置され、前記スペアタイヤは、車両前後方向前側部分に対して後側部分が下方に位置するように後傾配置されるため、スペアタイヤを後方配置でき、スペアタイヤの取り扱いが容易になる。しかも、走行風の空気抵抗低減と荷室空間確保とが両立できる。
請求項5の発明によれば、前記スペアタイヤの車両前後方向前方側に燃料タンクを有し、前記スペアタイヤと前記燃料タンクの間に前記一対のリアサイドフレームを車幅方向に連結する第1連結部材を設けたため、後突時、第1連結部材でスペアタイヤの前方移動を防止でき、スペアタイヤと燃料タンクとの衝突を防止できる。しかも、衝突荷重を衝撃吸収可能なスペアタイヤを介して第1連結部材で受けるため、乗員の安全性が向上できる。
請求項6の発明によれば、車両前後方向後方側から衝突荷重が入力したとき、前記排気サイレンサを車両上下方向下方側に移動する退避手段を有するため、排気サイレンサとスペアタイヤとの干渉を防止し、車両後部にクラッシュスペースを確実に確保することができる。
請求項7の発明によれば、前記退避手段は、車両前後方向前側部分に対して後側部分が上方に位置するように前傾配置された前記排気サイレンサを含むため、後突時、排気サイレンサをスペアタイヤの下方に容易に移動させることができる。
請求項8の発明によれば、前記退避手段は、前記排気サイレンサから車両前後方向前方側に延びると共に、脆弱部を備えた排気管を含むため、後突時、排気管を折れ易くすることで、排気サイレンサをスペアタイヤの下方に容易に移動させることができる。
請求項9の発明によれば、前記退避手段は、前記排気サイレンサと前記スペアタイヤの間に前記一対のリアサイドフレームを車幅方向に連結する第2連結部材を含むため、車体剛性を向上しつつ、後突時、排気サイレンサをスペアタイヤの下方に容易に移動させることができる。
以下、本発明を実施する為の最良の形態について説明する。
以下、本発明の実施例1について、図面を参照しつつ説明する。図1は実施例1に係る車両後部の背面図、図2は車両後部を下から見た図、図3は図2におけるIII−III線断面図、図4は図2におけるIV−IV線断面図である。
図1に示すように、実施例1に係る車両1は、後席シート2の後方に荷室空間Sを有すると共に、後部開口3を開閉可能な図示しないバックドアを有するステーションワゴンタイプの乗用車である。左右後輪4夫々のホイールハウス5間で且つ荷室空間Sの車両上下方向下面には、図示しない前席シート及び後席シート2が配置されるフロアパネル6(図3参照)後端に連続して荷室フロアパネル7が設置されている。
図2に示すように、車両1の後部構造は、左右両側部を車両前後方向に延設される左右一対のリアサイドフレーム8を備えている。夫々のリアサイドフレーム8は、左右一対のフロントサイドフレーム9の後端から後方上側にオーバーハングするように一体的に連続形成されている。尚、フロントサイドフレーム9とリアサイドフレーム8との上面には、フロアパネル6と荷室フロアパネル7が夫々の左右端部を掛け渡した状態で設置されている。
左右のリアサイドフレーム8の途中部には、後方上側にオーバーハングするよう後方上がり傾斜状にキックアップ部8aが夫々形成されている。このキックアップ部8aの後端部、所謂上方位置には、左右のリアサイドフレーム8を連結すると共に荷室フロアパネル7の前方領域と協働して閉断面部を形成するNo.4クロスメンバ10(第1連結部材)が形成される。尚、図4において、符号10aは、No.4クロスメンバ10の車両上下方向上側部材を示している。
No.4クロスメンバ10の後方で且つ左右のリアサイドフレーム8間の中央位置にスペアタイヤTを格納するスペアタイヤパン13が荷室フロアパネル7と一体的に形成されている。このスペアタイヤパン13は、荷室フロアパネル7の上面から下方に凹設され、車両前後方向前側部分に対して後側部分が下方に位置するよう後傾配置に構成される。
図3に示すように、スペアタイヤパン13前端部分は、No.4クロスメンバ10と車両上下方向で対向するように略同一高さとされている。スペアタイヤパン13の上面開口を覆う荷室フロアマット7aは、前後2分割形成され、スペアタイヤパン13の上面開口を開閉可能にされている。
また、スペアタイヤパン13の前方側上面開口縁部には、スペアタイヤTの浮き上がりを防止する樹脂製の跳ね上げ防止部材16が設けられている。跳ね上げ防止部材16は、スペアタイヤTが跳ね上がったとき、スペアタイヤTの前側外周部が接触するよう後方上側に傾斜して延びる断面リップ形状とされ、スペアタイヤパン13の上面開口縁部の部分円弧領域に配置される。
スペアタイヤパン13の後方には、左右のリアサイドフレーム8を連結すると共に荷室フロアパネル7を上面とした閉断面部を構成するNo.6クロスメンバ12(第2連結部材)が配置される。No.6クロスメンバ12の車両前後方向前面部分は車幅方向略中央でスペアタイヤパン13の後端部分と当接すると共に、後面部分は下方に向かう程前方に傾斜するよう前傾構造とされている。また、No.6クロスメンバ12は、No.4クロスメンバ10に対して車両上下方向下方に位置している。
また、No.4クロスメンバ10とNo.6クロスメンバ12との間には、左右のリアサイドフレーム8を連結するNo.5クロスメンバ11が形成されている。No.5クロスメンバ11は、左右両側位置では荷室フロアパネル7を上面として閉断面部を構成し、その内側領域ではスペアタイヤパン13を上面として閉断面部を構成している。つまり、No.5クロスメンバ11は、正面視で、スペアタイヤパン13の形状に沿った逆ハット形状に形成されている。
No.4クロスメンバ10とNo.5クロスメンバ11とスペアタイヤパン13の下方には、後輪4のサスペンション機構を取り付ける略井型状のペリメータフレーム14が設置される。ペリメータフレーム14は、No.4クロスメンバ10と平行で且つ後方下側に位置する第1サブフレーム14aと、No.5クロスメンバ11と平行で下方に位置する第2サブフレーム14bと、第1サブフレーム14aと第2サブフレーム14bとの左右端部夫々を連結する左右一対の第3サブフレーム14cから構成している。
左右の第3サブフレーム14cは、前端部をキックアップ部8aの前側部分、後端部をキックアップ部8aの後側部分に夫々ラバーマウントを介して夫々のリアサイドフレーム8に固定している。サスペンション機構は、トレーリングアーム15、及び図示しないアッパアーム、ロアアーム等からなり、左右後輪4を独立懸架している。尚、このサスペンション機構は公知の構成であり、説明を省略する。
後席シート2及びフロアパネル6の下方には、左右のリアサイドフレーム8に亙って鞍型形状の燃料タンク17が設置される。図4に示すように、燃料タンク17は、両リアサイドフレーム8よりも幅狭とされ、正面視でNo.4クロスメンバ10の下端面と所定距離離間するよう配置している。
No.6クロスメンバ12の車両前後方向後側には、サイレンサ18(排気サイレンサ)が設置される。サイレンサ18は、左右方向に横置きされると共に断面略扁平形状とされ、スペアタイヤパン13よりも幅広、つまり、一方側のリアサイドフレーム8から他方側のリアサイドフレーム8の間に両リアサイドフレーム8に亙って延設された大型のサイレンサとされる。
サイレンサ18は、車両前後方向前側部分に対して後側部分が上方に位置するように前傾配置され、サイレンサ18の後上端部とスペアタイヤパン13の後上端部とは車両上下方向において略同一高さに構成している。つまり、荷室フロアパネル7は、スペアタイヤパン13が存在する前側領域は後方傾斜形状とされ、下方にサイレンサ18を配置する後側領域は水平形状とされている。
サイレンサ18の上下方向の厚みは、スペアタイヤパン13の上下方向の厚みと略同一とされ、正面視投影領域は、車両上下方向においてサイレンサ18の厚みの略1/2程度がスペアタイヤパン13の下方部分と重合するよう配置されている。
車両1の前方に配置される図示しないエンジンからの排気ガスは、排気管19によって車両1前方部分からサイレンサ18に供給される。排気管19は、燃料タンク17やペリメータフレーム14の下方を通って、サイレンサ18の車幅方向中央部分で且つ下方部分に接続される。
排気管19は、フロアパネル6下方において第2サブフレーム14b下方位置近傍の屈曲部19aまで側面視で略水平状に延設されると共に、屈曲部19aからサイレンサ18の下方部分までは次第に上昇するよう後傾配置に構成されている。この屈曲部19aは、排気管19を曲げ加工することによって形成する。
サイレンサ18に移送された排気ガスは、サイレンサ18内で左右に分岐すると共にこの夫々の経路の通過途中で消音された後、左右一対の排気開口18aから大気に開放される。また、サイレンサ18の前端部と後端部とを結ぶ線の延長上にはリアバンパ20内に配置されたクラッシュ缶21が配置されている。
図5に基づき、後突時のサイレンサ18の挙動を説明する。
後続する車両による後突が発生すると、リアバンパ20及びクラッシュ缶21が潰れた後、両リアサイドフレーム8の潰れが開始する。衝撃荷重の入力が継続すると、荷重によってサイレンサ18が前進移動を開始する。尚、このとき、スペアタイヤパン13はサイレンサ18の前方に位置するため、リアサイドフレーム8の潰れ挙動はスペアタイヤパン13の剛性によって阻害されない。
後続する車両による後突が発生すると、リアバンパ20及びクラッシュ缶21が潰れた後、両リアサイドフレーム8の潰れが開始する。衝撃荷重の入力が継続すると、荷重によってサイレンサ18が前進移動を開始する。尚、このとき、スペアタイヤパン13はサイレンサ18の前方に位置するため、リアサイドフレーム8の潰れ挙動はスペアタイヤパン13の剛性によって阻害されない。
サイレンサ18が前進移動を行うと、退避手段によって、サイレンサ18が強制的に車両1下方に退避する。退避手段は、以下に示す構成を少なくとも1つ用いても良く、また、複数組み合わせて用いることも可能である。
・ 車両前後方向前側部分に対して後側部分が上方に位置するサイレンサ18の前傾配置
・ 車両前後方向後面部分を下方に向かう程前側に位置するNo.6クロスメンバ12の前傾構造
・ 排気管19途中に設けられ、後方からの荷重により排気管19を車両上下方向下方に屈曲可能な屈曲部19a等の脆弱部構造
・ 車両前後方向前側部分に対して後側部分が上方に位置するサイレンサ18の前傾配置
・ 車両前後方向後面部分を下方に向かう程前側に位置するNo.6クロスメンバ12の前傾構造
・ 排気管19途中に設けられ、後方からの荷重により排気管19を車両上下方向下方に屈曲可能な屈曲部19a等の脆弱部構造
サイレンサ18が車両1下方に退避するため、リアサイドフレーム8の潰れ挙動を阻害することなく、衝撃吸収に充分なクラッシュスペース、所謂潰れ可能なリアサイドフレーム8長さを確保できる。更に荷重入力が継続すると、リアサイドフレーム8の潰れ領域がスペアタイヤパン13まで到達するが、このときの衝撃荷重は緩衝材として機能するスペアタイヤTを介してNo.4クロスメンバ10に伝達されるため、衝撃荷重を車両1全体のフレームに分散することができ、乗員への影響は低減できる。
また、スペアタイヤTを格納したスペアタイヤパン13と燃料タンク17とは車両上下方向で異なる高さ位置にされるため、スペアタイヤTと燃料タンク17との衝突を回避できる。しかも、スペアタイヤパン13の前方側上面部には、跳ね上げ防止部材16が設けられているため、スペアタイヤパン13が車両前後方向前側部分に対して後側部分が下方に位置するよう後傾配置されても、スペアタイヤTの車室内への侵入を防止することができる。
次に、本実施例1に係る本後部装備品配設構造の作用、効果を説明する。
サイレンサ18は、スペアタイヤTが格納されたスペアタイヤパン13の後方で両リアサイドフレーム8に亙って延設することで大型化が図れるため、荷室空間Sを確保しながら、車両1の燃費改善とエンジン性能向上とが可能となる。
サイレンサ18は、スペアタイヤTが格納されたスペアタイヤパン13の後方で両リアサイドフレーム8に亙って延設することで大型化が図れるため、荷室空間Sを確保しながら、車両1の燃費改善とエンジン性能向上とが可能となる。
また、スペアタイヤパン13とサイレンサ18とを車両前後方向で直列状に配置するため、スペアタイヤTを格納したスペアタイヤパン13とサイレンサ18とがリアサイドフレーム8の潰れ挙動を同時に阻害することがない。しかも、サイレンサ18の正面視投影領域は、前方に配置されるスペアタイヤパン13の下方部分と車両上下方向において略1/2程度重合するため、後突時、積極的にサイレンサ18を車両1下方に退避させることが可能となり、効率的なリアサイドフレーム8の潰れ挙動を得ることができる。
スペアタイヤパン13の後上端部、所謂スペアタイヤTの後上端部は、サイレンサ18の上端部と車両上下方向において略同一高さとされるため、荷室フロアSの上昇を防止できる。
また、スペアタイヤTは、車幅方向略中央領域に配設されるため、左右の車体剛性を均等化でき、後突時、リアサイドフレーム8の安定した潰れ挙動を得ることができる。
サイレンサ18は、車両前後方向前側部分に対して後側部分が上方に位置するように前傾配置され、スペアタイヤパン13は、車両前後方向前側部分に対して後側部分が下方に位置するように後傾配置されるため、スペアタイヤTを後方配置でき、後部開口3からのスペアタイヤTの出し入れが容易になる。
スペアタイヤTの車両前後方向前方下側に燃料タンク17を有し、スペアタイヤTと燃料タンク17の間にNo.4クロスメンバ10を設けたため、後突時、No.4クロスメンバ10でスペアタイヤTの前方移動を防止でき、スペアタイヤTと燃料タンク17との衝突を防止できる。しかも、衝突荷重を衝撃吸収可能なスペアタイヤTを介してNo.4クロスメンバ10で受けるため、乗員の安全性が向上できる。
しかも、サイレンサ18の上下方向の厚みは、スペアタイヤパン13の上下方向の厚みと略同一厚みとされ、車両前後方向に直列状に配置されるため、車両1のフロアパネル6下方を通過する走行風を、流速の急激な減少や剥離現象を生じることなく、リアバンパ20下方から車両1後方上側に向けてスムーズに通過解放させることができる。
車両前後方向後方から衝突荷重が入力したとき、サイレンサ18を衝突荷重を利用して車両上下方向下方に移動する退避手段を有するため、サイレンサ18とスペアタイヤTとの干渉を防止し、車両後部にクラッシュスペースを確実に確保することができる。
退避手段を、車両前後方向前側部分に対して後側部分が上方に位置するように前傾配置されたサイレンサ18で形成するため、後突時、サイレンサ18をスペアタイヤT及びスペアタイヤパン13の下方に容易に移動させることができる。
退避手段を、サイレンサ18から車両前後方向前方側に延びると共に、脆弱部である屈曲部19aを備えた排気管19で形成するため、後突時、衝突荷重を利用して排気管19を屈曲することができ、サイレンサ18をスペアタイヤTの下方に容易に移動させることができる。
退避手段を、サイレンサ18とスペアタイヤTの間に一対のリアサイドフレーム8を車幅方向に連結するNo.6クロスメンバ12で形成するため、車体剛性を向上しつつ、後突時、サイレンサ18をスペアタイヤTの下方に容易に移動させることができる。
次に、図6に基づき、実施例2に係る車両の後部装備品配設構造を説明する。尚、図6は実施例1の図3相当図である。また、実施例1と同様の部材は、同一の符号を付している。
実施例1と相違する点は、実施例1の脆弱部として、排気管19に形成された屈曲部19aを用いたのに対し、実施例2では、脆弱部を蛇腹部で形成し、排気管19を更に屈曲し易くした点である。
図6に示すように、車両1の後部構造は、左右両側部を車両前後方向に延設される左右一対のリアサイドフレーム8を備えている。リアサイドフレーム8の途中部に形成されるキックアップ部8aの上方位置には、左右のリアサイドフレーム8を連結すると共にフロアパネル6の後端領域と協働して閉断面部を形成するNo.4クロスメンバ10が形成される。
No.4クロスメンバ10の後方で且つ左右のリアサイドフレーム8間の中央位置にスペアタイヤTを格納するスペアタイヤパン13が荷室フロアパネル7と一体的に形成される。スペアタイヤパン13前端部分は、No.4クロスメンバ10と車両上下方向で略同一高さとされている。
スペアタイヤパン13の後方には、左右のリアサイドフレーム8を連結すると共に荷室フロアパネル7を上面とする閉断面部を構成するNo.6クロスメンバ12が配置される。
また、No.4クロスメンバ10とNo.6クロスメンバ12との間には、左右のリアサイドフレーム8を連結するNo.5クロスメンバ11が形成されている。
また、No.4クロスメンバ10とNo.6クロスメンバ12との間には、左右のリアサイドフレーム8を連結するNo.5クロスメンバ11が形成されている。
No.6クロスメンバ12の車両前後方向後方には、一方側のリアサイドフレーム8から他方側のリアサイドフレーム8の間に両リアサイドフレーム8に亙って延設されるサイレンサ18が設置される。
サイレンサ18は、車両前後方向前側部分に対して後側部分が上方に位置するように前傾配置され、サイレンサ18の後上端部とスペアタイヤパン13の後上端部とは車両上下方向において略同一高さに構成している。
サイレンサ18の上下方向の厚みは、スペアタイヤパン13の上下方向の厚みと略同一とされ、正面視投影領域は、車両上下方向においてサイレンサ18の厚みの1/2程度がスペアタイヤパン13と重合するよう配置されている。
車両1の前方に配置される図示しないエンジンからの排気ガスは、排気管19によって車両1前方部分からサイレンサ18に供給される。排気管19は、燃料タンク17やペリメータフレーム14の下方を通って、サイレンサ18の車幅方向中央部分で且つ下方部分に接続している。
排気管19は、車両前側から、フロアパネル6下方において第2サブフレーム14b下方位置近傍まで側面視で水平状に延設される。排気管19は、蛇腹部19bを介して後方上側に上昇傾斜してサイレンサ18の前側下部と接続している。つまり、排気管19の屈曲部を蛇腹部19bによって形成している。尚、蛇腹部19bは、排気管19と一体形成しても良く、また、別部材を用いて形成しても良い。
本実施例2の後部装備品配設構造によれば、脆弱部を、排気管19に形成した蛇腹部19bによって構成するため、後突時、応答性良くサイレンサ18を車両1の下方領域に退避させることができ、クラッシュスペースを確実に且つ早期に確保することができる。しかも、排気管19の屈曲する部位に蛇腹部19bを設けているため、サイレンサ18の配置位置に拘わらず排気管19の取り回しが容易になり、成形性に優れている。
次に、図7に基づき、実施例3に係る車両の後部装備品配設構造を説明する。尚、図7は実施例1の図2相当図である。また、実施例1と同様の部材は、同一の符号を付している。
実施例1と相違する点は、実施例1の脆弱部が排気管19に形成された車両上下方向に屈曲する屈曲部19aであったのに対し、実施例3では、脆弱部を水平面上に湾曲形成された湾曲部によって形成した点である。
図7に示すように、車両1の後部構造は、左右両側部を車両前後方向に延設される左右一対のリアサイドフレーム8、No.4クロスメンバ10、No.5クロスメンバ11、No.6クロスメンバ12、スペアタイヤパン13を有している。
No.6クロスメンバ12の車両前後方向後側には、一方側のリアサイドフレーム8から他方側のリアサイドフレーム8の間に両リアサイドフレーム8に亙って延設されたサイレンサ18が設置される。
車両1の前方に配置される図示しないエンジンからの排気ガスは、排気管19によって車両1前方部分からサイレンサ18に供給される。排気管19は、燃料タンク17やペリメータフレーム14の下方を通って、サイレンサ18の車幅方向中央部分で且つ下方部分に接続している。
排気管19は、フロアパネル6下方においてNo.4クロスメンバ10の下方まで車幅方向中心部を側面視で水平状且つ平面視で直線状に延設している。排気管19は平面視で一端、車幅方向一方側に湾曲すると共に、第2サブフレーム14bに対応する地点で車幅方向他方側に湾曲して略車幅方向中心部に戻る湾曲部19cを構成している。つまり、サイレンサ18の前側の排気管19は、水平面上に湾曲する湾曲部19cが形成されている。
本実施例3の後部装備品配設構造によれば、脆弱部を、排気管19に水平面上に形成される湾曲部19cによって構成するため、後突時、湾曲部19cが車両前方側に屈曲できると共に応答性良くサイレンサ18を車両1側に退避させることができ、クラッシュスペースを確実に且つ早期に確保することができる。しかも、排気管19を、一対のリアサイドフレーム8間を利用して、湾曲部19cを配置するため、湾曲部19cの配置空間及び湾曲部19cの屈曲空間を車両上下方向の空間を使うことなく確保することができる。
次に、前記実施例を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施例においては、ステーションワゴンタイプの乗用車の例を説明したが、リアサイドフレームが長く、荷室フロア下方にスペアタイヤとサイレンサを備えるものであれば良く、ハッチバックタイプ等の乗用車についても適用可能であり、同様の効果を奏することができる。
1〕前記実施例においては、ステーションワゴンタイプの乗用車の例を説明したが、リアサイドフレームが長く、荷室フロア下方にスペアタイヤとサイレンサを備えるものであれば良く、ハッチバックタイプ等の乗用車についても適用可能であり、同様の効果を奏することができる。
2〕前記実施例においては、スペアタイヤは車両前後方向前側部分に対して後側部分が下方に位置するように後傾配置とした例を説明したが、略水平配置、或いは車両前後方向後側部分に対して前側部分が下方に位置するように構成することも可能である。
3〕前記実施例においては、サイレンサの正面視投影領域を、サイレンサの厚みの1/2程度がスペアタイヤパンと重合する例を説明したが、少なくとも、後突時、退避手段としてサイレンサが車両下方に移動できれば良く、他の退避手段との組み合わせによって重合領域を小範囲としても、同様の効果を奏することができる。
4〕前記実施例においては、脆弱部を屈曲部、蛇腹部及び湾曲部で形成する例を説明したが、少なくとも、後突時、サイレンサが車両前方に移動可能な構成であれば良く、他の構成も適用かのうである。
5〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
本発明は、少なくとも排気サイレンサとスペアタイヤ等、車両後部に配設された剛性を有する車両装備品の配設構造全般に利用することができ、特に、大型の排気サイレンサを搭載する車両に利用することができる。
1 車両
7 荷室フロアパネル
8 リアサイドフレーム
10 No.4クロスメンバ
12 No.6クロスメンバ
13 スペアタイヤパン
17 燃料タンク
18 サイレンサ
19 排気管
19a 屈曲部
19b 蛇腹部
19c 湾曲部
T スペアタイヤ
7 荷室フロアパネル
8 リアサイドフレーム
10 No.4クロスメンバ
12 No.6クロスメンバ
13 スペアタイヤパン
17 燃料タンク
18 サイレンサ
19 排気管
19a 屈曲部
19b 蛇腹部
19c 湾曲部
T スペアタイヤ
Claims (9)
- 車両の後部荷室の底面を形成する荷室フロアと、この荷室フロア下方で且つ車両前後方向に延びる左右一対のリアサイドフレームと、この一対のリアサイドフレームの間に配置された排気サイレンサとを有する車両の後部装備品配設構造において、
前記排気サイレンサは、前記一方側のリアサイドフレームから他方側のリアサイドフレームの間に両リアサイドフレームに亙って延設され、
前記排気サイレンサの車両前後方向前方且つ近接する荷室フロア下方位置に配置されたスペアタイヤを有すると共に、
前記排気サイレンサの正面視投影領域は、前記スペアタイヤと車両上下方向において少なくとも一部重合することを特徴とする車両の後部装備品配設構造。 - 前記スペアタイヤの上端部は、前記排気サイレンサの上端部と車両上下方向において略同一高さとされたことを特徴とする請求項1に記載の車両の後部装備品配設構造。
- 前記スペアタイヤは、車幅方向略中央領域に配設されたことを特徴とする請求項1または2に記載の車両の後部装備品配設構造。
- 前記排気サイレンサは、車両前後方向前側部分に対して後側部分が上方に位置するように前傾配置され、
前記スペアタイヤは、車両前後方向前側部分に対して後側部分が下方に位置するように後傾配置されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の車両の後部装備品配設構造。 - 前記スペアタイヤの車両前後方向前方側に燃料タンクを有し、
前記スペアタイヤと前記燃料タンクの間に前記一対のリアサイドフレームを車幅方向に連結する第1連結部材を設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載の車両の後部装備品配設構造。 - 車両前後方向後方側から衝突荷重が入力したとき、前記排気サイレンサを車両上下方向下方側に移動する退避手段を有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1つに記載の車両の後部装備品配設構造。
- 前記退避手段は、車両前後方向前側部分に対して後側部分が上方に位置するように前傾配置された前記排気サイレンサを含むことを特徴とする請求項6に記載の車両の後部装備品配設構造。
- 前記退避手段は、前記排気サイレンサから車両前後方向前方側に延びると共に、脆弱部を備えた排気管を含むことを特徴とする請求項6に記載の車両の後部装備品配設構造。
- 前記退避手段は、前記排気サイレンサと前記スペアタイヤの間に前記一対のリアサイドフレームを車幅方向に連結する第2連結部材を含むことを特徴とする請求項6に記載の車両の後部装備品配設構造。
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---|---|---|---|
JP2009061041A JP2010215005A (ja) | 2009-03-13 | 2009-03-13 | 車両の後部装備品配設構造 |
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Country Status (1)
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3470644A1 (en) | 2017-10-10 | 2019-04-17 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Exhaust system of internal combustion engine |
JP2020051363A (ja) * | 2018-09-27 | 2020-04-02 | 株式会社Subaru | 車両 |
WO2024014482A1 (ja) * | 2022-07-14 | 2024-01-18 | 三菱自動車工業株式会社 | 車両の後部構造 |
-
2009
- 2009-03-13 JP JP2009061041A patent/JP2010215005A/ja active Pending
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US10724421B2 (en) | 2017-10-10 | 2020-07-28 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Exhaust system of internal combustion engine |
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