以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
また、以下に示す項目の順序に従って当該「発明を実施するための最良の形態」を説明する。
〔1〕本発明の第1の実施形態の説明
〔1−1〕本実施形態にかかる無線通信システムの概要および目的
〔1−2〕本実施形態にかかる携帯機器のハードウェア構成
〔1−3〕本実施形態にかかる携帯機器の機能
〔1−3−1〕携帯機器の位置推定方法
〔1−3−2〕規定情報の登録
〔1−3−3〕規定情報に基づく送信制御
〔1−3−4〕携帯機器における他人の位置情報の表示例
〔1−4〕本実施形態にかかる携帯機器の動作
〔1−5〕本実施形態の変更例
〔2〕本発明の第2の実施形態の説明
〔2−1〕本実施形態の目的
〔2−2〕本実施形態に管理サーバの機能
〔2−3〕本実施形態に管理サーバの動作
〔3〕まとめ
〔1〕本発明の第1の実施形態の説明
〔1−1〕本実施形態にかかる無線通信システムの概要および目的
まず、本発明の第1の実施形態にかかる無線通信システム1の概要および目的について図1を参照して説明する。
図1は、本実施形態にかかる無線通信システム1の構成を示した説明図である。無線通信システム1は、携帯機器20A、携帯機器20B、携帯機器20C、および携帯機器20Dなどの無線通信装置を含み、各携帯機器20は通信網12を介して接続されている。
図1においては、携帯機器20Aとしてノート型PC(Personal Computer)を、携帯機器20Bとして携帯型ゲーム機を、携帯機器20Cとしてノート型PCを、携帯機器20Dとして携帯電話を示しているが、携帯機器20はかかる機器に限定されず、例えば、家庭用映像処理装置(DVDレコーダ、ビデオデッキなど)、PHS(Personal Handyphone System)、携帯用音楽再生装置、携帯用映像処理装置、PDA(Personal Digital Assistant)、家庭用ゲーム機器、家電機器などの情報処理装置であってもよい。
また、通信網12は、銅線または光ファイバーなどの有線ケーブルや、無線電波などのデータの伝送路、またはルータや通信を制御する基地局などのデータの中継機などを含んでもよい。
上記のような各携帯機器20には、自装置の位置を示す位置情報を取得する機能が実装されている。また、各携帯機器20は、取得した自装置の位置情報を通信網12を介して他の携帯機器20に送信、公開することができる。各携帯機器20が自身の位置情報を他の携帯機器20に公開することにより、例えば、携帯機器20Aのユーザは、友人である携帯機器20Bのユーザが近くにいることを把握して携帯機器20Bのユーザを食事に誘う、同僚である携帯機器20Cのユーザがある料亭に行ったことを把握して携帯機器20Cのユーザに該料亭の感想を尋ねる、あるいは友人である携帯機器20Dのユーザが会社で仕事中であることを把握して遊びの誘いを差し控えることなどが可能となる。すなわち、各携帯機器20が自装置の位置情報を公開すれば、各携帯機器20のユーザは他のユーザの位置情報を把握し、さらに、他のユーザとのコミュニケーションに他のユーザの位置情報を活用することも可能となる。
しかし、携帯機器20のユーザは、自身の自宅、職場、学校またはお気に入りのお店などの特定の位置をプライバシーの観点から第三者に特定されたくない場合がある。したがって、携帯機器20の存在位置に拘らず携帯機器20の位置情報が公開されるとすれば、携帯機器20のユーザにとって不都合が生じかねない。
そこで、上記のような事情を一着眼点として本発明の第1の実施形態を創作するに至った。本発明の第1の実施形態によれば、携帯機器20および携帯機器20のユーザの存在位置に関する情報の保護の拡充を図ることができる。以下、このような携帯機器20の構成および動作について詳細に説明する。
〔1−2〕本実施形態にかかる携帯機器のハードウェア構成
図2は、携帯機器20のハードウェア構成を示したブロック図である。携帯機器20は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、ホストバス204と、ブリッジ205と、外部バス206と、インタフェース207と、入力装置208と、出力装置210と、ストレージ装置(HDD)211と、ドライブ212と、通信装置215とを備える。
CPU201は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って携帯機器20内の動作全般を制御する。また、CPU201は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM202は、CPU201が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM203は、CPU201の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス204により相互に接続されている。
ホストバス204は、ブリッジ205を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス206に接続されている。なお、必ずしもホストバス204、ブリッジ205および外部バス206を分離構成する必要はなく、一のバスにこれらの機能を実装してもよい。
入力装置208は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイク、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU201に出力する入力制御回路などから構成されている。携帯機器20のユーザは、該入力装置208を操作することにより、携帯機器20に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
出力装置210は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置およびランプなどの表示装置と、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置で構成される。出力装置210は、例えば、再生されたコンテンツを出力する。具体的には、表示装置は再生された映像データ等の各種情報をテキストまたはイメージで表示する。一方、音声出力装置は、再生された音声データ等を音声に変換して出力する。
ストレージ装置211は、本実施形態にかかる携帯機器20の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置であり、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含むことができる。ストレージ装置211は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置211は、ハードディスクを駆動し、CPU201が実行するプログラムや各種データを格納する。また、このストレージ装置211には、後述の基地局情報、規定情報などを記憶する。
ドライブ212は、記憶媒体用リーダライタであり、携帯機器20に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ212は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体24に記録されている情報を読み出して、RAM203に出力する。
通信装置215は、例えば、通信網12に接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置215は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、ワイヤレスUSB対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。この通信装置215は、他の携帯機器20との間で、通信網12を介して、携帯機器20の位置情報、位置別名などの各種データを送受信する。
〔1−3〕本実施形態にかかる携帯機器の機能
図3は、本実施形態にかかる携帯機器20の構成を示した機能ブロック図である。当該携帯機器20は、通信部216と、情報取得部220と、記憶部224と、表示画面生成部228と、表示部232と、設定操作部236と、記録部240と、判断部244と、抽出部248と、送信制御部252と、を備える。以下、通信部216、情報取得部220、および記憶部224の機能に基づく携帯機器20の位置推定方法、表示画面生成部228、表示部232、および設定操作部236の機能に基づく規定情報の登録、判断部244、抽出部248、および送信制御部252の機能に基づく情報の送信制御、表示画面生成部228、および表示部232の機能に基づく他人の位置情報の表示例について説明する。
〔1−3−1〕携帯機器の位置推定方法
通信部216は、他の携帯機器20B、携帯機器20Cと位置情報や位置別名などの情報を送受信するインターフェースであって、送信部、受信部、送信装置としての機能を有する。また、通信部216は、基地局30から送信された信号を受信することができる。
基地局30は、WiFi(Wireless Fidelity)規格に基づくIEEE802.11シリーズ(例えば、802.11b、802.11gなど)の無線LAN(Local Area Network)の基地局であっても、GSM(Global System for Mobile Communications)の基地局であっても、携帯電話やPHS(Personal Handyphone System)の基地局であっても、Bluetoothなどの近距離無線基地局であっても、GPS(Global Positioning System)衛星であってもよい。
例えば基地局30がWiFiの基地局(アクセスポイント)である場合、基地局30は、無線通信を中継する際に送信する信号の他に、基地局30の存在を周囲に報知するためのビーコン信号を定期的に送信することができる。該ビーコン信号には、例えば基地局30に固有に付与される基地局識別情報としての基地局IDが含まれる。その結果、携帯機器20は、通信部216が受信したビーコン信号の基地局IDに基づいて、周囲に存在する基地局30の存在を確認することができる。
情報取得部220は、通信部216により周囲の各基地局30から受信された信号の受信強度を測定し、測定した基地局30ごとの受信強度に基づいて携帯機器20の存在位置を示す位置情報を取得する。情報取得部220が測定する受信強度について、図4および図5を参照して説明する。
図4は、携帯機器20と基地局30の位置関係の一例を示した説明図である。図5は、情報取得部220により測定された信号強度の一例を示した説明図である。図4に示した例では、携帯機器20の近隣に基地局30A、基地局30B、基地局30C、および基地局30Dが配されており、携帯機器20の通信部216は、基地局30A、基地局30B、基地局30C、および基地局30Dから送信された信号を受信することができる。なお、本明細書においては、説明の便宜のために、各基地局に付した符号が各基地局の基地局IDであるものとする。
また、情報取得部220は、図5に示したように、通信部216により受信された各基地局30から送信された信号の受信強度を測定する。図5には、基地局IDが「30A」である基地局30Aから送信された信号の受信強度が「−90Dbm」であり、基地局IDが「30B」である基地局30Bから送信された信号の受信強度が「−70Dbm」であり、基地局IDが「30C」である基地局30Cから送信された信号の受信強度が「−80Dbm」であり、基地局IDが「30D」である基地局30Dから送信された信号の受信強度が「−75Dbm」である場合を示している。
一方、記憶部224は、携帯機器20と無線通信を行う基地局30の基地局IDと、該基地局30の設置場所を示す位置情報と、を対応付けて基地局情報として記憶する。記憶部224が記憶する基地局情報の一例を、図6を参照して説明する。
図6は、記憶部224が記憶する基地局情報の一例を示した説明図である。図6に示したように、記憶部224は、基地局IDと、基地局が設置されている位置情報としての緯度および経度を対応付け、既知の基地局情報として記憶している。具体的には、基地局IDが「30A」である基地局30Aは、経度(東経)「135.001」、緯度(北緯)「35.49」に設置されているものとして記憶部224に記憶されている。
同様に、基地局IDが「30B」である基地局30Bは経度「135.002」、緯度「35.41」に、基地局IDが「30C」である基地局30Cは経度「135.003」、緯度「35.50」に、基地局IDが「30D」である基地局30Dは経度「135.002」、緯度「35.42」に設置されているものとして記憶部224に記憶されている。
なお、記憶部224に記憶される位置情報の形式は、緯度、経度を用いた形式に限られず、例えば、x、y座標を用いた形式であっても、極座標を用いた形式であっても、ベクトルを用いた形式であってもよい。
また、記憶部224は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、EPRPM(Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリや、ハードディスクおよび円盤型磁気媒体などの磁気ディスクや、CD−R(Compact Disk Recordable)/RW(ReWritable)、DVD−R(Digital Versatile Disk Recordable)/RW/+R/+RW/RAM(Ramdam Access Memory)およびBD(Blu−Ray Disc(登録商標))―R/BD−REなどの光ディスクや、MO(Magneto Optical)ディスクなどの記憶媒体で構成してもよい。
(位置情報の推定方法例)
情報取得部220は、測定した各基地局30から送信した信号の受信強度と、記憶部224に記憶されている基地局情報とを用い、例えば以下の数式1に基づいて携帯機器20の位置情報を推定し、取得する。
数式1において、Aiは記憶部224に登録されているi番目の基地局30の位置情報を示す。したがって、基地局情報が図6のように経度、緯度で表される場合、数式1を経度、緯度ごとに適用する。また、Wiは、数式2に示したように、信号強度から推定される携帯機器20およびi番目の基地局30間の距離を示すdistS(O,Ai)基づいて得られる重み係数である。また、Wは、数式3に示したように重み係数の総和である。
数式1を参照すると、distS(O,Ai)が小さい基地局30の位置情報は、推定される各測定時刻における携帯機器20の位置Oに大きく反映される。一方、distS(O,Ai)が大きい基地局30の位置情報は、推定される携帯機器20の位置Oに対する影響力が小さい。
情報取得部220は、このような数式1を用いることにより、携帯機器20の位置情報を合理的に推定することができる。また、情報取得部220は、推定した位置情報に基づいて「AB県C区5丁目」などの住所を取得することもできる。
(位置情報推定方法の変更例)
なお、携帯機器20の位置推定方法は上記数式1を用いる方法に限られず、例えば、携帯機器20における受信強度が最も高かった信号の送信元の基地局30の位置を携帯機器20の位置であると推定してもよい。また、携帯機器20における受信強度が所定の閾値以上であった信号の送信元の基地局の中心となるような位置を携帯機器20の位置であると推定してもよい。また、携帯機器20における受信強度の順位が上位10%、20%などの所定の割合に入る信号の送信元の基地局の中心となるような位置を携帯機器20の位置であると推定してもよい。また、携帯機器20における受信強度が上位5番、10番などの所定の順位に入る信号の送信元の基地局の中心となるような位置を携帯機器20の位置であると推定してもよい。
また、上記では情報取得部220がWiFiの基地局30から送信された信号の受信強度に基づいて携帯機器20の位置情報を推定する場合を説明したが、情報取得部220は、GPS衛星から送信された位置測位用電波に基づいて携帯機器20の位置情報を取得しても、携帯電話やPHSの基地局から送信された信号の受信強度に基づいて携帯機器20の位置情報を取得してもよい。
また、上記では携帯機器20において携帯機器20の位置情報の推定、取得を行なう場合を説明したが、本実施形態はかかる例に限られない。例えば携帯機器20は、情報取得部220が測定した基地局30ごと受信強度を、基地局情報を記憶している位置推定サーバ(図示せず)に送信し、位置推定サーバにおいて携帯機器20から受信した信号強度と、記憶している基地局情報に基づいて携帯機器20の位置情報を推定し、位置推定サーバにおいて推定された位置情報を受信するようにしてもよい。かかる構成において、携帯機器20の記憶部224に基地局情報を記憶させておく必要が無いため、記憶部224の記憶容量を削減することができる。
〔1−3−2〕規定情報の登録
続いて、携帯機器20が特定の位置に存在する場合、該特定の位置に応じた情報を通信部216に送信させるか否かを規定する規定情報の登録について、図7および図8を参照して説明する。
図7は、規定情報の登録画面の一例を示した説明図である。図8は、記憶部224に記録された規定情報の一例を示した説明図である。表示画面生成部228は、図7に示したような規定情報の登録画面300を生成し、表示部232が登録画面300を表示する。具体的には、規定情報の登録画面300は、「渋東区渋谷二丁目」という住所表示310と、別名公開選択表示320と、別名設定表示330と、位置公開選択表示340と、保存ボタン350と、キャンセルボタン360と、を含む。
別名公開選択表示320は、住所表示310の示す「渋東区渋谷二丁目」という位置情報を別形式で表現する送信用情報としての位置別名を通信部216に送信させるか否かを選択するための表示である。携帯機器20のユーザは設定操作部236を操作し、別名公開選択表示320のチェック欄(正方形領域)にチェックを入れて位置別名が送信されないようにし、別名公開選択表示320のチェック欄にチェックを入れず位置別名が送信されるようにすることができる。
別名設定表示330は、住所表示310の示す「渋東区渋谷二丁目」を別形式で表現する位置別名を設定するための表示である。携帯機器20のユーザは設定操作部236を操作し、別名設定表示330に位置別名を入力することができる。位置別名としては、例えば、自宅、会社、カフェなどの場所を表す情報や、帰宅中、会議中、暇中などの携帯機器20のユーザの状態を示す情報があげられる。
位置公開選択表示340は、住所表示310の示す「渋東区渋谷二丁目」の近辺に携帯機器20が存在する場合、「渋東区渋谷二丁目」という位置情報(あるいは、緯度、経度)を通信部216に送信させるか否かを選択するための表示である。携帯機器20のユーザは設定操作部236を操作し、位置公開選択表示340のチェック欄(正方形領域)にチェックを入れて位置情報が送信されないようにし、位置公開選択表示340のチェック欄にチェックを入れず位置情報が送信されるようにすることができる。図7に示した規定情報が登録されると、「渋東区渋谷二丁目」近辺では位置情報が公開されず、位置別名として「自宅」が公開される。
保存ボタン350は、規定情報の登録画面300に表示されている内容に規定情報を決定するための表示である。携帯機器20のユーザが設定操作部236を操作して保存ボタン350を選択すると、規定情報の登録画面300に表示されている内容の規定情報を記録部240が記憶部224に記録する。キャンセルボタン360は、規定情報の登録画面300をキャンセルするための表示であって、携帯機器20のユーザが設定操作部236を操作してキャンセルボタン360を選択すると、表示画面生成部228は規定情報の登録画面300の生成を中止し、表示部232から規定情報の登録画面300が消去される。
記録部240は、規定情報の登録画面300に対するユーザ操作に基づいて規定情報を記憶部224に記録する登録部としての機能を有し、記憶部224は記録部240により記録された規定情報を保持する。記憶部224は、例えば図8に示したように位置情報と対応付けて規定情報を記憶、保持する。
具体的には、緯度「35.6597」、経度「139.7019」という位置情報に、位置情報を非公開し、位置別名として「自宅」を公開するように規定する規定情報が対応付けられている。かかる規定情報は、緯度「35.6597」、経度「139.7019」に携帯機器20が存在する場合、緯度「35.6597」、経度「139.7019」という位置情報を非公開とし、「自宅」という位置別名を公開することを規定している。なお、かかる規定情報は、緯度「35.6597」、経度「139.7019」から所定の範囲内(例えば、半径100m以内)において有効であってもよい。
同様に、図8に示した例では、緯度「35.6259」、経度「139.7304」という位置情報に、位置情報を公開し、位置別名として「会社」を公開するように規定する規定情報も対応付けられている。かかる規定情報は、緯度「35.6259」、経度「139.7304」に携帯機器20が存在する場合、緯度「35.6259」、経度「139.7304」という位置情報を公開し、「会社」という位置別名も公開することを規定している。なお、規定情報に対応付けられる位置情報は、緯度、経度に限られず、住所であっても、建物、駅名などの固有名称であってもよい。また、規定情報に対応付けられる位置情報は、地図上の一点を示すものでなく、地図上の所定範囲を示す情報であってもよい。
〔1−3−3〕規定情報に基づく送信制御
続いて、記憶部224に記憶されている規定情報に基づく携帯機器20の存在位置に関する情報の送信制御について説明する。
判断部244は、情報取得部220により取得された携帯機器20の位置情報に対応する規定情報が記憶部224に記憶されているか否かを判断する。例えば、判断部244は、携帯機器20の位置情報が、緯度「35.6259」、経度「139.7304」であった場合、緯度「35.6259」、経度「139.7304」という位置情報が対応付けられている規定情報が記憶部224に記憶されているか否かを判断する。なお、判断部244は、携帯機器20の位置情報との差異が所定範囲内の位置情報が対応付けられている規定情報が記憶部224に記憶されているか否かを判断してもよい。
抽出部248は、情報取得部220により取得された携帯機器20の位置情報に対応する規定情報が記憶部224に記憶されていると判断部244により判断された場合、携帯機器20の位置情報に対応する規定情報を記憶部224から抽出する。
送信制御部252は、抽出部248により抽出された規定情報に基づき、通信部216からの携帯機器20の位置に応じた情報の送信を制御する。具体的には、送信制御部252は、抽出部248により抽出された規定情報に、位置情報の公開を禁止する旨の規定が含まれていた場合、通信部216に携帯機器20の位置情報を送信させない。また、送信制御部252は、抽出部248により抽出された規定情報に位置別名が含まれていた場合、通信部216に規定情報に含まれる位置別名を送信させる。通信部216からの位置情報、または位置別名の送信先は、あらかじめグループ登録されている携帯機器20Bや20Cなどの無線通信装置であってもよい。
また、送信制御部252は、情報取得部220により取得された携帯機器20の位置情報に対応する規定情報が記憶部224に記憶されていないと判断部244により判断され、抽出部248により携帯機器20の位置情報に対応する規定情報が記憶部224から抽出されなかった場合、携帯機器20の位置情報を通信部216に送信させても、送信させなくてもよい。上記の説明から分かるように、携帯機器20の位置に応じた情報は、携帯機器20の位置情報、または規定情報に含まれる位置別名を含む。
したがって、送信制御部252は、通信部216に携帯機器20の位置情報のみを送信させる場合、通信部216に携帯機器20の位置別名のみを送信させる場合、通信部216に携帯機器20の位置情報および位置別名の双方を送信させる場合、通信部216に携帯機器20の位置情報および位置別名のいずれも送信させない場合がある。
なお、規定情報は、規定情報の有効期間を示す有効期間情報を含み、抽出部248は、情報取得部220により取得された位置情報に対応し、有効期間内である規定情報を記憶部224から抽出してもよい。ここで、携帯機器20のユーザは、特定の場所に、特定の時間帯にいることを第三者に公開したくない場合がある。例えば、携帯機器20のユーザは、平日は職場にいることを第三者に公開してもよいが、休日に職場にいることを第三者に公開したくない場合がある。
このような場合、職場における位置情報の送信を禁止する旨の規定情報に休日を示す有効期間情報を含ませておけば、送信制御部252は、携帯機器20のユーザの職場に休日に携帯機器20が存在するときに位置情報の送信を禁止することができる。すなわち、規定情報に有効期間を設けることにより、携帯機器20の位置および現在時刻に応じて携帯機器20の位置情報を公開するか否かを制御できるため、携帯機器20の存在位置、すなわち携帯機器20のユーザの存在位置に関する情報の保護の一層の拡充を図ることができる。
〔1−3−4〕携帯機器における他人の位置情報の表示例
続いて、他の携帯機器20Bや携帯機器20Cなどの存在位置に関する情報の携帯機器20における表示例を図9および図10を参照して説明する。
図9は、他の携帯機器20Bや携帯機器20Cなどの存在位置に関する情報の表示例を示した説明図である。図9に示した位置表示画面400は、現在位置表示410と、ユーザ位置表示420〜490を含む。なお、当該位置表示画面400は携帯機器20の表示画面生成部228により生成され、表示部232に表示される。また、以下では説明の便宜のため、他の携帯機器に符号21を付して説明する。
ユーザ位置表示420は、「Five」というユーザが利用する携帯機器21が「渋東区桜丘町」という位置情報の示す位置に存在し、携帯機器20から284m隔てた位置に存在することを示している。なお、ユーザ位置表示420の最左部に付したアイコンは、「Five」というユーザが利用する携帯機器21がオンライン状態であることを示している。
また、ユーザ位置表示430は、「Taro」というユーザが利用する携帯機器21が「港北区南青山五丁目」という位置情報の示す位置に存在し、携帯機器20から1.1km隔てた位置に存在することを示している。なお、ユーザ位置表示430の最左部に付したアイコンは、「Taro」というユーザが利用する携帯機器21がオフライン状態であることを示している。
また、ユーザ位置表示440は、「Smile」というユーザが「ランチ」をしており、「Smile」というユーザが利用する携帯機器21が携帯機器20から2.7km隔てた位置に存在することを示している。なお、携帯機器21から位置情報を受信せず、位置別名のみを受信している場合、携帯機器21と携帯機器20との距離は表示されないようにしてもよい。
また、ユーザ位置表示450は、「Buli」というユーザが「会社」におり、「Buli」というユーザが利用する携帯機器21が携帯機器20から4.4km隔てた位置に存在することを示している。なお、ユーザ位置表示450の最左部に付したアイコンは、「Buli」というユーザが利用する携帯機器21がオンライン状態であるものの所定期間操作されていないことを示している。
同様に、ユーザ位置表示460は、「Peco」というユーザが「ご台場」におり、「Peco」というユーザが利用する携帯機器21が携帯機器20から8km隔てた位置に存在することを示している。また、ユーザ位置表示470は、「Kuro」というユーザが「出張」しており、「Kuro」というユーザが利用する携帯機器21が携帯機器20から366km隔てた位置に存在することを示している。
また、ユーザ位置表示480およびユーザ位置表示490は、位置情報および位置別名のいずれも含まない。したがって、ユーザ位置表示480およびユーザ位置表示490からは、「Seven」というユーザの利用する携帯機器21および「Shiro」というユーザが利用する携帯機器21の存在位置に関する情報は不明である。
このように、他のユーザのユーザ位置表示を、他のユーザが利用する携帯機器21と携帯機器20との距離の順にソートして表示部232に表示することができる。一方、他のユーザの位置を、図10に示すように地図画面に重畳させて表示部232に表示することもできる。
図10は、他の携帯機器21の存在位置に関する情報の他の表示例を示した説明図である。図10に示したように、表示画面生成部228は、通信部216を介して受信した他の携帯機器21の位置情報に基づき、地図画面に他の携帯機器21の位置を示すユーザ位置表示52〜55を重畳させた位置表示画面50を生成し、表示部232に表示させることができる。
また、ユーザ位置表示56は、通信部216が位置情報を受信していない携帯機器21のユーザを示している。具体的には、図10においては、ユーザ位置表示56に含まれる「Seven」というユーザと「Shiro」というユーザが利用する携帯機器21の位置情報が不明であることを示している。
〔1−4〕本実施形態にかかる携帯機器の動作
続いて、図11を参照して本実施形態にかかる携帯機器20において実行される無線通信方法を説明する。
図11は、本実施形態にかかる携帯機器20において実行される無線通信方法の流れを示したフローチャートである。まず、携帯機器20の記録部240は、設定操作部236に対するユーザ操作に基づいて規定情報を記憶部224に記録する(S504)。すなわち、記録部240は設定操作部236に対するユーザ操作に基づいて規定情報を設定する。
そして、情報取得部220が携帯機器20の現在位置を示す位置情報を取得する(S508)。続いて、判断部244が携帯機器20の位置情報に対応する規定情報が記憶部224に記憶されているか否かを判断する(S512)。携帯機器20の位置情報に対応する規定情報が記憶部224に記憶されていないと判断部244により判断されると、送信制御部252は通信部216に携帯機器20の位置情報を送信させる(S516)。
S512において携帯機器20の位置情報に対応する規定情報が記憶部224に記憶されていると判断されると、抽出部248が携帯機器20の位置情報に対応する規定情報を記憶部224から抽出する(S520)。そして、送信制御部252は、抽出された規定情報に基づいて携帯機器20の位置情報を公開するか否かを判断する(S524)。送信制御部252は、位置情報を公開すると判断した場合、抽出された規定情報に位置別名が含まれるか否かを判断する(S528)。送信制御部252は、抽出された規定情報に位置別名が含まれていないと判断した場合、S516に進み位置情報のみを通信部216に送信させる。
一方、送信制御部252は、抽出された規定情報に位置別名が含まれていると判断した場合、携帯機器20の位置情報および規定情報に含まれる位置別名を通信部216に送信させる(S532)。
S524において送信制御部252が携帯機器20の位置情報を公開しないと判断した場合、送信制御部252は、抽出された規定情報に位置別名が含まれるか否かを判断する(S536)。送信制御部252は、抽出された規定情報に位置別名が含まれると判断した場合、通信部216に抽出された規定情報に含まれる位置別名を送信させる(S540)。一方、送信制御部252は、抽出された規定情報に位置別名が含まれないと判断した場合、通信部216に位置情報および位置別名のいずれの送信も禁止する(S544)。
図12は、通信部216から送信される情報の具体例を示した説明図である。図11におけるS516の処理が実行される場合、すなわち送信制御部252が位置情報のみを通信部216に送信させる場合、例えば図12(a)に示したように「渋東区渋谷二丁目 経度35.6597 経度139.0719」という位置情報のみが通信部216から送信される。
また、図11におけるS532の処理が実行される場合、すなわち送信制御部252が位置情報および位置別名の双方を通信部216に送信させる場合、例えば図12(b)に示したように、「自宅」という位置別名と、「渋東区渋谷二丁目 経度35.6597 経度139.0719」という位置情報の双方が通信部216から送信される。
また、図11におけるS540の処理が実行される場合、すなわち送信制御部252が位置別名のみを通信部216に送信させる場合、例えば図12(c)に示したように、「自宅」という位置別名のみが通信部216から送信される。また、図11におけるS544の処理が実行される場合、すなわち送信制御部252が位置情報および位置別名のいずれの送信も禁止する場合、図12(d)に示したように、通信部216から位置情報および位置別名のいずれも送信されない。
以上説明したように、本発明の第1の実施形態にかかる携帯機器20は、携帯機器20の位置を示す位置情報を情報取得部220が取得する。また、通信部216からの携帯機器20の位置に応じた情報を規定する規定情報が記憶部224に任意の位置情報と対応付けて記憶されており、抽出部248は携帯機器20の位置情報に対応する規定情報を記憶部224から抽出し、送信制御部252が抽出された規定情報に従って通信部216からの携帯機器20の位置に応じた情報の送信を制御する。すなわち、当該携帯機器20は、自装置の位置に基づいて、自装置の位置に応じた情報の送信を制御することができる。
また、規定情報は、携帯機器20の位置情報を通信部216に送信させるか否かを規定する情報を含み、送信制御部252は、抽出部248により抽出された規定情報に従い、通信部216から携帯機器20の位置情報を送信させるか否かを制御することができる。したがって、当該携帯機器20は、自装置の存在位置、すなわち携帯機器20の利用者の存在位置に応じて自装置の位置情報を送信するか否かを制御できるため、携帯機器20および携帯機器20の利用者の存在位置に関する情報の保護の拡充を図ることができる。
また、規定情報は、記憶部224において対応付けられている位置情報を別形式で表現する位置別名を含み、送信制御部252は、抽出部により抽出された規定情報に含まれる位置別名を通信部216に送信させることができる。したがって、送信制御部252が規定情報に基づいて位置別名を通信部216に送信させれば、第三者に当該系の位置情報を公開することなく、当該携帯機器20の位置に応じた情報を公開することができる。
〔1−5〕本実施形態の変更例
なお、上記では、携帯機器20の位置を示す情報を位置情報の一例として説明したが、位置情報はかかる情報に限定されない。すなわち、情報取得部220が取得する情報、記憶部224が規定情報と対応付けて記憶している情報は、位置を示す情報に限定されない。例えば、位置情報は、ある位置で固有に得られる情報であってもよい。すなわち、情報取得部220は携帯機器20の位置で固有に得られる情報を取得し、抽出部248が携帯機器20の位置で固有に得られる情報に対応する規定情報を記憶部224から抽出してもよい。以下、図13および図14を参照して詳細に説明する。
携帯機器20がある位置で複数の基地局30から受信する信号の強度パターン(無線状況)は、該位置で固有の無線状況であって、他の位置で同一の無線状況が得られる場合は少ない。したがって、携帯機器20の無線状況を取得すれば、ほぼ一義的に携帯機器20の位置を推定することができる。当該変更例は、このように、ある位置では固有の無線状況が得られるという事情に基づいて提案されるものである。
当該変更例では、記憶部224は、例えば図13に示す無線状況を、位置別名を含む規定情報と対応付けて事前に記憶している。
図13は、記憶部224が記憶している規定情報の一例を示した説明図である。図13に示したように、「自宅」、「会社」などの位置別名は、無線状況としての基地局30ごとの受信強度に各々対応付けられている。具体的には、「自宅」という位置別名は、基地局IDが「30A」である基地局30Aから送信された信号の受信強度が「−90Dbm」であって、基地局IDが「30B」である基地局30Bから送信された信号の受信強度が「−70Dbm」であって、基地局IDが「30C」である基地局30Cから送信された信号の受信強度が「−80Dbm」であって、基地局IDが「30D」である基地局30Dから送信された信号の受信強度が「−75Dbm」である無線状況に対応付けられている。同様に、「会社」および「たまり場」という位置別名も、複数の基地局IDと受信強度の組合せを含む無線状況に対応付けられている。
情報取得部220は、周囲の基地局30から送信された信号の受信強度を、基地局30ごとに測定する。そして、基地局IDと受信強度の組合せを含む携帯機器20の無線状況を取得する。
判断部244は、情報取得部220が取得した携帯機器20の無線状況と一致または類似する無線状況に対応付けられている規定情報が記憶部224に記憶されているか否かを判断する。抽出部248は携帯機器20の無線状況と一致または類似する無線状況に対応付けられている規定情報を記憶部224から抽出する。
ここで、無線状況Aと無線状況Bの類比判断を行なう場合の手法を例示する。
(1)無線状況Aに含まれる基地局IDと無線状況Bに含まれる基地局IDとが所定数以上一致した場合に無線状況Aと無線状況Bが一致または類似すると判断し、無線状況Aに含まれる基地局IDと無線状況Bに含まれる基地局IDとが所定数以上一致しない場合に無線状況Aと無線状況Bが一致または類似しないと判断する。
(2)無線状況Aに含まれる受信強度が所定値以上の基地局IDと、無線状況Bに含まれる受信強度が所定値以上の基地局IDとが所定数以上一致した場合に無線状況Aと無線状況Bが一致または類似すると判断し、無線状況Aに含まれる受信強度が所定値以上の基地局IDと、無線状況Bに含まれる受信強度が所定値以上の基地局IDとが所定数以上一致しない場合に無線状況Aと無線状況Bが一致または類似しないと判断する。
(3)無線状況Aと無線状況Bの基地局IDおよび受信強度の集合間での相関係数を計算し、相関係数が設定値以上であれば無線状況Aと無線状況Bが一致または類似すると判断し、相関係数が設定値以下であれば無線状況Aと無線状況Bが一致または類似しないと判断する。
(4)その他、任意の手法、任意の基準を用いて無線状況Aと無線状況Bの類比判断を行なうことができる。
送信制御部252は、抽出部248により抽出された規定情報に含まれる位置別名を通信部216に送信させる。したがって、記憶部224に例えば「自宅」という位置別名を含む規定情報と、自宅の無線状況とを対応付けて記憶させておけば、携帯機器20が自宅に存在する場合、情報取得部220が自宅における無線状況を取得し、抽出部248が「自宅」という位置別名を含む規定情報を記憶部224から抽出し、送信制御部252は通信部216に「自宅」という位置別名を送信させることができる。
かかる構成によれば、携帯機器20が周囲の基地局30から受信した信号の基地局30ごとの受信強度に基づいて携帯機器20の位置を推定する過程が不要となる。したがって、携帯機器20において各基地局30の基地局情報を記憶している必要や、携帯機器20の位置を推定する位置推定サーバに現在位置を問い合わせる必要が無くなり、携帯機器20のハードウェア規模および処理負荷の削減などを図ることができる。
図14は、このような本実施形態の変更例の流れを示したフローチャートである。まず、通信部216は、周囲の各基地局30から送信された信号を受信する(S554)。そして、情報取得部220は、通信部216が受信した信号に基づいて携帯機器20の無線状況を取得する。続いて、判断部244が、携帯機器20の無線状況と一致、または類似する無線状況が記憶部224に記憶されているか否かを判断する(S558)。
携帯機器20の無線状況と一致、または類似する無線状況が記憶部224に記憶されていないと判断された場合、送信制御部252は通信部216に携帯機器20の位置に関する情報を送信させない(S562)。一方、携帯機器20の無線状況と一致、または類似する無線状況が記憶部224に記憶されていると判断された場合、送信制御部252は、携帯機器20の無線状況と一致、または類似する無線状況に対応付けられている規定情報に含まれる位置別名を通信部216に送信させる(S566)。
なお、図3に示した携帯機器20における各構成は、必ずしも単一の装置に実装される必要はなく、分離構成された複数の装置に実装されてもよい。例えば、情報取得部220が実装される装置が、記憶部224、判断部244、抽出部248、および送信制御部252が実装される装置と分離構成されていてもよい。
〔2〕本発明の第2の実施形態の説明
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。具体的には、本発明の第2の実施形態の目的、本発明の第2の実施形態にかかる管理サーバの機能、および動作について図15〜図20を参照して説明する。
〔2−1〕本実施形態の目的
第1の実施形態によれば、携帯機器20の存在位置、すなわち携帯機器20のユーザの存在位置に応じて携帯機器20の位置情報を公開するか否かを制御することができた。しかし、携帯機器20と例えば数100km隔てた位置に存在する他の携帯機器21に携帯機器20の位置情報を公開しても、携帯機器21において携帯機器20の位置情報を有効活用できない場合が多い。
そこで、上記のような事情を一着眼点として本発明の第2の実施形態を創作するに至った。本発明の第2の実施形態にかかる管理サーバ40によれば、携帯機器20と他の携帯機器21との距離に応じ、携帯機器20の位置情報を他の携帯機器21に送信するか否かを制御することができる。以下、このような情報処理装置の一例としての管理サーバ40について詳細に説明する。
〔2−2〕本実施形態に管理サーバの機能
図15は、本実施形態にかかる無線通信システム2の構成例を示した説明図である。図15に示したように、本実施形態においては、各携帯機器20が管理サーバ40を介して接続されている。
図16は、本実施形態にかかる携帯機器20と管理サーバ40の構成を示した機能ブロック図である。携帯機器20は、通信部216と、情報取得部220と、記憶部224と、表示画面生成部228と、表示部232と、設定操作部236と、を備え、情報処理装置の一例としての管理サーバ40は、通信部266と、情報取得部270と、算出部272と、記憶部274と、送信制御部276と、を備える。
管理サーバ40は、携帯機器20と携帯機器21との距離が所定の閾値を上回っている場合は携帯機器20の位置情報を携帯機器21に送信せず、携帯機器20と携帯機器21との距離が所定の閾値を下回っている場合は携帯機器20の位置情報を携帯機器21にする。携帯機器20は、上記所定の閾値を設定することができる。携帯機器20において上記所定の閾値を設定する方法を図17を用いて説明する。
図17は、規定情報の登録画面600の一例を示した説明図である。規定情報の登録画面600は、表示画面生成部228により生成され、表示部232に表示される画面である。図17に示した例では、規定情報の登録画面600は、「渋東区渋谷二丁目」という住所表示610と、別名公開選択表示620と、別名設定表示630と、公開範囲設定表示640と、保存ボタン650と、キャンセルボタン660と、を含む。住所表示610と、別名公開選択表示620と、別名設定表示630は、図7を参照して説明した住所表示310と、別名公開選択表示320と、別名設定表示330と、実質的に同一であるため、説明を省略する。
公開範囲設定表示640は、公開選択表示642と、範囲設定表示644と、を含む。公開選択表示642は、携帯機器20の位置情報を公開するか否かを選択するための表示である。図17に示した例では、公開選択表示642にチェックが付されており、携帯機器20の位置情報を公開することが選択されている。
範囲設定表示644は、公開選択表示642において携帯機器20の位置情報の公開が選択されている場合、どの範囲に存在する他の携帯機器21に携帯機器20の位置情報を公開するかを設定するための表示である。図17に示した例では、携帯機器20から、範囲設定表示644において設定された距離の範囲内にある他の携帯機器21に位置情報が公開される。すなわち、管理サーバ40は、携帯機器20の位置情報を、携帯機器20と所定の閾値の距離範囲内にある携帯機器21に公開し、範囲設定表示644は、該所定の閾値を設定するための表示である。
保存ボタン650は、規定情報の登録画面600に表示されている内容に規定情報を決定するための表示である。携帯機器20のユーザが設定操作部236を操作して保存ボタン650を選択すると、規定情報の登録画面600に表示されている内容の規定情報を通信部216が管理サーバ40に送信する。そして、管理サーバ40は携帯機器20から受信した規定情報を記憶部274に記憶する。キャンセルボタン660は、規定情報の登録画面600をキャンセルするための表示であって、携帯機器20のユーザが設定操作部236を操作してキャンセルボタン660を選択すると、表示画面生成部228は規定情報の登録画面600の生成を中止し、表示部232から規定情報の登録画面600が消去される。
管理サーバ40の記憶部274は、各携帯機器20から受信した規定情報を、図18に示すように記憶する。
図18は、管理サーバ40の記憶部274に記憶される規定情報の一例を示した説明図である。図18に示したように、管理サーバ40は、各携帯機器20を識別する機器IDと、基準位置と、位置情報公開範囲を対応付けて記憶する。
図18に示した例では、機器IDが「1」である携帯機器20が緯度「35.0012」、経度「135.012」に存在する場合、携帯機器20との距離が500m以内である携帯機器21に携帯機器20の位置情報を送信する旨の規定情報、機器IDが「2」である携帯機器20が緯度「35.0110」、経度「135.024」に存在する場合、携帯機器20との距離が10km以内である携帯機器21に携帯機器20の位置情報を送信する旨の規定情報、機器IDが「3」である携帯機器20が緯度「35.0005」、経度「135.002」に存在する場合、携帯機器20との距離が1km以内である携帯機器21に携帯機器20の位置情報を送信する旨の規定情報、を含む。
なお、管理サーバ40の記憶部274は、携帯機器20の記憶部224と同様に、例えば、EEPROM、EPRPMなどの不揮発性メモリや、ハードディスクおよび円盤型磁気媒体などの磁気ディスクや、CD−R/RW、DVD−R/RW/+R/+RW/RAMおよびBD(登録商標)―R/BD−REなどの光ディスクや、MOディスクなどの記憶媒体であってもよい。
管理サーバ40の情報取得部270は、各携帯機器20から、各携帯機器20の位置を推定可能な情報(例えば、各携帯機器20の位置情報、無線状況など)を取得する。算出部272は、情報取得部270が取得した各携帯機器20の位置を推定可能な情報に基づき、各携帯機器20間の距離を算出する。
送信制御部276は、算出部により算出された各携帯機器20間の距離と、記憶部274に記憶されている規定情報とに基づき、通信部266に送信させる情報を制御する。例えば、機器IDが「1」である携帯機器20が、緯度「35.0012」、経度「135.012」に存在し、機器IDが「5」である携帯機器21と1km離れていた場合、送信制御部276は、通信部266から携帯機器21に対する携帯機器20の位置情報の送信を禁止し、携帯機器20の位置別名のみを送信させてもよい。
なお、上記では規定情報に携帯機器20の基準位置が含まれる場合を説明したが、必ずしも規定情報に携帯機器20の基準位置が含まれる必要は無い。すなわち、管理サーバ40は、携帯機器20の位置に拘らず、携帯機器20と他の携帯機器21との距離のみに基づき、携帯機器20の位置情報を他の携帯機器21に公開するか否かを制御してもよい。
〔2−3〕本実施形態に管理サーバの動作
続いて、本実施形態にかかる携帯機器20および管理サーバ40において実行される情報処理方法について、図19および図20を参照して説明する。
図19は、本実施形態にかかる携帯機器20の動作の流れを示したフローチャートである。まず、携帯機器20は、規定情報として、設定操作部236に対するユーザ操作に基づいて設定された位置情報の公開範囲を管理サーバ40に送信する(S704)。続いて、情報取得部220が携帯機器20の位置情報を取得する(S708)。その後、通信部216が、携帯機器20の機器IDと、位置情報を管理サーバ40に送信する(S712)。ここで、携帯機器20は、携帯機器20の位置別名も管理サーバ40に送信してもよい。
図20は、本実施形態にかかる管理サーバ40において実行される情報処理方法の流れを示したフローチャートである。まず、管理サーバ40は、各携帯機器20から位置情報の公開範囲を規定情報として受信し、記憶部274が記憶する(S750)。続いて、情報取得部270は、各携帯機器20の位置情報および機器IDを受信する(S754)。
その後、算出部272は、各携帯機器20間の距離を、情報取得部270が受信した各携帯機器20の位置情報に基づいて算出する(S758)。そして、送信制御部276は、ある携帯機器Aと、他の携帯機器間の距離が携帯機器Aの位置情報の公開範囲内であるか否かを、記憶部274に記憶されている規定情報に基づいて判断する(S762)。ある携帯機器Aと、他の携帯機器間の距離が携帯機器Aの位置情報の公開範囲内でないと判断された場合、送信制御部276は他の携帯機器として未処理の携帯機器のいずれかを抽出し、S762の処理に戻る(S766)。
S762において、ある携帯機器Aと、他の携帯機器間の距離が携帯機器Aの位置情報の公開範囲内であると判断されると、送信制御部276は、通信部266から他の携帯機器に、携帯機器Aの位置情報を送信させる(S770)。その後、送信制御部276は、携帯機器Aの他の全ての携帯機器について処理が終了したか否かを判断する(S774)。携帯機器Aの他の全ての携帯機器について処理が終了していない場合はS766に戻り、携帯機器Aの他の全ての携帯機器について処理が終了している場合は、当該情報処理方法を終了する。なお、送信制御部276は、携帯機器Aの位置別名を取得されている場合、携帯機器Aと他の携帯機器との距離に拘らず、携帯機器Aの位置別名を他の携帯機器に送信してもよい。
〔3〕まとめ
以上説明したように、本発明の第1の実施形態にかかる携帯機器20は、自装置の存在位置、すなわち携帯機器20の利用者の存在位置に応じて自装置の位置情報を送信するか否かを制御できるため、携帯機器20および携帯機器20の利用者の存在位置に関する情報の保護の拡充を図ることができる。また、規定情報は、記憶部224において対応付けられている位置情報を別形式で表現する位置別名を含み、送信制御部252は、抽出部により抽出された規定情報に含まれる位置別名を通信部216に送信させることができる。したがって、送信制御部252が規定情報に基づいて位置別名を通信部216に送信させれば、第三者に当該系の位置情報を公開することなく、当該携帯機器20の位置に応じた情報を公開することができる。
また、本発明の第1の実施形態にかかる携帯機器20は、携帯機器20が周囲の基地局30から受信した信号の基地局30ごとの受信強度に基づいて携帯機器20の位置を推定する過程を必ずしも必要としない。したがって、携帯機器20において各基地局30の基地局情報を記憶している必要や、携帯機器20の位置を推定する位置推定サーバに現在位置を問い合わせる必要が無くなり、携帯機器20のハードウェア規模および処理負荷の削減などを図ることができる。
また、本発明の第2の実施形態にかかる管理サーバ40は、携帯機器20と他の携帯機器21との距離に応じ、携帯機器20の位置情報を他の携帯機器21に送信するか否かを制御することができる。
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、本明細書の携帯機器20および管理サーバ40の処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むとしてもよい。
また、第2の実施形態の説明においては、携帯機器20の位置情報の他の携帯機器21への送信を管理サーバ40が行なう場合を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、管理サーバ40が携帯機器20と携帯機器21間の距離を算出し、算出した距離が携帯機器20の位置情報の公開範囲内であった場合、携帯機器20に携帯機器21への位置情報の送信を許可し、携帯機器20が携帯機器21に対して自装置の位置情報を送信するようにしてもよい。
また、携帯機器20、管理サーバ40に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアを、上述した携帯機器20、管理サーバ40の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。また、図3および図16の機能ブロック図で示したそれぞれの機能ブロックをハードウェアで構成することで、一連の処理をハードウェアで実現することもできる。