JP2010210497A - 液体クロマトグラフィー用充填剤、及び生体高分子の分離精製方法 - Google Patents
液体クロマトグラフィー用充填剤、及び生体高分子の分離精製方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】基材がアルコール性水酸基を基材表面に有し、スペーサーがアルコール性水酸基を有する合成高分子又は多糖類であり、リガンドが下記式(1)
(Rは芳香族基又は炭素数5〜7個の非イオン性脂肪族基)で示されるα−アミノ酸及びアミノメチル安息香酸からなる群より選ばれる1種又は2種以上であり、基材に直接固定化されたリガンドが上記式(1)で示されるα−アミノ酸又はアミノメチル安息香酸に含まれるアミノ基を介してアミド結合又はウレタン結合で上記基材に固定化されており、スペーサーを介して基材に固定化されたリガンドが上記式(1)で示されるα−アミノ酸又はアミノメチル安息香酸に含まれるアミノ基を介してアミド結合又はウレタン結合で上記スペーサーに固定化されている液体クロマトグラフィー用充填剤。
【選択図】なし
Description
(1)基材が、アルコール性水酸基を基材表面に有する親水性の基材であり、
(2)スペーサーが、アルコール性水酸基を有する合成高分子又は多糖類であり、
(3)リガンドが、下記式(1)
で示されるα−アミノ酸、及びアミノメチル安息香酸からなる群より選ばれる1種又は2種以上であり、
(4)基材に直接固定化されたリガンドが、上記式(1)で示されるα−アミノ酸又はアミノメチル安息香酸に含まれるアミノ基を介して、アミド結合又はウレタン結合で、上記基材に固定化されており、
(5)スペーサーを介して基材に固定化されたリガンドが、上記式(1)で示されるα−アミノ酸又はアミノメチル安息香酸に含まれるアミノ基を介して、アミド結合又はウレタン結合で、上記スペーサーに固定化されており、かつ
(6)基材に固定化されたリガンドの量が、液体クロマトグラフィー用充填剤1リットル(湿潤容量)当たり30ミリモル以上である、液体クロマトグラフィー用充填剤。
[4]基材が多孔性粒子であって、その排除限界分子量がプルラン換算で10万以上であることを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の液体クロマトグラフィー用充填剤。
(1)基材が、アルコール性水酸基を基材表面に有する親水性の基材であり、
(2)スペーサーが、アルコール性水酸基を有する合成高分子又は多糖類であり、
(3)リガンドが、下記式(1)
で示されるα−アミノ酸、及びアミノメチル安息香酸からなる群より選ばれる1種又は2種以上であり、
(4)基材に直接固定化されたリガンドが、上記式(1)で示されるα−アミノ酸又はアミノメチル安息香酸に含まれるアミノ基を介して、アミド結合又はウレタン結合で、上記基材に固定化されており、
(5)スペーサーを介して基材に固定化されたリガンドが、上記式(1)で示されるα−アミノ酸又はアミノメチル安息香酸に含まれるアミノ基を介して、アミド結合又はウレタン結合で、上記スペーサーに固定化されており、かつ
(6)基材に固定化されたリガンドの量が、液体クロマトグラフィー用充填剤1リットル(湿潤容量)当たり30ミリモル以上である、液体クロマトグラフィー用充填剤である。
親水化基材のゲルスラリー水溶液を用い、内径10.7mm、長さ150mmのステンレス製カラムに最密充填になるように当該基材を充填した。次に、RI−8020検出器(東ソー社製)を装備したHPLCシステム(東ソー社製)に当該充填カラムを装着した。
その表面にアルコール性水酸基を有するメタクリル酸エステル系多孔性充填剤[トヨパール HW−65C(東ソー社製)]を、グラスフィルター上で、純水で懸濁とろ過を繰返し洗浄し、当該基材スラリーの純水を吸引ろ過により除去して、サクションドライ・ゲルケーキを用意した。
中間基材1(サクションドライ・ゲルケーキ)10グラムを15ミリリットルの純水に懸濁し、グラスフィルター付内径20ミリメートルのガラスカラムに注ぎ、吸引ろ過で溶媒を除去した。形成したベット(カラムに堆積した充填剤部分)の高さから基材の容積を測定しておいた。これとは別に中間基材1(サクションドライ・ゲルケーキ)を5グラム取り、50℃で減圧乾燥し、重量を測定した。この乾燥ゲルと2モル/リットルの塩酸20ミリリットルを還流冷却器付きの100ミリリットルの三角フラスコに入れ、90℃150分間デキストランを加水分解した。反応後基材をグラスフィルター上で、純水で懸濁とろ過を繰返し洗浄し、再び50℃で減圧乾燥し、重量を測定した。加水分解前後の基材の乾燥重量の差からデキストラン固定化量を求めた。測定結果を表2に示す。
洗浄済の充填剤1(サクションドライ・ゲルケーキ)10グラムを15ミリリットルの純水に懸濁し、グラスフィルター付内径20ミリメートルのガラスカラムに注ぎ、吸引ろ過で溶媒を除去した。形成したベット(カラムに堆積した充填剤部分)のうち、10ミリリットル以上の充填剤部分を除去し(すなわち、カラム内の充填剤を10ミリリットルとし)、0.5モル/リットル塩酸30ミリリットルで2回洗浄し、その後純水40ミリリットルでろ液のpHが5以上になるまで洗浄を繰り返した。洗浄済みの充填剤を取り出し、200ミリリットルのビーカーに移し、100ミリリットルの0.5モル/リットルの食塩水に懸濁し、自動滴定装置(COM−450、平沼産業(株)製)を用い、0.5モル/リットル水酸化ナトリウム水溶液で滴定した。終点はpH8.5であった。終点までの滴定液量から、そのイオン交換容量を算出すると、125ミリ当量/リットルであった。充填剤1のフェニルアラニンとグリシン合計のリガンド導入量は、充填剤1のイオン交換容量に対応し、115ミリモル/リットルである。
製造例1と同様に、トヨパール HW−65Cを用い、同一条件下、エポキシ活性化基材サクションドライ・ゲルケーキを合成した。このエポキシ活性化ゲルケーキ全部と重量平均分子量20万のデキストラン150グラム及び純水350ミリリットルを入れ、温度を25℃に保ち攪拌しながらデキストランを溶解した。その後10グラムの48%水酸化ナトリウムを投入し、投入後さらに16時間反応し、グラスフィルター上で、純水で懸濁とろ過を繰返し洗浄し、デキストラン固定化基材のサクションドライ・ゲルケーキを得た。これを中間基材2とする。中間基材2のデキストラン固定化量は製造例1と同様の方法で測定した。測定結果を表2にあわせて示す。
製造例1と同様に、トヨパール HW−65Cを用い、同一条件下、エポキシ活性化基材のサクションドライ・ゲルケーキを合成した。このエポキシ活性化ゲルケーキ全部と重量平均分子量20万のプルラン150グラム及び純水350ミリリットルを入れ、温度を25℃に保ち攪拌しながらプルランを溶解した。その後10グラムの48%水酸化ナトリウムを投入し、投入後さらに16時間反応し、グラスフィルター上で、純水で懸濁とろ過を繰返し洗浄し、プルラン固定化基材のサクションドライ・ゲルケーキを得た。これを中間基材3とする。中間基材3のプルラン固定化量は製造例1と同様の方法で測定した。測定結果を表2にあわせて示す。
製造例1と同様にして、そのイオン交換容量を測定すると135ミリ当量/リットルであった。充填剤3のフェニルアラニンとグリシン合計のリガンドの導入量は、充填剤2のイオン交換容量に対応し、135ミリモル/リットルである。
その表面にアルコール性水酸基を有するメタクリル酸エステル系多孔性充填剤[トヨパール HW−55C(東ソー社製)]を、グラスフィルター上で、純水で懸濁とろ過を繰返し洗浄し、当該基材スラリーの純水を吸引ろ過により除去して、サクションドライ・ゲルケーキを用意した。
その表面にアルコール性水酸基を有するメタクリル酸エステル系多孔性充填剤[トヨパール HW−50C(東ソー社製)]を、グラスフィルター上で、純水で懸濁とろ過を繰返し洗浄し、当該基材スラリーの純水を吸引ろ過により除去して、サクションドライ・ゲルケーキを用意した。
架橋アガロース系充填剤[セファローズ6・ファストフロー(GEヘルスケアー社製)]を、グラスフィルター上で、純水で懸濁とろ過を繰返し洗浄し、当該基材スラリーの純水を吸引ろ過により除去して、サクションドライ・ゲルケーキを用意した。
まずエポキシ活性化基材のサクションドライ・ゲルケーキ10グラムを50℃で減圧乾燥し重量を測定し、デキストラン固定化反応に用いたゲルケーキ重量との積より乾燥重量を測定した。次に中間基材6(サクションドライ・ゲルケーキ)10グラムを50℃で減圧乾燥し重量を測定し、中間基材6のゲルケーキ重量との積より乾燥重量を測定した。中間基材6の乾燥重量と反応に用いたエポキシ活性化基材の乾燥重量の差が、固定化デキストランの重量である。(中間基材6の乾燥重量)グラム当たりの(固定化デキストランの重量)ミリグラムとして算出した。測定結果を表2にあわせて示す。
架橋デキストラン系充填剤[セファデックスG−25(GEヘルスケアー社製)]をグラスフィルター上で、純水で懸濁とろ過を繰返し洗浄し、当該基材スラリーの純水を吸引ろ過により除去して、サクションドライ・ゲルケーキを用意した。
トヨパール HW−65Cを、グラスフィルター上で、ジオキサン溶媒で懸濁とろ過を繰返し、含有水分を除去し、当該充填剤スラリーの分散溶媒を吸引ろ過により除去して、サクションドライ・ゲルケーキを用意した。
架橋アガロース系充填剤[セファローズ6・ファストフロー(GEヘルスケアー社製)]をグラスフィルター上で、ジオキサン溶媒で懸濁とろ過を繰返し、含有水分を除去し、当該充填剤スラリーの分散溶媒を吸引ろ過により除去して、サクションドライ・ゲルケーキを用意した。
製造例1で合成した中間基材1(サクションドライ・ゲルケーキ)50グラムを用い、製造例1と同様にCDI活性化サクションドライ・ゲルケーキを合成した。
製造例10で合成したCDI活性化サクションドライ・ゲルケーキの残りの半分量を100ミリリットルのセパラブルフラスコに入れ、50ミリリットルのDMFを加えて攪拌した。α−アミノオクタン酸15ミリモルを1モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液12.5ミリリットルに溶解し、25ミリリットルのDMFを加えて混合した。このアミノ酸溶液を一度に上記セパラブルフラスコに投入し、室温下16時間攪拌し、反応した。
製造例2で合成した中間基材2のゲルケーキ120グラムとクロロ酢酸ナトリウム0.8モル、純水240ミリリットルを500ミリリットルのセパラブルフラスコに入れ、攪拌しながら、反応温度50℃で48%水酸化ナトリウム水溶液を1.1モルの水酸化ナトリウム相当を1時間かけて上記セパラブルフラスコに滴下した。滴下終了後3時間反応を継続し、得られたゲルを純水で洗浄した。この反応で得られた、イオン交換基としてカルボキシメチル基を有するゲルをCM化中間基材2とする(ここで、CMはカルボキシメチルの略である。以下同じ。)。製造例1と同様にして、そのイオン交換容量を測定すると、160ミリ当量/リットルであった。
CMイオン交換充填剤1を0.5モル/リットル水酸化ナトリウム30ミリリットルで2回洗浄し、その後、純水40ミリリットルでろ液のpHが8.5以下になるまで洗浄を繰り返した。洗浄済の充填剤(サクションドライ・ゲルケーキ)10グラムを15ミリリットルの純水に懸濁し、グラスフィルター付内径20ミリメートルのガラスカラムに注ぎ、吸引ろ過して溶媒を除去した。形成したベットのうち、10ミリリットル以上の充填剤を除去し、残った10ミリリットルの充填剤をグラスフィルターに移し、0.5モル/リットル塩酸30ミリリットルで2回洗浄した。その後、純水40ミリリットルでろ液のpHが5以上になるまで充填剤の洗浄を繰り返した。40ミリリットルのアセトンで2回洗浄した後、洗浄済みの充填剤を取り出し、40℃で減圧乾燥して、充填剤10ミリリットルの重量を測定し、膨潤度を算出した[膨潤度(ml/g)=体積(ml)/重量(g)]。この充填剤の膨潤度は、5.2ミリリットル/グラムであった。
製造例3で合成した中間基材3のゲルケーキ120グラムを用い、製造例12と同様にして、イオン交換基としてカルボキシメチル基を有するゲルCM化中間基材3を合成した。製造例1と同様にして、そのイオン交換容量を測定すると、180ミリ当量/リットルであった。
製造例4で合成した中間基材4のゲルケーキ120グラムを用い、製造例12と同様にして、イオン交換基としてカルボキシメチル基を有するゲルCM化中間基材4を合成した。製造例1と同様にして、そのイオン交換容量を測定すると、185ミリ当量/リットルであった。
製造例6で合成した中間基材6のゲルケーキ120グラムを用い、製造例12と同様にして、イオン交換基としてカルボキシメチル基を有するゲルCM化中間基材4を合成した。製造例1と同様にして、そのイオン交換容量を測定すると、115ミリ当量/リットルであった。
製造例12で合成したCM化中間基材2のゲルケーキを30グラム(35ミリリットルに相当)と35ミリリットルの純水を300ミリリットルのセパラブルフラスコに入れ、0.5モル/リットル塩酸を徐々に添加して、pHを5.2に調整した。次にジオキサン30ミリリットルとNHS10.9ミリモル及び4−アミノメチル安息香酸6ミリモルを加えて攪拌溶解した。1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(以下、EDCと略す場合がある。)10.9ミリモルを3.5ミリリットルの純水に溶解し、上記セパラブルフラスコに25℃で添加し、25℃で16時間反応後、反応液をろ過して除去し、50%アセトン、0.1モル/リットルの水酸化ナトリウム、純水の順に、得られたゲルを洗浄して、未反応物や副生成物を除去した。この反応で得られたゲルを充填剤16とする。製造例1と同様にして、充填剤16のイオン交換容量を測定すると、151ミリ当量/リットルであった。また、製造例12と同様にして、充填剤16の膨潤度を測定すると、4.0ミリリットル/グラムであった。
製造例12で合成したCM化中間基材2のゲルケーキを30グラム(35ミリリットルに相当)と35ミリリットルの純水を100ミリリットルのセパラブルフラスコに入れ、0.5モル/リットル塩酸を徐々に添加して、pHを5.2に調整した。次にジオキサン30ミリリットルとNHS10.9ミリモル及びDL−フェニルアラニン6ミリモルを加えて攪拌溶解した。1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩10.9ミリモルを3.5ミリリットルの純水に溶解し、上記セパラブルフラスコに25℃で添加し、25℃で16時間反応後、反応液をろ過して除去し、50%アセトン、0.1モル/リットルの水酸化ナトリウム、純水の順に、得られたゲルを洗浄して、未反応物や副生成物を除去した。この反応で得られたゲルを充填剤17とする。製造例1と同様にして、充填剤17のイオン交換容量を測定すると、153ミリ当量/リットルであった。また、製造例12と同様にして、充填剤16の膨潤度を測定すると、4.0ミリリットル/グラムであった。
製造例14で合成したCM化中間基材4のゲルケーキを30グラム(35ミリリットルに相当)と35ミリリットルの純水を100ミリリットルのセパラブルフラスコに入れ、0.5モル/リットル塩酸を徐々に添加して、pHを5.2に調整した。次にジオキサン30ミリリットルとNHS 10.9ミリモル及びDL−フェニルアラニン6ミリモル及び2−エタノールアミンを加えて攪拌溶解した。1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩10.9ミリモルを3.5ミリリットルの純水に溶解し、上記セパラブルフラスコに25℃で添加し、25℃で16時間反応後、反応液をろ過して除去し、50%アセトン、0.1モル/リットルの水酸化ナトリウム、純水の順に、得られたゲルを洗浄して、未反応物や副生成物を除去した。この反応で得られたゲルを充填剤17とする。製造例1と同様にして、充填剤17のイオン交換容量を測定すると、130ミリ当量/リットルであった。また、製造例12と同様にして、充填剤16の膨潤度を測定すると、4.2ミリリットル/グラムであった。
製造例13で合成したCM化中間基材3 のゲルケーキを30グラム(35ミリリットルに相当)と35ミリリットルの純水を100ミリリットルのセパラブルフラスコに入れ、0.5モル/リットル塩酸を徐々に添加して、pHを5.2に調整した。次にジオキサン30ミリリットルとNHS10.9ミリモル及びL−トリプトファン6ミリモルを加えて攪拌溶解した。1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩10.9ミリモルを3.5ミリリットルの純水に溶解し、上記セパラブルフラスコに25℃で添加し、25℃で16時間反応後、反応液をろ過して除去し、50%アセトン、0.1モル/リットルの水酸化ナトリウム、純水の順に、得られたゲルを洗浄して、未反応物や副生成物を除去した。この反応で得られたゲルを充填剤19とする。製造例1と同様にして、充填剤19のイオン交換容量を測定すると、170ミリ当量/リットルであった。また、製造例12と同様にして、充填剤19の膨潤度を測定すると、4.0ミリリットル/グラムであった。
製造例15で合成したCM化中間基材6 のゲルケーキを30グラム(35ミリリットルに相当)と35ミリリットルの純水を100ミリリットルのセパラブルフラスコに入れ、0.5モル/リットル塩酸を徐々に添加して、pHを5.2に調整した。次にジオキサン30ミリリットルとNHS 10.9ミリモル及びL−トリプトファン6ミリモルを加えて攪拌溶解した。1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩10.9ミリモルを3.5ミリリットルの純水に溶解し、上記セパラブルフラスコに25℃で添加し、25℃で16時間反応後、反応液をろ過して除去し、50%アセトン、0.1モル/リットルの水酸化ナトリウム、純水の順に、得られたゲルを洗浄して、未反応物や副生成物を除去した。この反応で得られたゲルを充填剤20とする。製造例1と同様にして、充填剤20のイオン交換容量を測定すると、105ミリ当量/リットルであった。また、製造例12と同様にして、充填剤20の膨潤度を測定すると、4.2ミリリットル/グラムであった。
CM−トヨパール650M(東ソー社製)はHW−65Cを基材とするCMイオン交換充填剤でイオン交換容量は110ミリ当量/リットルであった。これをグラスフィルター上で、純水で懸濁とろ過を繰返し、純水置換した後、吸引ろ過して、サクションドライ・ゲルケーキを用意した。
架橋アガロース系弱カチオン交換ゲル[CM−セファローズ・ファストフロー(GEヘルスケアー社製)]のイオン交換容量を測定すると、105ミリ当量/リットルであった。
製造例1と同様に、トヨパール HW−65Cを用い、同一条件下エポキシ活性化基材のサクションドライ・ゲルケーキを合成した。このエポキシ活性化ゲルケーキ全部と重量平均分子量40万のヒドロキシエチルセルロース100グラムを純水350ミリリットルに溶解した溶液を加え混合した。その後温度を25℃に保ち攪拌しながら、10グラムの48%水酸化ナトリウムを投入し、投入後さらに16時間反応し、グラスフィルター上で、純水で懸濁とろ過を繰返し洗浄し、ヒドロキシエチルセルロース固定化基材サクションドライ・ゲルケーキを得た。これを中間基材23とする。中間基材23のヒドロキシエチルセルロース固定化量は製造例1と同様の方法で測定した。測定結果を表2にあわせて示す。
製造例1〜製造例7で得られた充填剤1〜充填剤7について、各充填剤ごとに各タンパク質サンプルの主ピークの溶出時間、ウシ血清アルブミン(以下BSAと略す。)吸着量、及びヒトγ−グロブリン(以下IgGと略す。)吸着量を測定した。それらの結果を表3にあわせて示す。
(1)pHグラジェント溶出法によるタンパク質の吸着及び溶出:
表2に示す充填剤を、内径7.5ミリメートル長さ75ミリメートルのステンレスカラムにそれぞれ充填した。送液ポンプ(CCPM−II)、オートサンプラー(AS−8020)、紫外・可視吸光度計(UV−8020)、及びシステムコントローラー(SC−8020)からなる液体クロマトグラフシステム(東ソー社製)にこれら充填カラムを装着した。以下のクロマトグラフィー条件で操作し、各サンプルの主ピークの溶出時間を測定した。
溶離液1:50ミリモル/リットル酢酸緩衝液(0.15モル/リットル塩化ナトリウム含有、pH4.5),
溶離液2:50ミリモル/リットル燐酸緩衝液(0.15モル/リットル塩化ナトリウム含有、pH7.2),
溶出法:溶離液1:100%から溶離液2:100%への60分間リニアーグラジェント溶出、続いて溶離液2:100%で5分間溶出、最後に溶離液1:100%で15分間再生平衡化,
溶離液の流速:1.0ミリリットル/分,
サンプル:大豆トリプシンインヒビター(以下、STIと略す。)、ウシ血清アルブミン(以下、BSAと略す。)、ヒトγ−グロブリン(以下、IgGと略す。)、ウシα−キモトリプシノーゲンA(以下、CHYと略す。),
サンプル濃度:各2.0グラム/リットル(溶離液1に溶解),
サンプル注入量:0.2ミリリットル,
温度:25℃,
検出:紫外線吸収、波長:280ナノメートル。
(2)BSA吸着容量の測定及び回収率の測定:
200ミリリットルの三角フラスコに、30ミリリットルの吸着用緩衝液と、表3、表4に示す充填剤1.0ミリリットルを投入した。吸着用緩衝液にBSAを15グラム/リットルの濃度に溶解した溶液10ミリリットルを上記三角フラスコに添加し、温度25℃、3.0時間振盪し、BSAを吸着させた後、その上清を吸着用緩衝液で2.5倍に希釈して、吸光度を測定した。充填剤を入れないブランクも上記と同様に希釈し、吸光度測定した。両者の差より、BSA吸着量を求めた。
Ib:2.5倍希釈ブランクの吸光度、
Is:2.5倍希釈上清の吸光度、
W:充填剤持込水分の関する係数(全ての充填剤でW=1.015であった。)。
F(ΔI):吸光度とBSA濃度関係の関数。
溶出用緩衝液:0.1モル/リットル トリス塩酸緩衝液(0.3モル/リットル塩化ナトリウム含有、pH8.5)。
(3)IgG吸着容量の測定及び回収率の測定:
200ミリリットルの三角フラスコに、30ミリリットルの吸着用緩衝液と、表3、表4に示す充填剤1.0ミリリットルを投入した。ヒト血清γ−グロブリン(化学及血清療法研究所製)約150ミリグラム/ミリリットルの濃度を5ミリリットルを吸着用緩衝液で溶解し、50ミリリットルにメスアップした溶液10ミリリットルを上記三角フラスコに添加し、温度25℃、3.0時間振盪し、IgGを吸着させた後、その上清を吸着用緩衝液で5倍に希釈して、吸光度を測定した。充填剤を入れないブランクも上記と同様に希釈し、吸光度測定した。両者の差より、IgG吸着量を求めた。
Ib:5倍希釈ブランクの吸光度、
Is:5倍希釈上清の吸光度、
W:充填剤持込水分の関する係数(全ての充填剤で、W=1.015であった。)。
(IgG 1.0ミリグラム当たりの吸光度は1.4である)。
Ir:回収IgG溶液の吸光度
なお吸着用緩衝液及び溶出用緩衝液はBSA吸着容量の測定と同じ溶液を用いた。
製造例8と製造例9で得られた充填剤8と充填剤9は、プルランによる排除限界分子量40万又は210万の基材を用いて、CDI活性化後、L−フェニルアラニンとグリシンを導入した充填剤である。実施例1と同様にして、これらの充填剤ごとに各タンパク質サンプルの主ピークの溶出時間及びBSA及びIgG吸着容量を測定した。それらの結果を表3にあわせて示す。
製造例10と製造例11で得られた充填剤10と充填剤11は、プルランによる排除限界分子量210万の基材を用いて、CDI活性化後、それぞれ4−アミノ安息香酸又はα−アミノオクタン酸を導入した充填剤である。実施例1と同様にして、これらの充填剤ごとに各タンパク質サンプルの主ピークの溶出時間及びBSA吸着量を測定した。それらの結果を表3にあわせて示す。
製造例12〜製造例15で得られた充填剤12〜充填剤15は、プルランによる排除限界分子量30万又は210万の基材を用いて、非イオン性多糖を固定化した中間基材を合成し、カルボキシル基を導入後、有機溶媒系でカルボジイミドを用いて、NHS活性化後、L−トリプトファンを導入した充填剤である。実施例1と同様にして、これらの充填剤ごとに各タンパク質サンプルの主ピークの溶出時間及びBSA吸着量及びIgG吸着量を測定した。それらの結果を表4にあわせて示す。
製造例16〜製造例18で得られた充填剤16〜充填剤18は、プルランによる排除限界分子量30万又は210万の基材を用いて、非イオン性多糖を固定化した中間基材を合成し、カルボキシル基を導入後、有機溶媒と水の混合系で水溶性カルボジイミドを用いて、NHS活性化とリガンドを同時に導入した充填剤である。実施例1と同様にして、これらの充填剤ごとに各タンパク質サンプルの主ピークの溶出時間及びBSA吸着量及びIgG吸着量を測定した。それらの結果を表4にあわせて示す。
製造例19、製造例20及び製造例23で得られた充填剤19、充填剤20及び充填剤23は、プルランによる排除限界分子量40万又は210万の基材を用いて、非イオン性多糖又は多糖誘導体を固定化した中間基材を合成し、カルボキシル基を導入後、有機溶媒と水の混合系で水溶性カルボジイミドを用いて、NHS活性化とリガンド(L−トリプトファン)を同時に導入した充填剤である。実施例1と同様にして、これらのに充填剤ごとに各タンパク質サンプルの主ピークの溶出時間及びBSA吸着量及びIgG吸着量を測定した。それらの結果を表4にあわせて示す。
製造例21と製造例22で得られた充填剤21と充填剤22は、基材の排除限界分子量はそれぞれ充填剤19と充填剤20に対応するが、多糖のスペーサーの固定化はされていない。すなわち、基材に直接カルボキシル基が導入されたイオン交換充填剤であり、有機溶媒と水の混合系で水溶性カルボジイミドを用いて、NHS活性化とリガンド(L−トリプトファン)を同時に導入した充填剤である。実施例1と同様にして、これらの充填剤ごとに各タンパク質サンプルの主ピークの溶出時間及びBSA吸着量及びIgG吸着量を測定した。それらの結果を表4にあわせて示す。
Claims (8)
- 基材に直接固定化されたリガンドと、スペーサーを介して基材に固定化されたリガンドとを有する液体クロマトグラフィー用充填剤であって、
(1)基材が、アルコール性水酸基を基材表面に有する親水性の基材であり、
(2)スペーサーが、アルコール性水酸基を有する合成高分子又は多糖類であり、
(3)リガンドが、下記式(1)
で示されるα−アミノ酸、及びアミノメチル安息香酸からなる群より選ばれる1種又は2種以上であり、
(4)基材に直接固定化されたリガンドが、上記式(1)で示されるα−アミノ酸又はアミノメチル安息香酸に含まれるアミノ基を介して、アミド結合又はウレタン結合で、上記基材に固定化されており、
(5)スペーサーを介して基材に固定化されたリガンドが、上記式(1)で示されるα−アミノ酸又はアミノメチル安息香酸に含まれるアミノ基を介して、アミド結合又はウレタン結合で、上記スペーサーに固定化されており、かつ
(6)基材に固定化されたリガンドの量が、液体クロマトグラフィー用充填剤1リットル(湿潤容量)当たり30ミリモル以上である、液体クロマトグラフィー用充填剤。 - α−アミノ酸が、フェニルアラニン、トリプトファン、ロイシン、ノルロイシン及びα−アミノオクタン酸からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の液体クロマトグラフィー用充填剤。
- 基材が、天然高分子系担体、合成高分子系担体、及び無機系担体からなる群より選択されるクロマトグラフィー用担体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体クロマトグラフィー用充填剤
- 基材が多孔性粒子であって、その排除限界分子量がプルラン換算で10万以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の液体クロマトグラフィー用充填剤。
- 多糖類が、アニオン交換基を有しない重量平均分子量1万以上の多糖類又はその誘導体であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の液体クロマトグラフィー用充填剤。
- 基材中のアルコール性水酸基及びスペーサー中のアルコール性水酸基を有機溶媒中、1,1−カルボニルビス−1H−イミダゾールで活性化した後、有機溶媒又は含水有機溶媒中でリガンド中のアミノ基と反応させ、ウレタン結合によりリガンドを、直接前記基材に導入するとともに、前記スペーサーを介して基材に導入することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法。
- 基材及びスペーサーにカルボキシル基を導入後、カルボジイミド類を触媒として、それとリガンド中のアミノ基とを反応させ、アミド結合により前記リガンドを、直接前記基材に導入するとともに、前記スペーサーを介して基材に導入することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法。
- 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の液体クロマトグラフィー用充填剤を用い、pH5以下の酸性水溶液条件で生体高分子を吸着し、その後、中性乃至pH9以下の弱塩基性条件で吸着した生体高分子を脱着することを特徴とする、液体クロマトグラフィーによる生体高分子の分離精製乃至捕集回収方法。
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