JP2010209702A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】DPF32の上流側と下流側との間の差圧およびDPF32に流入する排気の流量の少なくとも何れかに基づいて、DPF32に堆積したPMの堆積量の指標となる堆積量パラメータを算出する堆積量パラメータ算出部と、算出された堆積量パラメータに対してフィルタリング処理を施すフィルタリング部と、フィルタリング処理が施された堆積量パラメータに基づいて、DPF32に堆積したPMを除去する再生処理を実行するか否かを判定する再生判定部と、を備え、フィルタリング部は、DPF32に流入する排気の流量または当該流量に相関のある排気流量パラメータに応じて、フィルタ時定数を変更することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置である。
【選択図】図1
Description
従来、粒子状物質捕集装置に流入する排気の流量が少ない場合には、粒子状物質捕集装置の上流側と下流側との差圧が非常に小さいため、差圧センサの検出誤差に近く、PM堆積量の推定精度は低かった。これに対して本発明では、PM堆積量の指標となるパラメータにフィルタリング処理を施す際に、粒子状物質捕集装置に流入する排気の流量または当該排気の流量に相関のあるパラメータに応じてフィルタ時定数を変更する。
これにより、粒子状物質捕集装置に流入する排気の流量がPM堆積量の推定精度に与える影響を低減できる。このため、本発明によれば、高い精度でPM堆積量を推定でき、燃費を悪化させることなく効率良くPMを浄化できる。
これにより、粒子状物質捕集装置に流入する排気の流量が少なく、粒子状物質捕集装置の上流側と下流側との差圧が小さいためにS/N比が十分に確保できず、排気流量や差圧の検出値の誤差成分が大きい場合であっても、フィルタ時定数を長く設定することにより、誤差を解消して精度良くPM堆積量を推定できる。
また、粒子状物質捕集装置に流入する排気の流量が多く、粒子状物質捕集装置の上流側と下流側との差圧が大きいためにS/N比が十分に確保できる場合には、検出値の信頼性が高いため、フィルタ時定数を短く設定することにより、信頼性の高い検出値を素早くフィルタ結果値に反映させることができ、PM堆積量の推定精度を向上させることができる。
粒子状物質捕集装置の下流側の排気の一部を吸気通路内に還流する第2EGR手段では、排気の全量が粒子状物質捕集装置を通過するため、タービンの上流側の排気の一部を吸気通路内に還流する第1EGR手段に比して、粒子状物質捕集装置に流入する排気の流量が多い。このため、第2EGR手段による排気の還流実行時には、粒子状物質捕集装置の上流側と下流側との差圧が大きく、S/N比が確保できるため、排気流量や差圧の検出値の信頼性が高い。従って、EGR比率が小さい場合、すなわち第2EGR手段により還流される排気の流量が多い場合に、フィルタ時定数を短く設定することにより、信頼性の高い検出値を素早くフィルタ結果値に反映させることができ、PM堆積量の推定精度を向上させることができる。
上述したように、第2EGR手段による排気の還流実行時には、第1EGR手段による排気の還流実行時に比して、排気流量や差圧の検出値の信頼性が高い。従って、第2EGR手段による排気の還流が実行されている間でのみ、堆積量パラメータ算出手段により算出された堆積量パラメータに基づく再生処理の実行の判定を行うことにより、PM堆積量の推定精度を向上させることができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る内燃機関およびその排気浄化装置の構成を示す図である。内燃機関(以下、エンジン)1は、各気筒7の燃焼室内に燃料を直接噴射するディーゼルエンジンであり、各気筒7には図示しない燃料噴射弁が設けられている。これら燃料噴射弁は、電子制御ユニット(以下、ECU)40により電気的に接続されており、燃料噴射弁の開弁時間および閉弁時間は、ECU40により制御される。
堆積量パラメータ算出部では、DPF32に堆積したPMの堆積量の指標となる堆積量パラメータを算出する。
フィルタリング部では、上記堆積量パラメータ算出部により算出された堆積量パラメータに対して、フィルタリング処理を施す。
再生判定部では、フィルタリングされた堆積量パラメータに基づいてDPF32の再生処理を実行するか否かを判定する。
また、再生制御部41は、DPF32の再生処理を実行する再生実行部(図示せず)を含み、DPF32の再生処理の制御を行う。
低圧EGR制御部47は、低圧EGR弁12の開度を制御し、低圧EGR通路10を介して還流される排気の流量を制御する。
なお、以下の説明において、記号「k」は、この制御周期ごとに離散化した時間を示す。すなわち、記号「k」が付されたデータは、今回の制御タイミングで検出または算出されたデータであることを示し、これに対して記号「k−1」が付されたデータは、前回の制御タイミングで検出または算出されたデータであることを示す。また、以下の説明においては、記号「k」を適宜省略する。
DPF32は、PMの堆積量が増加すると目詰まりし、DPF32を通過する排気の流量が制限される。そこで、このようなDPF32を流量制限のある流量モデル(ノズルモデル)にモデル化し、この流量モデルに基づいてDPF32の有効開口面積αを算出する。この流量モデルは、DPF流量Fと、DPF差圧ΔPと、DPF32の有効開口面積Sとを関連付けるものである。ステップS11では、このような流量モデルに基づいて、DPF流量FおよびDPF差圧ΔPに応じたDPF32の有効開口面積Sを算出する。
なお、この流量モデルの詳細な構成、並びに、DPF差圧ΔPおよびDPF流量Fに応じた有効開口面積αを流量モデルに基づいて算出する具体的な手順については、本願出願人による特開2005−337040号公報などに詳しく説明されているので、ここではこれ以上詳細な説明を省略する。
具体的には、所定の実験に基づいて設定され、予めECU40に格納された、DPF流量とフィルタ時定数aとの関係を示すマップ(図3)を参照し、フィルタ時定数aを検索する。このマップによれば、DPF流量が少なくなるに従い、フィルタ時定数aを長く設定してフィルタリング処理が施される。
なお、DPF流量は、エアフローメータ23により検出された排気の流量を用いる。
具体的には、下記式(1)に示す一次遅れフィルタアルゴリズムにより、有効開口面積のフィルタリング値を算出する。
なお、下記式(1)において、aはフィルタ時定数を表し、α(k)はステップS11で算出された有効開口面積を表し、αf(k)は有効開口面積のフィルタリング値を表す。
[数1]
αf(k)=aαf(k−1)+(1−a)α(k) ・・・式(1)
すなわち、ステップS11で算出された有効開口面積α(k)と、ステップS12で検索されたフィルタ時定数aを上記式(1)に代入することにより、有効開口面積のフィルタリング値αf(k)を算出する。
具体的には、ステップS13で得られた有効開口面積のフィルタリング値αf(k)が、所定の実験に基づいて設定され、予めECU40に格納されている所定の値、すなわちPM堆積限界に対応する有効開口面積α下限値より小さいか否かを判定する。
DPF再生フラグは、DPFに捕集されたPMを燃焼させる時期、すなわちDPFを再生させる時期であることを示すフラグである。本実施形態では、ステップS14において、有効開口面積のフィルタリング値αf(k)が、PM堆積限界に対応する有効開口面積α下限値より小さいときに「0」から「1」にされる。また、このDPF再生フラグは、後述のポスト噴射を実行することにより、DPF32に捕集されたPMの燃焼が完了したときに「1」から「0」に戻される。
具体的には、ポスト噴射を実行し、未燃の燃料を酸化触媒31で燃焼させることにより、DPF32に流入する排気の温度を上昇させ、DPF32に堆積したPMを燃焼除去する。
従来、DPFに流入する排気の流量が少ない場合には、DPFの上流側と下流側との差圧が非常に小さいため、差圧センサの検出誤差に近く、PM堆積量の推定精度は低かった。これに対して本実施形態では、PM堆積量の指標となるパラメータにフィルタリング処理を施す際に、DPF32に流入する排気の流量または当該排気の流量に相関のあるパラメータに応じてフィルタ時定数を変更する。
これにより、DPF32に流入する排気の流量がPM堆積量の推定精度に与える影響を低減できる。具体的には、DPF32に流入する排気の流量が少なく、DPF32の上流側と下流側との差圧が小さいためにS/N比が十分に確保できず、排気流量や差圧の検出値の誤差成分が大きい場合であっても、フィルタ時定数を長く設定することにより、誤差を解消して精度良くPM堆積量を推定できる。
また、DPF32に流入する排気の流量が多く、DPF32の上流側と下流側との差圧が大きいためにS/N比が十分に確保できる場合には、検出値の信頼性が高いため、フィルタ時定数を短く設定することにより、信頼性の高い検出値を素早くフィルタ結果値に反映させることができ、PM堆積量の推定精度を向上させることができる。
このため、本実施形態によれば、高い精度でPM堆積量を推定でき、燃費を悪化させることなく効率良くPMを浄化できる。
第2実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置は、第1実施形態に係る再生制御部41のフィルタリング部の構成が異なる以外は、第1実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置と同様の構成である。
具体的には、本実施形態に係る再生制御部のフィルタリング部は、EGR比率が小さくなるに従い、フィルタ時定数を長く設定するものである。
具体的には、所定の実験に基づいて設定され、予めECUに格納された、EGR比率とフィルタ時定数aとの関係を示すマップ(図5)を参照し、フィルタ時定数aを検索する。このマップによれば、EGR比率が小さくなるに従い、フィルタ時定数aを長く設定してフィルタリング処理が施される。
なお、EGR比率とは、低圧EGR制御部により還流される排気の流量LPLに対する、高圧EGR制御部により還流される排気の流量HPLの比HPL/LPLを意味する。
また、以上の再生判定処理が終了すると、第1実施形態と同様にDPFの再生処理が実行される。
DPFの下流側の排気の一部を吸気通路内に還流する低圧EGR制御では、排気の全量がDPFを通過するため、タービンの上流側の排気の一部を吸気通路内に還流する高圧EGR制御に比して、DPFに流入する排気の流量が多い。このため、低圧EGR制御による排気の還流実行時には、DPFの上流側と下流側との差圧が大きく、S/N比が確保できるため、排気流量や差圧の検出値の信頼性が高い。従って、EGR比率が小さい場合、すなわち低圧EGR制御により還流される排気の流量が多い場合に、フィルタ時定数を短く設定することにより、信頼性の高い検出値を素早くフィルタ結果値に反映させることができ、PM堆積量の推定精度を向上させることができる。
第3実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置は、第1実施形態に係る再生制御部41のフィルタリング部の構成が異なる以外は、第1実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置と同様の構成である。
具体的には、本実施形態に係る再生制御部のフィルタリング部は、フィルタ時定数aを、DPF流量またはDPF流量に相関のあるパラメータに応じて変更せずに、上記式(1)に示す一次遅れフィルタアルゴリズムにより、有効開口面積のフィルタリング値を算出する。
具体的には、低圧EGR制御部による排気の還流(LPL−EGR)を実行しているか否かの判別は、予めECUに格納されているEGR領域判定マップを参照して判定する。エンジンの運転状態は、エンジン回転数および負荷をパラメータとして、低圧EGR制御が適した低圧EGR領域と、高圧EGR制御が適した高圧EGR領域とに分けられ、基本的には、負荷が小さいときには高圧EGR領域が選択され、負荷が大きいときには低圧EGR領域が選択される。
また、以上の再生判定処理が終了すると、第1実施形態と同様にDPFの再生処理が実行される。
上述したように、低圧EGR制御部による排気の還流実行時には、高圧EGR制御部による排気の還流実行時に比して、排気流量や差圧の検出値の信頼性が高い。従って、低圧EGR制御部による排気の還流が実行されている間でのみ、堆積量パラメータ算出部により算出された堆積量パラメータに基づく再生処理の実行の判定を行うことにより、PM堆積量の推定精度を向上させることができる。
第4実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置は、第3実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置と同様の構成である。
図7は、本実施形態のECUによるDPF再生判定処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、所定の制御周期ごとに実行される。
この判別は、第3実施形態のステップS31と同様にして判別する。
また、以上の再生判定処理が終了すると、第1実施形態と同様にDPFの再生処理が実行される。
例えば、上記実施形態では、DPFに堆積したPMの堆積量の指標となる堆積量パラメータとして有効開口面積を用いたが、これに限定されず、等価面積やΔP/FL(DPF差圧/DPF流量)を用いてもよい。
また、上記実施形態では、酸化触媒とDPFとを別体で設けたが、DPFのフィルタ壁に酸化触媒が担持されたものを用いてもよい。
2…吸気管(吸気通路)
3…吸気マニホールド(吸気通路)
4…排気管
5…排気マニホールド
6…高圧EGR通路(第1EGR手段)
11…高圧EGR弁(第1EGR手段)
10…低圧EGR通路(第2EGR手段)
12…低圧EGR弁(第2EGR手段)
8…過給機
31…酸化触媒
32…DPF(粒子状物質捕集装置)
40…ECU(堆積量パラメータ算出手段、フィルタリング手段、再生判定手段、第1EGR手段、第2EGR手段)
Claims (4)
- 内燃機関の排気通路に設けられ、排気中の粒子状物質を捕集する粒子状物質捕集装置を備えた内燃機関の排気浄化装置であって、
前記粒子状物質捕集装置の上流側と下流側との間の差圧および前記粒子状物質捕集装置に流入する排気の流量の少なくとも何れかに基づいて、前記粒子状物質捕集装置に堆積した粒子状物質の堆積量の指標となる堆積量パラメータを算出する堆積量パラメータ算出手段と、
前記算出された堆積量パラメータに対して、フィルタリング処理を施すフィルタリング手段と、
前記フィルタリング処理が施された堆積量パラメータに基づいて、前記粒子状物質捕集装置に堆積した粒子状物質を除去する再生処理を実行するか否かを判定する再生判定手段と、を備え、
前記フィルタリング手段は、前記粒子状物質捕集装置に流入する排気の流量または当該流量に相関のある排気流量パラメータに応じて、フィルタ時定数を変更することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。 - 前記フィルタリング手段は、前記粒子状物質捕集装置に流入する排気の流量が少なくなるに従い、前記フィルタ時定数を長く設定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記排気通路のうち前記粒子状物質捕集装置の上流側に設けられたタービンの回転によりコンプレッサを駆動する過給機と、
前記タービンの上流側の排気の一部を前記内燃機関の吸気通路内に還流する第1EGR手段と、
前記粒子状物質捕集装置の下流側の排気の一部を前記吸気通路内に還流する第2EGR手段と、をさらに備え、
前記第2EGR手段により還流される排気の流量に対する前記第1EGR手段により還流される排気の流量の比をEGR比率としたときに、
前記フィルタリング手段は、前記EGR比率が小さくなるに従い、前記フィルタ時定数を長く設定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。 - 内燃機関の排気通路に設けられ、排気中の粒子状物質を捕集する粒子状物質捕集装置と、
前記排気通路のうち前記粒子状物質捕集装置の上流側に設けられたタービンの回転によりコンプレッサを駆動する過給機と、
前記タービンの上流の排気の一部を前記内燃機関の吸気通路内に還流する第1EGR手段と、
前記粒子状物質捕集装置の下流の排気の一部を前記吸気通路内に還流する第2EGR手段と、を備えた内燃機関の排気浄化装置において、
前記粒子状物質捕集装置の上流側と下流側との間の差圧および前記粒子状物質捕集装置に流入する排気の流量の少なくとも何れかに基づいて、前記粒子状物質捕集装置に堆積した粒子状物質の堆積量の指標となる堆積量パラメータを算出する堆積量パラメータ算出手段と、
前記算出された堆積量パラメータに基づいて、前記粒子状物質捕集装置に堆積した粒子状物質を除去する再生処理を実行するか否かを判定する再生判定手段と、を備え、
前記第2EGR手段により排気が還流されている間でのみ、前記堆積量パラメータ算出手段により算出された堆積量パラメータに基づく前記再生処理の実行の判定を行うことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
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JP2009053895A JP2010209702A (ja) | 2009-03-06 | 2009-03-06 | 内燃機関の排気浄化装置 |
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Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007064148A (ja) * | 2005-09-01 | 2007-03-15 | Denso Corp | 内燃機関用排出ガス浄化装置 |
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- 2009-03-06 JP JP2009053895A patent/JP2010209702A/ja active Pending
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