JP2010209214A - 摩擦対 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐摩耗性、ノイズ特性、振動特性及び制動性を兼ね備えた摩擦対を提供する。
【解決手段】互いの擦動により摩擦力を生じさせる摩擦対であって、硬質粒子(a)と、当該硬質粒子(a)よりもモース硬度が低く、且つ、当該硬質粒子(a)の全面を覆う樹脂(b)を含む、第1の摩擦材と、硬質粒子(A)と、当該硬質粒子(A)よりもモース硬度が低く、且つ、前記樹脂(b)よりもモース硬度が高く、且つ、当該硬質粒子(A)を連結する、金属材料又は無機材料(M)を含む、第2の摩擦材を有することを特徴とする、摩擦対。
【選択図】図3

Description

本発明は、耐摩耗性、ノイズ特性、振動特性及び制動性を兼ね備えた摩擦対に関する。
産業機械、鉄道車両、荷物車両、乗用車等に使用されるブレーキパッド、ブレーキライニング、クラッチフェーシング等の摩擦材は、安全確保のために高い信頼性が求められるが、さらなる高性能化が要求されている。具体的には、摩擦材は、運動エネルギーを摩擦により熱に変換する役割を担っているため、制動時に発生する摩擦熱に対する耐熱性と同時に、走行安定性の見地から温度や天候によらず、一定の摩擦特性を発揮すること、長期間にわたって特性変化の少ない優れた耐摩耗性を有すること、制動時に鳴き等のノイズや車両の振動が発生しないこと、などが求められている。特に、摩擦材の摩擦振動に起因して発生するノイズや振動は、車両の商品性や静粛性の向上の観点から、重要な技術課題の1つとされている。
これらの要求を満たすために、摩擦材は、複数種の成分を組み合わせて形成されている。例えば、摩擦材の形状を保持するための繊維基材、繊維基材等の成分を結合させる結合材、その他摩擦材の種々の特性(例えば、耐摩耗性、耐熱性、摩擦係数の調整及び安定化等)を調整するための充填材等が組み合わせて使用されている。摩擦材は、これら成分を混合機で混合した原料混合物を、加圧加熱することで硬化させ、成型し、必要に応じて研磨、寸法出し等することで製造されている。
特に、制動性を高めるため、摩擦材には、摩擦材同士の摩擦係数を高める作用が高い、高い硬度を有する硬質粒子が配合されている。しかしながら、制動性を向上させるために、硬質粒子の配合量を高めると、制動性を確保することはできるが、硬質粒子が相手材を摩耗させる。このとき、硬質粒子による摩耗が局所的に生じやすく、相手材の摩擦面における偏摩耗が生じたり、また、相手材の摩耗により生じる摩耗粉が摩擦面に残留することで、摩擦対の各摩擦面の摩耗が進んだりする。その結果、摩擦材の耐摩耗性が低下し、さらには、ノイズや振動が発生しやすくなる。すなわち、摩擦材において、高い制動性を維持しつつ、優れた耐摩耗性、ノイズ特性及び振動特性を確保することは困難である。
このような問題を解決すべく、例えば、特許文献1には、基材繊維、結合剤、及び摩擦調整剤を含む摩擦材であって、前記摩擦調整剤は、多孔体硬質粒子と該多孔質硬質粒子の細孔内に固着されている高弾性体とから構成される高弾性アブレーシブ材を含むことを特徴とする摩擦材が記載されている。
特開2003−268352号公報
特許文献1に記載の発明は、摩擦対を構成する一方の摩擦材に関するものである。しかしながら、摩擦材における制動性や耐摩耗性は、摩擦面を構成する摩擦対の組み合わせによって決まるものであり、摩擦対を構成する一方の摩擦材のみの特性を改良するだけでは目的とする充分な性能を発揮する摩擦対を得ることは難しい。すなわち、摩擦対を構成する第1の摩擦材と第2の摩擦材の両方の摩擦面について、材料設計を行うことで、耐摩耗性、ノイズ特性、振動特性及び制動性に優れた摩擦材を得ることができる。一方の摩擦材のみの材料設計をしても、該摩擦材に適合する、対となる摩擦材について材料設計を行わなければならず、試行錯誤で試作と評価を繰り返さなければならない。ゆえに、対をなす摩擦材の両方に対して、材料設計を行うことで、摩擦材の開発に要するコスト、時間を削減すると共に、摩擦対の性能向上の予測も可能となる。
本発明は上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、耐摩耗性、ノイズ特性、振動特性及び制動性を兼ね備えた摩擦対を提供することを目的とする。
本発明の摩擦対は、互いの擦動により摩擦力を生じさせる摩擦対であって、硬質粒子(a)と、当該硬質粒子(a)よりもモース硬度が低く、且つ、当該硬質粒子(a)の全面を覆う樹脂(b)を含む、第1の摩擦材と、硬質粒子(A)と、当該硬質粒子(A)よりもモース硬度が低く、且つ、前記樹脂(b)よりもモース硬度が高く、且つ、当該硬質粒子(A)を連結する、金属材料又は無機材料(M)を含む、第2の摩擦材を有することを特徴とする。
このような構成の摩擦対は、摩擦対に応力が付与されても、前記硬質粒子(a)又は(A)に付与される応力を、前記樹脂(b)又は前記金属材料若しくは無機材料(M)がそれぞれ十分に吸収できるという応力分散機構を有することから、前記硬質粒子(a)又は(A)が降伏応力を迎えにくい構成となっており、したがって、前記硬質粒子(a)又は(A)によって高い摩擦力を発生させつつ、優れた摩擦力安定性及びノイズ・振動抑制効果を発揮することができる。
本発明の摩擦対は、前記第1の摩擦材が、前記硬質粒子(a)を前記樹脂(b)で被覆した樹脂被覆硬質粒子(c)、及び、前記樹脂被覆硬質粒子以外の当該第1の摩擦材のマトリックスを構成する弾性材料(m)を含有し、前記第2の摩擦材が、前記硬質粒子(A)及び当該第2の摩擦材のマトリックスを構成する前記金属材料又は無機材料(M)を含有し、下記条件(1)〜(4)の少なくとも1つを満たすことが好ましい。
条件(1):前記第1の摩擦材が、前記硬質粒子(a)よりもモース硬度の低い無機粒子(f)をさらに含有し、当該無機粒子(f)の平均直径rに対する前記樹脂被覆硬質粒子(c)の平均直径rの比率(r/r)が、0.2以上である。
条件(2):前記第2の摩擦材が、前記硬質粒子(A)よりもモース硬度の低い無機粒子(F)をさらに含有し、当該無機粒子(F)の平均直径Rに対する前記硬質粒子(A)の平均直径Rの比率(R/R)が、0.2以上である。
条件(3):前記第1の摩擦材において、下記式(1)が成り立つ。
Figure 2010209214
ただし、式(1)中、s:前記樹脂被覆硬質粒子(c)における前記樹脂(b)の平均被膜厚さ、E:前記樹脂(b)の弾性率、E:前記弾性材料(m)の弾性率、r:前記硬質粒子(a)の平均直径であり、且つ、E>Eである。
条件(4):前記第1の摩擦材及び前記第2の摩擦材において、下記式(2)が成り立つ。
Figure 2010209214
ただし、式(2)中、C:第1の摩擦材における前記硬質粒子(a)の含有率(vol%)、C:第2の摩擦材における前記硬質粒子(A)の含有率(vol%)、r:第1の摩擦材の前記硬質粒子(a)の平均直径、R:第2の摩擦材の前記硬質粒子(A)の平均直径、σ:第1の摩擦材の降伏応力、σ:第2の摩擦材の降伏応力、且つ、σ=10〜100MPa、σ=100〜800MPa、C=0.1〜95vol%である。
このような構成の摩擦対は、前記第1の摩擦材中に含まれる前記弾性材料(m)によって、各摩擦材の摩擦面全体に接触面が確保されることから、摩擦面間全体において摩擦の効きを発生させることができる。さらに、本発明の摩擦対は、条件(1)を満たす場合に、前記比(r/r)が0.2以上であることから、前記第1の摩擦材に圧縮応力が生じた場合に、仮に前記樹脂被覆硬質粒子(c)が4個の前記無機粒子(f)の最密充填構造の中央に配置された場合であっても、前記樹脂被覆硬質粒子(c)にも応力を発生させ、均等な応力伝播を前記第1の摩擦材中に発生させることができる。また、本発明の摩擦対は、条件(2)を満たす場合に、前記比(R/R)が0.2以上であることから、前記第2の摩擦材に圧縮応力が生じた場合に、仮に硬質粒子(A)が4個の前記無機粒子(F)の最密充填構造の中央に配置された場合であっても、前記硬質粒子(A)にも応力を発生させ、均等な応力伝播を前記第2の摩擦材中に発生させることができる。さらに、本発明の摩擦対は、条件(3)を満たす場合に、適切な前記被膜厚さsを決定することによって、前記硬質粒子(a)に応力を集中させることができる。また、本発明の摩擦対は、条件(4)を満たす場合に、前記硬質粒子(a)及び前記硬質粒子(A)の降伏を抑制することができる。
本発明の摩擦対は、前記条件(1)〜(4)を全て満たすことが好ましい。
本発明の摩擦対は、前記硬質粒子(a)及び前記硬質粒子(A)の少なくともいずれか一方が、モース硬度が4.5以上であることが好ましい。
このような構成の摩擦対は、より高い摩擦力を発生させつつ、優れた摩擦力安定性及びノイズ・振動抑制効果を発揮することができる。また、このような構成の摩擦対は、降伏応力が高い硬質粒子を用いるので、前記第1及び第2の摩擦材それぞれに応力が発生した際に、その最表面における硬質粒子の周囲の成分が変位するのみで、硬質粒子の降伏が生じにくく、したがって、前記各摩擦材自身の摩耗量を低減し、耐摩耗性を向上させることができる。
本発明の摩擦対は、前記条件(3)においてEが1GPa以上であることが好ましい。
このような構成の摩擦対は、十分な弾性率を有する前記樹脂(b)を選択することによって、摩擦時の前記硬質粒子(a)の、前記第1の摩擦材からの脱落を防止し、且つ、前記硬質粒子(a)の摩擦面からの突出量及び応力を適切なものとすることができる。また、このような構成の摩擦対は、前記硬質粒子(a)の降伏を抑制することができる。
本発明の摩擦対は、前記樹脂(b)が、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリスルホン及びポリエーテルスルホンから選ばれる少なくとも1種の非結晶性樹脂から選ばれることが好ましい。
このような構成の摩擦対は、適切な非結晶樹脂を選択することによって、摩擦時の前記硬質粒子(a)の、摩擦面からの突出量及び応力をより適切なものとし、且つ、前記硬質粒子(a)の降伏をより抑制することができる。
本発明の摩擦対は、前記条件(1)における前記無機粒子(f)、及び前記条件(2)における前記無機粒子(F)の少なくともいずれか一方が、モース硬度が4以下であることが好ましい。
このような構成の摩擦対は、降伏応力が低い前記無機粒子(f)及び前記無機粒子(F)の少なくともいずれか一方を用いるので、第1及び第2の摩擦材に応力が発生した際に、前記樹脂被覆硬質粒子(c)中の前記硬質粒子(a)及び前記硬質粒子(A)の少なくともいずれか一方を破壊することがなく、したがって、各摩擦材自身の摩耗量を低減することができ、望みの耐摩耗性を得ることができる。
本発明の摩擦対は、前記条件(3)においてEが1GPa以上であることが好ましい。
このような構成の摩擦対は、十分な弾性率を有する弾性材料(m)を選択することによって、摩擦時の前記硬質粒子(a)の、摩擦面からの突出量及び応力を適切なものとすることができる。
本発明の摩擦対は、前記弾性材料(m)が、フェノール系樹脂、変性フェノール樹脂、アミノ樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリアミドイミド樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂及びシリコーン樹脂から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
このような構成の摩擦対は、適切な前記弾性材料(m)を選択することによって、摩擦時の前記硬質粒子(a)の、摩擦面からの突出量及び応力をより適切なものとすることができる。
本発明の摩擦対は、前記条件(1)においてr/rが0.3以上、及び/又は、前記条件(2)においてR/Rが0.3以上であることが好ましい。
このような構成の摩擦対は、前記第1の摩擦材に圧縮応力が生じた場合に、仮に前記樹脂被覆硬質粒子(c)が4個の前記無機粒子(f)の最密充填構造の中央に配置された場合であっても、前記樹脂被覆硬質粒子(c)にもより確実に応力を発生させる効果、及び前記第2の摩擦材に圧縮応力が生じた場合に、仮に硬質粒子(A)が4個の前記無機粒子(F)の最密充填構造の中央に配置された場合であっても、前記硬質粒子(A)にもより確実に応力を発生させる効果の少なくともいずれか一方の効果を得ることができる。
本発明の摩擦対は、前記第1の摩擦材が、前記樹脂被覆硬質粒子(c)及び前記弾性材料(m)を合計で5vol%以上含有し、且つ、前記樹脂被覆硬質粒子(c)と前記弾性材料(m)の体積比が、前記樹脂被覆硬質粒子(c):前記弾性材料(m)=2:1〜1:50であることが好ましい。
このような構成の摩擦対は、前記第1の摩擦材中に適切な量以上の前記樹脂被覆硬質粒子(c)及び前記弾性材料(m)を有することによって、優れた摩擦力安定性及びノイズ・振動抑制効果をより発揮することができる。また、本発明の摩擦対は、前記樹脂被覆硬質粒子(c)と前記弾性材料(m)の体積比が適切な範囲内であることによって、優れた摩擦力安定性及びノイズ・振動抑制効果をより発揮することができる。
本発明の摩擦対は、前記第1の摩擦材の弾性率が100〜300MPaであることが好ましい。
このような構成の摩擦対は、摩擦時の前記硬質粒子(a)の脱落を防止し、且つ、前記硬質粒子(a)の摩擦面からの突出量・応力を適切量にすることができる。また本発明の摩擦対は、前記硬質粒子(a)の降伏を抑制することができる。
本発明の摩擦対は、前記第2の摩擦材の摩擦面における表面粗さが、10μm以下であることが好ましい。
このような構成の摩擦対は、初期なじみを良くし、摩擦力の変動及び摩耗量の増大を低減することができる。
本発明によれば、摩擦対に応力が付与されても、前記硬質粒子(a)又は(A)に付与される応力を、前記樹脂(b)又は前記金属材料若しくは無機材料(M)がそれぞれ十分に吸収できるという応力分散機構を有することから、前記硬質粒子(a)又は(A)が降伏応力を迎えにくい構成となっており、したがって、前記硬質粒子(a)又は(A)によって高い摩擦力を発生させつつ、優れた摩擦力安定性及びノイズ・振動抑制効果を発揮することができる。
第1の摩擦材中において、無機粒子による最密充填構造中の空隙に、樹脂被覆硬質粒子が入り込む様子を示した模式図である。 x軸に(r/R、y軸に(C/C)をとったときの、条件(4)によって示される範囲を模式的に示したグラフである。 本発明の摩擦対の典型例を示した図である。 摩擦対の典型例の応力付与前後の様子を示した断面模式図である。 摩擦材において応力が生じた際に、摩擦面部における樹脂被覆硬質粒子(c)及び摩擦材のマトリックスを構成する弾性材料(m)において歪が生じる前後の様子を比較して示した断面模式図である。
本発明の摩擦対は、互いの擦動により摩擦力を生じさせる摩擦対であって、硬質粒子(a)と、当該硬質粒子(a)よりもモース硬度が低く、且つ、当該硬質粒子(a)の全面を覆う樹脂(b)を含む、第1の摩擦材と、硬質粒子(A)と、当該硬質粒子(A)よりもモース硬度が低く、且つ、前記樹脂(b)よりもモース硬度が高く、且つ、当該硬質粒子(A)を連結する、金属材料又は無機材料(M)を含む、第2の摩擦材を有することを特徴とする。
上記本発明を具体的に実施するための摩擦対の一態様としては、前記第1の摩擦材が、前記硬質粒子(a)を前記樹脂(b)で被覆した樹脂被覆硬質粒子(c)、及び、前記樹脂被覆硬質粒子以外の当該第1の摩擦材のマトリックスを構成する弾性材料(m)を含有し、前記第2の摩擦材が、硬質粒子(A)及び当該第2の摩擦材のマトリックスを構成する前記金属材料又は無機材料(M)を含有し、下記条件(1)〜(4)の少なくとも1つを満たすことが好ましい。
条件(1):前記第1の摩擦材が、前記硬質粒子(a)よりもモース硬度の低い無機粒子(f)をさらに含有し、当該無機粒子(f)の平均直径rに対する前記樹脂被覆硬質粒子(c)の平均直径rの比率(r/r)が、0.2以上である。
条件(2):前記第2の摩擦材が、前記硬質粒子(A)よりもモース硬度の低い無機粒子(F)をさらに含有し、当該無機粒子(F)の平均直径Rに対する前記硬質粒子(A)の平均直径Rの比率(R/R)が、0.2以上である。
条件(3):前記第1の摩擦材において、下記式(1)が成り立つ。
Figure 2010209214
ただし、式(1)中、s:前記樹脂被覆硬質粒子(c)における前記樹脂(b)の平均被膜厚さ、E:前記樹脂(b)の弾性率、E:前記弾性材料(m)の弾性率、r:前記硬質粒子(a)の平均直径であり、且つ、E>Eである。
条件(4):前記第1の摩擦材及び前記第2の摩擦材において、下記式(2)が成り立つ。
Figure 2010209214
ただし、式(2)中、C:第1の摩擦材における前記硬質粒子(a)の含有率(vol%)、C:第2の摩擦材における前記硬質粒子(A)の含有率(vol%)、r:第1の摩擦材の前記硬質粒子(a)の平均直径、R:第2の摩擦材の前記硬質粒子(A)の平均直径、σ:第1の摩擦材の降伏応力、σ:第2の摩擦材の降伏応力、且つ、σ=10〜100MPa、σ=100〜800MPa、C=0.1〜95vol%である。
本発明の摩擦対は、第1の摩擦材と第2の摩擦材とを有する摩擦対である。摩擦対の具体的態様としては、例えば、ディスクブレーキ用の摩擦対であって、第1の摩擦材であるパッドと、第2の摩擦材であるロータとからなるものが挙げられる。
本発明において「モース硬度」とは、ダイヤモンドを10とし滑石を1とした、鉱物資源の硬さを表す古典的な硬度指数のことである。
従来の摩擦対においては、摩擦材に含まれる硬質粒子の硬さ及び硬度比、硬質粒子の平均粒径及び平均粒径比、硬質粒子の添加量及び添加量比を科学的な観点から考慮することがなかった。したがって、例え高い摩擦の効きを示す摩擦材が得られたとしても、ノイズ・振動抑制効果や耐摩耗性に問題があるものであったり、また逆に、例え高いノイズ・振動抑制効果や耐摩耗性を有する摩擦対が得られたとしても、高い摩擦の効きを示さないものであったりする等、高い摩擦の効きの維持、ノイズ・振動抑制効果及び耐摩耗性をすべて両立させることは困難な課題であった。
硬質粒子は、摩擦面における摩擦係数を高め、摩擦材の制動性を確保するために重要な成分である。また、硬質粒子は、降伏応力が高いので、摩擦材に応力が発生した際に、降伏が生じにくい。
しかし、硬質粒子は硬いがゆえに、相手材を摩耗させることがある。また、相手材にも硬質粒子が含まれる場合には、硬質粒子同士の摩擦と、硬質粒子と硬質粒子以外の成分との摩擦が交互に断続的に繰り返されることによって摩擦変動が発生したり、又は、硬質粒子同士の摩擦によって少なくとも一方の硬質粒子が破壊され、破壊された硬質粒子が摩擦面に滞留することによって、摩擦材及び相手材のうち少なくとも一方の摩耗を促進させたりすることがある。
したがって、発明者らは、高い摩擦の効きの維持、ノイズ・振動抑制効果及び耐摩耗性をすべて両立させるためには、従来技術のような摩擦材単体の開発のみではなく、摩擦材同士が組み合わされた摩擦対として材料設計し、且つ、各摩擦材に含有される硬質粒子等の成分比を制御する必要があると考えた。
本発明の摩擦対は、硬質粒子及び硬質粒子以外の弾性体を有する第1の摩擦材及び第2の摩擦材からなり、且つ、各硬質粒子が降伏応力を迎えないように、応力分散機構及び材料設計手法が設定されている点に大きな特徴を有する。
このような応力分散機構及び材料設計手法が設定されていることによって、各摩擦材において、硬質粒子以外の弾性体において発生した局部破壊を、摩擦材の最表面層内での変形にとどめ、摩擦材内部へ伝播しにくくさせる効果がある。これらの効果により、高い摩擦の効きの維持と、ノイズ・振動抑制効果及び耐摩耗性をすべて両立させることができる。
上記応力分散機構は、具体的には、各摩擦材が有する硬質粒子の摩擦面からの突出量を、同じく各摩擦材が有する硬質粒子以外の弾性体によって十分に吸収させる力学的機構である。この機構は、仮に、硬質粒子が摩擦面から突出すると、第1及び第2の摩擦材に含まれる各硬質粒子が、お互いに当該粒子の最表面層同士の摩擦のみではなく、当該粒子の最表面層以外においても摩擦しあうため、たとえ摩耗に強いと考えられる硬質粒子であったとしても、摩耗が多くなることが避けられないという課題を解決するものである。このような機構を設定することにより、第1及び第2の摩擦材に含まれる各硬質粒子に加わる応力を制御することができ、各硬質粒子が降伏応力を迎えず、最表面でのみお互いに摩擦しあうため、高い摩擦の効きの維持と、ノイズ・振動抑制効果及び耐摩耗性をすべて両立させることができる。
上記材料設計手法は、具体的には、各摩擦材が有する、硬質粒子、硬質粒子以外の弾性体及びその他の材料の各平均直径、配合量、弾性率等を調整する科学的手法である。上述した応力分散機構は、上記課題を確実に解決することができるものの、当該機構のみでは、摩擦対の試作及び評価の試行錯誤を繰り返すことになり、性能向上代の予測も得難く、したがって、最適な組み合わせの摩擦対の開発に時間を要するものである。そこで、第1及び第2の各摩擦材中に含まれる各材料の各平均直径、配合量、弾性率等をそれぞれパラメータとして科学的観点から設計することにより、摩擦対の開発時間を短縮することができると共に、摩擦対の性能向上の余地の予測も可能となる。
上記応力分散機構を備え、且つ、上記材料設計手法によって設計された本発明の摩擦対は、具体的には、第1の摩擦材が、硬質粒子(a)を樹脂(b)で被覆した樹脂被覆硬質粒子(c)、及び、樹脂被覆硬質粒子以外の当該第1の摩擦材のマトリックスを構成する弾性材料(m)を含有し、第2の摩擦材が、硬質粒子(A)及び当該第2の摩擦材のマトリックスを構成する金属材料又は無機材料(M)を含有し、後述する条件(1)〜(4)の少なくとも1つを満たすものである。なお、第2の摩擦材における硬質粒子(A)は、樹脂被覆されていてもよい。
条件(1)は、「第1の摩擦材が、硬質粒子(a)よりもモース硬度の低い無機粒子(f)をさらに含有し、当該無機粒子(f)の平均直径rに対する樹脂被覆硬質粒子(c)の平均直径rの比率(r/r)が、0.2以上である。」という条件である。
また、条件(2)は、「第2の摩擦材が、硬質粒子(A)よりもモース硬度の低い無機粒子(F)をさらに含有し、当該無機粒子(F)の平均直径Rに対する硬質粒子(A)の平均直径Rの比率(R/R)が、0.2以上である。」という条件である。
図1は、第1の摩擦材中において、無機粒子による最密充填構造中の空隙に、樹脂被覆硬質粒子が入り込む様子を示した模式図である。
実線で描かれた無機粒子(f)61と、当該無機粒子よりも紙面表側にある、点線で描かれた無機粒子(f)62とによって最密充填構造が取られている。当該最密充填構造中の空隙に、樹脂被覆硬質粒子(c)63が入り込んでいる。なお、無機粒子61及び62、樹脂被覆硬質粒子63は球であるものとし、且つ、図1中において、無機粒子62は樹脂被覆硬質粒子63の存在を示すために透明に記載されているものとする。
無機粒子(f)61及び62の直径が、rであるとき、最密充填構造中の空隙(四面体間隙)にちょうど入り込む樹脂被覆硬質粒子63の直径は、0.225r≒0.2rである。したがって、樹脂被覆硬質粒子63がこれ以上の直径を有しているとき、すなわち、樹脂被覆硬質粒子(c)の平均直径をrとして、rに対するrの比率(r/r)が0.2以上であるとき、第1の摩擦材に圧縮応力が生じた際に、仮に樹脂被覆硬質粒子(c)が4個の無機粒子(f)の最密充填構造の中央に配置された場合であっても、無機粒子(f)だけではなく、樹脂被覆硬質粒子(c)にも応力を発生させ、均等な応力伝播を第1の摩擦材中に発生させることができる。
同様のことが、第2の摩擦材中の無機粒子(F)と硬質粒子(A)との関係にもいうことができる。すなわち、無機粒子(F)の平均直径をRとして、硬質粒子(A)の平均直径をRとするとき、Rに対するRの比率(R/R)が0.2以上であるとき、第2の摩擦材に圧縮応力が生じた際に、仮に硬質粒子(A)が4個の無機粒子(F)の最密充填構造の中央に配置された場合であっても、無機粒子(F)だけではなく、硬質粒子(A)にも応力を発生させ、均等な応力伝播を第2の摩擦材中に発生させることができる。
条件(1)又は(2)において、無機粒子(f)又は(F)は、各摩擦材の摩擦調整剤等の役割を果たす無機物質からなる粒子である。具体的には、カーボン、セラミック、酸化鉄、酸化銅などの酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機充填材、銅粉、真鍮粉等の金属粉末、黒鉛、二硫化モリブデン等の固体潤滑材等を用いることができる。
より高い摩擦力を発生させつつ、優れた摩擦力安定性及びノイズ・振動抑制効果を発揮するという観点から、前記条件(1)において、無機粒子(f)及び無機粒子(F)は、モース硬度が4以下であることが好ましい。これは、仮に、第1及び第2の摩擦材のいずれにも、モース硬度が4を超える無機粒子を用いると、当該無機粒子は高い降伏応力を有することから、樹脂被覆硬質粒子(c)と無機粒子(f)とが接触した状態、及び、硬質粒子(A)及び無機粒子(F)とが接触した状態の場合において、第1及び第2の摩擦材それぞれに応力が発生した際に、第1の摩擦材における樹脂被覆硬質粒子(c)中の硬質粒子(a)、及び第2の摩擦材における硬質粒子(A)の少なくともいずれか一方が破壊されやすく、したがって、各摩擦材自身の摩耗量が増加し、望みの耐摩耗性が得られないからである。
なお、少なくとも一方の前記無機粒子のモース硬度が3.5以下であることが特に好ましく、3以下であることが最も好ましい。
前記条件(1)においてr/rが0.3以上、及び/又は、前記条件(2)においてR/Rが0.3以上であることが好ましい。これは、上述した第1の摩擦材に圧縮応力が生じた場合に、仮に樹脂被覆硬質粒子(c)が4個の無機粒子(f)の最密充填構造の中央に配置された場合であっても、樹脂被覆硬質粒子(c)にもより確実に応力を発生させる効果、及び第2の摩擦材に圧縮応力が生じた場合に、仮に硬質粒子(A)が4個の無機粒子(F)の最密充填構造の中央に配置された場合であっても、硬質粒子(A)にもより確実に応力を発生させる効果の少なくともいずれか一方の効果を得ることができるからである。
無機粒子(f)の平均直径r、無機粒子(F)の平均直径R、樹脂被覆硬質粒子(c)の平均直径r及び硬質粒子(A)の平均直径Rの測定方法としては、レーザー回折、散乱法(マイクロトラック法)等が例示できる。
条件(3)は、第1の摩擦材において、下記式(1)が成り立つという条件である。
Figure 2010209214
ただし、式(1)中、s:前記樹脂被覆硬質粒子(c)における前記樹脂(b)の平均被膜厚さ、E:前記樹脂(b)の弾性率、E:前記弾性材料(m)の弾性率、r:前記硬質粒子(a)の平均直径であり、且つ、E>Eである。
図5は、摩擦材において応力が生じた際に、摩擦面部における樹脂被覆硬質粒子(c)及び摩擦材のマトリックスを構成する弾性材料(m)において歪が生じる前後の様子を比較して示した断面模式図である。なお、当該模式図中においては、樹脂被覆硬質粒子(c)の断面は、応力作用方向の大円部の微小領域を切り取って表し、弾性材料(m)の断面はそれと同じ長さ部分を切り取って、歪を強調して表すため、帯状に描いている。
図5において、摩擦面70上に、いま、摩擦材において応力が生じる前の弾性材料(m)71m、及び樹脂被覆硬質粒子(c)73cが、それぞれ載置されている。なお、図5においては、弾性材料71mと粒子73cは、共に点線で描かれている。
これら弾性材料71mと粒子73cに、紙面に平行且つ紙面の上から縦方向に、摩擦により生じた応力σ及びσがそれぞれ加わった後の様子を示したのが、弾性材料(m)72m、及び樹脂被覆硬質粒子(c)74cである。なお、図5においては、弾性材料72mと粒子74cは、共に実線で描かれている。
粒子73c又は粒子74cは、それぞれ硬質粒子(a)73aと被覆樹脂(b)73b、又は硬質粒子(a)74aと被覆樹脂(b)74bからなる。
図5に示すように、硬質粒子73aの平均粒径をr、被覆樹脂73bの平均膜厚をsとする。
樹脂被覆硬質粒子74cにおいては、応力σが加わった際、硬質粒子74aに加わる応力をσ、被覆樹脂74bに加わる応力をσとすると、樹脂被覆硬質粒子74c、硬質粒子74a、被覆樹脂74bはいずれも同軸上にあるので
σ=σ=σ=ε・E=ε・E 式(1a)
と表すことができる。なお、式(1a)中、ε及びεは、それぞれ硬質粒子74a及び被覆樹脂74bの歪量、E及びEは、それぞれ硬質粒子74a及び被覆樹脂74bの弾性率を示している。
ここで、一般にE≪Eであるから、ε=ε・(E/E)≒0。したがって、樹脂被覆硬質粒子74cにおいて、硬質粒子74aの歪量(変位量)εは無視できるので、
ε≒ε=γ/(2s) 式(1b)
と表すことができる。なお、式(1b)中、εは、樹脂被覆硬質粒子74cの歪量、γは、樹脂被覆硬質粒子74cの大きさ分の変位量をそれぞれ示している。
弾性材料72mの歪量は、図5に示すように、弾性材料72mの平均粒径が樹脂被覆硬質粒子73cの平均粒径と略等しいものとしたとき、
ε=γ/(r+2s) 式(1c)
と表すことができる。なお、式(1c)においては、図5に示すように、樹脂被覆硬質粒子74cの大きさ分の変位量と、弾性材料72mの大きさ分の変位量が略等しいものと仮定している。
樹脂被覆硬質粒子74c中の硬質粒子74aに応力を集中させるためには、σ≦σが必要であり、上記式(1a)から、σ=σなので、
ε・E≦ε・E 式(1d)
と表すことができる。上記式(1b)及び上記式(1c)を、上記式(1d)に代入して、
(E・γ)/(r+2s)≦(E・γ)/(2s) 式(1e)
と表すことができる。上記式(1e)をsについて整理することで、上記式(1)を得ることができる。なお、上記式(1)において、E>Eである。
条件(3)においてEが1GPa以上であることが好ましい。これは、十分な弾性率を有する樹脂(b)を選択することによって、摩擦時の硬質粒子(a)の、第1の摩擦材からの脱落を防止し、且つ、硬質粒子(a)の摩擦面からの突出量及び応力を適切なものとすることができ、さらには、硬質粒子(a)の降伏を抑制することができるからである。なお、Eが1GPa未満である場合には、このような摩擦時の硬質粒子(a)の脱落防止効果、並びに、硬質粒子(a)の降伏抑制効果を得ることができない。
なお、Eが2GPa以上であることが特に好ましく、Eが3GPa以上であることが最も好ましい。
条件(3)において、Eが1GPa以上であることが好ましい。これは、十分な弾性率を有する弾性材料(m)を選択することによって、摩擦時の硬質粒子(a)の、摩擦面からの突出量及び応力を適切なものとすることができるからである。なお、Eが2GPa以上であることが特に好ましく、3GPa以上であることが最も好ましい。
上記平均被膜厚さsの算出方法としては、樹脂被覆後の硬質粒子の直径から樹脂被覆前の硬質粒子の直径を差し引くことによって、被覆樹脂の厚みを算出する方法が挙げられる。このような樹脂被覆前後の硬質粒子の直径を測定する方法としては、レーザー回折、散乱法(マイクロトラック法)等を例示することができる。
上記弾性率E及びEの測定・算出方法としては、JIS K 7181に準ずる方法で試験し、弾性率を算出する方法が挙げられる。
なお、上記硬質粒子(a)の平均直径rの測定方法は、上述した無機粒子(f)の平均直径r等の測定方法と同様である。
条件(4)は、第1の摩擦材及び第2の摩擦材において、下記式(2)が成り立つという条件である。
Figure 2010209214
ただし、式(2)中、C:第1の摩擦材における前記硬質粒子(a)の含有率(vol%)、C:第2の摩擦材における前記硬質粒子(A)の含有率(vol%)、r:第1の摩擦材の前記硬質粒子(a)の平均直径、R:第2の摩擦材の前記硬質粒子(A)の平均直径、σ:第1の摩擦材の降伏応力、σ:第2の摩擦材の降伏応力、且つ、σ=10〜100MPa、σ=100〜800MPa、C=0.1〜95vol%である。
式(2)の導出は、以下の通りである。
本発明の摩擦対は、摩擦力が主に硬質粒子において発生するように設計される。いま、第1の摩擦材と第2の摩擦材との間で摩擦が生じたとすると、第1の摩擦材が第2の摩擦材から受ける摩擦力Fは、第1の摩擦材の最表面層内の硬質粒子(a)に集中し、その摩擦力Fは、最表面層内の硬質粒子(a)と、硬質粒子(a)を取り巻く周囲の成分(弾性材料(m)、硬質粒子を被覆している樹脂(b)と無機粒子(f))とによって支持されなければならない。第1の摩擦材は、硬質粒子(a)と上記周囲の成分とからなるので、硬質粒子(a)を支持する材料の降伏応力は、すなわち第1の摩擦材の降伏応力σとなる。したがって、第1の摩擦材における硬質粒子(a)の含有率をC、第1の摩擦材の硬質粒子(a)の平均直径をrとすると、
∝ σ ・ r ・ C 式(2a)
と表すことができる。
第1の摩擦材と同様に、第2の摩擦材が第1の摩擦材から受ける摩擦力Fは、第2の摩擦材における硬質粒子(A)の含有率をC、第2の摩擦材の硬質粒子(A)の平均直径をR、第2の摩擦材の降伏応力をσとすると、
∝ σ ・ R ・ C 式(2b)
と表すことができる。
作用・反作用の法則により、F=Fであるのが理想的であるが、接触確率のばらつきを考慮し、0.2≦(F/F)≦5とし、上記式(2)を求めることができる。
条件(4)は、式(2)が成り立つことの他に、さらに、σ=10〜100MPa、σ=100〜800MPa、C=0.1〜95vol%であることを要請する。
仮に、第1の摩擦材の降伏応力σが、10MPa未満である場合には、十分な摩擦力を発生させることができず、また仮に、σが100MPaを超える値である場合には、相対して摩擦力を発生させる第2の摩擦材を摩耗させ過ぎてしまうおそれがある。
なお、σは22MPa以上であることが好ましく、24MPa以上であることが特に好ましい。また、σは38MPa以下であることが好ましく、36MPa以下であることが特に好ましい。
仮に、第2の摩擦材の降伏応力σが、100MPa未満である場合には、十分な摩擦力を発生させることができず、また仮に、σが800MPaを超える値である場合には、相対して摩擦力を発生させる第1の摩擦材を摩耗させ過ぎてしまうおそれがある。
なお、σは110MPa以上であることが好ましく、120MPa以上であることが特に好ましい。また、σは790MPa以下であることが好ましく、780MPa以下であることが特に好ましい。
なお、第1の摩擦材の降伏応力σ、及び第2の摩擦材の降伏応力σの測定・算出方法としては、JIS K 7181に準ずる方法で試験し、降伏応力を算出する方法が挙げられる。
仮に、第2の摩擦材における硬質粒子(A)の含有率Cが、0.1vol%未満である場合には、十分な摩擦力を発生させることができず、また仮に、Cが95vol%を超える値である場合には、相対して摩擦力を発生させる第1の摩擦材を摩耗させ過ぎてしまうおそれがある。
なお、Cは0.15vol%以上であることが好ましく、0.2vol%以上であることが特に好ましい。また、Cは92.5vol%以下であることが好ましく、90vol%以下であることが特に好ましい。
σ=10〜100MPa、σ=100〜800MPaという条件から、
1≦(σ/σ)≦80 式(2c)
という不等式が成り立つ。また、式(2c)及び式(2)より、下記に示す不等式である式(2d)を導出することができる。
Figure 2010209214
図2は、x軸に(r/R、y軸に(C/C)をとったときの、条件(4)によって示される範囲を模式的に示したグラフである。式(2d)によって示される範囲は、曲線(C/C)・(r/R=0.2と、曲線(C/C)・(r/R=400とに挟まれた領域である。しかし、C=0.1〜95vol%であることから、(C/C)の値の上限y(=C/0.1vol%)及び下限y(=C/95vol%)が決定し、したがって、条件(4)によって示される範囲は、グラフ中の斜線で示した領域となる。
本発明の摩擦対は、上述した応力分散機構及び材料設計手法の観点から、上記条件(1)〜(4)のうち、少なくとも条件(1)を満たすことが好ましく、少なくとも条件(1)及び(3)をいずれも満たすことが特に好ましく、上記条件(1)〜(4)を全て満たすことが最も好ましい。
以下、第1の摩擦材、当該第1の摩擦材に含まれる硬質粒子(a)を樹脂(b)で被覆した樹脂被覆硬質粒子(c)及び当該樹脂被覆硬質粒子以外の当該第1の摩擦材のマトリックスを構成する弾性材料(m)、並びに、第2の摩擦材、当該第2の摩擦材に含まれる硬質粒子(A)、当該硬質粒子(A)よりもモース硬度が低く、且つ、前記樹脂(b)よりもモース硬度が高く、且つ、当該硬質粒子(A)を連結する、金属材料又は無機材料(M)について詳細に述べる。
第1の摩擦材及び第2の摩擦材に用いられる硬質粒子(a)及び(A)は、高い硬度を有し、主に摩擦材の摩擦の効きを司る材料である。具体的な材料としては、セラミックス材料を用いることができ、例えば、炭化ケイ素、炭化タングステン、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化タンタル、炭化鉄、炭化クロムなどの炭化物、アルミナ、ジルコニア、チタニア、クロミア、酸化ケイ素等の酸化物、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素、窒化ジルコニア等の窒化物、ホウ化チタン、ホウ化鉄等のホウ化物等を用いることができる。以上に述べたセラミックス材料以外にも、硬質粒子(a)及び(A)としては、例えば、FeAl等の硬質な金属間化合物等を用いることができる。
なお、硬質粒子(a)及び(A)としては、共通の上記材料を用いてもよいし、異なる材料を用いてもよい。また、硬質粒子(a)及び(A)のそれぞれが、2種類以上の異なる上記材料を混合して用いてもよい。
より高い摩擦力を発生させつつ、優れた摩擦力安定性及びノイズ・振動抑制効果を発揮するという観点から、硬質粒子(a)及び硬質粒子(A)の少なくともいずれか一方が、モース硬度が4.5以上であることが好ましい。これは、仮に、第1及び第2の摩擦材のいずれにも、モース硬度が4.5未満の硬質粒子を用いると、当該硬質粒子は降伏応力が低いので、第1及び第2の摩擦材それぞれに応力が発生した際に、各摩擦材中において硬質粒子の降伏が生じやすく、したがって、各摩擦材自身の摩耗量が増加し、望みの耐摩耗性が得られないからである。
なお、少なくとも一方の前記硬質粒子のモース硬度が4.75以上であることが特に好ましく、5以上であることが最も好ましい。
第1の摩擦材に用いられる樹脂(b)は、適度な弾性率を有する弾性材料からなり、主に上述した硬質粒子(a)の摩擦面からの突出量を、十分に吸収させる働きを司る材料である。具体的には、樹脂(b)が、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリスルホン及びポリエーテルスルホンから選ばれる少なくとも1種の非結晶性樹脂から選ばれることが好ましい。これは、適切な非結晶樹脂を選択することによって、摩擦時の硬質粒子(a)の、摩擦面からの突出量及び応力をより適切なものとし、且つ、前記各硬質粒子の降伏をより抑制することができるからである。
なお、樹脂(b)として、2種類以上の異なる上記材料を混合して用いてもよい。
第1の摩擦材に用いられる樹脂被覆硬質粒子(c)は、上述した硬質粒子(a)を、上述した樹脂(b)によってそれぞれ被覆することで完成する。
このように樹脂で被覆された硬質粒子を用いることによって、硬質粒子と弾性樹脂をそれぞれ独立に摩擦材中に含有させるのとは異なり、硬質粒子の摩擦面からの突出量を十分に吸収させる働きを、弾性樹脂が発揮すると共に、硬質粒子が十分に高い摩擦の効きを発現することができる。
弾性樹脂によって硬質粒子を被覆する方法は、たとえば、硬質粒子を弾性樹脂に浸漬することによって被覆する浸漬法や、硬質粒子にスプレー状などに加工した弾性樹脂を塗布することによって被覆する塗布法、被覆樹脂と硬質粒子を機械的に混練し塊状にしたものを適宜粉砕する方法、被覆樹脂を流動層とみなし、当該流動層の中に樹脂の軟化点以上に加熱した硬質粒子を投入する方法などが挙げられ、実際に使用する材料によって、最適な被覆方法を選択することができる。
弾性樹脂による被覆の厚さ(例えば、上述した条件(3)における平均被膜厚さs)をより精密に設計できるという観点からは、これらの被覆方法のうち、塗布法を用いることが特に好ましい。
本発明の第1の摩擦材は、樹脂被覆硬質粒子(c)の他に、さらに当該樹脂被覆硬質粒子以外の第1の摩擦材のマトリックスを構成する弾性材料(m)を有する。
弾性材料(m)が、フェノール系樹脂、変性フェノール樹脂、アミノ樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリアミドイミド樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂及びシリコーン樹脂から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。これは、適切な弾性材料を選択することによって、摩擦時の硬質粒子(a)の、摩擦面からの突出量及び応力を適切なものとすることができるからである。
金属材料又は無機材料(M)は、第2の摩擦材中のマトリックスを構成するものである。具体的には、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、チタン、銅、アルミ、及びこれらを主成分とする合金等の金属材料、又はカーボン、カーボン及びカーボン繊維の複合材、カーボン及びセラミックスの複合材等の無機材料等を用いることができる。
本発明の第1の摩擦材は、さらに基本材料を用いることができる。基本材料は、熱による変形が起きない材料を用いることが好ましく、具体的には、アラミド繊維、ナイロン、セルロースなどの有機繊維、鋼繊維、銅繊維、セラミック繊維、ガラス繊維、ロックウールなどの無機繊維を用いることができる。なお、基本材料が摩擦材全体に占める割合は、5〜50vol%であるのが好ましい。
第1の摩擦材は、樹脂被覆硬質粒子(c)及び弾性材料(m)を合計で5vol%以上含有し、且つ、樹脂被覆硬質粒子(c)と弾性材料(m)の体積比が、樹脂被覆硬質粒子(c):弾性材料(m)=2:1〜1:50であることが好ましい。
仮に、樹脂被覆硬質粒子(c)及び弾性材料(m)の合計の含有率が5vol%未満であるとすると、上述した応力分散機構の観点から、摩擦力安定性及びノイズ・振動抑制効果、耐摩耗性の両立の効果を得ることができない。
また、樹脂被覆硬質粒子(c)と弾性材料(m)の体積比において、樹脂被覆硬質粒子(c):弾性材料(m)=2:1よりも樹脂被覆硬質粒子(c)の含有比率が高い場合には、第1の摩擦材と相対する第2の摩擦材の摩耗量が多くなり、また、樹脂被覆硬質粒子(c):弾性材料(m)=1:50よりも弾性材料(m)の含有比率が高い場合には、摩擦力が低減してしまう。
なお、樹脂被覆硬質粒子(c)及び弾性材料(m)を合計で6vol%以上含有し、且つ、樹脂被覆硬質粒子(c)と弾性材料(m)の体積比が、樹脂被覆硬質粒子(c):弾性材料(m)=1:1〜1:30であるのが特に好ましく、樹脂被覆硬質粒子(c)及び弾性材料(m)を合計で7vol%以上含有し、且つ、樹脂被覆硬質粒子(c)と弾性材料(m)の体積比が、樹脂被覆硬質粒子(c):弾性材料(m)=1:2〜1:10であるのが最も好ましい。
第1の摩擦材の弾性率が100〜300MPaであることが好ましい。仮に、第1の摩擦材の弾性率が100MPa未満であるとすると、摩擦材全体の弾性率が低すぎるため、第1の摩擦材中に含まれる硬質粒子(a)の摩擦面からの突出量・応力を適切量にすることができず、また仮に、第1の摩擦材の弾性率が300MPaを超える値であるとすると、摩擦材全体の弾性率が高すぎるため、第1の摩擦材中に含まれる硬質粒子(a)が、摩擦時に脱落してしまうのを防ぐことができない。
なお、第1の摩擦材の弾性率は、120MPa以上であることが特に好ましく、140MPa以上であることが最も好ましい。また、第1の摩擦材の弾性率は、280MPa以下であることが特に好ましく、260MPa以下であることが最も好ましい。
なお、第1の摩擦材の弾性率の測定方法は、上述した弾性樹脂の弾性率、又は弾性材料の弾性率と同様の測定方法を用いることができる。
第2の摩擦材の摩擦面における表面粗さが、10μm以下であることが好ましい。これは、仮に表面粗さが10μmを超える値であると、初期なじみが悪く、摩擦力の変動、摩耗量の増大という結果を招いてしまうからである。
ここでいう表面粗さとは、JIS B601のRzJIS(10点平均粗さ)で決定する。
なお、第2の摩擦材の摩擦面における表面粗さは、9μm以下であることが特に好ましく、8μm以下であることが最も好ましい。また、第2の摩擦材の摩擦面における表面粗さは、少なくとも、0.01μm以上であれば、上記効果を十分に果たすことができる。
これまでに述べた第1の摩擦材を構成する材料を混合する方法においては、従来公知の方法、例えば、縦型ミキサーや横型ミキサーなどの混合機を用いて乾式混合する方法、又は、上記混合機などを用いて水若しくは有機溶剤の存在下で湿式混合後、減圧脱気又は加熱脱気して溶媒を除去する方法などを用いることができる。
摩擦材の成形方法としては、上記混合方法において得られる混合物を、加熱した金型中に入れて加圧する方法や、上記混合方法において得られる混合物を、基本材料に接着する方法が例示できる。この際、摩擦材の形状は、線状、棒状、板状、シート状その他の任意の形状に加工することができる。
第2の摩擦材の製造方法としては、硬質粒子(A)と粒子状の金属材料又は無機材料(M)とさらに必要に応じて無機粒子(F)をボールミル等で混合して焼結する方法、板状の焼結体を構造の基体となる部材の摩擦面部に機械的な締結法若しくは電気やレーザ等による溶接法等で接合する方法、混合した材料粉をプラズマ溶射法等で構造の基体となる部材の摩擦面に溶射する方法、粒子分散めっき法により硬質粒子(A)又は硬質粒子(A)と無機粒子(F)を分散した金属材料(M)を、構造の基体となる部材の摩擦面にめっき被覆する方法等がある。また、凝固過程で硬質粒子が析出する材料系であれば、鋳造による方法も用いることができ、セメンタイト(炭化鉄)が析出するように合金組成や鋳造条件を制御すれば、鋳鉄も本発明の第2の摩擦材に該当する。
図3は、本発明の摩擦対の典型例を示した断面模式図である。
本発明の摩擦対100は、第1の摩擦材1と第2の摩擦材2を有し、当該第1の摩擦材1の摩擦面41と、当該第2の摩擦材2の摩擦面43とが当接している。
第1の摩擦材1は、硬質粒子(a)11を樹脂(b)12で被覆した樹脂被覆硬質粒子(c)13、及び、前記粒子(c)13以外の当該第1の摩擦材のマトリックスを構成する弾性材料(m)14を有している。第2の摩擦材2は、硬質粒子(A)21、及び金属材料又は無機材料(M)24を有している。
なお、摩擦対100は、少なくとも上述した条件(1)と(3)をいずれも満たすものであることが好ましい。
図4は、上記摩擦対の典型例の応力付与前後の様子を示した断面模式図である。
図4(a)は、上記摩擦対の典型例に応力が付与される前の様子、すなわち摺動前の様子を示したものである。硬質粒子(a)11及び(A)21が各摩擦材の摩擦面から突出した突出部50は、従来技術においては、摩擦対に応力が付与された際に、硬質粒子が降伏応力を迎えやすい原因となるものであった。
図4(b)は、上記摩擦対の典型例に応力が付与された後の様子、すなわち摺動中の様子を示したものである。図に示すように、摩擦対100は、応力が付与されても、硬質粒子(a)11に被覆された樹脂(b)12及び金属材料又は無機材料(M)24がひずむことによって、硬質粒子(a)11又は(A)21に付与される過剰な応力を、樹脂(b)12又は金属材料若しくは無機材料(M)24がそれぞれ十分に吸収できるという応力分散機構を有することから、各硬質粒子が降伏応力を迎えにくい構成となっている。さらに、第1の摩擦材中に含まれる弾性材料(m)14によって、摩擦面全体に接触面15が確保されることから、摩擦面間全体において摩擦の効きを発生させることができる。
本発明によれば、摩擦対に応力が付与されても、硬質粒子(a)又は(A)に付与される過剰な応力を、樹脂(b)又は金属材料又は無機材料(M)がそれぞれ十分に吸収できるという応力分散機構を有することから、硬質粒子(a)又は(A)が降伏応力を迎えにくい構成となっており、したがって、硬質粒子(a)又は(A)によって高い摩擦力を発生させつつ、優れた摩擦力安定性及びノイズ・振動抑制効果を発揮することができる。
1.硬質粒子(a)を樹脂(b)で被覆した樹脂被覆硬質粒子の作製
硬質粒子(a)としては、SiC(炭化ケイ素。モース硬度9.3。昭和電工製。商品名:グリーンデンシック(GC))を用いた。また、樹脂(b)としては、ポリアミドイミド(以下PAIと略す。東レダウコーニング製。商品名:モリコート(PA−744))を用いた。
硬質粒子(a)への樹脂(b)被覆は、溶媒に溶かしたPAIに、SICを、PAIとSiC(溶媒中の固形分)が同体積(1:1)になる割合で混合し、その後溶媒を揮発させることによって完了した。
樹脂被覆の厚さ(s)は、樹脂被覆前後のSiCの粒径をレーザー回折粒度測定器でそれぞれ測定し、樹脂被覆後のSiCの平均粒径と樹脂被覆前のSiCの平均粒径との差をとることによって算出した。
2.摩擦対の作製
[実施例]
第1の摩擦材(ブレーキパッド)は、下記表1に示す材料を、下記表1の実施例の欄に示した配合(vol%)で混合して作製した。なお、下記表1中の「SiC(PAI被覆)」は、上記樹脂被覆硬質粒子の作製において得られた樹脂被覆炭化ケイ素のことである。また、下記表1に記載された粒径は、上述したようなレーザー回折粒度測定器でそれぞれ測定した。
下記表1に示された材料のうち、SiC(硬質粒子(a))は、モース硬度が9.3であり、また、樹脂被覆したSiCの平均粒径は26μmである。また、マイカ(無機粒子(f)。平均粒径:15μm)はモース硬度が2.5〜3.0である。さらに、硫酸バリウム(無機粒子(f)。平均粒径:10μm)はモース硬度が3.5である。したがって、本実施例中の第1の摩擦材は、上記条件(1)を満たすものである。
製造方法の詳細としては、まず、縦型ミキサーによって各種原料を5分間均一に混合し、摩擦材原料混合物を得た。次の工程の熱成形は、150℃に加熱した金型中に摩擦材原料混合物を投入した後、10分間、200kg/cmで加圧して行った。その後200℃、2時間硬化を行い、第1の摩擦材を得た。
第2の摩擦材(ローター)の製造方法は以下のとおりである。硬質粒子(A)としては、平均粒径3μmのWC(炭化タングステン。モース硬度9)を用い、金属材料又は無機材料(M)としては、コバルト(モース硬度5.5)を用いた。第2の摩擦材は、コバルトをバインダーとして、鋳鉄製のローターにWCをプラズマ溶射することによって得られた。このとき、溶射層におけるWC含有率は90vol%であった。
これら第1の摩擦材(ブレーキパッド)及び第2の摩擦材(ローター)を合わせて、実施例の摩擦対とした。
[比較例]
第1の摩擦材(ブレーキパッド)は、下記表1に示す材料を、下記表1の比較例の欄に示した配合(vol%)で混合して作製した。なお、下記表1中の「SiC(被覆なし)」は、SiC(炭化ケイ素。モース硬度9.3。昭和電工製。商品名:グリーンデンシック(GC))を、樹脂被覆を行わないままで用いたもののことである。また、下記表1に記載された粒径は、上述したようなレーザー回折粒度測定器でそれぞれ測定した。
下記表1に示された材料のうち、SiCはそもそも樹脂被覆されていないので、本比較例中の第1の摩擦材は、上記条件(1)を満たすものではない。
製造方法の詳細としては、まず、縦型ミキサーによって各種原料を5分間均一に混合し、摩擦材原料混合物を得た。次の工程の熱成形は、150℃に加熱した金型中に摩擦材原料混合物を投入した後、10分間、200kg/cmで加圧して行った。その後200℃、2時間硬化を行い、第1の摩擦材を得た。
第2の摩擦材(ローター)の製造方法は、実施例の摩擦対の製造法における、第2の摩擦材の製造方法と同様とした。
これら第1の摩擦材(ブレーキパッド)及び第2の摩擦材(ローター)を合わせて、比較例の摩擦対とした。
Figure 2010209214
3.摩擦対の摩擦特性の測定及び評価
実施例及び比較例の摩擦対について、100℃又は300℃の温度条件において、テストピース形状で200Nの荷重のもと、1m/sの速度で1時間すり合わせを行い、その後、1m/s→0m/sの制動を行った。その際の摩擦係数(μ)、及び一制動中の摩擦係数の変動量(Δμ)、摩耗量を比較したものを表2に示す。
Figure 2010209214
表2に示されるように、100℃及び300℃のいずれの温度条件においても、実施例の摩擦対は、比較例の摩擦対と比べて摩擦係数μ、摩耗量は同程度であったのに対し、摩擦係数の変動量Δμを小さく抑えることができた。したがって、これらの摩擦特性の測定結果から、条件(1)を満たした本発明の摩擦対は、条件(1)を満たさない従来技術の摩擦対と比較して、摩擦力安定性が特に優れていることがわかる。
4.摩擦対の摩擦特性(鳴き)の測定及び評価
実施例及び比較例の摩擦対について、各摩擦対を自動車に搭載した際の、市街地走行を模擬した走行(速度:40km/h、減速度:0.1〜1.5m/s、温度:50〜150℃において、100回の制動)における鳴きの測定を行った。その際の鳴きの発生回数、及び鳴きの音量を比較したものを表3に示す。
Figure 2010209214
表3に示されるように、実施例の摩擦対は、比較例の摩擦対と比べて鳴きの発生回数が少なく、鳴きの音量も小さいことが分かった。これらの鳴きに関する摩擦特性測定結果から、条件(1)を満たした本発明の摩擦対は、条件(1)を満たさない従来技術の摩擦対と比較して、振動発生に伴う鳴きを抑制できることが分かった。
1…第1の摩擦材
2…第2の摩擦材
11…硬質粒子(a)
12…樹脂(b)
13…樹脂被覆硬質粒子(c)
14…弾性材料(m)
15…接触面
21…硬質粒子(A)
24…金属材料又は無機材料(M)
41…第1の摩擦材の摩擦面
43…第2の摩擦材の摩擦面
50…突出部
61,62…無機粒子(f)
63…樹脂被覆硬質粒子(c)
100…摩擦対

Claims (13)

  1. 互いの擦動により摩擦力を生じさせる摩擦対であって、
    硬質粒子(a)と、当該硬質粒子(a)よりもモース硬度が低く、且つ、当該硬質粒子(a)の全面を覆う樹脂(b)を含む、第1の摩擦材と、
    硬質粒子(A)と、当該硬質粒子(A)よりもモース硬度が低く、且つ、前記樹脂(b)よりもモース硬度が高く、且つ、当該硬質粒子(A)を連結する、金属材料又は無機材料(M)を含む、第2の摩擦材を有することを特徴とする、摩擦対。
  2. 前記第1の摩擦材が、前記硬質粒子(a)を前記樹脂(b)で被覆した樹脂被覆硬質粒子(c)、及び、前記樹脂被覆硬質粒子以外の当該第1の摩擦材のマトリックスを構成する弾性材料(m)を含有し、
    前記第2の摩擦材が、前記硬質粒子(A)及び当該第2の摩擦材のマトリックスを構成する前記金属材料又は無機材料(M)を含有し、
    下記条件(1)〜(4)の少なくとも1つを満たす、請求項1に記載の摩擦対。
    条件(1):前記第1の摩擦材が、前記硬質粒子(a)よりもモース硬度の低い無機粒子(f)をさらに含有し、当該無機粒子(f)の平均直径rに対する前記樹脂被覆硬質粒子(c)の平均直径rの比率(r/r)が、0.2以上である。
    条件(2):前記第2の摩擦材が、前記硬質粒子(A)よりもモース硬度の低い無機粒子(F)をさらに含有し、当該無機粒子(F)の平均直径Rに対する前記硬質粒子(A)の平均直径Rの比率(R/R)が、0.2以上である。
    条件(3):前記第1の摩擦材において、下記式(1)が成り立つ。
    Figure 2010209214
    ただし、式(1)中、s:前記樹脂被覆硬質粒子(c)における前記樹脂(b)の平均被膜厚さ、E:前記樹脂(b)の弾性率、E:前記弾性材料(m)の弾性率、r:前記硬質粒子(a)の平均直径であり、且つ、E>Eである。
    条件(4):前記第1の摩擦材及び前記第2の摩擦材において、下記式(2)が成り立つ。
    Figure 2010209214
    ただし、式(2)中、C:第1の摩擦材における前記硬質粒子(a)の含有率(vol%)、C:第2の摩擦材における前記硬質粒子(A)の含有率(vol%)、r:第1の摩擦材の前記硬質粒子(a)の平均直径、R:第2の摩擦材の前記硬質粒子(A)の平均直径、σ:第1の摩擦材の降伏応力、σ:第2の摩擦材の降伏応力、且つ、σ=10〜100MPa、σ=100〜800MPa、C=0.1〜95vol%である。
  3. 前記条件(1)〜(4)を全て満たす、請求項2に記載の摩擦対。
  4. 前記硬質粒子(a)及び前記硬質粒子(A)の少なくともいずれか一方が、モース硬度が4.5以上である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の摩擦対。
  5. 前記条件(3)においてEが1GPa以上である、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の摩擦対。
  6. 前記樹脂(b)が、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリスルホン及びポリエーテルスルホンから選ばれる少なくとも1種の非結晶性樹脂から選ばれる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の摩擦対。
  7. 前記条件(1)における前記無機粒子(f)、及び前記条件(2)における前記無機粒子(F)の少なくともいずれか一方が、モース硬度が4以下である、請求項2乃至6のいずれか一項に記載の摩擦対。
  8. 前記条件(3)においてEが1GPa以上である、請求項2乃至7のいずれか一項に記載の摩擦対。
  9. 前記弾性材料(m)が、フェノール系樹脂、変性フェノール樹脂、アミノ樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリアミドイミド樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂及びシリコーン樹脂から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項2乃至8のいずれか一項に記載の摩擦対。
  10. 前記条件(1)においてr/rが0.3以上、及び/又は、前記条件(2)においてR/Rが0.3以上である、請求項2乃至9のいずれか一項に記載の摩擦対。
  11. 前記第1の摩擦材は、前記樹脂被覆硬質粒子(c)及び前記弾性材料(m)を合計で5vol%以上含有し、且つ、前記樹脂被覆硬質粒子(c)と前記弾性材料(m)の体積比が、前記樹脂被覆硬質粒子(c):前記弾性材料(m)=2:1〜1:50である、請求項2乃至10のいずれか一項に記載の摩擦対。
  12. 前記第1の摩擦材の弾性率が100〜300MPaである、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の摩擦対。
  13. 前記第2の摩擦材の摩擦面における表面粗さが、10μm以下である、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の摩擦対。
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