JP2010208578A - 車両用アンダーカバー - Google Patents

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Abstract

【課題】車体下部での空気抵抗の低減化を更に一層高いレベルで実現可能な車両用アンダーカバーを提供する。
【解決手段】前側カバー12と後側カバー14とにて構成すると共に、後側カバー14に対して、前側カバー12の後端部位と車体の下面54との間に配置可能な前端部位を設けた。そして、かかる前端部位が、車幅方向に対応する幅方向に延びる前側竪壁部48を有するように構成し、更に、前側竪壁部48に前側通気部50を形成する一方、後側カバー14の後端部位に後側通気部52を形成して、構成した。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両用アンダーカバーに係り、特に、車体下部での空気抵抗を低減せしめることを主な目的として、車体の下面を覆って配置される車両用アンダーカバーの改良された構造に関する。
よく知られているように、自動車等の車両では、車体表面に凹凸部が存在すると、走行時における車体表面での空気の円滑な流れが阻害されるようになり、それによって、空気抵抗が増大して、走行安定性が損なわれたり、或いは燃費が悪化する等の問題が惹起される。このため、近年では、車体の側面や上面は勿論、下面についても、空気抵抗の低下が、車体設計上での重要な要素となっている。
かかる状況下、車体下部での空気抵抗の低減を主な目的として、車体の下面を覆って配置される車両用アンダーカバーにおいて、車体下部を通過する空気の流れをよりスムーズにする等して、空気抵抗の低減化を図るようにした構造が、種々提案されている(例えば、下記特許文献1)。しかしながら、それらの提案構造によって得られる空気抵抗の低減効果は、十分に満足し得るものであるとは言い難かった。
すなわち、アンダーカバーが取り付けられた車両の走行時には、空気が、アンダーカバーと地表面との間において、アンダーカバーの下面に沿って流れるだけでなく、アンダーカバーの内側に入り込んだ空気が、車体の下面とアンダーカバーとの間においても、後方に向かって流れる。しかしながら、従来の車両用アンダーカバーでは、空気が、アンダーカバーの下面に沿ってスムーズに流れるような構造とされてはいるものの、アンダーカバーの内側に入り込んだ空気の流れについて、何等考慮されておらず、ましてや、そのような空気の流れによって生ずる空気抵抗に対して、何等の対策も講じられてはいなかった。そのため、従来の車両用アンダーカバーでは、空気抵抗の低減化について、期待される程の効果を得ることが出来なかったのである。
また、車体下部での空気抵抗の更なる低減化を図るには、車体下面の凹凸部分が全てアンダーカバーにて覆われていることが望ましいが、そうすると、アンダーカバーが不可避的に大型化して、アンダーカバーの取扱性の悪化や製作性の低下等が惹起される。尤も、そのような大型のアンダーカバーでも、例えば、車体下面の前後に並んで配置される二つの分割体からなる分割構造とすれば、大型化による弊害が十分に回避され得る。また、それら二つの分割体を車体下面に前後に並べて配置する際にも、前側に位置する分割体の後端部位と車体の下面との間に、後側に位置する分割体の前端部位を配置することによって、二つの分割体の連結部分(繋ぎ目部分)での空気の流れを可及的にスムーズに為すことが出来、以て、かかる連結部分での空気抵抗の増大の懸念も有利に解消され得る。
ところが、そのような二つの分割体にてアンダーカバーを構成した場合、二つの分割体を車体下面に配置したときに、特に、後側に位置する分割体の前端部位が自重により垂れ下がってしまうと、かかる後側分割体の前端部位の下側に位置する前側分割体の後端部位も、垂れ下がった後側分割体の先端部位の重みで垂れ下がり、それによって、アンダーカバーの下面側での空気抵抗の低減効果が著しく損なわれる事態が生ずる恐れがある。これを未然に防ぐには、後側の分割体の前端部位に、車幅方向に対応する幅方向に延びる竪壁部を一体的に立設して、かかる前端部位を補強することが考えられる。しかし、このような竪壁部を後側の分割体の前端部位に設けた場合、かかる竪壁部が、アンダーカバーの内側での空気の流れの妨げとなって、アンダーカバー内での空気抵抗を増大させる可能性が生ずるのである。
特開平8−127367号公報
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、車体の下面を覆って配置される車両用アンダーカバーにおいて、アンダーカバーと地表面との間の空気の流れをよりスムーズとすることに加えて、アンダーカバーの内側に入り込んだ空気の流れもスムーズとすることにより、車体下部での空気抵抗の低減化を更に一層高いレベルで実現し得るように改良された構造を提供することにある。
本発明は、上記した課題、又は本明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙する各種の態様において、好適に実施され得るものである。また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいても、採用可能である。そして、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
(1) 車体の下面を覆って配置される車両用アンダーカバーであって、車体の下面の前側部分を覆って配置される前側カバーと、該前側カバーによって覆われる車体の下面部分よりも後側の下面部分を覆って配置される後側カバーとからなり、且つ該後側カバーが、該前側カバーの後端部位と車体の下面との間に配置可能な前端部位を有すると共に、該前端部位が、車幅方向に対応する幅方向に延びる前側竪壁部を有しており、更に、該前側竪壁部に、空気が通過可能な前側通気部が形成されている一方、該後側カバーの後端部位に、空気が通過可能な後側通気部が形成されていることを特徴とする車両用アンダーカバー。なお、本発明では、後側カバーの前端部位に前側竪壁部が設けられて、前側竪壁部が、後側カバーの前端部位に一部にて構成される場合と、前側竪壁部が、後側カバーの前端部位の全部にて構成される場合の両方の場合を含む。
(2) 前記後側カバーの前記前側竪壁部に、それを貫通する前側貫通孔が形成されて、該前側貫通孔にて、前記前側通気部が構成されている一方、該後側カバーの前記後端部位に、その幅方向に延びる後側竪壁部が設けられ、更に、該後側竪壁部に、それを貫通する後側貫通孔が形成されて、該後側貫通孔にて、前記後側通気部が構成されている上記態様(1)に記載の車両用アンダーカバー。
(3) 前記後側カバーの前端部位を車体に取り付けるための取付部材が挿通される挿通孔を備えたボス部が、該後側カバーの前端部位の上面における前記幅方向両側の部分にそれぞれ一体的に突設されると共に、前記前側竪壁部が、該二つのボス部の該幅方向に互いに対向する対向部分の間に、それらの対向部分同士を相互に連結するように一体的に立設されている上記態様(1)又は(2)に記載の車両用アンダーカバー。
すなわち、本発明に従う車両用アンダーカバーにあっては、前側カバーと後側カバーの二つの分割体からなるところから、大型化による弊害の発生を可及的に抑制しつつ、車体の下面の、より広い領域を、有利に覆うことが出来る。また、後側カバーの前端部位が、前側カバーの後端部位と車体の下面との間に配置されるようになっており、しかも、後側カバーの前端部位に、かかる部位を補強して、その垂れ下がりを防止し得る前側竪壁部が一体形成されている。それ故、かかる車両用アンダーカバーでは、単一の部材からなる従来品よりも、アンダーカバーと地表面との間を通過する空気を更に一層スムーズに流すことが出来る。
そして、本発明に係る車両用アンダーカバーにおいては、特に、後側カバーの前端部位に立設された前側竪壁部に前側通気部が形成されていると共に、後側カバーの後端部位にも後側通気部が形成されている。このため、アンダーカバーと車体下面との間に入り込んだ空気が、前側及び後側通気部を通じて流通するようになる。それによって、アンダーカバーの内側での空気の流れが、前側竪壁部に邪魔されることが可及的に抑制されて、よりスムーズとなり、更には、アンダーカバー内を流れる空気が、後側通気部を通じて、アンダーカバーの外部に円滑に流出され得る。
従って、かくの如き本発明に従う車両用アンダーカバーを用いれば、アンダーカバーと地表面との間を通過する空気の流れと、アンダーカバーの内側を通過する空気の流れとを、何れも、よりスムーズと為すことが出来、それによって、車体下部での空気抵抗の低減化を、更に一層高いレベルでより有利に実現することが可能となるのである。
本発明に従う車両用アンダーカバーの一実施形態を示す上面説明図である。 図1のII−II断面説明図である。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1及び図2には、本発明に従う構造を有する車両用アンダーカバーの一実施形態として、自動車の下面を覆って配置される自動車用アンダーカバーが、その上面形態と縦断面形態とにおいて、それぞれ示されている。それらの図から明らかなように、本実施形態のアンダーカバー10は、前側カバー12と後側カバー14とにて構成されている。
より詳細には、前側カバー12は、例えば、ポリアミド樹脂等の樹脂材料を用いて形成された樹脂成形品からなり、底壁部16と周壁部18とを一体的に有している。この前側カバー12の底壁部16は、前側カバー12が自動車の下面に配置されたときに、自動車の前後方向(図1及び図2の左右方向)に延びる略長手矩形の平板形状を呈している。そして、かかる底壁部16の上面には、底壁部16の全体、更には前側カバー12全体の強度の向上を図るための薄肉平板状の補強リブ20の複数が、互いに交差しつつ、自動車の前後方向と車幅方向(図1の上下方向で、図2の紙面に垂直な方向)とにそれぞれ対応する方向に延びるようにして、一体的に立設されている。
また、底壁部16の上面の前端部位(前側カバー12が自動車の下面に配置されたときに、自動車の前部側に配置される部位)には、円錐台形状を呈する複数個(ここでは、2個)の前側ボス部22が、一体的に突設されている。これら各前側ボス部22の先端面には、前側カバー12を自動車の下面に取り付けるための取付ボルト(図示せず)が挿通される挿通孔24が設けられている。更に、底壁部16の後端部位(前側カバー12が自動車の下面に配置されたときに、自動車の後部側に配置される部位)にも、取付ボルト(図示せず)が挿通される挿通孔25が、幅方向に所定間隔を開けて2個設けられている(図2には、1個のみを示す)。なお、図1及び図2中、26は、水抜き孔である。
また、底壁部16は、その下面が、凹凸部のない平坦面とされている。これによって、前側カバー12が自動車の下面に配置されたときに、かかる前側カバー12の下側を通過する空気が、平坦な下面に沿ってスムーズに流され得るようになっている。なお、以下からは、アンダーカバー10が設置される自動車の前後方向に対応するアンダーカバー10の長手方向(図1及び図2の左右方向)を前後方向と言い、また、かかる自動車の幅方向に対応するアンダーカバー10の長手方向に直角な方向(図1の左右方向と図2の紙面に垂直な方向)を幅方向と言うこととする。
周壁部18は、底壁部16の上面の後端部位を除く外周部分、つまり前端部位と左端部位と右端部位の三つの端部部位に対して、周方向に連続して延びる状態で一体的に立設されている。即ち、ここでは、周壁部18が、底壁部16の前端部位において幅方向に延びるように設けられた前側周壁部18aと、その左端部位と右端部位とにおいて、それぞれ前後方向に延びるように設けられた左側周壁部18bと右側周壁部18cとにて、構成されている。また、そのような周壁部18の上端部には、側方に所定高さ突出し、且つ周方向に連続して延びる外フランジ部28が一体形成されている。なお、ここでは、底壁部16の後端部位に、周壁部18の代わりに、補強リブ20が、幅方向に連続して延びるように立設されている。
そして、周壁部18における上記3つの部分18a〜18cのうちの前側周壁部18aにあっては、その延出方向の中間部に、前方に向かって開口する凹部が29が設けられ、この凹部29の底面となる前側周壁部18aの延出方向中間部の外側面が、後方に向かって下傾する傾斜案内面30とされている。これによって、前側カバー12が自動車の下面に配置されたときに、かかる前側カバー12の前側周壁部18aに衝突する気流(空気)が、傾斜案内面30に案内されつつ、斜め下方に向かってスムーズに流され得るようになっている。また、左側周壁部18bと右側周壁部18cは、設置されるべき自動車の下面の凹凸に対応するように、それぞれの高さが、底壁部16の後端側に向かうに従って段階的に低くされている。そして、それら左側及び右側周壁部18b,18cの後端側部分の高さが、何れも、底壁部16に立設された補強リブ20と同程度の高さとされている。なお、図1中、32は、前側カバー12を自動車の下面に取り付けるための取付ボルト(図示せず)が、外フランジ部28に挿通される挿通孔である。
一方、後側カバー14も、例えば、ポリアミド樹脂等の樹脂材料を用いて形成された樹脂成形品からなっている。そして、この後側カバー14は、底壁部34と周壁部36とを一体的に備えた、前記前側カバー12と略同様な基本構造を有している。
すなわち、後側カバー14の底壁部34は、後側カバー14が前側カバー12と共に自動車の下面に配置されたときに、自動車の前後方向(図1及び図2の左右方向)に延びる略長手矩形の平板形状を呈している。そして、この底壁部34の上面には、薄肉平板状の補強リブ20の複数が、互いに交差しつつ、前後方向と幅方向にそれぞれ延びるようにして、一体的に立設されている。また、底壁部34の上面の長手方向の中間部には、円錐台形状を呈する複数個(ここでは、2個)の後側ボス部37が、一体的に突設されており、それら各後側ボス部37の先端面に、取付ボルト(図示せず)を挿通させる挿通孔24が設けられている。
また、かかる底壁部34においては、前後方向の中央部よりも前端側の部位に段付け部38が設けられて、この段付け部38よりも前側の部分が、それよりも後側の部分に比して一段高くされている。この段付け部38よりも前側と後側の部分のそれぞれの下面の高低差は、前側カバー12の底壁部16の後端部位の下面から、かかる後端部位に立設された補強リブ20の先端面までの高さ寸法と略同程度の寸法とされている。また、段付け部38にて、他の部位よりも一段高くされた底壁部34の前側部分の幅方向両側には、角錐台形状を呈する中間ボス部40が、幅方向において互いに対向して、それぞれ1個ずつ一体的に立設されている。そして、それら各中間ボス部40の先端面には、図示しない取付ボルトが挿通せしめられる挿通孔42が設けられている。なお、ここでは、それら2個の中間ボス部40,40にそれぞれ設けられた挿通孔42,42の配置間隔が、前側カバー12の底壁部16の後端部位に形成された2個の挿通孔25,25の配置間隔と同一の大きさとされている。
後側カバー14の周壁部36は、底壁部34の上面の外周部分に対して、その周方向に全周に亘って連続的に延びる状態で、一体的に立設されている。つまり、ここでは、周壁部36が、底壁部34の前端部位において幅方向に延びるように設けられた前側周壁部36aと、その左端部位と右端部位とにおいて、それぞれ前後方向に延びるように設けられた左側周壁部36bと右側周壁部36cと、その後端部位において幅方向に延びるように設けられた後側周壁部36dとからなっている。また、そのような周壁部36の上端部には、側方に所定高さ突出し、且つ周方向に連続して延びる外フランジ部44が一体形成されている。更に、周壁部36の左側周壁部36bと右側周壁部36cは、前側カバー12の周壁部18の左側周壁部18bと右側周壁部18cと同様に、設置されるべき自動車の下面の凹凸に対応するように、それぞれの高さが、後端側において低くされている。
かかる周壁部36の前側周壁部36aの延出方向の中間部には、前方に向かって開口する凹部46が設けられ、この凹部46の底部が、後方に向かって下傾する傾斜壁部48とされている。換言すれば、後側カバー14の底壁部34の上面における前端部位の幅方向中間部に、前方に向かって上傾する傾斜壁部48が、幅方向に延びるようして、一体的に立設されている。また、ここでは、この傾斜壁部48が、底壁部34の前端部位に、幅方向に所定距離を隔てて、互いに対向する状態で設けられた2個のボス部40,40の互いの対向面間に延び出して、それら2個のボス部40,40の対向部位同士を相互に連結している。このように、後側カバー14の前端部位に対して、傾斜壁部48を含む前側周壁部36aが設けられていることにより、後側カバー14の前端部位が補強されて、かかる後側カバー14の前端部位の幅方向における曲げ剛性(後側カバー14の前端部位の幅方向両端部を相互に近接させるように屈曲させるときの曲げ強さ)が、有利に高められている。
そして、本実施形態においては、かかる傾斜壁部48に対して、前側通気部50が、複数個(ここでは4個)形成されている。それら各前側通気部50は、傾斜壁部48を厚さ方向に貫通する貫通孔(前側貫通孔)からなり、空気を十分な量において通過させ得る大きさの、横長の矩形状を有している。そして、傾斜壁部48の延出方向(後側カバー14の幅方向)に互いに等間隔を隔てて位置せしめられている。
一方、後側カバー14の周壁部36の後側周壁部36dにも、後側通気部52が、複数個(ここでは3個)形成されている。それら各後側通気部52は、後側周壁部36dの高さ方向中間部から、後側周壁部36dに連続する底壁部34の後端縁部分にまで跨った部分を貫通する貫通孔(後側貫通孔)からなり、空気を十分な量において通過させ得る大きさの、横長の矩形状を有している。そして、後側周壁部36dの延出方向(後側カバー14の幅方向)に互いに等間隔を隔てて位置せしめられている。これらのことから明らかなように、本実施形態では、傾斜基部48にて、前側竪壁部が、また、後側周壁部36dにて、後側竪壁部が、それぞれ構成されている。
そして、本実施形態のアンダーカバー10にあっては、図2に二点鎖線で示される自動車の下面54に対して、前側カバー12と後側カバー14とが、かかる下面54を覆いつつ、前後方向に直列に並べられた状態で、取り付けられるようになっている。
すなわち、前側カバー12が、自動車の床下において、自動車の下面54の前側部分に対して、底壁部16を対向させて、かかる下面54の前側部分を覆って、配置される。このとき、周壁部18や外フランジ部28のそれぞれの上端面が、自動車の下面54に接触位置せしめられる。また、周壁部18における前側周壁部18aの傾斜案内面30が、車幅方向に延びるように位置せしめられる。
そして、かかる配置状態下で、2個の前側ボス部22,22の各挿通孔24と外フランジ部28に設けられた挿通孔32とに対して、取付部材たる、図示しない取付ボルトがそれぞれ挿通されて、それらの取付ボルトにて、前側カバー12の前端部位が、自動車の下面54に取り付けられるようになっている。
一方、後側カバー14は、自動車の床下において、前側カバー12の後側に直列に並べられて、かかる前側カバー12にて覆われた自動車の下面54の前側部分よりも後側の下面54部分に対して、底壁部34を対向させつつ、かかる後側の下面54部分を覆って、配置される。このとき、周壁部36や外フランジ部44のそれぞれの上端面が、自動車の下面54に接触位置せしめられる。また、周壁部36における前側周壁部36aの傾斜壁部48が、車幅方向に延びるように位置せしめられる。更に、底壁部34の段付け部38よりも前側の前端部位が、前側カバー12の底壁部16の後端部位と自動車の下面54との間において、2個の中間ボス部40,40の各挿通孔42,42を、前側カバー12の底壁部16の後端部位に設けられた2個の挿通孔25,25に対してそれぞれ同軸的に対応させつつ、位置せしめられる。また、かかる底壁部34の前端部位の下面が、前側カバー12の底壁部16の後端部位に立設された補強リブ20の先端面に接触位置せしめられる。
そして、そのような配置状態下で、2個の後側ボス部37,37の各挿通孔24,24と外フランジ部28に設けられた挿通孔32とに対して、取付部材たる、図示しない取付ボルトがそれぞれ挿通されると共に、前側カバー12の底壁部16の後端部位に設けられた2個の挿通孔25,25に挿通された取付ボルト(図示せず)が、2個の中間ボス部40,40の各挿通孔42,42にそれぞれ挿通されて、それらの取付ボルトにて、前側カバー12の後端部位と後側カバー14とが、自動車の下面54に取り付けられるようになっている。
このように、本実施形態のアンダーカバー10においては、前側カバー12と後側カバー14とが、自動車の下面54に対して、前後方向に直列に並んで取り付けられるようになっている。それ故、かかるアンダーカバー10では、単一部材からなる場合とは異なって、取扱性や製作性が問題となるアンダーカバー10全体の大型化を招くことなく、前側カバー12と後側カバー14とにて、自動車の下面54の前後方向に延びる、より広い領域を覆うことが出来る。そして、その結果、自動車の下部を通過する空気の自動車下面54の凹凸部への衝突によって生ずる空気抵抗が、更に効果的に低減され得る。
また、かかるアンダーカバー10では、前側カバー12の後端部位と自動車の下面54との間に、傾斜壁部48を含む前側周壁部36aを有して曲げ剛性が高められた後側カバー14の前端部位が配置された状態で、前側カバー12の後端部位と後側カバー14の前端部位とが相互に連結されている。これにより、例えば、後側カバー14の前端部位が自重により垂れ下がるようなことが有利に防止され得るだけでなく、垂れ下がった後側カバー14の前端部位の重みで前側カバー12の後端部位も垂れ下がってしまうことも、効果的に回避され得る。その結果として、アンダーカバー10と地表面との間を通過する空気を、更に一層スムーズに流すことが可能となる。
そして、かかるアンダーカバー10においては、それが取り付けられた自動車の走行時において、図2に矢印で示されるように、自動車の下部を通過する空気のうち、アンダーカバー10の下側を後方に向かって通過する空気を、先ず、前側カバー12の前側周壁部18aの傾斜案内面30に案内して、斜め下方に流した後、前側カバー12と後側カバー14のそれぞれの底壁部16,34の下面に沿って、水平方向にスムーズに流し得るようになっている。また、アンダーカバー10の内側に入り込んだ空気を、後側カバー14の前側周壁部36aの傾斜壁部48に設けられた複数の前側通気部50を通じて、前側カバー12の内側から後側カバー14の内側に向かってスムーズに流動させ、更に、かかる後側カバー14内に流入した空気を、後側周壁部36dに設けられた複数の後側通気部52を通じて、後側カバー14の外部に向かってスムーズに流し得る。
従って、かくの如き本実施形態のアンダーカバー10にあっては、自動車の下面54に取り付けられた状態下で、アンダーカバー10と地表面との間を通過する空気の流れと、アンダーカバー10の内側を通過する空気の流れとを、何れも、よりスムーズと為すことが出来る。そして、それによって、自動車の下部での空気抵抗の低減化を、更に一層高いレベルでより有利に実現することが可能となるのである。
また、かかるアンダーカバー10においては、後側カバー14の前側周壁部36a(傾斜壁部48)と後側周壁部36dとにそれぞれ設けられた前側通気部50と後側通気部52とが、何れも、貫通孔からなっている。そのため、それら前側通気部50と後側通気部52とが、それらの形成による前側周壁部36aと後側周壁部36dの強度の低下を可及的に防止しつつ、それら前側周壁部36aと後側周壁部36dとに対して、任意の位置に形成され得ることとなる。
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
例えば、後側カバーの前端部位に、前側竪壁部を傾斜せしめられることなく鉛直方向に延びるように形成しても良い。また、かかる前側竪壁部を、後側カバーの前端部位に対して、その全幅に亘って連続して延びるように形成することも可能である。
さらに、前記実施形態では、後側カバー14の底壁部34の段付け部38よりも前側の部分が、前側カバー12の底壁部16の後端部位と自動車の下面54との間に配置される前端部位とされて、この前端部位に、前側竪壁部たる傾斜壁部48が設けられていたが、前側竪壁部たる傾斜壁部48のみを、前側カバー12の底壁部16の後端部位と自動車の下面54との間に配置される前端部位として構成することも出来る。つまり、前側竪壁部のみにて、前側カバーの全体部位を構成しても良いのである。
前側竪壁部に設けられる前側通気部と後側カバーの後端部位に設けられる後側通気部のそれぞれの大きさや配設個数も、前側竪壁部や後側カバーの後端部位の大きさや形状等によって、適宜に変更され得る。
また、前側通気部と後側通気部とを、前記実施形態において例示される貫通孔以外の形態と為すことも、勿論可能である。例えば、前側通気部と後側通気部とを前側竪壁部と後側竪壁部とにそれぞれ設ける場合において、各竪壁部に切欠部を設けて、かかる切欠部にて、各通気部を構成しても良い
加えて、本発明は、自動車の車体の下面を覆って設置されるアンダーカバーの他、自動車以外の車両における車体の下面を覆って設置される車両用アンダーカバーの何れに対しても、有利に適用可能であることは、勿論である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
10 アンダーカバー 12 前側カバー
14 後側カバー 16,34 底壁部
18,36 周壁部 40 中間ボス部
42 挿通孔 48 傾斜壁部
50 前側通気部 52 後側通気部

Claims (3)

  1. 車体の下面を覆って配置される車両用アンダーカバーであって、
    車体の下面の前側部分を覆って配置される前側カバーと、該前側カバーによって覆われる車体の下面部分よりも後側の下面部分を覆って配置される後側カバーとからなり、且つ該後側カバーが、該前側カバーの後端部位と車体の下面との間に配置可能な前端部位を有すると共に、該前端部位が、車幅方向に対応する幅方向に延びる前側竪壁部を有しており、更に、該前側竪壁部に、空気が通過可能な前側通気部が形成されている一方、該後側カバーの後端部位に、空気が通過可能な後側通気部が形成されていることを特徴とする車両用アンダーカバー。
  2. 前記後側カバーの前記前側竪壁部に、それを貫通する前側貫通孔が形成されて、該前側貫通孔にて、前記前側通気部が構成されている一方、該後側カバーの前記後端部位に、その幅方向に延びる後側竪壁部が設けられ、更に、該後側竪壁部に、それを貫通する後側貫通孔が形成されて、該後側貫通孔にて、前記後側通気部が構成されている請求項1に記載の車両用アンダーカバー。
  3. 前記後側カバーの前端部位を車体に取り付けるための取付部材が挿通される挿通孔を備えたボス部が、該後側カバーの前端部位の上面における前記幅方向両側の部分にそれぞれ一体的に突設されると共に、前記前側竪壁部が、該二つのボス部の該幅方向に互いに対向する対向部分の間に、それらの対向部分同士を相互に連結するように一体的に立設されている請求項1又は請求項2に記載の車両用アンダーカバー。
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