JP2010204413A - 液滴吐出装置、液滴吐出方法、及びカラーフィルターの製造方法 - Google Patents

液滴吐出装置、液滴吐出方法、及びカラーフィルターの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】スジムラを目立たなくして画質の低下を抑制することが可能な、さらに生産効率に優れる液滴吐出装置、液滴吐出方法、及びカラーフィルターの製造方法を提供する。
【解決手段】複数のノズルと、複数の駆動素子と、を有する液滴吐出ヘッド5と、シート部材15を供給する供給リール12と、巻取リール13と、画像を撮影する撮像装置14と、機能液の吐出量の分布を求める解析手段32と、分布から複数のノズルにおける吐出量が所定の適正量に近づくように複数の駆動素子に印加する電圧を調整する制御手段31と、を有し、制御手段31は、液滴吐出ヘッド5を複数のノズルの配列方向と交差する主走査方向に走査しつつ、シート部材15上に各ノズルから第1の間隔で機能液を複数滴吐出させ、その後、第1の間隔よりも広い第2の間隔で機能液を1滴もしくは複数滴吐出させ、さらにその後、第1の間隔よりも広い第3の間隔で機能液を複数滴吐出させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、液滴吐出装置、液滴吐出方法、及びカラーフィルターの製造方法に関するものである。
近年、携帯電話機、携帯型コンピューターなどの電子機器の表示部に液晶装置、有機EL(Electro-Luminescent)装置等の電気光学装置が用いられている。これらの電気光学装置は、一般にフルカラー表示が行われる。例えば、液晶装置によるフルカラー表示は、液晶層によって変調される光をカラーフィルターに通すことによって表示される。このようなカラーフィルターは、液滴吐出法を用いた成膜技術によって、基板表面にインクをドット状に吐出することで形成される。
ところで、液滴吐出法を用いた成膜技術においては、複数のノズルのインク吐出量に僅かながらばらつきが生じる。そして、インク吐出量にばらつきを有した状態で描画した場合には、カラーフィルターに筋状の濃淡ムラ(スジムラ)が発生する場合がある。このようなスジムラは視認されやすく、カラーフィルターを介して表示される画像の画質が低下してしまう惧れがある。
このような問題点を解決するための技術が検討されており、例えば特許文献1では、複数の異なるインク吐出密度で被着色媒体を着色し、この着色部分の色濃度を測定して、複数の異なるインク吐出密度で着色された着色部分の各々の色濃度と、それに対応するインク吐出密度と、の関係を算出している。この関係に基づいて、所望の色濃度が得られるインク吐出密度になるように補正することにより、表示画像の画質の低下を抑えている。
特開平10−260306号公報
特許文献1では、複数の異なるインク吐出密度で着色された着色部分の各々の色濃度を、被着色媒体の着色部の吸光度により表している。この吸光度の測定の際に誤差が生じると、精度の高い補正ができず、画質の低下を抑制することが困難な場合がある。
一方、複数のノズルから吐出されたインクの重量を測定する方法が、従来用いられている。しかしながら、インクの重量を測定することは、測定が容易ではなく膨大な工数を要するので、生産効率に劣るため量産面で好ましくない。
また、液滴吐出法を用いた成膜技術においては、複数のノズルから吐出されるインクを用いて描画する場合、描画の開始からしばらくの間はインクの吐出量が不安定である。そして、インク吐出量が不安定な状態で描画した場合には、カラーフィルターにスジムラが発生し、カラーフィルターを介して表示される画像の画質が低下してしまう。
このような問題を解決するため、表示領域の近傍に表示に寄与しないダミー領域を設け、このダミー領域にインク吐出量が安定な状態になるまでインクを捨て打ちする技術がある。インクの吐出条件を揃える面で、ダミー領域には表示領域におけるインクの着弾間隔にならって所定の間隔でインクを捨て打ちすることが望ましい。しかしながら、所定の間隔でインクを捨て打ちするとダミー領域が大きくなってしまい、被記録体を有効的に利用できないため好ましくない。また、ダミー領域に所定の間隔を空けないで局所的にインクを捨て打ちする技術もある。この技術は、ダミー領域を小さくできる点においては好ましいが、捨て打ちされたインクが重なり合い、これに伴いインクが濡れ拡がって測定領域に侵入してしまう惧れがある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、スジムラを目立たなくして画質の低下を抑制することが可能であり、さらに生産効率に優れる液滴吐出装置、液滴吐出方法、及びカラーフィルターの製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の液滴吐出装置は、機能液を吐出させる複数のノズルと、前記複数のノズルに対応して設けられた複数の駆動素子と、を有する液滴吐出ヘッドと、前記複数のノズルから吐出された前記機能液を着弾させるシート部材を供給する供給リールと、前記供給リールから供給された前記シート部材を巻き取る巻取リールと、前記供給リールと前記巻取リールとの間の前記シート部材に対して前記複数のノズルから吐出された前記機能液の画像を撮影する撮像装置と、前記撮像装置によって撮影された前記画像を画像処理して前記機能液の前記シート部材上の着弾面積を測定し、前記複数のノズルから吐出された前記機能液の吐出量の分布を求める解析手段と、前記液滴吐出ヘッドと前記シート部材との相対移動及び、前記液滴吐出ヘッドの吐出動作を制御するとともに、前記分布から前記複数のノズルにおける前記吐出量が所定の適正量に近づくように前記複数の駆動素子に印加する電圧を調整する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記液滴吐出ヘッドを前記シート部材に対して前記複数のノズルの配列方向と交差する主走査方向に相対移動しつつ、前記シート部材上に各ノズルから第1の間隔で前記機能液を複数滴吐出させ、その後、前記第1の間隔よりも広い第2の間隔で前記機能液を1滴もしくは複数滴吐出させ、さらにその後、前記第1の間隔よりも広い第3の間隔で前記機能液を複数滴吐出させ、前記解析手段は、前記第3の間隔で吐出された複数滴の前記機能液の画像を画像処理し、前記各ノズルにおける前記機能液の着弾面積を測定し、その平均の面積を前記各ノズルから吐出された前記機能液の着弾面積とし、その着弾面積に基づいて前記各ノズルから吐出された前記機能液の吐出量の分布を求めることを特徴とする。
この構成によれば、撮像装置によりシート部材における有効領域に対して複数のノズルから吐出されるインク(機能液)の着弾した画像が撮影される。そして、解析手段により複数のノズルから吐出されるインクの着弾面積に基づいて、複数のノズルから吐出されるインクの吐出量の分布が求められる。すると、制御手段により駆動素子への印加電圧は、複数のノズルにおけるインク吐出量が所定の適正量に近づくように調整される。つまり、制御手段により複数のノズルにおけるインク吐出量のばらつきが補正されることになる。このため、液滴吐出ヘッドの全ノズルから均一な量のインクを吐出することが可能となる。また、制御手段は、液滴吐出ヘッドをシート部材に対して複数のノズルの配列方向と交差する主走査方向に相対移動しながら、シート部材上に複数のノズルの各ノズルからインクを第1捨て打ち間隔(第1の間隔)で複数滴吐出させ、その後、第1捨て打ち間隔よりも広い第2捨て打ち間隔(第2の間隔)でインクを1滴もしくは複数滴吐出させ、さらにその後、第1捨て打ち間隔よりも広い第1着弾間隔(第3の間隔)でインクを複数滴吐出させる機能を有している。ここで、シート部材は、インクが第1着弾間隔で複数滴吐出される測定領域と、インクが第1捨て打ち間隔で複数滴吐出される第1ダミー領域と、測定領域と第1ダミー領域との間に設けられインクが第2捨て打ち間隔で1滴もしくは複数滴吐出される第2ダミー領域と、に区画されているとする。すると、インク吐出量が不安定な描画開始からしばらくの間は、第1ダミー領域にインクを複数滴吐出して捨て打ちすることができる。このため、インク吐出量が安定な状態で測定領域にインクを着弾することが可能となる。また、第1ダミー領域と測定領域との間の第2ダミー領域に、第1捨て打ち間隔よりも広い第2捨て打ち間隔でインクが1滴もしくは複数滴吐出されるので、第1ダミー領域でインクが所定の間隔を空けないで局所的に吐出されても、吐出されたインクが濡れ拡がって測定領域に侵入してしまうことがない。このため、画像の表示に寄与する測定領域において、液滴吐出ヘッドの全ノズルにおけるインクの着弾面積を均一化することが可能となる。したがって、スジムラを目立たなくして画質の低下を抑制することができる。また、インク吐出量が安定になるまでダミー領域にインクを捨て打ちし、複数のノズルにおけるインクの着弾面積に基づいて、複数のノズルから吐出されるインクの吐出量の分布を求める方法は、従来の複数のノズルから吐出されたインクの重量を測定する方法に比べて、膨大な工数がかからないので生産効率に優れる。また、複数のノズルから吐出されたインクが着弾したシート部材が適宜搬送されるので、着弾面積の測定が効率よく行われる。
前記シート部材は、顔料をバインダーで結着させた多孔質のインク受容層を有していてもよい。
この構成によれば、液滴吐出ヘッドの全ノズルから格段に均一な量のインクが吐出されるとともに、全ノズルにおけるインクの着弾面積が格段に均一化される。特に、シート部材が多孔質のインク受容層を有している場合は、インクを所定の間隔を空けないで局所的に捨て打ちすると、インク受容層のインクに対する浸透性が低下し、インクが浸透せずに塗れ拡がり易くなるため、インク受容層の表面の浸透性は均一に制御されるべきものとされることから、格段の効果を奏する。
本発明の液滴吐出方法は、機能液を吐出させる複数のノズルと、前記複数のノズルに対応して設けられた複数の駆動素子と、を有する液滴吐出ヘッドを用いた液滴吐出方法であって、前記液滴吐出ヘッドをシート部材に対して前記複数のノズルの配列方向と交差する主走査方向に相対移動しつつ、前記シート部材上に各ノズルから第1の間隔で前記機能液を複数滴吐出させる第1吐出工程と、前記第1吐出工程の後に、前記第1の間隔よりも広い第2の間隔で前記機能液を1滴もしくは複数滴吐出させる第2吐出工程と、前記第2吐出工程の後に、前記第1の間隔よりも広い第3の間隔で前記機能液を複数滴吐出させる第3吐出工程と、前記第3吐出工程の後に、前記シート部材に前記第3の間隔で着弾された前記機能液の着弾面積を測定し、その平均の面積を前記各ノズルから吐出された前記機能液の着弾面積とし、その着弾面積に基づいて前記各ノズルから吐出された前記機能液の吐出量の分布を求める第1解析工程と、前記分布から前記複数のノズルにおける前記吐出量が所定の適正量に近づくように前記複数の駆動素子に印加する電圧を調整する第1制御工程と、を有することを特徴とする。
この製造方法によれば、第1捨て打ち工程(第1吐出工程)によってインク吐出量が安定になるまで第1ダミー領域にインクが第1捨て打ち間隔で複数滴吐出して捨て打ちされる。そして、第1捨て打ち工程の後の第2捨て打ち工程(第2吐出工程)において、第2ダミー領域にインクが第1捨て打ち間隔よりも広い第2捨て打ち間隔で1滴もしくは複数滴吐出される。すると、吐出されたインクが濡れ拡がって測定領域に侵入してしまうことがないため、第2捨て打ち工程の後の第1着弾工程(第3吐出工程)において、測定領域にインク吐出量が安定な状態でインクが着弾される。そして、第1着弾工程の後の第1解析工程により複数のノズルにおけるインク吐出量の分布が求められる。そして、第1制御工程により複数のノズルにおけるインク吐出量が所定の適正量に近づくように調整される。これにより、複数のノズルにおけるインク吐出量のばらつきが補正される。このため、液滴吐出ヘッドの全ノズルから均一な量のインクを吐出するとともに、全ノズルにおけるインクの着弾面積を均一化することが可能となる。したがって、スジムラを目立たなくして画質の低下を抑制することができる。
また、上記液滴吐出方法においては、前記第2吐出工程における前記第2の間隔を、前記第3吐出工程における前記第3の間隔と同じ間隔にしてもよい。
この製造方法によれば、第2ダミー領域へのインクの捨て打ちを測定領域へインクを着弾する場合と同じ条件で行うことができる。
また、上記液滴吐出方法においては、前記第2吐出工程における前記第2の間隔を、前記第3吐出工程における前記第3の間隔よりも狭くしてもよい。
この製造方法によれば、第2ダミー領域における第2捨て打ち間隔が測定領域における第1着弾間隔よりも狭くなるので、第2ダミー領域を広く設けずにすむ。これにより、ダミー領域を広く設けなくてもよくなる。したがって、シート部材を無駄なく効率的に利用することができる。
また、上記液滴吐出方法においては、前記第1制御工程の後に、前記液滴吐出ヘッドを前記シート部材に対して前記複数のノズルの配列方向と交差する主走査方向に相対移動しつつ、前記シート部材上に前記各ノズルから第4の間隔で前記機能液を複数滴吐出させる第4吐出工程と、前記第4吐出工程の後に、前記第4の間隔よりも広い第5の間隔で前記機能液を1滴もしくは複数滴吐出させる第5吐出工程と、前記第5吐出工程の後に、前記第1の間隔よりも広い第6の間隔で前記機能液を複数滴吐出させる第6吐出工程と、前記第6吐出工程の後に、前記シート部材に前記第6の間隔で着弾された前記機能液の着弾面積を測定し、その平均の面積を前記各ノズルから吐出された前記機能液の着弾面積とし、その着弾面積に基づいて前記各ノズルから吐出された前記機能液の吐出量の分布を求める第2解析工程と、前記分布から前記複数のノズルにおける前記吐出量が所定の適正量に近づくように前記複数の駆動素子に印加する電圧を調整する第2制御工程と、を少なくとも1回有することが望ましい。
この製造方法によれば、第1制御工程の後に、捨て打ち工程(第1捨て打ち工程と第2捨て打ち工程)と着弾工程と解析工程と制御工程とを複数回繰り返して行うことにより、複数のノズルにおけるインク吐出量のばらつきと、複数のノズルにおける着弾面積のばらつきと、が確実に調整される。このため、液滴吐出ヘッドの全ノズルから格段に均一な量のインクを吐出するとともに、全ノズルにおけるインクの着弾面積を格段に均一化することが可能となる。したがって、スジムラをより目立たなくして画質の低下を格段に抑制することができる。
本発明のカラーフィルターの製造方法は、上記の液滴吐出方法を用いて、基材上に設けられた所定領域に前記機能液を配置してカラーフィルターを形成することを特徴とする。
この製造方法によれば、上述したように液滴吐出ヘッドの全ノズルから均一な量のインクが吐出されるとともに、全ノズルにおけるインクの着弾面積が均一化されるので、スジムラの無い高品質なカラーフィルターを製造することができる。
第1実施形態の液滴吐出装置の概略構成を示す模式図である。 液滴吐出ヘッドの概略構成を示す模式図である。 カラーフィルター基板上にカラーフィルターを形成する方法の説明図である。 液滴吐出方法の工程を示すフローチャートである。 水分の浸透前後のシート部材表面のインク受容層の状態を示す図である。 補正前後のインク吐出数とインクの着弾面積との関係を示す図である。 本発明のダミー領域と測定領域におけるインクの配置状態を示す図である。 インク吐出量のばらつき補正前後の液滴吐出ヘッドの吐出特性を示す図である。 従来のダミー領域と測定領域におけるインクの配置状態を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
以下の説明においては、図1中に示されたXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸がワークステージ16に対して平行な方向に設定され、Z軸がワークステージ16に対して直交する方向に設定されている。図1中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。
(液滴吐出装置)
図1は本発明に係る液滴吐出装置1の概略構成を示す模式図である。液滴吐出装置1は、例えばインクジェット方式によりカラーフィルター基板(基材)Pの所定領域にカラーフィルター材料(機能液)の液滴を吐出してカラーフィルター層を形成する装置である。また、液滴吐出装置1は、本発明の液滴吐出方法を行うものでもある。
液滴吐出装置1は、ワークステージ16、液滴吐出ヘッド5、チューブ44、タンク33、シート部材搬送台11、供給リール12、巻取リール13、面積計測用カメラ(撮像装置)14、制御ユニット(制御手段)31、解析ユニット(解析手段)32、第1配線41、第2配線42、第3配線43を備えている。
ワークステージ16は、ステージ移動装置(図示略)によってX軸方向に移動可能に設置されている。また、ワークステージ16は、搬送装置(図示略)から搬送されるカラーフィルター基板Pを、真空吸着機構(図示略)によりXY平面上に保持する。
液滴吐出ヘッド5は、第1配線41を介して制御ユニット31に電気的に接続されている。液滴吐出ヘッド5は、複数のノズルN(図2参照)を有し、制御ユニット31から入力される描画データや駆動制御信号に基づいて、カラーフィルター材料の液滴を吐出する。また、液滴吐出ヘッド5は、カラーフィルター材料のR(赤)、G(緑)、B(青)に対応して設けられている。また、液滴吐出ヘッド5は、チューブ44を介してタンク33と連結されている。
液滴吐出ヘッド5は、Y軸方向及びZ軸方向に対してポールネジまたはリニアガイド等の軸受け機構(図示略)を備えている。そして、液滴吐出ヘッド5は、制御ユニット31から入力されるY座標及びZ座標を示す位置制御信号に基づいて、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能になっている。
チューブ44は、タンク33と液滴吐出ヘッド5とを連結するカラーフィルター材料の供給用チューブである。タンク33は、R(赤)用のカラーフィルター材料、G(緑)用のカラーフィルター材料、B(青)用のカラーフィルター材料、の3色のカラーフィルター材料を貯蔵している。タンク33は、3色のカラーフィルター材料を貯蔵するとともに、チューブ44を介して3色に対応する液滴吐出ヘッド5にカラーフィルター材料を供給する。
シート部材搬送台11は、搬送台移動装置(図示略)によってX軸方向に移動可能になっている。シート部材搬送台11は、供給リール12から供給される帯状のシート部材15を搬送するシート部材15の搬送台である。供給リール12から供給されたシート部材15は、巻取リール13によって巻き取られる。
シート部材15は、液滴吐出ヘッド5の複数のノズルNから吐出されたインク(機能液)のドット状の着弾面積が記録可能な記録媒体である。シート部材15は、インクが所定の間隔で着弾される測定領域Taと、測定領域Ta外に設けられインクが所定の間隔で捨て打ちされるダミー領域Tbと、に区画されている。ここで、測定領域Taは、後述する画素PX毎のカラーフィルター層CFに対応する領域であり、表示に寄与する領域である。また、ダミー領域Tdは、測定領域Taに隣接して設けられた表示に寄与しない領域である。このダミー領域Tdは、インク吐出量が不安定な描画開始からインク吐出量が安定するまでのしばらくの間、インクを複数滴吐出して捨て打ちするための領域でもある。
また、ダミー領域Tbは、第1ダミー領域Tb1と、第2ダミー領域Tb2と、に区画されている。第1ダミー領域Tb1は、インク吐出量が安定するまでのしばらくの間、インクが複数滴吐出される領域である。第2ダミー領域Tb2は、第1ダミー領域Tb1と測定領域Taとの間に設けられている。第2ダミー領域Tb2は、インクが重ならないように所定の間隔を空けて吐出される領域である。
シート部材15としては、例えばロール紙等の記録紙を用いることができる。なお、シート部材15としては、ロール紙に代えて例えばガラス基板等の撥水性を有する基板を用いることもできる。また、その他のシート部材15としては、例えば、紙やプラスチックフィルム等の基材にインク受容層を設けたシートを用いることができる。
本実施形態では、シート部材15として、プラスチックフィルムにインク受容層を設けたシートを用いる。なお、インク受容層については後述する(図5参照)。
また、シート部材15は、生産前、つまりカラーフィルター基板P上への描画前に、液滴吐出ヘッド5の複数のノズルNの吐出状態(ノズル抜け、曲がり)を確認するために用いられるものでもある。
面積計測用カメラ14は、シート部材搬送台11上のシート部材15の記録面(上面)に対向する位置に配置されている。面積計測用カメラ14は、複数のノズルNからシート部材15の測定領域Taに吐出されたインクの着弾面積を撮影するカメラである。面積計測用カメラ14は、第2配線42を介して解析ユニット32に電気的に接続されている。面積計測用カメラ14は、撮影したインクの着弾面積の画像データを解析ユニット32に出力する。
解析ユニット32は、面積計測用カメラ14によって撮影されたインクの着弾面積の画像データを画像処置して着弾面積を測定し、得られた着弾面積の測定データに基づいて複数のノズルNにおけるインク吐出量の分布を求める機能を有するものである。解析ユニット32は、第3配線43を介して制御ユニット31に電気的に接続されている。解析ユニット32は、複数のノズルNにおけるインク吐出量の分布の測定データを制御ユニット31に出力する。
制御ユニット31は、解析ユニット32から入力される複数のノズルNにおけるインク吐出量の測定データに基づいて、駆動素子PZ(図2参照)に印加する電圧を調整する。具体的には、制御ユニット31は、複数のノズルNにおけるインク吐出量が所定の適正量に近づくように、駆動素子PZに印加する電圧を調整する。そして、駆動素子PZにより複数のノズルNにおけるインク吐出量のばらつきが調整される。つまり、複数のノズルNにおけるインク吐出量のばらつきが補正される。
複数のノズルNにおけるインク吐出量のばらつきが補正された後、液滴吐出ヘッド5の複数のノズルNからカラーフィルター基板P上の所定の位置にカラーフィルター材料の液滴が吐出される。
図2は液滴吐出ヘッド5の概略構成を示す模式図である。図2(a)は液滴吐出ヘッド5をワークステージ16から見た平面図、図2(b)は、液滴吐出ヘッド5の部分斜視図、図2(c)は液滴吐出ヘッド5の1ノズルの部分断面図である。
図2(a)に示すように、液滴吐出ヘッド5は、Y軸方向に配列された複数(例えば180個)のノズルN〜N180を備えている。ノズルN〜N180によってノズル列NAが形成されている。図2(a)では1列分のノズルを示しているが、液滴吐出ヘッド5に設けるノズル数及びノズル列数は任意に変更可能であり、Y軸方向に配列した1列分ノズルをX軸方向に複数列設けても良い。
図2(b)に示すように、液滴吐出ヘッド5は、チューブ44と連結される材料供給孔20aが設けられた振動板20と、ノズルN〜N180が設けられたノズルプレート21と、振動板20とノズルプレート21との間に設けられた液溜まり22と、複数の隔壁23と、複数の収容室24とを備えている。振動板20上には、各ノズルN1〜N180に対応して駆動素子PZ〜PZ180が配置されている。駆動素子PZ〜PZ180は、例えばピエゾ素子である。
液溜まり22には、材料供給孔20aを介して供給される液状のカラーフィルター材料が充填されるようになっている。収容室24は、振動板20と、ノズルプレート21と、1対の隔壁23とによって囲まれるようにして形成されている。また、収容室24は、各ノズルN〜N180に1対1に対応して設けられている。また、各収容室24には、一対の隔壁23の間に設けられた供給口24aを介して、液溜まり22からカラーフィルター材料が導入されるようになっている。
図2(c)に示すように、駆動素子PZは、圧電材料25を一対の電極26で挟持したものである。この駆動素子PZは、一対の電極26に駆動信号を印加すると圧電材料25が収縮するよう構成されたものである。そして、このような駆動素子PZが配置されている振動板20は、一対の電極26に駆動信号を印加すると駆動素子PZと一体になって同時に外側(収容室24の反対側)へ撓曲するようになっており、これによって収容室24の容積が増大するようになっている。
したがって、収容室24内に増大した容積分に相当するカラーフィルター材料が、液溜まり22から供給口24aを介して流入する。また、このような状態から駆動素子PZへの駆動信号の印加を停止すると、駆動素子PZと振動板20はともに元の形状に戻り、収容室24も元の容積に戻る。これにより、収容室24内のカラーフィルター材料の圧力が上昇し、ノズルNからカラーフィルター基板Pに向けてカラーフィルター材料の液滴Lが吐出される。また、駆動素子PZを用いることにより、収容室24内に微振動を生じさせてインク吐出量を精度よく調整することができる。
図3は、液滴吐出ヘッド5を用いてカラーフィルター基板P上にカラーフィルター層(カラーフィルター)CFを形成する方法の説明図である。図3(a)は、インクの吐出対象物であるカラーフィルター基板Pの概略平面図である。図3(b)は、カラーフィルター基板Pの部分拡大平面図である。
図3(a)において、ガラス、プラスチック等によって形成された大面積のカラーフィルター基板Pの表面には複数のパネル領域CAが設定されている。各パネル領域CAは、互いに分離(切断)されて個々のカラーフィルター基板として提供される。各パネル領域CAの内部には、図3(b)に示すように、ドット状に配列された複数の画素PX(所定領域)が設けられている。画素PXは各パネル領域CA内にマトリクス状に配列されており、それぞれの画素PX毎にカラーフィルター層(着色層)CFが形成される。
図3(b)の図示上下方向(矢印A1及び矢印A2で示す方向)を主走査方向とし、主走査方向と直交する方向(図示左右方向)を副走査方向として、液滴吐出ヘッド5をカラーフィルター基板P上に配置する。そして、カラーフィルター基板Pを液滴吐出ヘッド5に対して主走査方向及び副走査方向に相対的に移動(走査)させながら、液滴吐出ヘッド5の複数のノズルNから着色材料を含むインク(カラーフィルター材料)を吐出させ、カラーフィルター基板P上の各画素PXにカラーフィルター層CFを形成する。
液滴吐出ヘッド5の走査は、1つのパネル領域CAに関して複数回行う。例えば、主走査方向に液滴吐出ヘッド5を走査した後、副走査方向に液滴吐出ヘッド5を移動(走査)し、再度主走査方向に走査を行う。1つのパネル領域CAの左端から右端まで移動(副走査)したら、再びパネル領域CAの左端に戻り、既に吐出を行った位置とは若干異なる位置で主走査方向に走査を行う。そして、このような走査を複数回行うことによって、パネル領域CA内の全ての画素PXに所望の膜厚のカラーフィルター層CFを形成する。
なお、図3(b)において液滴吐出ヘッド5が副走査方向に対して斜めに傾いているのは、液滴吐出ヘッド5のノズルNのピッチを画素PXのピッチに合わせるためである。ノズルNのピッチと画素PXのピッチとが所定の対応関係を満たして設定されていれば、液滴吐出ヘッド5を斜めに傾ける必要はない。
カラーフィルター層CFは、R、G、Bの各色をいわゆるストライプ配列、デルタ配列、モザイク配列等といった適宜の配列形態で配列することによって形成される。したがって、図3(b)に示すインクの吐出工程においては、R、G、Bのカラーフィルター材料を吐出する液滴吐出ヘッド5を、R、G、Bの3色分だけ予め用意する。そして、これらの液滴吐出ヘッド5を順次に用いて1つのカラーフィルター基板P上にR、G、Bの3色のカラーフィルター層CFの配列を形成する。
ところで、一般的に液滴吐出ヘッドにおいては、描画の開始からしばらくの間(所定の描画数まで)複数のノズルNにおいてインクの吐出特性(吐出量)が不安定である。描画の開始からしばらくの間、複数のノズルNでインク吐出量が不安定でばらついていると、吐出されたインクの着弾面積もばらつきが生じることになる(図6参照)。複数のノズルNでインク吐出量が不安定であると、これに起因してカラーフィルター基板P上へのインクの配置量(着弾面積)がばらついてしまい、カラーフィルターにスジムラを発生させる原因となってしまう。
図6は、複数のノズルNにおけるインクの着弾面積のばらつきの補正前後のインク吐出数とインクの着弾面積との関係を示す図である。図6において、横軸は複数のノズルNにおけるインク吐出数、縦軸はインク吐出数に対応するインクの着弾面積を示している。図6に示すように、描画の開始直後は、インク吐出量が不安定でばらついていることにより、着弾面積が小さくなっていることがわかる(補正前)。そして、描画の開始から所定の描画数までは、インク吐出量が次第に安定化していき、着弾面積が大きくなる傾向がある。そして、所定の描画数を超えると、インク吐出量が安定化し、着弾面積の大きさが一定になる傾向があることがわかる(補正後)。
そこで、本発明の液滴吐出方法では、補正前(生産前)となるカラーフィルター基板P上への描画前に、液滴吐出ヘッド5の駆動素子PZに印加する電圧を調整し、複数のノズルNにおけるインクの吐出特性を調整する工程を設けるとともに、インク吐出量が安定になるまでダミー領域Tbにインクを複数滴吐出して捨て打ちし、複数のノズルNにおけるインクの着弾面積を調整する工程を設けている。以下、本発明の液滴吐出方法について一例を挙げて説明する。
(液滴吐出方法)
図4は、本発明の液滴吐出方法の工程を示すフローチャートである。本発明の液滴吐出方法は、装置を所定の位置に配置して装置の位置合わせを行う「装置の位置合わせ工程」(ステップS1)と、シート部材15の第1ダミー領域Tb1に第1捨て打ち間隔(第1の間隔)でインクを複数滴吐出して捨て打ちする「第1捨て打ち工程(第1吐出工程)」(ステップS2)と、第1捨て打ち工程の後にシート部材15の第2ダミー領域Tb2に第1捨て打ち間隔よりも広い第2捨て打ち間隔(第2の間隔)でインクを1滴もしくは複数滴吐出して捨て打ちする「第2捨て打ち工程(第2吐出工程)」(ステップS3)と、第2捨て打ち工程の後にシート部材15の測定領域Taに第1捨て打ち間隔よりも広い第1着弾間隔(第3の間隔)でインクを複数滴吐出して着弾する「第1着弾工程(第3吐出工程)」(ステップS4)と、第1着弾工程の後にシート部材15に着弾された第1着弾面積を測定し、複数のノズルNにおけるインク吐出量の分布を求める「第1解析工程」(ステップS5)と、シート部材15を巻き取る「シート部材巻取工程」(ステップS6)と、複数のノズルNにおけるインク吐出量が所定の適正量に近づくように駆動素子PZに印加する電圧を調整する「第1制御工程」(ステップS7)と、を有する。
先ず、装置を所定の位置に配置して装置の位置合わせを行う(図4のステップS1)。具体的には、シート部材搬送台11をワークステージ16に向かってX軸方向に移動させ、液滴吐出ヘッド5の直下に配置する。これにより、シート部材搬送台11上のシート部材15が液滴吐出ヘッド5の複数のノズルNに対向するように配置される。このとき、シート部材15の第1ダミー領域Tb1が液滴吐出ヘッド5の複数のノズルNに対向するように配置する。
次に、駆動素子PZに印加する電圧を一定にして、インクをシート部材15のダミー領域Tbに吐出して捨て打ちする。本実施形態では、従来の技術に対して、インクをシート部材15の第1ダミー領域Tb1に第1捨て打ち間隔で複数滴吐出して捨て打ちする第1捨て打ち工程と、インクをシート部材15の第2ダミー領域Tb2に第1捨て打ち間隔よりも広い第2捨て打ち間隔で1滴もしくは複数滴吐出して捨て打ちする第2捨て打ち工程と、の2段階の工程を設けている。ここで、従来の技術について説明する。
図9は、従来技術におけるダミー領域Tb’, Tb’’と測定領域Ta’, Ta’’におけるインクの配置状態を示す図である。図9(a)は、測定領域Ta’に隣り合うダミー領域Tb’にインクを所定の間隔で吐出して捨て打ちした場合の図である。図9(b)は、測定領域Ta’’に隣り合うダミー領域Tb’’にインクを複数滴重なるように連続して吐出して捨て打ちした場合の図である。図9において、符号Wa’,Wa’’はインクの着弾間隔、符号Wb’, Wb’’はインクの捨て打ち間隔である。また、符号Va’は測定領域Ta’におけるインクの着弾経路、符号Va’’は測定領域Ta’’におけるインクの着弾経路、符号Vb’はダミー領域Tb’におけるインクの捨て打ち経路、符号Vb’’はダミー領域Tb’’におけるインクの捨て打ち経路である。なお、インクの着弾間隔Wa’,Wa’’及び捨て打ち間隔Wb’, Wb’’は、隣り合うインクの中心間の距離である。
図9(a)に示すように、測定領域Ta’に隣り合うダミー領域Tb’には、インクが捨て打ち間隔Wb’を空けて吐出され捨て打ちされている。つまり、ダミー領域Tb’には、隣り合うインクが重なり合わないように所定の間隔を空けて捨て打ちされている。このように、ダミー領域Tb’にインクを捨て打ち間隔Wb’を空けて吐出することによって、隣り合うインクが重なり合って濡れ拡がり測定領域Ta’にインクが侵入してしまうことが抑制される。しかしながら、ダミー領域Tb’にインクを捨て打ち間隔Wb’を空けて吐出すると、これに伴ってダミー領域Tb’におけるインクの捨て打ち経路Vb’が長くなり、ダミー領域Tb’が大きくなってしまう。ダミー領域Tb’が大きくなると、被記録体(シート部材)を有効的に利用できない場合がある。
図9(b)に示すように、測定領域Ta’’に隣り合うダミー領域Tb’’には、インクが所定の捨て打ち間隔Wb’’を空けて捨て打ちされている。この捨て打ち間隔Wb’’は、上述の捨て打ち間隔Wb’よりも狭くなっている。つまり、ダミー領域Tb’’には、インクが複数滴重なるように連続して捨て打ちされている。このように、インクが複数滴重なるように連続して捨て打ちされると、上述のダミー領域Tb’ におけるインクの捨て打ち経路Vb’に対して、ダミー領域Tb’’におけるインクの捨て打ち経路Vb’’を短くし、ダミー領域Tb’’を小さくすることができる。しかしながら、ダミー領域Tb’’にインクを複数滴重なるように連続して吐出すると、これに伴って吐出されたインクが重なり合ってしまい、インクが濡れ拡がって測定領域Ta’’に侵入してしまう場合がある。
つまり、ダミー領域Tb’’にインクを所定の間隔を空けないで吐出すると、複数のインクが重なり合って1つの大きなインクになり、測定領域Ta’’にインクが侵入してしまうのである。これは、ダミー領域Tb’’にインクを局所的に吐出すると、シート部材表面のインクに対する浸透性が低下し、インクが浸透せずに塗れ拡がり易くなることによる。以下、シート部材のインクに対する浸透性について、水分の吸湿前後のシート部材のインク受容層の状態を挙げて説明する。
図5は、水分の吸湿前後のシート部材のインク受容層の状態を示す図である。図5(a)は、水分の吸湿前のインク受容層50aの状態を示す図である。また、図5(b)は、水分の吸湿後のインク受容層50bの状態を示す図である。
図5(a)及び図5(b)に示すように、インク受容層50a,50bは、顔料51とバインダー52とを複数含んで構成される。顔料51はバインダー52に包含されている。また、インク受容層50a,50bは、複数のバインダー52の間に、多数の空隙53を有する多孔質構造となっている。インク受容層50bは、インク受容層50aよりも空隙53の大きさが小さくなっている。これは、インク受容層を構成する顔料51及びバインダー52が吸湿によって膨張したことによる。
多孔質のインク受容層に使用可能な顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロサイト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料が挙げられる。インク受容層中には、これらのうち1種を単独で含有させてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記顔料の結着材としてインク受容層に含有されるバインダーとしては、インクと親和性を有する水溶性あるいは非水溶性の高分子化合物を含有させることができる。水溶性高分子化合物としては、例えば、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系接着剤、澱粉及びその変性物、ゼラチン及びその変性物、カゼイン、プルラン、アラビアゴム、及びアルブミン等の天然高分子樹脂またはこれらの誘導体、ポリビニルアルコール及びその変性物、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリル共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のラテックスやエマルジョン類、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等のビニルポリマー、ポリエチレンイミン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及び無水マレイン酸またはその共重合体が挙げられる。
非水溶性高分子化合物としては、例えば、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類やこれらのアルコール類と水との混合溶媒に溶解する非水溶性接着剤が挙げられる。このような非水溶性接着剤としては、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール等のアセタール樹脂が挙げられる。
ところで、インク受容層を構成する顔料51及びバインダー52が吸湿によって膨張すると、インク受容層にインクが浸透しにくくなる。つまり、ダミー領域にインクを吐出すると、インク受容層にインク溶媒が吸収される。このとき、ダミー領域にインクを所定の間隔を空けないで局所的に吐出すると、インク受容層にインク溶媒が吸収されにくくなる。すなわち、シート部材表面のインクに対する浸透性が低下する。シート部材表面のインクに対する浸透性が低下し、インクが浸透せずに塗れ拡がり易くなると、測定領域にインクが侵入してしまう不具合を生じさせる原因となる。
そこで、本発明の液滴吐出方法では、インク吐出量が不安定な描画開始からインク吐出量が安定化する所定の描画数まで、インクをシート部材15の第1ダミー領域Tb1に第1捨て打ち間隔で複数滴吐出して捨て打ちする第1捨て打ち工程と、インクをシート部材15の第2ダミー領域Tb2に第1捨て打ち間隔よりも広い第2捨て打ち間隔で1滴もしくは複数滴吐出して捨て打ちする第2捨て打ち工程と、の2段階の工程を設けている。
具体的には、液滴吐出ヘッド5をシート部材15に対して複数のノズルNの配列方向(Y軸方向)と交差する主走査方向(X軸方向)に相対移動しながら、駆動素子PZに印加する電圧を一定にして、シート部材15の第1ダミー領域Tb1に複数のノズルNの各ノズルから第1捨て打ち間隔でインクを複数滴吐出して捨て打ちする(図4のステップ2)。これにより、インク吐出量が不安定な描画開始からインク吐出量が安定化する所定の描画数(例えば、捨て打ち数40ドット)まで第1ダミー領域Tb1にインクを吐出して捨て打ちできる。また、第1ダミー領域Tb1へのインクの捨て打ちは、実際の使用状況(測定領域Taへのインクの着弾)にならって液滴吐出ヘッド5を移動(走査)しながら行われるため、測定領域Taへインクを着弾する場合と同じ条件で行うことができる。なお、第1ダミー領域Tb1へのインクの捨て打ちは、シート部材15を効率的に利用する点から、液滴吐出ヘッド5を停止した状態で、インクが複数滴重なるように連続して吐出して行ってもよい。
次に、駆動素子PZに印加する電圧を一定にして、インクをシート部材15の第2ダミー領域Tb2に第1捨て打ち間隔よりも広い第2捨て打ち間隔でインクを1滴もしくは複数滴吐出して捨て打ちする(図4のステップ3)。なお、第2ダミー領域Tb2へのインクの捨て打ちは、上述の第1捨て打ち工程と同様に、液滴吐出ヘッド5をシート部材15に対して複数のノズルNの配列方向(Y軸方向)と交差する主走査方向(X軸方向)に相対移動しながら行う。
本実施形態では、従来の複数のノズルから吐出されたインクの重量を測定する方法に対して、インク吐出量が安定になるまでダミー領域Tbにインクを吐出して捨て打ちし、複数のノズルNにおけるインクの着弾面積に基づいて、複数のノズルNから吐出されるインクの吐出量の分布を求める方法を用いている。これにより、従来のようにインクの重量を測定する必要が無くなり、膨大な工数がかからなくなる。
また、第1ダミー領域Tb1に第1捨て打ち間隔でインクを複数滴吐出して捨て打ちすることにより、描画の開始からしばらくの間不安定なインク吐出量を安定な状態にすることできる。また、第1ダミー領域Tb1と測定領域Taとの間の第2ダミー領域Tb2に第1捨て打ち間隔よりも広い第2捨て打ち間隔でインクを1滴もしくは複数滴吐出して捨て打ちすることにより、第1ダミー領域Tb1に吐出されたインク同士が重なり合って濡れ拡がることを抑えることができる。つまり、第1ダミー領域Tb1において複数のインクが重なり合い1つの大きなインクになって濡れ拡がっても、第1ダミー領域Tb1と測定領域Taとの間の第2ダミー領域Tb2においてインクの濡れ拡がりが抑制されるので、測定領域Taにインクが侵入してしまうことがない。
図7は、本発明における第1ダミー領域Tb1と第2ダミー領域Tb2に区画されたダミー領域Tbと測定領域Taにおけるインクの配置状態を示す図である。本図は、第1ダミー領域Tb1に第1捨て打ち間隔でインクを複数滴吐出して捨て打ちし、その後、第1ダミー領域Tb1と測定領域Taとの間の第2ダミー領域Tb2に第1捨て打ち間隔よりも広い第2捨て打ち間隔でインクを1滴もしくは複数滴吐出して捨て打ちし、さらにその後、測定領域Taに第1着弾間隔でインクを吐出して着弾した場合の図である。図7において、符号Waはインクの第1着弾間隔(第3の間隔)、符号Wb1はインクの第1捨て打ち間隔(第1の間隔)、符号Wb2はインクの第2捨て打ち間隔(第2の間隔)である。また、符号Vaは測定領域Taにおけるインクの着弾経路、符号Vbはダミー領域Tbにおけるインクの捨て打ち経路、符号Vb1は第1ダミー領域Tb1におけるインクの捨て打ち経路、符号Vb2は第2ダミー領域Tb2におけるインクの捨て打ち経路である。なお、インクの着弾間隔Wa及び捨て打ち間隔Wb1,Wb2は、隣り合うインクの中心間の距離である。
図7に示すように、第1ダミー領域Tb1に複数のノズルNの各ノズルから第1捨て打ち間隔Wb1を空けてインクを複数滴吐出して捨て打ちする。本実施形態では、第1捨て打ち間隔Wb1を各ノズルから吐出されたインクが重なり合うように狭くしている。例えば、各ノズルからのインク吐出数(ショット数)を局所的に多く吐出して捨て打ちする。すると、上述した従来のダミー領域Tb’’ におけるインクの捨て打ち経路Vb’’と同様に、第1ダミー領域Tb1におけるインクの捨て打ち経路Vb1を短くし、ダミー領域Tbを小さくすることができる。次に、第2ダミー領域Tb2に第1捨て打ち間隔Wb1よりも広い第2捨て打ち間隔Wb2を空けてインクを複数滴(例えば、捨て打ち数3ドット)吐出して捨て打ちする。つまり、第2ダミー領域Tb2に隣り合うインクが重なり合わないように所定の間隔を空けて捨て打ちする。このように、第2ダミー領域Tb2にインクを捨て打ち間隔Wb2を空けて吐出すると、各ノズルから吐出された隣り合うインクが重なり合って濡れ拡がり、測定領域Taにインクが侵入してしまうことがない。そして、測定領域Taに第1着弾間隔Waでインクを吐出して着弾する。これにより、測定領域Taにおいて、インク吐出量が安定な状態でインクを着弾できるようになる。
なお、本実施形態では、第2ダミー領域Tb2に捨て打ち数3ドットのインクを第2捨て打ち間隔Wb2を空けて捨て打ちしているが、これに限らない。例えば、インクの捨て打ち数を1〜5ドットとすることもできる。つまり、第1ダミー領域Tb1におけるインクの濡れ拡がり具合によって、第2ダミー領域Tb2におけるインクの捨て打ち数を適宜変更することができる。
したがって、測定領域Taにおいて、液滴吐出ヘッド5の全ノズルにおけるインクの着弾面積を均一化することが可能となる。このため、シート部材15におけるインクの着弾面積の測定を精度良く行うことが可能になる。つまり、図6の初期状態(補正前)において複数のノズルN間で生じていたインクの着弾面積のばらつきを、補正後に示すように安定化することができる。
また、本実施形態では、第2捨て打ち工程における第2ダミー領域Tb2へのインクの第2捨て打ち間隔Wb2を、後述する第1着弾工程における測定領域Taへのインクの第1着弾間隔Waと同じ大きさにしている(Wb2=Wa)。このため、第2ダミー領域Tb2へのインクの捨て打ちを測定領域Taへインクを着弾する場合と同じ条件で行うことができる。
次に、上述の第1捨て打ち工程と同様に、駆動素子PZに印加する電圧を一定にして、インクをシート部材15の測定領域Taに所定の着弾間隔Wa(Wa=Wb2)で着弾させる(図4のステップS4)。具体的には、液滴吐出ヘッド5をシート部材搬送台11に沿ってY軸方向に移動させる。これにより、シート部材15の測定領域Taが、液滴吐出ヘッド5の複数のノズルNに対向するように配置される。そして、上述の第1捨て打ち工程によって、インク吐出量が不安定な状態から安定化されているので、インク吐出量が安定な状態で測定領域Taに着弾される。
また、インクは、カラーフィルター層CFにならって、ストライプ配列、デルタ配列、モザイク配列等といった適宜の配列形態で着弾するのがよい。これにより、液滴吐出ヘッド5の複数のノズルNにおける補正前(シート部材15への吐出時)のインクの吐出状態と、補正後(カラーフィルター基板Pへの吐出時)のインクの吐出状態と、が確実に整合するようになる。
また、インクをシート部材15に着弾させる際は、複数回に分けて着弾させるのがよい。具体的には、先ず、第1のインクをシート部材15上の所定の領域に着弾させる。次に、第2のインクを第1のインクの着弾されていない領域に着弾させる。これにより、インクをシート部材15へ複数回繰り返して着弾できるので、シート部材15を無駄なく有効に利用することができる。
次に、シート部材15の測定領域Taに第1着弾間隔Waで着弾されたインクの着弾面積を測定し、その平均の面積を各ノズルNから吐出されたインクの着弾面積とし、得られた着弾面積の測定データに基づいて複数のノズルNにおけるインク吐出量の分布を求める(図4のステップS5)。具体的には、シート部材15の測定領域Taの上面に対向する位置に配置された面積計測用カメラ14により、複数のノズルNからシート部材15の測定領域Taに吐出されたインクの着弾面積を撮影する。このとき、面積計測用カメラ14のレンズの倍率は、測定精度と測定時間の点から、例えば4〜10倍に設定するのがよい。また、インクの着弾面積を測定する際のN数は、測定精度の点から、例えばN=20〜30に設定するのがよい。
面積計測用カメラ14によって撮影されたインクの着弾面積の画像データは、解析ユニット32に出力される。そして、解析ユニット32よって複数のノズルNにおけるインクの着弾面積が測定されるとともに、着弾面積の測定データに基づいて複数のノズルNにおけるインク吐出量の分布が求められる。複数のノズルNにおけるインク吐出量の分布データは制御ユニット31に出力される。
次に、シート部材15を巻き取る(図4のステップS6)。具体的には、巻取リール13によってインクが着弾されたシート部材15が巻き取られる。つまり、供給リール12からインクが着弾されていない新たなシート部材15が供給される。
次に、駆動素子PZに印加する電圧が調整される(図4のステップS7)。具体的には、複数のノズルNにおけるインク吐出量が所定の適正量に近づくように制御ユニット31によって複数のノズルN毎に備えられた駆動素子PZに印加する電圧が調整される。
図8は、インク吐出量のばらつきの補正前後の液滴吐出ヘッドの吐出特性を示す図である。図8において、横軸はノズル列NAのノズル番号1〜180、縦軸は各ノズル番号に対応するノズルの吐出量を示している。図8に示すように、インク吐出量のばらつきの補正前の実線を見ると、両端部と中央部のノズルにおけるインク吐出量が相対的に多くなる傾向があることがわかる。
例えば、初期状態(図8中の補正前の実線参照)におけるインク吐出量が相対的に少ない領域のノズルに対応する駆動素子PZに対して所定の電圧を印加する。一方、初期状態におけるインク吐出量が相対的に多い領域のノズルに対応する駆動素子PZに対しては電圧を印加しない。
このようにして、駆動素子PZによって複数のノズルN間で生じている吐出量のばらつきが調整される。これにより、複数のノズルNにおけるインクの吐出量のばらつきが補正される。つまり、初期状態(補正前の実線)において複数のノズルN間で生じていたインク吐出量のばらつきを、補正後の実線に示すように略平均化することができる。
本実施形態の液滴吐出装置1によれば、面積計測用カメラ14によりシート部材15における測定領域Taに対して複数のノズルNから吐出されるインクの着弾した画像が撮影される。そして、解析ユニット32により複数のノズルNから吐出されるインクの着弾面積に基づいて、複数のノズルNから吐出されるインクの吐出量の分布が求められる。すると、制御ユニット31により駆動素子PZへの印加電圧は、複数のノズルNにおけるインク吐出量が所定の適正量に近づくように調整される。つまり、制御ユニット31により複数のノズルNにおけるインク吐出量のばらつきが補正されることになる。このため、液滴吐出ヘッド5の全ノズルNから均一な量のインクを吐出することが可能となる。また、制御ユニット31は、液滴吐出ヘッド5をシート部材15に対して複数のノズルNの配列方向と交差する主走査方向に相対移動しながら、シート部材15上に複数のノズルNの各ノズルNからインクを第1捨て打ち間隔Wb1で複数滴吐出させ、その後、第1捨て打ち間隔Wb1よりも広い第2捨て打ち間隔Wb2でインクを1滴もしくは複数滴吐出させ、さらにその後、第1捨て打ち間隔Wb1よりも広い第1着弾間隔Waでインクを複数滴吐出させる機能を有している。ここで、シート部材は、インクが第1着弾間隔Waで複数滴吐出される測定領域Taと、インクが第1捨て打ち間隔Wb1で複数滴吐出される第1ダミー領域Tb1と、測定領域Taと第1ダミー領域Tb1との間に設けられインクが第2捨て打ち間隔Wb2で1滴もしくは複数滴吐出される第2ダミー領域Tb2と、に区画されているとする。すると、インク吐出量が不安定な描画開始からしばらくの間は、第1ダミー領域Tb1にインクを複数滴吐出して捨て打ちすることができる。このため、インク吐出量が安定な状態で測定領域Taにインクを着弾することが可能となる。また、第1ダミー領域Tb1と測定領域Taとの間の第2ダミー領域Tb2に、第1捨て打ち間隔Wb1よりも広い第2捨て打ち間隔Wb2でインクが1滴もしくは複数滴吐出されるので、第1ダミー領域Tb1でインクが所定の間隔を空けないで局所的に吐出されても、吐出されたインクが濡れ拡がって測定領域Taに侵入してしまうことがない。このため、画像の表示に寄与する測定領域Taにおいて、液滴吐出ヘッド5の全ノズルNにおけるインクの着弾面積を均一化することが可能となる。したがって、スジムラを目立たなくして画質の低下を抑制することができる。また、インク吐出量が安定になるまでダミー領域Tbにインクを捨て打ちし、複数のノズルNにおけるインクの着弾面積に基づいて、複数のノズルNから吐出されるインクの吐出量の分布を求める方法は、従来の複数のノズルから吐出されたインクの重量を測定する方法に比べて、膨大な工数がかからないので生産効率に優れる。また、複数のノズルNから吐出されたインクが着弾したシート部材15が適宜搬送されるので、着弾面積の測定が効率よく行われる。
この構成によれば、シート部材15が顔料51をバインダー52で結着させた多孔質のインク受容層を有しているので、液滴吐出ヘッド5の全ノズルNから格段に均一な量のインクが吐出されるとともに、全ノズルNにおけるインクの着弾面積が格段に均一化される。特に、シート部材15が多孔質のインク受容層を有している場合は、インクを所定の間隔を空けないで局所的に捨て打ちすると、インク受容層のインクに対する浸透性が低下し、インクが浸透せずに塗れ拡がり易くなるため、インク受容層の表面の浸透性は均一に制御されるべきものとされることから、格段の効果を奏する。
本実施形態の液滴吐出方法によれば、第1捨て打ち工程によってインク吐出量が安定になるまで第1ダミー領域Tb1にインクが第1捨て打ち間隔Wb1で複数滴吐出して捨て打ちされる。そして、第1捨て打ち工程の後の第2捨て打ち工程において、第2ダミー領域Tb2にインクが第1捨て打ち間隔Wb1よりも広い第2捨て打ち間隔Wb2で1滴もしくは複数滴吐出される。すると、吐出されたインクが濡れ拡がって測定領域Taに侵入してしまうことがないため、第2捨て打ち工程の後の第1着弾工程において、測定領域Taにインク吐出量が安定な状態でインクが着弾される。そして、第1着弾工程の後の第1解析工程により複数のノズルNにおけるインク吐出量の分布が求められる。そして、第1制御工程により複数のノズルNにおけるインク吐出量が所定の適正量に近づくように調整される。これにより、複数のノズルNにおけるインク吐出量のばらつきが補正される。このため、液滴吐出ヘッドの全ノズル5から均一な量のインクを吐出するとともに、全ノズル5におけるインクの着弾面積を均一化することが可能となる。したがって、スジムラを目立たなくして画質の低下を抑制することができる。
なお、上記液滴吐出方法においては、第2捨て打ち工程における第2ダミー領域Tb2へのインクの第2捨て打ち間隔Wb2を、第1着弾工程における測定領域Taへのインクの着弾間隔Waよりも小さくしてもよい(Wb2<Wa)。
この製造方法によれば、第2ダミー領域Tb2における第2捨て打ち間隔Wb2が測定領域Taにおける着弾間隔Waよりも小さくなるので、第2ダミー領域Ta2を広く設けずにすむ。これにより、ダミー領域Taを広く設けなくてもよくなる。したがって、シート部材15を無駄なく効率的に利用することができる。
なお、上記液滴吐出方法においては、第1制御工程の後に、液滴吐出ヘッド5をシート部材15に対して複数のノズルNの配列方向と交差する主走査方向に相対移動しつつ、シート部材15上に各ノズルNから第4の間隔でインクを複数滴吐出させる第4吐出工程と、第4吐出工程の後に、第4の間隔よりも広い第5の間隔でインクを1滴もしくは複数滴吐出させる第5吐出工程と、第5吐出工程の後に、第4の間隔よりも広い第6の間隔でインクを複数滴吐出させる第6吐出工程と、第6吐出工程の後に、シート部材15に第6の間隔で着弾されたインクの着弾面積を測定し、その平均の面積を各ノズルNから吐出されたインクの着弾面積とし、その着弾面積に基づいて各ノズルNから吐出されたインクの吐出量の分布を求める第2解析工程と、前記分布から複数のノズルNにおけるインク吐出量が所定の適正量に近づくように複数の駆動素子PZに印加する電圧を調整する第2制御工程と、を少なくとも1回有していてもよい。
この製造方法によれば、第1制御工程の後に、捨て打ち工程(第1捨て打ち工程と第2捨て打ち工程)と着弾工程と解析工程と制御工程とを複数回繰り返して行うことにより、複数のノズルNにおけるインク吐出量のばらつきと、複数のノズルNにおける着弾面積のばらつきと、が確実に調整される。このため、液滴吐出ヘッド5の全ノズルNから格段に均一な量のインクを吐出するとともに、全ノズルNにおけるインクの着弾面積を格段に均一化することが可能となる。したがって、スジムラをより目立たなくして画質の低下を格段に抑制することができる。
なお、上記液滴吐出方法においては、第2着弾工程で着弾するインクについても、カラーフィルター層CFにならって、上述の第1着弾工程(図4のステップS4)と同様に適宜の配列形態で着弾するのがよい。これにより、液滴吐出ヘッド5の複数のノズルNにおける補正前の吐出状態と、補正後の吐出状態と、が確実に整合するようになる。
また、本発明のカラーフィルターの製造方法によれば、上述したように液滴吐出ヘッドの全ノズルから均一な量のインクが吐出されるとともに、全ノズルにおけるインクの着弾面積が均一化されるので、スジムラの無い高品質なカラーフィルターを製造することができる。
なお、上記実施形態では、ノズル間のインクの着弾面積のばらつきが調整された液滴吐出装置を用いてカラーフィルターを製造する場合について説明したが、これに限らない。例えば、本発明の液滴吐出装置はカラーフィルターの製造だけでなく、均一な膜厚を必要とされ、スジムラの形成が問題となる成膜工程においても適用可能である。
1…液滴吐出装置、5…液滴吐出ヘッド、12…供給リール、13…巻取リール、14…面積計測用カメラ(撮像装置)、15…シート部材、31…制御ユニット(制御手段)、32…解析ユニット(解析手段)、50a,50b…インク受容層、51…顔料、52…バインダー、CF…カラーフィルター層(カラーフィルター)、N…ノズル、P…カラーフィルター基板(基材)、PZ…駆動素子、Wa…着弾間隔(第3の間隔)、Wb1…第1捨て打ち間隔(第1の間隔)、Wb2…第2捨て打ち間隔(第2の間隔)

Claims (7)

  1. 機能液を吐出させる複数のノズルと、前記複数のノズルに対応して設けられた複数の駆動素子と、を有する液滴吐出ヘッドと、
    前記複数のノズルから吐出された前記機能液を着弾させるシート部材を供給する供給リールと、
    前記供給リールから供給された前記シート部材を巻き取る巻取リールと、
    前記供給リールと前記巻取リールとの間の前記シート部材に対して前記複数のノズルから吐出された前記機能液の画像を撮影する撮像装置と、
    前記撮像装置によって撮影された前記画像を画像処理して前記機能液の前記シート部材上の着弾面積を測定し、前記複数のノズルから吐出された前記機能液の吐出量の分布を求める解析手段と、
    前記液滴吐出ヘッドと前記シート部材との相対移動及び、前記液滴吐出ヘッドの吐出動作を制御するとともに、前記分布から前記複数のノズルにおける前記吐出量が所定の適正量に近づくように前記複数の駆動素子に印加する電圧を調整する制御手段と、を有し、
    前記制御手段は、前記液滴吐出ヘッドを前記シート部材に対して前記複数のノズルの配列方向と交差する主走査方向に相対移動しつつ、前記シート部材上に各ノズルから第1の間隔で前記機能液を複数滴吐出させ、その後、前記第1の間隔よりも広い第2の間隔で前記機能液を1滴もしくは複数滴吐出させ、さらにその後、前記第1の間隔よりも広い第3の間隔で前記機能液を複数滴吐出させ、
    前記解析手段は、前記第3の間隔で吐出された複数滴の前記機能液の画像を画像処理し、前記各ノズルにおける前記機能液の着弾面積を測定し、その平均の面積を前記各ノズルから吐出された前記機能液の着弾面積とし、その着弾面積に基づいて前記各ノズルから吐出された前記機能液の吐出量の分布を求めることを特徴とする液滴吐出装置。
  2. 前記シート部材は、顔料をバインダーで結着させた多孔質のインク受容層を有することを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
  3. 機能液を吐出させる複数のノズルと、前記複数のノズルに対応して設けられた複数の駆動素子と、を有する液滴吐出ヘッドを用いた液滴吐出方法であって、
    前記液滴吐出ヘッドをシート部材に対して前記複数のノズルの配列方向と交差する主走査方向に相対移動しつつ、前記シート部材上に各ノズルから第1の間隔で前記機能液を複数滴吐出させる第1吐出工程と、
    前記第1吐出工程の後に、前記第1の間隔よりも広い第2の間隔で前記機能液を1滴もしくは複数滴吐出させる第2吐出工程と、
    前記第2吐出工程の後に、前記第1の間隔よりも広い第3の間隔で前記機能液を複数滴吐出させる第3吐出工程と、
    前記第3吐出工程の後に、前記シート部材に前記第3の間隔で着弾された前記機能液の着弾面積を測定し、その平均の面積を前記各ノズルから吐出された前記機能液の着弾面積とし、その着弾面積に基づいて前記各ノズルから吐出された前記機能液の吐出量の分布を求める第1解析工程と、
    前記分布から前記複数のノズルにおける前記吐出量が所定の適正量に近づくように前記複数の駆動素子に印加する電圧を調整する第1制御工程と、を有することを特徴とする液滴吐出方法。
  4. 前記第2吐出工程における前記第2の間隔を、前記第3吐出工程における前記第3の間隔と同じ間隔にすることを特徴とする請求項3に記載の液滴吐出方法。
  5. 前記第2吐出工程における前記第2の間隔を、前記第3吐出工程における前記第3の間隔よりも狭くすることを特徴とする請求項3に記載の液滴吐出方法。
  6. 前記第1制御工程の後に、前記液滴吐出ヘッドを前記シート部材に対して前記複数のノズルの配列方向と交差する主走査方向に相対移動しつつ、前記シート部材上に前記各ノズルから第4の間隔で前記機能液を複数滴吐出させる第4吐出工程と、
    前記第4吐出工程の後に、前記第4の間隔よりも広い第5の間隔で前記機能液を1滴もしくは複数滴吐出させる第5吐出工程と、
    前記第5吐出工程の後に、前記第4の間隔よりも広い第6の間隔で前記機能液を複数滴吐出させる第6吐出工程と、
    前記第6吐出工程の後に、前記シート部材に前記第6の間隔で着弾された前記機能液の着弾面積を測定し、その平均の面積を前記各ノズルから吐出された前記機能液の着弾面積とし、その着弾面積に基づいて前記各ノズルから吐出された前記機能液の吐出量の分布を求める第2解析工程と、
    前記分布から前記複数のノズルにおける前記吐出量が所定の適正量に近づくように前記複数の駆動素子に印加する電圧を調整する第2制御工程と、を少なくとも1回有することを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の液滴吐出方法。
  7. 請求項3〜6のいずれか一項に記載の液滴吐出方法を用いて、基材上に設けられた所定領域に前記機能液を配置してカラーフィルターを形成することを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018008231A (ja) * 2016-07-14 2018-01-18 東京エレクトロン株式会社 液滴吐出装置及び吐出検査方法

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