JP2010202320A - プリント装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】給紙ユニットに収容したプリント媒体を確実に送り出すプリント装置を構成する。
【解決手段】搬出制御手段Qは、プリント媒体Pの搬出を開始する際に、ピックアップローラ56を通常搬送速度より低速度に対応する速度で駆動回転しておき、載置板55に載置されているプリント媒体Pの上面にピックアップローラ56を接触させて搬出を開始し、この後に、通常搬送速度より高速度に対応する速度でピックアップローラ56を駆動回転する搬出作動設定モジュールQaを備えている。この搬出作動設定モジュールQaは、初期搬送制御の直後にピックアップローラ56を搬出方向に通常搬送速度より高速度に対応した速度で逆転方向に回転駆動する。
【選択図】図12

Description

本発明は、シート状のプリント媒体を積層状態で収容する給紙ユニットを備え、この給紙ユニットから搬出されたプリント媒体をプリント部に供給してプリントを行うプリント装置に関し、詳しくは、給紙ユニットからプリント媒体を送り出す技術に関する。
上記のように構成されたプリント装置に類似する技術として特許文献1には、給紙ローラ5を回動させることで摩擦部材6を有した捌き台7を、給紙ローラ5と対向するまで回動させ、この後に、押上板9を回動させる点が記載されている。そして、捌き台7の回動により押上板9に載置されている用紙P(本発明のプリント媒体)の下面に摩擦部材6を接触させた状態で給紙ローラ5の紙送り部5aを、その用紙Pに押し当て1枚目の用紙Pの引き出しを行うと同時に、次の用紙Pを摩擦部材6に当接させて引き留め、重送を抑制する点が記載されている。
この特許文献1では、次に、用紙Pが給紙ローラ5に接触した状態で引き出しが開始した後には、押上板9を下げ、給紙ローラ5が更に回転してホームポジションで停止し、回動バネ11によって捌き台7を回動させる点が記載されている。
また、特許文献2には、給紙トレイ3の端部位置にゴム等で成る給紙ローラ13と、これに対向する位置において給紙ローラ13の摩擦係数より小さい摩擦係数の材料で成る摩擦パッド7とを備えた構成が示されている。
この特許文献2では、シート材S(本発明のプリント媒体)を積載する載置板1が支軸2a周りで回動自在に支持され、加圧ばね3により上方に付勢され、支軸5a周りで回動自在に支持された支持部材5に分離パッド4が備えられている。支持部材5を押圧する回転型のカム6を備え、分離パッド4の上側には給紙回転体15が配置され、回転型のカム6によって分離パッド4が押し下げられた際に露出する位置に重送防止部材13aを備えている。
この特許文献2では、シート材Sを載置板1に載置する際には分離パッド4と載置板1とが下降した位置にあり、これにより分離パッド4と給紙回転体15とは離間した位置関係にある。アクチュエータ31aを作動させることにより、カム6と給紙回転体15とが回転を開始し、載置板1が上方に向けて回動し、給紙回転15によってシートSの給紙が開始される。この後、載置板1と分離パッド4とが下方に押し下げられ、シートSに連れ送られたシート材Sが重送防止部材13aに係止され重送が防止される。
特開2007‐168956号公報 (段落番号〔0015〕〜〔0026〕、図1〜図12) 特開平06‐16269号公報 (段落番号〔0017〕〜〔0029〕、図1〜図4)
プリント装置では、給紙ユニットに積層状態で収容されたプリント媒体から1枚のプリント媒体を引き出す作動を行うことが重要であり、特許文献1、特許文献2では、搬出用のローラと、これに対向する位置のパッドとの位置関係を変更するだけではなく、プリント媒体を載置する載置板と搬出用のローラとの位置関係を変更する構成を備えている。
また、ピックアップローラによってプリント媒体を搬出する際に重送を防止するためには、ピックアップローラが接触するプリント媒体の下層のプリント媒体に対してパッドから確実に摩擦力を作用させる必要がある。しかしながら、ピックアップローラが接触するプリント媒体と下層のプリント媒体との密着性が高い場合には、搬出時にパッドから作用する摩擦力だけでは確実な分離を行えず重送を発生する点で改善の余地がある。
特に、ピックアップローラからの圧力でプリント媒体をパッドに対して強く押しつける構成を採用した場合には、重送の発生の低減が可能になる反面、プリント媒体に対して強い摩擦力が作用する結果、プリント媒体の表面を傷めることも考えられた。
本発明の目的は、ピックアップローラのよるプリント媒体の搬送時に重送の発生を良好に阻止し得るプリント装置を合理的に構成する点にある。
本発明の特徴は、シート状のプリント媒体を積層状態で収容する給紙ユニットを備え、この給紙ユニットから搬出されたプリント媒体をプリント部に供給してプリントを行うプリント装置であって、
前記給紙ユニットが、積層状態の最上部のプリント媒体に接触して搬送力を作用させるピックアップローラを備えており、
このピックアップローラの駆動回転でプリント媒体を通常搬送速度で搬送する搬出制御手段を備えると共に、
この搬出制御手段は、ピックアップローラの駆動回転で前記給紙ユニットからプリント媒体を搬出方向に搬送する際に、前記通常搬送速度より高速度でプリント媒体を搬送する初期搬送制御を行う搬出作動設定モジュールを備えている点にある。
この構成によると、ピックアップローラを通常搬送速度より高速で搬送する処理搬送制御が行われる。これにより、搬送開始時には高速回転するピックアップローラで高速搬送することにより、このプリント媒体の下側のプリント媒体が密着する状況であっても、この密着力より強い力を作用させ、下側のプリント媒体の分離を図ることができる。
その結果、プリント媒体の搬送速度の設定によりプリント媒体の搬送時に重送の発生を良好に阻止し得るプリント装置が構成された。
本発明は、前記搬出作動設定モジュールは、通常搬送速度より高速度でプリント媒体を搬送する以前に、前記通常搬送速度より低速度でプリント媒体の搬送を開始しても良い。
これにより、ピックアップローラの駆動回転により通常搬送速度より低速でプリント媒体の搬送を開始することで確実な搬送を開始した後に、ピックアップローラを通常搬送速度より高速で搬送することで下側のプリント媒体の分離を行える。
本発明は、前記搬出作動設定モジュールは、前記初期搬送制御において前記通常搬送速度より高速度での搬送が行われ、この高速度での搬送が停止した直後に、前記通常搬送速度より高速度で反搬出方向にプリント媒体を搬送する逆搬送制御を行っても良い。
これによると、高速で搬出方向に搬送されるプリント媒体を停止した直後に、反搬出方向(逆方向)に高速でプリント媒体の搬送を行うことで、ピックアップローラで搬送されるプリント媒体と、その下側のプリント媒体との間に搬送方向と逆方向とに向かう大きい速度差を作り出して分離を行う力を作り出し、密着状態にあるプリント媒体の積極的な分離が実現する。また、プリント媒体を反搬送方向に搬送することにより重送されていたプリント媒体を給紙ユニットに戻すことも可能となる。
本発明は、前記ピックアップローラでプリント媒体を送り出す搬出経路にプリント媒体の重送を検出する重送検出センサを備え、
前記搬出作動設定モジュールは、前記逆搬送制御の後に前記通常搬送速度で搬出方向にプリント媒体を搬送し、この搬送時に前記重送検出センサで重送を検出した場合には、前記通常搬送速度より高速度で反搬出方向にプリント媒体を搬送し、この搬送が停止した直後に、搬出方向に向けて前記通常搬送速度より高速度でプリント媒体の搬送を開始するように前記ピックアップローラの駆動回転を行っても良い。
これによると、プリント媒体の搬出時に重送検出センサで重送を検出した場合には、通常搬送速度より高速度で反搬送方向にプリント媒体を搬送し、この搬送が停止した直後に、搬出方向に向けて通常搬送速度より高速度でプリント媒体の搬送を開始することで、ピックアップローラで搬送されるプリント媒体と、その下側のプリント媒体との間に搬送方向と逆方向とに向かう大きい速度差を作り出して積極的な分離を実現する。
本発明は、前記プリント媒体を載置した状態で前記プリント媒体の搬出方向の下流側となる搬出側端部を上下に移動させるように水平姿勢の軸芯周りで揺動自在に支持された載置板が前記給紙ユニットに備えられ、この載置板の搬出側端部を上方に移動させた際にプリント媒体に接触する位置に前記ピックアップローラが配置され、
前記搬出制御手段は、前記初期搬送制御において、前記低速度でプリント媒体の搬送を開始する際には、前記載置板の搬出側端部を上方に移動させてピックアップローラによる搬送を実現し、この低速度での搬送の直後に前記載置板の搬出側端部を下方に移動させる載置板制御モジュールを備えても良い。
これによると、載置板のプリント媒体の搬出側端部を上方に移動させることで載置板に載置されたプリント媒体にピックアップローラを接触させ、このピックアップローラの低速回転によって低速でプリント媒体の搬出を開始した後には、載置板の搬出側端部を下方に移動させることで、この載置板に載置されているプリント媒体と、ピックアップローラで搬送されるプリント媒体とを分離させ、重送を抑制できる。
プリント装置を異なる方向から示す斜視図である。 プリント装置の縦断側面図である。 プリント装置本体に連結した給紙ユニットの縦断側面図である。 プリント装置本体に連結した給紙ユニットの側面図である。 給紙ユニットの横断平面図である。 ガイド幅調節機構の構造を示す平面図である。 位置規制体の構造を示す断面図である。 作動アーム、ロックプレート等の位置関係を示す分解斜視図である。 ロック状態における載置板の搬出側端部の縦断側面図と横断平面図である。 プリント媒体の搬出時における載置板の搬出側端部の縦断側面図と横断平面図である。 載置板の搬出側端部を中間位置まで下降した状態と、下端位置まで下降した状態とを示す縦断側面図である。 制御系のブロック回路図である。 搬出制御のフローチャートである。 搬出制御においてプリント媒体の搬送パターンを示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1〜図3に示すように、プリント装置本体Aの前部位置に給紙ユニットBと、回収ユニットCとを備えると共に、プリント装置本体Aの内部に給紙ユニットBから搬出されたシート状のプリント媒体Pにインクを吐出して画像情報や文字情報等をプリントするプリント部Dと、プリント後のプリント媒体Pの切断を行う切断部Eと、プリント媒体Pに乾燥空気を吹き付けてプリント媒体Pを乾燥させる乾燥部Fと、乾燥後のプリント媒体Pを回収ユニットCまで搬送する搬送ユニットGと、人為的に供給されたプリント媒体Pのプリントを実現する補助搬送ユニットHとを備えてプリント装置が構成されている。
このプリント装置では、プリント装置本体Aの前面側の下部に複数のインクカートリッジ1の収容部2と、切断部Eにおいて切断されたプリント媒体Pの切断片を回収するようにドロワー状の回収容器3とが配置されている。また、プリント装置本体Aの上面にはプリント媒体Pを人為的に供給するためのスリット状の手差開口4が形成されている。また、プリント装置本体Aの内部にはプリント媒体Pの搬送を行い、プリント部Dにおいてプリントを行う等の各種処理を実現するようにマイクロプロセッサを有した制御装置5を備えている。
〔装置本体各部の構成の詳細〕
プリント部Dは、プリント媒体Pの先端位置を検出するペーパーセンサ10と、プリント媒体Pの搬送方向の上流側及び下流側の2箇所においてプリント媒体Pに圧着して搬送力を作用させるアドバンスローラ11と、このアドバンスローラ11を駆動する電動モータ(図示せず)とを備えている。また、このプリント部Dでは2箇所のアドバンスローラ11の中間位置で、プリント媒体Pの搬送経路の下側に配置された基準プレート12と、この基準プレート12の上方においてプリント媒体Pの搬送方向と直交する主走査方向に往復作動する2つのプリントヘッド13と、基準プレート12に形成された多数の開口(図示せず)を介して基準プレート12上のプリント媒体Pに負圧を作用させる吸引ユニット14とを備えている。
このプリント部Dでは、アドバンスローラ11で搬送されるプリント媒体Pを、吸引ユニット14から作用する負圧により基準プレート12の上面に密着させる。この密着状態でプリントヘッド13を主走査方向に往復作動させ、この往復作動と同期してプリント媒体Pの上面にインクを吐出し、そのプリント媒体Pに画像情報や文字情報等のプリント処理を実現する。
切断部Eは、プリント媒体Pの搬送方向と直交する姿勢となる上刃16と下刃17を剪断位置関係に配置すると共に、下刃17を駆動する電動モータ(図示せず)と、切断位置のマーキングを光学的に検出するセンサ(図示せず)と、切断されたプリント媒体片を落下方向に案内するガイド筒18とを備えている。
この切断部Eでは、センサによってプリント媒体Pの前端側あるいは後端側にプリントされた切断位置を示すマーキングを検出すると、下刃17を上方に向けて作動させることにより、プリント媒体Pの一部の切り離しが行われる。このように切り離されたプリント媒体片はガイド筒18で下方に案内され、回収容器3で回収される。この回収容器3は上方が開放したドロワー状の構造を有しており、プリント装置本体Aの前方に引き出すことにより、回収したプリント媒体片の廃棄を行える。
切断作動として、上刃16を下方に作動させるものであっても良く、また、単一のカッター刃をプリント媒体Pの幅方向に直線的に作動させることでプリント媒体Pの切断を行う構造のものであっても良い。尚、この切断は常に行われるものではなく、プリント形態に応じて実行される。
乾燥部Fは、プリント媒体Pの搬送方向の上流側と下流側との2箇所においてプリント媒体Pに圧着して搬送力を作用させる乾燥搬送ローラ20と、この乾燥搬送ローラ20を駆動する電動モータ(図示せず)を備えると共に、この2箇所の乾燥搬送ローラ20の中間位置で、プリント媒体Pの搬送経路の上側から乾燥風をプリント媒体Pに吹き付けるブロワー21を備えている。
搬送ユニットGは、プリント媒体Pを搬送する複数の圧着型の搬送ローラ24と、プリント媒体Pをガイドするガイドプレート25と、この複数の搬送ローラ24で搬送されたプリント媒体Pを回収ユニットCに送り出す圧着型の排出ローラ26と、プリント媒体Pの搬送方向で排出ローラ26の上流位置に配置された排出ガイドプレート27とを備えている。
図面には示していないが、複数の搬送ローラ24は電動モータ(図示せず)によって同期駆動され、排出ローラ26は専用の電動モータ(図示せず)によって駆動される。この構成から、この搬送ユニットGでは、乾燥部Fから後方側に送り出されたプリント媒体Pを上方に搬送し、この後、前方に向けて水平に搬送し、排出ローラ26から回収ユニットCに排出する搬送が行われる。
補助搬送ユニットHは、搬送ユニットGの排出ローラ26と排出ガイドプレート27とを備えており、手差開口4に人為的に挿入されたプリント媒体Pをプリント部Dに直接的に送り込む機能を有している。この補助搬送ユニットHは、排出ローラ26と排出ガイドプレート27とを備えると共に、これより搬送方向の下流側に縦ガイドプレート28と、供給ローラ29とを備えている。このような搬送を実現するため排出ローラ26と排出ガイドプレート27とは排出ローラ26の一方の軸芯を中心として揺動する。
この構成から、補助搬送ユニットHを利用してプリント処理を実行する場合には、縦方向にプリント媒体Pを搬送するように排出ローラ26と排出ガイドプレート27とを揺動させ、排出ローラ26と、供給ローラ29とを駆動し、手差開口4からプリント媒体Pを供給する操作が行われる。これにより排出ローラ26、排出ガイドプレート27、縦ガイドプレート28、供給ローラ29夫々に対してプリント媒体Pが順次搬送され、プリント部Dにおいてプリント処理が実現する。
回収ユニットCは、本体ケースの前面から前方に突出する形態で着脱自在に備えられたトレイ状容器31で構成されている。また、この回収ユニットCの上部位置にはプリント媒体Pの載置が可能なラック板32を備えている。
〔給紙ユニット〕
図3〜図6に示すように、給紙ユニットBは、プリント装置のプリント装置本体Aに対して着脱自在なカセットとして構成されている。この給紙ユニットBは、プリント媒体Pの搬出側の端部(以下、搬出側端部と称する)のレベルに対して反搬出側の端部(以下、反搬出側端部と称する)のレベルが少し高くなるように全体的に傾斜する姿勢でプリント装置本体Aに連結される。
この給紙ユニットBは、樹脂で成る下部ケース41と、この下部ケース41のプリント媒体Pの搬出側端部の上部を覆うように樹脂で成る上部ケース42と、この上部ケース42の反搬出側端部に対して開閉自在に支持された透明な樹脂で成る開閉ケース43とを備えることにより密封構造となるケースBcを構成している。
ケースBcは、上部ケース42と開閉ケース43とを横向き姿勢のヒンジ軸44で揺動自在に連結しており、開閉ケース43の上面にはオペレータが持ち運ぶ際等に握るハンドル45が備えられ、この開閉ケース43と下部ケース41との間には開閉ケース43を閉じ姿勢に固定するバックル46を備えている。
このケースBcでは、収容したプリント媒体Pを搬出するスリット状の搬出口47が下部ケース41と上部ケース42と間に形成されている。また、下部ケース41のうち搬出側端部の壁部には、収容されているプリント媒体Pのサイズや種類等の情報がセットされるIDプレート48が備えられると共に、プリント装置本体Aに備えた操作アーム87が挿通する操作開口49と、プリント装置本体Aに突設された操作ロッド35が挿通する操作孔36とが形成されている。
操作開口49には閉塞姿勢に付勢されたシャッター50を備えており、給紙ユニットBをプリント装置本体Aに連結した場合には、操作ロッド35の押圧力によってシャッター50が開放し、このようにシャッター50が開放した操作開口49に対して操作アーム87が挿通する。このようにシャッター50が開放することにより、操作開口49がプリント装置本体AのケースBcの内部に対する空気の流通を許す通気口としても機能する。
給紙ユニットBがプリント装置本体Aから取り外された場合には、バネ付勢力によりシャッター50が操作開口49を閉じ、ケースBcが密封状態となり、後述する載置板55の搬出側端部が下端位置に維持される姿勢にロックされる(これらの作動形態は、後述する)。IDプレート48は、複数のDIPスイッチ状の作動片を備えており、プリント媒体Pのサイズ、プリント媒体Pの種類等に対応して作動片の位置が設定される。この操作位置をプリント装置本体Aに備えたセンサ(図示せず)で検出することにより、ケースBcに収容されたプリント媒体Pのサイズやペーパー種等がプリント装置本体Aで把握する。
〔給紙ユニット − 載置板〕
このケースBcの内部にはシート状のプリント媒体Pを積層状態で載置し、水平姿勢の軸芯X周りで揺動自在となる載置板55を備え、この載置板55に積層状態にある最上部のプリント媒体Pの上面に接触して搬出力を作用させるピックアップローラ56を備え、ピックアップローラ56によって搬出されるプリント媒体Pの下面を案内するガイド壁60を備えている。ガイド壁60から下方に向け、軸芯Xを中心とした載置板55の搬出側端部の移動軌跡に沿うように側面視において円弧状となる規制壁62が形成されている。
載置板55の下面側で、プリント媒体Pの搬出方向で載置板55の中央位置に前記軸芯Xと同軸芯となる支軸63が備えられている。この支軸63の両端部を下部ケース41に支持することにより軸芯X周りで載置板55の搬出側端部の上下方向への移動が可能となる。この載置板55の搬出側端部の近傍には、搬出側端部を持ち上げる方向に付勢力を作用させるリフトスプリング64を備えている。
載置板55の上面には、プリント媒体Pの反搬出側端部の位置を決める位置規制体65とプリント媒体Pの幅方向の端部の位置を規制する左右一対のガイド体66とを備えている。位置規制体65は、図7に示すように金属板を屈曲成形して成り、プリント媒体Pの搬出方向に沿う方向に移動自在に載置板55に支持されている。ガイド体66は載置板55に対して垂直姿勢に設定され、プリント媒体Pの搬出方向と直交する方向(幅方向)に移動自在に載置板55に支持されている。
載置板55の下面側には、左右一対のガイド体66を互いに逆方向に移動させるガイド幅調節機構Wが備えられている。図5、図6に示すように、ガイド幅調節機構Wは載置板55の端部に備えた回転操作型のノブ67と、このノブ67の回転力で回転操作される一対のネジ軸68と、一対のネジ軸68を連動回転させるタイミングベルト69とを備えている。更に、ネジ軸68の右ネジ部68Sに螺合するナット68N、ネジ軸68の左ネジ部68Tに螺合するナット68Nと、夫々のナット68Nを支持する一対のスライダー70を備え、夫々のスライダー70にはガイド体66に連結する連結体70Aが形成されている。
載置板55には連結体70Aが挿通するスリット55Sがプリント媒体Pの幅方向に沿って形成され、このスリット55Sに対して前記連結体70Aが挿通する。これにより、ノブ67を回転操作することにより、一対のネジ軸68が同じ方向に回転し、夫々のネジ軸68の右ネジ部68Sに螺合するナット68Nからの移動力と、左ネジ部68Tに螺合するナット68Nからの移動力がスライダー70に対して互いに逆方向に作用する。その結果、このスライダー70と連結体70Aを介して連結するガイド体66が互いに逆方向に移動し、このガイド体66をプリント媒体Pの幅に対応した位置にセットできる。
載置板55の幅方向での中央位置には位置規制体65のベース部65Bが挿入されるガイド溝55Aと、ベース部65Bの浮き上がりを防止するようにガイド溝55Aに沿って複数形成された浮き上がり防止片55Bと、ガイド溝55Aの幅方向での中央において搬出方向に連続的に形成された多数のロック溝55Cとが形成されている。
位置規制体65は、載置板55の載置面に対して傾斜する姿勢のプレート状の本体65Aを備え、ガイド溝55Aに沿って移動自在かつ、浮き上がりを抑制する状態で支持されるベース部65Bを備え、上下方向に作動自在なロック体65Cを備えている。このロック体65Cを多数のロック溝55Cの何れか1つに係合させることでロック状態に達し、プリント媒体Pのサイズに対応した位置でロックすることが可能となる。
載置板55の搬出側端部の上面で幅方向の中央位置には、ゴムや樹脂で成る膜状の摩擦材55Fが備えられ、載置板55に載置されたプリント媒体Pの残量が2枚となり、上層のプリント媒体Pを搬出する際に、下側のプリント媒体Pの下面側に摩擦材55Fから摩擦力を作用させて重送を阻止する。
〔給紙ユニット − ピックアップローラ・摩擦力付与手段〕
ピックアップローラ56の下側にはプリント媒体Pの下面に接触して摩擦力を作用させるフリクションローラ51と、摩擦パッド53とを備えている。このフリクションローラ51と摩擦パッド53とで摩擦力作用手段が構成されている。
フリクションローラ51は、ガイド壁60と規制壁62との境界部分に配置され、このフリクションローラ51は軸体51aを介してシフトブロック52に支持されている。このシフトブロック52には、軸体51aの軸芯方向でフリクションローラ51を挟む位置夫々に摩擦パッド53を備えている。フリクションローラ51は軸体51aに対して回転自在に支持されると共に、フリクションローラ51と軸体51aとの間には一方向クラッチを有する摩擦力付与機構51bを備えている。
この摩擦パッド53は上面がフリクションローラ51の外周より下側に位置するものの、プリント媒体Pの搬出方向での上流側がフリクションローラ51の外周より突出する形状であり、プリント媒体Pにおいて搬出方向の上流側が垂れ下がった場合や、プリント媒体Pの幅方向での中央が上方に凸となる形状にカーリングした場合に、そのプリント媒体Pの下面に接触して抵抗力を良好に作用させて重送を防止する。
ピックアップローラ56とフリクションローラ51とは、その外周がゴムや樹脂で形成され、摩擦パッド53はゴムやウレタン樹脂等で形成されている。そして、ピックアップローラ56の摩擦係数より、フリクションローラ51及び摩擦パッド53の摩擦係数が低く設定されている。
尚、給紙ユニットBをプリント装置本体Aに連結した状態でガイド壁60の上面が水平姿勢となるように、このガイド壁60と給紙ユニットBのケースBcとの相対的な姿勢が設定されている。そして、このガイド壁60の上面に案内される形態で搬出口47から水平方向に搬出されたプリント媒体Pを圧着する位置に上流側のアドバンスローラ11が配置されている。
ピックアップローラ56は、下部ケース41に遊転支承された金属製のローラ軸57と一体回転する筒状体の外周にゴムや樹脂材料のように摩擦係数が高い素材を設けた構造を有しており、ローラ軸57の端部にはローラ軸57と一体回転する入力ギヤ58が備えられている。
図4に示すように、給紙ユニットBをプリント装置本体Aに連結した際に、入力ギヤ58に咬合する駆動ギヤ59をプリント装置本体Aに備えており、この駆動ギヤ59は電動型の給紙モータM1(搬送アクチュエータの一例)によって駆動される。
ガイド壁60の上方に対向する位置に開閉板82が横向き姿勢の開閉軸82A周りで揺動自在に支持され、この開閉板82を揺動する中間揺動体83がガイド壁60の下側に横向き姿勢の中間軸84周りに揺動自在に支持されている。この中間揺動体83の幅方向の両端位置には上方に向かう姿勢で一対の突出片83Aが形成され、この中間揺動体83が回動ブロック75(次に説明する)の回動と連係して揺動することにより、シャッター50が開放することになり、このシャッター50が開放する状態では開閉板82を開放姿勢に維持する。
〔シャッターと摩擦パッドの作動構造〕
図8〜図11に示すように、載置板55には、給紙ユニットBの搬出側端部の方向に向けて延出し、載置板55と一体的に揺動する作動アーム71を備え、この作動アーム71の揺動端には軸芯Xと平行姿勢となる軸部71Aが形成され、この軸部71Aに回転自在に遊嵌したローラで成る接当部71Bが形成されている。
このシフトブロック52は縦フレーム72に対して上下方向にスライド移動自在に支持されると共に、シフトスプリング73によって上方に向けて付勢されている。シフトブロック52の下側に連結する板状体74の下端には横方向に張り出す接当片74Aが形成されている。シフトスプリング73により上方に向けて付勢されることにより、シフトブロック52は上限までシフトするものであり、この上限までシフトした状態ではフリクションローラ51の外周とピックアップローラ56の外周との間にはプリント媒体Pの厚さより小さい値の隙間が形成される。
このように、フリクションローラ51の外周とピックアップローラ56の外周との間の隙間をプリント媒体Pの厚さより小さい値にすることで、3枚等の枚数のプリント媒体Pの搬送を抑制している。尚、このピックアップローラ56とフリクションローラ51とは接触する位置関係であっても良い。
下部ケース41の内部には、図9、図10に示すように、縦向き姿勢の回動軸芯Y周りで揺動自在な回動ブロック75が備えられ、これにシャッター50が連設され、この回動ブロック75にはクローズスプリング76からの付勢力がシャッター50を閉じる方向に作用している。この回動ブロック75には回動軸芯Yの軸芯上に配置された軸支部に回動自在に支持される上下一対のアーム部75Aが一体的に形成されると共に、操作孔36に挿通する操作ロッド35が押圧する被押圧部75Bが一体的に形成され、上面には中間揺動体83を操作するカム部75Cが形成されている。
また、回動ブロック75には金属製のロックプレート77が備えられ、このロックプレート77の下部には凹部77Aが形成されている。このロックプレート77の凹部77Aと、作動アーム71の軸部71Aとでロック機構Lが構成されている。
ロック機構Lは、載置板55の搬出側端部が下端にある状態で、給紙ユニットBがプリント装置本体Aから取り外されシャッター50が閉塞姿勢に切り換わった場合に、凹部77Aに対して作動アーム71の軸部71Aが係合することにより、載置板55の搬出側端部が下端に位置する状態に維持するように機能する。このように載置板55が下端に位置する状態では、載置板55の作動アーム71が板状体74の接当片74Aに接当することにより、フリクションローラ51とシフトブロック52とがピックアップローラ56から離間する位置に維持される。
具体的に説明すると、給紙ユニットBをプリント装置本体Aに連結した状態ではプリント装置本体Aに形成した操作ロッド35が、下部ケース41に形成された操作孔36に挿通し、操作ロッド35の先端が被押圧部75Bに接当し、クローズスプリング76の付勢力に抗して回動ブロック75を回動軸芯Y周りで回動させることにより図10(b)に示す如く回動ブロック75を回動させる。
この回動状態では、回動ブロック75に形成されたシャッター50が回動ブロック75と一体的に回動する結果、操作開口49が開放状態となる。給紙ユニットBがプリント装置本体Aに連結された状態では開放状態にある操作開口49から操作アーム87が給紙ユニットBの内部に入り込み、この操作アーム87の先端が作動アーム71の接当部71Bに接当可能な位置関係となる。
後述するようにプリント装置でプリントが行われない場合には、操作アーム87の先端が作動アーム71の接当部71Bに対して上方から接当し、この部位を下方端位置まで押し下げた状態にあるので、載置板55の搬出側端部が下端位置にあり、載置板55に載置されているプリント媒体Pはピックアップローラ56に接触しない位置にある。
この状態で給紙ユニットBをプリント装置本体Aから引き出して分離した場合には、給紙ユニットBの引き出し量に対応した量だけ回動ブロック75がクローズスプリング76の付勢力によって回動し、この回動に伴いシャッター50が閉じ方向に移動すると同時に、ロックプレート77が作動アーム71に接触する方向に移動する。
給紙ユニットBの引き出しを継続して行うことにより、作動アーム71の軸部71Aがロックプレート77の凹部77Aに嵌入する状態に達し、リフトスプリング64の付勢力が載置板55に作用する状態に関わらず、載置板55の搬出側の端部が下端位置に維持される。
このように載置板55の搬出側端部が下端位置に維持される結果、載置板55に載置されているプリント媒体Pがピックアップローラ56に押し付けられた状態に陥ることがなく、プリント媒体Pの変形やピックアップローラ56の変形が抑制される。また、回動ブロック75の回動に連係して中間揺動体83の姿勢が切り換わり突出片83Aを介して操作される開閉板82が閉じ姿勢に作動し、搬出口47は閉じられる。
〔制御装置〕
プリント装置本体Aには、前述した操作アーム87が支軸88周りで上下方向に揺動自在にプリント装置本体A支持されると共に、この操作アーム87に突設したローラ状のカムフォロワ89が、電動型の操作モータM2で駆動される出力軸90と一体回転作動する回転カム91の外周のカム面に接触している。操作モータM2の駆動力を減速ギヤを介して出力軸90に伝える伝動系を形成しており、回転カム91の回転量を計測するポテンショメータ92を備えている。そして、このポテンショメータ92からの信号を制御装置5にフィードバックする状態で操作モータM2を制御装置5が制御する。
本発明では、載置板55の搬出側端部を持ち上げる方向に付勢力を作用させるリフトスプリング64と、載置板55の搬出側端部を押さえ込む方向に力を作用させる操作アーム87と、この操作アーム87を揺動駆動する操作モータM2とで駆動昇降機構が構成されている。
カムフォロワ89が回転カム91に常時接触するように操作アーム87はトーションスプリング93で付勢されている。そして、操作アーム87が支軸88周りで揺動することにより、その先端部87Aが下方に揺動し、作動アーム71の接当部71Bに接当する。これにより、この作動アーム71とともに載置板55を揺動させる。尚、作動アーム71の接当部71Bに対して操作アーム87の先端部87Aが接触しない状態では、リフトスプリング64の付勢力により、載置板55の搬出側端部は上方に移動する。
ピックアップローラ56の駆動回転でプリント媒体Pが搬出される搬出経路にはプリント媒体Pの重送を検出する重送検出センサ78を備えている。この重送検出センサ78は、光源と受光素子とを有し、制御装置5においてプリント媒体Pを透過する光量から重送の有無が判別される。
〔搬出作動のシーケンス〕
プリント装置の制御系のうち、本発明の構成の概要を図12のように示すことが可能である。つまり、制御装置5は、プリント部D、切断部E、乾燥部F、搬送ユニットG、補助搬送ユニットH夫々を制御するための出力系を備えると共に、給紙モータM1と、操作モータM2とを制御するための出力系を備えている。更に、ポテンショメータ92からの計測信号と、プリント部Dに備えたペーパーセンサ10の計測信号と、重送検出センサ78からの検出信号が制御装置5に入力する信号系が形成されている。この制御装置5は、プリント媒体Pを搬出するためプログラムで成る搬出制御手段Qを備えている。
この搬出制御手段Qは、ピックアップローラ56の回転制御によりプリント媒体Pの搬出作動を設定する搬出作動設定モジュールQaと、操作アーム87の制御で載置板55の搬出端側のレベル(揺動量)を制御する載置板制御モジュールQbとを備えて構成されている。これらは必ずしもプログラムで構成される必要はなく、例えば、ロジックのみによって構成することや、ロジックとプログラムとの組み合わせによって構成しても良い。
プリント媒体Pを搬出しない場合において載置板55は、その搬出側端部が下端位置にあり、この下端位置では、載置板55の作動アーム71が板状体74の接当片74Aに接当することにより、フリクションローラ51と摩擦パッド53とがピックアップローラ56から離間する方向にシフトした位置にある。
給紙ユニットBからプリント媒体Pを排出する際には、搬出制御手段Qが図13に示すフローチャートに示す制御を行い、この制御によりプリント媒体Pは図14に示されるパターンに従って搬送される。この制御では、給紙モータM1によりピックアップローラ56を駆動回転することによりプリント媒体Pを搬出経路を介して送り出す際の速度を通常搬送速度と称している。
この状態において、給紙モータM1によりピックアップローラ56を正転方向に向けて通常搬送速度の1/5程度に対応する速度となる低速で回転させ、この直後に操作モータM2の制御で操作アーム87を上限まで揺動させ、この上昇状態を第1設定時間だけ維持する(#01、#02ステップ)。
このように操作アーム87を上限まで揺動させることにより、リフトスプリング64の付勢力により載置板55も上限まで揺動する。この上限とは、図3、図10に示す如く、載置板55に積層状態で載置されているプリント媒体Pのうち最上部のプリント媒体Pに接触する揺動姿勢である。また、この上昇時にはピックアップローラ56に対して動慣性が作用する状態でプリント媒体Pが接触することになるので、ピックアップローラ56の摩擦係数が小さい場合でも、動慣性による大きい圧力を利用してプリント媒体Pに搬出方向に強い力を作用させ、しかも、ピックアップローラ56が低速で回転するのでスリップを発生させることもなく確実な搬出を行う。
また、載置板55の搬出側端部が上限まで上昇する際には、これと連動してフリクションローラ51と摩擦パッド53とがピックアップローラ56に近接する位置まで移動する。これにより、ピックアップローラ56に対して最上部のプリント媒体Pの上面が接触して搬出が行われる際には、プリント媒体Pの下面側にフリクションローラ51と摩擦パッド53とから摩擦力を作用させ重送を抑制できる。この制御によりプリント媒体Pは第1設定距離Z1だけ搬送される。
次に、操作アーム87を少し下降させることで図11(a)に示すように、載置板55を中間位置まで下降させ、給紙モータM1によりピックアップローラ56の回転速度を正回転方向で通常搬送速度の2倍程度の高速に対応する速度まで増速して第2設定時間だけ維持する。この第2設定時間が経過するとピックアップローラ56の回転を停止させ、この直後に給紙モータM1によりピックアップローラ56を逆転方向で前記通常搬送速度の2倍程度の高速度に対応する速度で回転させ、この回転を第3設定時間だけ維持する(#03〜#04ステップ)。この制御においても、「直後」とはピックアップローラ56の回転が停止してから、できる限り短時間のうちに、との意味である。
これにより、プリント媒体Pを、低速度で第1設定距離Z1だけ搬出方向に搬送した後に、高速度で更に搬出方向に第2設定距離Z2だけ搬送する制御が行われる。この制御が初期搬送制御である。次に、プリント媒体Pが第2設定距離Z2だけ搬送された直後に反搬出方向(逆方向)に高速度で第3設定距離Z3だけ搬送する制御が行われる。この制御が逆搬送制御である。
前述した中間位置では、載置板55の作動アーム71が板状体74の接当片74Aの上方に離間した位置にあり、ピックアップローラ56で搬送されるプリント媒体Pの下面にフリクションローラ51と摩擦パッド53とを接触させる状態が維持される。そして、載置板55を中間位置まで下降することにより、ピックアップローラ56で搬送が開始されたプリント媒体Pの下層に位置するプリント媒体Pを離間させる。
この制御を行うことで、プリント媒体Pの下面にプリント媒体Pが密着した重送状態にある場合には、搬出方向への搬送時にフリクションローラ51と摩擦パッド53とから下側のプリント媒体Pに摩擦力を作用させて下側のプリント媒体Pの分離を促進し、更に、逆方向に移動させることにより、下側のプリント媒体Pを載置板55に戻せるものにしている。
特に、フリクションローラ51はプリント媒体Pが逆方向に送られた場合にはプリント媒体Pに対して摩擦力を殆ど作用させずに回転することになり、下側のプリント媒体Pを載置板55に円滑に戻せるものとなる。
次に、給紙モータM1によりピックアップローラ56を正転方向に通常搬送速度に対応した速度で駆動し、この駆動をペーパーセンサ10が検出するまで維持する。この制御によりプリント媒体Pは搬出方向に通常搬送速度で搬送され、この搬送時には重送検出センサ78からの検出信号を取得する(#05ステップ)。これにより、プリント媒体Pは第4設定距離Z4だけ搬出方向に搬送される。
次に、重送検出センサ78から取得した検出信号から重送であることが判別された場合には、ピックアップローラ56を逆転方向に通常搬送速度の2倍程度の高速度に対応する速度で駆動することで、プリント媒体Pを第5設定距離Z5だけ反搬出方向(逆方向)に高速度で搬送して停止する。この直後、ピックアップローラ56を通常搬送速度の2倍程度の高速度に対応する速度で設定時間だけ正転方向に駆動回転することで、プリント媒体Pを第6設定距離Z6だけ搬出方向に高速で搬送し、更に、ピックアップローラ56の回転速度を通常搬送速度に対応した速度まで低速化してプリント媒体Pの搬送を継続する(#06〜#08ステップ)。
この制御においても「直後」とはピックアップローラ56の回転が停止してから、できる限り短時間のうちに、との意味である。
この搬出方向への駆動回転によりプリント媒体Pがペーパーセンサ10で検出する位置に達した場合には、プリント媒体Pは第7設定距離Z7だけ搬送を継続される。この第7設定距離だけプリント媒体Pが搬送される際にも、重送検出センサ78からの検出信号が取得され、重送の有無が判断される。
このようにピックアップローラ56を逆転方向に高速度で駆動してプリント媒体Pを第5設定距離Z5だけ反搬出方向に搬送する際には、フリクションローラ51は軽く回転することから重送状態は維持されるものの、#08ステップでプリント媒体Pを搬出方向に高速で搬送した場合に、フリクションローラ51から下側のプリント媒体Pに大きい摩擦力が作用することから、下側のプリント媒体Pの分離を促進し、重送の解消が可能となる。
また、この反搬出方向への搬送は重送状態が解消されない場合に反復して行われるものなり、この反復の回数が2回程度の回数に達すると制御装置5は搬送エラー情報を出力して搬送を停止する(#09〜#011ステップ)。ピックアップローラ56に接触するプリント媒体Pの下面側に3枚以上のプリント媒体Pが密着している場合には、前述した反復を繰り返して行うことで下面側に密着しているプリント媒体Pの分離も可能であるものであるが、反復の回数を2回程度に設定することが重送に対して現実的な対応となる。
#06ステップ及び#09ステップにおいて、重送状態でないことを判別した場合には、ピックアップローラ56を通常搬送速度に対応する速度で正転方向に駆動回転することでプリント媒体Pを、上流位置のアドバンスローラ11に受け渡す。次に、図11(b)に示すように、載置板55を下端まで下降させることで、フリクションローラ51を下降させフリクションローラ51の圧着を解除し、更に、給紙モータM1を自由回転状態にすることで、プリント媒体Pがアドバンスローラ11で引き出されプリント装置本体Aでのプリント可能となる(#012ステップ)。
更に、プリント媒体Pの搬出を継続して行う場合には#01ステップからの処理を再度行う(#013ステップ)。
第1設定距離Z1は15mm程度に設定され、第2設定距離Z2と第3設定距離Z3は20mm程度に設定されている。また、第5設定距離Z5は120mm程度に設定され、第6設定距離は20mm程度に設定されている。また、これらの制御において、プリント媒体Pの搬送方向、搬送速度は搬出作動設定モジュールQaが制御し、載置板55の搬出側端部の上下位置は載置板制御モジュールQbが制御する。
〔実施形態の効果〕
このように本発明では、プリント媒体Pを搬出する際には、制御装置5にプログラムとしてセットされた搬出制御手段Qが、予めピックアップローラ56を通常搬送速度より低速度となる速度に対応した回転速度で駆動回転し、この回転状態で載置板55の搬出側端部を上昇させて載置板55に積層状態で載置しているプリント媒体Pをピックアップローラ56に接触させている。この上昇時の動慣性を利用してプリント媒体Pをピックアップローラ56に接触させ、強い摩擦力の作用によってプリント媒体Pの搬送を開始する。これにより、ピックアップローラ56で確実な搬送を行うと同時に、ピックアップローラ56と対向する位置に配置されているフリクションローラ51と一対の摩擦パッド53から抵抗力をプリント媒体Pの下側に作用させることになるので、下面側にプリント媒体Pが密着している場合にも下側のプリント媒体Pに摩擦力を作用させて分離を行い重送を防止できる。
また、ピックアップローラ56にプリント媒体Pを接触させて搬出が開始された直後には、載置板55の搬出側端部を下方に移動させると共に、ピックアップローラ56を通常搬送速度より高速度に対応した速度で駆動回転することにより、次のプリント媒体Pとの分離性を高め、ピックアップローラ56で搬出させるプリント媒体Pに対して下層のプリント媒体Pから無駄な抵抗を作用させることがない。
更に、プリント媒体Pの搬出途中に重送検出センサ78で重送が検出された場合には、プリント媒体Pを搬出方向と逆方向に搬送するように、ピックアップローラ56を通常搬送速度より高速度に対応した回転速度で逆転方向に駆動回転することで、長い経路においてフリクションローラ51と摩擦パッド53とから下側のプリント媒体Pに摩擦力を継続的に作用させると同時に高速での搬送により重送を抑制する。この駆動回転が停止した直後に、ピックアップローラ56を通常搬送速度より高速に対応した回転速度で逆転方向に駆動することで、高速度での搬送方向の切り換えにより、密着状態にあるプリント媒体Pの分離を促進して重送を抑制する。次に、通常の搬送速度で搬出方向にプリント媒体Pを搬送するようにピックアップローラ56を駆動することでプリント媒体Pの搬出が実現する。
本発明は、画像を形成するプリント装置全般に利用することができる。
55 載置板
56 ピックアップローラ
78 重送検出センサ
B 給紙ユニット
P プリント媒体
Q 搬出制御手段
Qa 搬出作動設定モジュール
Qb 載置板制御モジュール
X 軸芯

Claims (5)

  1. シート状のプリント媒体を積層状態で収容する給紙ユニットを備え、この給紙ユニットから搬出されたプリント媒体をプリント部に供給してプリントを行うプリント装置であって、
    前記給紙ユニットが、積層状態の最上部のプリント媒体に接触して搬送力を作用させるピックアップローラを備えており、
    このピックアップローラの駆動回転でプリント媒体を通常搬送速度で搬送する搬出制御手段を備えると共に、
    この搬出制御手段は、ピックアップローラの駆動回転で前記給紙ユニットからプリント媒体を搬出方向に搬送する際に、前記通常搬送速度より高速度でプリント媒体を搬送する初期搬送制御を行う搬出作動設定モジュールを備えているプリント装置。
  2. 前記搬出作動設定モジュールは、通常搬送速度より高速度でプリント媒体を搬送する以前に、前記通常搬送速度より低速度でプリント媒体の搬送を開始する請求項1記載のプリント装置。
  3. 前記搬出作動設定モジュールは、前記初期搬送制御において前記通常搬送速度より高速度での搬送が行われ、この高速度での搬送が停止した直後に、前記通常搬送速度より高速度で反搬出方向にプリント媒体を搬送する逆搬送制御を行う請求項1又は2記載のプリント装置。
  4. 前記ピックアップローラでプリント媒体を送り出す搬出経路にプリント媒体の重送を検出する重送検出センサを備え、
    前記搬出作動設定モジュールは、前記逆搬送制御の後に前記通常搬送速度で搬出方向にプリント媒体を搬送し、この搬送時に前記重送検出センサで重送を検出した場合には、前記通常搬送速度より高速度で反搬出方向にプリント媒体を搬送し、この搬送が停止した直後に、搬出方向に向けて前記通常搬送速度より高速度でプリント媒体の搬送を開始するように前記ピックアップローラの駆動回転を行う請求項3記載のプリント装置。
  5. 前記プリント媒体を載置した状態で前記プリント媒体の搬出方向の下流側となる搬出側端部を上下に移動させるように水平姿勢の軸芯周りで揺動自在に支持された載置板が前記給紙ユニットに備えられ、この載置板の搬出側端部を上方に移動させた際にプリント媒体に接触する位置に前記ピックアップローラが配置され、
    前記搬出制御手段は、前記初期搬送制御において、前記低速度でプリント媒体の搬送を開始する際には、前記載置板の搬出側端部を上方に移動させてピックアップローラによる搬送を実現し、この低速度での搬送の直後に前記載置板の搬出側端部を下方に移動させる載置板制御モジュールを備えている請求項2〜4のいずれか1項に記載のプリント装置。
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