JP2010202087A - 衝撃吸収装置及び鉄道車両 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】通常運行時は鉄道車両10先頭部に衝撃吸収部材11が鉛直方向に収納されている。鉄道車両10前方に障害物が現われた時に、エアシリンダー12を収縮させると、スライドリンク22が後方へ移動し、回転リンク21が回転すると共に衝撃吸収部材11が前方へ突出して、衝突時の衝撃エネルギーを吸収することができる。
【選択図】図4
Description
衝撃吸収部材11(第1衝撃吸収部材)は、回転リンク21及び軸受33を介して、下端が基台31に取り付けられている。衝撃吸収部材11は、長尺の中空部材と中空部材の先端及び後端に接合された平板とを有する。中空部材及び平板は、アルミニウム合金からなる。中空部材の中央には仕切りが形成されており、断面が日の字形状になっている。断面が日の字形状になるように配置させることによって、中空部材のオイラー座屈が生じにくくなる。3本の中空部材は、鉄道車両10の幅方向に所定の間隔離れて平行に配置している。
エアシリンダー12は、衝撃吸収部材11の後端(運行中に下端となる端部)の後方に、取付台35によって基台31に取り付けられている。エアシリンダー12は、基台31に平行に取り付けられており、鉄道車両10の長手方向に伸縮する。エアシリンダー12は、シリンダー25と、シリンダー25内を進退するピストンロッド26とを有している。ピストンロッド26の先端はスライドリンク22の一端に接続されている。シリンダー25は、前進用の空気供給口(図示せず)と、後退用の空気供給口(図示せず)と、シリンダー25内の空気を放出する放出弁(図示せず)とを有し、シリンダー25内には、エアタンク(図示せず)から供給された圧縮空気が充填される。前進用の空気供給口は、シリンダー25の後端に形成されており、エアタンク(図示せず)と管(図示せず)を介して接続されている。また、後退用の空気供給口は、シリンダー25の前端に形成されており、エアタンクと管(図示せず)を介して接続されている。放出弁は、シリンダー25の後部に位置し、後退用の空気供給口から圧縮空気を供給するときに開かれる。放出弁が開かれると、シリンダー25内の圧縮空気が放出される。なお、放出弁は、前進用の空気供給口から圧縮空気を供給するときに閉じられている。
取付台35は、衝撃吸収部材11の後方に、基台31上に取り付けられている。取付台35は、シリンダー25を基台31に固定している。
衝撃吸収部材11とエアシリンダー12との間は、回転リンク21とスライドリンク22とを介して接続されている。回転リンク21とスライドリンク22とはピン23によって連結されている。エアシリンダー12が伸縮すると、スライドリンク22が作動する。スライドリンク22の作動とともに、回転リンク21が回転し、衝撃吸収部材11が回転する。回転リンク21は、衝撃吸収部材11の後端(運行中に下端となる端部)の下方に配設された軸受33から延設した軸32を中心に回転する。
回転リンク21は、図1(b)に示すように、衝撃吸収部材11の後端(フレーム60)に3つ取り付けられている。各々の回転リンク21は、3本の衝撃吸収部材11の各々の後端に位置している。3つの回転リンク21は、フレーム60(衝撃吸収部材11の後端)の長手方向に関する両端及び中央の位置にそれぞれ取り付けられている。中央の位置に取り付けられた回転リンク21は、ピン23によってスライドリンク22に連結している。(前文から、後ろの文の内容がわかるため、後ろの文を削除しています。)
図5に示すように、スライドリンク22は、一端がピン23によって回転リンク21の一端に連結されている。図2に示すように、フレーム60(衝撃吸収部材11の後端)の中央の位置に取り付けられたスライドリンク22の他端は、ピストンロッド26の先端に取り付けられている。スライドリンク22は、エアシリンダー12の収縮によって作動する。エアシリンダー12が伸長しているときは、図2、図5(a)に示すように、スライドリンク22は、基台31に対して傾斜しており、スライドリンク22のピン23側の端部が基台31に近づいている。エアシリンダー12が収縮するにつれて、図3、図4、図5(b),(c)に示すように、スライドリンク22の傾斜が基台31に対して小さくなっていく。
基台31には、3つの軸受33が固定されている。3つの軸受33は、鉄道車両10の幅方向に所定の間隔離れて固定されている。3つの軸受33のうち中央に位置する軸受33は、取付台35の前方に設けられている。3つの軸受33のそれぞれには、軸32が取り付けられている。
基台31は、床8に取り付けられており、運転室に配置されている。基台31には、軸受33と、衝撃吸収部材11を止める平板13と、取付台35とが前から順に固定されている。
ここで、エアシリンダー12,スライドリンク22及び回転リンク21の動作を説明する。通常の列車の運転の時、図2及び図5(a)に示すように、スライドリンク22は、基台31に対して傾斜している。回転リンク21の凹部21bは、開口21aの最も上の位置(開口21aの円の12時を示す位置)に位置している。ピストンロッド26がシリンダー25内を後退し、エアシリンダー12が収縮すると、スライドリンク22が鉄道車両10の後方へ引かれ、スライドリンク22の基台31に対する傾斜が小さくなっていき、ピン23によるスライドリンク22と回転リンク21との連結部が上方へ移動し、回転リンク21が図5(a)の側面図において左回転する(図5(b))。回転リンク21は、90度左回転して止まり、図5(c)に示すように、凹部21bが、凹部21bの凹み分だけ凸部32bから離れて、凸部32bと対向する。
平板13は、軸受33とエアシリンダー12(取付台35)との間に配設されている。平板13は、鉛直方向に延在し、平板13の高さ方向が鉛直方向に一致するように床8に対して垂直に立てて設置されており、後方から支持棒18によって支持されている。平板13は、衝撃吸収部材11とほぼ同じ大きさの平板形状(直方体形状)を有しており、平板面が鉄道車両10の前後方向に向くように基台31に取り付けられている。
衝撃吸収部材14(第2衝撃吸収部材)は、衝撃吸収部材11より小さい平板形状を有しており、平板13の前方側の平板面に取り付けられている。通常の運行中は、図2に示すように、衝撃吸収部材11と平板13との間に位置する。図3に示すように、衝撃吸収部材11が回転しているとき(衝撃吸収部材11が鉄道車両10の前方に完全に展開していないとき)に障害物が衝撃吸収部材11に衝突すると、衝撃吸収部材11が障害物によって押し上げられ、衝撃吸収部材11によって衝撃を十分に吸収できないことがある。しかし、衝撃吸収部材14を衝撃吸収部材11の後方に配置させておくと、このような場合に衝突が起こっても衝撃吸収部材14によって衝撃エネルギーを吸収することができる。また、本実施の形態では、衝撃吸収部材14が平板13の前方に配置されているので、衝撃吸収部材11の回転を止めるストッパーの効果も奏する。
運転室の運転台50には、駆動ボタン1及びブレーキハンドル2が配設されている。駆動ボタン1からの信号により、エアタンク(図示せず)からの圧縮空気の供給及びシリンダー25の放出弁(図示せず)の開閉が行われ、エアシリンダー12が作動する。
ここで、駆動ボタン1の操作によって生じるエアシリンダー12の動作を説明する。運行中、運転士が鉄道車両10前方に障害物を視認し、駆動ボタン1を押すと、駆動ボタン1からの信号によりエアシリンダー12の放出弁(図示せず)が開きシリンダー25内の圧縮空気が放出弁から放出される。また、エアタンク(図示せず)の圧縮空気が後退用の空気供給口(図示せず)からシリンダー25内へ供給され、ピストンロッド26が後退し、エアシリンダー12が収縮する。
ブレーキハンドル2は、鉄道車両10を停止させるときに運転士によって押して操作される。また、鉄道車両10の前方に、突然、人、自動車又は列車などの障害物が現れた非常時には、非常ブレーキが作動するように、非常ブレーキ位置へハンドルが押される。ここで、ブレーキハンドル2によるブレーキの作動の一例を説明する。鉄道車両10の運転台には、図示しない、元空気溜めに繋がる元空気溜め管、ブレーキシリンダーに繋がるブレーキ管及び排気用の管が設けられている。運転士がブレーキハンドル2をブレーキ位置まで押すと、ブレーキ情報が伝達され、元空気溜め管とブレーキ管とを繋いだブレーキ弁が開き空気が逃がされる。これによって、ブレーキ管内が減圧になるが、予め圧力空気が蓄えられている補助空気溜めからブレーキシリンダーに圧縮空気が流れ込み、ブレーキシリンダー圧力が発生してブレーキがかかる。
連結器3は、連結器3の先端が鉄道車両10の先端よりも前方へ突出するように、鉄道車両10の床下端部に設けられている。また、鉄道車両10に設置された連結器3の後方には、連結した際の車両間の衝撃を緩和する図示しない緩衝装置が設けられていてもよい。連結器3によって、2列車の連結や故障等の緊急事態に車両同士を連結して推進や牽引することができる。なお、図4に示すように、衝撃吸収部材11が床8によって止められているときは、衝撃吸収部材11の先端が、連結器3の先端より前方に突出している。
警笛用ペダル5は、運転台50の下に設置されており、図示しない運転手によって踏んで操作される。警笛用ペダル5は、列車が駅を発車するときや危険を回避するときなどに踏まれる。警笛用ペダル5を踏むと、警笛音が鳴る。
扉6は、衝撃吸収装置100の前方に2枚配置されている。扉6は、鉄道車両10の前面にヒンジを介して取り付けられており、2枚の扉6で観音開き式を構成している。図2に示すように、衝撃吸収部材11が鉄道車両10内に収納されているときは、2枚の扉6が閉まっている。
床8には、基台31が取り付けられている。基台31は、床8の前端から少し後方の位置に設けられている。鉄道車両10内に収納された衝撃吸収部材11は、回転して床8の上に倒れ、基台31よりも前方に延在した床8によって衝撃吸収部材11の回転が止められる。
次に、本実施の形態の鉄道車両10の前方に、障害物が現れたときの衝撃吸収装置100の一連の動作を説明する。列車の運行中は、図2に示すように、衝撃吸収部材11が鉄道車両10内に収納されている。衝撃吸収部材11は、衝撃吸収部材11の長手方向が鉄道車両10の高さ方向に一致するように配設されている。また、エアシリンダー12が伸長している。スライドリンク22は、基台31に対して傾斜しており、ピン23によるスライドリンク22と回転リンク21との連結部が下がっている。
次に、衝撃吸収部材11を鉄道車両10内へ戻すときの衝撃吸収装置100の動作を説明する。運転室に乗車している運転士が、駆動ボタン1を押すと、駆動ボタン1からの信号によりエアシリンダー12のピストンロッド26がシリンダー25内を前進し、エアシリンダー12が伸長する。これによって、スライドリンク22及び回転リンク21が鉄道車両10の前方へ平行移動し、凹部21b及び凸部32bの嵌合が解除される(図5(c))。
続いて、上述の実施形態に係る衝撃吸収装置の変形例を説明する。図6(a)〜図6(f)は、本変形例による鉄道車両の側面図であり、衝撃吸収装置の周辺を示している。また、図6(a)〜図6(f)は衝撃吸収装置の動作を順に示している。なお、本発明の実施の形態と同様なものに関しては、同符号で示し説明を省略する。
筒体211の中空には、前方から順に、リンク212及びバネ210が挿入されている。筒体211は、取付台35によって基台31に固定されている。筒体211は、筒体211の長手方向が基台31に対して平行になるように(鉄道車両10の長手方向と一致するように)、配設されている。バネ210は、筒体211の長手方向に収縮し、リンク212を後方に付勢する。リンク212の先端は、スライドリンク22の後端に連結している。リンク212は、筒体211内を、バネ210の付勢力によって後退する。また、リンク212は、ワイヤー240によって前方へ引かれて前進する。
ワイヤー巻取り器220は、衝撃吸収部材14の上端の中央付近に配設されており、本変形例においては、ラチェット式のワイヤー巻取り器を用いている。ラチェット式のワイヤー巻取り器220は、ワイヤー240が巻回される巻回軸(図示せず)と、ラチェットギヤ(図示せず)と、ラチェットギヤのギヤ部に係合するラッチ爪(図示せず)と、巻回軸を回転させるハンドル(図示せず)とを有している。また、ハンドルに延設してレバー221が取り付けられている。レバー221を操作し、ワイヤー240を巻き付ける方向にハンドルを操作すると、巻回軸が回転し、ワイヤー240がワイヤー巻回軸に巻き付く。また、ワイヤー240がロックされた状態(ラチェットギヤのギヤ部にラッチ爪が係合した状態)から、レバー221を操作し、ワイヤー240を巻き解く方向へハンドルを操作すると、ラッチ爪がギヤ部から外れ、ワイヤー240が緩められる。
フタ250は、運転台50の下方に形成された開口251を塞ぐ。開口251は、ワイヤー巻取り器220が配設されている高さ(衝撃吸収部材14の上端)と同じ高さの位置に形成されている。フタ250を開くと、運転席と衝撃吸収装置200の設置された場所とが開口251によって通じる。ワイヤー巻取り器220に巻回軸にワイヤー240を巻き付けるときは、フタ250を開き、運転席からレバー221を操作する。
駆動ハンドル201とワイヤー巻取り器220との間は、ワイヤー230によって接続されている。ワイヤー230は、一端が駆動ハンドル201に接続しており、他端がレバー221に取り付けられている。ワイヤー230は、駆動ハンドル201からローラーによって向きを変えてレバー221まで延びている。
ワイヤー240は、一端がリンク212とスライドリンク22との連結位置に取り付けられており、ワイヤー巻取り器220の巻回軸に巻き付けられている。ワイヤー240は、リンク212とスライドリンク22との連結位置から鉄道車両10の長手方向に延び、ローラーによって向きを変えて、上方に延びており、衝撃吸収部材14の内部を通ってワイヤー巻取り器220の巻回軸に巻き付けられている。
本変形例の衝撃吸収装置200を鉄道車両10に設置した場合の衝撃吸収装置200の作動を説明する。運行中は、図6(a)に示すように、バネ210が伸長しており、リンク212が筒体211内から前方に突出している。
2 ブレーキハンドル
3 連結器
8 床
10 鉄道車両
11,14 衝撃吸収部材
12 エアシリンダー
13 平板
21 回転リンク
21a 開口
22 スライドリンク
32 軸
32b 凸部
201 駆動ハンドル
210 バネ
212 リンク
220 ワイヤー巻取り器
230,240 ワイヤー
100,200 衝撃吸収装置
Claims (6)
- 鉄道車両の前方に衝突する障害物の衝撃エネルギーを吸収する衝撃吸収装置において、
塑性変形することにより衝突時の衝撃エネルギーを吸収する長尺状の第1衝撃吸収部材と、
前記第1衝撃吸収部材の長手方向の一端を回転自在に支持する支持部材と、
前記支持部材の前方において前記車両の前方に向けて延在し、前記第1衝撃吸収部材の回転を停止させる第1ストッパーと、
前記第1ストッパーの延在方向に対して前記支持部材の位置を中心に所定角度をなす方向に延在した第2ストッパーと、
第2ストッパーによって停止した前記第1衝撃吸収部材が前記第1ストッパーによって停止するまで、前記第1衝撃吸収部材を前記支持部材によって支持された前記一端を中心に回転させる駆動機構とを備えていることを特徴とする衝撃吸収装置。 - 前記支持部材が、
前記第1衝撃吸収部材の回転の中心となる軸と、
前記第1衝撃吸収部材と前記駆動機構との間に接続され、前記軸を中心に回転する回転リンクとを有しており、
前記回転リンクには、前記軸が挿入された開口が形成されており、
前記軸の周面及び前記開口の内壁面の一方に凸部が形成されているとともに他方に凹部が形成されており、
回転した前記第1衝撃吸収部材が前記第1ストッパーによって止められたとき、前記凸部及び前記凹部が対向し、
前記開口の径が、前記軸の径及び前記凸部の高さの合計より大きいことを特徴とする請求項1に記載の衝撃吸収装置。 - 前記駆動機構が、
前記回転リンクを回転及び平行移動させる作動部材を有しており、
前記回転リンクを平行移動させることによって前記凸部と前記凹部とが互いに嵌合することを特徴とする請求項2に記載の衝撃吸収装置。 - 前記第2ストッパーが、鉛直方向に延在しており、
前記第2ストッパーによって前記第1衝撃吸収部材が停止したとき、前記第1衝撃吸収部材の下端が前記支持部材によって支持されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の衝撃吸収装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の衝撃吸収装置と、前記鉄道車両の前部に配設された第2衝撃吸収部材とを備えた鉄道車両において、
前記第2衝撃吸収部材は、前記第1衝撃吸収部材が前記第2ストッパーによって停止したときの前記第1衝撃吸収部材と前記第2ストッパーとの間に配設されていることを特徴とする鉄道車両。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の衝撃吸収装置と、前記車両の前方に突出するように設けられた連結器とをさらに備え、
前記駆動機構により回転した前記第1衝撃吸収部材が前記第1ストッパーによって停止したときの前記第1衝撃吸収部材の先端が、前記連結器の先端より前方に突出していることを特徴とする鉄道車両。
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