JP2010200644A - 食品製造装置及び方法 - Google Patents

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Kenzo Nanami
謙三 名波
Hideaki Yasumoto
秀明 安本
Kazuyoshi Nakakoji
和義 中小路
Masataka Sano
昌隆 佐野
Hiroki Miyamatsu
宏樹 宮松
Takami Yoshida
貴美 吉田
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Abstract

【課題】従来とは異なる風味を持つ緑茶を製造できる食品製造装置を提供すること。
【解決手段】生茶葉を常温超に加熱処理する処理ドラム8を有する食品製造装置であって、処理ドラム8は、被処理茶葉に接触する表面の少なくとも一部が白金から形成されてる。緑茶を製造する際の生茶葉の加熱時に白金を接触させることにより、加熱による酸化酵素の活性の低下は従来通り進行させた上で、茶葉の酸化反応の進行を抑制することに成功した。酸化反応を抑制することにより、生茶葉に含まれるカテキンなど酸化・変性し易い成分の変化を抑制することが可能になり、今までにない風味をもつ緑茶を提供することが可能になった。
【選択図】図1

Description

本発明は、茶葉などの食品原料を加工して緑茶などの食品を製造する食品製造装置に関する。
従来から、緑茶は広く嗜好性飲料として飲用されている。緑茶は茶の一種であり、発酵を行わないいわゆる不発酵茶に分類されている。緑茶の製造工程においては茶葉に含まれる酸化酵素の活性低下(殺青)のための加熱工程を有する。加熱工程では蒸製、釜炒製などの手法を採用する。蒸製にて製造を行う緑茶には、碾茶、玉露、かぶせ茶、煎茶、玉緑茶、番茶(普通番茶など)などがあり、釜炒製にて製造を行う緑茶には、玉緑茶、中国緑茶、番茶などがある。生茶葉に対して加熱工程により速やかに酸化酵素を失活させた後、粗揉、揉捻、中捻、精揉、乾燥などの工程により水分量を調節して荒茶としている。
ところで、近年、新たな緑茶製造方法が提案されている(特許文献1)。特許文献1に開示された発明においては高湿熱風を茶葉に噴出し、加熱工程を行う。
特開平10−286178号公報
上述したように、緑茶製造方法において加熱工程は必須であり、その工程の内容によって、製造される緑茶の品質が大きく変化することが予測される。例えば、生茶葉に含まれるカテキン類は加熱工程により重合反応や熱異性化等が進行し風味等が変化することが知られている。
カテキンが重合したり熱異性化すると、苦みが減少することが知られている。これらの反応を進行させることで苦みなどが低減された緑茶を提供することができる。特に、遅くなってから収穫される夏茶などでは苦みが増し、商品価値が低下する場合もあるが、加工方法の工夫により苦みを低減できるようにできれば、高い商品価値を保つことができることも考えられる。
本発明者らの検討の結果、酸化力が大気中よりも低い雰囲気下にて加熱工程を行うことにより、カテキン類のこれら反応の進行を遅らせることができることを見出した。
本発明は上記実情に鑑み完成したものであり、低酸化状態で加熱することにより、従来とは異なる特徴を持つ食品を製造することができる食品製造装置及び方法を提供することを解決すべき課題とする。
上記課題を解決する請求項1に係る食品製造装置の特徴は、
食品に至る前の食品原料を常温超に加熱処理する加熱装置を有する食品製造装置であって、
前記加熱装置は、前記食品原料を大気中よりも低酸化状態に一時的乃至永続的に保持する低酸化状態化手段をもつことにある。
上記課題を解決する請求項2に係る食品製造装置の特徴は、請求項1において、前記低酸化状態化手段は、前記食品原料に接触する表面の少なくとも一部が白金から形成されてる手段を備えることにある。
上記課題を解決する請求項3に係る食品製造装置の特徴は、請求項1又は2において、前記低酸化状態化手段は、体積平均粒径が1〜10nmの白金からなる貴金属微粒子を含む白金コロイド溶液を前記食品原料に噴霧する噴霧装置を備えることにある。
上記課題を解決する請求項4に係る食品製造装置の特徴は、請求項2又は3において、前記低酸化状態化手段は、高温加湿熱気を含む雰囲気下で前記食品原料を加熱する装置を備えることにある。
上記課題を解決する請求項5に係る食品製造装置の特徴は、請求項1〜3の何れか1項において、前記低酸化状態化手段は、白金に接触させて還元電位を低下させた水蒸気又は高温加湿熱気を含む雰囲気下で前記食品原料を加熱する装置を備えることにある。
上記課題を解決する請求項6に係る食品製造装置の特徴は、請求項1〜5の何れか1項において、前記食品原料は生茶葉で、前記食品は緑茶であり、
前記加熱装置は前記生茶葉の殺青処理を行う装置であることにある。
上記課題を解決する請求項7に係る食品製造装置の特徴は、請求項1〜6の何れか1項において、前記低酸化状態化手段は大気中よりも低酸素雰囲気にする手段であることにある。
上記課題を解決する請求項8に係る食品製造方法の特徴は、食品に至る前の食品原料を常温超に加熱処理する加熱工程を有する食品製造方法であって、
前記加熱工程は、前記食品原料を大気中よりも低酸化状態に一時的乃至永続的に保持する低酸化状態化工程をもつことにある。
上記課題を解決する請求項9に係る食品製造方法の特徴は、請求項8において、前記低酸化状態化工程は、前記食品原料に白金を接触させる接触工程を備えることにある。
上記課題を解決する請求項10に係る食品製造方法の特徴は、請求項8又は9において、前記低酸化状態化工程は体積平均粒径が1〜10nmの白金からなる貴金属微粒子を含む白金コロイド溶液を前記食品原料に噴霧する噴霧工程を備えることにある。
上記課題を解決する請求項11に係る食品製造方法の特徴は、請求項9又は10において、前記低酸化状態化工程は、高温加湿熱気を含む雰囲気下で前記食品原料を加熱する工程を備えることにある。
上記課題を解決する請求項12に係る食品製造方法の特徴は、請求項8〜10の何れか1項において、前記低酸化状態化工程は、白金に接触させて還元電位を低下させた水蒸気又は高温加湿熱気を含む雰囲気下で前記食品原料を加熱する工程を備えることにある。
上記課題を解決する請求項13に係る食品製造方法の特徴は、請求項8〜12の何れか1項において、前記食品原料は生茶葉で、前記食品は緑茶であり、
前記加熱工程は前記生茶葉の殺青工程であることにある。
上記課題を解決する請求項14に係る食品製造方法の特徴は、請求項8〜13の何れか1項において、前記低酸化状態化工程は、大気中よりも低酸素雰囲気にて前記食品原料を加熱する工程であることにある。
請求項1、8に記載の発明によれば、緑茶などの食品を製造する際の生茶葉などの食品原料の加熱時に低酸化状態にすることにより好ましい風味を得ることができる。例えば生茶葉に対する加熱による酸化酵素の活性の低下は従来通り進行させた上で、茶葉の酸化反応の進行を抑制することに成功した。酸化反応を抑制することにより、生茶葉に含まれるカテキンなど酸化・変性し易い成分の変化を抑制することが可能になり、今までにない風味をもつ緑茶を提供することが可能になった。ここで、本明細書中における「低酸化状態」とは酸化還元電位により規定できる状態であり、酸素濃度を低くすることにより達成される状態、白金などの還元作用をもつ物質により達成される状態などが例示できる。
請求項2、3、9、10に記載の発明によれば、食品を製造する際の食品原料の加熱時に白金を接触させることにより、効率的に低酸化状態にすることができる。特に、請求項4、11に記載の発明のように、加熱時に更に高温加湿熱気を導入することで更に酸化を抑制できる。また、熱容量が大きい高温加湿熱気により加熱を行うことにより、迅速に加熱処理を行うことが可能になって、長時間の加熱による熱変性を抑制できる。
請求項5、12に記載の発明によれば、加熱時に水蒸気又は高温加湿熱気を用いる場合、その水蒸気又は高温加湿熱気を白金に接触させて還元電位を低下させることにより、加熱による熱変性(生茶葉における酸化酵素の活性の低下など)は従来通り進行させた上で、食品原料の酸化反応の進行を抑制することに成功した。緑茶の製造に適用すると、酸化反応を抑制することにより、生茶葉に含まれるカテキンなど酸化・変性し易い成分の変化を抑制することが可能になり、今までにない風味をもつ緑茶を提供することが可能になった。
請求項6、13に記載の発明によれば、加熱による影響を最も受ける殺青時に白金と接触させることにより、酸化反応の進行を抑制しながら酸化酵素の活性を低下できる。
請求項7、14に記載の発明によれば、酸素濃度が低い状態で加熱を行うことにより、酸素による酸化反応の進行を抑制できる。
実施例で用いた高温加湿熱気生成装置及び処理ドラムの概略を示す模式図である。
本発明の食品製造装置及び方法について実施形態に基づき、以下詳細に説明を行う。
本実施形態の食品製造方法は生茶葉から緑茶を製造する途中において行われる加熱時に特徴を有する発明を例に挙げて説明を行う。他に適用できる食品原料としては特に限定されない。例えば食品原料、その食品原料から製造される最終的な製品としては、野菜(漬け物)、果物(干しレーズンなど)、魚介類(干物、シラス干し、鰹節など)、肉類(燻製など)などが挙げられる。加熱は生茶葉などの食品原料を常温よりも高い温度に加熱することにより行う。生茶葉に対しての加熱は、主に、含まれる酸化酵素などの酵素を失活させたり、乾燥させるために行う。
本実施形態の食品製造装置及び方法においては、雰囲気を大気中よりも低い酸化状態にする低酸化状態化手段(工程)を有する。ここで、低酸化状態とは、大気中よりも酸化力が低い状態であり、望ましくは還元雰囲気である。つまり、緑茶の製造時において、酸素の存在下で変化したり、酸素による酸化反応による変質が進行することが推測されるため、加熱工程を低酸素雰囲気下にて行うことが望ましいと考えられる。ここで、加熱工程を低酸素雰囲気下にて行うためには装置全体の気密性を向上する必要があり、コストが高くなる原因になるため、他の手法も案出した。
また、低酸素雰囲気下にて加熱工程を行っても前述の反応はある程度、影響することが予想されるため、何らかの方法にて反応の進行に影響を与えないことで従来にない緑茶を提供できるものと考えられる。蒸製においては長時間にわたり、蒸気の存在下、加熱を行うことにより、殺青を行っているが、特許文献1に記載の方法のように、過熱蒸気の存在下、高い温度にて加熱工程を行う方法を組み合わせることにより、前述の反応への酸素の影響を抑制しつつ、風味の高い緑茶を製造することができるものと考えた。例えば、釜炒り製による緑茶製造の1つとして中国において行われている製造方法では300℃以上の温度で一気に加熱する方法が採用されており、殺青と同時に風味付けも行われている。このような高温での処理を低酸化条件にて行うことができれば今までにない緑茶を提供することができる。
低酸化状態化手段(工程)としては以下に述べる4つの形態が例示できる。
(第1形態)
本形態の食品製造装置及び方法では緑茶に至る前の茶葉(本明細書中においては被処理茶葉と称する)を加熱する際に白金に接触させる。接触させる白金は加熱装置の内部に配設することができる。なお、本明細書において「白金」とは白金の単体のほか他の金属との合金も含む。他の金属としてはロジウム、パラジウムなどの触媒作用をもつ貴金属の他、金、銀などの貴金属、鉄、ニッケルなどが挙げられる。加熱装置としては高温加湿熱気や水蒸気にて被処理茶葉を加熱する装置や、加熱後の被処理茶葉を撹拌したり揉んだりする装置が挙げられる。つまり、熱源により加熱を行わなくても被処理茶葉の温度が常温超になる装置であれば加熱装置に含む。ここで、常温とは25℃などが挙げられる。特に、生茶葉に対して殺青を行う際に白金に接触させるようにすることが望ましい。ここで、好ましい加熱温度としては150℃以上の温度(望ましくは200℃以上)を採用することが望ましい。白金の存在下ではこのような高温反応への望ましくない影響が抑制できる。特に、高温加湿熱気により加熱することで、加熱源の熱容量を向上できる上に、高温加湿熱気により雰囲気ガスが置換されるために、酸素濃度を低下させることができる。加熱温度の上限としては400℃、380℃、350℃が望ましい。
ここで、「高温加湿熱気」とは100℃超の温度で、水分を含む気体である。水分の含有量は特に限定しないが、略飽和状態(水分100%)〜未飽和状態(0%超)の気化した水分を含むことができる。そして、温度が100℃超、380℃以下で、絶対湿度が0.05kg/kg超(より好ましくは0.3kg/kg超、更に好ましくは0.5kg/kg超)であるような雰囲気であることが好ましい。
加熱装置における被処理茶葉を収納する空間を区画する内壁に白金を付着させたり、粗捻、揉捻などの揉みを行う揉み部材の表面に白金を付着させても良い。白金を付着させる方法としては金属状態の白金が露出するようにする以外は特に限定しない。例えば、部材の全体又は一部を白金にて形成したり、めっきやスパッタリングなどを部材の表面に対し行ったりすることができる。また、白金の形態は比表面積を大きくして白金の使用量を減らすために、微粒子状の形態を採用することができる。例えば、ナノメートルからマイクロメートルオーダーの微粒子とした白金をそのまま、又は、何らかの担体に担持させた状態のものにて被覆することができる。何らかの担体としてはセラミックス(微粒子状が望ましい)や、フッ素樹脂が例示できる。例えば、体積平均粒径が1〜10nmの白金からなる貴金属微粒子とコロイド化剤とを分散した分散液中に体積平均粒径が10μm以下程度のセラミックス微粒子を浸漬した後、焼成することにより白金コロイド担持セラミックス微粒子を得ることができる。セラミックスとしては特に限定されず、シリカ、アルミナなどが例示できる。また、フッ素樹脂中に白金コロイドを界面活性剤と共に分散させて成形することにより、内部に白金コロイドが分散した白金コロイド分散フッ素樹脂が得られる。フッ素樹脂はポーラスであるため、内部に分散した白金コロイドを作用させることができる。更に、フッ素樹脂中に白金担持セラミックスを分散させた白金担持セラミックス分散フッ素樹脂を採用することもできる。
(第2形態)
本形態の食品製造装置及び方法では被処理茶葉を加熱する際に、体積平均粒径が1〜10nmの白金からなる貴金属微粒子を含む白金コロイド溶液を被処理茶葉に噴霧する。加熱装置については基本的に第1形態と同様の構成を採用することができるため説明を省略する。特に、生茶葉に対して殺青を行う前に、又は、殺青を行うと同時に、白金に接触させるようにすることが望ましい。
白金コロイド溶液としては体積平均粒径が1〜10nmの白金からなる貴金属微粒子とコロイド化剤とを分散した分散液である。コロイド化剤としてはいわゆる増粘剤、界面活性剤、カルボキシ基を化学構造中に含むカルボキシ基含有化合物が例示できる。コロイド化剤としては、ポリアクリル酸(塩を含む、例えばNa塩、K塩)、ポリメタクリル酸(塩を含む、例えばNa塩、K塩)、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリビニルピロリドン(特に、ポリ−1−ビニル−2−ピロリドン)、ポリビニルアルコール、アミノペクチン、ペクチン、メチルセルロース、メチルスロース、グルタチオン、シクロデキストリン、ポリシクロデキストリン、ドデカンチオール、有機酸(クエン酸などのヒドロキシカルボン酸)、グリセリン脂肪酸エステル(ポリソルベート)、カチオン性ミセル−臭化セチルトリメチルアンモニウム、界面活性剤(アニオン性、カチオン性、両性、ノニオン性)、アルキル硫酸エステルのアルカリ金属塩、それらの混合物が例示できる。コロイド化剤がカルボキシ基含有化合物である場合は貴金属微粒子に対して、カルボキシ基のモル数が白金のモル数を基準として80〜180程度になるように含有させることが望ましい。コロイダルシリカの含有量としては固形分の質量が全体を基準として10質量%以上50質量%以下にすることが望ましく、10質量%以上30質量%以下にすることがより望ましい。コロイダルシリカは粒径が1nm〜1μm程度のものをいう。分散媒としては水、アルコール(エタノールなど)などが例示できる。
白金コロイド溶液を噴霧する方法としては特に限定されず、通常の方法が採用できる。例えば、噴霧ノズルを設け、適正量を吐出する方法が採用できる。白金コロイド溶液を噴霧する量としては特に限定しないが、処理の全工程において生茶葉1kgあたり、白金の質量が1μg〜100μg程度になるように添加可能である。
白金コロイド溶液には殺菌剤を添加することができる。茶葉中に存在する微生物が問題になりうる場合に適正な種類・量の殺菌剤を添加できる。
(第3形態)
本形態の食品製造装置及び方法は高温加湿熱気又は水蒸気を被処理茶葉に送出・接触させて加熱する加熱装置に適用される。温度などの具体的な加熱条件としては第1形態と同様の条件を採用することもできる。
被処理茶葉に接触させる前の高温加湿熱気又は水蒸気に対し、白金を接触させることにより、高温加湿熱気又は水蒸気の還元電位を低下させるものである。例えば、セラミックスにて形成した多孔質体、ハニカム体などの水蒸気が透過可能な基材の表面に白金ナノコロイドを担持させた白金担持セラミックスに対して高温加湿熱気又は水蒸気を通過させることにより還元電位を低下させることができる。また、高温加湿熱気又は水蒸気を発生させる発生装置や、高温加湿熱気又は水蒸気を導く配管の内壁の一部乃至全部に白金を露出させることにより還元電位を低下させることができる。内壁に白金を露出させる方法としてはフッ素樹脂中に分散させた白金コロイド分散フッ素樹脂や、白金担持セラミックスをフッ素樹脂中に分散させた白金担持セラミックス分散フッ素樹脂を用いることもできる。
(第4形態)
本形態の食品製造装置及び方法では被処理茶葉を加熱する際に、酸素濃度を低下させる。加熱装置については基本的に第1形態と同様の構成を採用することができるため説明を省略する。特に、生茶葉に対して殺青を行う前に、又は、殺青を行うと同時に、低酸素雰囲気とすることが望ましい。低酸素雰囲気とは大気中の酸素濃度よりも低いことを意味する。好ましい酸素濃度の上限としては20%、17%、15%、10%などが採用できる。下限については得られる緑茶の品質からの制限はないが、低酸素雰囲気下にするコスト低減の観点からは5%程度にすることが望ましい。
酸素濃度を低下させる方法としては特に限定しないが、不活性ガス(窒素、アルゴンなど)を加える方法や、酸素ガスを除く方法、高温加湿熱気又は水蒸気を供給するときに隙間などを無くして大気中の酸素が混入しないようにする方法などが考えられる。
(付記)
なお、これら第1〜第4形態は任意に組み合わせることができる。また、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩の水溶液を噴霧しながら、加熱工程を行うこともできる。
図1に示す高温加湿熱気発生装置10にて発生した高温加湿熱気を処理ドラム8中に入れた被処理茶葉に供給することにより加熱処理を行った。高温加湿熱気発生装置10は炉本体1と高圧水噴射ノズル2とガスバーナ3と耐熱ブロア4と高圧水ポンプ5と貯水槽6とを有する。高圧水ポンプ5により貯水槽6内に貯留されている水を高圧水噴射ノズル2に供給している。高圧水噴射ノズル2は炉本体1内に高圧水を噴射する。噴射された高圧水は炉本体1内に噴霧される。炉本体1内にはガスバーナ3からの炎が形成される。この炎により熱にて高圧水は気化し高温加湿熱気になる。気化しない高圧水は炉本体1の下部に貯まり、貯まった水は炎の熱により気化するが、水面調節装置7により一定以上の量に貯まらないように貯水槽6に戻される。炉本体1内にて生成した高温加湿熱気は耐熱ブロア4にて処理ドラム8に導入される。その時の高温加湿熱気の温度を温度センサ41にて測定し、目的の温度になるようにガスバーナ3を調節して炎の大きさを制御する。
そして、表面に白金コロイド分散フッ素樹脂を塗布したアルミニウム板(45cm×5cm、厚み3mm)を用意した。白金コロイドを5質量%含有する白金コロイド分散フッ素樹脂を3μmの厚みで塗布したもの(白金含有プレートA)15枚と、10μmの厚みで塗布したもの(白金含有プレートB)15枚との計30枚用意し、適宜、使用した。
加熱処理条件としては生茶葉を160℃〜180℃程度の高温加湿熱気で所定時間処理した後、連続揉捻機で処理し試験試料とした。
その他の試験条件は以下の通りである。
試料1としては、貯水槽6内に白金含有プレートAを5枚浸漬し、且つ、処理ドラム8内の高温加湿熱気が直接当たる部分にそれぞれ2枚ずつ計4枚配設し、166℃の高温加湿熱気を10分間導入した後、連続揉捻機にて処理した。高温加湿熱気を導入している際の処理ドラム8内の酸素濃度は17.2%であった。
試料2としては、貯水槽6内に白金含有プレートAを5枚浸漬した上で、貯水槽6内の水に対し白金濃度が2μg/Lになるように白金ナノコロイド(白金含有量20μg/0.1g:白金微粒子の体積平均粒径5μm、コロイド化剤:クエン酸)を添加し、且つ、処理ドラム8内の高温加湿熱気が直接当たる部分にそれぞれ2枚ずつ計4枚配設し、166℃の高温加湿熱気を10分間導入した後、連続揉捻機にて処理した。高温加湿熱気を導入している際の処理ドラム8内の酸素濃度は17.2%であった。なお、貯水槽6内の水の還元電位は535mVであった(白金含有プレートAを入れる前は662mV)。
試料3としては、処理ドラム8内に174℃の高温加湿熱気を10分間導入した後、連続揉捻機にて処理した。高温加湿熱気を導入している際の処理ドラム8内の酸素濃度は17.1%であった。
試料4としては100℃の水蒸気にて処理を行った(通常の煎茶相当)。
(試験1:緑茶中の成分分析)
それぞれの試験試料を粉末化し、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートの含有量を測定した。更に、pH、茶葉1g当たりのカテキン量、クロロフィル分析(波長700nmにおける吸光度)を行った。測定した試料はミルにて粉砕したものとし、その粉末中に含まれるカテキン類の総量及び個別のカテキンの含有量から組成比を測定した。
結果を表1に示す。
Figure 2010200644
表1より明らかなように、白金を被処理茶葉に接触させたり(試料1及び2)、白金に接触させて還元電位が下がった水にて高温加湿熱気を生成して用いた場合(試料2)については白金を用いずに高温加湿熱気とした場合(試料3)に比べてカテキン量(カテキン類の和)が多くなると共に、各カテキン類の構成比も変化した。具体的にはカテキン類中の苦味成分であるガレートタイプの存在比が試料3及び4に比べて試料1及び2では明らかに小さくなっており、苦味を低減できることが判った。また、pHの値も変化した。
従って、被処理茶葉を処理する際に白金を用いることにより今までにない新たな成分比をもつ緑茶を得ることができる。
(試験2:各試験試料から調製した緑茶飲料中の成分分析)
試料3、2、及び4について以下の試験を行った。更に試料5としては市販の緑茶(新茶:煎茶)を用いて試験を行った。
それぞれの試験試料を8g取り出し、80℃のお湯300mL中に5分間浸漬した抽出液に対してエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレートの含有量を測定した。そして、カテキンの合計量を算出し、ガレートの含有割合及びカテキンの含有割合を算出した。それぞれの抽出液のpH及び還元電位も測定した。原水のpHは7.35、還元電位は188mV、80℃のお湯のpHは8.55、還元電位は145mVであった。
結果を表2に示す。
Figure 2010200644
表2より明らかなように、白金に接触させて還元電位が下がった水にて高温加湿熱気を生成して用いた場合(試料2)については白金を用いずに高温加湿熱気とした場合(試料1)に比べてカテキン及びガレートの双方の含有量が少なくなると共に、各カテキン類の構成比も変化した。具体的にはカテキン類中の苦味成分であるガレートタイプの存在比が試料3、4及び5に比べて試料2では明らかに小さくなっており、苦味を低減できることが判った。また、還元電位及びpHの値も変化した。
従って、被処理茶葉を処理する際に白金を用いることにより今までにない新たな成分比をもつ緑茶を得ることができる。なお、それぞれの試料から抽出した茶葉について官能試験を行ったところ、外観、風味などにおいて明らかな差異が認められた。
10…高温加湿熱気生成装置
1…炉本体
2…高圧水噴射ノズル
3…ガスバーナ
4…耐熱ブロア
5…高圧水ポンプ
6…貯水槽
7…水面調節装置
8…処理ドラム(加熱装置)

Claims (14)

  1. 食品に至る前の食品原料を常温超に加熱処理する加熱装置を有する食品製造装置であって、
    前記加熱装置は、前記食品原料を大気中よりも低酸化状態に一時的乃至永続的に保持する低酸化状態化手段をもつことを特徴とする食品製造装置。
  2. 前記低酸化状態化手段は、前記食品原料に接触する表面の少なくとも一部が白金から形成されてる手段を備える請求項1に記載の食品製造装置。
  3. 前記低酸化状態化手段は、体積平均粒径が1〜10nmの白金からなる貴金属微粒子を含む白金コロイド溶液を前記食品原料に噴霧する噴霧装置を備える請求項1又は2に記載の食品製造装置。
  4. 前記低酸化状態化手段は、高温加湿熱気を含む雰囲気下で前記食品原料を加熱する装置を備える請求項2又は3に記載の食品製造装置。
  5. 前記低酸化状態化手段は、白金に接触させて還元電位を低下させた水蒸気又は高温加湿熱気を含む雰囲気下で前記食品原料を加熱する装置を備える請求項1〜3の何れか1項に記載の食品製造装置。
  6. 前記食品原料は生茶葉で、前記食品は緑茶であり、
    前記加熱装置は前記生茶葉の殺青処理を行う装置である請求項1〜5の何れか1項に記載の食品製造装置。
  7. 前記低酸化状態化手段は大気中よりも低酸素雰囲気にする手段である請求項1〜6の何れか1項に記載の食品製造装置。
  8. 食品に至る前の食品原料を常温超に加熱処理する加熱工程を有する食品製造方法であって、
    前記加熱工程は、前記食品原料を大気中よりも低酸化状態に一時的乃至永続的に保持する低酸化状態化工程をもつことを特徴とする食品製造方法。
  9. 前記低酸化状態化工程は、前記食品原料に白金を接触させる接触工程を備える請求項8に記載の食品製造方法。
  10. 前記低酸化状態化工程は体積平均粒径が1〜10nmの白金からなる貴金属微粒子を含む白金コロイド溶液を前記食品原料に噴霧する噴霧工程を備える請求項8又は9に記載の食品製造方法。
  11. 前記低酸化状態化工程は、高温加湿熱気を含む雰囲気下で前記食品原料を加熱する工程を備える請求項9又は10の何れか1項に記載の食品製造方法。
  12. 前記低酸化状態化工程は、白金に接触させて還元電位を低下させた水蒸気又は高温加湿熱気を含む雰囲気下で前記食品原料を加熱する工程を備える請求項8〜10の何れか1項に記載の食品製造方法。
  13. 前記食品原料は生茶葉で、前記食品は緑茶であり、
    前記加熱工程は前記生茶葉の殺青工程である請求項8〜12の何れか1項に記載の食品製造方法。
  14. 前記低酸化状態化工程は、大気中よりも低酸素雰囲気にて前記食品原料を加熱する工程である請求項8〜13の何れか1項に記載の食品製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013034405A (ja) * 2011-08-04 2013-02-21 Terada Seisakusho Co Ltd 茶葉熱風殺青装置

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