JP2010197672A - 表示素子 - Google Patents

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修 石毛
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Abstract

【課題】低電圧での駆動が可能で、繰り返し駆動の安定性に優れた表示素子を提供する。
【解決手段】透明電極と対向電極からなる一対の対向する電極間に、金属塩化合物を含有した電解質層を有する表示素子において、該電解質層に、炭素原子1個若しくは2個を介した位置に2つのカルボニル基が存在する部分構造を持った繰り返し単位を有するポリマーを含有することを特徴とする表示素子。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な電気化学的な表示素子に関するものである。
近年、パーソナルコンピューターの動作速度の向上、ネットワークインフラの普及、データストレージの大容量化と低価格化に伴い、従来紙への印刷物で提供されたドキュメントや画像等の情報を、より簡便な電子情報として入手、電子情報を閲覧する機会が益々増大している。
この様な電子情報の閲覧手段として、従来の液晶ディスプレイやCRT、また近年では、有機ELディスプレイ等の発光型が主として用いられているが、特に、電子情報がドキュメント情報の場合、比較的長時間にわたってこの閲覧手段を注視する必要があり、これらの行為は必ずしも人間に優しい手段とは言い難く、一般に発光型のディスプレイの欠点として、フリッカーで目が疲労する、持ち運びに不便、読む姿勢が制限され、静止画面に視線を合わせる必要が生じる、長時間読むと消費電力が嵩む等が知られている。
これらの欠点を補う表示手段として、外光を利用し、像保持の為に電力を消費しない、いわゆる「メモリー性」を有する反射型ディスプレイが知られているが、下記の理由で十分な性能を有しているとは言い難い。
すなわち、反射型液晶等の偏光板を用いる方式は、反射率が約40%と低いため白表示に難があり、また構成部材の作製に用いる製法の多くは簡便とは言い難い。また、ポリマー分散型液晶は高い電圧を必要とし、また有機物同士の屈折率差を利用しているため、得られる画像のコントラストが十分でない。また、ポリマーネットワーク型液晶は電圧高いことと、メモリー性を向上させるために複雑なTFT回路が必要である等の課題を抱えている。また、電気泳動法による表示素子は、10V以上の高い電圧が必要となり、電気泳動性粒子凝集による耐久性に懸念がある。
これら上述の各方式の欠点を解消する表示方式として、金属または金属塩の溶解析出を利用するエレクトロデポジション方式(以下、ED方式と略す)が知られている。ED方式は、3V以下の低電圧で駆動が可能で、簡便なセル構成、黒と白のコントラストや黒品質に優れる等の利点があり、様々な方法が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
ED方式、特に金属塩として銀塩化合物を用いたED方式では、銀塩化合物の溶解を促進する目的で、メルカプトアゾール系の化合物を用いることが知られている(銀塩溶剤)。しかしながら一般に銀塩化合物は、溶解性が低く、銀塩溶剤と組み合わせて用いても、表示素子中で析出等が生じやすく、例えば繰り返し駆動を行った場合、電極上に難溶性の物質が析出し、表示品質を劣化させていた。
一方、電解質層の電解質層にブチラール系の樹脂或いはエチレンオキシド系の樹脂や分子量1000以下のゲル化剤を添加し、電解質を擬固体化する技術が知られている(例えば、特許文献4〜7参照)。しかしながら本発明者らの検討によると、これらポリマーを添加した表示素子でも、繰り返し駆動を行った場合、電極上に難溶性の物質が析出し、表示品質を劣化させていた。このようにED方式の耐久性を向上する上で、電解質の溶解性は重要な課題と考えられるが、未だ有効な技術は未だ見出されておらず、改善が望まれていた。
米国特許第4,240,716号明細書 特許第3428603号公報 特開2003−241227号公報 特許第3623050号公報 特開昭57−143356号公報 特開2004−309946号公報 特開平11−185836号公報
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、低電圧での駆動が可能で、繰り返し駆動の安定性に優れた表示素子を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.透明電極と対向電極からなる一対の対向する電極間に、金属塩化合物を含有した電解質層を有する表示素子において、該電解質層に、炭素原子1個若しくは2個を介した位置に2つのカルボニル基が存在する部分構造を持った繰り返し単位を有するポリマーを含有することを特徴とする表示素子。
2.前記、炭素原子1個若しくは2個を介した位置に2つのカルボニル基が存在する部分構造が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位であることを特徴とする前記1に記載の表示素子。
Figure 2010197672
〔式中、Lは置換基を有しても良いメチレン基、エチレン基、o−フェニレン基を表し、Xは、−O−、又は、>NRを表す。Rは水素原子、アルキル基、若しくは、アリール基を表す。〕
3.前記金属塩化合物が、銀塩化合物であることを特徴とする前記1又は2に記載の表示素子。
4.前記電解質層中にイオン性液体を含有することを特徴とする、前記1〜3のいずれか1項に記載の表示素子。
本発明により、低電圧での駆動が可能で、繰り返し駆動の安定性に優れた表示素子を提供することができた。
本発明を更に詳しく説明する。
〔表示素子の基本構成〕
本発明の表示素子においては、表示側の透明電極及び対向電極からなる一対の対向する電極が設けられている。透明電極にはITO電極等の透明な電極、対向電極には導電性の電極が設けられている。透明電極と対向電極との間に、本発明に係わる金属塩化合物と、炭素原子1個若しくは2個を介した位置に2つのカルボニル基が存在する部分構造を持った繰り返し単位を有するポリマー(以下、本発明のポリマーと称する)を含有した電解質層を有し、対向電極間に正負両極性の電圧を印加することにより、白表示と黒表示を可逆的に切り替えることができる。
<電解質組成物>
〔本発明のポリマー〕
本発明のポリマーは、前記金属塩の溶解を促進し、金属イオンを安定化する目的で用いられる。本発明のポリマーの構造的特徴は、炭素原子1個若しくは2個を介した位置に2つのカルボニル基が存在する部分構造を持った繰り返し単位を有する事にある。
該部分構造を有することにより、2つのカルボニル基と金属カチオンとの間に強い相互作用が働き、金属塩の解離、溶解を促進すると同時に金属イオンの安定化が図られる。その詳細については不明であるが、ジオクチルフタレートと銀イオンの間には、下記のような相互作用が働く事が知られており、本発明においても、同様な形で金属イオンが安定化されていると思われる。
Figure 2010197672
従って、本発明においては例えばポリアルキレンo−フタレートのように、ポリマー主鎖中に前記部分構造を有するポリマーであっても良く、側鎖に前記部分構造を有するポリマー(例えばポリ(メタ)アクリレートのエステル部分にフタル酸エステル構造を有するようなポリマー)であっても良い。
後者の例としては、例えば下記に示すようなモノマーの重合によって得られるポリマーが挙げられる。
Figure 2010197672
本発明のポリマーとしては、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーである事が好ましい。
一般式(1)において、Lは置換基を有しても良いメチレン基、エチレン基、o−フェニレン基を表し、Xは、−O−、又は、>NRを表す。Rは水素原子、アルキル基、若しくは、アリール基を表す。
Lで示される基が置換基を有するメチレン若しくはエチレンを表す場合、それら置換基が互いに連結して環状構造をとっても良い。
一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーとしては、例えば下記に示すようなモノマーとジオール類、或いはジアミン類との重縮合によって合成する事が出来る。
Figure 2010197672
前記ジオールとしては、同一分しないに2個の水酸基を有する化合物であれば、特に制限は無く、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
前記ジアミンとしては、同一分しないに2個のアミノ基を有する化合物であれば、特に制限は無く、例えばジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、m−キシリジンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル等が挙げられる。
〔金属塩化合物〕
本発明に係る金属塩化合物とは、対向電極上の少なくとも1方の電極上で、該対向電極の駆動操作で、溶解・析出を行うことができる金属種を含む塩であれば、如何なる化合物であってもよい。好ましい金属種は、銀、ビスマス、銅、ニッケル、鉄、クロム、亜鉛等であり、特に好ましいのは銀、ビスマスであり、銀が最も好ましい。
〔銀塩化合物〕
本発明に係る銀塩化合物とは、銀または、銀を化学構造中に含む化合物、例えば、酸化銀、硫化銀、金属銀、銀コロイド粒子、ハロゲン化銀、銀錯体化合物、銀イオン等の化合物の総称であり、固体状態や液体への可溶化状態や気体状態等の相の状態種、中性、アニオン性、カチオン性等の荷電状態種は、特に問わない。
本発明の表示素子においては、AgBF、AgClO、(CFSON・Ag、ヨウ化銀、塩化銀、臭化銀、酸化銀、硫化銀、クエン酸銀、酢酸銀、ベヘン酸銀、p−トルエンスルホン酸銀、トリフルオロメタンスルホン酸銀、メルカプト類との銀塩、イミノジ酢酸類との銀錯体、等の公知の銀塩化合物を用いることができる。これらの中では、AgBF、AgClO、(CFSON・Ag、トリフルオロメタンスルホン酸銀が好ましい。
本発明に係る電解質に含まれる金属イオン濃度は、0.2モル/kg≦[Metal]≦2.0モル/kgが好ましい。金属イオン濃度が0.2モル/kg以上であれば、十分な濃度の銀溶液となり所望の駆動速度を得ることができ、2モル/kg以下であれば析出を防止し、低温保存時での電解質液の安定性が向上する。
〔有機溶媒〕
本発明に係る電解質には、有機溶媒を併用してもよい。有機溶媒としては沸点が120〜300℃の範囲にあることが好ましく、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチルラクトン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ブチロニトリル、プロピオニトリル、アセトニトリル、アセチルアセトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ブタノール、1−ブタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、無水酢酸、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ジメトキシエタン、ジエトキシフラン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリクレジルホスフェート、2エチルヘキシルホスフェート、ジオクチルフタレート、ジオクチルセバケート等を挙げることができる。
[支持電解質]
本発明において用いられる支持電解質としては、電気化学の分野又は電池の分野で通常使用される塩類、酸類、アルカリ類が使用できる。
塩類としては、特に制限はなく、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩;4級アンモニウム塩;環状4級アンモニウム塩;4級ホスホニウム塩などが使用できる。
塩類の具体例としては、ハロゲンイオン、SCN、ClO 、BF 、CFSO 、(CFSO、(CSO、PF 、AsF 、CHCOO、CH(C)SO 、および(CSOから選ばれる対アニオンを有するLi塩、Na塩、あるいはK塩が挙げられる。
またハロゲンイオン、SCN、ClO 、BF 、CFSO 、(CFSO、(CSO、PF 、AsF 、CHCOO、CH(C)SO 、および(CSOから選ばれる対アニオンを有する4級アンモニウム塩、具体的には、(CHNB・F、(CN・BF、(n−CH9)N・BF、(CN・Br、(CN・ClO、(n−CN・ClO、CH(CN・BF、(CH(CN・BF、(CHN・SOCF、(CN・SOCF、(n−CN・SOCF、さらには、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2010197672
またハロゲンイオン、SCN、ClO 、BF 、CFSO 、(CFSO、(CSO、PF 、AsF 、CHCOO、CH(C)SO 、および(CSOから選ばれる対アニオンを有するホスホニウム塩、具体的には、(CHP・BF、(CP・BF、(CP・BF、(CP・BF等が挙げられる。また、これらの混合物も好適に用いることができる。
本発明の支持電解質としては4級アンモニウム塩若しくはリチウム塩が好ましく、特にリチウム塩が好ましい。また対アニオンとしてはClO 、BF 、CFSO 、(CSO、PF が好ましく、特にBF 、(CSOが好ましい。
電解質塩の使用量は任意であるが、一般的には、電解質塩は溶媒中に上限としては20M以下、好ましくは10M以下、さらに好ましくは5M以下存在していることが望ましく、下限としては通常0.01M以上、好ましくは0.05M以上、さらに好ましくは0.1M以上存在していることが望ましい。
〔イオン性液体〕
イオン性液体は常温溶融塩とも言われ、融点が100℃以下の塩である。この塩は同数のカチオンとアニオンから構成されており、分子構造によって融点が室温以下の物質も数多く存在し、これらは溶媒をまったく加えなくても室温で液体状態である。イオン性液体は、強い静電的な相互作用をもっているため蒸気圧がほとんどないことが大きな特徴であり、高温でも蒸発がなく揮発しない。
本発明においては、電解質層にイオン性液体を添加する事により、繰り返し駆動をした際に析出する難溶性化合物が更に低減される傾向があり、好ましい。
本発明で用いるイオン性液体とは、式Qで表され、20〜100℃、好ましくは20〜80℃、より好ましくは20〜60℃、さらに好ましくは20〜40℃、特に20℃で液体として存在する塩のことを指し、粘度(25℃)は、常温で融体である限り特に制限されないが、好ましくは1〜200mPa・sである。さらに、式中Qで表されるカチオン成分はオニウムカチオンが好ましく、さらに好ましくはアンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、スルホニウムカチオン及びホスホニウムカチオンである。Qとしては置換基を有しても良いテトラアルキルアンモニウムが最も好ましい。
〔金属塩溶剤化合物(銀塩溶剤)〕
本発明に於いては金属塩(特に銀塩)の溶解析出を促進するために、銀塩溶剤を用いることができる。銀塩溶剤とは、電解質中で銀を可溶化できる化合物であればいかなる化合物であってもよい。例えば、銀と配位結合を生じさせたり、銀と弱い供給結合を生じさせるような、銀と相互作用を示す化学構造種を含む化合物等と共存させて、銀または銀を含む化合物を可溶化物に変換する手段を用いるのが一般的である。前記化学種として、ハロゲン原子、メルカプト基、カルボキシル基、イミノ基等が知られているが、本発明においては、チオエーテル基を含有する化合物及びメルカプトアゾール類は、銀溶剤として有用に作用しかつ、共存化合物への影響が少なく溶媒への溶解度が高い特徴がある。
特に下記一般式(G−1)または一般式(G−2)で表される化合物の少なくとも1種を含有する事が好ましい。
〔一般式(G−1)で表される化合物〕
一般式(G−1) Rg11−S−Rg12
式中、Rg11、Rg12は各々置換または無置換の炭化水素基を表し、これらには脂肪族の直鎖基または分岐基が含まれる。また、これらの炭化水素基では、1個以上の窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子、ハロゲン原子を含んでも良く、Rg11とRg12が互いに連結し、環状構造を取っても良い。
炭化水素基に置換可能な基としては、例えば、アミノ基、グアニジノ基、4級アンモニウム基、ヒドロキシル基、ハロゲン化合物、カルボン酸基、カルボキシレート基、アミド基、スルフィン酸基、スルホン酸基、スルフェート基、ホスホン酸基、ホスフェート基、ニトロ基、シアノ基等を挙げることができる。
以下、本発明に係る一般式(G−1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
G1−1:CHSCHCHOH
G1−2:HOCHCHSCHCHOH
G1−3:HOCHCHSCHCHSCHCHOH
G1−4:HOCHCHSCHCHSCHCHSCHCHOH
G1−5:HOCHCHSCHCHOCHCHOCHCHSCHCHOH
G1−6:HOCHCHOCHCHSCHCHSCHCHOCHCHOH
G1−7:HCSCHCHCOOH
G1−8:HOOCCHSCHCOOH
G1−9:HOOCCHCHSCHCHCOOH
G1−10:HOOCCHSCHCHSCHCOOH
G1−11:HOOCCHSCHCHSCHCHSCHCHSCHCOOH
G1−12:HOOCCHCHSCHCHSCHCH(OH)CHSCHCHSCHCHCOOH
G1−13:HOOCCHCHSCHCHSCHCH(OH)CH(OH)CHSCHCHSCHCHCOOH
G1−14:HCSCHCHCHNH
G1−15:HNCHCHSCHCHNH
G1−16:HNCHCHSCHCHSCHCHNH
G1−17:HCSCHCHCH(NH)COOH
G1−18:HNCHCHOCHCHSCHCHSCHCHOCHCHNH
G1−19:HNCHCHSCHCHOCHCHOCHCHSCHCHNH
G1−20:HNCHCHSCHCHSCHCHSCHCHSCHCHNH
G1−21:HOOC(NH)CHCHCHSCHCHSCHCHCH(NH)COOH
G1−22:HOOC(NH)CHCHSCHCHOCHCHOCHCHSCHCH(NH)COOH
G1−23:HOOC(NH)CHCHOCHCHSCHCHSCHCHOCHCH(NH)COOH
G1−24:HN(O=)CCHSCHCHOCHCHOCHCHSCHC(=O)NH
G1−25:HN(O=)CCHSCHCHSCHC(O=)NH
G1−26:HNHN(O=)CCHSCHCHSCHC(=O)NHNH
G1−27:HC(O=)CNHCHCHSCHCHSCHCHNHC(O=)CH
G1−28:HNOSCHCHSCHCHSCHCHSONH
G1−29:NaOSCHCHCHSCHCHSCHCHCHSONa
G1−30:HCSONHCHCHSCHCHSCHCHNHOSCH
G1−31:HN(NH)CSCHCHSC(NH)NH・2HBr
G1−32:HN(NH)CSCHCHOCHCHOCHCHSC(NH)NH・2HCl
G1−33:HN(NH)CNHCHCHSCHCHSCHCHNHC(NH)NH・2HBr
G1−34:〔(CHNCHCHSCHCHSCHCHN(CH2+・2Cl
Figure 2010197672
Figure 2010197672
上記例示した各化合物の中でも、本発明の目的効果をいかんなく発揮できる観点から、特に例示化合物G1−3が好ましい。
〔一般式(G−2)で表される化合物〕
次いで、本発明に係る一般式(G−2)で表される化合物について説明する。
Figure 2010197672
式中、Mは水素原子、金属原子または4級アンモニウムを表す。Zはイミダゾール環類を除く含窒素複素環を構成するのに必要な原子群表す。nは0〜5の整数を表し、Rg21は置換基を表し、nが2以上の場合、それぞれのRg21は同じであっても、異なってもよく、お互いに連結して縮合環を形成してもよい。
一般式(G−2)のMで表される金属原子としては、例えば、Li、Na、K、Mg、Ca、Zn、Ag等が挙げられ、4級アンモニウムとしては、例えば、NH、N(CH、N(C、N(CH1225、N(CH1633、N(CHCH等が挙げられる。
一般式(G−2)のZを構成成分とする含窒素複素環としては、例えば、テトラゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、インドール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾセレナゾール環、ナフトオキサゾール環等が挙げられる。
一般式(G−2)のRg21で表される置換基としては、特に制限は無いが、例えば下記の様な置換基が挙げられる。
水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ドデシル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、トリフルオロメチル、ベンジル等)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル等)、アルキルカルボンアミド基(例えば、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチロイルアミノ等)、アリールカルボンアミド基(例えば、ベンゾイルアミノ等)、アルキルスルホンアミド基(例えば、メタンスルホニルアミノ基、エタンスルホニルアミノ基等)、アリールスルホンアミド基(例えば、ベンゼンスルホニルアミノ基、トルエンスルホニルアミノ基等)、アルコキシ基、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、トリルチオ基等)、アルキルカルバモイル基(例えばメチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、ジブチルカルバモイル、ピペリジルカルバモイル、モルホリルカルバモイル等)、アリールカルバモイル基(例えば、フェニルカルバモイル、メチルフェニルカルバモイル、エチルフェニルカルバモイル、ベンジルフェニルカルバモイル等)、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基(例えば、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、ジブチルスルファモイル、ピペリジルスルファモイル、モルホリルスルファモイル等)、アリールスルファモイル基(例えば、フェニルスルファモイル、メチルフェニルスルファモイル、エチルフェニルスルファモイル、ベンジルフェニルスルファモイル等)、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基等)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル、4−クロロフェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル等)、アルキルカルボニル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチロイル等)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル基、アルキルベンゾイル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチロイルオキシ等)、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ヒドロキシ基または複素環基(例えば、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、セレナゾール環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チアジン環、トリアジン環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、インドレニン環、ベンズセレナゾール環、ナフトチアゾール環、トリアザインドリジン環、ジアザインドリジン環、テトラアザインドリジン環基等)を挙げられる。これらの置換基はさらに置換基を有するものを含む。
次に、一般式(G−2)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
Figure 2010197672
Figure 2010197672
上記例示した各化合物の中でも、本発明の目的効果をいかんなく発揮できる観点から、特に例示化合物G2−12、G2−20が好ましい。
〔白色散乱物〕
本発明においては、表示コントラスト及び白表示反射率をより高める観点から、白色散乱物を含有することが好ましく、多孔質白色散乱層を形成させて存在させてもよい。
本発明に適用可能な多孔質白色散乱層は、電解質溶媒に実質的に溶解しない水溶性高分子と白色顔料との水混和物、或いは、電解質溶媒に実質的に溶解しない水不溶性高分子と白色顔料とを水溶性溶媒に分散した混和物又は水混和物を塗布乾燥して形成することができる。
水溶性高分子としては、ゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質またはセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、カラギーナン等の多糖類のような天然化合物や、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体やそれらの誘導体等の合成高分子化合物が挙げられる。ゼラチン誘導体としては、アセチル化ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体としては、末端アルキル基変性ポリビニルアルコール、末端メルカプト基変性ポリビニルアルコール、セルロース誘導体としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。更に、リサーチ・ディスクロージャー及び特開昭64−13546号の(71)頁〜(75)頁に記載されたもの、また、米国特許第4,960,681号、特開昭62−245260号等に記載の高吸水性ポリマー、すなわち−COOMまたは−SOM(Mは水素原子またはアルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマー同士もしくは他のビニルモノマー(例えば、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、アクリル酸カリウム等)との共重合体も使用される。これらのバインダは2種以上組み合わせて用いることもできる。
本発明においては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン系化合物を好ましく用いることができる。
水溶性溶媒に分散する水不溶性高分子としては、天然ゴムラテックス、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム等のラテックス類、ポリイソシアネート系、エポキシ系、アクリル系、シリコン系、ポリウレタン系、尿素系、フェノール系、ホルムアルデヒド系、エポキシ−ポリアミド系、メラミン系、アルキド系樹脂、ビニル系樹脂等を水溶性溶媒に分散した熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらの高分子のうち、特開平10−76621号に記載の水系ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
本発明の水溶性高分子、或いは水不溶性高分子の平均分子量は、重量平均で10,000〜2,000,000の範囲が好ましく、より好ましくは30,000〜500,000の範囲である。
本発明で適用可能な白色顔料としては、例えば、二酸化チタン(アナターゼ型あるいはルチル型)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムおよび水酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、アルカリ土類金属塩、タルク、カオリン、ゼオライト、酸性白土、ガラス、有機化合物としてポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、ポリアミド樹脂などが単体または複合混合で、または粒子中に屈折率を変化させるボイドを有する状態で使用されてもよい。
本発明では、上記白色粒子の中でも、二酸化チタンが好ましく用いられ、特に無機酸化物(Al、AlO(OH)、SiO等)で表面処理した二酸化チタン、これらの表面処理に加えてトリメチロールエタン、トリエタノールアミン酢酸塩、トリメチルシクロシラン等の有機物処理を施した二酸化チタンがより好ましく用いられる。
これらの白色粒子のうち、高温時の着色防止、屈折率に起因する素子の反射率の観点から、酸化チタンまたは酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
本発明において、水溶性高分子、或いは水不溶性高分子と白色顔料との水混和物又は混和物は、公知の分散方法に従って白色顔料が水中分散された形態が好ましい。水溶性高分子、或いは水不溶性高分子/白色顔料の混合比は、容積比で1〜0.01が好ましく、より好ましくは、0.3〜0.05の範囲である。
多孔質白色散乱層の膜厚は、5〜50μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜30μmの範囲である。
アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の水との溶解性が高い化合物が好ましく用いられ、水/アルコール系溶剤との混合比は、質量比で0.5〜20の範囲が好ましく、より好ましくは2〜10の範囲である。
〔電解質添加の増粘剤〕
本発明の表示素子においては、電解質に増粘剤を使用することができ、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アルキレングリコール)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類、ポリビニルブチラール、ブチラール樹脂等が挙げられる。
これらの増粘剤は2種以上を併用して用いてもよい。また、特開昭64−13546号公報の71〜75頁に記載の化合物を挙げることができる。これらの中で好ましく用いられる化合物は、各種添加剤との相溶性と白色粒子の分散安定性向上の観点から、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ヒドロキシプロピルセルロース類、ポリアルキレングリコール類である。
〔基板〕
本発明で用いることのできる基板としては、透明基板であることが好ましく、このような透明基板としては、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、シリコン樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂、セルロース誘導体、ポリオレフィンなどの高分子のフィルムや板状基板、ガラス基板などが好ましく用いられる。本発明に用いられる透明な基板とは、可視光に対する透過率が少なくとも50%以上の基板をいう。
また、対向基板としては、例えば、金属基板、セラミック基板等の無機基板など不透明な基板を用いることもできる。
〔電極〕
以下電気化学表示素子一般に用いられる電極について説明する。
表示側透明電極
透明電極としては、透明で電気を通じるものであれば特に制限はない。例えば、Indium Tin Oxide(ITO:インジウム錫酸化物)、Indium Zinc Oxide(IZO:インジウム亜鉛酸化物)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、白金、金、銀、ロジウム、銅、クロム、炭素、アルミニウム、シリコン、アモルファスシリコン、BSO(Bismuth Silicon Oxide)等が挙げられる。
また、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリセレノフェニレン等、およびそれらの修飾化合物を単独あるいは混合して用いることができる。
表面抵抗値としては、100Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。透明電極の厚みは特に制限はないが、0.1〜20μmであるのが一般的である。
透明多孔質電極
透明電極として、上記電極層の上にナノ多孔質化構造を有するナノ多孔質電極を設けることができる。このナノ多孔質電極は、表示素子を形成した際に実質的に透明で、エレクトロクロミック色素等の電気活性物質を担持することができる。
本発明でいうナノ多孔質化構造とは、層中にナノメートルサイズの孔が無数に存在し、ナノ多孔質化構造内を電解質中に含まれるイオン種が移動可能な状態のことを言う。
このようなナノ多孔質電極の形成方法としては、ナノ多孔質電極を構成する微粒子を含んだ分散物をインクジェット法、スクリーン印刷法、ブレード塗布法などで層状に形成した後に、所定の温度で加熱、乾燥、焼成することよって多孔質化する方法や、スパッタ法、CVD法、大気圧プラズマ法などで電極層を構成した後に、陽極酸化、光電気化学エッチングすることによってナノ多孔質化する方法などが挙げられる。また、ゾルゲル法や、Adv.Mater.2006,18,2980−2983に記載された方法でも、形成することができる。
ナノ多孔質電極を構成する微粒子の主成分は、Cu、Al、Pt、Ag、Pd、Au等の金属やITO、SnO、TiO、ZnO等の金属酸化物やカーボンナノチューブ、グラッシーカーボン、ダイヤモンドライクカーボン、窒素含有カーボン等の炭素電極から選択することができ、好ましくは、ITO、SnO、TiO、ZnO等の金属酸化物から選択されることである。
ナノ多孔質電極が透明性を有するためには、平均粒子径が5nm〜10μm程度の微粒子を用いることが好ましい。微粒子の形状は不定形、針状、球形など任意の形状のものを用いることができる。
ナノ多孔質電極の膜厚は、0.1〜10μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.25〜5μmの範囲である。
対向電極
対向電極は、電気を通じるものであれば、特に制限されず用いることができる。前記透明電極と同じ材料に加え、白金、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタン、ビスマスなどの金属およびそれらの合金、カーボン等、透明性を有しない材料でも好ましく用いることができる。
多孔質カーボン電極
吸着担持可能な多孔質炭素電極としては、黒鉛質、難黒鉛化炭素質、易黒鉛化炭素質、複合炭素体や、ホウ素、窒素、りん等を炭素にドープして焼成した炭素化合物、等が挙げられる。炭素粒子の形状としては、メソフェーズ小球体、繊維状黒鉛が挙げられる。メソフェーズ小球体はコールタールピッチなどを350〜500℃で焼成することで得られ、これら小球体をさらに分級して高温焼成で黒鉛化すると良好な多孔質炭素電極が得られる。また、ピッチ系、PAN系、および気相成長繊維から、繊維状黒鉛を得ることができる。
グリッド電極(補助電極)
本発明に係る対向する一対の電極のうち、少なくとも一方の電極に、補助電極を付帯させることができる。
補助電極は、主となる電極部より電気抵抗が低い材料を用いることが好ましい。例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタン、ビスマスなどの金属およびそれらの合金等を好ましく用いることができる。
補助電極は、主となる電極部と基板との間と、主となる電極部の基板と反対側の表面とのいずれに設置することもできる。いずれにしても、補助電極が主となる電極部と電気的に接続していればよい。
補助電極の配置パターンには、特に制限はない。直線状、メッシュ状、円形など、求められる性能に応じて適宜形成することが可能である。主となる電極部が複数の部分に分割されている場合には、分割された電極部同士を接続する形で設けてもよい。ただし、主となる電極部が表示側の基板に設けられた透明電極の場合、補助電極は、表示素子の視認性を阻害しない形状と頻度で設けることが求められる。
補助電極を形成する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、フォトリソグラフィ法でパターニングしたり、印刷法やインクジェット法、電解メッキや無電解メッキ、銀塩感光材料を用いて露光、現像処理してパターン形成する方法でも良い。
本発明の補助電極パターンのライン幅やライン間隔は、任意の値で構わないが、導電性を高くするためにはライン幅を太くする必要がある。一方、透明電極に補助電極を付帯させる場合には、視認性の観点から、表示素子観察側から見た補助電極の面積被覆率は30%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下である。
このように透過率と導電性の点から、補助電極のライン幅は1μm以上、100μm以下が好ましく、ライン間隔は50μmから1000μmが好ましい。
(電極製法)
透明電極、金属補助電極を形成するには、公知の方法を用いることができる。例えば、基板上にスパッタリング法等でマスク蒸着するか、全面形成した後に、フォトリソグラフィー法でパターニングしてもよい。
また、電解メッキや無電解メッキ、印刷法や、インクジェット法によっても電極形成が可能である。
インクジェット方式を用いて基板上にモノマー重合能を有する触媒層を含む電極パターンを形成した後に、該触媒により重合されて重合後に導電性高分子層になりうるモノマー成分を付与して、モノマー成分を重合し、さらに、該導電性高分子層の上に銀等の金属メッキを行うことにより金属電極パターンを形成することもでき、フォトレジストやマスクパターンを使用することがないので、工程を大幅に簡略化できる。
電極材料を塗布にて形成する場合は、ディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の公知の方法を用いることができる。
インクジェット方式の中でも、下記の静電インクジェットは高粘度の液体を高精度に連続的に印字することが可能であり、本発明の透明電極や金属補助電極の形成に好ましく用いられる。インクの粘度は、好ましくは30mPa・s以上であり、更に好ましくは100mPa・s以上である。
〔電子絶縁層〕
本発明の表示素子においては、電気絶縁層を設けることができる。
本発明に適用可能な電子絶縁層は、イオン電導性、電子絶縁性を合わせて有する層であればよく、例えば、極性基を有する高分子や塩をフィルム状にした固体電解質膜、電子絶縁性の高い多孔質膜とその空隙に電解質を担持する擬固体電解質膜、空隙を有する高分子多孔質膜、含ケイ素化合物の様な比誘電率が低い無機材料の多孔質体、等が挙げられる。
多孔質膜の形成方法としては、燒結法(融着法)(高分子微粒子や無機粒子をバインダ等を添加して部分的に融着させ粒子間に生じた孔を利用する)、抽出法(溶剤に可溶な有機物又は無機物類と溶剤に溶解しないバインダ等で構成層を形成した後に、溶剤で有機物又は無機物類を溶解させ細孔を得る)、高分子重合体等を加熱や脱気するなどして発泡させる発泡法、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子類の混合物を相分離させる相転換法、各種放射線を輻射して細孔を形成させる放射線照射法等の公知の形成方法を用いることができる。具体的には、特開平10−30181号、特開2003−107626号、特公平7−95403号、特許第2635715号、同第2849523号、同第2987474号、同第3066426号、同第3464513号、同第3483644号、同第3535942号、同第3062203号等に記載の電子絶縁層を挙げることができる。
〔表示素子のその他の構成要素〕
本発明の表示素子には、必要に応じて、シール剤、柱状構造物、スペーサー粒子を用いることができる。
シール剤は外に漏れないように封入するためのものであり封止剤とも呼ばれ、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エン−チオール系樹脂、シリコン系樹脂、変性ポリマー樹脂等の、熱硬化型、光硬化型、湿気硬化型、嫌気硬化型等の硬化タイプを用いることができる。
柱状構造物は、基板間の強い自己保持性(強度)を付与し、例えば、格子配列等の所定のパターンに一定の間隔で配列された、円柱状体、四角柱状体、楕円柱状体、台形柱状体等の柱状構造物を挙げることができる。また、所定間隔で配置されたストライプ状のものでもよい。この柱状構造物はランダムな配列ではなく、等間隔な配列、間隔が徐々に変化する配列、所定の配置パターンが一定の周期で繰り返される配列等、基板の間隔を適切に保持でき、且つ、画像表示を妨げないように考慮された配列であることが好ましい。柱状構造物は表示素子の表示領域に占める面積の割合が1〜40%であれば、表示素子として実用上十分な強度が得られる。
一対の基板間には、該基板間のギャップを均一に保持するためのスペーサーが設けられていてもよい。このスペーサーとしては、樹脂製または無機酸化物製の球体を例示できる。また、表面に熱可塑性の樹脂がコーティングしてある固着スペーサーも好適に用いられる。基板間のギャップを均一に保持するために柱状構造物のみを設けてもよいが、スペーサー及び柱状構造物をいずれも設けてもよいし、柱状構造物に代えて、スペーサーのみをスペース保持部材として使用してもよい。スペーサーの直径は柱状構造物を形成する場合はその高さ以下、好ましくは当該高さに等しい。柱状構造物を形成しない場合はスペーサーの直径がセルギャップの厚みに相当する。
〔表示素子駆動方法〕
本発明の表示素子の駆動操作は、単純マトリックス駆動であっても、アクティブマトリック駆動であってもよい。本発明でいう単純マトリックス駆動とは、複数の正極を含む正極ラインと複数の負極を含む負極ラインとが対向する形で互いのラインが垂直方向に交差した回路に、順次電流を印加する駆動方法のことを言う。単純マトリックス駆動を用いることにより、回路構成や駆動ICを簡略化でき安価に製造できるメリットがある。アクティブマトリックス駆動は、走査線、データライン、電流供給ラインが碁盤目状に形成され、各碁盤目に設けられたTFT回路により駆動させる方式である。画素毎にスイッチングが行えるので、階調やメモリー機能などのメリットがあり、例えば、特開2004−29327号の図5に記載されている回路を用いることができる。
〔商品適用〕
本発明の表示素子は、電子書籍分野、IDカード関連分野、公共関連分野、交通関連分野、放送関連分野、決済関連分野、流通物流関連分野等の用いることができる。具体的には、ドア用のキー、学生証、社員証、各種会員カード、コンビニストアー用カード、デパート用カード、自動販売機用カード、ガソリンステーション用カード、地下鉄や鉄道用のカード、バスカード、キャッシュカード、クレジットカード、ハイウェーカード、運転免許証、病院の診察カード、電子カルテ、健康保険証、住民基本台帳、パスポート、電子ブック等が挙げられる。
<ポリマー1の合成>
1,2−エタンジオール1.2mol及び無水フタル酸0.6mol及び触媒としてp−トルエンスルホン酸1水和物1.0gを150℃で2時間攪拌した後、減圧下(0.8〜1.0Torr)(1.0Torrは133.322Pa)200℃で3時間攪拌した。反応終了後、内容物をクロロホルムで希釈し、ついで大量のメタノールに添加して、再沈させた。更に再沈操作を2回繰り返し、ポリマーを精製した。得られたポリマー1の重量平均分子量は19000であった。
<ポリマー2,3の合成>
1,2−エタンジオールを1,3−プロパンジオール及び1,4−ブタンジオールに変更する以外は、ポリマー1の合成と同様にして、ポリマー2及び3を得た。
重量平均分子量は、ポリマー2で16000、ポリマー3で13000であった。
<表示素子の作製>
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
〔透明電極の作製〕
厚さ1.5mmで2cm×2cmのガラス基板上に、膜厚300nmのITO(Indium Tin Oxide、インジウム錫酸化物)膜をスパッタリング法に従って形成し、透明電極を得た。
〔電解液の調製〕
(電解液1の調製)比較
γ−ブチロラクトン2.5g中に、p−トルエンスルホン酸銀0.2g、化合物(G2−12)0.2g、化合物(G2−20)0.2g、テトラフルオロホウ酸スピロー(1,1′)−ビピロリジニウム0.025g、フェロセン0.002g、ブチラール0.5gを溶解させて電解質組成物1(比較)を調製した。
(電解液2〜10の調製)
下記、表1に示すように各種添加剤の種類を変更する以外は、電解液1と同様にして、電解液2〜10を調製した。
Figure 2010197672
表1において、使用した化合物は以下の通り、
p−TsOAg:p−トルエンスルホン酸銀
SBP・BF4:テトラフルオロホウ酸スピロー(1,1′)−ビピロリジニウム
PVP:ポリビニルピロリドン
PET:ポリエチレンテレフタレート
TFMSAg:トリフルオロメタンスルホン酸銀
TFMS−Li:トリフルオロメタンスルホン酸リチウム
TFSI−Li:ビストリフルオロメタンスルホンイミドリチウム
Figure 2010197672
(表示素子1の作製)
周辺部を、平均粒径が40μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りした透明電極の上に、ポリビニルアルコール(平均重合度3500、けん化度87%)2質量%を含むイソプロパノール溶液中に、石原産業社製二酸化チタンCR−90を20質量%添加し、超音波分散機で分散させた混和液を乾燥後の膜厚が20μmになるように塗布し、その後15℃で30分間乾燥して溶媒を蒸発させた後、45℃の雰囲気中で1時間乾燥させた。得られた二酸化チタン層上に平均粒径が20μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを散布した後に、透明電極を貼り合わせ、加熱押圧して空セルを作製した。該空セルに上記電解液1を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し、表示素子1を作製した。
(表示素子2〜10の作製)
電解液1を、電解液2から10に変更した以外は、表示素子1と同様にして表示素子2〜10を作製した。
《評価:表示素子1〜10の評価》
〔繰返し駆動させたときの電極表面の観察〕
定電圧電源の両端子に作製した表示素子の両電極を接続し、+2.0Vの電圧を2秒間印加した後に、−2.0Vの電圧を2秒間印加してグレーを表示させた。この操作を1000回繰り返し、表示側の透明電極の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。結果を下記表2に示す。
○:透明電極上に2mm角以上の故障が認められない。
△:透明電極の一部に2mm角以上の故障が認められる。
×:透明電極の全面に大きな故障が認められる。
××:1000回までに表示素子が駆動しなくなる。
〔繰返し駆動させたときの反射率の安定性(RBK1)の評価〕
定電圧電源の両端子に作製した表示素子の両電極を接続し、+1.2Vの電圧を1秒間印加した後に、−1.5Vの電圧を0.5秒間印加してグレーを表示させた。このときの波長550nmでの反射率をコニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dで測定した。同様な駆動条件で合計10回駆動させ、得られた反射率の平均値をRave1とした。さらに1万回繰返し駆動させた後に同様な方法でRave2を求めた。
RBK1=(|Rave1−Rave2|
RBK1を繰返し駆動させたときの反射率の安定性の指標とした。ここでは、RBK1の値が小さいほど、繰返し駆動させたときの反射率の安定性に優れることになる。
以上により得られた各表示素子の評価結果を、表2に示す。
Figure 2010197672
表2から分かるように、比較の表示素子では難溶性の析出物と思われる斑点や、まだら模様が認められるのに対し、本発明の表示素子では、そのような故障は殆ど認められなかった。
また、本発明の表示素子は比較の表示素子に比べRBK1が小さく、繰り返し駆動させた時の反射率変化が小さいことがわかる(尚、表示素子3では1万回駆動できなかった為、データが得られなかった)。

Claims (4)

  1. 透明電極と対向電極からなる一対の対向する電極間に、金属塩化合物を含有した電解質層を有する表示素子において、該電解質層に、炭素原子1個若しくは2個を介した位置に2つのカルボニル基が存在する部分構造を持った繰り返し単位を有するポリマーを含有することを特徴とする表示素子。
  2. 前記、炭素原子1個若しくは2個を介した位置に2つのカルボニル基が存在する部分構造が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位であることを特徴とする請求項1に記載の表示素子。
    Figure 2010197672
    〔式中、Lは置換基を有しても良いメチレン基、エチレン基、o−フェニレン基を表し、Xは、−O−、又は、>NRを表す。Rは水素原子、アルキル基、若しくは、アリール基を表す。〕
  3. 前記金属塩化合物が、銀塩化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示素子。
  4. 前記電解質層中にイオン性液体を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示素子。
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