JP2010197438A - プロジェクター - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の投射画像を半画素ピッチずらした状態で重畳するに際して、高精度に画素位置の調整を行なうことでき、かつ小型化と軽量化ができるプロジェクターを提供する。
【解決手段】
プロジェクター1において、第1光学系4では色合成光学装置43及び合成光学系6の間に仮想平面に対して傾斜配置される射出側透明基板を有する角度可変プリズム45を設け、角度可変プリズム調整機構により射出側透明基板を傾斜させる。
従って、角度可変プリズム調整機構により射出側透明基板を傾斜させるという簡単な構成により、光学像をずらすことができる。このずれた光学像と、第2光学系5から射出された光学像とを合成光学系6にて合成し、この合成された光学像を投射光学系7にて投射するため、投射画像の高精度化を実現できる。射出側基板45を傾斜させて光学像をずらすため、プロジェクター1の小型化と軽量化とコストの低減が図れる。
【選択図】図1

Description

本発明は、光源から射出された光を、画像情報に応じて変調して光学像を形成して投射するプロジェクターに関する。
近年、デジタル画像の高解像度化に伴い、スクリーン上に投射画像を投射するプロジェクターにおいて、光源装置から射出された光をライトバルブ等の光変調素子で変調して光学像を形成する光学装置を複数設けた技術が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
前記特許文献1に記載の技術では、2つの光学装置(投射系表示モジュール)で形成された光学像を、それぞれの光学装置が有する投射レンズを介して拡大投射し、投射画像を半画素ピッチずらした状態で重畳させ、投射画像の高解像度化、高精細化を実現している。
ここで、前記特許文献1に記載の技術では、各光学装置から射出される投射画像を、半画素ピッチという高精度に位置調整を行なう必要があるため、それぞれの投射レンズの入射側又は反射側に光シフト素子にくさび形透明基板を組み合わせたものを設け、このくさび形透明基板の斜面の角度を調整することにより、半画素ピッチずらした投射画像同士の重畳を行なっている。
特許文献2に記載の技術では、液晶表示パネルを経た映像光が頂角可変プリズムを経て投射レンズによって拡大投射している。頂角可変プリズムは、アクチュエータによってプリズム頂角が変更されるように構成され、光学式手振れ補正用のデバイスとして採用されている。
特開平6−123868号公報 特開2005−128506号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載の技術では、光学装置のそれぞれが投射レンズを有し、それぞれの投射レンズから射出された投射画像を重畳しているため、各投射レンズに固有の収差、歪みなどの影響を受け、投射画像全体に高精度に半画素ピッチずらした状態で重畳することが困難であるという問題がある。
また、前記特許文献1に記載の技術では、各光学装置に投射レンズがあるため、小型化、軽量化が困難であるという問題がある。
さらに、複数の光学装置で形成された光学像を合成光学装置で合成し、これを1つの投射レンズから射出する方法も考えられ、いずれかの光学装置全体を位置調整可能とする構成を採用することも考えられる。
しかし、このような構造を採用した場合、投射レンズに固有の収差、歪みなどによる投射画像全体での重畳を精度よく行なうことはできるが、光学装置の位置調整装置を設けなければならないため、前記と同様に、小型化、軽量化を図ることが困難であるという問題がある。
また、前記特許文献2に記載の技術では、頂角プリズムは光学式手振れ補正用のデバイスとしてしか用いられておらず、投射画像の高解像度化を図ることはできない。
本発明の目的は、複数の投射画像を半画素ピッチずらした状態で重畳するに際して、高精度に画素位置の調整を行なうことができ、かつ小型化と軽量化ができるプロジェクターを提供することである。
本発明に係るプロジェクターは、
光源装置から射出された光を、入力される画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調装置を備えた第1光学系及び第2光学系と、
前記第1光学系及び前記第2光学系のそれぞれで形成された光学像を合成する合成光学系と、
前記合成光学系で合成された合成光学像を投射する投射光学系とを備えたプロジェクターであって、
前記光変調装置及び前記合成光学系の間に配置され、間隔を設けて対向配置される一対の透明基板を有し、前記一対の透明基板間の間隔を調整することにより、前記一対の透明基板の少なくともいずれかの透明基板を、前記光変調装置の画像形成領域の法線に対して傾斜させる角度可変プリズムと、
前記角度可変プリズムにおける前記一対の透明基板のうち、少なくともいずれかの透明基板の前記法線に対する傾斜角度を調整する角度可変プリズム調整機構とを備えていることを特徴とする。
このような発明によれば、角度可変プリズムの透明基板を角度可変プリズム調整機構により傾斜させるという簡単な構成により、光学像を半画素ピッチずらすことができる。そして、この半画素ピッチずれた光学像と、角度可変プリズムが設けられていない光学系から射出された光学像とを合成光学系にて合成し、この合成された光学像を投射光学系にて投射するため、投射画像の高精度化を実現することができる。
また、角度可変プリズムの透明基板を傾斜させて光学像をずらすため、光学装置全体を位置調整可能とする構成を設けなくて済むので、プロジェクターの小型化と軽量化とコストの低減が図れる。
本発明では、
前記光源装置は、光源と、前記光源から射出された光を入射面に対して平行なP偏光と、前記入射面に対して垂直なS偏光を分離する偏光分離装置とを備え、
前記第1光学系は、前記偏光分離装置で分離されたP偏光に基づいて光学像を形成し、
前記第2光学系は、前記偏光分離装置で分離されたS偏光に基づいて光学像を形成することが好ましい。
このような発明によれば、光は主としてP偏光とS偏光とにより構成されているため、偏光分離装置で分離されたP偏光とS偏光とに基づいてそれぞれ光学像を形成することができる。したがって、光の利用効率を高めることができる。また、1つの光源装置で2つの光学系の光源像を形成できるため、小型化、軽量化を図ることができる。
本発明では、
前記第1光学系及び前記第2光学系は、
入射する光を、高波長域から低波長域、又は低波長域から高波長域に向かって、赤色光、緑色光、及び青色光に順次分離する色分離装置と、
分離された各色光のそれぞれを、入力される画像情報に応じて変調して光学像を形成する3つの前記光変調装置と、
各光変調装置で形成された各色光の光学像を合成する色合成光学装置と、
前記色合成光学装置及び前記合成光学系の間に設けられ、前記緑色光の偏光方向を変更するカラー偏光子とを備え、
前記角度可変プリズムは、前記カラー偏光子に設けられていることが好ましい。
ここで、光を、高波長域から低波長域、又は低波長域から高波長域に向かって、赤色光、緑色光、及び青色光に順次分離し、これら各色光から光学像を合成する場合、赤色光及び青色光の偏光方向を反射率の高い入射面に垂直なS偏光に揃え、緑色光の偏光方向を透過率の高いP偏光とすることがある。
このような発明によれば、カラー偏光子により緑色光の偏光方向を赤色光及び青色光の偏光方向とそろえることができる。したがって、カラー光学像を構成する緑色光、赤色光、及び青色光の偏光方向がすべてそろっているため、角度可変プリズムの後段に配置された合成光学系などにおいて、カラー光学像の操作性が容易である。
本発明では、
前記角度可変プリズムは、前記第1光学系または前記第2光学系から射出されたS偏光の前記光学像を透過可能に設けられ、
前記合成光学系は、前記角度可変プリズムと前記投射光学系との間に配置され、前記角度可変プリズムから射出された前記S偏光の光学像を反射して前記投射光学系に供給する反射偏光子を有したことが好ましい。
このような発明によれば、S偏光は入射角依存性が低いため、角度可変プリズムの端面の傾斜角度が変化しても、反射偏光子はその変化に対応してS偏光を反射する。そのため、効率よく光を利用することができる。
本発明の第1実施形態に係るプロジェクターの構造を表す模式図。 前記実施形態における角度可変プリズムが配置された状態(A)、(B)を表す模式図。 前記実施形態における合成光学系によって合成された第1、第2光学系の投射画像の状態を表す模式図。 本発明の第2実施形態に係るプロジェクターの構造を表す模式図。 前記実施形態における角度可変プリズムが配置された状態を表す模式図。 本発明の第3実施形態に係るプロジェクターの構造を表す模式図。
以下、本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1には、本発明の実施形態に係るプロジェクター1が示されており、このプロジェクター1は、照明光学装置2と、偏光分離装置3と、第1光学系4と、第2光学系5と、合成光学系6と、投射光学系7と、を備えている。また、図2に示されるように、プロジェクター1は、後述する角度可変プリズム45の傾斜角度を調整する角度可変プリズム調整機構9を備える。これらの光学素子は、図示を略したが、1つの筐体に収納されている。このプロジェクター1は、照明光学装置2から射出された光を、第1光学系4、第2光学系5のそれぞれで入力する画像情報に応じて変調して光学像を形成し、合成光学系6にて各光学系4、5で形成された光学像を合成し、投射光学系7により合成された光学像を投射するものである。なお、主光線の進行方向をZ軸方向とし、主光線の進行方向に直交する方向である2つの軸方向をX軸方向(紙面に平行な方向)及びY軸方向(紙面に直交する方向)としている。
図1に示すように、照明光学装置2は、光源装置21、第1レンズアレイ22、第2レンズアレイ23、及び重畳レンズ24を備える。
光源装置21は、放射状の光線を射出する光源としての光源ランプ211と、当該光源ランプ211から射出された放射光を反射して所定位置に収束させるリフレクタ212とを備えている。このような光源ランプ211としては、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ及び高圧水銀ランプ等を利用することができる。また、リフレクタ212としては、回転放物面を反射面とする放物面リフレクタや、回転楕円面を反射する楕円面リフレクタを採用することができる。リフレクタ212によって反射された光は、第1レンズアレイ22に供給される。
第1レンズアレイ22及び第2レンズアレイ23は、それぞれ対応する小レンズがマトリクス状に配列された構成を有し、第1レンズアレイ22は、光源装置21から入射した光を複数の部分光に分割して、第2レンズアレイ23近傍に結像させる。
第2レンズアレイ23は、光路後段に位置する重畳レンズ24とともに、後述する第1光学系4を構成する液晶パネル42R、42G、42B、及び、第2光学系5を構成する液晶パネル52R、52G、52Bの画像形成領域に第1レンズアレイ22で分割された複数の部分光を重畳させる。重畳レンズ24の後段には、偏光分離装置3が配置されている。
偏光分離装置3は、照明光学装置2から射出された光の光路中心軸に対して、略45度傾斜して配置される板状体であり、BK7、石英ガラス等の透明基板上に誘電体多層膜を形成した光学素子である。偏光分離装置3の誘電体多層膜は、照明光学装置2から射出されたランダムな偏光を2種類の直線偏光に分離する機能を有し、光の入射面に対して平行な直線偏光(P偏光)を透過し、入射面に対して垂直な直線偏光(S偏光)を反射する。この偏光分離装置3で分離されたS偏光は、投射光学系7と正対する方向に配置される第1光学系4に供給され、P偏光は、投射光学系7に対して直角方向に配置される第2光学系5に供給される。
第1光学系4は、偏光分離装置3で分離されたS偏光を、画像情報に応じて変調して光学像を形成する部分であり、色分離光学装置41、光変調装置42、色合成光学装置43、カラー偏光子44、及び角度可変プリズム45を備える。
色分離光学装置41は、入射したS偏光を赤色光(R)、緑色光(G)、青色光(B)の三色光に分離する機能を有し、ダイクロイックミラー411、412、反射ミラー413、414、415、及び位相差板416、417を備える。
ダイクロイックミラー411、412は、S偏光の光路中心軸に対して略45度傾斜して配置され、BK7、石英ガラス等の透明基板上に誘電体多層膜を形成した光学素子である。ダイクロイックミラー411、412の誘電体多層膜は、特定の波長域の光を反射し、それ以外の光を透過して、S偏光を複数の色光に分離する機能を有する。光路前段に配置されるダイクロイックミラー411は、青色光(B)を反射し、それ以外の赤色光(R)、緑色光(G)を透過し、一方、光路後段に配置されるダイクロイックミラー412は、緑色光(G)を反射し、赤色光(R)を透過する。ダイクロイックミラー411の後段には、反射ミラー413が配置され、ダイクロイックミラー412の後段には、反射ミラー414、415が配置されている。
反射ミラー413、414、415は、ダイクロイックミラー411、412で分離された各色光R、G、Bを、光変調装置42に導く光学素子であり、全反射ミラーで構成される。反射ミラー413の後段には、位相差板416が配置され、反射ミラー415の後段には、波長位相差板417が配置されている。
位相差板416、417は、反射ミラー413、415で反射されたS偏光の各色光R、Bを、P偏光の各色光R、Bに変更する光学素子であり、1/2波長位相差板で構成される。位相差板416、417は、P偏光の各色光R、Bを光変調装置42を構成する液晶パネル42R、42Bに供給する。
光変調装置42は、3つの液晶パネル42R、42G、42Bと、各液晶パネル42R、42G、42Bの光路前段に配置される3つの入射側偏光板421R、421G、421Bと、各液晶パネル42R、42G、42Bの光路後段に配置される3つの射出側偏光板422R、422G、422Bとを備える。
3つの入射側偏光板421R、421G、421Bは、BK7、石英ガラス等の透明基板上に偏光膜を形成して構成されており、このうち2つの入射側偏光板421R、421Bは、位相差板416,417から射出されたP偏光を透過する性質を有する。
液晶パネル42R、42Bは、一対の透明なガラス基板に電気光学物質である液晶が密閉封入された構成を有し、入力される画像情報に応じて液晶の配向状態が制御されることで、入射側偏光板421R、421Bから射出されたP偏光をS偏光に変調する。
射出側偏光板422R、422Bは、液晶パネル42R、42Bを介して射出された光のうち、S偏光のみを透過し、その他の光を吸収する。透過したS偏光は、色合成光学装置43に供給される。
一方、入射側偏光板421Gは、偏光分離装置3で分離されたS偏光を透過する性質を有し、光路途中のダイクロイックミラー412等で位相が変更された光を吸収する。
液晶パネル42Gは、一対の透明なガラス基板に電気光学物質である液晶が密閉封入された構成を有し、入力される画像情報に応じて液晶の配向状態が制御されることで、入射側偏光板421Gから射出されたS偏光をP偏光に変調する。
射出側偏光板422Gは、液晶パネル42Gを介して射出された光のうち、P偏光のみを透過し、その他の光を吸収する。透過したP偏光は、色合成光学装置43に供給される。
色合成光学装置43は、各射出側偏光板422R、422G、422Bから射出された変調光を合成してカラー画像を形成する機能を有し、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状を有し、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、2つの誘電体多層膜が形成されたクロスダイクロイックプリズムとして構成される。2つの誘電体多層膜は、一方が赤色光(R)を反射し、緑色光(G)を透過する性質を有し、他方が青色光(B)を反射し、緑色光(G)を透過する性質を有し、これら誘電体多層膜によって赤色光(R)、緑色光(G)、青色光(B)が合成されてカラー画像が形成される。形成されたカラー画像は、色合成光学装置43の後段に配置されたカラー偏光子44に供給される。
カラー偏光子44は、第1光学系4で形成された青色のS偏光の偏光方向と赤色のS偏光の偏光方向とを変更する光学素子であり、青色波長域のS偏光をP偏光に変更する青色変更層と、赤色波長域のS偏光をP偏光に変更する赤色変更層とにて構成されている。これら青色変更層及び赤色変更層の材料としては、高分子材料や無機材料が用いられる。高分子材料としては、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、マイラー、ポリプロピレン、ポリスチレン、トリアセテート(トリブチルアセテート)及びポリメチルメタクリレートなどである。無機材料としては、水晶、マイカ、及び方解石などである。
P偏光の緑色光とP偏光の赤色光とP偏光の青色光とは、カラー偏光子44の後段に配置された角度可変プリズム45に供給される。
角度可変プリズム45は、図2(A)に示されるように、間隔を設けて対向配置される一対の矩形状の入射側透明基板45A及び射出側透明基板45Bを備え、一対の基板45A,45B間の間隔を調整することにより、一対の基板45A,45Bの少なくともいずれかの基板45A、45Bを、光源装置21から射出された光の主光線の軸に対して傾斜させる光学素子である。光源装置21から射出された光の主光線の軸は、光変調装置42の画像形成領域の法線と一致する。
一対の基板45A、45Bの外周端部には、蛇腹状のシール部材45Cが設けられ、シール部材45Cの内部には、透明液体45Dが密封封入されている。
このような角度可変プリズム45は、いずれかの端部に入射側透明基板45A及び射出側透明基板45Bを接近させるような力を作用させると、封入された透明液体45Dが力を作用させた以外の部分に流れ、力の作用部分における入射側透明基板45A及び射出側透明基板45Bの間隔が大きくなり、これにより、射出側透明基板45Bが光源装置21からの光の主光線の軸に対して傾斜配置される。
角度可変プリズム調整機構9は、角度可変プリズム45の一対の基板45A,45Bを接近させる力を作用させることで射出側透明基板45Bの主光線の軸に対する傾斜角度を調整する機構であり、矩形状の入射側透明基板45A及び射出側透明基板45Bの四隅に設けられ、前記入射側透明基板45Aを挟む入射側チャック9Aと、射出側透明基板45Bを挟む射出側チャック9Bと、これらチャック9A,9Bに駆動力を与えるアクチュエータを備える。
角度可変プリズム調整機構9は、入射側チャック9Aにより入射側透明基板45Aを固定し、射出側チャック9Bにより射出側透明基板45Bの射出側偏光板422B側の端部を入射側透明基板45A側に近接させている。
入射側透明基板45Aは、入射側端面45A1が主光線の軸と直交し、入射した光を透過する。射出側透明基板45Bは、射出側端面45B1の法線Bが主光線の軸に対して所定の傾斜角度(β度)になるように傾斜している。
傾斜角度(β度)は、0度<β度≦10度であることが好ましく、さらに好ましくは、0度≦β度≦5度である。傾斜角度(β度)が10度を超える場合、非点収差が増大し結像性能が実用に耐えない場合がある。
また、入射側透明基板45A及び射出側透明基板45Bと透明液体45Dをあわせた厚み(d)は、1mm以上30mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは、5mm以上10mm以下である。厚みが1mm未満の場合、入射側透明基板45A及び射出側透明基板45Bの強度が不足して、損傷しやすくなったり、光学像のずれる量が不十分となる場合がある。一方、厚みが30mmを超える場合、入射側透明基板45A及び射出側透明基板45Bの傾斜角度をわずかに変更しても、光学像のずれる量が大きくなってしまうため、角度可変プリズム調整機構9での微調整を行いにくくなる場合がある。
なお、射出側チャック9Bは、図2(B)に示すように、射出側透明基板45Bの傾斜方向を変えてもよい。例えば、アクチュエータが射出側チャック9Bにより、入射側透明基板45Aの入射側偏光板422R側の端部と射出側透明基板45Bの入射側偏光板422R側の端部と近接させる。これにより、入射側透明基板45Aの入射側偏光板422B側の端部と射出側透明基板45Bの入射側偏光板422B側の端部は離隔する。したがって、光路は入射側偏光板422R側にずれる。
また、図示しないが、射出側端面45B1が主光線の軸と直交する(β=0)場合、光路はずれない。そして、アクチュエータが射出側チャック9Bにより射出側透明基板45Bの傾斜角度(β)を調整することにより、図2(A)、(B)に示すように、光学像をX軸回りにずらしたが、光路がZ軸回りにずれるように、射出側チャック9Bにより射出側透明基板45Bを傾斜させることもできる。また、入射側チャック9A及び射出側チャック9Bにより、それぞれ入射側透明基板45A及び射出側透明基板45Bを傾斜させる構成であるが、入射側透明基板45A及び射出側透明基板45Bにそれぞれ軸を連結し、その軸自体を回転させて入射側透明基板45A及び射出側透明基板45Bを傾斜させてもよい。
入射側透明基板45A及び射出側透明基板45Bは、ガラス材料であることが好ましい。ガラス材料としては、BK7,石英ガラスや結晶化ガラスなどを採用できる。また、ガラス材料は、nd=1.51680、rd=64.2が好ましい。
図1に示すように、第2光学系5は、偏光分離装置3で分離されたP偏光を、画像情報に応じて変調して光学像を形成する部分であり、基本的には第1光学系4と同様に、色分離光学装置51、光変調装置52、色合成光学装置53、及びカラー偏光子54を備え、その機能及び作用も基本的には同じである。
色分離光学装置51は、ダイクロイックミラー511、512、及び反射ミラー513、514、515を備えているが、P偏光の光路前段に配置されるダイクロイックミラー511は、赤色光(R)を反射し、緑色光(G)及び青色光(B)を透過する誘電体多層膜が透明基板上に形成されており、後段に配置されるダイクロイックミラー512は、緑色光(G)を反射し、青色光(B)を透過する誘電体多層膜が透明基板上に形成されている。
光変調装置52は、第1光学系4と同様に、3つの液晶パネル52R、52G、52Bと、各液晶パネル52R、52G、52Bの光路前段に配置される入射側偏光板521R、521G、521Bと、各液晶パネル52R、52G、52Bの光路後段に配置される射出側偏光板522R、522G、522Bとを備える。しかし、第1光学系4と異なり、第2光学系5では、位相差板416、417及び角度可変プリズム45が配置されておらず、位相差板516及びカラー偏光子54を配置している点が相違する。
位相差板516は、ダイクロイックミラー512及び入射側偏光板521Gの間に配置されており、ダイクロイックミラー512から射出された緑色光のP偏光をS偏光に変更して、入射側偏光板521Gに射出する。
カラー偏光子54は、第2光学系5で形成された緑色のP偏光を緑色のS偏光に変更する光学素子であり、緑色波長域の偏光を変更する緑色変更層を含んで構成されている。そして、カラー偏光子54は、S偏光の緑色光とS偏光の赤色光とS偏光の青色光を合成光学系6に供給する。
合成光学系6は、第1光学系4及び第2光学系5で形成された光学像を合成するものであり、2つの三角形状のプリズムを貼り合わせた平面視略正方形状を有し、プリズム同士を貼り合わせた界面には、誘電体多層膜が形成されている。この誘電体多層膜は、前述した偏光分離装置3と同様に、P偏光を透過し、S偏光を反射する偏光分離膜とされる。
合成光学系6は、図3に示されるように、第1光学系4の画素P1に対して、第2光学系5の画素P2を、左右方向に1/2画素、上下方向に1/2画素ずらして各光学系4、5の光学像を合成する。
投射光学系7は、図1では図示を略したが、鏡筒内に複数のレンズが光軸を合わせて配列された組レンズから構成され、合成光学系6で合成された光学像を投射面上に投射する。
このような本実施形態に係るプロジェクター1において、第1光学系4では、色合成光学装置43及び合成光学系6の間に、光変調装置42の画像形成領域の法線と一致する主光線の軸に対して傾斜配置される射出側透明基板45Bを有する角度可変プリズム45を設け、角度可変プリズム調整機構9により射出側透明基板45Bを傾斜させて傾斜角度(β)を調整する。
従って、角度可変プリズム調整機構9により射出側透明基板45Bを特定方向に傾斜させるという簡単な構成により、光学像を半画素ピッチずらすことができる。そして、この半画素ピッチずれた光学像と、第2光学系5から射出された光学像とを合成光学系6にて合成し、この合成された光学像を投射光学系7にて投射するため、投射画像の高精度化を実現することができる。
また、射出側基板45を傾斜させて光学像をずらすため、光学装置全体を位置調整可能とする構成を設けなくて済むので、プロジェクター1の小型化と軽量化とコストの低減が図れる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。尚、以下の説明では、既に説明した部分等については、同一符号を付してその説明を省略する。
前述した第1実施形態に係るプロジェクター1では、照明光学装置2の後段に偏光分離装置3を設け、照明光学装置2から射出した光を、P偏光とS偏光に分離し、第1光学系4でS偏光に基づいて光学像を形成して、この形成した光学像を半画素ピッチずらし、第2光学系5でP偏光に基づいて光学像を形成し、各光学像を合成光学系6で合成して投射画像を形成していた。
これに対して、第2実施形態に係るプロジェクター8では、図4に示されるように、第1光学系4及び第2光学系5のそれぞれに照明光学装置2を設け、各照明光学装置2から射出された光に基づいて、第1光学系4及び第2光学系5のそれぞれで光学像を形成し、第1光学系4では形成した光学像を半画素ピッチずらし、合成光学系6で各光学像を合成して、投射画像を形成している点が相違する。
また、前述した第1実施形態に係るプロジェクター1では、入射側チャック9Aにより入射側透明基板45Aを固定し、射出側チャック9Bにより射出側透明基板45Bを傾斜角度(β)により傾斜させていた。
これに対して、第2実施形態に係るプロジェクター8では、図5に示されるように、アクチュエータが入射側チャック9Aにより入射側透明基板45Aを傾斜させて光学画像を半画素ピッチずらす点が相違する。
各照明光学装置2の第3レンズアレイ23及び重畳レンズ24の間には、偏光変換素子81、82が設けられている。偏光変換素子81、82は、照明光学装置2から射出された光を、略1種類の直線偏光に変換するために設けられており、第1光学系4の偏光変換素子81は、照明光学装置2から射出された光をS偏光に変換する。一方、第2光学系5の偏光変換素子82は照明光学装置2から射出された光をP偏光に変換する。
偏光変換素子81、82は、一方の対角が45度、他方の対角が略135度とされた断面平行四辺形状の複数のプリズムを、斜面同士を接合して形成された板状体であり、接合される界面には、偏光分離膜と全反射ミラーが交互に蒸着形成されている。
また、偏光変換素子81、82の光射出面には、所定のピッチで複数の1/2波長位相差板が設けられている。
このような偏光変換素子81、82では、偏光分離膜を形成した面に光を入射させると、P偏光はそのまま透過して射出され、S偏光は、偏光分離膜で略直角に折り曲げられ、全反射ミラーで再度直角に折り曲げられて射出される。
射出されたP偏光、S偏光のいずれかは、後段に設けられる1/2波長位相差板によって、偏光方向が90度変換され、これにより入射した光を1種類の直線偏光に変換することが可能となる。尚、偏光変換素子81は、1/2波長位相差板が偏光分離膜に対応する位置に設けられ、偏光変換素子82は、1/2波長位相差板が全反射ミラーに対応する位置に設けられている。
アクチュエータは、入射側チャック9Aにより入射側透明基板45Aの射出側偏光板422R側の端部を射出側透明基板45Bの射出側偏光板422R側の端部に近接させる。
また、アクチュエータは入射側透明基板45Aを、入射側端面45A1の法線Aが主光線の軸に対して、所定の傾斜角度(α)となるように傾斜させる。これにより、光学像は、入射側端面45A1からY軸回りにずれる。
傾斜角度(α度)は、上述の傾斜角度(β度)と同様に、0度<α度≦10度であることが好ましく、さらに好ましくは、0度≦α度≦5度である。傾斜角度(α度)が10度を超える場合、光学像の位置を良好に補正することができない場合がある。
このような第2実施形態に係るプロジェクター8では、前述した第1実施形態に係るプロジェクター1の効果に加えて、各光学系4、5に光を供給する照明光学装置2が独立してそれぞれ設けられているため、それぞれの光学系4、5で形成する光学像の光量を多く確保することができ、投射画像の高輝度化を図ることができる。
また、各照明光学装置2を独立して駆動制御することにより、それぞれの照明光学装置2から射出される光の光量を調整することができるため、合成光学系6で合成された投射画像の輝度ムラ、色ムラ等をより少なくすることができる。
また、アクチュエータは、入射側端面45A1の法線Aを主光線の軸に対して傾斜角度(α)となるように入射側透明基板45Aを傾斜させる。したがって、光学像は、入射側端面45A1からY軸回りにずれるため、射出側透明基板45Bから光学像がずれる場合と比較して、光学像のずれる量を大きくすることができる。そのため、容易に光学像を半画素ピッチずらすことができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。尚、以下の説明では、既に説明した部分等については、同一符号を付してその説明を省略する。
前述した第1実施形態に係るプロジェクター1ではカラー偏光子44と合成光学系6との間に角度可変プリズム45を配置していた。
これに対して、第2実施形態に係るプロジェクター1Aでは、図6に示されるように、角カラー偏光子54と合成光学系6との間に角度可変プリズム55を配置している点が相違する。
角度可変プリズム55は、カラー偏光子54から射出されたS偏光を合成光学系6に供給する。合成光学系6は、角度可変プリズム55から供給されたS偏光を屈折して、投射光学系7側に反射する。
このような第3実施形態に係るプロジェクター1Aでは、前述した第1実施形態に係るプロジェクター1の効果に加えて、以下のような効果を奏する。
合成光学系6は、角度可変プリズム55から供給されたS偏光を投射光学系7側に反射する。
したがって、S偏光は入射角依存性が低いため、射出側端面45B1の傾斜角度(α)が変化しても、S偏光は、その変化に対応して合成光学系6により反射される。そのため、画素合わせをさらに精度良く行うことができる。
[実施形態の変形]
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形をも含むものである。
前記実施形態では、光変調装置として透過型の液晶パネル42R、42G、42B、52R、52G、52Bを採用していたが本発明はこれに限られず、例えば、反射型の液晶パネルや、マイクロミラーを用いたデバイスで2つの光学系を構成し、これを合成して投射画像を投射するプロジェクターに本発明を採用してもよい。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造及び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
本発明は、いわゆる6LCD型プロジェクターなどの複数の色合成光学系を備えたプロジェクターに利用することができる。
1、1A…プロジェクター、2…照明光学装置、3…偏光分離装置、4…第1光学系、5…第2光学系、6…合成光学系、7…投射光学系、8…プロジェクター、9…角度可変プリズム調整機構、9A…入射側チャック、9B…射出側チャック、21…光源装置、22…第1レンズアレイ、23…第2レンズアレイ、24…重畳レンズ、41…色分離光学装置、42…光変調装置、42R、42G、42B…液晶パネル、43…色合成光学装置、44…カラー偏光子、45…角度可変プリズム、45A…入射側透明基板、45A1…入射側端面、45A2…入射側端面、45B…射出側透明基板、45B1…射出側端面、45B2…射出側端面、51…色分離光学装置、52…光変調装置、52R、52G、52B…液晶パネル、53…色合成光学装置、54…カラー偏光子、55…角度可変プリズム、81、82…偏光変換素子、211…光源ランプ、212…リフレクタ、411、412…ダイクロイックミラー、413、414、415…反射ミラー、421R、421G、421B…入射側偏光板、422R、422G、422B…射出側偏光板、511、512…ダイクロイックミラー、513、514、515…反射ミラー、521R、521G、521B…入射側偏光板、522R、522G、522B…射出側偏光板、P1…画素、P2…画素

Claims (4)

  1. 光源装置から射出された光を、入力される画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調装置を備えた第1光学系及び第2光学系と、
    前記第1光学系及び前記第2光学系のそれぞれで形成された光学像を合成する合成光学系と、
    前記合成光学系で合成された合成光学像を投射する投射光学系と、
    を備えたプロジェクターであって、
    前記光変調装置及び前記合成光学系の間に配置され、間隔を設けて対向配置される一対の透明基板を有し、前記一対の透明基板間の間隔を調整することにより、前記一対の透明基板の少なくともいずれかの透明基板を、前記光変調装置の画像形成領域の法線に対して傾斜させる角度可変プリズムと、
    前記角度可変プリズムにおける前記一対の透明基板のうち、少なくともいずれかの透明基板の前記法線に対する傾斜角度を調整する角度可変プリズム調整機構とを備えている
    ことを特徴とするプロジェクター。
  2. 請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
    前記光源装置は、光源と、前記光源から射出された光を入射面に対して平行なP偏光と、前記入射面に対して垂直なS偏光を分離する偏光分離装置とを備え、
    前記第1光学系は、前記偏光分離装置で分離されたP偏光に基づいて光学像を形成し、
    前記第2光学系は、前記偏光分離装置で分離されたS偏光に基づいて光学像を形成する
    ことを特徴とするプロジェクター。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のプロジェクターにおいて、
    前記第1光学系及び前記第2光学系は、
    入射する光を、高波長域から低波長域、又は低波長域から高波長域に向かって、赤色光、緑色光、及び青色光に順次分離する色分離装置と、
    分離された各色光のそれぞれを、入力される画像情報に応じて変調して光学像を形成する3つの前記光変調装置と、
    各光変調装置で形成された各色光の光学像を合成する色合成光学装置と、
    前記色合成光学装置及び前記合成光学系の間に設けられ、前記緑色光の偏光方向を変更するカラー偏光子とを備え、
    前記角度可変プリズムは、前記カラー偏光子に設けられている
    ことを特徴とするプロジェクター。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のプロジェクターにおいて、
    前記角度可変プリズムは、前記第1光学系または前記第2光学系から射出されたS偏光の前記光学像を透過可能に設けられ、
    前記合成光学系は、前記角度可変プリズムと前記投射光学系との間に配置され、前記角度可変プリズムから射出された前記S偏光の光学像を反射して前記投射光学系に供給する反射偏光子を有した
    ことを特徴とするプロジェクター。
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