JP2010195983A - 樹脂組成物、該樹脂組成物を用いた硬化物、フレキシブル銅張積層板、フレキシブルプリント基板、及びフレキシブルプリント基板の製造方法 - Google Patents

樹脂組成物、該樹脂組成物を用いた硬化物、フレキシブル銅張積層板、フレキシブルプリント基板、及びフレキシブルプリント基板の製造方法 Download PDF

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義博 中井
Takuma Amamiya
拓馬 雨宮
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Abstract

【課題】フレキシブルプリント基板の用途に好適な、耐熱性と折り曲げ耐性を兼ね備えた熱硬化型の樹脂組成物、該樹脂組成物を用いた硬化物、フレキシブル銅張積層板、及びフレキシブルプリント基板の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】下記一般式(1)を構成単位として有するエチニル基を有する化合物(X)、及びポリイミド(但し、前記(X)を除く)、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリアミド酸、液晶ポリエステル、ポリエステル、シンジオタクチックポリスチレン、芳香族ポリサルホン、5−メチルペンテン樹脂、及び環状ポリオレフィンから成る群より選ばれる少なくとも1種の重合体(P)とを含有する樹脂組成物。

【選択図】なし

Description

本発明は、新規な樹脂組成物に関するものである。特に、該樹脂組成物を用いた硬化物、フレキシブル銅張積層板、フレキシブルプリント基板、及びフレキシブルプリント基板の製造方法に関するものである。
ICやLSI等の半導体素子やデバイス、プリント基板等の電子材料には、主にエポキシ樹脂組成物が使用され、各種電子・電気機器に用いられている。近年の電子機器の市場動向は、小型化、軽量化、高性能化が進んできており、これらに対応するため半導体素子やパターン配線の高集積化が年々進んできている。
これら半導体素子を封止したり、プリント基板材料に従来のエポキシ樹脂組成物を適用した場合、表面実装の際に、半田浸漬または半田リフロー工程で急激に260℃以上の高温環境下に置かれることより、樹脂組成物の硬化物に収縮が生じ、あるいは硬化物に吸湿した水分が爆発的に気化し、その応力によって半導体装置にクラックが発生したり、半導体素子、リードフレームおよびインナーリード上のメッキ部分とエポキシ樹脂組成物の硬化物との界面で剥離が生じる等の、電気的信頼性を著しく低下させる問題がある。実装時の熱応力に対応するために低粘度の樹脂成分を用い、これに無機充填材を高密度充填して樹脂組成物の硬化物の強度を向上させる手法がなされているが、硬化物の柔軟性が損なわれ、耐屈曲性が劣る傾向にあった。
また、樹脂成分として、ビフェニル型エポキシ樹脂等の結晶性エポキシ樹脂やジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等を用いて硬化物の吸水性を低減する手法が為されている。しかしながら、これらのエポキシ樹脂を使用したエポキシ樹脂組成物は、硬化物のガラス転移温度が従来よりも低くなり、高温および高湿度環境における信頼性に劣るものとなり、特にJIS C6471に記述されている半田耐熱性試験において、260℃を超える半田耐熱性試験でフクレ(気泡)や剥離が発生し易いという課題があった。
この様な課題に対し、銅箔と基材フィルムとの間の接着剤に熱硬化型のイミド系樹脂を配合する技術が提案されている(例えば、特許文献1、2)。しかしながら、これら提案されている樹脂組成物は耐熱性が低く、260℃での半田耐熱性には耐えうるものの、リワーク時等に必要な、更に高い300℃を超える半田耐熱温度、または長時間(〜1分)での耐性が乏しいとの課題があった。具体的には、高温で接着剤が可塑化し、接着強度が低下し易い傾向があった。
特開2003−105306号公報 特開2004−87897号公報
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、フレキシブルプリント基板の用途に好適な、耐熱性と折り曲げ耐性を兼ね備えた熱硬化型の樹脂組成物、該樹脂組成物を用いた硬化物、フレキシブル銅張積層板、及びフレキシブルプリント基板の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、特定構造を持つエチニル基を有する化合物と特定の重合体とを組み合わせることで、高温での接着強度、硬化後の耐熱性、折り曲げ耐性に優れた樹脂組成物、該樹脂組成物を用いた硬化物、フレキシブル銅張積層板、フレキシブルプリント基板、及びフレキシブルプリント基板の製造方法を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の上記課題は、下記の手段によって解決される事が見出された。
<1> 下記一般式(1)を構成単位として有するエチニル基を有する化合物(X)、及びポリイミド(但し、前記(X)を除く)、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリアミド酸、液晶ポリエステル、ポリエステル、シンジオタクチックポリスチレン、芳香族ポリサルホン、5−メチルペンテン樹脂、及び環状ポリオレフィンから成る群より選ばれる少なくとも1種の重合体(P)とを含有する樹脂組成物:
(一般式(1)中、Aは(l+m)価の炭化水素基を表す。但し、Aは同一炭素原子から3つ以上の芳香環が直結する場合を含まない。Aは単結合又は2価の炭化水素基を表す。Rは水素原子または炭化水素基を表す。Arは(a+1)価のアリール基または芳香族ヘテロ環基を表す。X、Xは、互いに独立に、単結合又は2価の連結基を表す。a、l、m、nはそれぞれ独立に1以上5以下の整数を表す。但しm、n共に1となる場合を除く。)。
<2> 前記エチニル基を有する化合物(X)が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする<1>に記載の樹脂組成物:
(一般式(2)中、Aは4官能の炭化水素基を表す。Bは前記一般式(1)より導かれる連結基を表す。R及びRは炭化水素基であって、少なくとも一方が下記一般式(3)で表される基を表す。kは1以上の整数である。);
(一般式(3)中、R、Ar、aは、一般式(1)におけるのと同義である。)。
<3> 前記エチニル基を有する化合物(X)の分子量が100,000以下である<1>または<2>に記載の樹脂組成物。
<4> 前記重合体(P)がポリイミド、ポリアミド酸、及び液晶ポリエステルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<5> <1>〜<4>のいずれかに記載の樹脂組成物を塗布した後、100℃〜400℃で熱処理した硬化物。
<6> <1>〜<4>のいずれかに記載の樹脂組成物及び銅箔を含むフレキシブル銅張積層板。
<7> <1>〜<4>のいずれかに記載の樹脂組成物を、銅箔及び基材フィルムで挟んでなるフレキシブル銅張積層板。
<8> 配線化されたフレキシブル銅張積層板上に、<1>〜<4>のいずれかに記載の樹脂組成物を、銅配線を覆う様に層形成してなるフレキシブルプリント基板。
<9> 前記配線化されたフレキシブル銅張積層板が、<6>又は<7>に記載のフレキシブル銅張積層板を用いて形成された<8>に記載のフレキシブルプリント基板。
<10> 配線化されたフレキシブル銅張積層板上に、<1>〜<4>のいずれかに記載の樹脂組成物を、銅配線を覆う様に塗布した後、熱硬化処理するフレキシブルプリント基板の製造方法。
<11> 前記配線化されたフレキシブル銅張積層板が、<6>又は<7>に記載のフレキシブル銅張積層板を用いて形成された<10>に記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
発明の樹脂組成物は、熱硬化性を有し、接着強度が高く、耐熱性にも優れる。
本発明の樹脂組成物を適用したフレキシブル銅張積層板は、銅箔との密着強度が高く、このフレキシブル銅張積層板を使用したフレキシブルプリント基板は、リフロー時やリワーク時等の半田耐熱性が良好であり、折り曲げ耐性に優れている。
従来、単純に樹脂の耐熱性を高くした場合、概ねフレキシブルプリント基板の耐屈曲性が低下する傾向にあり、逆に、耐屈曲性を向上させるために柔らかい樹脂を選択した場合には半田耐熱性が低下する傾向にあった。本発明の樹脂組成物は、エチニル基を有する化合物(X)と重合体(P)とを併用することによって、耐熱性と耐屈曲性を両立することを可能にしたものである。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
[エチニル基を含有する化合物(X)]
本発明に用いられるエチニル基(−C≡C−)を有する化合物(X)は、下記一般式(2)で表される。
一般式(2)中、Aは4官能の炭化水素基を表す。Aで表される炭化水素基は、無置換であっても、任意に置換されていてもよく、また環状又は非環状であっても良い。
Bは前記一般式(1)より導かれる連結基を表す。Bで表される連結基は、無置換でも置換されていてもよく、また環状であっても非環状であっても良い。
kは1以上の整数である。
及びRは炭化水素基であって、少なくとも一方が下記一般式(3)で表される基を表す。
一般式(3)中、Rは水素原子又は炭化水素基を表す。Arは(a+1)価のアリール基又は芳香族ヘテロ環基を表す。aは、1以上5以下の整数を表す。
Aは4官能の炭化水素基であって、無置換であっても、任意に置換されていてもよく、また環状又は非環状であっても良い。説明の都合上、炭化水素基名を化合物の名称として示す。置換位置はいずれの位置でも良く、特に限定されない。具体的な例を挙げると、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ベンゾフェノン、ジフェニルサルホン、ジフェニルメタン、2、2‘−ジフェニルプロパン、芳香族ジエステル、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロブタン、及びこれらのハロゲン原子や炭化水素基による置換体を含む各種誘導体が利用可能であるが、本発明に使用できる具体的な単量体(テトラカルボン酸無水物)は後述する。
Bは連結基である。説明の都合上、炭化水素基名を化合物の名称として示す。置換位置はいずれの位置でも良く、特に限定されない。具体的な例を挙げると、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ベンゾフェノン、ジフェニルサルホン、ジフェニルメタン、2、2−ジフェニルプロパン、芳香族ジエステル、9,9−ジフェニルフルオレン、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロブタン、及びこれらのハロゲン原子や炭化水素基による置換体を含む各種誘導体が利用可能であるが、本発明に使用できる具体的な単量体(ジアミン)は後述する。
及びRは、脂肪族や芳香族の炭化水素基であって、少なくとも一方が前記一般式(3)で表される基である。前記一般式(3)で表される基では無い場合は、特にその構造が限定されるものではないが、アルキル基、アルケニル基、フェニル基やナフチル基等の芳香族炭化水素基、そしてこれらのハロゲン原子や他の炭化水素基で置換されたものが使用できる。
kは1以上の整数であり、好ましくは2以上、より好ましくは3以上である。
aは1〜5の整数であり、好ましくは1〜3、より好ましくは1又は2である。
好ましくは、前記エチニル基を有する化合物(X)が、下記一般式(1)で表される化合物から誘導される構成単位を有する化合物である。特に好ましくは、一般式(1)で表される化合物とテトラカルボン酸無水物との反応により得られる化合物である。
以下、この一般式(1)で表される化合物について詳細に説明する。
一般式(1)中、Aは(l+m)価の炭化水素基を表す。但し、Aは同一炭素原子から3つ以上の芳香環が直結する場合を含まない。Aは単結合又は2価の炭化水素基を表す。Ar、R及びaは、一般式(3)におけると同義である。X、Xは、互いに独立に、単結合又は2価の連結基を表す。l、m、nはそれぞれ独立に1以上5以下の整数を表す。但しm、n共に1となる場合を除く。
で表される(l+m)価の炭化水素基は、無置換でも、更に置換されていてもよく、又、環状であっても非環状であっても良い。但し、Aは同一炭素原子から3つ以上の芳香環が直結する場合を含まない。
次に、Aで表される(l+m)価の炭化水素基について詳しく説明するが、説明の都合上、炭化水素基名を1価基の名称で示す。更に高次の場合は、それぞれの1価基を元に対応する高次基を示すものとする。
で表される無置換の炭化水素基としては炭素数1〜20の直鎖または分岐の脂肪族基、炭素数3〜20の脂環式基、炭素数6〜20の芳香環基が挙げられる。前記直鎖または分岐の脂肪族基としては、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基など)、アルケニレン基(例えばプロペニル基、ブテニル基など)などが、脂環式基としては、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メンチル基など)、シクロアルケニル基(例えばシクロへキセニル基など)、及び脂環式多環基(例えばボルニル基、ノルボニル基、デカリニル基、アダマンチル基、ジアマンチル基など)などが挙げられる。
で表される芳香環としては、例えばベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、アントラセン環、インデン環、インダン環、及びビフェニル環などが挙げられる。
で表される任意に置換されてもよい環状または非環状の炭化水素基としては、上で例示した無置換の炭化水素基に対してハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基、アミド基、炭素数1〜20のアルコキシ基(例えばメトキシ基、ブトキシ基、ドデシルオキシ基)、炭素数1〜20のアシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、N−メチルアセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基など)、炭素数6〜20のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基など)、ヒドロキシル基、シリル基等で任意の位置で置換された構造を持つ炭化水素基が挙げられる。
これらの中でも、Aとしては、高引張弾性率、高ガラス転移点が得られるという観点から、(l+m)価のアルキル基、シクロアルキル基、脂環式多環基、又は芳香環基(例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等)が好ましく、(l+m)価のアルキル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基、アダマンチル基、又はフェニル基がより好ましく、原料の入手性や製造の容易性の観点で、特にフェニル基が好ましい。
は、単結合、又は(n+1)価の無置換又は任意に置換されていてもよい環状又は非環状の炭化水素基を表す。
次に、Aで表される(n+1)価の炭化水素基について詳しく説明するが、説明の都合上、炭化水素基名を1価基の名称で示す。更に高次の場合は、それぞれの1価基を元に対応する高次基を示すものとする。
で表される無置換の炭化水素基としては炭素数1〜20の直鎖または分岐の脂肪族基、炭素数3〜20の脂環式基、炭素数6〜20の芳香環基が挙げられる。前記直鎖または分岐の脂肪族基としては、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基など)、アルケニレン基(例えばプロペニル基、ブテニル基など)などが、脂環式基としては、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メンチル基など)、シクロアルケニル基(例えばシクロへキセニル基など)、脂環式多環基(例えばボルニル基、ノルボニル基、デカリニル基、アダマンチル基、ジアマンチル基など)などが挙げられる。芳香環としては、例えばベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、アントラセン環、インデン環、インダン環、ビフェニル環などが挙げられる。
で表される任意に置換されてもよい環状または非環状の炭化水素基としては、上で例示した無置換の炭化水素基に対してハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基、アミド基、炭素数1〜20のアルコキシ基(例えばメトキシ基、ブトキシ基、ドデシルオキシ基)、炭素数1〜20のアシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、N−メチルアセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基など)、炭素数6〜20のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基など)、ヒドロキシル基、シリル基等で任意の位置で置換された構造を持つ炭化水素基が挙げられる。
これらの中でも、高引張弾性率、高ガラス転移点が得られるという観点から、Aとしては、(n+1)価のアルキル基、シクロアルキル基、脂環式多環基、芳香環基(例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等)が好ましい。
としては、原料の入手性や製造の容易性の観点で、特に単結合が好ましい。
Arは、(a+1)価の任意に置換されてもよい芳香環基又はヘテロ環基を表す。
次に、Aで表される(a+1)価の芳香環基又はヘテロ環基について詳しく説明するが、説明の都合上、1価基の名称で示す。更に高次の場合は、それぞれの1価基を元に対応する高次基を示すものとする。
芳香環としては、ベンゼン環、インデン環、インダン環、ナフタレン環、ビフェニル環、テトラリン環等が、ヘテロ環としてはフラン環、チオフェン環、ピロール環、ピラン環、チオピラン環、ピリジン環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、ピリミジン環、トリアジン環、インドール環、キノリン環、プリン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、キノキサリン環、カルバゾール環などが挙げられる。
これらの中でも、高い引張弾性率と高い耐熱性(ガラス転移点)が得られるという観点から、芳香環としては、ベンゼン環、インデン環、インダン環、ナフタレン環、ビフェニル環が、ヘテロ環としては、ピリジン環、ピリミジン環、トリアジン環、インドール環、キノリン環、プリン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、キノキサリン環、カルバゾール環などが好ましく、芳香環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環が、ヘテロ環としては、ピリジン環、トリアジン環、インドール環、キノリン環がより好ましい。原料の入手性や製造の容易性の観点で、特に、ベンゼン環が好ましい。
芳香環またはヘテロ環は他の置換基によって置換されていてもよい。その置換基としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、Ν−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−リールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイト基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−Ν−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、アリールカルボニルオキシ基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、アルキルアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、モノアリールホスフォノ基、ジアルキルホスフォノオキシ基、ジアリールホスフォノオキシ基、アルキルアリールホスフォノオキシ基、モノアルキルホスフォノオキシ基、モノアリールホスフォノオキシ基、モルホリノ基、シアノ基、ニトロ基が挙げられる。
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基等が挙げられる。アシル基(GCO−)におけるGとしては、水素、ならびに上記のアルキル基、アリール基を挙げることができる。
アラルキル基としては、上記のアルキル基に上記のアリール基が置換したものを挙げることができる。
これら置換基のうち、原料の入手性や製造の容易性の観点で、好ましいものとしてはハロゲン原子(−F、−Br、−Cl)、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカバモイルオキシ基、アシルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、アリールカルボニルオキシ基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、シアノ基が挙げられる。
これら置換基のうち、より好ましいものとしてはハロゲン原子(−F、−Cl)、アルキル基(メチル基、トリフロロメチル基、エチル基、トリフロロエチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基)、アリール基(フェニル基、トリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基)、アリーロキシ基(フェノキシ基)、アシルオキシ基(アセトキシ基、プロピオニルオキシ基)、アセチル基、アセトキシ基、ベンゾイル基、ベンゾイルオキシ基、アシルアミノ基(アセチルアミノ基)が挙げられる。
これらの中でも、原料の入手性や製造の容易性の観点で、Arとしては、(a+1)価のハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、炭素数6〜10のアリール基、アリーロキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基で置換された、或いは無置換のベンゼン、ビフェニル、ナフタリン、ピリジン、トリアジン、インドール、キノリンが好ましく、(a+1)価のクロル原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、炭素数6〜10のアリーロキシ基、アラルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基で置換された、或いは無置換のベンゼン、ビフェニル、ピリジン、トリアジン、がより好ましく、更に、(a+1)価の炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、炭素数6〜10のアリーロキシ基、アラルキル基、シアノ基で置換された、或いは無置換のベンゼン、ビフェニルがより好ましい。特に、(a+1)価の無置換のベンゼン、又はビフェニルが好ましい。
は、単結合又は2価の連結基を表すが、その構造は特に限定されない。例えば、具体的には−OCO−、−COO−、−NRCO−、−CONR−、−NRCOO−、−OCONR−、−NRCONR−、−OCOO−、−OCS−、−NRCS−、−NRCSNR−、−OCSO−、−SO−、−SO−、−O−、−S−、−NR−、−CO−、−CS−、及び単結合から構成される群から選ばれる一つまたは二つ以上を併用することができる。Rは、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。中でも、高い引張弾性率と高い耐熱性(ガラス転移温度)が得られることから、Xが単結合、−OCO−、−COO−、−NRCO−、−CONR−、−NRCOO−、−OCONR−、−NRCONR−がより好ましく、さらには−OCO−、−COO−、−NRCO−、−CONR−が特に好ましい。
は、単結合又は2価の連結基を表すが、その構造は特に限定されない。例えば、具体的には−OCO−、−COO−、−NRCO−、−CONR−、−NRCOO−、−OCONR−、−NRCONR−、−OCOO−、−OCS−、−NRCS−、−NRCSNR−、−OCSO−、−SO−、−SO−、−O−、−S−、−NR−、−CO−、−CS−、及び単結合から構成される群から選ばれる一つまたは二つ以上を併用することができる。中でも、高い引張弾性率と高い耐熱性(ガラス転移温度)が得られることから、Xが単結合、−OCO−、−COO−、−NRCO−、−CONR−、−NRCOO−、−OCONR−、−NRCONR−がより好ましく、特に単結合が好ましい。
は、水素原子、又は炭化水素基を表す。アセチレン化合物を構成単位として含む重合体の溶剤溶解性が優れ、かつ熱硬化が容易になることから、Rは、水素原子、無置換又は、任意に置換されていてもよい環状脂肪族炭化水素基又は非環状の脂肪族炭化水素基が好ましく、原料の入手性や製造の容易性の観点から、水素原子が特に好ましい。
で表される無置換の環状又は非環状の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20の直鎖または分岐の脂肪族基、炭素数3〜20の脂環式基、炭素数6〜20の脂環式多環基が挙げられる。前記直鎖または分岐の脂肪族基としては、アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、オクチル、ドデシル、ヘキサデシルなど)、アルケニレン基(例えばプロペニル、ブテニルなど)などが、脂環式基としては、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、メンチルなど)、シクロアルケニル基(例えばシクロへキセニルなど)など、脂環式多環基としては、例えばボルニル、ノルボニル、デカリニル、アダマンチル、ジアマンチルなどが挙げられる。
で表される任意に置換されていてもよい環状又は非環状の脂肪族炭化水素基としては、上記無置換の環状又は非環状の脂肪族炭化水素基に、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基、アミド基、炭素数1〜20のアルコキシ基(例えばメトキシ、ブトキシ、ドデシルオキシ)、炭素数1〜20のアシルオキシ基(例えばアセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ペンチルカルボニルオキシ、ウンデシルカルボニルオキシなど)、炭素数1〜20のアシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ、N−メチルアセチルアミノ、プロピオニルアミノなど)、アリール基(例えばフェニル、ナフチル)、ヒドロキシル基、シリル基等が任意の位置で置換された構造を持つ炭化水素基などが挙げられる。
l、m、nはそれぞれ独立に1以上の整数を表す。但し、目的とする重合体中に組み込むことが難しくなることから、mとnが共に1となる場合は除かれる。l、mがそれぞれ2以上の場合、複数存在するR、Ar、X、X、及びAはそれぞれ独立に、同じでも異なっていてもよい。
a、l、m、nとしては高い引張弾性率と高い耐熱性(ガラス転移温度)が得られるという観点から、それぞれ独立に1〜4で(l+m)は3以上が好ましく、更に、a、l、m、nが、それぞれ独立に1〜3で(l+m)は3以上が好ましい。特に、原料の入手性や製造の容易性の観点で、a、l、m、nが、それぞれ独立に1〜2で(l+m)=3が好ましい。
以下にこの一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが、これらにより本発明が限定されるものではない。




[エチニル基を有する化合物(X)]
本発明におけるエチニル基を含有する化合物(X)は、前項で説明した化合物の如く単量体であっても、あるいは重合体であっても良い。重合体としては、付加重合体であっても縮合体であっても良い。
重合体の基幹骨格は芳香族、脂肪族のいずれでもよく、主鎖又は側鎖にシリコーン、フルオレン等を含んでもよいが、芳香族であることが望ましい。
本発明に於けるエチニル基を有する化合物(X)としては、前記一般式(1)で表されるエチニル基を有する単量体を必須成分とする以外は特に限定されないが、分子内に−COOH基、−COOR’基(R’は炭素数1〜12の炭化水素基を表す)、−CSOH基、−COSH基、−CSSH基、−NCO基、−NSO基のいずれかを2つ持つ化合物、分子内にアミノ基を2個以上持つ置換または無置換の炭化水素化合物(アミン化合物)、酸無水物、ポリオール化合物、さらに必要に応じてアルデヒド化合物と共に反応させる事により調製することができる。
<分子内に−CHO基、−COOH基、−COOR’基、−CSOH基、−COSH基、−CSSH基、−NCO基、−NSO基のいずれかを2つ持つ化合物>
分子内に−CHO基、−COOH基、−COOR’基、−CSOH基、−COSH基、−CSSH基、−NCO基、−NSO基のいずれかを2つ持つ化合物としては、ジアルデヒド類(例えばテレフタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、フタルアルデヒド、4−メチルフタルアルデヒド、4−メチルイソフタルアルデヒド、2,5−ジメチルテレフタルアルデヒド、1,4−シクロヘキサンジアルデヒド、2−フルオロ−1,4−ベンゼンジアルデヒド、3−メトキシ−1,4−ベンゼンジアルデヒド、1,6−ヘキサンジアルデヒド、4,4’−ジアルデヒドビフェニル、2,2−ビス(4−アルデヒドフェニル)プロパン、1,3−ジアセチルベンゼン、1,4−ジアセチルシクロヘキサンなど)、ジカルボン酸類(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−メチルイソフタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−フルオロ−1,4−ベンゼンジカルボン酸、3−メトキシ−1,4−ベンゼンジカルボン酸、1,6−ヘキサンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシビフェニル、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)プロパン、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、4,4’−ジカルボキシビフェニルエーテル、3,3’−ジカルボキシビフェニル、2,2−ビス(3−カルボキシフェニル)プロパン、ビス(3−カルボキシフェニル)スルホン、3,3’−ジカルボキシベンゾフェノン、4,4’−ジカルボキシ−3,3’−ジメチルビフェニルエーテル、4,4’−ジカルボキシ−3,3’−ジメチルビフェニル、2,2−ビス(4−カルボキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−カルボキシ−3−メチルフェニル)スルホン、4,4’−ジカルボキシ−3,3’−ジメチルベンゾフェノン、4,4’−ジカルボキシ−3,3’−ジクロルビフェニル、2,2−ビス(4−カルボキシ−3−クロルフェニル)プロパン、ビス(4−カルボキシ−3−クロルフェニル)スルホン、4,4’−ジカルボキシ−3,3’−ジクロルベンゾフェノン)、ジエステル類(例えばイソフタル酸メチルエステル、テレフタル酸ジメチルエステル)、ジチオカルボン酸類(例えばヘキサンジチオーs−酸、ヘキサンジチオジカルボン酸)、ジカルバメート類(例えばN−フェのキシ)、チオカルバミンサンジエステル類(例えば)、ジイソシアネート類(例えばトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート)、ジチオイソシアネート類(例えば1,4−フェニレンジチオイソシアネート、1,3−フェニレンジチオイソシアネート、1,4−シクロヘキシルジイソチオシアネート、5−メチルー1,3−フェニレンジチオイソシアネート)などを単独、または二種以上を併用することができる。
<分子内にアミノ基を2個以上持つ置換または無置換のアミン化合物>
本発明におけるエチニル基を有する化合物(X)の合成に使用可能なアミン化合物は特に限定されないが、高い引張弾性率と高い耐熱性(ガラス転移温度)が得られるという観点から、ジアミン化合物が望ましい。具体的には、以下のジアミン化合物が例示される。p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノ−2−メチルベンゼン、1,3−ジアミノ−4−メチル−ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−クロル−ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−アセチルアミノ−ベンゼン、1,3−ビスアミノエチル−ベンゼン、ヘキサメチレンジアミン、3,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジクロルビフェニル、2,2’− ジフルオロ−4,4’− ジアミノビフェニル、3,3’− ジフルオロ−4,4’− ジアミノビフェニル、2,2’−ジフルオロ−5,5’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジフルオロ−5,5’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’− ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−5,5’−ジアミノビフェニル、3,3’− ジクロロ−5,5’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジブロモ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’− ジブロモ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジブロモ−5,5’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジブロモ−5,5’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス( トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミンビフェニル、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−5,5’−ジアミノビフェニル、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−5,5’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリクロロメチル)−4,4’−ジアミンビフェニル、3,3’−ビス(トリクロロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリクロロメチル)−5,5’−ジアミノビフェニル、3,3’−ビス(トリクロロメチル)−5,5’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリブロモメチル)−4,4’−ジアミンビフェニル、3,3’−ビス(トリブロモメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリブロモメチル)−5,5’−ジアミノビフェニル、3,3’−ビス(トリブロモメチル)−5,5’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−クロルフェニル)スルホン、ビス( 4 − アミノフェニル) スルホン、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、ビス(5−フルオロ−4− アミノフェニル)スルホン、ビス(5−フルオロ−3−アミノフェニル)スルホン、ビス(5−クロロ−4−アミノフェニル)スルホン、ビス(5−クロロ−3− アミノフェニル)スルホン、ビス(5−ブロモ−4− アミノフェニル)スルホン、ビス(5− ブルモ−3−アミノフェニル)スルホン、ビス(5−トリフルオロメチル− 4 − アミノフェニル) スルホン、ビス(5−トリフルオロメチル−3−アミノフェニル)スルホン、ビス(5−トリクロロメチル−4−アミノフェニル)スルホン、ビス(5−トリクロロメチル−3− アミノフェニル)スルホン、ビス(5−トリブルモメチル−4−アミノフェニル)スルホン、ビス(5−トリブロモメチル−3−アミノフェニル)スルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’− ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジクロルベンゾフェノン、3,3’− ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2− ジ(4− アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−クロルフェニル)プロパン、1,1− ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3− アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3− ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(5−フルオロ−4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(5−フルオロ−3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(5−クロロ−4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(5−クロロ−3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(5−ブロモ−4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(5−ブロモ−3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(5−トリフルオロメチル−4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(5−トリフルオロメチル−3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(5−トリクロロメチル−4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(5−トリクロロメチル−3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(5−トリブロモメチル−4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(5−トリブロモメチル−3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4 − アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ジアミノポリシロキサンなどを単独、または二種以上を併用することができる。
上記例示したアミン化合物は、アミン化合物の芳香環上の水素原子の一部、若しくは全てをフッ素原子、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、及びトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換したジアミンであってもよい。また、分岐を導入する目的で、アミン化合物の一部をトリアミン化合物、テトラアミン化合物と代えてもよい。このようなトリアミン化合物の具体例としては、例えばパラローズアニリン等が挙げられる。
<酸無水物>
本発明におけるエチニル基を有する化合物(X)の合成に使用可能な酸無水物としては、特に限定されないが、具体的には例えば、以下のものが挙げられる。ピロメリット酸二無水物、3−フルオロピロメリット酸二無水物、3−クロロピロメリット酸二無水物、3−ブロモピロメリット酸二無水物、3−トリフルオロメチルピロメリット酸二無水物、3−トリクロロメチルピロメリット酸二無水物、3−トリブロモメチルピロメリット酸二無水物、3, 6−ジフルオロピロメリット酸二無水物、3,6−ジクロロピロメリット酸二無水物、3,6− ジブロモピロメリット酸二無水物、3,6−ビストリフルオロメチルピロメリット酸二無水物、3,6−ビストリクロロメチルピロメリット酸二無水物、3,6−ビストリブロモメチルピロメリット酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4− ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3− ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4− ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ビフェニル二無水物、2,2−ビス[(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン酸二無水物、4,4’−ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−メチルフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−(2,3−ジメチルフェニレン)ビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、1,4−ナフタレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、2,6−ナフタレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、2,2−ビス[4−(トリメリット酸モノエステル酸無水物)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(トリメリット酸モノエステル酸無水物)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物、1−(2,3−ジカルボキシフェニル)−3−(3, 4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などを単独、または二種以上を併用することができる。
上記例示した酸無水物は、適宜単独で、又は混合して用いることができる。また、上記テトラカルボン酸二無水物のいずれも、それらの芳香環上の水素原子の一部、若しくは全てをフッ素原子、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、及びトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換して用いることもできる。
また、酸無水物の一部をヘキサカルボン酸三無水物類、オクタカルボン酸四無水物類と代えてもよい。
<ポリオール>
本発明におけるエチニル基を有する化合物(X)の合成にポリオールを使用する場合の使用可能なポリオール化合物としては、特に限定されないが、具体的には例えば、以下のものが挙げられる。例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−ヒドロキシフェニル)スルホン、3,3’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルビフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロルビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロルフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−クロルフェニル)スルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジクロルベンゾフェノン、1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2−メチルベンゼン、1,3−ジヒドロキシ−4−メチル−ベンゼン、1,3−ジヒドロキシ−4−クロル−ベンゼン、1,3−ジヒドロキシ−4−アセトキシ−ベンゼン、1,3−ビスヒドロキシエチル−ベンゼン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンポリオール、ヘキサンポリオール、シクロヘキサンポリオール、1,6−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、ネオペンチルグリコールなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。これらは単独、または二種以上を併用することができる。
<アルデヒド>
本発明を構成するエチニル基を含有する化合物(X)にアルデヒド化合物を使用する場合の使用可能なアルデヒド化合物としては、特に限定されないが、具体的には例えば、以下のものが挙げられる。ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トリオキサン、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒドなどが挙げられる。これらは単独、または二種以上を併用することができる。これらの中でもホルムアルデヒド、アセトアルデヒドが好ましい。
<その他の成分>
本発明を構成するエチニル基を含有する化合物(X)には、その他の構成単位として、ジカルボン酸類、ジエステル類、ジウレア類、ジイソシアネート類などを含むこともできる。
<エチニル基を有する化合物(X)の合成方法>
本発明におけるエチニル基を有する化合物(X)の製造方法には、特に制限されないが、前述のエチニル基を有する単量体、ジアミン、及び酸無水物などの混合物を用いることができる。
例えば、本発明におけるエチニル基を有する化合物(X)を製造する方法としては、ポリアミド酸を経由した後に閉環してイミド化する方法、ポリイソイミドを経由する方法、一部をイミド化した後にさらにポリアミド酸を経由してブロックポリイミドとする方法等が利用できるが、本発明に含まれるエチニル基を含有する化合物を製造する上では特に制限されない。ジアミン等のアミン化合物を溶解した有機溶媒中に、酸無水物を分散し、攪拌することで完全に溶解させ重合させる方法、酸無水物を有機溶媒中に溶解及び/または分散させた後、アミン化合物を用いて重合させる方法、酸無水物とアミン化合物の混合物を有機溶媒中で反応させて重合する方法など、公知の重合方法を用いることができる。
イミド化においては、ポリアミド酸の環化により水が生成するが、この水を、ベンゼン、トルエン、キシレンやテトラリン等と共沸させて反応系外に除去することにより、イミド化を促進することが好ましい。更に、無水酢酸等の脂肪族酸無水物や芳香族酸無水物のような脱水剤を使用すれば、イミド化反応が進行し易くなる。
又、必要に応じて反応系に重縮合促進剤を加え、反応を速やかに完結させることもできる。このような重縮合促進剤としては、塩基性重縮合促進剤及び酸性重縮合促進剤を用いることができ、両者を併用することもできる。前記塩基性重縮合促進剤としては、例えばN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、2,4−ルチジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、N−メチルモルホリン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン等を挙げることができる。酸性重縮合促進剤としては、例えば安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸、4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、リン酸、p−フェノールスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、クロトン酸等を挙げることができる。
上記の重縮合促進剤の使用量は、ジアミン成分に対して1モル%〜50モル%、好ましくは5モル%〜35モル%であって、これらの重縮合促進剤を用いることにより、反応温度を低く設定することができるため、しばしば着色を引き起こす原因とされている加熱による副反応が防げるだけでなく、反応時間も大幅に短縮でき、経済的である。
ポリアミド酸の重合温度として60℃以下が好ましく、さらに、40℃以下であることが反応を効率良く、しかもポリアミド酸の粘度が上昇しやすいことから好ましい。
<反応溶媒>
本発明を構成するエチニル基を含有する化合物の製造に用いることができる溶媒としては、例えばテトラメチル尿素、N,N−ジメチルエチルウレアのようなウレア類、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、テトラメチルスルフォンのようなスルホキシドあるいはスルホン類、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ−ブチルラクトン、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド類、またはホスホリルアミド類の非プロトン性溶媒、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化アルキル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、フェノール、クレゾールなどのフェノール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、p−クレゾールメチルエーテルなどのエーテル類等が挙げられる。通常はこれらの溶媒を単独で用いるが、必要に応じて2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。これらのうちDMF、DMAc、NMPなどのアミド類が好ましく使用される。
本発明に用いられるエチニル基を有する化合物(X)の分子量は、溶液粘度を適性化する目的から、10万以下であることが好ましい。より好ましくは、500以上8万以下、さらに好ましくは1000以上5万以下である。
分子量が10万を超えると、エチニル基を有する化合物(X)の溶液粘度が高くなり、薄膜の電極に加工し難くなるので好ましくない。
分子量が500未満以下では、得られる重合体の機械的強度が低下し、電極として非常に外的衝撃等に弱くなるので好ましくない。
[重合体(P)]
本発明に用いることができる重合体(P)としては、ポリイミド(ただし、上記(A)を除く)、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリアミド酸、液晶ポリエステル、ポリエステル、シンジオタクチックポリスチレン、芳香族ポリサルホン、5−メチルペンテン樹脂、環状ポリオレフィンから選ばれた少なくとも1種である。耐熱性と耐屈曲性とのバランスに優れることから、ポリイミド(ただし、上記(A)を除く)、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリアミド酸、液晶ポリエステル、ポリエステルが好ましく、より好ましくはポリイミド(ただし、上記(A)を除く)、ポリアミド、ポリアミド酸、液晶ポリエステルである。
<ポリイミド>
ポリイミドとしては、前述したジアミンと酸無水物から構成されるものであれば特に限定されないが、本発明の目的を達成するためには、上記エチニル基を有する化合物(X)は除外される。
−化合物(X)以外のエチニル化合物−
エチニル基を導入する手段としては、上述した一般式(1)で表される単量体を構成単位とする以外にも、他のエチニル基を含有する単量体を構成単位として導入することができる。この様な単量体としては、エチニル基を含有した酸無水物、またはエチニル基を含有したアミン化合物を利用することができる。これら単量体を利用することによって、エチニル基を含有する化合物構造の末端にエチニル基を導入することが可能となる。
この様なエチニル基を含有した酸無水物としては、4−エチニル無水フタル酸、3−エチニル無水フタル酸、4−フェニルエチニル無水フタル酸、3−フェニルエチニル無水フタル酸、エチニルナフタレンジカルボン酸無水物、フェニルエチニルナフタレンジカルボン酸無水物、エチニルアントラセンジカルボン酸無水物、フェニルエチニルアントラセンジカルボン酸無水物、4−ナフチルエチニル無水フタル酸、3−ナフチルエチニル無水フタル酸、ナフチルエチニルナフタレンジカルボン酸無水物、ナフチルエチニルアントラセンジカルボン酸無水物、4−アントラセニルルエチニル無水フタル酸、3−アントラセニルエチニル無水フタル酸、アントラセニルエチニルナフタレンジカルボン酸無水物、アントラセニルエチニルアントラセンジカルボン酸無水物などが挙げられ、これらの芳香族上の水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。なお、入手のしやすさを考慮に入れると、4−フェニルエチニル無水フタル酸、4−エチニル無水フタル酸の使用が望ましい。これらは単独で、若しくは2種類以上を併用しても良い。
この様なエチニル基を含有したアミン化合物としては、3−アミノフェニルアセチレン、4−アミノフェニルアセチレン、3−フェニルエチニルアニリン、4−フェニルエチニルアニリン、3−ナフチルエチニルアニリン、4−ナフチルエチニルアニリン、3−アントラセニルエチニルアニリン、4−アントラセニルエチニルアニリンなどが挙げられ、芳香族上の水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。なお、入手のしやすさを考慮に入れると、3−アミノフェニルアセチレン、4−アミノフェニルアセチレン、3−フェニルエチニルアニリン、4−フェニルエチニルアニリンの使用が望ましい。これらは単独で、若しくは2種類以上を併用しても良い。
<ポリエーテルイミド>
ポリエーテルイミドとしては以下のが利用できる。
<シンジオタクチックポリスチレン>
シンジオタクチックポリスチレンは、メタロセン触媒を使用して構造制御することにより得られるものが利用できる・
<5−メチルペンテン樹脂>
5−メチルペンテン樹脂は、下記の構造単位を有するものが利用できる。
<環状ポリオレフィン>
環状ポリオレフィンとしては、下記の構造単位を有するポリノルボルネン樹脂などの環状オレフィンを構造単位に含むものが利用できる。
<ポリアミド、ポリアミド酸>
ポリアミドとしては、1,4−ジアミノブタン/アジピン酸を縮合重合して得られるポリアミド−4,6、ヘキサメチレンジアミン及びテレフタル酸から得られるポリアミド−6T、テレフタル酸の一部をイソフタル酸もしくはアジピン酸で置換した変性ポリアミド−6T,ε−カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン及びテレフタル酸を共重合してなるポリアミド−6/6T、ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸及びテレフタル酸を共重合してなるものや、カルボン酸を有するポリアミド酸が好ましい。
<芳香族ポリサルホン>
芳香族ポリサルホンとしては、以下の構造のものが好ましい。
<液晶ポリエステル>
液晶ポリエステルとしては、以下の構造のものが好ましい。
<ポリエステル>
ポリエステル(液晶ポリエステルを除く)としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのホモポリエステル、あるいはこれらを主たる構成成分とするコポリエステルである。コポリエステルの場合は、共重合成分である他のジカルボン酸ならびにグリコール成分の量は30モル%以下であることが好ましい。共重合する酸成分としては、例えばイソフタル酸、スルフォキシイソフタール酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、オキシ安息香酸などのオキシカルボン酸などが挙げられ、また、ジオ−ル成分としては、例えばプロピレングリコール、トリメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1、4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
[その他の構成成分]
本発明の樹脂組成物を構成するその他の構成成分としては、特に限定されないが、溶媒、有機または無機の粒子、有機または無機の繊維、その他の有機または無機重合体等が挙げられる。塗布やコーティング等のハンドリングや硬化処理が容易である観点から、本発明の樹脂組成物は溶媒を含有することが好ましい。
[溶媒]
好ましい態様例である溶液に用いることのできる溶媒としては、特に限定はされないが、例えばアミド系溶媒(例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチルー2−ピロリドン)、スルホン系溶媒(例えばスルホラン)スルホキシド系溶媒(例えばジメチルスルホキシド)、ウレイド系溶媒(例えばテトラメチルウレア)、エーテル系溶媒(例えばジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル)、ケトン系溶媒(例えばアセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン)、炭化水素系溶媒(例えばトルエン、キシレン、n−デカン)、ハロゲン系溶媒(例えばテトラクロロエタン、クロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム)、ピリジン系溶媒(例えばピリジン、γ−ピコリン、2,6−ルチジン)、エステル系溶媒(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル)、およびニトリル系溶媒(例えばアセトニトリル)を単独或いは併用して用いる。このうち重合体の溶解性が良好であるという観点から、好ましくはアミド系溶媒、スルホン系溶媒、スルホキシド系溶媒、ウレイド系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン系溶媒、ピリジン系溶媒、およびニトリル系溶媒であり、更に好ましくはアミド系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン系溶媒、およびニトリル系溶媒であり、更に好ましくはアミド系溶媒およびニトリル系溶媒である。これらは、用いるエチニル基を有する化合物(X)や重合体(P)に対する溶解性を示すものが選択されることが好ましく、これら溶媒は単独又は二種類以上を混合して用いても良い。
[樹脂組成物の組成比率]
エチニル基を有する化合物(X)と重合体(P)の配合割合は、特に限定されるものではないが、本発明の目的である低温硬化性および耐熱性、耐屈曲性を兼備させるフレキシブルプリント基板を得る観点から、エチニル基を有する化合物(X)/重合体(P)との混合比は、質量比で5/95〜95/5、より好ましくは10/90〜90/10である。さらに好ましくは、20/80〜80/20である。
組成比率が上記の範囲内にある場合、低温硬化性、耐熱性、耐屈曲性を有した樹脂組成物を得ることができる。また、組成比率が上記の範囲内にない場合、低温硬化性、耐熱性、耐屈曲性のいずれかの物性が低下した樹脂組成物になる。
[助剤]
なお、本発明の樹脂組成物中には、上記バインダー樹脂および溶剤のほかに、フィラー、酸化防止剤、UV吸収剤、染料、顔料、帯電防止剤、難燃剤等を配合してもよい。また、樹脂組成物や硬化物の性能を損なわない範囲で併用することも可能である。
添加量は樹脂組成物に対して、通常5質量%〜95質量%程度配合されるが、10質量%〜90質量%程度配合することが好ましい。より好ましくは20質量%〜80質量%程度配合することが望ましい。
樹脂組成物が溶液の場合、その粘度は特に限定されるものではないが、塗布等の作業性を考慮すると、コーンプレート粘度計で測定した30℃における粘度が、1000mPa・s〜5000mPa・sであることが好ましい。なお、この粘度は、バインダー樹脂の分子量によっても左右されることから、使用する樹脂の分子量に応じて、溶剤の量を適宜加減し、スラリー粘度を上記範囲に調節するとよい。
[組成物の製造方法]
本発明の樹脂組成物を製造する方法については、エチニル基を有する化合物(X)及び重合体(P)とを各々溶媒に溶解させた後に混合する方法、一方を溶媒に溶解させた後に固体状の他方を添加する方法、固体状の両者を直接混合する方法、混合したものを熱溶融させる方法等を用いることができるが、特にその製造方法には制限されない。
[硬化物]
本発明の樹脂組成物を100℃〜400℃で熱処理することにより、硬化物を形成することが出来る。
本発明の樹脂組成物は、加熱処理することによって架橋反応を起こして硬化させることができる。本発明に係るエチニル基を有する化合物(X)は、エチニル基同士の付加反応を起こし、本発明の樹脂組成物中に含まれる重合体(P)と擬似IPN(Interpenetrating polymer network)構造をとって硬化する。
<硬化物を形成するための硬化条件>
本発明の樹脂組成物を硬化させるに必要な条件は、特に限定されないが、紫外線や可視光等の電磁波や電子線、熱、ラジカルや酸、塩基等を添加する方法等が利用可能であるが、特に添加剤を使用しないことや反応効率に優れる点から、熱による硬化反応が好ましい。
熱による硬化反応を行う場合、好ましい温度条件は、反応の効率が高くなることや得られた硬化物機械特性に優れること、そしてカバーレイとして用いる際に銅配線を保護する観点から硬化温度は低温が望ましく、具体的温度範囲としては100℃〜400℃が好ましく、さらに好ましくは150℃〜350℃、より好ましくは200℃〜300℃である。硬化時の処理温度が100℃未満であった場合には硬化反応が不充分となり、400℃を超えると銅配線の酸化が起こって抵抗値が大きくなり易く、また、樹脂組成物の熱分解が起こりやすくなるために好ましくない。
本発明により得られる硬化物は、架橋構造を有しているため、機械特性や熱的特性に優れ、更に耐溶剤性等の化学安定性にも優れる。
[フレキシブル銅張積層板]
本発明の樹脂組成物と銅箔を積層して、フレキシブル銅張積層板を形成することが出来る。本発明のフレキシブル銅張積層板は、高分子フィルムの片面又は両面に、本発明による樹脂組成物より成る接着剤層を設け、該接着剤層を介して該高分子フィルムの片面又は両面に銅箔を張り合わせて形成される。前記高分子フィルム及び前記接着剤層を用いることにより、充分な機械的強度を有しつつ、耐熱性、加工性、接着性に優れ、特に、半田耐熱性に卓越したフレキシブル銅張積層板を得ることができる。
<高分子フィルム>
次に、本発明のフレキシブル銅張積層板に用いることができる高分子フィルムについて説明する。本発明のフレキシブル銅張積層板では、高分子フィルムは接着剤層とともに絶縁層を形成するので、絶縁層が極端に薄くなるのを防いで、均一な絶縁層厚みを実現する必要がある。
本発明のフレキシブル銅張積層板に用いることができる高分子フィルムとしては、寸法安定性、耐熱性並びに機械的特性に優れた材料が好ましい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィン;エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル;さらに、ナイロン−6、ナイロン−11、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリケトン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂などのフィルムがあげられる。
ここで、高分子フィルムは、本発明のフレキシブル銅張積層板に十分な剛性を付与するために、引張弾性率が5GPa以上であることが好ましく、6GPa以上であることがより好ましい。
また、小径ビアホールやスルーホールの形成のために高分子フィルムの厚みは50μm以下が好ましく、35μm以下がより好ましく、25μm以下がさらに好ましい。好ましくは1μm以上、より好ましくは、2μm以上である。厚みがあまりなく、かつ充分な電気絶縁性が確保される高分子フィルムが望ましい。
更に、フレキシブル銅張積層板を加工する際には熱的な安定性が求められるので、高分子フィルムには寸法安定性が望まれる。したがって、2.0×10−5/℃以下、より好ましくは1.5×10−5/℃以下、更に好ましくは1.0×10−5/℃以下の線膨張係数を有する高分子フィルムが望ましい。さらに、加工時の熱によって膨れ等の欠陥が発生しないように、低吸水率の高分子フィルムが望ましい。ASTM−D570に準じて測定した高分子フィルムの吸水率は、同一組成でも厚みによって左右されるが、厚み25μmのフィルムの吸水率が、好ましくは1.5%以下、より好ましくは1.2%以下となる組成からなる高分子フィルムが望ましい。
上記の諸特性を満足するフィルムとしてポリイミドフィルムが挙げられる。ポリイミドフィルムは、その前駆体であるポリアミド酸重合体溶液から得られる。このポリアミド酸重合体溶液は、当業者が通常用いる方法で製造することができる。すなわち、1種または2種以上のテトラカルボン酸二無水物成分と1種または2種以上のジアミン成分を実質等モル使用し、有機極性溶媒中で重合してポリアミド酸重合体溶液が得られる。
ポリイミドフィルムの製造に用いられる代表的なテトラカルボン酸二無水物成分としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテ
トラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、p−フェニレンジフタル酸無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物等がある。
これらのテトラカルボン酸二無水物の中で、引張弾性率が5GPa以上で線膨張係数が2.0×10−5/℃以下、吸水率が1.5%以下であるポリイミドフィルムを得るための好ましい組み合わせを例示すると、テトラカルボン酸二無水物として、ピロメリット酸二無水物を0〜80モル%、およびp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)を100〜20モル%用いる場合が挙げられる。
なお、ここに記載したテトラカルボン酸二無水物の組み合わせは本発明のフレキシブル銅張積層板を構成する高分子フィルムに適するポリイミドフィルムを得るための一具体例を示すものにすぎない。これらの組み合わせに限らず、用いるテトラカルボン酸二無水物の組み合わせおよび使用比率を変えて、ポリイミドフィルムの特性を調整することが可能である。
一方、ジアミン成分としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4、4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3、3’−ジアミノジフェニルスルフォン、9、9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、ビスアミノフェノキシケトン、4、4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、4、4’−(1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、4、4’−ジアミノベンズアニリド、3、3’−ジメチル−4、4’−ジアミノビフェニル、3、3’−ジメトキシ−4、4’−ジアミノビフェニル等の芳香族ジアミン、あるいはその他の脂肪族ジアミンを挙げることができる。
これらのジアミン成分の中で、引張弾性率が5GPa以上で線膨張係数が2.0×10−5/℃以下、吸水率が1.5%以下であるポリイミドフィルムを得るための好ましい組み合わせを例示すると、パラフェニレンジアミン及び/又は4、4’−ジアミノベンズアニリドをジアミン成分の20モル%〜80モル%、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを80〜20モル%用いる場合が挙げられる。
なお、ここに記載したジアミン成分の組み合わせは本発明のフレキシブル銅張積層板を構成する高分子フィルムに適するポリイミドフィルムを得るための一具体例を示すものである。これらの組み合わせに限らず、用いるジアミン成分の組み合わせおよび使用比率を変えて、ポリイミドフィルムの特性を調整することが可能である。
本発明のフレキシブル銅張積層板を構成する高分子フィルムとしてポリイミドフィルムを用いる場合、その前駆体であるポリアミド酸の数平均分子量は10,000〜1,000,000であることが望ましい。平均分子量が10,000未満ではできあがったフィルムが脆くなる場合がある。他方、数平均分子量が1,000,000を越えるとポリイミド前駆体であるポリアミド酸ワニスの粘度が高くなりすぎ取扱いが難しくなるおそれがある。
また、ポリアミド酸に各種の有機添加剤、或は無機のフィラー類、或は各種の強化材を
添加し、複合化されたポリイミドフィルムとすることも可能である。
ポリアミド酸共重合体の生成反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒;フェノール、o−、m−、またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒;あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができる。これらは単独または混合物として用いるのが望ましい。更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素を前記溶媒に一部混合して使用してもよい。
また、このポリアミド酸共重合体は前記の有機極性溶媒中に5重量%〜40重量%、好ましくは10重量%〜30重量%溶解されているのが取扱いの面から望ましい。
このポリアミド酸共重合体溶液から、ポリイミドフィルムを得るためには熱的に脱水する熱的方法、脱水剤を用いる化学的方法のいずれを用いてもよいが、化学的方法によると生成するポリイミドフィルムの伸び率や引張強度等の機械特性がすぐれたものになるので好ましい。
以下に化学的方法によるポリイミドフィルムの作製についての例を説明する。上記ポリアミド酸重合体またはその溶液に化学量論以上の脱水剤と触媒量の第3級アミンを加えた溶液をドラム或はエンドレスベルト上に流延または塗布して膜状とし、その膜を150℃以下の温度で約5分〜90分間乾燥し、自己支持性のポリアミド酸の膜を得る。ついで、これを支持体より引き剥し端部を固定する。その後約100℃〜500℃まで徐々に加熱することによりイミド化し、冷却後端部の固定を解放しポリイミドフィルムを得る。ここで言う脱水剤としては、例えば無水酢酸等の脂肪族酸無水物、無水安息香酸等の芳香族酸無水物などが挙げられる。また触媒としては、例えばトリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン類などが挙げられる。
また、高分子フィルムは、接着層との密着性を向上させる目的で各種表面処理を行うことができる。
例えば、高分子フィルムの表面にCr、Ni、Ti、Mo等の金属の酸化物をスパッタ、プラズマイオン打ち込み等の方法で高分子フィルム表面に金属酸化物接着層を形成する方法、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、有機モノマー、カップリング剤等の各種有機物をプライマーとして塗布する方法、金属水酸化物、有機アルカリ等で表面処理する方法、プラズマ処理、コロナ処理する方法、表面をグラフト化させる方法等、高分子フィルムの製造段階で表面処理する方法等が挙げられる。これらの方法を単独でまたは各種組み合わせで高分子フィルム表面の処理を行っても良い。また、上記表面処理方法は、他面側の接着層との密着性を改善する事にも利用できる。
<銅箔>
本発明のレキシブル銅張り積層板に用いる銅箔には特に制限はないが、銅箔の厚みは挟ピッチ回路パターンを作製するためには12μm以下、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下である。剥離用キャリアを備えた銅箔も使用することができる。その際、剥離用キャリアとしては特に制限はなく、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、離型紙、さらには銅箔、アルミ箔、42合金箔などの金属箔を用いることが可能であるが、本発明のように銅箔を用いる場合には、剥離用キャリアにも銅箔を用いることが好ましい。剥離用キャリアの厚みには特に制限はないが、好まし
くは1μm〜100μm、さらに好ましくは5μm〜50μmである。
<フレキシブル銅張積層板の製造方法>
以下、フレキシブル銅張積層板の製造方法を示す。
まず、エチニル基を有する化合物(X)と重合体(P)を含有する本発明の樹脂組成物を溶媒に溶解し、樹脂溶液を得た後、高分子フィルムの表面に塗布後乾燥し、ボンディングシートを得る。あるいは、上記のようにして得た樹脂溶液を支持体上にキャストし、溶媒を除去してシートとした後、高分子フィルムに貼り合わせてボンディングシート得ることもできる。次に、上記ボンディングシートの両面にプレス、ロール加熱などの方法により銅箔を張り合わせて本発明のフレキシブル銅張積層板を得ることができる。効率よくフレキシブル銅張積層板を製造できる点で、ロールツーロール方式で製造することが好ましい。
また、本発明のフレキシブル銅張積層板には表面を保護する目的で保護フィルムを用いることも可能である。
上記したフレキシブル銅張積層板の製造方法は一例であり、当業者が実施しうる範囲内のいずれの方法も可能である。
以上、本発明のフレキシブル銅張積層板について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様で実施できることはいうまでもない。
[フレキシブルプリント基板]
本発明のフレキシブルプリント基板は、上記のフレキシブル銅張積層板を用いて、その銅箔面をエッチングによって所望の回路パターンを形成することにより形成することができる。
更に、所望の回路パターンが形成されたフレキシブルプリント基板上に、カバーレイ(保護層)として本発明の樹脂組成物を銅配線上にコーティングすることができる。この場合、同配線が本発明の樹脂組成物の層でサンドイッチされた構成となり、極めて耐熱性に優れる上、層間の接着強度にも優れるため、リフロー時やリワーク時等の半田耐熱性に優れ、且つ折り曲げ耐性に優れている。従って、電子機器等の電気的接続に用いられる優れたフレキシブルプリント配線板が得られる。
本発明の樹脂組成物をカバーレイとして使用する方法としては特に制限は無く、溶液(樹脂組成物)をコーターやローラーを用いて銅配線上に塗布することが可能であり、特にビアホールを避けて塗布する必要があることから、スクリーン印刷等の公知の印刷技術によって塗布することが好ましい。溶液(組成物)を塗布した後に、熱硬化させる必要があるが、その硬化条件は上述の条件と同様で良い。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
初めに、エチニル基を有する化合物(X)の合成例を説明する。
[合成例1]化合物1の合成
化合物1は、本願の一般式(1)で表される単量体を構成成分とするエチニル基を含有する化合物(X)である。
攪拌機付き200mLの3つ口フラスコに、ビス(4−アミノフェニル)エーテルを0.018mol、N−(3’−エチニルフェニル)−3,5−ジアミノベンズアミド(化合物(1)−1)を0.005mol、3−エチニルアニリンを0.004mol、N−メチル−2−ピロリドン(NMPと略記する)110mLを入れ、フラスコ内部を窒素置換しながら溶解した。23℃で撹拌しながら、この混合液に4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物0.025molを固体のまま加えるとポリアミド酸の重合が開始し、このまま室温で2時間撹拌を継続して重合を完結させた。
その後、攪拌しながら無水酢酸0.05mol及びピリジン0.005molを加え、室温で1時間、さらに60℃で3時間撹拌して目的とするエチニル基を含有する化合物1の溶液を得た。GPCで測定した重量平均分子量は、7,400であった。また、一般式(1)で表される単量体単位を算出したところ化合物中に25質量%含まれていることが確認された。
[合成例2]化合物2の合成
化合物2は、一般式(1)には包含されない単量体を構成成分とする比較のエチニル基を有する化合物である。
攪拌機付き200mLの3つ口フラスコに、ビス(4−アミノフェニル)エーテルを0.018mol、m−フェニレンジアミンを0.005mol、3−エチニルアニリンを0.004mol、NMP110mLを入れ、フラスコ内部を窒素置換しながら溶解した。23℃で撹拌しながら、この混合液に4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物0.025molを固体のまま加えるとポリアミド酸の重合が開始し、このまま室温で2時間撹拌を継続して重合を完結させた。
その後、攪拌しながら無水酢酸0.05mol及びピリジン0.005molを加え、室温で1時間、さらに60℃で3時間撹拌して目的とするエチニル基を含有する化合物2の溶液を得た。GPCで測定した重量平均分子量は、7,800であった。
[合成例3]化合物3の合成
化合物3は、エチニル基を含有しないイミド化合物である。
攪拌機付き200mLの3つ口フラスコに、ビス(4−アミノフェニル)エーテルを0.018mol、アニリンを0.004mol、NMP110mLを入れ、フラスコ内部を窒素置換しながら溶解した。23℃で撹拌しながら、この混合液に4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物0.025molを固体のまま加えるとポリアミド酸の重合が開始し、このまま室温で2時間撹拌を継続して重合を完結させた。
その後、攪拌しながら無水酢酸0.05mol及びピリジン0.005molを加え、室温で1時間、さらに60℃で3時間撹拌して目的とするエチニル基を含有しないイミド化合物3の溶液を得た。GPCで測定した重量平均分子量は、7,200であった。
[合成例4]化合物4の合成
化合物4は、本願の一般式(1)で表される単量体を構成成分とするエチニル基を含有する化合物(X)である。
合成例1に記載において、N−(3’−エチニルフェニル)−3,5−ジアミノベンズアミド(化合物(1)−1)、3−エチニルアニリンをそのままに、アミノ化合物をビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンに、酸無水物をジフェニルスルホン−3,4,3‘,4’−テトラカルボン酸二無水物に変更した以外は同様にして重合およびイミド化を行い、GPCで測定した重量平均分子量が8,100であった。また、一般式(3)で表される単量体単位を算出したところ化合物中に25質量%含まれていることが確認された。
重合体(P)としては以下のものを準備した。
(P−1)ポリイミド:新日本理化工業社製「リカコートSN−20」(NMP溶液として使用)
(P−2)ポリエーテルイミド:SABICイノベーティブプラスチックス社製「ウルテム1000P」(DMF溶液として使用)
(P−3)ポリアミド酸:宇部興産社製「Uワニス−S」(NMP溶液として使用)
(P−4)液晶ポリエステル:特開2008−195786号公報記載の実施例に則って、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、4−アミノフェノール、イソフタル酸から、固有粘度0.8の重合体を得た(NMP溶液として使用)
(P−5)ポリエステル樹脂:東洋紡績社製「バイロン200」(メチルエチルケトン/トルエン=1/1溶液として使用)
(P−6)シンジオタクチックポリスチレン:出光興産社製「ザレックS104」(キシレン:MIBK=9:1の混合溶液として使用)
(P−7)ポリエーテルサルホン:住友化学(株)製「スミカエクセルPES−4800P」(NMP溶液として使用)
(P−8)ポリメチルペンテン:三井化学工業(株)製「TPX DX820」(シクロヘキサン溶液として使用)
(P−9)環状ポリオレフィン:三井化学工業(株)製「アペル6015T」(シクロペンタン溶液として使用)
実施例1
1.樹脂組成物の調製
(樹脂組成物1の調製)
合成例1で調製したエチニル基を有する化合物1を60部、重合体(P−1)を固形分で40部、溶媒としてNMPを固形分15質量%となる割合で混合して、樹脂組成物を調製した。
(樹脂組成物2〜12の調製)
樹脂組成物1の調製と同様に、表1に示すように、エチニル基を有する化合物(X)及び重合体(P)の合計100部を表1に示す組成で配合してNMPに溶解し、固形分15質量%の樹脂組成物を調製した。
(比較の樹脂組成物1〜3の調製)
比較の樹脂組成物1:本発明の樹脂組成物1で、重合体(P−1)を除き、エチニル基を有する化合物1のみの樹脂組成物を調製した。
比較の樹脂組成物2:本発明の樹脂組成物1で、エチニル基を有する化合物(X)を除き、重合体(B−1)のみの樹脂組成物を調製した。
比較の樹脂組成物3:本発明の樹脂組成物1で、エチニル基を有する化合物1の代わりに、比較のエチニル基を有する化合物2を用いて樹脂組成物を調製した。
比較例4:本発明の樹脂組成物1で、エチニル基を有する化合物1の代わりに、エチニル基を有しないイミド化合物3を用いて樹脂組成物を調製した。
2.フレキシブル銅張積層板の製造
得られた樹脂組成物を、ポリイミドフィルム(カプトン50H、東レデュポン(株)製、12.5μm厚)にバーコーターで塗布し、溶媒除去後の厚みが10μmになる厚みにキャストし、150℃で15分間オーブン中にて乾燥させて、ベースフィルム側接着剤層を形成した。次いで、ベースフィルム側接着剤層の上に銅箔(圧延銅箔、日鉱金属(株)製、M面粗さRz=1.4μm、18μm厚)をロール温度300℃で熱ラミネートを行った後、乾燥機中250℃で2時間熱処理して熱硬化を完了させ、フレキシブル銅張積層板を得た。
3.フレキシブルプリント基板の製造
1)フレキシブルプリント基板の製造
得られたフレキシブル銅張積層板上に、JIS C6471に準拠して配線パターンの描かれたフレキシブルプリント基板の試験片を作製した。
2)カバーレイの塗布
得られた配線されたフレキシブルプリント基板の銅配線側に上記の樹脂組成物をスクリーン印刷にて、溶剤除去後の厚みが18μmになるようにカバーレイを塗布した。塗布後、150℃で15分間オーブン中にて乾燥させ、乾燥機中210℃で3時間熱処理して熱硬化を完了させ、カバーレイを設けたフレキシブルプリント基板を得た。
4.性能評価
1)評価項目
<剥離強度>
JIS C6471に準拠してフレキシブルプリント基板の試験片を作製し、東洋精機(株)製ストログラフを用いて、50mm/分、引き剥がし角度90°の条件で、銅箔と樹脂との剥離強度を測定した。
<半田耐熱性>
JIS C6471に準拠しつつ、260℃、280℃、300℃に設定した半田浴にフィルム面を上側にして試験片を浮かべ、浸漬時間60秒で引き上げた後の形状変化を目視観察し、変形やフクレ(気泡)、剥がれの状態を以下の基準で確認した。
○:全く変形が見られないもの
△:波打つ等の変形は見られるが、フクレ(気泡)や剥がれのないもの
×:フクレ(気泡)や剥がれが見られるもの
<耐屈曲性>
JIS C5016に準拠してフレキシブルプリント基板の試験片を作製し、折り曲げ速度175回/分、曲率半径0.38mm、荷重500gの条件で耐久性試験を行い、銅配線の導通が失われた時点までの繰り返し回数をカウント(百の位以下は四捨五入)した。
得られた結果を表1に示した。
表1の結果より、本発明の樹脂組成物を使用したフレキシブルプリント基板は、いずれもピール強度が高く、260℃〜330℃、浸漬時間60秒の過酷な条件での半田耐熱性が良好であり、さらに耐屈曲性が良好である。
特に、重合体(P)として、(P−1)ポリイミド、(P−3)ポリアミド酸、(P−4)液晶ポリエステルを樹脂組成物に用いたフレキシブルプリント基板は、耐熱性と耐屈曲性のバランスに優れるものであった。
比較の樹脂組成物1の結果より、重合体(P)を含まない樹脂組成物を用いたフレキシブルプリント基板は、半田耐熱性が優れるものの、耐屈曲性が劣っていた。
比較の樹脂組成物2の結果より、エチニル基を有する化合物(X)を含まないフレキシブルプリント基板は、耐屈曲性に優れるものの、330℃での半田耐熱性が劣るものであった。
比較の樹脂組成物3の結果より、一般式(1)に含まれないエチニル基を有するイミド化合物を使用したフレキシブルプリント基板は、330℃での半田耐熱性と耐屈曲性に劣るものであった。
比較の樹脂組成物4の結果より、エチニル基を含まないイミド化合物を使用したフレキシブルプリント基板は、半田耐熱性と耐屈曲性に劣るものであった。
また、化合物(X)と重合体(P)の混合比率(X/P)は、50/50〜25/75が特に優れた性能を示した。化合物(X)がこの範囲より多いと、耐屈曲性が低下し、化合物(X)がこの範囲より小さいと、耐熱性が低下するので好ましくない。
本発明のフレキシブルプリント基板は、非常に耐熱性が高いため、はんだリフローやリワークでの変形や銅と樹脂との剥離トラブルを発生し難く、電子機器等用フレキシブルプリント配線板として好ましく用いることができる。特に、JIS C5016等で規定されている耐屈曲性に優れており、スライド式の携帯電話用に好適である。

Claims (11)

  1. 下記一般式(1)を構成単位として有するエチニル基を有する化合物(X)、及びポリイミド(但し、前記(X)を除く)、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリアミド酸、液晶ポリエステル、ポリエステル、シンジオタクチックポリスチレン、芳香族ポリサルホン、5−メチルペンテン樹脂、及び環状ポリオレフィンから成る群より選ばれる少なくとも1種の重合体(P)とを含有する樹脂組成物:

    (一般式(1)中、Aは(l+m)価の炭化水素基を表す。但し、Aは同一炭素原子から3つ以上の芳香環が直結する場合を含まない。Aは単結合又は2価の炭化水素基を表す。Rは水素原子または炭化水素基を表す。Arは(a+1)価のアリール基または芳香族ヘテロ環基を表す。X、Xは、互いに独立に、単結合又は2価の連結基を表す。a、l、m、nはそれぞれ独立に1以上5以下の整数を表す。但しm、n共に1となる場合を除く。)。
  2. 前記エチニル基を有する化合物(X)が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物:

    (一般式(2)中、Aは4官能の炭化水素基を表す。Bは前記一般式(1)より導かれる連結基を表す。R及びRは炭化水素基であって、少なくとも一方が下記一般式(3)で表される基を表す。kは1以上の整数である。);

    (一般式(3)中、R、Ar、aは、一般式(1)におけるのと同義である。)。
  3. 前記エチニル基を有する化合物(X)の分子量が100,000以下である請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記重合体(P)がポリイミド、ポリアミド酸、及び液晶ポリエステルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を塗布した後、100℃〜400℃で熱処理した硬化物。
  6. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物及び銅箔を含むフレキシブル銅張積層板。
  7. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を、銅箔及び基材フィルムで挟んでなるフレキシブル銅張積層板。
  8. 配線化されたフレキシブル銅張積層板上に、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を、銅配線を覆う様に層形成してなるフレキシブルプリント基板。
  9. 前記配線化されたフレキシブル銅張積層板が、請求項6又は請求項7に記載のフレキシブル銅張積層板を用いて形成された請求項8に記載のフレキシブルプリント基板。
  10. 配線化されたフレキシブル銅張積層板上に、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を、銅配線を覆う様に塗布した後、熱硬化処理するフレキシブルプリント基板の製造方法。
  11. 前記配線化されたフレキシブル銅張積層板が、請求項6又は請求項7に記載のフレキシブル銅張積層板を用いて形成された請求項10に記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
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