JP2010195608A - 光ファイバの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光ファイバ母材を加熱溶融し光ファイバを形成する工程と、光ファイバを冷却装置で冷却する工程と、冷却した光ファイバに被覆材を被覆する工程と、を含む光ファイバの製造方法において、光ファイバを冷却する工程は、冷却装置4の下部から冷却ガスを供給し、冷却装置4の上部から冷却装置内の雰囲気ガスの一部を回収し、回収した雰囲気ガスを冷却装置の下部から再度供給する。
【選択図】図2
Description
なお、被覆前後の光ファイバの外径は、所定の値になるように制御される。また、図1では一工程で被覆材を被覆する方法を示しているが、複数のダイス5を用いて順次複数の被覆材の被覆を行なう方法も行なわれている。
また、特許文献2には、光ファイバ冷却筒を筐体で覆い、筐体の上部にHeガスを回収する回収機構を設け、筐体の下部にはクリーンエアを吹き付ける気体導入機構を設けることにより、使用後のHeガスをHeガス回収室で完全に回収した上で、その回収したガスを浄化装置あるいは精製装置により高純度化して再利用する光ファイバ線引き装置が提案されている。
光ファイバ母材を加熱溶融して光ファイバを形成する工程と、
前記光ファイバを冷却装置で冷却する工程と、
冷却した前記光ファイバに被覆材を被覆する工程と、
を含む光ファイバの製造方法において、
前記光ファイバを冷却する工程は、前記冷却装置の下部から冷却ガスを供給し、前記冷却装置の上部から前記冷却装置内の雰囲気ガスの一部を回収し、前記回収した雰囲気ガスを前記冷却装置の下部から再度供給することを特徴とするものである。
(A−B)/A×100
で表される前記冷却ガスの再使用率(%)が、10%以上80%以下であることを特徴とするものである。
本発明の光ファイバの製造方法は、光ファイバを冷却する工程を除いては、前述した図1に示す従来の光ファイバの製造方法と同様である。以下、本発明の光ファイバの製造方法における光ファイバを冷却する工程について詳細に説明する。
図2は本発明において光ファイバを冷却する工程に用いる光ファイバの冷却システム20の構成を示す図である。線引き直後の高温の光ファイバ3は冷却装置4を通過する。冷却装置4には、冷却装置4の下部に設けられた冷却ガス供給ポート9から冷却ガスとして高純度Heガスが供給されている。供給されたHeガスの大半は冷却装置の上部に移動していく中で、高温の光ファイバと熱交換し、光ファイバが冷却される。
ここで高純度Heガスとは、市販の工業用ガスシリンダーやカードルあるいはローリーから供給される純度99.997%程度のHeガスをいい、場合によってはさらに精製装置等により高純度化された前記と同様以上の純度としたHeガスをいう。なお、他工程で使用されたHeガスを精製装置等により高純度化したものを用いることも可能である。
なお、雰囲気ガスは、冷却ガス供給ポートから供給された高純度Heガスと、冷却装置下部の光ファイバの出口あるいは冷却装置上部の光ファイバの入口等から混入した外気の混合ガスである。つまり、冷却装置4の下部の冷却ガス供給ポート9からは、高純度Heガスが供給されるとともに雰囲気ガス供給ポート11から高純度Heガスと外気の混合ガスが供給される。
したがって、光ファイバの被覆外径を光ファイバを冷却する度合いで制御することが一般的に行われている。本実施形態においても、光ファイバを冷却する度合いで光ファイバの被覆外径が所定の値となるように制御している。
そこで、図2に示す光ファイバの冷却システム20を用いて、光ファイバの被覆外径が所定の値となるように維持しつつ、雰囲気ガスの回収量を徐々に増やしたときの、高純度Heガスの供給量、雰囲気ガス中の外気量、Heガスの再利用率を調査した。
これにより判明した雰囲気ガスの回収量(雰囲気ガスの供給量)、高純度Heガスの供給量、雰囲気ガス中の外気量およびHeガスの再利用率の関係を図3に示す。
図3において、横軸は雰囲気ガスの回収量(雰囲気ガスの供給量)であり、縦軸に高純度Heガスの供給量、雰囲気ガス中の外気量、Heガスの再利用率を示している。ここで、Heガスの再利用率とは、雰囲気ガス回収ポート10から雰囲気ガスの回収を行なわず、高純度Heガスのみを前記冷却装置4に供給した場合に所定の被覆外径が得られる高純度Heガスの供給量をA、雰囲気ガス回収ポート10から雰囲気ガスを回収した場合に所定の被覆外径が得られる高純度Heガスの供給量をBとしたとき、
(A−B)/A×100
として表される。
図3に示すように、雰囲気ガスの回収量を増加させると、冷却ガス供給ポート11からの高純度Heガスの供給量を減らしても、所定の光ファイバ被覆外径が達成され、He再利用率は向上する。
これは、雰囲気ガスの回収量を増やすとともに、冷却装置内のHeガスの濃度が下がるために、光ファイバの冷却が不充分になり、高純度Heガスの供給量を増加させないと光ファイバの被覆外径を保てなくなるためである。
このために、雰囲気ガスの回収量を増やしすぎるとHeの再利用率は悪化することになる。この現象は、高純度Heガスの供給量と回収される雰囲気ガスに含まれる外気の量とがほぼ同じ(その差が1L/分未満)になる条件から、更に雰囲気ガスの回収量を増加させた場合に生じる。
これは、供給されるガスと回収される雰囲気ガスのバランスが悪く、冷却装置内のガスが逆流する現象が起こるためである。つまり、通常冷却装置内のガスは下から上に流れているが、上から下に流れる現象が起こる。
しかしながら、領域Cを超えてさらに雰囲気ガスの回収量を増やしていくと冷却装置内のガスが逆流する現象は起こらなくなり、冷却装置内のガスは安定して下から上に流れるようになる。
また、雰囲気ガスに含まれる外気量と高純度Heガスの供給量とがほぼ同じ量になるときの雰囲気ガスの回収量よりも、雰囲気ガスの回収量を少なく設定することで、雰囲気ガスに含まれる外気量を少なく保ちながら高純度Heガスの供給量を少なくすることが可能となる。
さらに、高純度Heガスの再使用率(%)を、10%以上80%以下とすることで、高純度Heガスの使用量を削減する効果を得つつ、安定した光ファイバの被覆外径を得ることができる。
また、循環用配管15に冷却装置を設けて回収した雰囲気ガスを積極的に冷却してもよい。この場合には、冷却装置4の中での冷却効率が向上して、高純度Heガスの使用量をさらに低減することができる。
ここで、回収する雰囲気ガスの流量を一定とし、高純度Heガスの流量によって、被覆外径が所定の値になるように制御した。また、光ファイバの線引き速度は1200m/分とした。
また、雰囲気ガスに含まれる外気量と、冷却ガスの供給量すなわち高純度Heガスの供給量がほぼ同じ量となる、すなわち図3における領域Cとなるのは、回収する雰囲気ガス量が約50L/分となる点であった。
回収する雰囲気ガス量を50L/分とした場合には、光ファイバの被覆外径の制御がうまくできず、被覆外径が不安定になった。また、回収する雰囲気ガスが、20、35、60L/分の場合は、Heガスの再利用を行いつつ安定した製造を行うことができた。また、このときのHeガスの再利用率はそれぞれ38、65、22%であった。
また、回収する雰囲気ガス量の適正量は、装置の寸法等により変化するが、前記に記載した、図3に示す実験を行なうことにより、特定の装置毎に決定することができる。
2 加熱炉
3 光ファイバ
4 冷却装置
5 ダイス
6 樹脂硬化装置
7 引取装置
8 巻取装置
9 冷却ガス供給ポート
10 雰囲気ガス回収ポート
11 雰囲気ガス供給ポート
12 ポンプ
13 流量制御器MFC
15 循環用配管
16 酸素濃度計
20 光ファイバの冷却システム
Claims (5)
- 光ファイバ母材を加熱溶融して光ファイバを形成する工程と、
前記光ファイバを冷却装置で冷却する工程と、
冷却した前記光ファイバに被覆材を被覆する工程と、
を含む光ファイバの製造方法において、
前記光ファイバを冷却する工程は、前記冷却装置の下部から冷却ガスを供給し、前記冷却装置の上部から前記冷却装置内の雰囲気ガスの一部を回収し、前記回収した雰囲気ガスを前記冷却装置の下部から再度供給することを特徴とする光ファイバの製造方法。 - 前記回収する雰囲気ガスの量は一定とし、前記被覆工程における光ファイバの被覆外径が所定の値となるように前記冷却ガスの供給量を制御することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバの製造方法。
- 前記回収する雰囲気ガスの酸素濃度を測定し、該酸素濃度から計算される雰囲気ガスに含まれる外気量を算出し、前記雰囲気ガスに含まれる外気量と前記冷却ガスの供給量とが異なる量となるように前記雰囲気ガスの回収量を設定することを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバの製造方法。
- 前記雰囲気ガスに含まれる外気量と前記冷却ガスの供給量とがほぼ同じ量になるときの前記雰囲気ガスの回収量よりも、前記雰囲気ガスの回収量を少なく設定することを特徴とする請求項3に記載の光ファイバの製造方法。
- 前記冷却ガスのみを前記冷却装置に供給した場合に所定の被覆外径が得られる前記冷却ガスの供給量をA、雰囲気ガスを回収した場合に所定の被覆外径が得られる前記冷却ガスの供給量をBとしたとき、
(A−B)/A×100
で表される前記冷却ガスの再使用率(%)が、10%以上80%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光ファイバの製造方法。
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