JP2010195315A - 自動車およびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】バネ上構造物の振動をより適正に抑制する。
【解決手段】総発電消費電力Wallがバッテリの入出力制限Win,Woutの範囲内である状態から入出力制限Win,Woutの範囲外となる第1タイミングまで及び第1タイミング以降に最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリの入出力制限Win,Woutの範囲内となった第2タイミングから第1タイミングまでは出力要請トルクTmをモータMG2のトルク指令Tm2*に設定してモータMG2を駆動制御し(S240)、第1タイミングから第2タイミングまでは非バネ上制振実行トルクTmv(Tm2tmp+Tvd)をトルク制限Tmin,Tmaxで制限して得られるトルクをモータMG2のトルク指令Tm2*に設定してモータMG2を駆動制御する(S250)。
【選択図】図4

Description

本発明は、自動車およびその制御方法に関し、詳しくは、走行用の動力を入出力可能な電動機とこの電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段とを備える自動車およびこうした自動車の制御方法に関する。
従来、この種の自動車としては、ハイブリッド車両のバネ上構造物の振動を抑制する制駆動力を前輪および後輪の各々に取り付けられた電動機から出力するよう制御するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この自動車では、こうした制御により車両のバネ上構造物の振動、即ち、ピッチングやローリングなどを抑制している。
特開2008−179277号公報
しかしながら、上述の自動車では、電動機に電力を供給するバッテリの状態によっては、バネ上構造物の振動を十分に抑制することができない場合や、トルクショックが生じる場合がある。バネ上構造物の振動を抑制するための制駆動力は振動する駆動力であるから、走行のために電動機から出力する駆動力とこの制駆動力との和の駆動力を電動機から出力しようとしたときに電動機により消費または発電される電力がバッテリを充放電してもよい電力としての入出力制限を超えると、バッテリの入出力制限により電動機の駆動が制限されるために電動機からの駆動力は片振幅となり、バネ上構造物の振動を十分に抑制することができなくなったり、バネ上構造物の振動を助長してしまう。また、電動機として三相交流電動機を用い、バネ上構造物の固有振動の周波数より高い高周波の振動を抑制するための制駆動力を電動機から出力するものであり、且つ、電動機からのトルクが大きいときにはパルス幅変調制御から矩形波制御に切り替えて電動機を駆動制御するものでは、電動機からのトルクが大きくなると、矩形波制御に切り替わるために、高周波の振動を抑制するための制駆動力を出力することができず、トルクショックが生じてしまう。
本発明の自動車およびその制御方法は、バネ上構造物の振動をより適正に抑制することを主目的とする。
本発明の自動車およびその制御方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の第1の自動車は、
内燃機関と、動力を入出力する発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に3つの回転要素が接続された遊星歯車機構と、走行用の動力を入出力可能な少なくとも1つの電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、を備える自動車であって、
走行に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
前記設定された要求駆動力により走行するよう前記内燃機関を運転すべき目標運転ポイントと前記発電機から出力すべき発電機トルクと前記電動機から出力すべき電動機トルクとを設定する設定値設定手段と、
前記蓄電手段の状態に基づいて該蓄電手段を充放電してもよい最大電力としての入出力制限を設定する入出力制限設定手段と、
車両の懸架装置より上のバネ上構造物の固有振動を抑制するために前記電動機から出力すべきバネ上振動抑制トルクを演算するバネ上振動抑制トルク演算手段と、
車両に生じる前記バネ上構造物の固有振動の周波数より高い周波数の振動を抑制するために前記電動機から出力すべき高周波振動抑制トルクを演算する高周波振動抑制トルク演算手段と、
前記設定された電動機トルクと前記演算されたバネ上振動抑制トルクと前記演算された高周波振動抑制トルクとの和により得られる出力要請トルクを前記電動機から出力するときに該電動機により消費または発電される電動機電力と前記設定された発電機トルクを前記発電機から出力するときに該発電機により発電または消費される発電機電力との和の総発電消費電力が前記設定された入出力制限の範囲内から範囲外に至る第1タイミングと、前記第1のタイミングに至った後に少なくとも前記総発電消費電力が前記設定された入出力制限の範囲外から範囲内に至る第2タイミングとを判定するタイミング判定手段と、
前記タイミング判定手段により前記第1タイミングが判定されるまで及び前記第2タイミングが判定されてから前記第1タイミングが判定されるまでは前記内燃機関が前記目標運転ポイントで運転されると共に前記発電機から前記発電機トルクが出力され且つ前記電動機から前記出力要請トルクが出力されて走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機を制御し、前記タイミング判定手段により前記第1タイミングが判定されてから前記第2タイミングが判定されるまでは前記内燃機関が前記目標運転ポイントで運転されると共に前記発電機から前記発電機トルクが出力され且つ前記電動機から前記出力要請トルクから前記バネ上振動抑制トルクを減じて得られるトルクが出力されて走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機を制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の第1の自動車では、走行に要求される要求駆動力により走行するよう内燃機関を運転すべき目標運転ポイントと発電機から出力すべき発電機トルクと電動機から出力すべき電動機トルクとを設定すると共に車両の懸架装置より上のバネ上構造物の固有振動を抑制するために電動機から出力すべきバネ上振動抑制トルクと車両に生じるバネ上構造物の固有振動の周波数より高い周波数の振動を抑制するために電動機から出力すべき高周波振動抑制トルクとを演算し、電動機トルクとバネ上振動抑制トルクと高周波振動抑制トルクとの和により得られる出力要請トルクを電動機から出力するときに電動機により消費または発電される電動機電力と発電機トルクを発電機から出力するときに発電機により発電または消費される発電機電力との和の総発電消費電力が蓄電手段を充放電してもよい最大電力としての入出力制限の範囲内から範囲外に至る第1タイミングと、第1のタイミングに至った後に少なくとも総発電消費電力が蓄電手段の入出力制限の範囲外から範囲内に至る第2タイミングとを判定する。そして、第1タイミングが判定されるまで及び第2タイミングが判定されてから第1タイミングが判定されるまでは内燃機関が目標運転ポイントで運転されると共に発電機から発電機トルクが出力され且つ電動機から出力要請トルクが出力されて走行するよう内燃機関と発電機と電動機を制御し、第1タイミングが判定されてから第2タイミングが判定されるまでは内燃機関が目標運転ポイントで運転されると共に発電機から発電機トルクが出力され且つ電動機から出力要請トルクからバネ上振動抑制トルクを減じて得られるトルクが出力されて走行するよう内燃機関と発電機と電動機を制御する。第1タイミングが判定されるまで及び第2タイミングが判定されてから第1タイミングが判定されるまで、即ち、基本的に、出力要請トルクを電動機から出力するときに電動機により消費または発電される電動機電力と発電機トルクを発電機から出力するときに発電機により発電または消費される発電機電力との和の総発電消費電力が蓄電手段の入出力制限の範囲内となるときには、内燃機関が目標運転ポイントで運転されると共に発電機から発電機トルクが出力され且つ電動機から出力要請トルク(電動機トルクとバネ上振動抑制トルクと高周波振動抑制トルクとの和)が出力されて走行するよう制御するから、バネ上構造物の固有振動を抑制しながら要求駆動力により走行することができる。一方、第1タイミングが判定されてから第2タイミングが判定されるまで、即ち、基本的には、出力要請トルクを電動機から出力するときに電動機により消費または発電される電動機電力と発電機トルクを発電機から出力するときに発電機により発電または消費される発電機電力との和の総発電消費電力が蓄電手段の入出力制限の範囲外となるときには、内燃機関が目標運転ポイントで運転されると共に発電機から発電機トルクが出力され且つ電動機から出力要請トルクからバネ上振動抑制トルクを減じて得られるトルク(出力要請トルク−バネ上振動抑制トルク)が出力されて走行するよう制御するから、電動機から出力されるトルクが片振幅となることによる不都合、例えば、バネ上構造物の振動を十分に抑制することができない不都合やバネ上構造物の振動を助長してしまう不都合を抑制することができる。これらのことから、バネ上構造物の固有振動をより適正に抑制することができる。
こうした本発明の第1の自動車において、前記第2タイミングは、前記総発電消費電力が前記設定された入出力制限の範囲外に至った以降に前記出力要請トルクの最大値または最小値を前記電動機から出力するときに該電動機により消費または発電される最大最小電動機電力と前記発電機電力との和の最大最小発電消費電力が前記設定された入出力制限の範囲内に至るタイミングである、ものとすることもできる。こうすれば、第1タイミングの判定と第2タイミングの判定にヒステリシスを持たせることができるから、電動機からバネ上振動抑制トルクを出力するか否かの切替が頻繁に行なわれるのを抑制することができる。
本発明の第2の自動車は、
走行用の動力を入出力可能な電動機と前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段とを備える自動車であって、
走行に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
前記設定された要求駆動力に基づいて走行のために前記電動機から出力すべき走行用トルクを設定する走行用トルク設定手段と、
前記蓄電手段の状態に基づいて該蓄電手段を充放電してもよい最大電力としての入出力制限を設定する入出力制限設定手段と、
車両の懸架装置より上のバネ上構造物の固有振動を抑制するために前記電動機から出力すべきバネ上振動抑制トルクを演算するバネ上振動抑制トルク演算手段と、
前記設定された走行用トルクと前記演算されたバネ上振動抑制トルクとの和により得られる出力要請トルクを前記電動機から出力するときに該電動機により消費または発電される出力要請電力が前記設定された入出力制限の範囲内から範囲外に至る第1タイミングと、前記第1のタイミングに至った以降に少なくとも前記総発電消費電力が前記設定された入出力制限の範囲外から範囲内に至る第2タイミングとを判定するタイミング判定手段と、
前記タイミング判定手段により前記第1タイミングが判定されるまで及び前記第2タイミングが判定されてから前記第1タイミングが判定されるまでは前記電動機から前記出力要請トルクが出力されて走行するよう前記電動機を制御し、前記タイミング判定手段により前記第1タイミングが判定されてから前記第2タイミングが判定されるまでは前記電動機から前記出力要請トルクから前記バネ上振動抑制トルクを減じて得られるトルクが出力されて走行するよう前記電動機を制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の第2の自動車では、走行に要求される要求駆動力に基づいて走行のために電動機から出力すべき走行用トルクを設定すると共に車両の懸架装置より上のバネ上構造物の固有振動を抑制するために前記電動機から出力すべきバネ上振動抑制トルクを演算し、走行用トルクとバネ上振動抑制トルクとの和により得られる出力要請トルクを電動機から出力するときに電動機により消費または発電される出力要請電力が蓄電手段を充放電してもよい最大電力としての入出力制限の範囲内から範囲外に至る第1タイミングと、第1のタイミングに至った以降に少なくとも総発電消費電力が蓄電手段の入出力制限の範囲外から範囲内に至る第2タイミングとを判定する。そして、第1タイミングが判定されるまで及び第2タイミングが判定されてから第1タイミングが判定されるまでは電動機から出力要請トルクが出力されて走行するよう電動機を制御し、第1タイミングが判定されてから第2タイミングが判定されるまでは電動機から出力要請トルクからバネ上振動抑制トルクを減じて得られるトルクが出力されて走行するよう電動機を制御する。第1タイミングが判定されるまで及び第2タイミングが判定されてから第1タイミングが判定されるまで、即ち、基本的に、出力要請トルクを電動機から出力するときに電動機により消費または発電される出力要請電力が蓄電手段の入出力制限の範囲内となるときには、電動機から出力要請トルク(電動機トルクとバネ上振動抑制トルクとの和)が出力されて走行するよう制御するから、バネ上構造物の固有振動を抑制しながら要求駆動力により走行することができる。一方、第1タイミングが判定されてから第2タイミングが判定されるまで、即ち、基本的には、出力要請トルクを電動機から出力するときに電動機により消費または発電される出力要請電力が蓄電手段の入出力制限の範囲外となるときには、電動機から出力要請トルクからバネ上振動抑制トルクを減じて得られるトルク(出力要請トルク−バネ上振動抑制トルク)が出力されて走行するよう制御するから、電動機から出力されるトルクが片振幅となることによる不都合、例えば、バネ上構造物の振動を十分に抑制することができない不都合やバネ上構造物の振動を助長してしまう不都合を抑制することができる。これらのことから、バネ上構造物の固有振動をより適正に抑制することができる。
こうした本発明の第2の自動車において、前記第2タイミングは、前記第1のタイミングに至った以降に前記出力要請トルクの最大値または最小値を前記電動機から出力するときに該電動機により消費または発電される最大最小電動機電力が前記設定された入出力制限の範囲内に至るタイミングである、ものとすることもできる。こうすれば、第1タイミングの判定と第2タイミングの判定にヒステリシスを持たせることができるから、電動機からバネ上振動抑制トルクを出力するか否かの切替が頻繁に行なわれるのを抑制することができる。
本発明の第1の自動車の制御方法は、
内燃機関と、動力を入出力する発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に3つの回転要素が接続された遊星歯車機構と、走行用の動力を入出力可能な少なくとも1つの電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、を備える自動車の制御方法であって、
走行に要求される要求駆動力により走行するよう前記内燃機関を運転すべき目標運転ポイントと前記発電機から出力すべき発電機トルクと前記電動機から出力すべき電動機トルクとを設定すると共に車両の懸架装置より上のバネ上構造物の固有振動を抑制するために前記電動機から出力すべきバネ上振動抑制トルクと車両に生じる前記バネ上構造物の固有振動の周波数より高い周波数の振動を抑制するために前記電動機から出力すべき高周波振動抑制トルクとを演算し、
前記設定した電動機トルクと前記演算したバネ上振動抑制トルクと前記演算した高周波振動抑制トルクとの和により得られる出力要請トルクを前記電動機から出力するときに該電動機により消費または発電される電動機電力と前記設定した発電機トルクを前記発電機から出力するときに該発電機により発電または消費される発電機電力との和の総発電消費電力が前記蓄電手段を充放電してもよい最大電力としての入出力制限の範囲内から範囲外に至る第1タイミングと、前記第1のタイミングに至った後に少なくとも前記総発電消費電力が前記入出力制限の範囲外から範囲内に至る第2タイミングとを判定し、
前記第1タイミングが判定されるまで及び前記第2タイミングが判定されてから前記第1タイミングが判定されるまでは前記内燃機関が前記目標運転ポイントで運転されると共に前記発電機から前記発電機トルクが出力され且つ前記電動機から前記出力要請トルクが出力されて走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機を制御し、前記第1タイミングが判定されてから前記第2タイミングが判定されるまでは前記内燃機関が前記目標運転ポイントで運転されると共に前記発電機から前記発電機トルクが出力され且つ前記電動機から前記出力要請トルクから前記バネ上振動抑制トルクを減じて得られるトルクが出力されて走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機を制御する、
ことを特徴とする。
この本発明の第1の自動車の制御方法では、走行に要求される要求駆動力により走行するよう内燃機関を運転すべき目標運転ポイントと発電機から出力すべき発電機トルクと電動機から出力すべき電動機トルクとを設定すると共に車両の懸架装置より上のバネ上構造物の固有振動を抑制するために電動機から出力すべきバネ上振動抑制トルクと車両に生じるバネ上構造物の固有振動の周波数より高い周波数の振動を抑制するために電動機から出力すべき高周波振動抑制トルクとを演算し、電動機トルクとバネ上振動抑制トルクと高周波振動抑制トルクとの和により得られる出力要請トルクを電動機から出力するときに電動機により消費または発電される電動機電力と発電機トルクを発電機から出力するときに発電機により発電または消費される発電機電力との和の総発電消費電力が蓄電手段を充放電してもよい最大電力としての入出力制限の範囲内から範囲外に至る第1タイミングと、第1のタイミングに至った後に少なくとも総発電消費電力が蓄電手段の入出力制限の範囲外から範囲内に至る第2タイミングとを判定する。そして、第1タイミングが判定されるまで及び第2タイミングが判定されてから第1タイミングが判定されるまでは内燃機関が目標運転ポイントで運転されると共に発電機から発電機トルクが出力され且つ電動機から出力要請トルクが出力されて走行するよう内燃機関と発電機と電動機を制御し、第1タイミングが判定されてから第2タイミングが判定されるまでは内燃機関が目標運転ポイントで運転されると共に発電機から発電機トルクが出力され且つ電動機から出力要請トルクからバネ上振動抑制トルクを減じて得られるトルクが出力されて走行するよう内燃機関と発電機と電動機を制御する。第1タイミングが判定されるまで及び第2タイミングが判定されてから第1タイミングが判定されるまで、即ち、基本的に、出力要請トルクを電動機から出力するときに電動機により消費または発電される電動機電力と発電機トルクを発電機から出力するときに発電機により発電または消費される発電機電力との和の総発電消費電力が蓄電手段の入出力制限の範囲内となるときには、内燃機関が目標運転ポイントで運転されると共に発電機から発電機トルクが出力され且つ電動機から出力要請トルク(電動機トルクとバネ上振動抑制トルクと高周波振動抑制トルクとの和)が出力されて走行するよう制御するから、バネ上構造物の固有振動を抑制しながら要求駆動力により走行することができる。一方、第1タイミングが判定されてから第2タイミングが判定されるまで、即ち、基本的には、出力要請トルクを電動機から出力するときに電動機により消費または発電される電動機電力と発電機トルクを発電機から出力するときに発電機により発電または消費される発電機電力との和の総発電消費電力が蓄電手段の入出力制限の範囲外となるときには、内燃機関が目標運転ポイントで運転されると共に発電機から発電機トルクが出力され且つ電動機から出力要請トルクからバネ上振動抑制トルクを減じて得られるトルク(出力要請トルク−バネ上振動抑制トルク)が出力されて走行するよう制御するから、電動機から出力されるトルクが片振幅となることによる不都合、例えば、バネ上構造物の振動を十分に抑制することができない不都合やバネ上構造物の振動を助長してしまう不都合を抑制することができる。これらのことから、バネ上構造物の固有振動をより適正に抑制することができる。
本発明の第2の自動車の制御方法は、
走行用の動力を入出力可能な電動機と前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段とを備える自動車の制御方法であって、
走行に要求される要求駆動力に基づいて走行のために前記電動機から出力すべき走行用トルクを設定すると共に車両の懸架装置より上のバネ上構造物の固有振動を抑制するために前記電動機から出力すべきバネ上振動抑制トルクを演算し、
前記設定した走行用トルクと前記演算したバネ上振動抑制トルクとの和により得られる出力要請トルクを前記電動機から出力するときに該電動機により消費または発電される出力要請電力が前記蓄電手段を充放電してもよい最大電力としての入出力制限の範囲内から範囲外に至る第1タイミングと、前記第1のタイミングに至った以降に少なくとも前記総発電消費電力が前記入出力制限の範囲外から範囲内に至る第2タイミングとを判定し、
前記第1タイミングが判定されるまで及び前記第2タイミングが判定されてから前記第1タイミングが判定されるまでは前記電動機から前記出力要請トルクが出力されて走行するよう前記電動機を制御し、前記第1タイミングが判定されてから前記第2タイミングが判定されるまでは前記電動機から前記出力要請トルクから前記バネ上振動抑制トルクを減じて得られるトルクが出力されて走行するよう前記電動機を制御する、
ことを特徴とする。
この本発明の第2の自動車の制御方法では、走行に要求される要求駆動力に基づいて走行のために電動機から出力すべき走行用トルクを設定すると共に車両の懸架装置より上のバネ上構造物の固有振動を抑制するために前記電動機から出力すべきバネ上振動抑制トルクを演算し、走行用トルクとバネ上振動抑制トルクとの和により得られる出力要請トルクを電動機から出力するときに電動機により消費または発電される出力要請電力が蓄電手段を充放電してもよい最大電力としての入出力制限の範囲内から範囲外に至る第1タイミングと、第1のタイミングに至った以降に少なくとも総発電消費電力が蓄電手段の入出力制限の範囲外から範囲内に至る第2タイミングとを判定する。そして、第1タイミングが判定されるまで及び第2タイミングが判定されてから第1タイミングが判定されるまでは電動機から出力要請トルクが出力されて走行するよう電動機を制御し、第1タイミングが判定されてから第2タイミングが判定されるまでは電動機から出力要請トルクからバネ上振動抑制トルクを減じて得られるトルクが出力されて走行するよう電動機を制御する。第1タイミングが判定されるまで及び第2タイミングが判定されてから第1タイミングが判定されるまで、即ち、基本的に、出力要請トルクを電動機から出力するときに電動機により消費または発電される出力要請電力が蓄電手段の入出力制限の範囲内となるときには、電動機から出力要請トルク(電動機トルクとバネ上振動抑制トルクとの和)が出力されて走行するよう制御するから、バネ上構造物の固有振動を抑制しながら要求駆動力により走行することができる。一方、第1タイミングが判定されてから第2タイミングが判定されるまで、即ち、基本的には、出力要請トルクを電動機から出力するときに電動機により消費または発電される出力要請電力が蓄電手段の入出力制限の範囲外となるときには、電動機から出力要請トルクからバネ上振動抑制トルクを減じて得られるトルク(出力要請トルク−バネ上振動抑制トルク)が出力されて走行するよう制御するから、電動機から出力されるトルクが片振幅となることによる不都合、例えば、バネ上構造物の振動を十分に抑制することができない不都合やバネ上構造物の振動を助長してしまう不都合を抑制することができる。これらのことから、バネ上構造物の固有振動をより適正に抑制することができる。
本発明の第1実施例であるハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 バッテリ50における電池温度Tbと入出力制限Win,Woutとの関係の一例を示す説明図である。 バッテリ50の残容量(SOC)と入出力制限Win,Woutの補正係数との関係の一例を示す説明図である。 第1実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を示す説明図である。 エンジン22からパワーを出力している状態で走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。 本発明の第2実施例であるハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。 第2実施例の電子制御ユニット270により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は本発明の第1実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。第1実施例のハイブリッド自動車20は、図1に示すように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに減速ギヤ35を介して接続されたモータMG2と、直流電流を交流電流に変換してモータMG1,MG2に供給可能なインバータ41,42と、バッテリ50からの電力をその電圧を変換してインバータ41,42に供給可能な昇圧回路55と、バッテリ50と昇圧回路55とに介在するシステムメインリレー56と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、例えばガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24には、エンジン22の運転状態を検出する各種センサからの信号、例えば、エンジン22のクランクシャフト26のクランク角を検出する図示しないクランクポジションセンサからのクランクポジションなどが入力されている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、エンジンECU24は、図示しないクランクポジションセンサからのクランクポジションに基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも外表面に永久磁石が貼り付けられたロータと三相コイルが巻回されたステータとを備える周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42および昇圧回路55を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。第1実施例では、モータMG1,MG2およびインバータ41,42として、定格値として入力最大電圧Vset(例えば650V)のものを用いた。インバータ41,42は、図示しない6つのトランジスタと、6つのトランジスタに逆方向に並列接続された6つのダイオードと、により構成されている。6つトランジスタは、それぞれインバータ41,42が電力ライン54として共用する正極母線と負極母線とに対してソース側とシンク側になるよう2個ずつペアで配置されており、対となるトランジスタ同士の接続点の各々にモータMG1,MG2の三相コイル(U相,V相,W相)の各々が接続されている。したがって、正極母線と負極母線との間に電圧が作用している状態で対をなす6つのトランジスタのオン時間の割合を制御することにより三相コイルに回転磁界を形成でき、モータMG1,MG2を回転駆動することができる。インバータ41,42は、正極母線と負極母線とを共用しているから、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータに供給することができる。なお、正極母線と負極母線とには平滑用のコンデンサ57が接続されている。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40のよるモータMG1およびモータMG2の駆動制御は、基本的にはパルス幅変調制御によるが、モータMG1,MG2から出力すべきトルクが大きくなると、過変調制御を経て矩形波制御に切り替わる。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42の6つのトランジスタへのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。また、モータECU40は、駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転変動を抑制するためにモータMG2の回転数Nm2からモータMG2の回転変動ΔNm2を求め、この回転変動に対して逆位相のゲインkvdを乗じて得られる駆動軸制振トルクTvd(Tvd=kvd・ΔNm2)を演算したり、この駆動軸制振トルクTvdの振幅から最大駆動軸制振トルクTvdmaxや最小駆動軸制振トルクTvdminも演算している。第1実施例では、モータMG2の回転数Nm2に基づいて駆動軸制振トルクTvdや最大駆動軸制振トルクTvdmax,最小駆動軸制振トルクTvdminを演算するものとしたが、駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数に基づいて駆動軸制振トルクTvdや最大駆動軸制振トルクTvdmax,最小駆動軸制振トルクTvdminを演算するものとしてもよい。
バッテリ50は、例えば定格電圧が200Vのリチウムイオン二次電池として構成されており、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された電圧センサ51aからの端子間電圧Vb,バッテリ50の出力端子に接続された電力ラインに取り付けられた電流センサ51bからの充放電電流Ib,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)を演算したり、演算した残容量(SOC)と電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算している。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の残容量(SOC)に基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。図2に電池温度Tbと入出力制限Win,Woutとの関係の一例を示し、図3にバッテリ50の残容量(SOC)と入出力制限Win,Woutの補正係数との関係の一例を示す。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、温度センサ55aからの昇圧回路55の温度Tup(例えば、リアクトルLの温度)や、電圧センサ57aからのコンデンサ57の電圧(以下、高電圧系の電圧VHという),電圧センサ58aからのコンデンサ58の電圧(以下、低電圧系の電圧VLという),イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速V,前後輪の各々に取り付けられた車輪速センサ89a,89b,89c,89dからの車輪速Vwfr,Vwfl,Vwrr,Vwrlなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、昇圧回路55の図示しないトランジスタのスイッチング制御信号やシステムメインリレー56への駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、基本的には、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とを運転制御する。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。なお、トルク変換運転モードと充放電運転モードは、いずれもエンジン22の運転を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するモードであり、実質的な制御における差異はないため、以下、両者を合わせてエンジン運転モードという。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、車輪速センサ89a,89b,89c,89dからの車輪速Vwfr,Vwfl,Vwrr,Vwrlのうち前輪の車輪速Vwfr,Vwflと後輪の車輪速Vwrr,Vwrlとの差分に基づいて車両の懸架装置より上のバネ上構造物の振動を演算し、このバネ上構造物の振動の振幅Aに振動とは逆位相となるゲインkvaを乗じるなどしてバネ上構造物の振動を抑制するためにモータMG2から出力すべきトルクとしてのバネ上振動抑制トルクTvaを演算したり、このバネ上振動抑制トルクTvaの振幅から最大バネ上振動抑制トルクTvadmaxや最小バネ上振動抑制トルクTvaminも演算している。なお、第1実施例では、車輪速センサ89a,89b,89c,89dからの車輪速Vwfr,Vwfl,Vwrr,Vwrlに基づいてバネ上振動抑制トルクTvaや最大バネ上振動抑制トルクTvadmax,最小バネ上振動抑制トルクTvaminを演算するものとしたが、車両前部や後部に加速度センサを取り付け、この加速度センサにより検出される加速度に基づいてバネ上振動抑制トルクTvaや最大バネ上振動抑制トルクTvadmax,最小バネ上振動抑制トルクTvaminを演算するものとしてもよい。
また、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、高電圧系の電圧VHがモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2やトルク指令Tm1,Tm2*に基づいてモータMG1,MG2をトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動制御するために必要な電圧となるように昇圧回路55の図示しないトランジスタをスイッチング制御している。
次に、こうして構成された第1実施例のハイブリッド自動車20の動作について説明する。図4は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。
駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の入出力制限Win,Woutなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されたモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。また、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、バッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の残容量(SOC)とに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定すると共に設定した要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものとバッテリ50が要求する充放電要求パワーPb*とロスLossとの和としてエンジン22に要求される要求パワーPe*とを設定し(ステップS110)、設定した要求パワーPe*とンジン22を効率よく動作させる動作ラインとに基づいてエンジン22を運転すべき目標値としての目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS120)。ここで、要求トルクTr*は、第1実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図5に要求トルク設定用マップの一例を示す。リングギヤ軸32aの回転数Nrは、車速Vに換算係数kを乗じることによって求めたり、モータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで割ることによって求めることができる。図6はエンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子の一例を示す説明図である。図示するように、目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、動作ラインと要求パワーPe*(Ne*×Te*)が一定の曲線との交点により求めることができる。
次に、設定した目標回転数Ne*とリングギヤ軸32aの回転数Nr(Nm2/Gr)と動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて次式(1)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に計算した目標回転数Nm1*と現在の回転数Nm1とに基づいて式(2)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を計算する(ステップS130)。ここで、式(1)は、動力分配統合機構30の回転要素に対する力学的な関係式である。動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図7に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したリングギヤ32の回転数Nrを示す。式(1)は、この共線図を用いれば容易に導くことができる。なお、R軸上の2つの太線矢印は、モータMG1から出力されたトルクTm1がリングギヤ軸32aに作用するトルクと、モータMG2から出力されるトルクTm2が減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクとを示す。また、式(2)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(2)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ-Nm2/(Gr・ρ) (1)
Tm1*=ρ・Te*/(1+ρ)+k1(Nm1*-Nm1)+k2∫(Nm1*-Nm1)dt (2)
こうしてモータMG1の目標回転数Nm1*とトルク指令Tm1*とを計算すると、バッテリ50の入出力制限Win,Woutと計算したモータMG1のトルク指令Tm1*に現在のモータMG1の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力(発電電力)との偏差をモータMG2の回転数Nm2で割ることによりモータMG2から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tmin,Tmaxを次式(3)および式(4)により計算すると共に(ステップS140)、要求トルクTr*とトルク指令Tm1*と動力分配統合機構30のギヤ比ρを用いてモータMG2から出力すべきトルクとしての仮モータトルクTm2tmpを式(5)により計算し(ステップS150)、バネ上振動抑制トルクTvaや最大バネ上振動抑制トルクTvadmax,最小バネ上振動抑制トルクTvamin,駆動軸制振トルクTvdや最大駆動軸制振トルクTvdmax,最小駆動軸制振トルクTvdminを入力し(ステップS160)、式(6)〜(9)に示すように、仮モータトルクTm2tmpにバネ上振動抑制トルクTvaと駆動軸制振トルクTvdとを加えることにより得られるモータMG2から出力が要請される出力要請トルクTmと、仮モータトルクTm2tmpに駆動軸制振トルクTvdとを加えることにより得られる非バネ上制振実行トルクTmvと、仮モータトルクTm2tmpに最大バネ上振動抑制トルクTvamaxと最大駆動軸制振トルクTvdmaxとを加えることにより得られる最大出力要請トルクTmmaxと、仮モータトルクTm2tmpに最小バネ上振動抑制トルクTvaminと最小駆動軸制振トルクTvdminとを加えることにより得られる最小出力要請トルクTmminとを計算する(ステップS170)。ここで、バネ上振動抑制トルクTvaや最大バネ上振動抑制トルクTvadmax,最小バネ上振動抑制トルクTvaminについては、第1実施例では、ハイブリッド用電子制御ユニット70により演算されてRAM76の所定領域に格納されたものを読み込むことにより入力するものとした。また、駆動軸制振トルクTvdや最大駆動軸制振トルクTvdmax,最小駆動軸制振トルクTvdminについては、モータECU40により演算されたものを通信により入力するものとした。式(3),(4)中の「kp」は電力を動力としてのパワーに換算する換算係数である。
Tmin=(kp・Win-Tm1*・Nm1)/Nm2 (3)
Tmax=(kp・Wout-Tm1*・Nm1)/Nm2 (4)
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr (5)
Tm=Tm2tmp+Tva+Tvd (6)
Tmv=Tm2tmp+Tvd (7)
Tmmax=Tm2tmp+Tvamax+Tvdmax (8)
Tmmin=Tm2tmp+Tvamin+Tvdmin (9)
続いて、次式(10)〜式(12)により、モータMG1をトルク指令Tm1*で駆動したときにモータMG1により発電または消費する電力とモータMG2から出力要請トルクTmを出力したときにモータMG2により消費または発電される電力との和として得られる総発電消費電力Wallと、モータMG1をトルク指令Tm1*で駆動したときにモータMG1により発電または消費する電力とモータMG2から最大出力要請トルクTmmaxを出力したときにモータMG2により消費または発電される電力との和として得られる最大発電消費電力Wmaxと、モータMG1をトルク指令Tm1*で駆動したときにモータMG1により発電または消費する電力とモータMG2から最小出力要請トルクTmminを出力したときにモータMG2により消費または発電される電力との和として得られる最小発電消費電力Wmaxと、を計算する(ステップS180)。式(10)〜式(12)中の「kw」は動力としてのパワーを電力に換算する換算係数である。
Wall=kw・(Tm1*×Nm1+Tm×Nm2) (10)
Wmax=kw・(Tm1*×Nm1+Tmmax×Nm2) (11)
Wmin=kw・(Tm1*×Nm1+Tmmin×Nm2) (12)
次に、バネ上構造物の振動を抑制するか否かを示すバネ上振動抑制フラグFの値を調べ(ステップS190)、バネ上振動抑制フラグFが値0のときには、総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内にあるか否かを判定し(ステップS200)、総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内にあるときには出力要請トルクTmをモータMG2のトルク指令Tm2*に設定し(ステップS240)、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信して(ステップS260)、駆動制御ルーチンを終了する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによって示される運転ポイントで運転されるようにエンジン22における燃料噴射制御や点火制御などの制御を行なう。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42の6つのトランジスタのスイッチング制御を行なう。出力要請トルクTmは、仮モータトルクTm2tmpにバネ上振動抑制トルクTvaと駆動軸制振トルクTvdとを加えたものであるから、こうした制御により、バネ上構造物の振動と駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転変動とを抑制しながら要求トルクTr*を駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力して走行することができる。
ステップS200で総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲外と判定されたときには、バネ上振動抑制フラグFに値1をセットすると共に(ステップS220)、非バネ上制振実行トルクTmv(Tm2tmp+Tvd)をトルク制限Tmin,Tmaxで制限して得られるトルクをモータMG2のトルク指令Tm2*として設定し(ステップS250)、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信して(ステップS260)、駆動制御ルーチンを終了する。ここで、バネ上振動抑制フラグFに値1をセットするタイミングは、総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内である状態から総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲外となったタイミング(以下、「第1タイミング」という。)である。非バネ上制振実行トルクTmvは、仮モータトルクTm2tmpに駆動軸制振トルクTvdを加えたものであり、バネ上振動抑制トルクTvaは考慮しないものであるから、こうした制御により、基本的に、バネ上構造物の振動については考慮せずに、駆動軸としてのリングギヤ軸32aの振動だけを抑制しながら要求トルクTr*を駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力して走行することができる。
ステップS190でバネ上振動抑制フラグFが値1であると判定されると、即ち、第1タイミング以降は、最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内にあるか否かを判定し(ステップS210)、最大発電消費電力Wmaxと最小発電消費電力Wminとのうちの一方がバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲外であるときには、非バネ上制振実行トルクTmv(Tm2tmp+Tvd)をトルク制限Tmin,Tmaxで制限して得られるトルクをモータMG2のトルク指令Tm2*として設定し(ステップS250)、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信して(ステップS260)、駆動制御ルーチンを終了する。上述したように、非バネ上制振実行トルクTmvは、仮モータトルクTm2tmpに駆動軸制振トルクTvdを加えたものであり、バネ上振動抑制トルクTvaは考慮しないものであるから、こうした制御により、基本的に、バネ上構造物の振動については考慮せずに、駆動軸としてのリングギヤ軸32aの振動だけを抑制しながら要求トルクTr*を駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力して走行することができる。
ステップS210で最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内にあると判定されると、バネ上振動抑制フラグFに値0をセットし(ステップS230)、出力要請トルクTmをモータMG2のトルク指令Tm2*に設定し(ステップS240)、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信して(ステップS260)、駆動制御ルーチンを終了する。ここで、バネ上振動抑制フラグFに値0をセットするタイミングは、総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲外に至った第1タイミング以降に最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内となったタイミング(以下、「第2タイミング」という。)である。上述したように、出力要請トルクTmは、仮モータトルクTm2tmpにバネ上振動抑制トルクTvaと駆動軸制振トルクTvdとを加えたものであるから、こうした制御により、バネ上構造物の振動と駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転変動とを抑制しながら要求トルクTr*を駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力して走行することができる。
上述したステップS190〜S250の処理は、総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内である状態から総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲外となるまで及び総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲外に至った以降に最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内となってから総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲外となるまで、即ち、第1タイミングに至るまで及び第2タイミングに至った以降で第1タイミングに至るまでは、出力要請トルクTmをモータMG2のトルク指令Tm2*に設定し、総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲外に至ったときから最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内となるまで、即ち、第1タイミングに至った以降で第2タイミングに至るまでは、非バネ上制振実行トルクTmv(Tm2tmp+Tvd)をトルク制限Tmin,Tmaxで制限して得られるトルクをモータMG2のトルク指令Tm2*に設定する、処理となる。
以上説明した第1実施例のハイブリッド自動車20によれば、総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内である状態から総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲外となる第1タイミングまで及び総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲外に至った第1タイミング以降に最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内となった第2タイミングから総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲外となる第1タイミングまでは、出力要請トルクTm(Tm2tmp+Tva+Tvd)をモータMG2のトルク指令Tm2*に設定してモータMG2を駆動制御することにより、バネ上構造物の振動と駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転変動とを抑制しながら要求トルクTr*を駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力しながら走行することができる。また、総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲外に至った第1タイミングから最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内となる第2タイミングまでは、非バネ上制振実行トルクTmv(Tm2tmp+Tvd)をトルク制限Tmin,Tmaxで制限して得られるトルクをモータMG2のトルク指令Tm2*に設定してモータMG2を駆動制御することにより、バネ上構造物の振動については考慮せずに駆動軸としてのリングギヤ軸32aの振動だけを抑制しながら要求トルクTr*を駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力しながら走行することができる。この結果、モータMG2からバネ上構造物の振動を抑制するためのバネ上振動抑制トルクTvaを出力することができず、このトルクが片振幅となることによる不都合、例えば、バネ上構造物の振動を十分に抑制することができない不都合やバネ上構造物の振動を助長してしまう不都合を抑制することができる。これらのことから、バネ上構造物の振動をより適正に抑制することができる。
第1実施例のハイブリッド自動車20では、バネ上振動抑制フラグFに値0をセットする第2タイミングとして、総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲外に至った第1タイミング以降に最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内となったタイミングを用いるものとしたが、第1タイミング以降に総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内となったタイミングを用いるものとしたり、総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内の所定範囲内となったタイミングを用いるものとしたり、最大バネ上振動抑制トルクTvamaxに代えてバネ上振動抑制トルクTvaとして設定されるトルクのうちの最大値より若干大きいトルクと最小バネ上振動抑制トルクTvaminに代えてバネ上振動抑制トルクTvaとして設定されるトルクのうちの最小値より若干小さいトルクとを用いると共に最大駆動軸制振トルクTvdmaxに代えて駆動軸制振トルクTvdとして設定されるトルクのうちの最大値より若干大きいトルクと最小駆動軸制振トルクTvdminに代えて駆動軸制振トルクTvdとして設定されるトルクのうちの最小値より若干小さいトルクとを用いて計算される最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内となったタイミングを用いるものとしてもよい。
第1実施例のハイブリッド自動車20では、高電圧系の電圧VHがモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2やトルク指令Tm1,Tm2*に基づいてモータMG1,MG2をトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動制御するために必要な電圧となるように昇圧回路55の図示しないトランジスタをスイッチング制御するものとしたが、高電圧系の電圧VHについては、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2やトルク指令Tm1,Tm2*が所定範囲内のときには昇圧回路55による最大電圧とバッテリ50の電圧との中間となる電圧になるよう昇圧回路55を制御し、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2やトルク指令Tm1,Tm2*が所定範囲外となるときには昇圧回路55による最大電圧となるよう昇圧回路55を制御するものとしてたり、高電圧系の電圧VHについては常に昇圧回路55による最大電圧となるよう昇圧回路55を制御するものとしてもよい。
第1実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図8の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図8における車輪64a,64bに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
図9は本発明の第2実施例としての電気自動車220の構成の概略を示す構成図である。第2実施例の電気自動車220は、図9に示すように、駆動輪263a,263bにデファレンシャルギヤ262を介して接続された駆動軸232に走行用の動力を出力するよう取り付けられたモータMGと、モータMGを駆動するインバータ242と、モータMGと電力のやりとりを行なうバッテリ250と、車両全体をコントロールする電子制御ユニット270とを備える。
モータMGは、外表面に永久磁石が貼り付けられたロータと三相コイルが巻回されたステータとを備える周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ242を介してバッテリ250と電力のやりとりを行なう。また、バッテリ250は、例えば定格電圧が200Vのリチウムイオン二次電池として構成されている。
電子制御ユニット270は、CPU272を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU272の他に処理プログラムを記憶するROM274と、データを一時的に記憶するRAM276と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。電子制御ユニット270には、イグニッションスイッチ280からのイグニッション信号,シフトレバー281の操作位置を検出するシフトポジションセンサ282からのシフトポジションSP,アクセルペダル283の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ284からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル285の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ286からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ288からの車速V,前後輪の各々に取り付けられた車輪速センサ289a,289b,289c,289dからの車輪速Vwfr,Vwfl,Vwrr,Vwrl,モータMGを駆動制御するために必要な信号、例えばモータMGの回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ244からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMGに印加される相電流など,バッテリ250を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ250の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧Vb,バッテリ250の出力端子に接続された電力ラインに取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流Ib,バッテリ250に取り付けられた図示しない温度センサからの電池温度Tbなど,が入力ポートを介して入力されている。電子制御ユニット270からは、インバータ242の図示しないトランジスタへのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。また、電子制御ユニット270は、回転位置検出センサ244からの信号に基づいてモータMGの回転数Nmを演算したり、バッテリ250を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)を演算したり、演算した残容量(SOC)と電池温度Tbとに基づいてバッテリ250を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算したりしている。なお、バッテリ250の入出力制限Win,Woutの演算については、図2および図3を用いて第1実施例で説明した。また、電子制御ユニット270は、車輪速センサ289a,289b,289c,289dからの車輪速Vwfr,Vwfl,Vwrr,Vwrlのうち前輪の車輪速Vwfr,Vwflと後輪の車輪速Vwrr,Vwrlとの差分に基づいて車両の懸架装置より上のバネ上構造物の振動を演算し、このバネ上構造物の振動の振幅Aに振動とは逆位相となるゲインkvaを乗じるなどしてバネ上構造物の振動を抑制するためにモータMGから出力すべきトルクとしてのバネ上振動抑制トルクTvaを演算したり、このバネ上振動抑制トルクTvaの振幅から最大バネ上振動抑制トルクTvadmaxや最小バネ上振動抑制トルクTvaminも演算している。なお、第2実施例では、車輪速センサ289a,289b,289c,289dからの車輪速Vwfr,Vwfl,Vwrr,Vwrlに基づいてバネ上振動抑制トルクTvaや最大バネ上振動抑制トルクTvadmax,最小バネ上振動抑制トルクTvaminを演算するものとしたが、車両前部や後部に加速度センサを取り付け、この加速度センサにより検出される加速度に基づいてバネ上振動抑制トルクTvaや最大バネ上振動抑制トルクTvadmax,最小バネ上振動抑制トルクTvaminを演算するものとしてもよい。
次に、こうして構成された第2実施例の電気自動車220の動作について説明する。図10は、電子制御ユニット270により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。
駆動制御ルーチンが実行されると、電子制御ユニット270のCPU272は、まず、アクセルペダルポジションセンサ284からのアクセル開度Accや車速センサ288からの車速V,モータMGの回転数Nm,バッテリ250の入出力制限Win,Woutなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS500)。ここで、モータMGの回転数Nmは、回転位置検出センサ244により検出されたモータMGの回転子の回転位置に基づいて演算されてRAM276の所定領域に格納されたものを読み出すことにより入力するものとした。また、バッテリ250の入出力制限Win,Woutは、バッテリ250の電池温度Tbとバッテリ250の残容量(SOC)とに基づいて設定されてRAM276の所定領域に格納されたものを読み出すことにより入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vと図5に例示する要求トルク設定用マップに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪263a,263bに連結された駆動軸232に出力すべき要求トルクTr*を設定すると共に設定した要求トルクTr*をモータMGから出力すべき仮のトルクとしての仮モータトルクTm2tmpに設定し(ステップS510)、バッテリ250の入出力制限Win,Woutに換算係数kpを乗じたものをモータMGの回転数Nmで割ることによりモータMGから出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tmin,Tmaxを計算する(ステップS520)。ここで、換算係数kpは、電力を動力としてのパワーに変換する換算係数である。
そして、バネ上振動抑制トルクTvaや最大バネ上振動抑制トルクTvadmax,最小バネ上振動抑制トルクTvamin,駆動軸制振トルクTvdや最大駆動軸制振トルクTvdmax,最小駆動軸制振トルクTvdminを入力し(ステップS530)、次式(13)〜(15)に示すように、仮モータトルクTmtmpにバネ上振動抑制トルクTvaを加えることにより得られるモータMGから出力が要請される出力要請トルクTmと、仮モータトルクTmtmpに最大バネ上振動抑制トルクTvamaxを加えることにより得られる最大出力要請トルクTmmaxと、仮モータトルクTmtmpに最小バネ上振動抑制トルクTvaminを加えることにより得られる最小出力要請トルクTmminとを計算する(ステップS540)。ここで、バネ上振動抑制トルクTvaや最大バネ上振動抑制トルクTvadmax,最小バネ上振動抑制トルクTvaminについては、第2実施例では、電子制御ユニット270により演算されてRAM276の所定領域に格納されたものを読み込むことにより入力するものとした。
Tm=Tmtmp+Tva (13)
Tmmax=Tmtmp+Tvamax (14)
Tmmin=Tmtmp+Tvamin (15)
続いて、次式(16)〜式(18)に示すように、モータMGから出力要請トルクTmを出力したときにモータMGにより消費または発電される電力として得られる総発電消費電力Wallと、モータMGから最大出力要請トルクTmmaxを出力したときにモータMGにより消費または発電される電力として得られる最大発電消費電力Wmaxと、モータMGから最小出力要請トルクTmminを出力したときにモータMGにより消費または発電される電力として得られる最小発電消費電力Wmaxと、を計算する(ステップS550)。式(16)〜式(18)中の「kw」は動力としてのパワーを電力に換算する換算係数である。
Wall=kw×Tm×Nm (16)
Wmax=kw×Tmmax×Nm (17)
Wmin=kw×Tmmin×Nm (18)
次に、バネ上構造物の振動を抑制するか否かを示すバネ上振動抑制フラグFの値を調べ(ステップS560)、バネ上振動抑制フラグFが値0のときには、総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内にあるか否かを判定し(ステップS570)、総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内にあるときには出力要請トルクTmをモータMGのトルク指令Tm*に設定し(ステップS610)、モータMGがトルク指令Tm*で制御されるようインバータ242の図示しないトランジスタをスイッチング制御して(ステップS630)、本ルーチンを終了する。出力要請トルクTmは、仮モータトルクTmtmpにバネ上振動抑制トルクTvaを加えたものであるから、こうした制御により、バネ上構造物の振動を抑制しながら要求トルクTr*を駆動軸232に出力して走行することができる。
ステップS570で総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲外と判定されたときには、バネ上振動抑制フラグFに値1をセットすると共に(ステップS590)、仮モータトルクTmtmpをトルク制限Tmin,Tmaxで制限して得られるトルクをモータMGのトルク指令Tm*として設定し(ステップS620)、モータMGがトルク指令Tm*で制御されるようインバータ242の図示しないトランジスタをスイッチング制御して(ステップS630)、本ルーチンを終了する。ここで、バネ上振動抑制フラグFに値1をセットするタイミングは、総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内である状態から総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲外となったタイミング(以下、「第1タイミング」という。)である。仮モータトルクTmtmpは、バネ上振動抑制トルクTvaについては考慮されていないものであるから、こうした制御により、基本的に、バネ上構造物の振動については考慮せずに、要求トルクTr*を駆動軸232に出力して走行することができる。
ステップS560でバネ上振動抑制フラグFが値1であると判定されると、即ち、第1タイミング以降は、最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内にあるか否かを判定し(ステップS580)、最大発電消費電力Wmaxと最小発電消費電力Wminとのうちの一方がバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲外であるときには、仮モータトルクTmtmpをトルク制限Tmin,Tmaxで制限して得られるトルクをモータMGのトルク指令Tm*として設定し(ステップS620)、モータMGがトルク指令Tm*で制御されるようインバータ242の図示しないトランジスタをスイッチング制御して(ステップS630)、本ルーチンを終了する。上述したように、仮モータトルクTmtmpは、バネ上振動抑制トルクTvaについては考慮されていないものであるから、こうした制御により、基本的に、バネ上構造物の振動については考慮せずに、要求トルクTr*を駆動軸232に出力して走行することができる。
ステップS580で最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内にあると判定されると、バネ上振動抑制フラグFに値0をセットし(ステップS600)、出力要請トルクTmをモータMGのトルク指令Tm*に設定し(ステップS610)、モータMGがトルク指令Tm*で制御されるようインバータ242の図示しないトランジスタをスイッチング制御して(ステップS630)、本ルーチンを終了する。ここで、バネ上振動抑制フラグFに値0をセットするタイミングは、総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲外に至った第1タイミング以降に最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内となったタイミング(以下、「第2タイミング」という。)である。上述したように、出力要請トルクTmは、仮モータトルクTmtmpにバネ上振動抑制トルクTvaを加えたものであるから、こうした制御により、バネ上構造物の振動を抑制しながら要求トルクTr*を駆動軸232に出力して走行することができる。
上述したステップS560〜S620の処理は、総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内である状態から総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲外となるまで及び総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲外に至った以降に最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内となってから総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲外となるまで、即ち、第1タイミングに至るまで及び第2タイミングに至った以降で第1タイミングに至るまでは、出力要請トルクTmをモータMGのトルク指令Tm*に設定し、総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲外に至ったときから最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内となるまで、即ち、第1タイミングに至った以降で第2タイミングに至るまでは、仮モータトルクTmtmp、即ち出力要請トルクTmからバネ上振動抑制トルクTvaを減じたトルクをトルク制限Tmin,Tmaxで制限して得られるトルクをモータMGのトルク指令Tm*に設定する、処理となる。
以上説明した第2実施例の電気自動車220によれば、総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内である状態から総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲外となる第1タイミングまで及び総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲外に至った第1タイミング以降に最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内となった第2タイミングから総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲外となる第1タイミングまでは、出力要請トルクTm(Tmtmp+Tva)をモータMGのトルク指令Tm*に設定してモータMGを駆動制御することにより、バネ上構造物の振動を抑制しながら要求トルクTr*を駆動軸232に出力しながら走行することができる。また、総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲外に至った第1タイミングから最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内となる第2タイミングまでは、仮モータトルクTmtmp(Tm−Tva)をトルク制限Tmin,Tmaxで制限して得られるトルクをモータMGのトルク指令Tm*に設定してモータMGを駆動制御することにより、バネ上構造物の振動については考慮せずに、要求トルクTr*を駆動軸232に出力しながら走行することができる。この結果、モータMGからバネ上構造物の振動を抑制するためのバネ上振動抑制トルクTvaを出力することができず、このトルクが片振幅となることによる不都合、例えば、バネ上構造物の振動を十分に抑制することができない不都合やバネ上構造物の振動を助長してしまう不都合を抑制することができる。これらのことから、バネ上構造物の振動をより適正に抑制することができる。
第2実施例の電気自動車220では、バネ上振動抑制フラグFに値0をセットする第2タイミングとして、総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲外に至った第1タイミング以降に最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内となったタイミングを用いるものとしたが、第1タイミング以降に総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内となったタイミングを用いるものとしたり、総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内の所定範囲内となったタイミングを用いるものとしたり、最大バネ上振動抑制トルクTvamaxに代えてバネ上振動抑制トルクTvaとして設定されるトルクのうちの最大値より若干大きいトルクと最小バネ上振動抑制トルクTvaminに代えてバネ上振動抑制トルクTvaとして設定されるトルクのうちの最小値より若干小さいトルクとを用いて計算される最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内となったタイミングを用いるものとしてもよい。
実施例では、ハイブリッド自動車や電気自動車の形態として説明したが、ハイブリッド自動車や電気自動車の制御方法の形態としてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。第1実施例と本発明の第1の自動車では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG1が「発電機」に相当し、動力分配統合機構30が「遊星歯車機構」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、バッテリ50が「蓄電手段」に相当し、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて要求トルクTr*を設定する図4の駆動制御ルーチンのステップS110の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「要求駆動力設定手段」に相当し、要求トルクTr*に基づく要求パワーPe*を効率よく出力するようエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*を設定すると共にエンジン22が目標回転数Ne*で回転するようモータMG1のトルク指令Tm1*を設定し、更に、モータMG1をトルク指令Tm1*で駆動したときに駆動軸としてのリングギヤ軸32aに要求トルクTr*が出力されるよう仮モータトルクTm2tmpを設定する図4の駆動制御ルーチンのステップS120〜S150の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「設定値設定手段」に相当し、電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づくバッテリ50の残容量(SOC)とバッテリ50の電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算するバッテリECU52が「入出力制限設定手段」に相当し、車輪速センサ89a,89b,89c,89dからの車輪速Vwfr,Vwfl,Vwrr,Vwrlに基づいてバネ上振動抑制トルクTvaや最大バネ上振動抑制トルクTvadmax,最小バネ上振動抑制トルクTvaminを演算するハイブリッド用電子制御ユニット70が「バネ上振動抑制トルク演算手段」に相当し、駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転変動を抑制するためにモータMG2の回転数Nm2からモータMG2の回転変動ΔNm2を求め、この回転変動に対して逆位相のゲインkvdを乗じて得られる駆動軸制振トルクTvd(Tvd=kvd・ΔNm2)を演算したり、この駆動軸制振トルクTvdの振幅から最大駆動軸制振トルクTvdmaxや最小駆動軸制振トルクTvdminを演算するモータECU40が「高周波振動抑制トルク演算手段」に相当し、総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内である状態から総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲外となってバネ上振動抑制フラグFに値1を設定したときを第1タイミングとし、総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲外に至った第1タイミング以降に最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内となってバネ上振動抑制フラグFに値0を設定したときを第2タイミングとする図4の駆動制御ルーチンのステップS190〜S230の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「タイミング判定手段」に相当し、総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内である状態から総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲外となる第1タイミングまで及び総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲外に至った第1タイミング以降に最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内となった第2タイミングから総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲外となる第1タイミングまでは、出力要請トルクTm(Tm2tmp+Tva+Tvd)をモータMG2のトルク指令Tm2*に設定してエンジン22の目標回転数Ne*,目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をエンジンECU24およびモータECU40に送信し、総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲外に至った第1タイミングから最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内となる第2タイミングまでは、非バネ上制振実行トルクTmv(Tm2tmp+Tvd)をトルク制限Tmin,Tmaxで制限して得られるトルクをモータMG2のトルク指令Tm2*に設定してエンジン22の目標回転数Ne*,目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をエンジンECU24およびモータECU40に送信する図4の駆動制御ルーチンのステップS190〜S260の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70と、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とに基づいてエンジン22を制御するエンジンECU24と、トルク指令Tm1*,Tm2*に基づいてモータMG1,MG2を制御するモータECU40と、が「制御手段」に相当する。
ここで、「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなど如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「発電機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、誘導電動機など、動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの発電機としても構わない。「遊星歯車機構」としては、上述の動力分配統合機構30に限定されるものではなく、ダブルピニオン式の遊星歯車機構を用いるものや複数の遊星歯車機構を組み合わせて4以上の軸に接続されるものなど、車軸に連結された駆動軸と内燃機関の出力軸と発電機の回転軸との3軸に3つの回転要素が接続されたものであれば如何なる遊星歯車機構としても構わない。「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、駆動軸に動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「蓄電手段」としては、定格電圧が200Vのリチウムイオン二次電池に限定されるものではなく、200V以外の定格電圧のリチウムイオン二次電池としたり、リチウムイオン二次電池以外の二次電池を用いたり、二次電池以外のキャパシタなど、発電機および電動機と電力のやりとりが可能であれば如何なるものとしても構わない。「要求駆動力設定手段」としては、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて要求トルクTr*を設定するものに限定されるものではなく、アクセル開度Accだけに基づいて要求トルクを設定するものや走行経路が予め設定されているものにあっては走行経路における走行位置に基づいて要求トルクを設定するものなど、走行に要求される要求駆動力を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「設定値設定手段」としては、要求トルクTr*に基づく要求パワーPe*を効率よく出力するようエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*を設定すると共にエンジン22が目標回転数Ne*で回転するようモータMG1のトルク指令Tm1*を設定し、更に、モータMG1をトルク指令Tm1*で駆動したときに駆動軸としてのリングギヤ軸32aに要求トルクTr*が出力されるよう仮モータトルクTm2tmpを設定するものに限定されるものではなく、要求駆動力により走行するよう内燃機関を運転すべき目標運転ポイントと発電機から出力すべき発電機トルクと電動機から出力すべき電動機トルクとを設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「入出力制限設定手段」としては、バッテリ50の残容量(SOC)とバッテリ50の電池温度Tbとに基づいて入出力制限Win,Woutを演算するものに限定されるものではなく、残容量(SOC)や電池温度Tbの他に例えばバッテリ50の内部抵抗などに基づいて演算するものなど、蓄電手段の状態に基づいて蓄電手段を充放電してもよい最大電力としての入出力制限を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「バネ上振動抑制トルク演算手段」としては、車輪速センサ89a,89b,89c,89dからの車輪速Vwfr,Vwfl,Vwrr,Vwrlに基づいてバネ上振動抑制トルクTvaや最大バネ上振動抑制トルクTvadmax,最小バネ上振動抑制トルクTvaminを演算するものに限定されるものではなく、車両前部や後部に加速度センサを取り付け、この加速度センサにより検出される加速度に基づいてバネ上振動抑制トルクTvaや最大バネ上振動抑制トルクTvadmax,最小バネ上振動抑制トルクTvaminを演算するものするなど、車両の懸架装置より上のバネ上構造物の固有振動を抑制するために電動機から出力すべきバネ上振動抑制トルクを演算するものであれば如何なるものとしても構わない。「高周波振動抑制トルク演算手段」としては、モータMG2の回転変動ΔNm2に対して逆位相のゲインkvdを乗じて得られる駆動軸制振トルクTvdを演算したり、この駆動軸制振トルクTvdの振幅から最大駆動軸制振トルクTvdmaxや最小駆動軸制振トルクTvdminを演算するものに限定されるものではなく、駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数に基づいて駆動軸制振トルクTvdや最大駆動軸制振トルクTvdmax,最小駆動軸制振トルクTvdminを演算するものとするなど、車両に生じる前記バネ上構造物の固有振動の周波数より高い周波数の振動を抑制するために電動機から出力すべき高周波振動抑制トルクを演算するものであれば如何なるものとしても構わない。「タイミング判定手段」としては、総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内である状態から総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲外となってバネ上振動抑制フラグFに値1を設定したときを第1タイミングとし、総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲外に至った第1タイミング以降に最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内となってバネ上振動抑制フラグFに値0を設定したときを第2タイミングとするものに限定されるものではなく、第2タイミングとして、第1タイミング以降に総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内となったタイミングを用いるものとしたり、総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内の所定範囲内となったタイミングを用いるものとしたり、最大バネ上振動抑制トルクTvamaxに代えてバネ上振動抑制トルクTvaとして設定されるトルクのうちの最大値より若干大きいトルクと最小バネ上振動抑制トルクTvaminに代えてバネ上振動抑制トルクTvaとして設定されるトルクのうちの最小値より若干小さいトルクとを用いると共に最大駆動軸制振トルクTvdmaxに代えて駆動軸制振トルクTvdとして設定されるトルクのうちの最大値より若干大きいトルクと最小駆動軸制振トルクTvdminに代えて駆動軸制振トルクTvdとして設定されるトルクのうちの最小値より若干小さいトルクとを用いて計算される最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内となったタイミングを用いるものとしたりするなど、電動機トルクとバネ上振動抑制トルクと高周波振動抑制トルクとの和により得られる出力要請トルクを電動機から出力するときに電動機により消費または発電される電動機電力と発電機トルクを発電機から出力するときに発電機により発電または消費される発電機電力との和の総発電消費電力が蓄電手段の入出力制限の範囲内から範囲外に至る第1タイミングと、第1のタイミングに至った後に少なくとも総発電消費電力が蓄電手段の入出力制限の範囲外から範囲内に至る第2タイミングとを判定するものであれば如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。また、「制御手段」としては、総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内である状態から総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲外となる第1タイミングまで及び総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲外に至った第1タイミング以降に最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内となった第2タイミングから総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲外となる第1タイミングまでは、出力要請トルクTm(Tm2tmp+Tva+Tvd)をモータMG2のトルク指令Tm2*に設定してエンジン22とモータMG1,MG2とを制御し、総発電消費電力Wallがバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲外に至った第1タイミングから最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内となる第2タイミングまでは、非バネ上制振実行トルクTmv(Tm2tmp+Tvd)をトルク制限Tmin,Tmaxで制限して得られるトルクをモータMG2のトルク指令Tm2*に設定してエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するものに限定されるものではなく、第1タイミングが判定されるまで及び第2タイミングが判定されてから第1タイミングが判定されるまでは内燃機関が目標運転ポイントで運転されると共に発電機から発電機トルクが出力され且つ電動機から出力要請トルクが出力されて走行するよう内燃機関と発電機と電動機を制御し、第1タイミングが判定されてから第2タイミングが判定されるまでは内燃機関が目標運転ポイントで運転されると共に発電機から発電機トルクが出力され且つ電動機から出力要請トルクからバネ上振動抑制トルクを減じて得られるトルクが出力されて走行するよう内燃機関と発電機と電動機を制御するものであれば如何なるものとしても構わない。
第2実施例と本発明の第2の自動車では、モータMGが「電動機」に相当し、バッテリ250が「蓄電手段」に相当し、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて要求トルクTr*を設定する図10の駆動制御ルーチンのステップS510の処理を実行する電子制御ユニット270が「要求駆動力設定手段」に相当し、要求トルクTr*を仮モータトルクTmtmpに設定する図10の駆動制御ルーチンのステップS510の処理を実行する電子制御ユニット270が「走行用トルク設定手段」に相当し、電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づくバッテリ250の残容量(SOC)とバッテリ250の電池温度Tbとに基づいてバッテリ250を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算する電子制御ユニット270が「入出力制限設定手段」に相当し、車輪速センサ289a,289b,289c,289dからの車輪速Vwfr,Vwfl,Vwrr,Vwrlに基づいてバネ上振動抑制トルクTvaや最大バネ上振動抑制トルクTvadmax,最小バネ上振動抑制トルクTvaminを演算する電子制御ユニット270が「バネ上振動抑制トルク演算手段」に相当し、総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内である状態から総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲外となってバネ上振動抑制フラグFに値1を設定したときを第1タイミングとし、総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲外に至った第1タイミング以降に最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内となってバネ上振動抑制フラグFに値0を設定したときを第2タイミングとする図10の駆動制御ルーチンのステップS560〜S600の処理を実行する電子制御ユニット270が「タイミング判定手段」に相当し、総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内である状態から総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲外となる第1タイミングまで及び総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲外に至った第1タイミング以降に最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内となった第2タイミングから総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲外となる第1タイミングまでは、出力要請トルクTm(Tm2tmp+Tva)をモータMGのトルク指令Tm*に設定してモータMGを駆動制御し、総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲外に至った第1タイミングから最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内となる第2タイミングまでは、仮モータトルクTmtmp(Tm−Tva)をトルク制限Tmin,Tmaxで制限して得られるトルクをモータMGのトルク指令Tm*に設定してモータMGを駆動制御する図10の駆動制御ルーチンのステップS560〜S630の処理を実行する電子制御ユニット270が「制御手段」に相当する。
ここで、「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMGに限定されるものではなく、誘導電動機など、駆動軸に動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「蓄電手段」としては、定格電圧が200Vのリチウムイオン二次電池に限定されるものではなく、200V以外の定格電圧のリチウムイオン二次電池としたり、リチウムイオン二次電池以外の二次電池を用いたり、二次電池以外のキャパシタなど、発電機および電動機と電力のやりとりが可能であれば如何なるものとしても構わない。「要求駆動力設定手段」としては、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて要求トルクTr*を設定するものに限定されるものではなく、アクセル開度Accだけに基づいて要求トルクを設定するものや走行経路が予め設定されているものにあっては走行経路における走行位置に基づいて要求トルクを設定するものなど、走行に要求される要求駆動力を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「走行用トルク設定手段」としては、要求トルクTr*を仮モータトルクTmtmpに設定するものに限定されるものではなく、要求駆動力に基づいて走行のために電動機から出力すべき走行用トルクを設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「入出力制限設定手段」としては、バッテリ50の残容量(SOC)とバッテリ250の電池温度Tbとに基づいて入出力制限Win,Woutを演算するものに限定されるものではなく、残容量(SOC)や電池温度Tbの他に例えばバッテリ250の内部抵抗などに基づいて演算するものなど、蓄電手段の状態に基づいて蓄電手段を充放電してもよい最大電力としての入出力制限を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「バネ上振動抑制トルク演算手段」としては、車輪速センサ289a,289b,289c,289dからの車輪速Vwfr,Vwfl,Vwrr,Vwrlに基づいてバネ上振動抑制トルクTvaや最大バネ上振動抑制トルクTvadmax,最小バネ上振動抑制トルクTvaminを演算するものに限定されるものではなく、車両前部や後部に加速度センサを取り付け、この加速度センサにより検出される加速度に基づいてバネ上振動抑制トルクTvaや最大バネ上振動抑制トルクTvadmax,最小バネ上振動抑制トルクTvaminを演算するものするなど、車両の懸架装置より上のバネ上構造物の固有振動を抑制するために電動機から出力すべきバネ上振動抑制トルクを演算するものであれば如何なるものとしても構わない。「タイミング判定手段」としては、総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内である状態から総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲外となってバネ上振動抑制フラグFに値1を設定したときを第1タイミングとし、総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲外に至った第1タイミング以降に最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内となってバネ上振動抑制フラグFに値0を設定したときを第2タイミングとするものに限定されるものではなく、第2タイミングとして、第1タイミング以降に総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内となったタイミングを用いるものとしたり、総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内の所定範囲内となったタイミングを用いるものとしたり、最大バネ上振動抑制トルクTvamaxに代えてバネ上振動抑制トルクTvaとして設定されるトルクのうちの最大値より若干大きいトルクと最小バネ上振動抑制トルクTvaminに代えてバネ上振動抑制トルクTvaとして設定されるトルクのうちの最小値より若干小さいトルクとを用いて計算される最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内となったタイミングを用いるものとしたりするなど、走行用トルクとバネ上振動抑制トルクとの和により得られる出力要請トルクを電動機から出力するときに電動機により消費または発電される出力要請電力が蓄電手段の入出力制限の範囲内から範囲外に至る第1タイミングと、第1のタイミングに至った以降に少なくとも総発電消費電力が蓄電手段の入出力制限の範囲外から範囲内に至る第2タイミングとを判定するものであれば如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内である状態から総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲外となる第1タイミングまで及び総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲外に至った第1タイミング以降に最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内となった第2タイミングから総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲外となる第1タイミングまでは、出力要請トルクTm(Tm2tmp+Tva)をモータMGのトルク指令Tm*に設定してモータMGを駆動制御し、総発電消費電力Wallがバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲外に至った第1タイミングから最大発電消費電力Wmaxおよび最小発電消費電力Wminが共にバッテリ250の入出力制限Win,Woutの範囲内となる第2タイミングまでは、仮モータトルクTmtmp(Tm−Tva)をトルク制限Tmin,Tmaxで制限して得られるトルクをモータMGのトルク指令Tm*に設定してモータMGを駆動制御するものに限定されるものではなく、第1タイミングが判定されるまで及び第2タイミングが判定されてから第1タイミングが判定されるまでは電動機から出力要請トルクが出力されて走行するよう電動機を制御し、第1タイミングが判定されてから第2タイミングが判定されるまでは電動機から出力要請トルクからバネ上振動抑制トルクを減じて得られるトルクが出力されて走行するよう電動機を制御するものであれば如何なるものとしても構わない。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、自動車の製造産業などに利用可能である。
20,120 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51a 電圧センサ、51b 電流センサ、51c 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、55 昇圧回路、55a 温度センサ、56 システムメインリレー、57,58 コンデンサ、57a,58a 電圧センサ、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、89a〜89d 車輪速センサ、220 電気自動車、232 駆動軸、242 インバータ、244 回転位置検出センサ、250 バッテリ、262 デファレンシャルギヤ、263a,263b 駆動輪、270 電子制御ユニット、272 CPU、274 ROM、276 RAM、280 イグニッションスイッチ、281 シフトレバー、282 シフトポジションセンサ、283 アクセルペダル、284 アクセルペダルポジションセンサ、285 ブレーキペダル、286 ブレーキペダルポジションセンサ、288 車速センサ、289a〜289d 車輪速センサ、MG,MG1,MG2 モータ。

Claims (6)

  1. 内燃機関と、動力を入出力する発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に3つの回転要素が接続された遊星歯車機構と、走行用の動力を入出力可能な少なくとも1つの電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、を備える自動車であって、
    走行に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
    前記設定された要求駆動力により走行するよう前記内燃機関を運転すべき目標運転ポイントと前記発電機から出力すべき発電機トルクと前記電動機から出力すべき電動機トルクとを設定する設定値設定手段と、
    前記蓄電手段の状態に基づいて該蓄電手段を充放電してもよい最大電力としての入出力制限を設定する入出力制限設定手段と、
    車両の懸架装置より上のバネ上構造物の固有振動を抑制するために前記電動機から出力すべきバネ上振動抑制トルクを演算するバネ上振動抑制トルク演算手段と、
    車両に生じる前記バネ上構造物の固有振動の周波数より高い周波数の振動を抑制するために前記電動機から出力すべき高周波振動抑制トルクを演算する高周波振動抑制トルク演算手段と、
    前記設定された電動機トルクと前記演算されたバネ上振動抑制トルクと前記演算された高周波振動抑制トルクとの和により得られる出力要請トルクを前記電動機から出力するときに該電動機により消費または発電される電動機電力と前記設定された発電機トルクを前記発電機から出力するときに該発電機により発電または消費される発電機電力との和の総発電消費電力が前記設定された入出力制限の範囲内から範囲外に至る第1タイミングと、前記第1のタイミングに至った後に少なくとも前記総発電消費電力が前記設定された入出力制限の範囲外から範囲内に至る第2タイミングとを判定するタイミング判定手段と、
    前記タイミング判定手段により前記第1タイミングが判定されるまで及び前記第2タイミングが判定されてから前記第1タイミングが判定されるまでは前記内燃機関が前記目標運転ポイントで運転されると共に前記発電機から前記発電機トルクが出力され且つ前記電動機から前記出力要請トルクが出力されて走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機を制御し、前記タイミング判定手段により前記第1タイミングが判定されてから前記第2タイミングが判定されるまでは前記内燃機関が前記目標運転ポイントで運転されると共に前記発電機から前記発電機トルクが出力され且つ前記電動機から前記出力要請トルクから前記バネ上振動抑制トルクを減じて得られるトルクが出力されて走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機を制御する制御手段と、
    を備える自動車。
  2. 請求項1記載の自動車であって、
    前記第2タイミングは、前記総発電消費電力が前記設定された入出力制限の範囲外に至った以降に前記出力要請トルクの最大値または最小値を前記電動機から出力するときに該電動機により消費または発電される最大最小電動機電力と前記発電機電力との和の最大最小発電消費電力が前記設定された入出力制限の範囲内に至るタイミングである、
    自動車。
  3. 走行用の動力を入出力可能な電動機と前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段とを備える自動車であって、
    走行に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
    前記設定された要求駆動力に基づいて走行のために前記電動機から出力すべき走行用トルクを設定する走行用トルク設定手段と、
    前記蓄電手段の状態に基づいて該蓄電手段を充放電してもよい最大電力としての入出力制限を設定する入出力制限設定手段と、
    車両の懸架装置より上のバネ上構造物の固有振動を抑制するために前記電動機から出力すべきバネ上振動抑制トルクを演算するバネ上振動抑制トルク演算手段と、
    前記設定された走行用トルクと前記演算されたバネ上振動抑制トルクとの和により得られる出力要請トルクを前記電動機から出力するときに該電動機により消費または発電される出力要請電力が前記設定された入出力制限の範囲内から範囲外に至る第1タイミングと、前記第1のタイミングに至った以降に少なくとも前記総発電消費電力が前記設定された入出力制限の範囲外から範囲内に至る第2タイミングとを判定するタイミング判定手段と、
    前記タイミング判定手段により前記第1タイミングが判定されるまで及び前記第2タイミングが判定されてから前記第1タイミングが判定されるまでは前記電動機から前記出力要請トルクが出力されて走行するよう前記電動機を制御し、前記タイミング判定手段により前記第1タイミングが判定されてから前記第2タイミングが判定されるまでは前記電動機から前記出力要請トルクから前記バネ上振動抑制トルクを減じて得られるトルクが出力されて走行するよう前記電動機を制御する制御手段と、
    を備える自動車。
  4. 請求項3記載の自動車であって、
    前記第2タイミングは、前記第1のタイミングに至った以降に前記出力要請トルクの最大値または最小値を前記電動機から出力するときに該電動機により消費または発電される最大最小電動機電力が前記設定された入出力制限の範囲内に至るタイミングである、
    自動車。
  5. 内燃機関と、動力を入出力する発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に3つの回転要素が接続された遊星歯車機構と、走行用の動力を入出力可能な少なくとも1つの電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、を備える自動車の制御方法であって、
    走行に要求される要求駆動力により走行するよう前記内燃機関を運転すべき目標運転ポイントと前記発電機から出力すべき発電機トルクと前記電動機から出力すべき電動機トルクとを設定すると共に車両の懸架装置より上のバネ上構造物の固有振動を抑制するために前記電動機から出力すべきバネ上振動抑制トルクと車両に生じる前記バネ上構造物の固有振動の周波数より高い周波数の振動を抑制するために前記電動機から出力すべき高周波振動抑制トルクとを演算し、
    前記設定した電動機トルクと前記演算したバネ上振動抑制トルクと前記演算した高周波振動抑制トルクとの和により得られる出力要請トルクを前記電動機から出力するときに該電動機により消費または発電される電動機電力と前記設定した発電機トルクを前記発電機から出力するときに該発電機により発電または消費される発電機電力との和の総発電消費電力が前記蓄電手段を充放電してもよい最大電力としての入出力制限の範囲内から範囲外に至る第1タイミングと、前記第1のタイミングに至った後に少なくとも前記総発電消費電力が前記入出力制限の範囲外から範囲内に至る第2タイミングとを判定し、
    前記第1タイミングが判定されるまで及び前記第2タイミングが判定されてから前記第1タイミングが判定されるまでは前記内燃機関が前記目標運転ポイントで運転されると共に前記発電機から前記発電機トルクが出力され且つ前記電動機から前記出力要請トルクが出力されて走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機を制御し、前記第1タイミングが判定されてから前記第2タイミングが判定されるまでは前記内燃機関が前記目標運転ポイントで運転されると共に前記発電機から前記発電機トルクが出力され且つ前記電動機から前記出力要請トルクから前記バネ上振動抑制トルクを減じて得られるトルクが出力されて走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機を制御する、
    ことを特徴とする自動車の制御方法。
  6. 走行用の動力を入出力可能な電動機と前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段とを備える自動車の制御方法であって、
    走行に要求される要求駆動力に基づいて走行のために前記電動機から出力すべき走行用トルクを設定すると共に車両の懸架装置より上のバネ上構造物の固有振動を抑制するために前記電動機から出力すべきバネ上振動抑制トルクを演算し、
    前記設定した走行用トルクと前記演算したバネ上振動抑制トルクとの和により得られる出力要請トルクを前記電動機から出力するときに該電動機により消費または発電される出力要請電力が前記蓄電手段を充放電してもよい最大電力としての入出力制限の範囲内から範囲外に至る第1タイミングと、前記第1のタイミングに至った以降に少なくとも前記総発電消費電力が前記入出力制限の範囲外から範囲内に至る第2タイミングとを判定し、
    前記第1タイミングが判定されるまで及び前記第2タイミングが判定されてから前記第1タイミングが判定されるまでは前記電動機から前記出力要請トルクが出力されて走行するよう前記電動機を制御し、前記第1タイミングが判定されてから前記第2タイミングが判定されるまでは前記電動機から前記出力要請トルクから前記バネ上振動抑制トルクを減じて得られるトルクが出力されて走行するよう前記電動機を制御する、
    ことを特徴とする自動車の制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112078586A (zh) * 2019-06-14 2020-12-15 丰田自动车株式会社 车辆驱动系统

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