JP2010195270A - 車両用ショックアブソーバ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】実用性の高い車両用ショックアブソーバ装置を提供する。
【解決手段】ばね上部に連結される筒状の第1部材100と、ばね下部に連結され、ばね上部とばね下部との相対動作に伴って相対移動する第2部材86と、第1部材内に配設される電磁モータ60と、モータ力を第1部材と第2部材との相対移動に対する抵抗力に変換する機構82,84とを有し、ばね上部とばね下部との相対動作に対する減衰力を発生させるアブソーバ本体を備えたアブソーバ装置10において、そのアブソーバ本体の外部に設けられ、第1部材と第2部材との相対移動に伴って容積が増減する空気室114と、空気室の容積の減少による空気室内の空気の吹き出しを許容する吹出口112とを有し、吹出口から吹き出される空気が、第1部材の外周面に沿って流れるように構成する。このような構成によって、モータを収容する第1部材を冷却し、モータの温度上昇を抑制することが可能となる。
【選択図】図1
【解決手段】ばね上部に連結される筒状の第1部材100と、ばね下部に連結され、ばね上部とばね下部との相対動作に伴って相対移動する第2部材86と、第1部材内に配設される電磁モータ60と、モータ力を第1部材と第2部材との相対移動に対する抵抗力に変換する機構82,84とを有し、ばね上部とばね下部との相対動作に対する減衰力を発生させるアブソーバ本体を備えたアブソーバ装置10において、そのアブソーバ本体の外部に設けられ、第1部材と第2部材との相対移動に伴って容積が増減する空気室114と、空気室の容積の減少による空気室内の空気の吹き出しを許容する吹出口112とを有し、吹出口から吹き出される空気が、第1部材の外周面に沿って流れるように構成する。このような構成によって、モータを収容する第1部材を冷却し、モータの温度上昇を抑制することが可能となる。
【選択図】図1
Description
本発明は車両用ショックアブソーバ装置、詳しくは、電磁モータが発生させる力に依拠して、ばね上部とばね下部との相対動作に対する減衰力を発生させる電磁式の車両用ショックアブソーバ装置に関する。
車両の分野において、近年では、電磁モータが発生させる力(以下、「モータ力」という場合がある)に依拠してばね上部とばね下部との相対振動を減衰する機能を有する電磁式のショックアブソーバ装置(以下、「アブソーバ」と略す場合がある)の開発が進められている。下記特許文献に記載されているアブソーバは、その電磁式アブソーバの一例である。
モータ力に依拠してばね上部とばね下部との相対振動に対する減衰力を発生させる電磁式アブソーバにおいては、電磁モータの作動に伴って、電磁モータの温度が上昇する虞がある。そこで、上記特許文献に記載されている電磁式アブソーバは、電磁モータを冷却媒体に浸し、その冷却媒体をラジエター等の冷却装置によって冷却することで電磁モータの温度上昇を抑制する構造とされている。ただし、そのような構造の電磁式アブソーバにおいては、冷却媒体の密閉性の確保,冷却装置の設置スペースの確保等のため、構造の複雑化,大型化等を招く虞がある。本発明は、そのような事情に鑑みてなされたものであり、簡便な構造の機器によって電磁モータの温度上昇を抑制することが可能なアブソーバを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明のアブソーバは、ばね上部とばね下部との一方に連結される筒状の第1部材と、ばね上部とばね下部との他方に連結され、ばね上部とばね下部との相対動作に伴って相対移動する第2部材と、第1部材内に配設される電磁モータと、その電磁モータの力を第1部材と第2部材と相対移動に対する抵抗力に変換する変換機構とを有し、ばね上部とばね下部との相対動作に対する減衰力を発生させる電磁式アブソーバ本体を備えたアブソーバであって、その電磁式アブソーバ本体の外部に設けられ、第1部材と第2部材との相対移動に伴って容積が増減する空気室と、その空気室の容積の減少によるその空気室内部の空気の吹き出しを許容する吹出口とを有し、その吹出口から吹き出される空気が、第1部材の外周面に沿って流れるように構成される。
本発明のアブソーバでは、ばね上部とばね下部との相対動作に伴って、電磁モータが内部に設けられた第1部材の外周面に沿って空気が吹き出されるように構成されており、冷却媒体を用いることなく、電磁モータの温度上昇を抑制することが可能となる。さらにいえば、本発明のアブソーバでは、ばね上部とばね下部との相対動作に伴って空気が吹き出されるため、空気を吹き出すための駆動源を必要としない。したがって、本発明のアブソーバによれば、簡便な構造の機器によって電磁モータの温度上昇を抑制することが可能となる。
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、請求項1に(2)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項2に、請求項2に(3)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項3に、請求項2または請求項3に(4)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項4に、請求項4に(5)項および(7)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項5に、請求項1ないし請求項5のいずれか1つに(8)項および(9)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項6に、請求項1ないし請求項6のいずれか1つに(10)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項7に、それぞれ相当する。
(1)(a)ばね上部とばね下部との一方に連結される筒状の第1部材と、(b)一端部が前記第1部材と嵌め合わされて他端部がばね上部とばね下部との他方に連結され、ばね上部とばね下部との相対動作に伴って相対移動する第2部材と、(c)前記第1部材内に配設された電磁モータと、(d)その電磁モータの力を前記第1部材と前記第2部材と相対移動に対する抵抗力に変換する変換機構とを有し、ばね上部とばね下部との相対動作に対する減衰力を発生させる電磁式アブソーバ本体と、
その電磁式アブソーバ本体の外部に設けられ、(A)前記第1部材と前記第2部材との相対移動に伴って容積が増減する空気室と、(B)その空気室の容積の減少によるその空気室内部から外部への空気の吹き出しを許容する吹出口とを有し、その吹出口から吹き出される空気が、前記第1部材の外周面に沿って流れるように構成された送風器と
を備えた車両用ショックアブソーバ装置。
その電磁式アブソーバ本体の外部に設けられ、(A)前記第1部材と前記第2部材との相対移動に伴って容積が増減する空気室と、(B)その空気室の容積の減少によるその空気室内部から外部への空気の吹き出しを許容する吹出口とを有し、その吹出口から吹き出される空気が、前記第1部材の外周面に沿って流れるように構成された送風器と
を備えた車両用ショックアブソーバ装置。
電磁式のショックアブソーバ装置(以下、「アブソーバ」と略す場合がある)は、ばね上部とばね下部との相対動作に伴って自身の軸線方向に伸縮し、その伸縮動作に対して電磁モータの力に依拠して抵抗力を発生させる構造とされている。このため、電磁モータの作動に伴って電磁モータの温度が上昇する虞がある。そこで、電磁モータの温度上昇を抑制するべく、例えば、電磁モータを冷却媒体に浸し、その冷却媒体を冷却することが考えられる。ただし、冷却媒体によって電磁モータの温度上昇を抑制しようとすると、冷却媒体を密閉する必要があり、また、冷却媒体を冷却する装置を設ける必要があり、構造の複雑化,大型化等を招く虞がある。本項に記載されたアブソーバにおいては、自身の伸縮動作に伴って、電磁モータを内部に設けた第1部材の外壁面に沿って空気が流れるように構成されており、冷却媒体を用いることなく、電磁モータの温度上昇を抑制することが可能となる。さらにいえば、本項に記載のアブソーバでは、ばね上部とばね下部との相対動作に伴って空気が吹き出されるため、空気を吹き出すための駆動源を必要としない。したがって、本項に記載のアブソーバによれば、簡便な構造の機器によって電磁モータの温度上昇を抑制することが可能となる。
本項に記載された「吹出口」は、空気室内部の空気の吹き出しを許容するだけでなく、空気室外部の空気の吸い込みも許容する構造であってもよい。ただし、電磁モータの冷却効果を高めるべく、空気室外部の空気の吸い込みを禁止する構造であってもよい。詳しくいえば、吹出口を、空気室内部の空気の吹き出しを許容するとともに、空気室外部の空気の吸い込みを禁止する構造とし、空気室外部の空気の吸い込みを許容するとともに、空気室内部の空気の吐き出しを禁止する構造の吸込口を送風器に設けることで、空気室内部の空気を換気することが可能となり、電磁モータの冷却効果を高めることが可能となる。
本項に記載の「電磁式アブソーバ本体」は、単に減衰力のみを発生可能なものに限定されず、例えば、ばね上部とばね下部とを積極的に相対動作させる推進力や、外部からの入力に対してばね上部とばね下部とを相対動作させないようにする力をも発生可能なものとされてもよい。その場合、本項に記載のアブソーバを各車輪に対応して設ければ、ばね上振動に対する減衰力を発生させるいわゆるスカイフックダンパ理論に基づいた制御や、車体のロールやピッチの抑制を目的とした車体の姿勢制御等を実行することも可能である。また、その動力源である「電磁モータ」は、その型式等は特に限定されず、DCブラシレスモータを始めとして種々の型式のモータを採用可能である。
本項に記載の「ばね上部」は、例えば、サスペンションスプリングによって支持される車体の部分を広く意味し、「ばね下部」は、例えば、サスペンションアーム等、車輪軸とともに上下動する車両の構成要素を広く意味する。また、本項の態様における「ばね上部とばね下部との一方と第1部材との連結」、および、「ばね上部とばね下部との他方と第2部材との連結」は、直接的な連結であってよく、また、例えば、何らかの部材,装置等を介した連結、具体的に言えば、弾性体,ダンパ等を介した連結であってもよい。
(2)前記送風器が、
前記電磁式アブソーバ本体を囲むように配設され、一端部が前記第1部材と相対移動不能とされ、他端部が前記第2部材に相対移動不能とされ、前記第1部材と前記第2部材との相対移動に伴って伸縮する伸縮筒を有し、
前記空気室が、その伸縮筒の内周面と前記電磁式アブソーバ本体の外周面とによって区画されたものである(1)項に記載の車両用ショックアブソーバ装置。
前記電磁式アブソーバ本体を囲むように配設され、一端部が前記第1部材と相対移動不能とされ、他端部が前記第2部材に相対移動不能とされ、前記第1部材と前記第2部材との相対移動に伴って伸縮する伸縮筒を有し、
前記空気室が、その伸縮筒の内周面と前記電磁式アブソーバ本体の外周面とによって区画されたものである(1)項に記載の車両用ショックアブソーバ装置。
本項に記載のアブソーバにおいては、自身の軸線方向に伸縮可能な筒状の伸縮筒が、電磁式アブソーバ本体を挿通させた状態で、両端部において第1部材と第2部材とのそれぞれに連結されている。したがって、本項に記載のアブソーバによれば、送風器の構造を比較的シンプルなものとすることが可能となる。本項に記載の「伸縮筒」は、第1部材と第2部材との相対移動に伴って伸縮する構造であればよく、例えば、2つの筒状の部材を有し、それら2つの部材の一方を他方に嵌合し、その一方の筒状の部材を第1部材に、他方を第2部材に連結する構造とされてもよい。また、上記2つの筒状の部材を蛇腹状の部材によって繋ぎ、一方の筒状の部材を第1部材に、他方を第2部材に連結する構造とされてもよい。
(3)前記伸縮筒が、
蛇腹部を有し、その蛇腹部の伸縮によって前記第1部材と前記第2部材との相対移動に伴って伸縮する構造とされた(2)項に記載の車両用ショックアブソーバ装置。
蛇腹部を有し、その蛇腹部の伸縮によって前記第1部材と前記第2部材との相対移動に伴って伸縮する構造とされた(2)項に記載の車両用ショックアブソーバ装置。
本項に記載のアブソーバにおいては、伸縮筒の構造が具体的に限定されており、本項のアブソーバによれば、伸縮筒の構造を相当シンプルなものとすることが可能となる。
(4)前記伸縮筒の前記一端部と前記第1部材の外周面との間に形成される隙間が、前記吹出口として機能する(2)項または(3)項に記載の車両用ショックアブソーバ装置。
本項に記載のアブソーバによれば、吹出口から吹き出される空気を容易に第1部材の外壁面に沿って流すことが可能となり、効率良く電磁モータの温度上昇を抑制することが可能となる。
(5)前記伸縮筒の一端部が、
弾性力によって前記第1部材の外周面に向かって付勢され、その外周面に自身の一部が接触する接触部材を有し、
前記接触部材が前記弾性力によって前記第1部材の外周面に接触している場合には、前記伸縮筒の一端部と前記第1部材の外周面との間に隙間は生じず、前記空気室の容積の減少によるその空気室内部の空気圧の上昇に伴って前記接触部材が前記弾性力に抗って前記第1部材の外周面から離れた場合にのみ、前記伸縮筒の一端部と前記第1部材の外周面との間に隙間が生じ、その隙間が前記吹出口として機能する(4)項に記載の車両用ショックアブソーバ装置。
弾性力によって前記第1部材の外周面に向かって付勢され、その外周面に自身の一部が接触する接触部材を有し、
前記接触部材が前記弾性力によって前記第1部材の外周面に接触している場合には、前記伸縮筒の一端部と前記第1部材の外周面との間に隙間は生じず、前記空気室の容積の減少によるその空気室内部の空気圧の上昇に伴って前記接触部材が前記弾性力に抗って前記第1部材の外周面から離れた場合にのみ、前記伸縮筒の一端部と前記第1部材の外周面との間に隙間が生じ、その隙間が前記吹出口として機能する(4)項に記載の車両用ショックアブソーバ装置。
本項に記載のアブソーバは、空気室の容積が減少する場合にのみ吹出口が形成される構造とされている。つまり、吹出口は、空気室内部への空気の流入を禁止するとともに、空気室外部への空気の流出を許容する構造とされており、第1部材の外周面付近の空気、つまり、第1部材の外周面によって暖められた空気の空気室への吸い込みを禁止することが可能となっている。したがって、本項に記載のアブソーバによれば、電磁モータの冷却効果を高めることが可能となる。
(6)前記接触部材が、円環状の弾性弁であり、その弾性弁の外縁部が前記伸縮筒の一端部に固着され、内縁部が自身の弾性力によって前記第1部材の外周面に向かって付勢され、その外周面に接触する構造とされた(5)項に記載の車両用ショックアブソーバ装置。
本項に記載のアブソーバにおいては、接触部材の構造が具体的に限定されており、本項のアブソーバによれば、接触部材の構造を相当シンプルなものとすることが可能となる。
(7)前記送風器が、前記空気室の容積の増加によるその空気室の外部から内部への空気の吸い込みを許容するとともに、前記空気室の容積の減少によるその空気室の内部から外部への空気の吹き出しを禁止する吸込口を有する(5)項または(6)項に記載の車両用ショックアブソーバ装置。
空気室への空気の流入口と空気室からの空気の流出口とをそれぞれ独立して設けることで、空気室から吹きだされた空気を再度、空気室に吸込むことを抑制することが可能となる。したがって、本項に記載のアブソーバによれば、空気室内部の空気を効率良く換気することが可能となり、電磁モータの冷却効果を高めることが可能となる。なお、吸込口を吹出口から離れた位置に設けるほど、空気が空気室内の全体を流れることから、吸込口は伸縮筒の他端部に設けられることが望ましい。
(8)前記電磁モータが、前記第1部材の内周面に配置されたコイルを有する(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の車両用ショックアブソーバ装置。
電磁モータの作動時には、電流が流れるコイルにおいて最も温度上昇が懸念される。したがって、本項に記載のアブソーバにおいては、吹出口から送風される空気が第1部材の外壁面を冷却するという効果が充分に活かされる。
(9)前記送風器が、
前記吹出口から吹き出される空気が、前記コイルが配置された前記第1部材の内周面の部分の外側に位置する前記第1部材の外周面に沿って流れるように構成された(8)項に記載の車両用ショックアブソーバ装置。
前記吹出口から吹き出される空気が、前記コイルが配置された前記第1部材の内周面の部分の外側に位置する前記第1部材の外周面に沿って流れるように構成された(8)項に記載の車両用ショックアブソーバ装置。
本項に記載のアブソーバによれば、特に効果的に電磁モータの温度上昇を抑制することが可能となる。
(10)前記送風器が、前記空気室の容積の増加によるその空気室の外部から内部への空気の吸い込みを許容するとともに、前記空気室の容積の減少によるその空気室の内部から外部への空気の吹き出しを禁止する吸込口を有し、
前記吹出口が、前記空気室の容積の増加によるその空気室の外部から内部への空気の吸い込みを禁止するものである(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載の車両用ショックアブソーバ装置。
前記吹出口が、前記空気室の容積の増加によるその空気室の外部から内部への空気の吸い込みを禁止するものである(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載の車両用ショックアブソーバ装置。
本項に記載のアブソーバによれば、前述の(7)項に記載のアブソーバと同様に、空気室内部の空気を効率良く換気することが可能となり、電磁モータの冷却効果を高めることが可能となる。
(11)前記変換機構が、
互いに螺合するねじロッドとナットとを有し、それらねじロッドとナットとの一方が前記第1部材に設けられ他方が前記第2部材に設けられて、それらねじロッドとナットとがばね上部とばね下部との相対動作に伴って相対回転するとともに、前記電磁モータが前記ねじロッドと前記ナットとのいずれかにそれらの相対回転に対する力を付与する構造とされた(1)項ないし(10)項のいずれか1つに記載の車両用ショックアブソーバ装置。
互いに螺合するねじロッドとナットとを有し、それらねじロッドとナットとの一方が前記第1部材に設けられ他方が前記第2部材に設けられて、それらねじロッドとナットとがばね上部とばね下部との相対動作に伴って相対回転するとともに、前記電磁モータが前記ねじロッドと前記ナットとのいずれかにそれらの相対回転に対する力を付与する構造とされた(1)項ないし(10)項のいずれか1つに記載の車両用ショックアブソーバ装置。
本項に記載のアブソーバにおいては、電磁式アブソーバ本体の有する変換機構の構造が具体的に限定されている。本項に記載のアブソーバによれば、変換機構としてねじ機構を採用することで、電磁モータの回転力を、第1部材と第2部材との相対移動に対する抵抗力に容易に変換することが可能となる。なお、本項に記載のアブソーバにおいては、第1部材と第2部材とのいずれにねじロッドを設け、いずれにナットを設けるかは、任意である。さらに、ねじロッドを回転不能とし、ナットを回転可能とするような構成としてもよく、逆に、ナットを回転不能とし、ロッドを回転可能とするような構成としてもよい。
(12)前記第1部材が、ばね上部に連結され、前記第2部材が、ばね下部に連結される(1)項ないし(11)項のいずれか1つに記載の車両用ショックアブソーバ装置。
本項に記載のアブソーバにおいては、電磁モータを収容する第1部材がばねばね上部に連結されることから、例えば、泥はね,石はね等から電磁モータを効果的に保護でき、また、ばね下部から伝達される振動の電磁モータへの伝達を緩和することが可能となる。
以下、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
図1に、実施例の車両用ショックアブソーバ装置(以下、「アブソーバ」という場合がある)10を示す。このアブソーバ10は、図2に示すように、独立懸架式のサスペンション装置20の一構成要素として、車両に装備される。図2に示すサスペンション装置20は、マルチリンク式サスペンション装置とされており、サスペンションアームである第1アッパアーム30,第2アッパアーム32,第1ロアアーム34,第2ロアアーム36,トーコントロールアーム38を備えている。5本のアーム30,32,34,36,38のそれぞれの一端部は、車体に回動可能に連結され、他端部は、車輪40を回転可能に保持するアクスルキャリア42に回動可能に連結されている。それら5本のアーム30,32,34,36,38により、アクスルキャリア42は、車体に対して略一定の軌跡を描くような上下動が可能とされている。
上述のような構成のサスペンション装置20において、アブソーバ10は、コイルスプリング50と並設されている。具体的に言えば、それらは、それぞれ、ばね上部の一構成部分であるタイヤハウジングに設けられたマウント部54と、ばね下部の一構成部分である第2ロアアーム36との間に、互いに並列的に配設されている。
アブソーバ10は、図1に示すように、内部に電磁モータ60を収容する円筒状のモータケース62と、そのモータケース62の下端部に固定的に連結された概して円筒状のハウジングチューブ64とを含んで構成されている。モータケース62は、それの外周部において、緩衝ゴムを介してマウント部54に連結されている。
電磁モータ60は、モータケース62の内周面に沿って一円周上に固定して配置された複数のコイル70と、両端部の各々においてモータケース62とハウジングチューブ64との各々にベアリング72,74を介して回転可能に保持された筒状のモータ軸76と、コイル70と向き合うようにしてモータ軸76の外周に固定して配設された複数の永久磁石78とを含んで構成されている。電磁モータ60は、コイル70を有するステータと、永久磁石78を有するロータとを含んで構成される3相のDCブラシレスモータである。
アブソーバ10は、ハウジングチューブ64とモータケース62とで構成された第1部材内に、外周部に雄ねじとしてのねじ溝が形成されたねじロッド82と、複数のベアリングボールを保持してねじロッド82と螺合するナット84とを有しており、それらは、変換機構としてのボールねじ機構を構成している。ナット84は、ねじロッド82と螺合させられた状態で、モータ軸76の下端部に固定的に嵌合されている。一方、ねじロッド82は、電磁モータ60のモータ軸76を貫通した状態で、上下方向に延びるようにハウジングチューブ64内に配設されており、下端部において、支持ロッド86の上端部に固着されている。第2部材としての支持ロッド86の下端部はハウジングチューブ64の下方から延び出しており、支持ロッド86は、下端部において、取付ブシュ88を介して第2ロアアーム36に連結されている。また、ハウジングチューブ64の下端部には、シール90が設けられており、支持ロッド86は、シール90を介してハウジングチューブ64の下端部と摺接している。
また、第1部材としてのモータケース62およびハウジングチューブ64と、第2部材としての支持ロッド86とで構成されるアウタチューブ100の外周部には、そのアウタチューブ100を覆うようにカバーチューブ102が設けられている。カバーチューブ102は、モータケース62およびハウジングチューブ64を挿通させた状態でモータケース62に連結される円筒状の上部チューブ104と、支持ロッド86のハウジングチューブ64から延び出した部分の外周部に固定的に嵌合される環状部材106と、それら上部チューブ104と環状部材106とを接続する概して円筒状の接続チューブ108とを含んで構成されている。
上部チューブ104の内径は、モータケース62およびハウジングチューブ64の外径より大きくされており、上部チューブ104は、それの内周面の3等配の位置において、3本の取り付けピン110(図1には1つ図示されている)を介してモータケース62の外周面に連結されている。つまり、モータケース62およびハウジングチューブ64と、上部チューブ104との間には空間が存在する。また、その上部チューブ104の上端部には、断面が”へ”の字形とされた概して円環状の弾性弁112が固着されている。弾性弁112の下端部の内径は、モータケース62の外径より大きくされており、その下端部において、弾性弁112が上部チューブ104の上端の内周面に固着されている。弾性弁112の上方の部分は、上部チューブ104の上端から延び出しており、延び出した部分の外径および内径が、上方に向かうほど小さくなっている。つまり、第1部材の上端部が先細りする形状とされている。その弾性弁112の上端部の内径は、モータケース62の外径より僅かに小さくされており、弾性弁112は、自身の弾性力によって上端部においてモータケース62と接している。つまり、円環状の弾性弁112の外縁部が上部チューブ104の上端部に固着されており、内縁部がモータケース62に向かって自身の弾性力によって付勢され、そのモータケース62の外周面に接触している。このような構造によって、カバーチューブ102の内部、詳しくいえば、カバーチューブ102の内周面とアウタチューブ100の外周面との間には空気室114が形成されている。
また、カバーチューブ102を構成する環状部材106には、周方向の4等配の位置に、空気室114とカバーチューブ102の外部とを連通する4本の連通穴116(図1には2つ図示されている)が形成されている。連通穴116の各々には、逆止弁118が設けられており、連通穴116は、カバーチューブ102の外部から空気室114への流通のみを許容する構造とされている。また、接続チューブ108は、弾性材によって構成されており、それの軸線方向の中央部に蛇腹部120を有している。このような構造によって、接続チューブ108は、蛇腹部120が伸び縮みすることで、軸線方向に伸縮可能とされている。
なお、支持ロッド96には、環状部材106の下方に環状の下部リテーナ122が固定されており、マウント部54の下面側には、防振ゴムを介して、環状の上部リテーナ124が付設されている。コイルスプリング50は、それら下部リテーナ122と上部リテーナ124とによって、それらに挟まれる状態で支持されている。
上述のような構造から、本アブソーバ10では、ばね上部とばね下部とが相対移動する場合には、ばね上部に連結されるモータケース62およびハウジングチューブ64と、ばね下部に連結される支持ロッド86とが相対移動し、アウタチューブ100が伸縮する構造とされている。このため、ばね上部とばね下部とが相対移動する場合には、アウタチューブ100の伸縮に伴って、ねじロッド82とナット84とが相対移動するとともに、ナット84がねじロッド82に対し回転する。電磁モータ60は、ナット84に回転力を付与可能とされており、アブソーバ10は、その回転力によって、アウタチューブ100の伸縮動作に対して抵抗力を発生させることが可能とされている。この抵抗力が、ばね上部とばね下部との相対振動を減衰する減衰力となるのである。つまり、アブソーバ10、詳しくいえば、アウタチューブ100,電磁モータ60,ねじ機構等で構成される電磁式アブソーバ本体は、電磁モータ60の発生させるモータ力に依拠して、ばね上部とばね下部との相対振動に対して減衰力を発生させる電磁式アブソーバとして機能している。また、アブソーバ10は、モータ力に依拠して、ばね上部とばね下部とを接近・離間させる機能,ばね上部とばね下部との距離を所定距離に維持する機能、つまり、アクチュエータとしての機能をも有している。この機能を利用して、ばね上部の振動に対してばね上絶対速度に応じた減衰力を作用させるいわゆるスカイフックダンパ理論に基づく制御を実行すること、旋回時の車体のロール,加速・減速時の車体のピッチ等を効果的に抑制すること、車両の車高を調整すること等が可能とされている。
本アブソーバ10は、上述したように、ばね上部とばね下部との相対動作に伴って、ねじロッド82とナット84とが相対回転するとともに相対移動し、ばね上部とばね下部との相対動作に対する減衰力を発生させるべく、モータ力が発生させられる。このため、電磁モータ60の作動によって電磁モータ60の温度、特に、コイル70の温度が上昇する虞がある。
本アブソーバ10は、アウタチューブ100の伸縮に伴って、アウタチューブ100の外周部に設けられたカバーチューブ102が伸縮し、そのカバーチューブ102の内部に形成された空気室114内の空気が、電磁モータ60を冷却すべく、モータケース62の外周面に沿って吹き出される構造とされている。詳しくいえば、カバーチューブ102を構成する接続チューブ108は、上述したように、蛇腹部120において伸縮可能とされていることから、カバーチューブ102は自身の軸線方向に伸縮可能とされている。その伸縮筒としてのカバーチューブ102の上端部はアウタチューブ100のモータケース62に連結され、下端部はアウタチューブ100の支持ロッド86に連結されている。このため、アウタチューブ100の伸縮に伴って、カバーチューブ102は伸縮し、そのカバーチューブ102の内部、つまり空気室114の内部容積が変化する。具体的にいえば、ばね上部とばね下部との接近に伴ってアウタチューブ100が縮む場合に、カバーチューブ102も縮み、空気室114の内部容積は減少する。一方、ばね上部とばね下部との離間に伴ってアウタチューブ100が伸びる場合に、カバーチューブ102も伸び、空気室114の内部容積は増加する。
カバーチューブ102の底面には、上述したように、空気室114の内部と外部とを連通する連通穴116が形成されており、その連通穴116には、空気室114の外部から内部への空気の流入のみを許容する逆止弁118が設けられている。このため、空気室114の内部容積が増加すると、空気室114外部の空気が、その連通穴116を介して、空気室114の内部に吸い込まれる。つまり、連通穴116は、空気の吸込口として機能している。また、カバーチューブ102の上端部には、上述した弾性弁112が設けられている。この接触部材としての弾性弁112は、通常、自身の弾性力によってモータケース62の外周面に向かって付勢されており、その外周面と接触している。つまり、カバーチューブ102の上端部とモータケース62の外壁面との間に隙間は存在しておらず、空気室114の外部から内部への空気の流入は禁止されている。ただし、空気室114の内部容積が減少すると、空気室114内部の空気は、連通穴116を介して空気室114外部に流出されないため、空気室114内の空気圧が上昇し、弾性弁112を弾性変形させる。その結果、カバーチューブ102の上端部とモータケース62の外壁面との間に隙間が生じ、その隙間を介して、空気室114内の空気が空気室114外部に吹き出される。つまり、その隙間が、空気の吹出口として機能している。なお、その弾性弁112は、電磁モータ60のコイル70が配置されたモータケース62の内周面の箇所の外側に位置するモータケース62の外周面の箇所の直下に接触するようにされている。
上述のような構造によって、アブソーバ10が伸びる場合には、空気室114の内部容積が増加し、空気室114外部の空気が、図1中の点線に示すように、連通穴116を介して空気室114内部に吸い込まれる。一方、アブソーバ10が縮む場合には、空気室114の内部容積が減少し、空気室114内部の空気が、図1中の一点鎖線に示すように、弾性弁112を介して空気室114外部に吹き出される。この際、弾性弁112を介して吹き出される空気は、モータケース62のコイル70を保持する部分の外周面に沿って流れる。つまり、本アブソーバ10においては、アブソーバ10の伸縮に伴って、常に、モータケース62のコイル70を保持する部分の外周面に対して空気が吹き出されており、その空気はアブソーバ10の伸縮に伴って換気されている。つまり、本アブソーバ10は、カバーチューブ102,空気室114等で構成される送風器を備えており、自身の伸縮を利用した送風器、つまり、風を送るための駆動源を必要としない送風器によって、電磁モータ60の温度上昇を効果的に抑制することが可能とされている。
10:車両用ショックアブソーバ装置 36:第2ロアアーム(ばね下部) 54:マウント部(ばね上部) 60:電磁モータ 62:モータケース(第1部材) 64:ハウジングチューブ(第1部材) 70:コイル 82:ねじロッド(ねじ機構)(変換機構) 84:ナット(ねじ機構)(変換機構) 86:支持ロッド(第2部材) 102:カバーチューブ(伸縮筒)(送風器) 108:接続チューブ(蛇腹部) 112:弾性弁(接触部材) 114:空気室 116:連通穴(吸込口)
Claims (7)
- (a)ばね上部とばね下部との一方に連結される筒状の第1部材と、(b)一端部が前記第1部材と嵌め合わされて他端部がばね上部とばね下部との他方に連結され、ばね上部とばね下部との相対動作に伴って相対移動する第2部材と、(c)前記第1部材内に配設された電磁モータと、(d)その電磁モータの力を前記第1部材と前記第2部材と相対移動に対する抵抗力に変換する変換機構とを有し、ばね上部とばね下部との相対動作に対する減衰力を発生させる電磁式アブソーバ本体と、
その電磁式アブソーバ本体の外部に設けられ、(A)前記第1部材と前記第2部材との相対移動に伴って容積が増減する空気室と、(B)その空気室の容積の減少によるその空気室内部から外部への空気の吹き出しを許容する吹出口とを有し、その吹出口から吹き出される空気が、前記第1部材の外周面に沿って流れるように構成された送風器と
を備えた車両用ショックアブソーバ装置。 - 前記送風器が、
前記電磁式アブソーバ本体を囲むように配設され、一端部が前記第1部材と相対移動不能とされ、他端部が前記第2部材に相対移動不能とされ、前記第1部材と前記第2部材との相対移動に伴って伸縮する伸縮筒を有し、
前記空気室が、その伸縮筒の内周面と前記電磁式アブソーバ本体の外周面とによって区画されたものである請求項1に記載の車両用ショックアブソーバ装置。 - 前記伸縮筒が、
蛇腹部を有し、その蛇腹部の伸縮によって前記第1部材と前記第2部材との相対移動に伴って伸縮する構造とされた請求項2に記載の車両用ショックアブソーバ装置。 - 前記伸縮筒の前記一端部と前記第1部材の外周面との間に形成される隙間が、前記吹出口として機能する請求項2または請求項3に記載の車両用ショックアブソーバ装置。
- 前記伸縮筒の一端部が、
弾性力によって前記第1部材の外周面に向かって付勢され、その外周面に自身の一部が接触する接触部材を有し、
前記接触部材が前記弾性力によって前記第1部材の外周面に接触している場合には、前記伸縮筒の一端部と前記第1部材の外周面との間に隙間は生じず、前記空気室の容積の減少によるその空気室内部の空気圧の上昇に伴って前記接触部材が前記弾性力に抗って前記第1部材の外周面から離れた場合にのみ、前記伸縮筒の一端部と前記第1部材の外周面との間に隙間が生じ、その隙間が前記吹出口として機能するとともに、
前記送風器が、前記空気室の容積の増加によるその空気室の外部から内部への空気の吸い込みを許容するとともに、前記空気室の容積の減少によるその空気室の内部から外部への空気の吹き出しを禁止する吸込口を有する請求項4に記載の車両用ショックアブソーバ装置。 - 前記電磁モータが、前記第1部材の内周面に配置されたコイルを有し、
前記送風器が、
前記吹出口から吹き出される空気が、前記コイルが配置された前記第1部材の内周面の部分の外側に位置する前記第1部材の外周面に沿って流れるように構成された請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の車両用ショックアブソーバ装置。 - 前記送風器が、前記空気室の容積の増加によるその空気室の外部から内部への空気の吸い込みを許容するとともに、前記空気室の容積の減少によるその空気室の内部から外部への空気の吹き出しを禁止する吸込口を有し、
前記吹出口が、前記空気室の容積の増加によるその空気室の外部から内部への空気の吸い込みを禁止するものである請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の車両用ショックアブソーバ装置。
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JP2009043917A JP2010195270A (ja) | 2009-02-26 | 2009-02-26 | 車両用ショックアブソーバ装置 |
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WO2022000989A1 (zh) * | 2020-06-29 | 2022-01-06 | 北京金风科创风电设备有限公司 | 混合阻尼模块、振动抑制装置、抑振方法及风力发电机组 |
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2009
- 2009-02-26 JP JP2009043917A patent/JP2010195270A/ja not_active Withdrawn
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