JP2010192661A - 放熱部品とその製造方法、およびこれを用いた放熱装置と放熱方法 - Google Patents

放熱部品とその製造方法、およびこれを用いた放熱装置と放熱方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱伝導率が高く、放熱性能に優れた放熱部品を安価に提供すること。
【解決手段】本発明の放熱部品は、基板と、基板の少なくとも一表面に形成された、金属層および該金属層の表面に形成された髭状構造体からなる複合層とを有し、該髭状構造体の一方の端部が前記金属層に埋没していると共に、空間に露出している該髭状構造体の表面の一部または全面が前記金属層を構成する金属で被覆されていることを特徴とする。前記金属層を構成する金属の融点は、前記基板の融点よりも低いことが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、放熱部品とその製造方法に関する。より詳しくは、髭状構造体が基板に対して強固に密着した構造を持つ低熱抵抗放熱部品に関する。
パーソナルコンピュータの高機能化に伴い、CPUの発熱量が飛躍的に増大しており、ヒートパイプやヒートシンクをはじめとする放熱デバイスの高性能化が求められている。放熱装置の一つとして簡易でかつ効果的な方法は、発熱源の表面に熱伝導性の放熱シートを貼り付けたりグリース等を介在させたりして、AlやCuのヒートシンクやヒートパイプを用いて放熱する方法がある。
このようなグリースや放熱シートは、高い熱伝導率を持つことはもちろんであるが、発熱源表面に存在する微小な凹凸の隙間に、隙間なく入り込むことにより接触熱抵抗を低くしている。隙間が空いた場合は、そこに熱伝導率の極めて低い空気が介在するために、発熱源との間の接触熱抵抗が大きくなってしまう。
このような凹凸への追従性を持たせるために、一般的には放熱シートとして柔らかい樹脂が用いられる。また、樹脂中に高熱伝導率の粒子を分散させたものも知られている。高熱伝導率粒子としては、熱伝導率が400W/mK程度あるAgやCuなどの金属粒子や、Al23、AlNなどのセラミックス粒子が用いられることが多い(例えば特許文献1、2等)。熱伝導率の高いフィラーとしては、カーボンナノチューブもよく知られている。
しかし、従来の高熱伝導率粒子を利用した放熱シートには、樹脂中にこれらの粒子が分散して存在するために高い熱伝導率は得られないという問題点があった。また、グリースを介在させてヒートシンクやヒートパイプを用いた場合には、グリース自体の熱伝導率を高めなければならないという問題があった。
特開2002−003829号公報 特開2005−139267号公報
そこで本発明は、上記問題点を解決すべく、熱伝導率が高く、放熱性能に優れた放熱部品、及びこれを用いた放熱装置を安価に提供することを課題とする。
本発明者らは、上記放熱材料の代わりに、金属等の基板表面にカーボンナノチューブからなる層を形成し、カーボンナノチューブ、特にカーボンナノチューブの先端を発熱源の表面に接触させることにより効率よく熱を吸い上げることができることを見出した。すなわち、カーボンナノチューブのような髭状構造体からなる多孔質層を用いると、発熱源との接触熱抵抗を極めて低下させ得ることを見出した(例えば特願2007−274610)。
低コストで髭状構造体層を形成する方法として、室温で形成可能なめっき法がある。本発明者らは、金属めっき時にカーボンナノチューブを共析させることにより、熱抵抗が低下することを見出している(特願2007−319100)。カーボンナノチューブを複合させためっきを行うと、めっき層の最表面には、カーボンナノチューブのみが露出した構造が得られ、かかるカーボンナノチューブが相手材表面との接触性を向上させる。
しかし、通常の複合めっきでは、必ずしも密着力が十分でない場合があった。すなわち、カーボンナノチューブの一部は金属中に埋まっているが、多くのカーボンナノチューブは、そのごく一部しか金属中に埋まっておらず、放熱材料として相手材に接触させた場合に剥がれてしまい、熱抵抗が高くなってしまうという問題が見いだされた。
そこで、本発明者は、上述の新たな問題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、髭状材料と基板との密着性を高めた放熱部品を発明した。本発明は、カーボンナノチューブやカーボンファイバーなどの髭状材料が基板に対して強固に密着した構造を持つ低熱抵抗放熱材料に関する。本発明は以下の構成からなる。
(1)基板と、基板の少なくとも一表面に形成された、金属層および該金属層の表面に形成された髭状構造体からなる複合層とを有し、該髭状構造体の一方の端部が前記金属層に埋没していると共に、空間に露出している該髭状構造体の表面の一部または全面が前記金属層を構成する金属で被覆されていることを特徴とする放熱部品。
(2)前記金属層を構成する金属の融点が、前記基板の融点よりも低いことを特徴とする上記(1)に記載の放熱部品。
(3)前記髭状構造体がカーボンナノチューブまたはカーボンファイバーであることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の放熱部品。
(4)前記金属層が、Ag,Cu,Ag合金、Cu合金、またはAg-Cu合金のいずれかであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の放熱部品。
(5)前記Ag合金、Cu合金、またはAg-Cu合金が、Ba,Mg,Sn,Be,Ti,Mn,Ce,Zn,Au,またはCaのいずれか一種以上を添加した合金であることを特徴とする上記(4)に記載の放熱部品。
(6)前記基板がCuまたはAlであることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の放熱部品。
(7)前記基板が、冷却デバイスまたは発熱デバイスであることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の放熱部品。
(8)前記髭状構造体の金属層から露出している部分の厚さが50μm以上であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の放熱部品。
(9)前記髭状構造体の面積占有率が、基板面積の5%以上であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに放熱部品。
(10)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の放熱部品を、発熱体と冷却体の間に挿入し、両者に強制的に接触させた構造を持つことを特徴とする放熱装置。
(11)基板の少なくとも一面に、めっき法により、基板の融点よりも低い融点を持つ金属と髭状構造体の複合体で、かつ少なくとも髭状構造体の一部が空間に露出している複合層をコーティングする第一の工程、次いで該金属を加熱して溶融させる第二の工程を含むことを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載の放熱部品の製造方法。
(12)前記第二の工程を真空で行うことを特徴とする上記(11)に記載の放熱部品の製造方法。
(13)前記髭状構造体がカーボンナノチューブまたはカーボンファイバーであることを特徴とする上記(11)または(12)に記載の放熱部品の製造方法。
(14)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の放熱部品を構成する髭状構造体の隙間に樹脂材料を含浸させて使用する放熱方法。
本発明により、熱伝導率が高く、放熱性能に優れた放熱部品を安価に提供することが可能となる。
本発明に係る放熱部品の製造方法の概略を表す図である。 実施例1において使用した熱抵抗を測定する装置の概略を表す図である。 実施例2において使用した熱抵抗を測定する装置の概略を表す図である。
以下、本発明に係る放熱部品の特徴を詳細に説明する。
本発明に係る放熱部品は、基板表面に金属層が形成され、該金属層表面に髭状構造体が埋没した構造を有し、更に、該髭状構造体の金属層に埋没していない部分の少なくとも一部分が、金属層を形成している金属により被覆されていることを特徴とする。被覆部の金属と金属層との金属は一体として形成されているため、髭状構造体と金属層との密着性が強固なものとなる。
かかる放熱部品の作製方法の一例としては次のような方法が挙げられる。
例えば、Cu基板に対してめっき法によりカーボンナノチューブと金属の複合めっきを施す。この際に、めっきする金属種を基板よりも低融点の金属材料を選んでおく。次いで、金属と髭状構造体の複合めっきが形成された放熱部品を、該金属の融点以上に加熱する。カーボンナノチューブが埋まっている部分の金属が溶融すると、溶融した金属は毛細管現象により露出されたカーボンナノチューブの表面を覆っていく。この状態から冷却すると、カーボンナノチューブは該金属層と強固に密着することができるのである(図1)。
例えばCu基板に対しては、Cu合金めっきを行えばよい。Cuの融点を低下させるのに有効な低融点の合金化元素としては、例えば、「BINARY ALLOY PHASE DIAGRAMS」(ASM発行)にまとめられた2元系合金状態図から推定すれば、Ba,Mg,Ag,Sn,Be,Ti,Mn,Ce,Zn,Au,Ca等が挙げられる。これらのうち、Cu-ZnおよびCu-Sn合金めっきが工業的に実施されているので好ましい。例えば、Cu-80wt%Zn合金では約700℃に、Cu-70wt%Sn合金では約530℃に融点を下げることができる。
更に、放熱性能の観点から熱伝導率の高い合金が好ましい。このため、Cu-72wt%Ag合金がより好ましく、該合金は780℃にまで融点を下げることが可能になる。
しかし、上記以外のめっきでも基板より融点を下げることができれば構わない。
基板としては、金属めっきを施すことが可能なものであれば特に限定されないが、CuまたはAlが好ましい。これらの金属は熱伝導率が高いため、当該金属を基板として用いることにより、本発明の放熱部品の放熱性能を高めることができる。
髭状構造体と金属との複合めっきは、基板表面の少なくとも一部分に形成されていればよく、全面に形成されていても構わない。また、片面側の表面上に形成されていればよいし、両面側に形成されていてもよい。放熱体と冷却体の間に挟み込んで使用する場合には、両面に形成されていることが好ましい。すなわち、髭状構造体と金属との複合めっきは、本発明に係る放熱部品と相手材との接触部分に形成されていればよい。
また、基板としては、平板上のものに限定されず、特定の構造を有する基体の一表面部分を利用しても構わない。例えば、Cu、Al等の金属は、ヒートシンク、ヒートスプレッダ、ヒートパイプのような冷却デバイスとして汎用されていることから、当該冷却デバイス表面の相手材と接触する部分に本発明を応用することにより用途は広がる。もしくは、CPU等の発熱を伴う半導体デバイスを構成するAlやセラミックスなどの筐体を基板として利用することも可能である。
髭状構造体としては熱伝導率の高い材料であれば種類を問わないが、熱伝導率が極めて高く、柔軟でしなり性の高いカーボンナノチューブまたはカーボンファイバーを用いると効果が大きい。
金属層を構成する金属は、基板の融点より低い融点を有する金属であれば特に限定されないが、前述のように熱伝導率の観点から、Ag,Cu,Ag合金、Cu合金、またはAg-Cu合金のいずれかであることが好ましい。基板としてCu等の金属を使用する場合にはCu合金であることが好ましい。
特に、Ag合金、Cu合金、またはAg-Cu合金が、Ba,Mg,Ag,Sn,Be,Ti,Mn,Ce,Zn,Au,Caのいずれか一種以上が添加された合金であることが好ましい。
本発明に係る放熱部品は、側面から観測すると、基板表面に金属層が形成され、該金属層から髭状構造体が露出した構造となっている。すなわち、金属層からは無数の髭状構造体が突出しているため髭状構造体からなる層を形成している。なお、髭状構造体からなる層において、髭状構造体の金属に埋没した付近近傍は該金属に被覆された構造となっている。
このような構造において、髭状構造体が露出している部分の厚さは50μm以上が好ましい。50μm以上あると、相手材の面が荒れている、すなわち相手材表面の平坦度が低く、大きくうねっている面に対しても十分追従することができ、低熱抵抗となる。100μm以上が特に好ましい。
髭状構造体の面積占有率(髭状構造体層の相対密度)は基板面積の5%以上であることが好ましい。5%以上あると、熱伝導率の高い髭状構造体による低熱抵抗発現の効果が高い。好ましくは10%以上である。好ましい上限はないが、めっき法で複合させることができる量は50%程度であると推測される。
髭状構造体の含有率が高くなると、複合めっき層にはボイドを含む場合がある。めっき後の加熱処理により、金属が溶融することでボイドを潰して複合めっき層を緻密質に近い組織にする効果もある。複合材料めっき層が緻密になると、熱伝導率が高くなり熱抵抗を低下する。ボイドを潰すには加熱時に真空下で処理すると効果が高い。
本発明に係る放熱部品を、発熱体と冷却体の間に挿入して、両者に強制的に接触させることにより、極めて放熱性能に優れた放熱装置とすることができる。例えば、発熱体として半導体装置を、冷却体としてヒートシンク、ヒートパイプ等を使用する場合には、半導体装置とヒートシンク等との間に本発明の放熱部品を挟み込み、髭状構造体が相手材表面に接触するように配置して密着固定することが好ましい。これにより発熱体からの熱を効率よく冷却体に放熱可能な装置とすることができる。
本発明に係る放熱方法は、前記の本発明に係る構造を構成する髭状構造体の隙間に樹脂材料を含浸させて使用することを特徴とする。
すなわち、本発明の放熱部品を熱伝導性樹脂と併用するとより高い放熱効果が得られる。接着剤やグリースを本放熱部品の髭状構造体層の気孔部に含浸させると、相手材との接触性をさらに高めることができるので熱抵抗はより低下させることが出来る。
これらの樹脂材料を含浸させる方法は問わない。最も簡便な手法は、相手材の表面に予め流動性のある樹脂を塗布しておき、本放熱材料を押しつけるだけでよい。押しつけ時の圧力により樹脂成分が髭状構造体層の気孔部にしみこんでいく。
本発明に係る放熱部品の製造方法は、基板の少なくとも一面に、めっき法により、基板の融点よりも低い融点を持つ金属と髭状構造体との複合体で、かつ少なくとも髭状構造体の一部が空間に露出している複合層をコーティングする第一の工程、次いで該金属を加熱して溶融させる第二の工程とを有することを特徴とする。
第一の工程において、めっき法を用い金属と髭状構造体からなる複合材料を基板上に形成する際、金属として基板よりも融点の低い金属を選択する。めっき後、基板表面には金属と髭状構造体との複合体からなる複合層が形成され、さらに最表面には髭状構造体のみからなる単独層が露出している。
なお、髭状構造体としてカーボンナノチューブ又はカーボンファイバーを使用する場合には、めっきをする際に、基板面に対して垂直方向に磁界を印加すると、カーボンナノチューブ又はカーボンファイバーが基板面に対して垂直方向に配向させることができる。これは、印加された磁界の磁力線の方向と、カーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバーの長さ方向とが平行になることを利用したものである。磁界の強度が高いほど配向しやすく、数テスラ〜10テスラ程度の磁界を印加することが好ましい。
前述のように、髭状構造体が基板面に対して垂直方向に配向していれば、髭状構造体の微細な先端部分が相手材表面の微小な凹凸にも隙間なく接触しやすくなるため、相手材との接触性をより改善することができる。しかし、厳密に垂直方向を向いていなくても、当該効果が著しく損なわれることはないため、磁界を印加しなくても構わない。
更に、めっき終了後において、金属層表面から突出している髭状構造体の端部の長さが少ない場合には、金属を溶出させてもよい。これにより、髭状構造体の金属層からの露出部の長さを十分に確保でき、髭状構造体のしなり性による相手材との接触性を良好にする効果を高めることができる。
ただし、基板表面にめっきされる金属層(金属と髭状構造体との複合体)の厚さは、めっきする時間によって調整可能なため、髭状構造体の長さよりも短い(薄い)厚さの金属層を形成する条件を選択すれば、金属層を溶出する工程は特に必要ない。
めっき終了後、第二の工程において、この金属の融点以上で、かつ基板の融点以下の温度で加熱することで、溶融した金属の一部が移動して露出している髭状構造体の表面を覆っていくことで、髭状構造体の密着強度が増大する。これにより、本発明の放熱材料を相手材に接触させて使用する際、接触時の圧力による髭状構造体の脱落を防止することができるので、低い熱抵抗を発現することができる。
更に、前述のように金属層中に形成されたボイドを消失させるためには、前記第二の工程を真空で行うことが好ましい。これにより金属層がより緻密になり熱伝導率を高めることができる。
[実施例1]
(1)材料
<基板>
10×10mm、厚さ0.5mmの各種基板を用いた。
<めっき浴>
以下のめっき浴を用いた。
[1]Cu-80wt%Zn組成のめっき浴
[2]Cu-70wt%Sn組成のめっき浴
[3]Agめっき浴
[4]Ag-28wt%Cu組成のめっき浴
[5]Znめっき浴
<髭状構造体材料>
下記を用いた。
[1]カーボンナノチューブとして、昭和電工製、気相法炭素繊維(商品名:VGCF、平均直径0.15μm、平均長さ15μm)を用いた。
[2]三菱樹脂製炭素繊維(6371T:直径1μm、長さ6mm)を切断処理して各種長さの炭素繊維を用意した。
(2)試料作製
<めっき>
めっき液中に髭状構造体材料を各種濃度になるように分散させた。この際、界面活性剤(和光純薬工業株式会社、商品名:PA1000)を、0.05g/Lになるように添加した。基板を電解脱脂、酸洗いした後、上記のめっき浴に入れて複合めっきを基板の全面(表裏面全面)に対して行った。めっき後は、水洗、超音波洗浄、アルコール洗浄等を行った後に乾燥させた。
<熱処理>
めっき後の試料を各種温度、窒素または真空雰囲気で熱処理した。真空下での処理はロータリーポンプを用いて0.001MPaに減圧した。
(3)測定
<熱抵抗の測定>
試料を、図2に示す熱抵抗測定装置にセットした。試料を上限のCuホルダで挟み、0.8MPaの面圧を印加し、その後圧力を開放した。この作業を3回繰り返した後、上部からAlNヒータで、12.9V、240mAで加熱して熱量Qを付加した。上下のCuホルダの各位置の温度を測定し、定常状態になるまで保持した。Cuホルダの周囲は断熱材で囲った。
サンプルを挟む上下の銅ホルダには熱電対挿入穴が各5点設置されており、これらの位置での温度分布の勾配から試料の表面温度を外挿することができる。熱抵抗測定時の面圧は0.285MPaとした。定常状態に達した時の、各Cuホルダ内の温度勾配から、試料の表面温度(T1)と裏面温度(T2)を外挿して算出した。
熱抵抗は下記の式で算出した。
熱抵抗(K/W)=(T1−T2)/Q
一部の試料については、ふたつのCuホルダの試料との接触側に予め、熱伝導率0.8W/mKのシリコングリースを100μm塗布しておいた。
<結果>
本発明品の髭状構造体の表面には、めっきした金属成分が存在することがEPMA分析により判明したが、その他の試料では確認できなかった。
熱抵抗測定結果を表1に示す。
本発明品は、熱抵抗測定前に行った荷重付加と荷重開放の繰り返しを経て測定した熱抵抗測定結果においても低熱抵抗を示した。これは、熱処理によって溶融した金属が髭状構造体の表面を覆うことで、髭状構造体が表面層の金属と強固に密着することができるためであると考えられる。
本発明品をグリースと併用することで熱抵抗はさらに低下した。これは、グリースが相手材の表面に存在する微細な凹凸部に侵入して、相手材との接触熱抵抗をさらに低下させたためと考えられる。
[実施例2]
(1)材料
<基板>
100×100mm、厚さ0.5mmの各種アルミ板、またはCu板を用意した。
(2)試料作製
<めっき>
実施例1と同様に行った。表1に示す試料No.13,14,19の条件で、めっきは基板の片面にのみ行った(片面はメッキ時にマスクした)。
<半導体パッケージの作製>
上記で作製した金属板をパッケージ筐体の形状に加工し、内部にシリコン半導体と絶縁封止ジェル等を挿入したパッケージを製作した。パッケージの放熱面は30×30mmであり、放熱面には前記髭状構造体が形成されている。
(3)測定
<熱抵抗の測定>
図3に示すように、受熱面が30×30mm、直径1mm、高さ10mmのフィンが2mmピッチで形成されたヒートシンクを接触させた後、上部に10kgの重りを乗せた後、静かに重りを取り外した。これを10回繰り返した後、ヒートシンク上に放熱ファンを設置した。一部の試料は、予めヒートシンクの接触面上に厚さ100μmで市販のシリコングリースを塗布しておいた。筐体およびヒートシンクの表面部の温度測定用に、これらの側面に直径0.3mmの穴を開け、熱電対を挿入しておいた。
このような半導体デバイスが、発熱量(Q)が33Wになるまで通電した。空冷ファンを作動させて冷却しながら、ヒートシンク表面温度(Tc)、パッケージ表面温度(Th)を測定した。
熱抵抗は下記の式で算出した。
熱抵抗の測定(K/W)=(Th−Tc)/Q
結果を表1中の総熱抵抗値として示す。
本発明品は、アルミヒートシンクと空冷ファンを組み合わせた実機モデルでも低熱抵抗を確認できたことから、本発明品を半導体デバイスのような発熱体に応用しても高い放熱性能を発揮させることができる。
Figure 2010192661

Claims (14)

  1. 基板と、基板の少なくとも一表面に形成された、金属層および該金属層の表面に形成された髭状構造体からなる複合層とを有し、
    該髭状構造体の一方の端部が前記金属層に埋没していると共に、空間に露出している該髭状構造体の表面の一部または全面が前記金属層を構成する金属で被覆されていることを特徴とする放熱部品。
  2. 前記金属層を構成する金属の融点が、前記基板の融点よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の放熱部品。
  3. 前記髭状構造体がカーボンナノチューブまたはカーボンファイバーであることを特徴とする請求項1または2に記載の放熱部品。
  4. 前記金属層が、Ag,Cu,Ag合金、Cu合金、またはAg-Cu合金のいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放熱部品。
  5. 前記Ag合金、Cu合金、またはAg-Cu合金が、Ba,Mg,Sn,Be,Ti,Mn,Ce,Zn,Au,またはCaのいずれか一種以上を添加した合金であることを特徴とする請求項4に記載の放熱部品。
  6. 前記基板がCuまたはAlであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の放熱部品。
  7. 前記基板が、冷却デバイスまたは発熱デバイスであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の放熱部品。
  8. 前記髭状構造体の金属層から露出している部分の厚さが50μm以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の放熱部品。
  9. 前記髭状構造体の面積占有率が、基板面積の5%以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに放熱部品。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の放熱部品を、発熱体と冷却体の間に挿入し、両者に強制的に接触させた構造を持つことを特徴とする放熱装置。
  11. 基板の少なくとも一面に、めっき法により、基板の融点よりも低い融点を持つ金属と髭状構造体の複合体で、かつ少なくとも髭状構造体の一部が空間に露出している複合層をコーティングする第一の工程、次いで該金属を加熱して溶融させる第二の工程を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の放熱部品の製造方法。
  12. 前記第二の工程を真空で行うことを特徴とする請求項11に記載の放熱部品の製造方法。
  13. 前記髭状構造体がカーボンナノチューブまたはカーボンファイバーであることを特徴とする請求項11または12に記載の放熱部品の製造方法。
  14. 請求項1〜9のいずれかに記載の放熱部品を構成する髭状構造体の隙間に樹脂材料を含浸させて使用する放熱方法。
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