JP2010192215A - 有機エレクトロルミネセンス表示装置、その製造方法、カラーフィルタ基板及びその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネセンス表示装置、その製造方法、カラーフィルタ基板及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安価かつ容易に作製することができる有機エレクトロルミネセンス表示装置、その製造方法、カラーフィルタ基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも有機発光層を含む機能性材料層を基板上にそれぞれ有する複数色の絵素領域が形成された有機エレクトロルミネセンス表示装置であって、前記基板は、異なる色の絵素領域間を区画する隔壁と、前記複数色の絵素領域外に形成され、かつ第一の色の絵素領域を区画する第一隔壁部に接続された第一ダムとを有する有機エレクトロルミネセンス表示装置である。
【選択図】図3

Description

本発明は、有機エレクトロルミネセンス表示装置、その製造方法、カラーフィルタ基板及びその製造方法に関する。より詳しくは、カラー表示の表示装置に好適な有機エレクトロルミネセンス表示装置、その製造方法、カラーフィルタ基板及びその製造方法に関するものである。
有機エレクトロルミネセンス表示装置(以下、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイとも言う。)は、薄型化が容易であり、応答速度が速く、バックライトが不要であるため消費電力が少ないという長所があり、液晶表示装置やCRT(Cathode Ray Tube)に替わる表示装置として期待されている。
現状、有機ELディスプレイ(OLED)では、マスク蒸着法又はインクジェット(IJ)法による赤(R)、緑(G)及び青(B)の絵素の塗り分けが行われている。すなわち、図6に示すように、各絵素300(絵素発光部310)を覆うように、スロットマスクを介して、各色の絵素300毎に、機能性材料層(有機機能層)の材料、すなわち機能性材料を個別に蒸着していく。これにより、各色の絵素300を覆う蒸着領域320が形成される。なお、スリットマスクを用いる場合は、各色の絵素300毎に、ストライプ状に機能性材料を蒸着する。他方、インクジェット法を用いる場合、各絵素300を囲むバンクを形成し、その中に機能性材料を塗布する。なお、この場合は、バンク内の塗布領域がそのまま図6中の、画素発光部310に相当する。インクジェット法のような溶液を用いた塗布型のR、G及びBの絵素の形成方法は、材料利用効率が高いため、現在注目されている。
しかしながら、蒸着にてR、G及びBの絵素を形成する場合、蒸着マスクの高精度貼り合わせと、蒸着ボケの極小化と、基板の大型化に伴うマスクの超重量化とが必要となり、技術的課題が大きい。一方、インクジェット法においても、絵素毎で塗布のバラツキを抑制するといった点や、高精度にインクを吐出するといった点で、技術的課題が大きい。
このように、従来の有機ELディスプレイでは、R、G及びBの絵素毎に、個別に層を形成するのが困難であった。したがって、液晶表示装置で実現している300ppiレベル以上の高精細な有機ELディスプレイパネルや、40インチレベルの大型の有機ELディスプレイを作製するためには、装置面、歩留まり面、コスト面及び技術面の重大な課題を抱えていた。すなわち、従来は、簡便で低コストな有機層形成プロセスが存在しなかった。
このような状況の中、例えば、従来方法に比べて製造が容易であって製造コストを低減でき、高解像度の表示装置にも適用できる有機ELディスプレイの製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。これは、毛細管現象により有機EL溶液を画素に充填する方法である。より詳細には、各溝の先端の位置がずれるように、R、G及びBの絵素用の溝を形成するとともに、有機EL溶液の進入を阻害するストッパ(フォトレジスト)をR及びGの絵素用の溝に設けることで、R、G及びBの塗り分けを行う。すなわち、この方法は、先端が一番高いBの絵素用の溝にBの有機EL溶液を充填し、次に、Gの絵素用の溝に設けられたストッパを剥離し、次に、Bの絵素用の溝の先端がGの有機EL溶液に付かないようにしつつ、Gの有機EL溶液をGの絵素用の溝に充填し、次に、Rの絵素用の溝に設けられたストッパを剥離し、最後に、Rの有機EL溶液をRの絵素用の溝に充填する。
また、インクジェット法は、有機EL素子の有機層のみならず、カラーフィルタ基板のカラーフィルタ層(着色層)や、金属配線基板のパターン配線等の機能性薄膜の製造に用いられている。
例えば、有機ELディスプレイのR、G及びBの絵素の塗り分けに関する技術ではないが、配線パターン等の膜パターンをインクジェット法により形成する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。より詳細には、機能液を基板上に配置して膜パターンを形成する方法であって、前記基板上に前記膜パターンの形成領域に対応したバンクを形成する工程と、前記バンクによって区画されたパターン形成領域に前記機能液を配置する工程と、前記機能液を硬化処理して膜パターンとする工程と、を有し、前記機能液の配置を、前記バンクによって区画されたパターン形成領域の底面に対する該機能液の接触角と、前記バンクの側面に対する該機能液の接触角との和が90°以下となる条件のもとで、行う膜パターンの形成方法が開示されている。
国際公開第2003/022010号パンフレット 特開2006−319016号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、各色の有機EL溶液槽が必要であり、すなわち多量の有機EL溶液が必要となる。また、有機EL溶液を充填することによって先に形成された有機EL層の再溶解が発生し、そのため、後に用いられる有機EL溶液の混濁が起きてしまう。更に、基板の不要部まで有機EL溶液に浸かるため、パネルが汚染されてしまう。そして、レジストを剥離する工程を有機EL層形成中に2回実施する必要があるため、製造工程の複雑化や有機EL層の特性劣化を招いてしまう。
したがって、依然、特性劣化を抑制しつつ、安価かつ容易に有機ELディスプレイを作製するという点で改善の余地があった。
また、300ppiレベル以上の高精細な液晶表示装置用のカラーフィルタ基板について、インクジェット法を用いて全ての色(例えば、R、G及びB)の着色層を塗り分ける場合には、高精度な吐出位置性能を有するインクジェット装置又は吐出ヘッドが全ての色に対して必要であり、更に、塗布時間も長くなるためスループットが低減するおそれがあった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、安価かつ容易に作製することができる有機エレクトロルミネセンス表示装置、その製造方法、カラーフィルタ基板及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、安価かつ容易に作製することができる有機エレクトロルミネセンス表示装置について種々検討したところ、毛細管現象を用いて塗布を行う技術に着目した。そして、異なる色の絵素領域間を区画する隔壁と、絵素領域外に形成され、かつ第一の色の絵素領域を区画する第一隔壁部に接続された第一ダムとを基板上に設けることにより、特性劣化を抑制しつつ、安価かつ容易に有機エレクトロルミネセンス表示装置を作製することができることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は、少なくとも有機発光層を含む機能性材料層を基板上にそれぞれ有する複数色の絵素領域が形成された有機エレクトロルミネセンス表示装置であって、前記基板は、異なる色の絵素領域間を区画する隔壁と、前記複数色の絵素領域外に形成され、かつ第一の色の絵素領域を区画する第一隔壁部に接続された第一ダムとを有する有機エレクトロルミネセンス表示装置である。
これにより、特性劣化を抑制しつつ、安価かつ容易に作製することができる有機エレクトロルミネセンス表示装置を実現できる。
より詳細に説明すると、本発明の有機ELディスプレイでは、第一隔壁部と、第一ダムとは接続される、すなわち第一隔壁部によって区画された領域と、第一ダムによって区画された領域とは接続されている(繋がっている)。したがって、複数色の絵素領域外の第一ダム内に、第一の色の絵素領域に含まれる第一機能性材料層を構成する材料(すなわち、機能性材料)の少なくとも一種を含む第一塗液を塗布し、そして、毛細管現象を用いて、第一ダムから少なくとも一色の絵素領域(第一の色の絵素領域)に第一隔壁部に沿って第一塗液を流し込む(充填する)ことができる。すなわち、毛細管現象を用いて、少なくとも一色の絵素領域(第一の色の絵素領域)に第一塗液を選択的に塗布することができる。したがって、少なくとも一色の絵素領域については、マスクを用いた蒸着工程と、インクジェット法を用いた塗布工程とが必要なくなる。すなわち、マスクを用いた蒸着工程又はインクジェット法を用いた塗布工程の削減又は省略が可能になる。
また、特許文献1に記載の技術と比べて、以下の効果を奏することができる。第一に、有機EL溶液を含む溶液槽を用いなくともよいので、使用する機能性材料の量を抑制できるとともに、溶液の混濁が生じることを防ぐことができる。第二に、基板を溶液槽に浸漬しなくともよいので、パネルが不要に汚染されるのを防ぐことができる。第三に、ストッパ等のレジストを剥離する工程を行わなくてもよいので、製造工程の複雑化を防ぐことができる。
また、従来にある、毛細管現象による配線の形成と比較すると、設計の自由度を大幅に向上することができる。
本発明の有機エレクトロルミネセンス表示装置の構成としては、このような構成要素を必須として形成されるものである限り、その他の構成要素により特に限定されるものではない。
本発明の有機エレクトロルミネセンス表示装置における好ましい形態について以下に詳しく説明する。なお、以下に示す各種形態は、適宜組み合わせることができる。
前記基板は、前記複数色の絵素領域外に形成され、かつ第二の色の絵素領域を区画する第二隔壁部に接続された第二ダムを有することが好ましい。
この形態では、第二隔壁部と、第二ダムとは接続される、すなわち第二隔壁部によって区画された領域と、第二ダムによって区画された領域とは接続されている(繋がっている)。したがって、第一の色の絵素領域のみならず第二の色の絵素領域に対して、毛細管現象を用いてそれぞれの塗液を塗り分けることができる。したがって、本発明の効果をより効果的に奏することができる。
また、本発明の有機ELディスプレイが三色の絵素領域から構成される場合、第一ダム及び第二ダムを用いて、第一機能性材料層と、第二の色の絵素領域に含まれる第二機能性材料層とが塗り分けられた二色の絵素領域(第一の色の絵素領域及び第二の色の絵素領域)以外の絵素領域に対して、全面蒸着を用いて機能性材料層(好適には、有機発光層)を形成することができる。他方、この二色の絵素領域(第一の色の絵素領域及び第二の色の絵素領域)以外の絵素領域に対して、インクジェット法を用いて機能性材料層(好適には、有機発光層)を塗布したとしても、塗布位置を高精度に制御する必要性を低減でき、吐出装置の吐出位置精度のマージンを向上することができる。
更に、本発明の有機ELディスプレイを四色以上の絵素領域から構成し、かつ上記二色の絵素領域(第一の色の絵素領域及び第二の色の絵素領域)以外の絵素領域に対してインクジェット法を用いて機能性材料層(好適には、有機発光層)を塗布したとしても、インクジェット法を用いて塗布される絵素領域の色を適宜選択することができるので、インクジェット法を用いて塗布される絵素領域が隣接しないようにすることができる。したがって、塗布位置を高精度に制御する必要性を低減でき、吐出装置の吐出位置精度のマージンを向上することができる。なお、この場合は、インクジェット法を用いて塗布される絵素領域が隣接しないように、絵素の配列順序(配列パターン)を適宜設定することが好ましい。
前記基板は、前記機能性材料層を狭持する一対の電極と、前記一対の電極の一方の端部を覆うエッジカバーとを有し、前記第一隔壁部及び前記第二隔壁部の少なくとも一方は、前記エッジカバー上に形成されることが好ましく、前記基板は、前記機能性材料層を狭持する一対の電極と、前記一対の電極の一方の端部を覆うエッジカバーとを有し、前記第一隔壁部及び前記第二隔壁部は、前記エッジカバー上に形成されることがより好ましい。これにより、一対の電極の一方の端部と、一対の電極の他方とが短絡するのを抑制しつつ、本発明の効果を奏することができる。
前記基板は、TFT基板(アクティブマトリクス基板)であることが好ましい。
前記複数色の絵素領域はそれぞれ、複数形成され、前記第一隔壁部は、複数の前記第一の色の絵素領域を区画し、前記第二隔壁部は、複数の前記第二の色の絵素領域を区画することが好ましい。これにより、同じ色の絵素領域間で、機能性材料層の膜厚がばらつくのを抑制することができる。
前記有機エレクトロルミネセンス表示装置は、ダムに接続されていない第三隔壁部によって区画された少なくとも一色のダム無し絵素領域を有することが好ましい。これにより、三色以上の絵素領域を含む有機エレクトロルミネセンス表示装置に対して本発明を効果的に適用することができる。
このように、前記有機エレクトロルミネセンス表示装置は、前記第一ダム及び前記第二ダムのいずれにも接続されていない第三隔壁部によって区画された少なくとも一色のダム無し絵素領域を有することが好ましいとも言える。
前記少なくとも一色のダム無し絵素領域の色は、青及び赤の少なくとも一方であることが好ましい。これにより、輝度ムラが視認されるのを抑制することができる。
前記少なくとも一色のダム無し絵素領域の色は、前記複数色の絵素領域の中で、視感度が最も高い色以外の色であることが好ましい。これにより、輝度ムラが視認されるのを抑制することができる。
前記有機エレクトロルミネセンス表示装置は、当該絵素領域に含まれる有機発光層が全色の絵素領域にわたって形成された少なくとも一色の絵素領域を有することが好ましい。これにより、蒸着マスクを用いることなく、全色の絵素領域にわたる有機発光層を真空蒸着法により形成することができる。
前記第一ダムで囲まれた領域には、前記第一の色の絵素領域に含まれる第一機能性材料層の少なくとも一層の材料が配置される形態が好ましい。
前記第一ダムで囲まれた領域には、前記第一の色の絵素領域に含まれる第一機能性材料層に含まれる有機発光層の材料が配置される形態が好ましい。
前記第二ダムで囲まれた領域には、前記第二の色の絵素領域に含まれる第二機能性材料層の少なくとも一層の材料が配置される形態が好ましい。
前記第二ダムで囲まれた領域には、前記第二の色の絵素領域に含まれる第二機能性材料層に含まれる有機発光層の材料が配置される形態が好ましい。
前記第一ダム及び前記第二ダムは、前記有機エレクトロルミネセンス表示装置の表示エリアを挟む対向する領域に配置されることが好ましい。これにより、額縁エリアを有効に利用しつつ、各ダムと、各隔壁部とを容易に接続することができる。
本発明はまた、本発明の有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法であって、前記製造方法は、前記全色の絵素領域にわたる有機発光層を、真空蒸着法を用いて形成する工程を含む有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法でもある。これにより、蒸着マスクを用いることなく、全色の絵素領域にわたる有機発光層を形成することができる。
本発明はまた、本発明の有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法であって、前記製造方法は、前記第一ダム内に、前記第一の色の絵素領域に含まれる第一機能性材料層の少なくとも一層の材料を含有する第一塗液を注入し、毛細管現象により、前記第一塗液を前記第一の色の絵素領域に充填する工程を含む有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法でもある。これにより、毛細管現象を用いて第一の色の絵素領域に第一塗液を容易、効率的、かつ効果的に塗布することができる。
本発明はまた、本発明の有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法であって、前記製造方法は、前記第二ダム内に、前記第二の色の絵素領域に含まれる第二機能性材料層の少なくとも一層の材料を含有する第二塗液を注入し、毛細管現象により、前記第二塗液を前記第二の色の絵素領域に充填する工程を含む有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法でもある。これにより、毛細管現象を用いて第二の色の絵素領域に第二塗液を容易、効率的、かつ効果的に塗布することができる。
本発明はまた、本発明の有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法であって、前記製造方法は、前記少なくとも一色のダム無し絵素領域に含まれる有機発光層を、インクジェット法を用いて形成する発光層形成工程を含む有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法でもある。これによっても、上述のように、吐出位置の間隔(ピッチ)を広くしたり(すなわち低ピッチ塗布を行ったり)、高速に吐出したりする必要性を低減でき、装置性能のマージンを高くすることができる。
またこの方法において、前記少なくとも一色のダム無し絵素領域の色は、青及び赤の少なくとも一方であることが好ましく、前記少なくとも一色のダム無し絵素領域の色は、前記複数色の絵素領域の中で、視感度が最も高い色以外の色であることが好ましい。これらにより、輝度ムラが視認されるのを抑制することができる。
本発明はまた、本発明の有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法であって、前記製造方法は、前記隔壁及び前記第一ダムを同時に形成する工程を含む有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法でもある。これにより、隔壁及び第一ダムを一体的に形成することができるので、製造工程の簡略化が可能になる。
本発明はまた、本発明の有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法であって、前記製造方法は、前記隔壁、前記第一ダム及び前記第二ダムを同時に形成する工程を含む有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法でもある。これにより、隔壁、第一ダム及び第二ダムを一体的に形成することができるので、製造工程の更なる簡略化が可能になる。
本発明は更に、少なくとも有機発光層を含む機能性材料層を基板上にそれぞれ有する複数色の絵素領域が形成された有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法であって、前記製造方法は、前記基板上に、異なる色の絵素領域間を区画する隔壁を形成する隔壁形成工程と、前記複数色の絵素領域外に、第一の色の絵素領域を区画する第一隔壁部に接続された第一ダムを形成する第一ダム形成工程と、前記第一ダム内に、前記第一の色の絵素領域に含まれる第一機能性材料層の少なくとも一層の材料を含有する第一塗液を注入し、毛細管現象により、前記第一塗液を前記第一の色の絵素領域に充填する工程とを含む有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法(以下、「本発明の第七の有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法」とも言う。)でもある。これにより、本発明の有機エレクトロルミネセンス表示装置を容易に実現することができる。
なお、上述の本発明の有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法はそれぞれ、上記工程を有するものである限り、その他の工程により特に限定されるものではない。また、上述の本発明の有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法は、適宜組み合わせることができる。
本発明の第七の有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法においては、上述の本発明の有機エレクトロルミネセンス表示装置における好ましい形態やこの製造方法以外の本発明の有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法と同様の観点から、以下の態様が好適である。なお、以下に示す各種態様は、適宜組み合わせることができる。
前記製造方法は、前記複数色の絵素領域外に、第二の色の絵素領域を区画する第二隔壁部に接続された第二ダムを形成する第二ダム形成工程と、前記第二ダム内に、前記第二の色の絵素領域に含まれる第二機能性材料層の少なくとも一層の材料を含有する第二塗液を注入し、毛細管現象により、前記第二塗液を前記第二の色の絵素領域に充填する工程とを含むことが好ましい。
前記基板は、前記機能性材料層を狭持する一対の電極と、前記一対の電極の一方の端部を覆うエッジカバーとを有し、前記第一隔壁部及び前記第二隔壁部の少なくとも一方は、前記エッジカバー上に形成されることが好ましく、前記基板は、前記機能性材料層を狭持する一対の電極と、前記一対の電極の一方の端部を覆うエッジカバーとを有し、前記第一隔壁部及び前記第二隔壁部は、前記エッジカバー上に形成されることがより好ましい。
前記基板は、TFT基板(アクティブマトリクス基板)であることが好ましい。
前記複数色の絵素領域はそれぞれ、複数形成され、前記第一隔壁部は、複数の前記第一の色の絵素領域を区画し、前記第二隔壁部は、複数の前記第二の色の絵素領域を区画することが好ましい。
前記有機エレクトロルミネセンス表示装置は、ダムに接続されていない第三隔壁部によって区画された少なくとも一色のダム無し絵素領域を有することが好ましく、また、前記第一ダム及び前記第二ダムのいずれにも接続されていない第三隔壁部によって区画された少なくとも一色のダム無し絵素領域を有することが好ましい。
前記少なくとも一色のダム無し絵素領域の色は、青及び赤の少なくとも一方であることが好ましい。
前記少なくとも一色のダム無し絵素領域の色は、前記複数色の絵素領域の中で、視感度が最も高い色以外の色であることが好ましい。
前記有機エレクトロルミネセンス表示装置は、当該絵素領域に含まれる有機発光層が全色の絵素領域にわたって形成された少なくとも一色の絵素領域を有することが好ましい。
前記第一塗液は、前記第一の色の絵素領域に含まれる有機発光層の材料を含有することが好ましい。
前記第二塗液は、前記第二の色の絵素領域に含まれる有機発光層の材料を含有することが好ましい。
前記第一ダム及び前記第二ダムは、前記有機エレクトロルミネセンス表示装置の表示エリアを挟む対向する領域に配置されることが好ましい。
前記製造方法は、前記全色の絵素領域にわたる有機発光層を、真空蒸着法を用いて形成する工程を含むことが好ましい。
前記製造方法は、前記少なくとも一色のダム無し絵素領域に含まれる有機発光層を、インクジェット法を用いて形成する発光層形成工程を含むことが好ましい。
またこの態様において、前記少なくとも一色のダム無し絵素領域の色は、青及び赤の少なくとも一方であることが好ましく、前記少なくとも一色のダム無し絵素領域の色は、前記複数色の絵素領域の中で、視感度が最も高い色以外の色であることが好ましい。
前記製造方法は、前記隔壁形成工程及び前記第一ダム形成工程を同時に行うことが好ましい。
前記製造方法は、前記隔壁形成工程、前記第一ダム形成工程及び前記第二ダム形成工程を同時に行うことが好ましい。
なお、前記第一ダムは、前記第一の色の絵素領域に含まれる第一機能性材料層の少なくとも一層の材料を含有する第一塗液を溜めることができる。
また、前記第二ダムは、前記第二の色の絵素領域に含まれる第二機能性材料層の少なくとも一層の材料を含有する第二塗液を溜めることができる。
本発明は更に、基板上に複数色の着色層が形成されたカラーフィルタ基板であって、
前記基板は、異なる色の着色層間を区画する隔壁と、表示エリア外に形成され、かつ第一の色の着色層を区画する第一隔壁部に接続された第一ダムとを有するカラーフィルタ基板でもある。
これにより、安価かつ容易に作製することができるカラーフィルタ基板を実現できる。
より詳細に説明すると、本発明のカラーフィルタ基板では、第一隔壁部と、第一ダムとは接続される、すなわち第一隔壁部によって区画された領域と、第一ダムによって区画された領域とは接続されている(繋がっている)。したがって、表示エリア外の第一ダム内に、第一の色の着色層の材料(第一着色層材料)を含む第一塗液を塗布し、そして、毛細管現象を用いて、第一ダムから少なくとも一色の着色層(第一の色の着色層)が形成される領域に第一隔壁部に沿って第一塗液を流し込む(充填する)ことができる。すなわち、毛細管現象を用いて、少なくとも一色の着色層(第一の色の着色層)に第一塗液を選択的に塗布することができる。したがって、少なくとも一色の着色層については、インクジェット法を用いた塗布工程が必要なくなる。すなわち、インクジェット法を用いた塗布工程の削減又は省略が可能になる。
また、従来にある、毛細管現象による配線の形成と比較すると、設計の自由度を大幅に向上することができる。
本発明のカラーフィルタ基板の構成としては、このような構成要素を必須として形成されるものである限り、その他の構成要素により特に限定されるものではない。
本発明のカラーフィルタ基板における好ましい形態について以下に詳しく説明する。なお、以下に示す各種形態は、適宜組み合わせることができる。
前記基板は、表示エリア外に形成され、かつ第二の色の着色層を区画する第二隔壁部に接続された第二ダムを有することが好ましい。
この形態では、第二隔壁部と、第二ダムとは接続される、すなわち第二隔壁部によって区画された領域と、第二ダムによって区画された領域とは接続されている(繋がっている)。したがって、第一の色の着色層のみならず第二の色の着色層に対して、毛細管現象を用いてそれぞれの塗液を塗り分けることができる。したがって、本発明の効果をより効果的に奏することができる。
また、本発明のカラーフィルタ基板が三色の着色層から構成される場合、第一ダム及び第二ダムを用いて、第一着色層材料と、第二の色の着色層の材料(第二着色層材料)とが塗り分けられた二色の着色層(第一の色の着色層及び第二の色の着色層)以外の着色層に対して、インクジェット法を用いて着色層材料を塗布したとしても、塗布位置を高精度に制御する必要性を低減でき、吐出装置の吐出位置精度のマージンを向上することができる。
更に、本発明のカラーフィルタ基板を四色以上の着色層から構成し、かつ上記二色の着色層(第一の色の着色層及び第二の色の着色層)以外の着色層に対してインクジェット法を用いて着色層材料を塗布したとしても、インクジェット法を用いて塗布される着色層の色を適宜選択することができるので、インクジェット法を用いて塗布される着色層が隣接しないようにすることができる。したがって、塗布位置を高精度に制御する必要性を低減でき、吐出装置の吐出位置精度のマージンを向上することができる。なお、この場合は、インクジェット法を用いて塗布される着色層が隣接しないように、絵素(着色層)の配列順序(配列パターン)を適宜設定することが好ましい。
前記複数色の着色層はそれぞれ、複数の絵素領域を覆うように形成され、前記第一隔壁部は、前記第一の色の着色層が配置される複数の第一の色の絵素領域を区画し、前記第二隔壁部は、前記第二の色の着色層が配置される複数の第二の色の絵素領域を区画することが好ましい。これにより、同じ色の絵素領域間で、着色層の膜厚がばらつくのを抑制することができる。
前記カラーフィルタ基板は、ダムに接続されていない第三隔壁部によって区画された少なくとも一色のダム無し着色層を有することが好ましい。これにより、三色以上の着色層を含むカラーフィルタ基板に対して本発明を効果的に適用することができる。
このように、前記カラーフィルタ基板は、前記第一ダム及び前記第二ダムのいずれにも接続されていない第三隔壁部によって区画された少なくとも一色のダム無し着色層を有することが好ましいとも言える。
前記少なくとも一色のダム無し着色層の色は、青及び赤の少なくとも一方であることが好ましい。これにより、輝度ムラが視認されるのを抑制することができる。
前記少なくとも一色のダム無し着色層の色は、前記複数色の着色層の中で、視感度が最も高い色以外の色であることが好ましい。これにより、輝度ムラが視認されるのを抑制することができる。
前記第一ダムで囲まれた領域には、前記第一の色の着色層の材料が配置される形態が好ましい。
前記第二ダムで囲まれた領域には、前記第二の色の着色層の材料が配置される形態が好ましい。
前記第一ダム及び前記第二ダムは、前記カラーフィルタ基板の表示エリアを挟む対向する領域に配置されることが好ましい。これにより、額縁エリアを有効に利用しつつ、各ダムと、各隔壁部とを容易に接続することができる。
本発明はまた、本発明のカラーフィルタ基板の製造方法であって、前記製造方法は、前記第一ダム内に、前記第一の色の着色層の材料を含有する第一塗液を注入し、毛細管現象により、前記第一塗液を前記第一の色の着色層が形成される領域に充填する工程を含むカラーフィルタ基板の製造方法でもある。これにより、毛細管現象を用いて第一の色の着色層が形成される領域に第一塗液を容易、効率的、かつ効果的に塗布することができる。
本発明はまた、本発明のカラーフィルタ基板の製造方法であって、前記製造方法は、前記第二ダム内に、前記第二の色の着色層の材料を含有する第二塗液を注入し、毛細管現象により、前記第二塗液を前記第二の色の着色層が形成される領域に充填する工程を含むカラーフィルタ基板の製造方法でもある。これにより、毛細管現象を用いて第二の色の着色層が形成される領域に第二塗液を容易、効率的、かつ効果的に塗布することができる。
本発明はまた、本発明のカラーフィルタ基板の製造方法であって、前記製造方法は、前記少なくとも一色のダム無し着色層を、インクジェット法を用いて形成する着色層形成工程を含むカラーフィルタ基板の製造方法でもある。これによっても、上述のように、吐出位置の間隔(ピッチ)を広くしたり(すなわち低ピッチ塗布を行ったり)、高速に吐出したりする必要性を低減でき、装置性能のマージンを高くすることができる。
またこの方法において、前記少なくとも一色のダム無し着色層の色は、青及び赤の少なくとも一方であることが好ましく、前記少なくとも一色のダム無し着色層の色は、前記複数色の着色層の中で、視感度が最も高い色以外の色であることが好ましい。これらにより、輝度ムラが視認されるのを抑制することができる。
本発明はまた、本発明のカラーフィルタ基板の製造方法であって、前記製造方法は、前記隔壁及び前記第一ダムを同時に形成する工程を含むカラーフィルタ基板の製造方法でもある。これにより、隔壁及び第一ダムを一体的に形成することができるので、製造工程の簡略化が可能になる。
本発明はまた、本発明のカラーフィルタ基板の製造方法であって、前記製造方法は、前記隔壁、前記第一ダム及び前記第二ダムを同時に形成する工程を含む有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法でもある。これにより、隔壁、第一ダム及び第二ダムを一体的に形成することができるので、製造工程の更なる簡略化が可能になる。
本発明はそして、基板上に複数色の着色層が形成されたカラーフィルタ基板の製造方法であって、前記製造方法は、前記基板上に、異なる色の着色層間を区画する隔壁を形成する隔壁形成工程と、表示エリア外に、第一の色の着色層を区画する第一隔壁部に接続された第一ダムを形成する第一ダム形成工程と、前記第一ダム内に、前記第一の色の着色層の材料を含有する第一塗液を注入し、毛細管現象により、前記第一塗液を前記第一の色の着色層が形成される領域に充填する工程とを含むカラーフィルタ基板の製造方法(以下、「本発明の第六のカラーフィルタ基板の製造方法」とも言う。)でもある。これにより、本発明のカラーフィルタ基板を容易に実現することができる。
なお、上述の本発明のカラーフィルタ基板の製造方法はそれぞれ、上記工程を有するものである限り、その他の工程により特に限定されるものではない。また、上述の本発明のカラーフィルタ基板の製造方法は、適宜組み合わせることができる。
本発明の第六のカラーフィルタ基板の製造方法においては、上述の本発明のカラーフィルタ基板における好ましい形態やこの製造方法以外の本発明のカラーフィルタ基板の製造方法と同様の観点から、以下の態様が好適である。なお、以下に示す各種態様は、適宜組み合わせることができる。
前記製造方法は、表示エリア外に、第二の色の着色層を区画する第二隔壁部に接続された第二ダムを形成する第二ダム形成工程と、前記第二ダム内に、前記第二の色の着色層の材料を含有する第二塗液を注入し、毛細管現象により、前記第二塗液を前記第二の色の着色層が形成される領域に充填する工程とを含むことが好ましい。
前記複数色の着色層はそれぞれ、複数の絵素領域を覆うように形成され、前記第一隔壁部は、前記第一の色の着色層が配置される複数の第一の色の絵素領域を区画し、前記第二隔壁部は、前記第二の色の着色層が配置される複数の第二の色の絵素領域を区画することが好ましい。
前記カラーフィルタ基板は、ダムに接続されていない第三隔壁部によって区画された少なくとも一色のダム無し着色層を有することが好ましく、また、前記第一ダム及び前記第二ダムのいずれにも接続されていない第三隔壁部によって区画された少なくとも一色のダム無し着色層を有することが好ましい。
前記少なくとも一色のダム無し着色層の色は、青及び赤の少なくとも一方であることが好ましい。
前記少なくとも一色のダム無し着色層の色は、前記複数色の着色層の中で、視感度が最も高い色以外の色であることが好ましい。
前記第一ダム及び前記第二ダムは、前記カラーフィルタ基板の表示エリアを挟む対向する領域に配置されることが好ましい。
前記製造方法は、前記少なくとも一色のダム無し着色層を、インクジェット法を用いて形成する着色層形成工程を含むことが好ましい。
またこの方法において、前記少なくとも一色のダム無し着色層の色は、青及び赤の少なくとも一方であることが好ましく、前記少なくとも一色のダム無し着色層の色は、前記複数色の着色層の中で、視感度が最も高い色以外の色であることが好ましい。
前記製造方法は、前記隔壁形成工程及び前記第一ダム形成工程を同時に行うことが好ましい。
前記製造方法は、前記隔壁形成工程、前記第一ダム形成工程及び前記第二ダム形成工程を同時に行うことが好ましい。
なお、前記第一ダムは、前記第一の色の着色層の材料を含有する第一塗液を溜めることができる。
また、前記第二ダムは、前記第二の色の着色層の材料を含有する第二塗液を溜めることができる。
本発明の有機エレクトロルミネセンス表示装置、その製造方法、カラーフィルタ基板及びその製造方法によれば、安価かつ容易に有機エレクトロルミネセンス表示装置及びカラーフィルタ基板を作製することができる。
本発明に係る実施例1の有機ELディスプレイの全体構成を示す平面模式図である。 本発明に係る実施例1の有機ELディスプレイの全体構成を示す断面模式図である。 本発明に係る実施例1及び実施例2の有機ELディスプレイ、又は、本発明に係る実施例3のカラーフィルタ基板の構成を示す平面模式図である。 本発明に係る実施例1の有機ELディスプレイの構成を示す断面模式図であり、図3中のA1−A2線における図である。 本発明に係る実施例2の有機ELディスプレイの構成を示す断面模式図であり、図3中のA1−A2線における図である。 従来の有機ELディスプレイの構成を示す平面模式図である。 本発明に係る実施例3のカラーフィルタ基板の構成を示す断面模式図であり、図3中のA1−A2線における図である。
本明細書において、赤とは、主波長が620nm以上、680nm以下の色であることが好ましく、主波長が630nm以上、670nm以下の色であることがより好ましい。緑色とは、主波長が520nm以上、580nm未満の色であることが好ましく、主波長が530nm以上、570nm以下の色であることがより好ましい。青とは、主波長が420nm以上、480nm未満の色であることが好ましく、主波長が430nm以上、470nm以下の色であることがより好ましい。
以下に実施形態を掲げ、本発明を図面を参照して更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
(実施形態1)
本実施形態の有機ELディスプレイは、基板上に、各絵素領域に設けられた第1の電極と、第1の電極の端部を被覆するためのエッジカバーと、各色の絵素領域を分離し、かつ塗液(溶液)を保持するための絶縁性の隔壁と、有機化合物を含有する発光層(有機発光層、以下、単に発光層とも言う。)を含む機能性材料層と、第2の電極とを、基板側からこの順に積層した構造を有する。有機発光層は、複数色の発光層(例えば、Rの発光層、Gの発光層及びBの発光層)からなる。第1の電極及び第2の電極の一方は、陽極として機能し、第1の電極及び第2の電極の他方は、陰極として機能する。
上記基板は、アクティブマトリクス基板又はパッシブマトリクス基板であり、アクティブマトリクス基板上には、複数の薄膜トランジスタ(TFT)と、複数の信号線とが形成され、更にそれらの上方には、平坦化層及び上記第1の電極がこの順に形成されている。一方、パッシブマトリクス基板上には、複数の信号線と、上記第1の電極とが形成されている。
アクティブマトリクス基板上のTFT等のアクティブ素子部と有機EL部とは、平坦化層として機能する層間絶縁膜で分離されている。また、層間絶縁膜に穿たれたコンタクトホールを通る接続用の導電体を介して下層のアクティブ素子部と上層の第1の電極とが電気的に接続されている。なお、上記接続用の導電体としては、第1の電極を用いることも可能である。また、上記機能性材料層は、低分子材料から形成されてもよいし、高分子材料から形成されてもよい。
上記機能性材料層は、例えば、下記の構成が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。ここで、キャリア輸送層とは正孔輸送層あるいは電子輸送層を示す。また、電子ブロッキング層は、キャリアブロッキング層の一つである。本発明(本明細書)では、下記のように、一対の電極(第1の電極及び第2の電極)間に狭持される全ての層を機能性材料層と総称している。
(1)正孔輸送層/有機発光層
(2)有機発光層/電子輸送層
(3)正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層
(4)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層
(5)正孔輸送層/電子ブロッキング層/有機発光層/電子輸送層
なお、上記有機発光層は、一層でも多層構造でもよい。また、母体材料にドーパントをドープした層でも構わない。
以下、毛細管現象による有機発光材料(以下、単に発光材料とも言う。)の充填工程(有機発光層形成工程)に使用する塗液として、高分子の有機発光材料を用いた有機EL表示装置を例として説明する。しかしながら、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、無論、可溶性の低分子の有機発光材料を用いても構わない。また、本実施形態では、毛細管現象を用いて、有機発光材料を含む塗液を隔壁内に充填することによって、いずれか2色の有機発光層を形成すればよく、その他の上記機能性材料層はいかなる方法を用いて形成されてもよい。例えば、上記(4)の構成においては、正孔輸送層の材料に無機物を使用し、スパッタリング法や真空蒸着法を用いて基板上に正孔輸送層を積層した後、毛細管現象を用いた塗液の充填・形成工程で2色の有機発光層を積層し、続いて、残り1色の有機発光層を真空蒸着法にて積層し、そして、電子輸送層をスプレー法にて積層してもよい。
上記複数色の発光層のうち、いずれか2色の発光層は、毛細管現象を用いて、発光材料を含む塗液を隔壁内に充填及び塗布することによって形成される。ここで使用される塗液は、少なくとも発光材料と溶剤とを含有した溶液であり、一種類もしくは多種類の発光材料を含有していてもよい。また、その他に膜保持材(バインダー)、レベリング材、発光アシスト材、添加材(ドナー、アクセプター等)キャリア輸送材、発光性のドーパント等が含有されていてもよい。
上記発光材料としては、有機EL素子用の公知の発光材料を用いることができる。このような発光材料は、高分子発光材料、高分子発光材料の前駆体等に分類される。以下にこれらの具体的な化合物を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記高分子発光材料としては、例えば、ポリ(2−デシルオキシ−1、4−フェニレン)(DO−PPP)、ポリ[2、5−ビス−[2−(N,N,N−トリエチルアンモニウム)エトキシ]−1、4−フェニル−アルト−1、4−フェニレン]ジブロマイド(PPP−NEt3+)、ポリ[2−(2’−エチルヘキシルオキシ)−5−メトキシ−1、4−フェニレンビニレン](MEH−PPV)等が挙げられる。
上記高分子発光材料の前駆体としては、例えば、ポリ(p−フェニレンビニレン)前駆体(Pre−PPV)、ポリ(p−ナフタレンビニレン)前駆体(Pre−PNV)等が挙げられる。
上記溶剤としては、上記発光材料を溶解又は分散できる溶剤であればよく、例えば、純水、メタノール、エタノール、THF(テトラヒドロフラン)、クロロホルム、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン等が挙げられる。ただし、隔壁内での濡れ広がり性を向上させ、絵素の被覆性を上げるために、表面張力の低い溶剤が好適に用いられる。また、塗液から形成された膜の平坦性を向上させるため、高沸点の溶剤が好適に用いられる。
上記発光材料としては、低分子発光材料を用いてもよく、低分子発光材料としては、例えば、アントラセン、ナフタレン、インデン、フェナントレン、ピレン、ナフタセン、トリフェニレン、アントラセン、ペリレン、ピセン、フルオランテン、アセフェナントリレン、ペンタフェン、ペンタセン、コロネン、ブタジエン、クマリン、アクリジン、スチルベン、或いはこれらの誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体、ビス(ベンゾキノリノラト)ベリリウム錯体、トリ(ジベンゾイルメチル)フェナントロリンユーロピウム錯体ジトルイルビニルビフェニル等が挙げられる。可溶性でない低分子発光材料を用いて発光層を形成する場合、該発光層は、一般的に真空蒸着法により形成される。
上記正孔輸送層及び電子輸送層(合わせてキャリア輸送層)は、それぞれ単層構造でも多層構造でもよく、また、注入層としての機能を兼ねていても構わない。キャリア輸送層は、発光層材料と同様の方法でも形成できるが、他の公知の方法でも成膜が可能である。
上記キャリア輸送層の材料(キャリア輸送材料)としては、公知の材料が使用可能である。以下にこれらの具体的な化合物を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記正孔輸送層の材料(正孔輸送材料)としては、例えば、ポルフィリン化合物、N,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス−(フェニル)−ベンジジン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPD)等の芳香族第3級アミン化合物、ヒドラゾン化合物、キナクリドン化合物、スチルアミン化合物等の低分子材料、ポリアニリン、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンサルフォネート(PEDOT/PSS)、ポリ(トリフェニルアミン誘導体)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)等の高分子材料、ポリ(p−フェニレンビニレン)前駆体、ポリ(p−ナフタレンビニレン)前駆体等の高分子材料前駆体が挙げられる。
上記電子輸送層の材料(電子輸送材料)としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、フルオレン誘導体等の低分子材料、ポリ(オキサジアゾール)等の高分子材料が挙げられる。
上記キャリアブロッキング層は、単層構造でも多層構造でもよい。キャリアブロッキング層は、発光層材料と同様の方法でも形成できるが、他の公知の方法でも成膜が可能である。
上記キャリアブロッキング材料としては、公知の材料が使用可能である。以下にこれらの具体的な化合物を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記電子ブロッキング層の材料(電子ブロッキング材料)としては、例えば、N,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス−(フェニル)−ベンジジン(TPD)等の低分子材料、ポリビニルカルバゾール(PVCz)等の高分子材料が挙げられ、正孔正孔ブロッキング層の材料(ブロッキング材料)としては、例えば、オキサジアゾール誘導体等の高分子材料が挙げられる。
また、発光層以外の層を形成するための溶剤には、発光層の形成に使用する溶剤が使用可能である。ただし、例えば正孔輸送層の上に溶液にて発光層を積層する場合、正孔輸送材料として、発光層形成用の溶剤に可溶な材料を使用すると、正孔輸送材料が発光層成膜時に、発光層形成用の溶剤に溶解してしまい、正孔輸送層の膜の均一性が悪化することがある。したがって、前段(下層)の機能性材料としては、後段(上層)に積層される機能性材料を含有する溶剤には不溶な材料を使用することが好ましい。
第1の電極及び第2の電極には、公知の電極材料を用いることが可能である。また、電極層(第1の電極及び第2の電極)と機能性材料層との界面には、必要に応じてキャリア注入層等の膜を挿入することもできる。
機能性材料層へ正孔を供給する陽極としては、仕事関数の大きな、金属材料(Au、Ni、Pt等)や導電性金属酸化物(ITO、IZO、ZnO、SnO等)からなる単層膜、又は、これらのうち複数の材料が積層された積層膜を用いることができる。また、このような陽極上(陽極の機能性材料層に接する側)には、導電性を大きく妨げない程度の厚み(例えば1nm程度)の酸化物が積層されてもよい。
機能性材料層に電子を供給する陰極の材料としては、仕事関数が4.0eV以下の低仕事関数を有するCa、Ce、Cs、Rb、Sr、Ba、Mg、Li等を用いることが可能である。なかでも、高分子有機発光層に対しては、Ca、Baが好適に用いられる。また、前述の低仕事関数の電極が酸素や水等によって変質するのを抑える観点から、陰極の材料としては、Ni、Os、Pt、Pd、Al、Au、Rh、Ag等の化学的に比較的安定な金属と、上記低仕事関数材料との合金も好適である。また、同様の観点から、陰極としては、上記化学的に比較的安定な金属と、上記低仕事関数材料との積層構造も好適に用いられる。更に、トップエミッション型の有機ELディスプレイでは、前述の陰極に透光性を与えるために薄く形成する必要がある。したがって、トップエミッション型の有機ELディスプレイでは、陰極に電極としての充分な導電性を確保するために、透明電極層として、ITO、IZO、ZnO、SnO等の導電性金属酸化物を、透光性を有する金属層(陰極)上に形成することができる。なお、透明電極層は、単層であってもよいし、複数の材料の積層膜であってもよい。
本実施形態における有機EL部の構造は、第1の電極と、発光層を少なくとも含む有機層(機能性材料層)と、第2の電極とを少なくとも有するものではあればよく、例えば、前述の酸化物層のように、第1の電極、発光層を少なくとも含む単層又は複数層の機能性材料層、及び、第2の電極以外の層を含んでいてもよい。
(実施例1)
次に、本発明の実施例1について、図面を用いて詳細に説明する。
まず、図1、2を用いて、本発明の実施例1に係る有機ELディスプレイ(パネル)100の全体構成と、製造方法の概略とについて説明する。
TFTが形成されたガラスや樹脂等の基板(TFT基板200)上には、層間膜(層間絶縁膜)、陽極(第一の電極)及びエッジカバーがこの順にパターニング形成されている。また、画像表示を行う表示エリア150には、複数の画素がマトリクス状に配置されている。
そして、図1に示すように、表示エリア150の外側、すなわち額縁エリアに、永久膜レジスト(パネル完成後も残るレジスト膜)により、2色分の機能性材料を含む塗液(溶液)を溜めるための塗液蓄積ダム110a、110b(第一ダム及び第二ダム)を形成する。また、各色の絵素領域を分けるストライプ状の溝(隔壁)も同時に形成する。
次に、正孔注入層、正孔輸送層、インターレイヤー等の発光層より下層側の機能性材料層を表示エリア150の全面に形成する。ここでは、真空蒸着法、スプレー法等の方法を使用する。あるいは後述する発光層の作製方法と同じ方法により形成してもよい。
次に、塗液蓄積ダム110a、110bに、異なる色の発光層となる2種類の塗液をそれぞれ色別に注入するとともに、毛細管現象によって表示エリア150に充填することによって、2色の絵素領域に塗液を塗布する。このように、毛細管現象を使い、パネル周辺に形成した塗液蓄積ダム110a、110bから絵素領域へ有機材料を流し込む。塗液蓄積ダム110a、110bに塗液を注入する方法としては、インクジェット法、スプレー法、ノズルコート法、ディスペンサ等を適用することができる。
このように、2色(例えばR、G)の絵素領域について、表示エリア150の両側からそれぞれ上述の方法で発光材料を塗布する。残り1色の絵素領域については、全面蒸着等の全面形成やインクジェット法を用いて発光層を形成する。
次に、電子輸送層、電子注入層等の発光層より上層側の機能性材料層を発光層より下層側の機能性材料層と同じ要領で形成する。
次に、陰極(第二の電極)を真空蒸着法にて形成する。そして、図2に示すように、乾燥剤160を貼付した封止ガラス170をTFT基板200に貼り合わせ、封止樹脂(シール)180を用いて封止する。
上記の手順により、本実施例の有機ELディスプレイ(パネル)100が完成する。
次に、図3、4を用いて、本発明の実施例1に係る有機ELディスプレイ100の構成と、製造方法とについて詳細に説明する。
図3に示すように、有機ELディスプレイ100の表示エリア150には、複数の画素がマトリスク状に配置されている。画素(ピクセル)は、画像の最小表示単位である。各画素は、赤(R)、緑(G)及び青(B)の3色の絵素領域140R、140G、140Bを含んで構成されている。絵素領域は、画素を構成する単色の領域である。また、水平(左右)方向には、R、G及びBの絵素領域が交互に配列され、垂直(上下)方向には、同色の絵素領域が配列されている。このように、有機ELディスプレイ100は、ストライプ配列を有する。
図4に示すように、有機ELディスプレイ100は、例えば、TFT270が形成されたTFT基板200上に、マトリクス状に設けられた各絵素領域140R、140G、140Bに第1の電極250が形成されている。また、各絵素領域140R、140G、140Bの第1の電極250を囲むように、エッジカバー240が形成されている。エッジカバー240は第1の電極250の端部を被覆し、第1の電極250の端部が第2の電極260と短絡しないようにするためのものである。
エッジカバー240上には、各色の絵素領域140R、140G、140Bを色毎に分離する絶縁性の隔壁120が形成されている。隔壁120は、図3に示すように、上下方向で隣接する複数の同色の絵素領域をまとめて囲むように配置され、隔壁120で囲まれた領域には、帯状(線状)の溝が形成されている。また、3色のうちの2色、具体的には、Rの絵素領域140Rを囲む部分の隔壁120については、塗液蓄積ダム110a側の壁が除かれるとともに、塗液蓄積ダム110aに接続され、Gの絵素領域140Gを囲む部分の隔壁120については、塗液蓄積ダム110b側の壁が除かれるとともに、塗液蓄積ダム110bに接続されている。このように、Rの絵素領域140R及びGの絵素領域140Gを区画する部分の隔壁120に囲まれた帯状の溝の一端は、絵素領域140R、140G、140Bの外部に形成された塗液蓄積ダム110a、110bに各々接続されている。他方、Rの絵素領域140R及びGの絵素領域140Gに形成された帯状の溝の塗液蓄積ダム110a、110bに接続されていない他方の端は、隔壁120によって閉じられている。その他の色、具体的には、Bの絵素領域140Bを囲む部分の隔壁120に対しては、塗液蓄積ダム110a、110b等の塗液蓄積ダムは接続されておらず、Bの絵素領域140Bに形成された帯状の溝の両端は閉じられている。
ここで、隔壁120及び塗液蓄積ダム110a、110bの構造について更に詳細に説明する。R、G及びBの絵素領域140R、140G、140Bを区画する隔壁120は、壁状の構造物であり、R、G及びBの絵素領域140R、140G、140Bのストライプ配列に沿ってスリット状に形成される。また、隔壁120は、Rの絵素領域140Rを他の色の絵素領域と区画する第1隔壁部と、Gの絵素領域140Gを他の色の絵素領域と区画する第2隔壁部と、Bの絵素領域140Bを他の色の絵素領域と区画する第3隔壁部とを含む。なお、各隔壁部は、隣の色の絵素領域を区画する隔壁部の一部としても機能し、例えば、第1隔壁部は、Gの絵素領域140G及びBの絵素領域140Bをも区画することから、第2隔壁部及び第3隔壁部の一部としても機能する。
各隔壁部はそれぞれ、基本的には、上下方向に配列された複数の同色の絵素領域を一括して囲むように枠状に設けられている。ただし、第1隔壁部は、塗液蓄積ダム110a側には設けられておらず、上下方向に配列された複数のRの絵素領域140Rの塗液蓄積ダム110a側を除く三方のみを区切っている。また、第2隔壁部は、塗液蓄積ダム110b側には設けられておらず、上下方向に配列された複数のGの絵素領域140Gのダム110b側を除く三方のみを区切っている。
塗液蓄積ダム110aは、表示エリア150の上側の輪郭線に沿うように、すなわちTFT基板200の上側端部に沿うように配置され、一方、塗液蓄積ダム110bは、表示エリア150の下側の輪郭線に沿うように、すなわちTFT基板200の下側端部に沿うように配置される。このように、塗液蓄積ダム110a、110bは、表示エリア150を挟んで対向して配置される。
塗液蓄積ダム110a、110bは、壁状の構造物であり、基本的には、左右方向に伸びる長方形状の領域を囲むように枠状に設けられている。ただし、塗液蓄積ダム110a、110bの表示エリア150側には、部分的に開口された複数の開口部が設けられている。
そして、塗液蓄積ダム110aの開口部には、第1隔壁部が接続され、第1隔壁部によって区画された領域(Rの絵素領域140R)と、塗液蓄積ダム110aによって区画された領域とが接続されている(繋げられている)。また、塗液蓄積ダム110bの開口部には、第2隔壁部が接続され、第2隔壁部によって区画された領域(Gの絵素領域140G)と、塗液蓄積ダム110bによって区画された領域とが接続されている(繋げられている)。これにより、塗液蓄積ダム110a内にRの発光材料を含む塗液を塗布した場合、塗液は、塗液蓄積ダム110a内を広がるとともに、塗液蓄積ダム110aの開口部から第1隔壁部によって区画された領域(Rの絵素領域140R)へと毛細管現象により濡れ広がることになる。同様に、塗液蓄積ダム110b内にGの発光材料を含む塗液を塗布した場合も、塗液は、塗液蓄積ダム110b内を広がるとともに、塗液蓄積ダム110bの開口部から第2隔壁部によって区画された領域(Gの絵素領域140G)へと毛細管現象により濡れ広がることになる。
また、塗液はそれぞれ、第1隔壁部及び第2隔壁部によって区画された領域内を毛細管現象によって濡れ広がるとともに、同色の絵素領域間で塗布量が均一化されることから、同色の絵素領域間で、両塗液により形成された膜の膜厚がばらつくのを抑制することができる。
このように、本実施例では、塗液蓄積ダム110a、110bをパネルの両側に(対向する2辺に沿って)形成し、それらから互い違いに表示エリア150に溝を延ばすことによって、2色の絵素領域を塗り分ける。
他方、第3隔壁部は、上下方向に配列された同色の複数の絵素領域の四方を囲むように設けられている。第3隔壁部で区画された領域と、塗液蓄積ダム110a、110bによって区画された領域とは接続されていない(繋げられていない)。このように、Bの絵素領域140Bは、いずれの塗液蓄積ダム110a、110bにも接続されていない第3隔壁部によって区画されたダム無し絵素領域である。
第1の電極250上には、正孔注入層及び正孔輸送層220と、Rの有機発光層230R及びGの有機発光層230G(機能性材料層)がこの順で形成されている。更に、Bの有機発光層230Bがエッジカバー240と、正孔注入層及び正孔輸送層220と、Rの有機発光層230R及びGの有機発光層230Gとを覆うように形成されており、第2の電極260がBの有機発光層230Bを覆うように形成されている。
このように、本実施例では、ストライプ状に溝が各色に対して形成されており、溝で各色の絵素領域140R、140G、140Bが分離している。また、塗液蓄積ダム110a、110bにはそれぞれ1色のみが接続され、残りの1色には塗液蓄積ダムが形成されていない。更に、塗液蓄積ダム110a、110bに塗液を注入することで、毛細管現象を用いて表示エリア150に塗液を充填及び塗布する。そして、ダムのない部分は表示エリア150への全面蒸着等で形成する。
次に、本発明の実施例1に係る有機ELディスプレイ100の製造方法についてより詳細に説明する。
まず、アモルファスシリコン膜や多結晶シリコン膜で作製されたTFT270がマトリクス状に形成されたTFT基板200上に、スパッタリング法によってITO膜を100nmの膜厚で形成した。
次いで、フォトリソグラフィ技術を使用し、塩化第二鉄水溶液をエッチング液として、ITO膜のパターニングを行い、各絵素領域140R、140G、140B毎に区切られた第1の電極250を形成した。各絵素領域140R、140G、140B毎に区切られたこの第1の電極250は、陽極として機能し、平坦化層の機能を有する層間絶縁膜210によって薄膜トランジスタ(TFT270)と分離されており、層間絶縁膜210に穿たれたコンタクトホールを通して、その下のマトリクス状に形成された薄膜トランジスタ270に各々接続されている。
次に、第1の電極250を形成したTFT基板200上に、感光性アクリル樹脂を、厚さが略1μmとなるように、スピンコート法で塗布した後、露光、現像及び焼成を行って、エッジカバー240を形成した。このとき、エッジカバー240は第1の電極250のパターン端部を被覆するように形成した。なお、エッジカバー240の材料は、絶縁性の材料であれば特に限定されず、感光性アクリル樹脂の他に、感光性ポリイミド樹脂や感光性ノボラック樹脂等を使用することもできる。また、感光性アクリル樹脂の一つとしては、JSR株式会社製のオプトマーシリーズ等が挙げられる。
次いで、感光性樹脂のドライフィルムをTFT基板200に熱圧着した後、露光、現像及び焼成を行って、エッジカバー240上に隔壁120を配置及び形成するとともに、隔壁120と一体的に塗液蓄積ダム110a、110bを配置及び形成した。このように、隔壁120及び塗液蓄積ダム110a、110bを同一工程で(同時に)に形成することにより、製造工程を簡略化することができる。この隔壁120及び塗液蓄積ダム110a、110bの厚さ(高さ)は20μmとした。なお、感光性樹脂のドライフィルムの一つとしては、化薬マイクロケム株式会社のSU−8シリーズ等が挙げられる。これにより、隔壁120は、各色の絵素領域140R、140G、140Bを個別に囲むように形成され、隔壁120の2色を囲む部分は、塗液蓄積ダム110a、110bに各々接続された。すなわち、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の絵素領域から構成された画素領域のうち、帯状となったRの絵素領域140Rの一端が塗液蓄積ダム110aに接続され、同様にGの画素領域140Gも塗液蓄積ダム110bに接続された。また、塗液蓄積ダム110a、110bで囲まれた領域内では、エッジカバー240が露出した。一方、Bの画素領域140Bについては、塗液蓄積ダムは形成しなかった。なお、隔壁120及び塗液蓄積ダム110a、110bのテーパ角(第1の電極250と隔壁120及び塗液蓄積ダム110a、110bの端部とが成す角度)は85°であった。なお、本明細書では、90°以下の場合を順テーパ、90°を超える場合を逆テーパと呼ぶ。
この後、UVオゾンにTFT基板200表面を2分間晒すことにより、第1の電極250表面の不要な不純物を分解除去するとともに、第1の電極250、エッジカバー240及び隔壁120に親液性を付与した。この処理により、第1の電極250、エッジカバー240及び隔壁120の水の接触角は30°以下となった。また、塗液蓄積ダム110a、110bの水の接触角も30°以下となった。
なお、上記各部材の水の接触角は、塗液の粘度及び表面張力を考慮して適宜設定することができるが、通常、60°以下(より好適には、30°以下)とすればよい。一方、60°を超えると、絵素領域に塗液が充分に充填されず、塗布不良となることがある。
各絵素領域140R、140G、140Bのピッチ(隔壁等の非発光領域を含む領域のサイズ)は、240μm(隔壁120に沿う方向、すなわち上下方向)×80μm(隔壁120に垂直な方向、すなわち左右方向)とし、第1の電極250の露出部(すなわち発光領域)のサイズは、190μm(隔壁120に沿う方向、すなわち上下方向)×50μm(隔壁120に垂直な方向、すなわち左右方向)とした。また、各絵素領域140R、140G、140B間の隔壁120の幅は20μmとし、塗液蓄積ダム110a、110bの幅も20μmとした。また、塗液蓄積ダム110a、110bで囲まれた領域のサイズは、上下方向3mm×左右方向30mmとした。また、隔壁120の上下方向の長さは37.7mmとした。この時の画面サイズは上下方向36mm×左右方向28.8mmであり、画面解像度は106ppiである。
なお、隔壁120の幅及び高さは、絵素サイズや塗液の塗布量、隔壁120のアスペクト比(高さと幅の比)等を考慮して適宜設定することができるが、幅は、通常、5〜100μm(より好適には20〜50μm)程度とすればよく、高さは、通常、5〜100μm(より好適には20〜50μm)程度とすればよい。幅が5μm未満であると、パターン形成不良が発生しやすいばかりでなく、塗液が隔壁120を越え、他の領域に浸入することで混色を招くおそれがあり、一方、100μmを超えると、各絵素の発光領域を形成する余地が小さくなるおそれがある。高さが5μm未満であると、塗液が隔壁120を越え、他の領域に浸入することで混色を招くおそれがあるばかりか、各絵素領域に充分な塗布量が保持できなくなり、所望の膜厚を得ることができないおそれがあり、一方、100μmを超えると、塗液の乾燥後に隔壁120に付着する機能性材料層が多くなり、所望の膜厚を得ることができないおそれがある。
また、隔壁120のアスペクト比は、高さを幅で割った値として、通常、20以下(より好適には2以下)程度とすればよい。アスペクト比が20を超えると、膜の剥がれが発生しやすく、パターン形成不良が発生しやすい。
また、隔壁120で囲まれた領域の幅(隔壁120に垂直な方向、すなわち左右方向の長さ)は、絵素サイズ等を考慮して適宜設定することができるが、少なくとも毛細管現象が発生する幅以下であることが好ましい。より具体的には、隔壁120で囲まれた領域の幅は、通常、20〜200μm(より好適には40〜100μm)程度とすればよい。20μm未満であると、塗液から形成された機能性材料層の膜厚が絵素内で不均一になるおそれがあり、一方、200μmを超えると、毛細管現象によって絵素領域へ充填するのに多量の時間を要するおそれがある。
また、塗液蓄積ダム110a、110bの幅及び高さは、パネルサイズや塗液の塗布量、塗液蓄積ダム110a、110bのアスペクト比(高さと幅の比)等を考慮して適宜設定することができるが、幅は、通常、5〜500μm(より好適には20〜50μm)程度とすればよく、高さは、通常、5〜100μm(より好適には5〜100μm)程度とすればよい。幅が5μm未満であると、パターン形成不良が発生しやすいばかりでなく、塗液が塗液蓄積ダム110a、110bを越えて塗液蓄積ダム110a、110bの外に溢れ出すおそれがあり、一方、500μmを超えると、表示エリア外に必要となる領域が大きくなり、パネル外形設計に支障をきたすおそれがある。高さが5μm未満であると、塗液が塗液蓄積ダム110a、110bを越えて塗液蓄積ダム110a、110bの外に溢れ出すおそれがあり、一方、100μmを超えると、塗液の乾燥後に塗液蓄積ダム110a、110bに付着する機能性材料層が多くなり、所望の膜厚を得ることができないおそれがある。
また、塗液蓄積ダム110a、110bのアスペクト比(高さを幅で割った値)は、通常、20以下(より好適には2以下)程度とすればよい。アスペクト比が20を超えると、膜の剥がれが発生しやすく、パターン形成不良が発生しやすい。
また、塗液蓄積ダム110a、110bで囲まれた領域の幅(隔壁120に沿う方向、すなわち上下方向の長さ;縦幅)は、パネルサイズや、表示エリア150のサイズ、塗液の塗布量等を考慮して適宜設定することができるが、塗布装置に高精度な位置合わせを要しない幅以上であることが好ましく、また、毛細管現象を効果的に発現する観点からは塗液蓄積ダム110a、110bで囲まれた領域の幅は、隔壁120で囲まれた領域の幅よりも大きいことが好ましい。より具体的には、塗液蓄積ダム110a、110bで囲まれた領域の幅は、通常、0.5〜20mm(より好適には2〜10mm)程度とすればよい。0.5mm未満であると、塗液蓄積ダム110a、110bで囲まれた領域内に塗液が正確に塗布できないおそれがあり、一方、20mmを超えると、表示エリア外に必要となる領域が大きくなり、パネル外形設計に支障をきたすおそれがある。
次いで、正孔輸送材料としてN,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPD)を用い、エッジカバー240及び第1の電極250の上に、真空蒸着法により正孔注入層兼正孔輸送層(正孔注入層及び正孔輸送層)220を積層した。正孔注入層兼正孔輸送層220の膜厚は50nmとした。
次に、Rの有機発光層230Rの発光材料としてポリフルオレン系赤色発光材料を使用し、溶媒として芳香族系の混合溶媒を使用し、Rの発光層溶液(Rの有機発光層230Rの材料を含む組成物、Rの塗液)を作製した。Rの発光層溶液の粘度は略20mPa・sとし、表面張力を略40mN/mに調製した。その発光層溶液を塗液蓄積ダム110a内にインクジェット法を用いて塗布した。塗液蓄積ダム110a内に溜められた発光層溶液は、隔壁120が親液性を有しているために毛細管現象によって、充填液130aとしてRの絵素領域140Rに充填及び塗布された。このように、Rの発光層溶液は、塗液蓄積ダム110a内を濡れ広がるとともに、毛細管現象によって、塗液蓄積ダム110aの開口部を通して第1隔壁部で囲まれた領域に濡れ広がった。このとき、G及びBの絵素領域140G、140BはRの絵素領域140Rとは隔壁120で隔絶されているため、G及びBの絵素領域140G、140Bには、充填液130aが浸入することはなかった。一方、塗液蓄積ダム110aで囲まれた領域内には、Rの発光層溶液が残り、後述する乾燥工程後、Rの有機発光層230Rと同一の材料が残ることになる。
一方、Gの有機発光層230Gの発光材料としてポリフルオレン系緑色発光材料を使用し、溶媒として芳香族系の混合溶媒を使用し、Gの発光層溶液を作製した。Rの発光層溶液と同様、Gの発光層溶液の粘度は略20mPa・sとし、表面張力を略40mN/mに調製した。その発光層溶液を塗液蓄積ダム110b内にインクジェット法を用いて塗布した。塗液蓄積ダム110b内に溜められた発光層溶液は、Rの発光層溶液と同様に、毛細管現象によって、充填液130bとしてGの絵素領域140Gに充填及び塗布された。このとき、R及びBの画素領域140R、140BはGの絵素領域140Gとは隔壁120で隔絶されているため、R及びBの画素領域140R、140Bには、充填液130bが浸入することはなかった。一方、塗液蓄積ダム110bで囲まれた領域内には、Gの発光層溶液が残り、後述する乾燥工程後、Gの有機発光層230Gと同一の材料が残ることになる。
このように、塗液蓄積ダム110a、110b及び隔壁120は、塗液が所定位置よりも拡がるのを堰き止める堰き止め部材(仕切り部材)として機能する。また、塗液蓄積ダム110a、110bは、自身が囲む領域内に機能性材料を含む塗液を溜めるとともに、毛細管現象により、開口部を通して隔壁120内に該塗液を充填する(流し出す)ための囲いとして機能する。
その後、R及びGの絵素領域140R、140Gにそれぞれ発光層溶液が塗布されたTFT基板200を、1Pa以下の真空下、200℃にて、60分間乾燥させて、両発光層溶液中の溶媒成分を乾燥除去することにより、Rの有機発光層230R及びGの有機発光層230Gを形成した。Rの有機発光層230R及びGの有機発光層230Gの膜厚はどちらも50nmとした。
次いで、Bの有機発光層230Bの発光材料として、ユーロピウム錯体を使用し、エッジカバー240と、Bの絵素領域140Bの正孔注入層及び正孔輸送層220と、Rの有機発光層230Rと、Gの有機発光層230Gとの上に、真空蒸着法によりBの有機発光層230Bを積層した。Bの有機発光層230Bの膜厚は50nmとした。
次いで、公知の技術を用いて、正孔注入層及び正孔輸送層220、Rの有機発光層230R、Gの有機発光層230G及びBの有機発光層230Bが形成されたTFT基板200上に、BaとAlとをこの順に積層して第2の電極260を形成した。
上記の手順によって製造した有機ELディスプレイ100によれば、塗液蓄積ダム110a、110bと毛細管現象による塗液の充填及び塗布方法とを用いてRの有機発光層230R及びGの有機発光層230Gを積層し、またBの有機発光層230Bを全ての絵素領域140R、140G、140Bにわたって積層している。したがって、混色のない有機ELディスプレイを簡便に作製することができた。他方、蒸着マスクを用いて各色を真空蒸着法にて形成する場合、生産適用性の点で種々の課題があった。例えば、蒸着マスクと基板との高精度な位置合わせが必要であったり、大型の基板に対して使用される蒸着マスクは重量が著しく大きくなるため、位置合わせが困難になるだけでなく、装置の重量耐性の問題が発生したり、蒸着マスクを切り替える際の労力が増す一方、安全性が確保し難くなるといった課題があった。また、蒸着マスクと基板との位置合わせ精度や蒸着ボケの点から、蒸着マスクを用いて高精細な有機ELディスプレイを作製することは困難であった。しかしながら、本実施例の手順に従えば、毛細管現象により、各色を塗り分けるだけであるので、上記のような課題は一切発生しない。したがって、なんら高度な技術を用いることなく、大型の基板及び高精細な有機ELディスプレイについても作製が可能である。
一方、各絵素領域140R、140G、140Bに個々にインクジェット法にて発光層溶液を充填し、各発光層を形成していく方法は、塗液量のバラツキにより膜厚が絵素領域毎にばらついてしまったり、高精細な有機ELディスプレイに対しては高精度な吐出位置の制御が要求されるために、隣接する絵素領域への溶液の漏出や隣接する絵素領域間での混色が発生することがあった。しかしながら、本実施例の手順に従えば、毛細管現象により、2色の絵素領域に発光層溶液が充填及び塗布され、更に、それぞれの絵素領域内では各絵素領域で塗液量が毛細管作用により平均化される。したがって、膜厚が同色の絵素領域毎でばらつくことがない。また、充分に広く、かつ絵素領域(表示エリア)外に形成された塗液蓄積ダム110a、110bのみにインクジェット法で塗液を吐出するので、吐出位置の高精度な制御は必要なく、混色の恐れもない。
本実施例の作用効果についてまとめると、(1)毛細管現象により、塗液の流れのみで機能性材料層の塗布及び形成を行うため、位置合わせの必要がなく、また、同色の絵素領域内で膜厚ズレがなく、均一な膜が得られる。
(2)蒸着工程は、常に全面蒸着を用いればよいので、スロットマスクを用いた蒸着を行う必要がなくなる。すなわち、真空蒸着時に、マスク蒸着のような高精度の位置合わせや蒸着ズレによる混色等の懸念事項がない。また、長大な真空装置が不要となるだけでなく、大型基板に機能性材料層を形成するために非常に高価で超重量な蒸着マスクを用いる必要がない。
(3)特許文献1に記載の技術と比較して、(3−1)塗液蓄積ダムに機能性材料を含む塗液を注入し、そこから毛細管現象により絵素領域に塗液を充填及び塗布するので、溶液槽を用いる必要がない。したがって、多量の有機EL溶液(=機能性材料溶液)が不要である。(3−2)パネルを塗液に漬ける必要がないので、パネルの不要部を塗液で汚染することがない。(3−3)特許文献1に記載の技術では、溝の端部に残っている先に形成した層が再溶解にし、次の有機EL溶液に溶けるため、有機EL溶液の混濁が起きる。しかしながら、本実施例では塗液蓄積ダムに塗液を注入し、そこから毛細管現象により絵素領域に塗液を充填及び塗布するので、溶液槽を用いる必要はない。したがって、塗液の混濁も生じない。(3−4)特許文献1に記載の技術のようなストッパの形成及び剥離工程の必要がない。本実施例では、ストッパが不要であり、溝及び塗液蓄積ダムを同時に形成する工程が必要なだけであり、レジストの剥離工程を行う必要はない。したがって、特許文献1に記載の技術のように、工程数を増加させることがない。
(4)従来にある、毛細管現象による配線の形成と比較すると、本実施例は同じように毛細管現象を使用した塗布方法であるが、R、G及びBの絵素領域を塗り分けるための特殊な構造及び作製手法を用いる技術である。
(5)幅の異なる堰き止め部材(塗液蓄積ダムや隔壁(バンク))で囲まれた領域に対して、毛細管現象を用いた塗布方法を用いた場合、塗液が滴下された幅の広い塗布領域と、毛細管現象で塗液が流れ込んだ幅の狭い領域とで、膜厚がばらつくことがある。したがって、配線の形成に毛細管現象を利用した場合は、安定した特性を実現するために、配線の全ての部分で厚みが均一になるように、隔壁パターンや塗液の滴下位置を調節することが必要となり、パターンやプロセスの設計が困難であった。それに対して、本実施例では、塗液蓄積ダムは、表示エリア外の額縁エリアに設けられ、塗液蓄積ダム内の機能性材料の膜厚バラツキや、塗液蓄積ダム内と隔壁内とでの機能性材料層の膜厚差を考慮する必要がない。したがって、従来にある、毛細管現象による配線の形成と比較すると、パターンやプロセスの設計の自由度を大幅に向上することができる。
なお、本実施例では、塗液蓄積ダム110a、110bに塗液を溜める方法として、インクジェット法を用いたが、溶液を溜める方法であれば特に限定されない。例えば、ノズルコート法、ディスペンサを用いる方法や局所領域へのスプレー塗布法等が適用できる。
また、本実施例では、発光層のみを毛細管現象により形成したが、これに限らず、他の機能性材料層にも毛細管現象による塗布方法を適用することができる。例えば、正孔輸送材料を含む塗液を用い、Rの絵素領域140RのみにRの有機発光層230Rと同様の手順で正孔輸送層を形成することもできる。
また、本実施例では、隔壁120のテーパ角を順テーパとしたが、これに限らず、逆テーパも適用することができる。逆テーパの隔壁では、充填液が隔壁を乗り越えてしまう危険性が減るばかりでなく、毛細管現象もより強く発現する効果が見込める。ただし、第2の電極260が逆テーパの隔壁で断絶してしまうことがあるので、絵素領域の第2の電極260(第2の電極260の隔壁120内の部分)と電気的接続を行う方法を別途設ける必要が生じることがある。
また、本実施例では、第1の電極250、エッジカバー240及び隔壁120の水の接触角は30°以下としたが、これに限らず、毛細管現象による塗液の充填及び塗布ができる接触角であればよい。
また、本実施例では、Rの有機発光層230R及びGの有機発光層230Gの発光材料としてポリフルオレン系発光材料を使用し、Bの有機発光層230Bの発光材料としてユーロピウム錯体を使用したが、これに限らず、他の機能性材料(発光材料)を使用することが可能である。
また、本実施例では、正孔注入層及び正孔輸送層(正孔注入層兼正孔輸送層)220と、発光層のみを機能性材料層として使用したが、その他に電子輸送層やキャリアブロッキング層等の層を追加積層することが可能である。更には、機能性材料層として発光層のみを成膜してもよい。
また、本実施例では、隔壁120を感光性樹脂のドライフィルムにて形成したが、これに限らず、例えば窒化シリコン等の無機膜をCVD等の方法を用いて成膜し、パターニングすることでも形成することが可能である。
また、本実施例では、有機ELディスプレイを構成する絵素領域をR、G及びBの3色としたが、4色以上でもよく、例えば白(W)を加えてもよい。その場合、2色に対し、塗液蓄積ダムを用いた毛細管現象による充填及び塗布を行い、それ以外の2色は別の方法(例えば、インクジェット法)で形成すればよい。
更に、本実施例は、ストライプ配列を採用したが、塗液蓄積ダムから同色の全絵素領域に対して毛細管現象により塗液を塗り広げることができる配列であればよく、モザイク配列、デルタ配列等の配列であってもよい。
そして、本実施例では、アクティブマトリクス型の有機ELディスプレイ100を示したが、薄膜トランジスタが形成されていないパッシブマトリクス型の有機ELディスプレイにおいても同様に実施が可能である。
(実施例2)
次に、本発明の実施例2について、図面を用いて詳細に説明する。青(B)の絵素領域の形成手順以外は実施例1と同じであるので、それ以外の説明は割愛する。
Bの有機発光層230Bの発光材料としてポリフルオレン系青色発光材料を使用し、溶媒として芳香族系の混合溶媒を使用し、Bの発光層溶液(Bの有機発光層230Bの材料を含む組成物、Bの塗液)を作成した。Bの発光層溶液の粘度は略15mPa・sとし、表面張力を略40mN/mに調製した。実施例1の手順でRの有機発光層230R及びGの有機発光層230Gを形成したTFT基板200に対し、Bの絵素領域140Bのみに、インクジェット法を用いてBの発光層溶液を充填及び塗布した。Bの塗液は毛細管現象によって、Bの絵素領域140Bに充填されたが、その他のR及びGの絵素領域140R、140Gは隔壁120で隔絶されているため、Bの塗液が浸入することはなかった。その後、Bの絵素領域140BにBの発光層溶液が塗布されたTFT基板200を、1Pa以下の真空下、200℃にて、60分間乾燥させて、Bの発光層溶液中の溶媒成分を乾燥除去することによりBの有機発光層230Bを形成した。Bの有機発光層230Bの膜厚は50nmとした。以降、実施例1の工程と同じ工程を経て、本実施例の有機ELディスプレイ100を作製した。
上記の手順によって製造した有機ELディスプレイ100によれば、塗液蓄積ダム110a、110bと毛細管現象による塗液の充填及び塗布方法とを用いてRの有機発光層230R及びGの有機発光層230Gを積層し、またBの有機発光層230Bをインクジェット法にて積層している。したがって、混色のない有機ELディスプレイを簡便に作製することができた。他方、図6のように、R、G及びBの絵素領域140R、140G、140Bの全ての色に対し、インクジェット法を適用した場合、高精度な吐出位置性能を有するインクジェット装置が全ての色に対して必要であり、また、塗布時間も長くなるためスループットが低減するおそれがあった。しかしながら、本実施例では、Rの有機発光層230R及びGの有機発光層230Gは毛細管現象による充填及び塗布にて形成されるため、塗液蓄積ダム110a、110bに塗液を吐出する機能を有する装置であればよく、Rの有機発光層230R及びGの有機発光層230Gを形成するために、高精度な吐出位置性能を有するインクジェット装置を用いる必要がない。また、同様に、全ての色の吐出ヘッドを有する高性能なインクジェット装置を用いる必要がない。また、本実施例ではBの有機発光層230Bのみにインクジェット法を用いればよいので、Bの絵素領域140Bのサイズのみを大きくする手法を適用することができる。その場合、Bの有機発光層230Bの塗布に対しても高精度な吐出位置性能を有するインクジェット装置が不要となる可能性がある。更には、本実施例ではBの有機発光層230Bのみにインクジェット法を用いればよいので、塗布時間を短くできる可能性がある。
更には、図6のように、全ての色の絵素領域140R、140G、140Bに対し、インクジェット法を適用した場合、各絵素領域140R、140G、140Bの膜厚がばらつき、輝度ムラが視認されるおそれがある。しかしながら、本実施例では、視感度が低いBの有機発光層230Bのみにインクジェット法を適用しているので、膜厚バラツキによる輝度ムラが視認されるおそれが低くなる。同様の理由で、視感度の最も高いGの有機発光層230G以外の視感度の低い発光層、例えば、視感度の低いRの有機発光層230Rのみをインクジェット法を用いて形成し、Gの有機発光層230G及びBの有機発光層230Bを毛細管現象による充填及び塗布方法を用いて形成することもできる。
また、輝度ムラ等の問題が発生しないのであれば、毛細管現象による充填及び塗布方法にて形成する色に特に制限はない。
本実施例の作用効果についてまとめると、(I)1色のダム無し絵素領域のみをインクジェット法により形成すればよい。したがって、塗布位置の間隔(ピッチ)を広くすることができる。すなわち、低ピッチ塗布や高速な吐出が必要とならないため、装置性能のマージンを高くすることができる。また、インクジェット装置の台数を削減することができる。更に、塗布位置を高精度に制御する必要がないため、吐出位置精度のマージンを向上することができる。
(II)上述のように、インクジェット法で形成する色を視感度の低い色(例えば、R、B等の視感度の最も大きな色(例えば、G)以外の色)にすれば、インクジェット法に起因する吐出量のバラツキ(すなわち膜厚のバラツキ)を視認されにくくすることができる。また、インクジェット法で形成される発光層についても、毛細管作用が働くことから、同色の絵素間で膜厚がばらつくのを抑制することができる。
更に、本実施例は、実施例1で説明した上記(1)及び(3)〜(5)の効果についても同様に発揮することができる。
なお、本実施例では発光層のみに毛細管現象による塗液の充填及び塗布を行ったが、これに限らず、その他の機能性材料層にも適用することができる。例えば、正孔輸送材料を含む塗液を毛細管現象にて塗液蓄積ダム110a、110bからそれぞれR及びGの絵素領域140R、140Gに充填及び塗布し、Bの絵素領域140Bにはインクジェット法にて正孔輸送材料を含む塗液を塗布してもよい。また、第2の電極260に可溶性の導電性材料を使用する場合にも、同様にして本実施例の技術を適用することができる。ただしこの場合は、第2の電極260が隔壁120にて断絶してしまうので、絵素領域の第2の電極260(第2の電極260の隔壁120内の部分)と電気的接続を行う方法を別途設ける必要が生じることがある。
以上、実施例1、2で説明したように、本発明を用いることにより、大型や高精細のいかんを問わず、有機ELディスプレイを簡便に製造することが可能となる。
なお、本実施例では有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造に関して述べたが、これに限らず、カラーフィルタ基板の製造に対しても本発明の適用が可能である。以下、本発明をカラーフィルタ基板に適用した形態について説明する。
(実施形態2)
本実施形態のカラーフィルタ基板は、基板上に、各絵素領域に開口部を有する遮光層(BM層)と、各色の絵素領域を分離し、かつ塗液(溶液)を保持するための絶縁性の隔壁と、着色層と、基板表面を平坦化するための平坦化層と、電極とを基板側からこの順に積層した構造を有する。着色層は、複数の色(例えば、R、G及びB)からなる。着色層がカラーフィルタとしての機能を有し、着色層を通過した光は着色層での吸収によって、適宜所望のスペクトルを有した光に変換される。また、電極は、光を透過するために透明電極となっている。
着色層の材料としては、顔料や染料を用いることができる。また、毛細管現象によって形成される着色層は、着色層の材料を含有する塗液を用いて形成される必要性があるが、それ以外の着色層においては、この形成方法に何ら限定されるものではない。例えば、2色の着色層を毛細管現象による充填工程により形成した後、その他の1色は、感光性ドライフィルムを用いて、フォトリソグラフィ技術によって形成してもよい。ただし、本実施形態では、全ての色の着色層に対して塗液を用いた形態について説明する。
基板としては、透明性を有しているものであれば特に限定されず、ガラス基板やプラスチック基板等を用いることができる。
隔壁としては、実施形態1、実施例1、2と同様の材料を用いることができる。
遮光層及び平坦化層の材料としては、公知の材料を使用できる。
電極としては、透明性を有している電極であれば特に限定されず、導電性金属酸化物(ITO、IZO、ZnO、SnO等)を用いることができる。
(実施例3)
図3及び図7を用いて、本発明の実施例3に係るカラーフィルタ基板の全体構成と、製造方法とについて説明する。なお、本実施例と、実施例1、2とで重複する記載(例えば、工程や構造)についは省略する。
本実施例のカラーフィルタ基板100は、図3で示すように、実施例1と同様に、R、G及びBの絵素領域140R、140G、140Bが交互に配列され、垂直(上下)方向には、同色の絵素領域が配列されている。このように、本実施例のカラーフィルタ基板100は、ストライプ配列のカラーフィルタ基板である。
また、図7に示すように、基板400上には、マトリクス状に設けられた各絵素領域140R、140G、140Bを囲むように遮光層410が形成されている。
遮光層410上には、実施例1と同様に、各色の絵素領域140R、140G、140Bを色毎に分離する絶縁性の隔壁120が形成されている。そして、Rの絵素領域140Rを囲む部分の隔壁120には、塗液蓄積ダム110aが接続され、Gの絵素領域140Gを囲む部分の隔壁120には、塗液蓄積ダム110bが接続されている。隔壁120及び塗液蓄積ダム110a、110bの構造については実施例1と同様である。
Rの絵素領域140Rを囲む隔壁120及び塗液蓄積ダム110a内には、Rの着色層420Rが形成され、Gの絵素領域140Gを囲む隔壁120及び塗液蓄積ダム110b内には、Gの着色層420Gが形成され、Bの絵素領域140Bを囲む隔壁120内には、Bの着色層420Bが形成されている。
平坦化層430は、Rの着色層420R、Gの着色層420G、Bの着色層420B及び隔壁120を覆うように形成され、電極440は、平坦化層430を覆うように形成されている。
このように、本実施例では、ストライプ状に溝が各色に対して形成されており、溝で各色の絵素領域140R、140G、140Bが分離している。また、塗液蓄積ダム110a、110bにはそれぞれ1色のみが接続され、残りの1色には塗液蓄積ダムが形成されていない。更に、塗液蓄積ダム110a、110bに塗液を注入することで、毛細管現象を用いて表示エリアに塗液を充填及び塗布する。そして、ダムのない部分はインクジェット法により形成する。
次に、本発明の実施例3に係るカラーフィルタ基板の製造方法について説明する。
まず、ガラス基板400の上に感光性樹脂を2μmの厚さで塗布し、遮光層410をフォトリソグラフィ技術により形成した。遮光層410用の感光性樹脂としては、例えば、東京応化工業社製のカラーフィルター用顔料分散型ブラックレジストを用いることができる。遮光層410の平面パターンは、実施例1のエッジカバー240と同様であり(図3、4等参照)、各絵素領域140R、140G、140Bに開口部を有する。なお、各絵素領域140R、140G、140Bのピッチは実施例1と同様である。
次に、実施例1と同様に、隔壁120を遮光層410の上に高さ20μm、幅20μmで形成するとともに、高さ20μm、幅20μmで塗液蓄積ダム110a、110bを形成した。隔壁120及び塗液蓄積ダム110a、110bのパターンやサイズは、実施例1と同じである。また、本実施例において、隔壁120及び塗液蓄積ダム110a、110bの好適なパターンやサイズについても、実施例1と同様に設定することができる。
上記のように形成した基板について、UVオゾンに基板400表面を2分間晒すことにより、各絵素領域140R、140G、140Bの開口部、遮光層410、隔壁120及び塗液蓄積ダム110a、110bの表面に親液性を付与した。この処理により、各絵素領域140R、140G、140Bの開口部、遮光層410及び隔壁120の水の接触角は30°以下となった。また、図3の塗液蓄積ダム110a、110bの水の接触角も30°以下となった。
次いで、実施例1と同様にして、Rの着色層420Rとなる塗液を、図3の充填液130aとして、塗液蓄積ダム110aからRの絵素領域140Rに充填した。同様に、Gの着色層420Gとなる塗液を、図3の充填液130bとして、塗液蓄積ダム110bからGの絵素領域140Gに充填した。その後、乾燥工程を経て、Rの着色層420R及びGの着色層420Gをそれぞれ形成した。より具体的には、塗液として、各々の色となるカラー顔料を重量分濃度10%程度でメチルカルビトールに分散した溶液を使用した。また、各々の塗液を各絵素領域140R、140Gに充填した後、基板400を1Pa以下の真空下、200℃にて、60分間乾燥させて、R及びGの溶液(塗液)中の溶媒成分を乾燥除去することにより、Rの着色層420R及びGの着色層420Gを形成した。Rの着色層420R及びGの着色層420Gの膜厚は略2μmとした。
次いで、Bのカラー顔料を分散させたカラーフィルタ溶液(塗液)を調整した。Bの塗液の粘度は略15mPa・sとし、表面張力を略40mN/mに調製した。Rの着色層420R及びGの着色層420Gが形成された基板400に対し、Bの絵素領域140Bのみに、インクジェット法を用いてBのカラーフィルタ溶液を充填及び塗布した。Bのカラーフィルタ溶液は毛細管現象によって、Bの絵素領域140Bに充填されたが、その他のR及びGの絵素領域140R、140Gは隔壁120で隔絶されているため、Bのカラーフィルタ溶液が浸入することはなかった。その後、Bの絵素領域140BにBのカラーフィルタ溶液が塗布された基板400を、1Pa以下の真空下、200℃にて、60分間乾燥させて、Bのカラーフィルタ溶液中の溶媒成分を乾燥除去することによりBの着色層420Bを形成した。Bの着色層420Bの膜厚は略2μmとした。
その後、隔壁120、Rの着色層420R、Gの着色層420G及びBの着色層420Bの上に平坦化層430を形成した。平坦化層430の材料としては、例えば、東京応化工業社製のLCD用透明平坦化材料等を用いることができる。平坦化層となる溶液を隔壁120の上部から1μmの膜厚となるように、スロットコータにて塗布し、窒素雰囲気中にて200℃で60分間焼成することにより、平坦化層430を形成した。
最後に電極440として、マスクを用いたスパッタ法により、所望の位置のみにITOからなる透明導電膜を形成した。ITOからなる透明導電膜の膜厚は100nmとした。
なお、図示はしていないが、本実施例では、上述の構成の他、液晶セルの厚み(電極間距離)を規定するためのフォトスペーサを電極440上に形成したり、領域により液晶セルの厚みを変更するための構造物を平坦化層430上に形成したりすることもできる。
上記の手順により作製したカラーフィルタ基板100によれば、塗液蓄積ダム110a、110bと毛細管現象による塗液の充填及び塗布方法とを用いてRの着色層420R及びGの着色層420Gを形成し、またBの着色層420Bをインクジェット法にて形成している。したがって、混色のないカラーフィルタ基板を簡便に作製することができた。他方、図6のように、R、G及びBの絵素領域140R、140G、140Bの全ての色に対し、インクジェット法を適用した場合、高精度な吐出位置性能を有するインクジェット装置が全ての色に対して必要であり、また、塗布時間も長くなるためスループットが低減するおそれがあった。しかしながら、本実施例では、Rの着色層420R及びGの着色層420Gは毛細管現象による充填及び塗布にて形成されるため、塗液蓄積ダム110a、110bに塗液を吐出する機能を有する装置であればよく、Rの着色層420R及びGの着色層420Gを形成するために、高精度な吐出位置性能を有するインクジェット装置を用いる必要がない。また、同様に、全ての色の吐出ヘッドを有する高性能なインクジェット装置を用いる必要がない。また、本実施例ではBの着色層420Bのみにインクジェット法を用いればよいので、Bの絵素領域140Bのサイズのみを大きくする手法を適用することができる。その場合、Bの着色層420Bの塗布に対しても高精度な吐出位置性能を有するインクジェット装置が不要となる可能性がある。更には、本実施例ではBの着色層420Bのみにインクジェット法を用いればよいので、塗布時間を短くできる可能性がある。
更には、図6のように、全ての色の絵素領域140R、140G、140Bに対し、インクジェット法を適用した場合、各絵素領域140R、140G、140Bの膜厚がばらつき、輝度ムラが視認されるおそれがある。しかしながら、本実施例では、視感度が低いBの着色層420Bのみにインクジェット法を適用しているので、膜厚バラツキによる輝度ムラが視認されるおそれが低くなる。同様の理由で、視感度の最も高いGの着色層420G以外の視感度の低い着色層、例えば、視感度の低いRの着色層420Rのみをインクジェット法を用いて形成し、Gの着色層420G及びBの着色層420Bを毛細管現象による充填及び塗布方法を用いて形成することもできる。
また、輝度ムラ等の問題が発生しないのであれば、毛細管現象による充填及び塗布方法にて形成する色に特に制限はない。
本実施例の作用効果についてまとめると、(I)1色のダム無し絵素領域のみをインクジェット法により形成すればよい。したがって、塗布位置の間隔(ピッチ)を広くすることができる。すなわち、低ピッチ塗布や高速な吐出が必要とならないため、装置性能のマージンを高くすることができる。また、インクジェット装置の台数を削減することができる。更に、塗布位置を高精度に制御する必要がないため、吐出位置精度のマージンを向上することができる。
(II)上述のように、インクジェット法で形成する色を視感度の低い色(例えば、R、B等の視感度の最も大きな色(例えば、G)以外の色)にすれば、インクジェット法に起因する吐出量のバラツキ(すなわち膜厚のバラツキ)を視認されにくくすることができる。また、インクジェット法で形成される着色層についても、毛細管作用が働くことから、同色の絵素間で膜厚がばらつくのを抑制することができる。
更に、本実施例は、実施例1で説明した上記(1)及び(3)〜(5)の効果についても同様に発揮することができる。
なお、本実施例では着色層のみに毛細管現象による塗液の充填及び塗布を行ったが、これに限らず、着色層に加えて平坦化層430にも適用することができる。例えば、平坦化層430の材料を含む塗液を毛細管現象にて塗液蓄積ダム110a、110bからそれぞれR及びGの絵素領域140R、140Gに充填及び塗布し、Bの絵素領域140Bにはインクジェット法にて平坦化層430の材料を含む塗液を塗布してもよい。ただし、液晶セルの厚さを各絵素領域で一定とするためには、電極440の表面が平坦に形成されるように、各絵素領域140R、140G、140Bにおいて平坦化層430の塗液の充填量を適宜調整する必要がある。
また、電極440の材料として可溶性の導電性材料を使用する場合にも、着色層に加えて電極440にも同様にして本実施例の技術を適用することができる。ただし、平坦化層430の場合と同様に、各絵素領域140R、140G、140Bにおいて電極440の表面が平坦化されるように、電極440の材料の充填量を適宜調整する必要があるとともに、各絵素領域140R、140G、140Bごとに電極440が分離されるため、各絵素領域140R、140G、140Bの電極440を接続する手段を追加する必要がある。
更に、実施例1、2で説明した各種変形例についても、適宜、本実施例に適用することができる。
以上、実施例3で説明したように、本発明を用いることにより、大型や高精細のいかんを問わず、カラーフィルタ基板を簡便に製造することが可能となる。
また、本発明は、材料利用効率が高く、しかも簡便に、かつ制御性よく各色の絵素を塗り分けることができる技術であり、モバイル用途やテレビ用途等の多岐の用途にわたって適用することができる。
100:有機ELディスプレイ又はカラーフィルタ基板
110a、110b:塗液蓄積ダム
120:隔壁
130a:充填液
130b:充填液
140R:Rの絵素領域
140G:Gの絵素領域
140B:Bの絵素領域
150:表示エリア
160:乾燥剤
170:封止ガラス
180:封止樹脂(シール)
200:TFT基板
210:層間絶縁膜
220:正孔注入層及び正孔輸送層(正孔注入層兼正孔輸送層)
230R:Rの有機発光層
230G:Gの有機発光層
230B:Bの有機発光層
240:エッジカバー
250:第1の電極
260:第2の電極
270:TFT
300:絵素
310:絵素発光部
320:蒸着領域
400:基板
410:遮光層(BM)
420R:Rの着色層
420G:Gの着色層
420B:Bの着色層
430:平坦化層
440:電極

Claims (25)

  1. 少なくとも有機発光層を含む機能性材料層を基板上にそれぞれ有する複数色の絵素領域が形成された有機エレクトロルミネセンス表示装置であって、
    前記基板は、異なる色の絵素領域間を区画する隔壁と、前記複数色の絵素領域外に形成され、かつ第一の色の絵素領域を区画する第一隔壁部に接続された第一ダムとを有することを特徴とする有機エレクトロルミネセンス表示装置。
  2. 前記基板は、前記複数色の絵素領域外に形成され、かつ第二の色の絵素領域を区画する第二隔壁部に接続された第二ダムを有することを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネセンス表示装置。
  3. 前記基板は、前記機能性材料層を狭持する一対の電極と、前記一対の電極の一方の端部を覆うエッジカバーとを有し、
    前記第一隔壁部及び前記第二隔壁部の少なくとも一方は、前記エッジカバー上に形成されることを特徴とする請求項2記載の有機エレクトロルミネセンス表示装置。
  4. 前記基板は、TFT基板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス表示装置。
  5. 前記複数色の絵素領域はそれぞれ、複数形成され、
    前記第一隔壁部は、複数の前記第一の色の絵素領域を区画し、
    前記第二隔壁部は、複数の前記第二の色の絵素領域を区画することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス表示装置。
  6. 前記有機エレクトロルミネセンス表示装置は、ダムに接続されていない第三隔壁部によって区画された少なくとも一色のダム無し絵素領域を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス表示装置。
  7. 前記少なくとも一色のダム無し絵素領域の色は、青及び赤の少なくとも一方であることを特徴とする請求項6記載の有機エレクトロルミネセンス表示装置。
  8. 前記少なくとも一色のダム無し絵素領域の色は、前記複数色の絵素領域の中で、視感度が最も高い色以外の色であることを特徴とする請求項6又は7記載の有機エレクトロルミネセンス表示装置。
  9. 前記有機エレクトロルミネセンス表示装置は、当該絵素領域に含まれる有機発光層が全色の絵素領域にわたって形成された少なくとも一色の絵素領域を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス表示装置。
  10. 前記第一ダムで囲まれた領域には、前記第一の色の絵素領域に含まれる第一機能性材料層の少なくとも一層の材料が配置されることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス表示装置。
  11. 前記第一ダムで囲まれた領域には、前記第一の色の絵素領域に含まれる第一機能性材料層に含まれる有機発光層の材料が配置されることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス表示装置。
  12. 前記第二ダムで囲まれた領域には、前記第二の色の絵素領域に含まれる第二機能性材料層の少なくとも一層の材料が配置されることを特徴とする請求項2〜11のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス表示装置。
  13. 前記第二ダムで囲まれた領域には、前記第二の色の絵素領域に含まれる第二機能性材料層に含まれる有機発光層の材料が配置されることを特徴とする請求項2〜12のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス表示装置。
  14. 前記第一ダム及び前記第二ダムは、前記有機エレクトロルミネセンス表示装置の表示エリアを挟む対向する領域に配置されることを特徴とする請求項2〜13のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス表示装置。
  15. 請求項9〜14のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法であって、
    前記製造方法は、前記全色の絵素領域にわたる有機発光層を、真空蒸着法を用いて形成する工程を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法であって、
    前記製造方法は、前記第一ダム内に、前記第一の色の絵素領域に含まれる第一機能性材料層の少なくとも一層の材料を含有する第一塗液を注入し、毛細管現象により、前記第一塗液を前記第一の色の絵素領域に充填する工程を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法。
  17. 請求項2〜16のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法であって、
    前記製造方法は、前記第二ダム内に、前記第二の色の絵素領域に含まれる第二機能性材料層の少なくとも一層の材料を含有する第二塗液を注入し、毛細管現象により、前記第二塗液を前記第二の色の絵素領域に充填する工程を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法。
  18. 請求項6〜17のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法であって、
    前記製造方法は、前記少なくとも一色のダム無し絵素領域に含まれる有機発光層を、インクジェット法を用いて形成する発光層形成工程を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法。
  19. 請求項1〜18のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法であって、
    前記製造方法は、前記隔壁及び前記第一ダムを同時に形成する工程を含む有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法。
  20. 請求項2〜19のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法であって、
    前記製造方法は、前記隔壁、前記第一ダム及び前記第二ダムを同時に形成する工程を含む有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法。
  21. 前記少なくとも一色のダム無し絵素領域の色は、青及び赤の少なくとも一方であることを特徴とする請求項18〜20のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法。
  22. 前記少なくとも一色のダム無し絵素領域の色は、前記複数色の絵素領域の中で、視感度が最も高い色以外の色であることを特徴とする請求項18〜21のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法。
  23. 少なくとも有機発光層を含む機能性材料層を基板上にそれぞれ有する複数色の絵素領域が形成された有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法であって、
    前記製造方法は、前記基板上に、異なる色の絵素領域間を区画する隔壁を形成する隔壁形成工程と、
    前記複数色の絵素領域外に、第一の色の絵素領域を区画する第一隔壁部に接続された第一ダムを形成する第一ダム形成工程と、
    前記第一ダム内に、前記第一の色の絵素領域に含まれる第一機能性材料層の少なくとも一層の材料を含有する第一塗液を注入し、毛細管現象により、前記第一塗液を前記第一の色の絵素領域に充填する工程とを含むことを特徴とする有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法。
  24. 基板上に複数色の着色層が形成されたカラーフィルタ基板であって、
    前記基板は、異なる色の着色層間を区画する隔壁と、表示エリア外に形成され、かつ第一の色の着色層を区画する第一隔壁部に接続された第一ダムとを有することを特徴とするカラーフィルタ基板。
  25. 基板上に複数色の着色層が形成されたカラーフィルタ基板の製造方法であって、
    前記製造方法は、前記基板上に、異なる色の着色層間を区画する隔壁を形成する隔壁形成工程と、
    表示エリア外に、第一の色の着色層を区画する第一隔壁部に接続された第一ダムを形成する第一ダム形成工程と、
    前記第一ダム内に、前記第一の色の着色層の材料を含有する第一塗液を注入し、毛細管現象により、前記第一塗液を前記第一の色の着色層が形成される領域に充填する工程とを含むことを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法。

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