JP2010189834A - 酸性腐食環境下におけるコンクリート構造物の補修方法 - Google Patents

酸性腐食環境下におけるコンクリート構造物の補修方法 Download PDF

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Abstract

【課題】炭素繊維FRP格子筋を使用し、コンクリートのかぶり厚さを従来に比して低減することができ、且つ、酸性腐食環境下でも耐久性の良好なコンクリート構造物の補修方法を提供する。
【解決手段】炭素繊維強化樹脂とされる複数の補強筋を格子状に配置して形成されたFRP格子筋を、酸性腐食環境下におけるコンクリート構造物のコンクリート面に固定して、コンクリート構造物を補修する方法であって、(a)コンクリート面を高圧の水洗浄にて下地処理する工程、(b)下地処理したコンクリート面にFRP格子筋を固定する工程、(c)固定されたFRP格子筋側から耐硫酸性モルタルを増厚する工程、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、格子状の繊維強化樹脂(FRP)部材を用いたコンクリート構造物の補強方法に関するものである。更に詳しくは、炭素繊維強化樹脂とされる複数の補強筋を格子状に配置して形成されたFRP格子筋を使用して、下水道や温泉地域など、硫化水素の発生に起因した酸性腐食環境下、或いは、その他の原因による酸性腐食環境下に置かれるコンクリート構造物を補修する方法に関するものである。
例えば、図5(a)に示すような下水道、温泉地域における排水路、又は、図5(b)に示すような汚泥分配槽のようなコンクリート構造物1においては、特に、空気中に露出したコンクリート壁面1aが、下水などから発生した硫化水素の雰囲気下に置かれている。そのため、コンクリート壁面1aでは、壁面1aに付着した硫化水素が特殊な細菌の働きにより水と反応して硫酸となり、コンクリート壁面1aを腐食することとなる。
従来、このような酸性腐食環境下に置かれるコンクリート構造物1を補修するには、硫化水素(硫酸)などによって腐食した表面層をサンダーケレンにて除去した後に、鉄筋を配置してポリマーセメントモルタルをコテ仕上げにて増厚する方法が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
また、仕上げたモルタルの腐食防止の目的で、防食塗装(即ち、防食被覆)を施すことも行われている。
特開2004−308130号公報
しかしながら、上記従来の方法では、鉄筋腐食を防止するためにかぶり厚さは30mm以上必要となることと、防食塗装を施す手間がかかること、などが問題であった。
また、かぶり厚さを十分にとり、その後に、防食塗装を行ってもひび割れなどの発生により、鉄筋が再度腐食することがあり、十分な耐久性があるとは言えない。
そこで、本発明の目的は、炭素繊維FRP格子筋を使用し、コンクリートのかぶり厚さを従来に比して低減することができ、且つ、酸性腐食環境下でも耐久性の良好なコンクリート構造物の補修方法を提供することである。
上記目的は本発明に係るコンクリート構造物の補修方法にて達成される。要約すれば、本発明は、炭素繊維強化樹脂とされる複数の補強筋を格子状に配置して形成されたFRP格子筋を、酸性腐食環境下におけるコンクリート構造物のコンクリート面に固定して、コンクリート構造物を補修する方法であって、
(a)前記コンクリート面を高圧の水洗浄にて下地処理する工程、
(b)前記下地処理した前記コンクリート面に前記FRP格子筋を固定する工程、
(c)固定された前記FRP格子筋側から耐硫酸性モルタルを増厚する工程、
を有することを特徴とする酸性腐食環境下におけるコンクリート構造物の補修方法である。
本発明の一実施態様によれば、前記工程(c)は、前記耐硫酸性モルタルを前記FRP格子筋側から吹き付け、次いで、コテ仕上げする。
本発明の他の実施態様によれば、前記工程(c)における前記FRP格子筋のかぶり厚さが、5〜30mmの範囲である。
本発明の他の実施態様によれば、前記耐硫酸性モルタルは、下記(1)〜(5)の物性及び性能、
(1)曲げ強度(N/mm2):材齢3日で3.0(N/mm2)以上、
材齢28日で7.5(N/mm2)以上、
(2)圧縮強度(N/mm2):材齢3日で25(N/mm2)以上、
材齢28日で45(N/mm2)以上、
(3)付着強度(N/mm2):材齢28日で1.5(N/mm2)以上、
(4)長さ変化率(%):材齢28日で−0.1(%)以上
(5)耐硫酸性:
硫酸浸透深さ(mm):5%硫酸水溶液へ28日浸漬後3.0mm以内
質量変化率(%):5%硫酸水溶液へ28日浸漬後±10(%)以内
を満たす。
本発明の他の実施態様によれば、前記工程(b)は、前記FRP格子筋をプラスチック製のアンカーを用いて前記下地処理した前記コンクリート面に固定する。
本発明の他の実施態様によれば、前記工程(a)の後、打ち継ぎ剤を前記下地処理した前記コンクリート面に塗布する。
本発明の他の実施態様によれば、前記工程(c)の後、前記耐硫酸性モルタルの表面に防食被覆を行う。
本発明の他の実施態様によれば、前記酸性腐食環境とは、pH1〜3の酸性雰囲気である。
本発明によれば、炭素繊維FRP格子筋を使用し、コンクリートのかぶり厚さを従来に比して低減することができ、酸性腐食環境下でも耐久性の良好なコンクリート構造物の補修を行うことができる。
本発明に係るコンクリート構造物の補修方法の一実施例を説明する工程図である。 本発明に従ったコンクリート面への補修施工状態を示す斜視図である。 本発明に係るコンクリート構造物の補修方法に使用する炭素繊維FRP格子筋の一実施例を説明する斜視図である。 本発明に係るコンクリート構造物の補修方法に使用する炭素繊維FRP格子筋の交差部分の拡大斜視図である。 本発明に係るコンクリート構造物の補修方法が適用されるコンクリート構造物の一例を示す図である。
以下、本発明に係るコンクリート構造物の補修方法を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
本発明に係るコンクリート構造物の補修方法は、前に「背景技術」で説明したように、例えば、図5(a)に示すような下水道、温泉地における排水路、図5(b)に示すような汚泥分配槽のように、酸性腐食環境下に置かれるコンクリート構造物1において好適に採用される。
下水道等のようなコンクリート構造物1の、特に、空気中に露出したコンクリート壁面1aは、下水などから発生した硫化水素雰囲気に曝されている。コンクリート壁面1aに付着した硫化水素は水と反応して硫酸となり、コンクリート壁面1aを腐食することとなる。
そこで、本発明のコンクリート構造物の補修方法は、このような酸性腐食環境下に置かれるコンクリート構造物1の、特に、空気中に露出し、硫酸等により腐食された壁面1aに適用される。本実施例にて、酸性腐食環境とは、pH1〜3の酸性雰囲気を意味するものとする。
本発明のコンクリート構造物の補修方法は、FRP格子筋を、酸性腐食環境下におけるコンクリート構造物1のコンクリート面1aに固定して、このFRP格子筋側から耐硫酸性モルタルを増厚する方法とされる。
図1に、本発明のコンクリート構造物の補修方法の一実施例の工程を示す。図1に示す本実施例によれば、FRP格子筋100をコンクリート壁面1aに取り付ける前に、腐食したコンクリート壁面1aの表面層1Aを高圧水による下地処理を行う。その後、FRP格子筋100をその表面に貼り付け、耐硫酸性モルタル3を増厚する。FRP格子筋100は、強化繊維が炭素繊維とされる。
以下、図1を参照して、本発明のコンクリート構造物の補修方法を更に詳しく説明する。
(補修工程)
(1)下地処理工程
図1(a)に示すように、酸性腐食環境下では、硫化水素に起因する硫酸の生成に伴い、コンクリート自体が腐食して表層が脆弱となっている。この表面層である脆弱層2は、十分な強度を持つコンクリート部分1aに脆弱なコンクリート部分2が入り込んだ構造とされることが多い。そのため、この脆弱層2を除去するのにサンダーケレンではコンクリート壁面が平面状にケレンされるだけであり、十分に脆弱層2を取り切れない場合がある。
そこで、本実施例では、高圧の水洗浄による下地処理を行う。このような高圧水による下地処理では、脆弱な部分2だけ取り除くことができる。また、水圧や施工法を調整することで、削りすぎを防止することもできる。好適な水圧は、150〜300MPa程度が良い。
下地処理したコンクリート面1Aと吹き付けるモルタルとの接着性を高めるために高圧水による下地処理の後に、コンクリート面1Aに打ち継ぎ剤を塗布するのが好ましい。打ち継ぎ剤としては、例えばエポキシ樹脂が好ましい。
(2)FRP格子筋の固定
下地処理したコンクリート面1AにFRP格子筋100を固定する。本実施例では、補強筋としては酸及びアルカリにも強い炭素繊維FRP格子筋を用いることで、腐食による劣化を避けることができる。
ここで、図3及び図4を参照して、FRP格子筋100について説明する。
FRP格子筋100は、通常、直角に交差して格子状に配置された複数の補強筋、即ち、縦補強筋101と横補強筋102とを備えている。
各補強筋101、102は、本実施例では、強化繊維としての炭素繊維を一方向に並べてマトリックス樹脂を含浸させた樹脂含浸炭素繊維層100aを複数積層し、硬化して形成される。
FRP格子筋100は、筋幅(w)が1〜50mm、通常、2〜20mm、厚さ(t)が1〜50mm、通常、2〜20mm、であり、格子間距離(W1)が1〜50cmとされる。
上述のように、各補強筋101、102は、互いに直交して配置されるが、所望に応じて互いに90°以外の所定の角度にて交差し、格子状となるように構成することも可能である。
マトリックス樹脂としては、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、常温硬化型エポキシ樹脂、熱硬化型エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、又は、MMAなどのラジカル反応系樹脂を少なくとも一種以上含むことができる。
樹脂含浸量としては、これに限定されるものではないが、20〜70重量%とすることができる。
通常、強化繊維として炭素繊維を使用した場合のFRP格子筋100は、1000N/mm2以上の引張強度、100000N/mm2以上の引張弾性率を有している。
図1にて、図1(c)に示すように、上記構成の炭素繊維FRP格子筋100を下地処理したコンクリート面1Aに固定する。
本実施例では、コンクリート面1AへのFRP格子筋100の固定にはアンカー10を使用する。アンカー10としては、プラスチック製が好ましい。プラスチック製のアンカーを用いることで、酸による腐食の問題はなくなる。
アンカー10によるFRP格子筋100の固定方法は、限定されるものではないが、図2に示すように、アンカー10をFRP格子筋100の升目の角部分、つまり補強筋101と補強筋102との交差部分のコンクリート面1Aに打ち込み、必要によりアンカー押さえ板11を使用して、補強筋101、102をコンクリート面1Aの方向に押さえてFRP格子筋100を固定させる。アンカー10は、2升或いは3升毎に打ち込まれる。なお、アンカー10の打ち込み位置はこれに限定されるものではない。
(3)モルタルの増厚
炭素繊維FRP格子筋100を固定したコンクリート面1Aにモルタル3を増厚する。
モルタル3を増厚する際、吹き付け工法によって、FRP格子筋100側から吹き付け、その後、コテ仕上げを行う方法が好ましい。
基本的にはコテ仕上げのみでも問題はないが、下地コンクリート面1Aと増厚したモルタル3との接着性が作業者の技能によって大きく左右されることがある。
吹き付け工法は、モルタル3を吹き付けることで下地コンクリート面1Aにモルタル3が叩き付けられるため、下地コンクリート面1Aへの密着性が保たれ、作業者の技能の差が出難く性能が保たれ易い。
かぶり厚み(T)は5〜30mmの範囲が好適である。かぶり厚み(T)が5mm未満の場合は、増厚するモルタル自体の硬化収縮などで、FRP格子筋100まで貫通するひび割れが発生し易く、FRP格子筋自体が脱落する可能性が高くなる。また、かぶり厚み(T)が30mmを超えると、モルタル使用量が増えてコスト高となる。
増厚するモルタル3は耐硫酸性モルタルとされる。硫化水素等に起因する酸に対しても、耐硫酸性モルタルであれば耐食性は良好である。
用いる耐硫酸性モルタルとしては、以下の物性及び性能を満たしているものを使用する。
(1)曲げ強度(N/mm2):材齢3日で3.0(N/mm2)以上、
材齢28日で7.5(N/mm2)以上、
(2)圧縮強度(N/mm2):材齢3日で25(N/mm2)以上、
材齢28日で45(N/mm2)以上、
(3)付着強度(N/mm2):材齢28日で1.5(N/mm2)以上、
(4)長さ変化率(%):材齢28日で−0.1(%)以上
(5)耐硫酸性:
硫酸浸透深さ(mm):5%硫酸水溶液へ28日浸漬後3.0mm以内
質量変化率(%):5%硫酸水溶液へ28日浸漬後±10(%)以内
(防食被覆)
なお、腐食環境の厳しい箇所では、必要に応じて、上記耐硫酸性モルタルの表面に防食被覆を行うことも可能である。防食被覆は、具体的には、エポキシ系樹脂、ビニルエステル系樹脂などの防食被覆材料や工場製作した防食被覆層を耐硫酸性モルタル表面に塗布又は貼り付けることにより行う。
本実施例における、上記耐硫酸性モルタルの物性及び性能の試験方法は、下記の通りとした。
ここで、試験体を作製し、試験する試験室の状態は、温度20±2℃、湿度50%以上とした。また、養生室の状態は、温度20±2℃、湿度50%以上(以下、「一般養生室」という。)、又は、温度20±2℃、湿度80%以上(以下、「湿空養生室」という。)とした。
(1)曲げ強度
JIS R 5201:1997の「10.強さ試験」に準拠する。材齢は、3日及び28日とする。試験体の個数は、各材齢とも3個とする。
(2)圧縮強度
JIS R 5201:1997の「10.強さ試験」に準拠する。材齢は、3日及び28日とする。圧縮試験の試験体には、曲げ強度試験に用いた試験体の両折片を用いる(各材齢6片)
(3)付着強度(接着性)
・試験板
JIS A 5371:2004の附属書2に規定する普通平板の呼び(寸法300×300×60mm)を使用する。
・試験板の前処理、養生
表面の脆弱層、汚れ、付着物がなく、細骨材が露出するよう処理し、一般養生室で7日間養生する。研磨には、JIS R 6255:2006に規定する研磨ディスクを使用する。なお、研磨ディスクの材質は、炭化けい素質研磨材又は同等品、粒度はP16を標準とする。
・塗り付け方法、養生
吹き付けにて塗り付ける。なお、塗り付け厚さは10mmとする。塗り付け後は所定材齢(28日)まで一般養生室で養生する。
・試験方法
使用機器は、鋼製引張用ジグの装着が可能なもので、引張力を試験面に対して垂直に加えることが可能な引張試験機を使用する。
試験は、以下の手順で行う。
(i)試験面にエポキシ樹脂系接着剤を用いて鋼製引張用ジグ(40×40mmの接着面を有するもの)を軽く擦り付けるようにして接着させ、接着剤が硬化するまで粘着テープ等を用いて動かないように固定する。
(ii)接着剤硬化後、鋼製引張用ジグの周囲に沿って電動カッターを用いて試験板に達する深さまで切り込む。
(iii)鋼製引張用ジグに試験機を取り付け、一定の速度を保ちながら、引張力を加えて最大引張荷重を求める。
接着強さは、下式によって計算し、小数点以下1桁の位を丸めて示す。
接着強さ(N/mm2)=T/1600 ここで、T:最大荷重(N)
・試験体
試験体の個数は各材齢とも3個とする。1個の試験体から3箇所の強度を求め、その平均値を接着力とする。
(4)長さ変化率
JIS A 1129:2001に準拠する。但し、供試体は成形後、湿空養生室に24時間静置した後、脱型し、基長を測定する。脱型後は一般養生室で所定材齢(28日)まで養生する。
(5)耐硫酸性
・試験体
試験体の作製方法は、JIS A 1132:2006に準拠する。試験体の形状は、直径7.5cm、高さ15cmの円柱形とし、試験体の個数は3個とする。成形1日後に脱型し、材齢28日まで20±2℃の水道水中で水中養生する。
・試験方法
試験体を5%硫酸水溶液に28日間浸漬する。試験液は、7日毎に全量を取り替える。
浸漬終了後、硫酸水溶液から取り出した試験体は、蛇口を完全解放した水道水の水圧で全面を均等に1分間洗浄する。その後、表面の水分を拭き取り、速やかに質量測定を行い、下式により質量変化率を算出する。なお、初期値の質量測定は、水中養生後に行う。また、硫酸水溶液の基準量は、試験体1個あたり0.0044m3(4.4L)とする。
質量変化率(%)={浸漬後の質量の測定値(g)−初期値(g)}÷{初期値(g)}×100
・硫酸浸透深さ
耐硫酸性試験に供した試験体を、ダイヤモンドカッター等で半分に切断し、切断面にフェノールフタレイン1%溶液を噴霧する。試験体の赤く発色した部分の直径方向の長さをノギスで5箇所測定し、その平均値を試験体の幅の初期値(75mm)から差し引いた値の1/2を算出する。これを3つの試験体について求め、その平均値を硫酸浸透深さとする。
次に、本発明のコンクリート構造物の補修方法を、図5(b)に示すような構造の下水処理場の汚泥分配槽とされるコンクリート構造物1に適用した場合の具体例について説明する。
(具体例)
コンクリート構造物1である下水処理場の汚泥分配槽の水面より上のコンクリート部分1aは、表面層(脆弱層)2が天井面も含めて10〜30mmの厚さで泥状態となって腐食しており、指で押しても崩れる状態であった。
このコンクリート表面2を圧力200MPaの高圧水洗により泥状態のコンクリートと脆弱なコンクリート層を削り取り下地処理を行った。
その後、下地処理したコンクリート面1Aに炭素繊維FRP格子筋(日鉄コンポジット株式会社製:商品名「トウグリッドFTG−CR4−50/50」)100をプラスチック製のアンカー(HILTI社製:商品名「IDP−0/2」)を用いてコンクリート表面1Aに取り付けた。
炭素繊維FRP格子筋100の具体的使用は次の通りであった。
強化繊維:炭素繊維
マトリックス樹脂:ビニルエステル樹脂
筋幅(w): 2.7mm
厚さ(t): 2.5mm
格子間距離(W1): 50mm
その後、耐硫酸性モルタル(日本ジッコウ株式会社製:商品名「ZモルタルAR」)を吹き付け装置にてかぶり厚さ(T)10mm程度にて吹き付けて、コテ均しを行った。
比較のために、コンクリート壁1aの一つの面を高圧水洗後に、D10鉄筋を100mmピッチの格子状に組み立て、その後にかぶり厚さ(T)30mmにてポリマーセメントモルタル(日本ジッコウ株式会社製:商品名「ZモルタルS」)をコテ仕上げにて施工した。
施工してから1年後に施工箇所の目視観察を行ったところ、本発明に従った、炭素繊維FRP格子筋+耐硫酸性モルタルの箇所は、劣化が認められなかった。
一方、比較のために施工した、鉄筋+ポリマーセメントモルタルの箇所は、モルタルの一部が腐食しており、鉄筋位置と思われる箇所から3箇所程度、錆汁の発生が認められた。
つまり、本発明によれば、炭素繊維FRP格子筋を使用し、コンクリートのかぶり厚さを従来に比して低減することができ、酸性腐食環境下でも耐久性の良好なコンクリート構造物の補修を行うことができた。
1 コンクリート構造物
1a コンクリート壁面
1A 下地処理コンクリート面
2 腐食表面層
3 耐硫酸性モルタル
10 アンカー
11 アンカー押さえ板
100 炭素繊維FRP格子筋
101 縦補強筋
102 横補強筋

Claims (8)

  1. 炭素繊維強化樹脂とされる複数の補強筋を格子状に配置して形成されたFRP格子筋を、酸性腐食環境下におけるコンクリート構造物のコンクリート面に固定して、コンクリート構造物を補修する方法であって、
    (a)前記コンクリート面を高圧の水洗浄にて下地処理する工程、
    (b)前記下地処理した前記コンクリート面に前記FRP格子筋を固定する工程、
    (c)固定された前記FRP格子筋側から耐硫酸性モルタルを増厚する工程、
    を有することを特徴とする酸性腐食環境下におけるコンクリート構造物の補修方法。
  2. 前記工程(c)は、前記耐硫酸性モルタルを前記FRP格子筋側から吹き付け、次いで、コテ仕上げすることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート構造物の補修方法。
  3. 前記工程(c)における前記FRP格子筋のかぶり厚さが、5〜30mmの範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンクリート構造物の補修方法。
  4. 前記耐硫酸性モルタルは、下記(1)〜(5)の物性及び性能、
    (1)曲げ強度(N/mm2):材齢3日で3.0(N/mm2)以上、
    材齢28日で7.5(N/mm2)以上、
    (2)圧縮強度(N/mm2):材齢3日で25(N/mm2)以上、
    材齢28日で45(N/mm2)以上、
    (3)付着強度(N/mm2):材齢28日で1.5(N/mm2)以上、
    (4)長さ変化率(%):材齢28日で−0.1(%)以上
    (5)耐硫酸性:
    硫酸浸透深さ(mm):5%硫酸水溶液へ28日浸漬後 3.0mm以内
    質量変化率(%):5%硫酸水溶液へ28日浸漬後 ±10(%)以内
    を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の補修方法。
  5. 前記工程(b)は、前記FRP格子筋をプラスチック製のアンカーを用いて前記下地処理した前記コンクリート面に固定することを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の補修方法。
  6. 前記工程(a)の後、打ち継ぎ剤を前記下地処理した前記コンクリート面に塗布することを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の補修方法。
  7. 前記工程(c)の後、前記耐硫酸性モルタルの表面に防食被覆を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の補修方法。
  8. 前記酸性腐食環境とは、pH1〜3の酸性雰囲気であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の補修方法。
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