JP2010189486A - 液晶層および表示媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】印加する電圧に応じてコレステリック液晶の相が変化するときの電圧の閾値の前後において、その電圧の変化量に対する相の変化量が増大するように改質された液晶層を提供する。
【解決手段】表示層(液晶層)を構成するコレステリック液晶に、炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ有する有機化合物を含む添加剤を、3重量%以上10重量%以下の割合で添加する。この添加剤に含まれる有機化合物は、重合体などの高分子ではない化合物であって、(条件1)前記有機化合物は脂肪族である、(条件2)前記有機化合物はアルコール、脂肪酸またはエステルである、(条件3)前記二重結合を構成する各炭素原子にそれぞれ結合した、主鎖に属する炭素原子の立体配置は、シス型である、(条件4)前記二重結合は1つである、(条件5)前記有機化合物はオレイルアルコール、オレイン酸またはオレイン酸エチルである、のいずれかを満たす。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶層および表示媒体に関する。
電子ペーパーなどの表示媒体には、例えば、特許文献1に開示されているように、照射された記録光に応じた画像を記録し、記録された画像を表示する光記録型の表示媒体がある。このような表示媒体を制御する方法として、積層型光変調素子を用いた閾値シフト法がある。閾値シフト法によれば、1つの駆動信号により2層以上の表示層を独立に制御することができる(特許文献2および特許文献3参照)。
特開2007−298818号公報 特開平10−177191号公報 特開2000−111942号公報
本発明は、印加する電圧に応じてコレステリック液晶の相が変化するときの電圧の閾値の前後において、その電圧の変化量に対する相の変化量が増大するように改質された液晶層を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明の請求項1に係る液晶層は、炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ有する脂肪族有機化合物を含む添加剤を、コレステリック液晶に対して3重量%以上10重量%以下の割合で添加したことを特徴とする。
本発明の請求項2に係る液晶層は、請求項1に記載の液晶層において、前記脂肪族有機化合物は、アルコール、脂肪酸またはエステルであることを特徴とすることを特徴とする。
本発明の請求項3に係る液晶層は、請求項1に記載の液晶層において、前記脂肪族有機化合物の前記二重結合を構成する各炭素原子にそれぞれ結合した、主鎖に属する炭素原子の立体配置は、シス型であることを特徴とする。
本発明の請求項4に係る液晶層は、請求項1に記載の液晶層において、前記脂肪族有機化合物は、前記二重結合を1つだけ有することを特徴とすることを特徴とする。
本発明の請求項5に係る液晶層は、請求項1に記載の液晶層において、前記脂肪族有機化合物は、オレイルアルコール、オレイン酸またはオレイン酸エチルであることを特徴とすることを特徴とする。
また、本発明の請求項6に係る表示媒体は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の液晶層を2層以上、積層して成り、各々の前記液晶層は、可視光域において互いに異なる波長の光を反射し、かつ、印加される電圧に応じてそれぞれの相が変化するときの電圧の閾値が互いに異なることを特徴とする。
本発明の請求項1に記載の発明によれば、この構成を用いない場合に比較して、印加する電圧に応じてコレステリック液晶の相が変化するときの電圧の閾値の前後において、その電圧の変化量に対する相の変化量を増大させることができる。
また、本発明の請求項2に記載の発明によれば、この構成を用いない場合に比較して、印加する電圧に応じてコレステリック液晶の相が変化するときの電圧の閾値の前後において、その電圧の変化量に対する相の変化量を増大させることができる。
また、本発明の請求項3に記載の発明によれば、この構成を用いない場合に比較して、印加する電圧に応じてコレステリック液晶の相が変化するときの電圧の閾値の前後において、その電圧の変化量に対する相の変化量を増大させることができる。
また、本発明の請求項4に記載の発明によれば、この構成を用いない場合に比較して、印加する電圧に応じてコレステリック液晶の相が変化するときの電圧の閾値の前後において、その電圧の変化量に対する相の変化量を増大させることができる。
また、本発明の請求項5に記載の発明によれば、この構成を用いない場合に比較して、印加する電圧に応じてコレステリック液晶の相が変化するときの電圧の閾値の前後において、その電圧の変化量に対する相の変化量を増大させることができる。
また、本発明の請求項6に記載の発明によれば、この構成を用いない場合に比較して、低電力で2色以上の色を有する画像を表示することができる。
本実施形態のシステムを説明するための図である。 印加パルス電圧と正規化反射率との関係を示したグラフである。 添加剤をコレステリック液晶に添加する効果を説明するための図である。 2つの表示層のスイッチング挙動を示すグラフである。 添加量を変えた場合の印加パルス電圧と反射率の関係を示したグラフである。 添加量を変えた場合の入射光の波長と光学密度の関係を示したグラフである。 添加剤を変えた場合の印加パルス電圧と反射率の関係を示したグラフである。 添加剤を変えた場合の入射光の波長と光学密度の関係を示したグラフである。 オレイン酸添加量が相変化へ与える影響を説明するための図である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
A.構成
A−1.全体構成
図1は、本実施形態のシステムを説明するための図である。このシステムは、表示媒体(反射型液晶表示素子)1と書き込み装置(反射型液晶表示素子の駆動装置)2を有する。
A−2.表示媒体の構成
表示媒体1は、アドレス光の照射、バイアス信号の印加によって複数の液晶層の選択駆動ができる部材であり、具体的には反射型液晶表示素子である。
図1に示すように、表示媒体1は、表示面側から順に、透明基板3、透明電極5、表示層7b、表示層7a、ラミネート層8、着色層(遮光層)9、有機光導電体(OPC:Organic Photo Conductor)層10、透明電極6および透明基板4が積層されてなる。
A−2−1.透明基板の構成
透明基板3および透明基板4は、各機能層を内面に保持し、表示媒体の構造を維持する目的の部材である。透明基板3および透明基板4は、外力に耐える強度を有するシート形状の物体であり、少なくとも入射光を透過する機能を有し、また、フレキシブル性を有することが好ましい。具体的な材料としては、無機シート(たとえばガラス・シリコン)、高分子フィルム(たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート)等が挙げられる。なお、外表面に、防汚膜、耐磨耗膜、光反射防止膜、ガスバリア膜など公知の機能性膜を形成してもよい。
A−2−2.透明電極の構成
透明電極5および透明電極6は、書き込み装置2から印加されたバイアス電圧を、表示媒体1の各機能層へ面均一に印加する部材である。透明電極5および透明電極6は、面均一な導電性を有し、少なくとも入射光・アドレス光を透過する。具体的には、金属(たとえば金、アルミニウム)、金属酸化物(たとえば酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズ(ITO))、導電性有機高分子(たとえばポリチオフェン系・ポリアニリン系)などで形成された導電性薄膜を挙げることができる。表面に、密着力改善膜、光反射防止膜、ガスバリア膜など機能性膜を形成してもよい。なお、本発明において表示面側ではない側の電極(本実施形態で言えば透明電極6)は、書き込み光の波長以外は透明でなくても構わない。
A−2−3.表示層の構成
表示層7aおよび表示層7b(以下、特に区別の必要がない場合は、これらを総称して「表示層7」と記す)は、電場によって入射光のうち特定の色光についての反射・透過状態を変調する機能を有し、選択した状態が無電場で保持できる性質のものである。表示層7は、曲げや圧力などの外力に対して変形しない構造であることが好ましい。具体的に、この表示層7は、コレステリック液晶および透明樹脂を有する自己保持型液晶複合体の液晶層が形成されてなるものである。すなわち、複合体として自己保持性を有するためスペーサ等を必要としない液晶層である。本実施形態では、高分子マトリックス(透明樹脂)中にコレステリック液晶が分散した状態となっている。
なお、本発明においては、表示層7が、自己保持型液晶複合体の液晶層であることは必須ではなく、単に液晶のみで表示層7を構成することとしても構わない。この場合、曲げや圧力などの外力に対して変形しない構造とするために表示層7をハニカム状や格子状のリブで区切る事も好適に実施される。表示層7を自己保持型液晶複合体とする場合には、ドロップサイズが均一で、単層稠密に配置されていることが好ましい。
図2は透明電極5と透明電極6との間に印加する電圧と、表示層7に内包されているコレステリック液晶の電場方向の入射光に関する反射率との関係を示したグラフである。コレステリック液晶は、印加される電圧に応じて、液晶のダイレクタが描く螺旋の軸が電場方向とほぼ平行で入射光の反射率が高い配向状態であるプレーナ配向(以下、「P配向」と呼ぶ)、螺旋の軸が電場方向とほぼ垂直で入射光の反射率が低い配向状態であるフォーカルコニック配向(以下、「F配向」と呼ぶ)、螺旋構造がほどけて液晶ダイレクタが電場方向に揃った配向状態であるホメオトロピック配向(以下、「H配向」と呼ぶ)の3つの配向状態をとる。これらの配向状態のうち、P配向およびF配向は無電界で双安定に存在することができるので、P配向またはF配向であるコレステリック液晶は記憶性を有する。すなわち、電圧を保持しなくても、これらの配向状態にあるコレステリック液晶は、その配向状態を維持し続ける。一方、H配向は不安定であり、電圧を急速に落とすとP配向に移行した後、安定になる。コレステリック液晶は、P配向であるときには、入射した光のうち、螺旋ピッチに依存した特定の光を反射する(これを選択反射と呼ぶ)。
したがって、透明電極5と透明電極6との間にパルス電圧を印加すると、表示層7に内包されているコレステリック液晶は、図2に示すスイッチング挙動を示す。すなわち、印加されたパルス電圧が、Vfh,90以上のときには、H配向からP配向に変化したことによる選択反射状態となり、Vpf,10とVfh,10の間のときには、F配向による透過状態となり、Vpf,90以下のときには、パルス電圧の印加前の状態を継続した状態、すなわちP配向による選択反射状態またはF配向による透過状態となる。
なお、図中、縦軸は正規化反射率であり、最大反射率を100%、最小反射率を0%として、反射率を正規化している。また、P配向、F配向およびH配向の各状態間には、遷移領域が存在するため、正規化反射率が90%以上の場合を選択反射状態、正規化反射率が10%以下の場合を透過状態と定義し、P配向とF配向の相変化のしきい電圧を、遷移領域の前後に対して、それぞれVpf,90、Vpf,10とし、F配向とH配向の相変化のしきい電圧を、遷移領域の前後に対して、それぞれVfh,10、Vfh,90とする。
以上の通り、コレステリック液晶は、印加される電圧に応じて、入射光のうち特定の色光についての反射・透過状態を変化させることができる。すなわち、コレステリック液晶は、電場により入射光のうち特定の色光についての反射・透過状態を変調する機能を有する。
コレステリック液晶として使用可能な具体的な液晶としては、ネマチック液晶やスメクチック液晶(たとえばシッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、安息香酸エステル系、ビフェニル系、ターフェニル系、シクロヘキシルカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、ビフェニルシクロヘキサン系、ピリミジン系、ジオキサン系、シクロヘキシルシクロヘキサンエステル系、シクロヘキシルエタン系、シクロヘキサン系、トラン系、アルケニル系、スチルベン系、縮合多環系)が挙げられる。
ただし、これらのコレステリック液晶には、炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ有する有機化合物を含む添加剤が、コレステリック液晶に対して3重量%以上10重量%以下の割合で添加されている。
この添加剤に含まれる有機化合物は、重合体などの高分子ではない化合物であって、さらに、以下に列挙する(条件1)〜(条件5)の少なくともいずれかを満たすことが望ましい。
(条件1)前記有機化合物は脂肪族である。
(条件2)前記有機化合物はアルコール、脂肪酸またはエステルである。
(条件3)前記二重結合を構成する各炭素原子にそれぞれ結合した、主鎖に属する炭素原子の立体配置は、シス型である。
(条件4)前記二重結合は1つである。
(条件5)前記有機化合物はオレイルアルコール、オレイン酸またはオレイン酸エチルである。
図3は、この添加剤をコレステリック液晶に添加することによる効果を説明するための図である。
コレステリック液晶に上述の添加剤を添加しない場合には、表示媒体1は、同図に破線で示す特性曲線を描く。すなわち、添加剤を添加しないコレステリック液晶では、印加電圧がV01とV02との間にあるときを遷移状態として、P配向とF配向との相変化が生じ、印加電圧がV03とV04との間にあるときを遷移状態として、F配向とH配向との相変化が生じる。
一方、コレステリック液晶に上述の添加剤を添加した場合には、表示媒体1は、同図に実線で示す特性曲線を描く。すなわち、添加剤を添加したコレステリック液晶では、印加電圧がV11とV12との間にあるときを遷移状態として、P配向とF配向との相変化が生じ、印加電圧がV13とV14との間にあるときを遷移状態として、F配向とH配向との相変化が生じる。V11とV12との間は、V01とV02の間よりも近く、V13とV14との間は、V03とV04の間よりも近い。すなわち、添加剤を添加することにより、遷移状態となる印加電圧の幅が短くなっており、相変化は急峻化するという効果がある。
なお、コレステリック液晶としては、これらの混合物に、さらに光学活性材料(たとえばステロイド系コレステロール誘導体、シッフ塩基系、アゾ系、エステル系、ビフェニル系)を添加してもよい。
コレステリック液晶の螺旋ピッチは、ネマチック液晶などに対するカイラル剤の添加量で調整する。例えば、表示色を青、緑、赤とする場合には、それぞれ選択反射の中心波長が、400nm〜500nm、500nm〜600nm、600nm〜700nmの範囲になるようにする。また、コレステリック液晶の螺旋ピッチの温度依存性を補償するために、捩じれ方向が異なる、または逆の温度依存性を示す複数のカイラル剤を添加する公知の手法を用いてもよい。
表示層7がコレステリック液晶と高分子マトリックス(透明樹脂)を有する自己保持型液晶複合体を形成する形態としては、コレステリック液晶の連続相中に網目状の樹脂を含むPNLC(Polymer Network Liquid Crystal)構造や、高分子の骨格中にコレステリック液晶がドロップレット状に分散されたPDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)構造を用いることができ、PNLC構造やPDLC構造とすることによって、コレステリック液晶と高分子の界面にアンカリング効果を生じ、無電界でのP配向またはF配向の保持状態を、より安定にすることができる。
PNLC構造やPDLC構造は、高分子と液晶とを相分離させる公知の方法、例えば、アクリル系、チオール系、エポキシ系などの、熱や光、電子線などによって重合する高分子前駆体と液晶を混合し、均一相の状態から重合させて相分離させるPIPS(Polymerization Induced Phase Separation)法、ポリビニルアルコールなどの、液晶の溶解度が低い高分子と液晶とを混合し、攪拌懸濁させて、液晶を高分子中にドロップレット分散させるエマルジョン法、熱可塑性高分子と液晶とを混合し、均一相に加熱した状態から冷却して相分離させるTIPS(Thermally Induced Phase Separation)法、高分子と液晶とをクロロホルムなどの溶媒に溶かし、溶媒を蒸発させて高分子と液晶とを相分離させるSIPS(Solvent Induced Phase Separation)法などによって形成することができるが、特に限定されるものではない。
高分子マトリックスは、コレステリック液晶を保持し、表示媒体の変形による液晶の流動(画像の変化)を抑制する機能を有するものであり、液晶材料に溶解せず、また液晶と相溶しない液体を溶剤とする高分子材料が好適に用いられる。また、高分子マトリックスとしては、外力に耐える強度をもち、少なくとも反射光およびアドレス光に対して高い透過性を示す材料であることが望まれる。
高分子マトリックスとして採用可能な材料としては、水溶性高分子材料(たとえばゼラチン、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアクリル酸系ポリマー、エチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアミジン、イソプレン系スルホン酸ポリマー)、あるいは水性エマルジョン化できる材料(たとえばフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂)等を挙げることができる。
この表示媒体1においては、表示層7aと表示層7bとで閾値電圧が適度に離れ、閾値シフト法による動作マージン(閾値電圧の開き)が確保されていることが望まれる。
図4は、表示層7aおよび表示層7bのコレステリック液晶のスイッチング挙動を示すグラフである。同図に示されるように、表示層7aおよび表示層7bのいずれのコレステリック液晶についても、後述する電圧印加部17による外部印加電圧が大きくなってくると、パルス電圧の印加前の状態(例えば、P配向の選択反射状態)からF配向による透過状態となり、さらに大きくなるとF配向からH配向に相変化し、印加電圧の解除と共にP配向に相変化して選択反射状態になる。
しかし、この相変化を生じる閾値の電圧については、同図に示されるグラフからわかるように表示層7aと表示層7bとで異なるように調整されている。すなわち、P配向からF配向への相変化の閾値電圧(本発明においては、これを「下閾値」と称している。)については、表示層7aが遷移領域Vpfaを有するのに対して表示層7bが遷移領域Vpfbを有している。すなわち、下閾値の遷移領域は、表示層7bのコレステリック液晶の方が高い値となっている。一方、F配向からH配向への相変化の閾値電圧(本発明においては、これを「上閾値」と称している。)については、表示層7aが遷移領域Vfpaを有するのに対して表示層7bが遷移領域Vfpbを有している。すなわち、上閾値の遷移領域は、表示層7bのコレステリック液晶の方が高い値となっている。
なお、このように表示層7を2層構成とし、それぞれが選択反射する色光の波長を異ならせることで、表示層7は、2色の加法混色による画像、すなわち、2色以上の色を有する画像を表示する。
本発明においては、液晶材料や各層の厚みを調整することで、容量比と抵抗比とを調整し、各層の上記閾値が異なるようにしている。
液晶材料の抵抗比は、例えば、高抵抗のフッ素系材料と低抵抗のシアノ系材料を混合したり、液晶材料にイオン性の不純物を添加したりすることにより制御できる。この時、各表示層間には容量の差を若干持たせておく必要もある。表示層間の容量の差は、液晶材料の誘電率や表示層の厚みを異ならせることで制御できる。
その他、表示層7のスイッチング挙動は、表示層7を構成するコレステリック液晶の誘電率異方性、弾性率、螺旋ピッチ、高分子の骨格構造や側鎖、相分離プロセス、高分子マトリックスと表示層7との界面のモルフォロジー、これらの総合によって決まる高分子マトリックスと表示層7との界面におけるアンカリング効果の程度などによっても制御することができる。
より具体的には、ネマチック液晶の種類や組成比、添加剤の種類、カイラル剤の種類、樹脂の種類、高分子樹脂の出発物質であるモノマー、オリゴマー、開始剤、架橋剤などの種類や組成比、重合温度、光重合のための露光光源、露光強度、露光時間、雰囲気温度、電子線重合のための電子線強度、暴露時間、雰囲気温度、塗布時の溶媒の種類や組成比、溶液濃度、ウェット膜厚、乾燥温度、温度降下時の開始温度、温度降下速度などであるが、これらに限定されない。
また、本発明に特有の調整電圧印加操作に対する影響を制御するために、以上説明した液晶組成を調整することが好ましい。しかし、液晶材料によって、調整電圧印加操作に対する挙動が異なることから、液晶組成を調整しながら、調整電圧を印加した際に所望の作用が現れるように構成する必要がある。この調整の対象としては、具体的には例えば、液晶材料の選択、液晶の組成、液晶材料の粘度、インピーダンスの調整等が挙げられる。
A−2−4.有機光導電体層の構成
有機光導電体層10は、内部光電効果をもち、アドレス光の照射強度に応じてインピーダンス特性が変化する層である。この有機光導電体層10は、交流(AC:Alternating Current)動作が可能であり、アドレス光に対して対称駆動にならなければならない。また、この有機光導電体層10は、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)が電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)の上下に積層された3層構造に形成されてなる。図1に示す有機光導電体層10は、上層(表示面側の層)から順に上側の電荷発生層13、電荷輸送層14および下側の電荷発生層15が積層されてなる。
電荷発生層13および電荷発生層15は、アドレス光を吸収して光キャリアを発生させる機能を有する層である。主に、電荷発生層13が表示面側の透明電極5から書き込み面側の透明電極6の方向に流れる光キャリア量を、電荷発生層15が書き込み面側の透明電極6から表示面側の透明電極5の方向に流れる光キャリア量を、それぞれ決めている。電荷発生層13および電荷発生層15としては、アドレス光を吸収して励起子を発生させ、CGL内部、またはCGL/CTL界面で自由キャリアに効率良く分離させられるものが好ましい。
電荷発生層13および電荷発生層15は、電荷発生材料(たとえば金属又は無金属フタロシアニン、スクアリウム化合物、アズレニウム化合物、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスやトリス等アゾ顔料、キナクリドン顔料、ピロロピロール色素、多環キノン顔料、ジブロモアントアントロンなど縮環芳香族系顔料、シアニン色素、キサンテン顔料、ポリビニルカルバゾールとニトロフルオレン等電荷移動錯体、ピリリウム塩染料とポリカーボネート樹脂からなる共昌錯体)を直接成膜する乾式法か、またはこれら電荷発生材料を、高分子バインダー(たとえばポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビニルカルバゾール樹脂、ビニルホルマール樹脂、部分変性ビニルアセタール樹脂、カーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、ビニルアセテート樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂等)とともに適当な溶剤に分散乃至溶解させて塗布液を調製し、これを塗布し乾燥させて成膜する湿式塗布法等により形成することができる。
電荷輸送層14は、電荷発生層13および電荷発生層15で発生した光キャリアが注入されて、バイアス信号で印加された電場方向にドリフトする機能を有する層である。一般にCTLは、CGLの数10倍の厚みを有するため、電荷輸送層14の容量、電荷輸送層14の暗電流、および電荷輸送層14内部の光キャリア電流が、有機光導電体層10全体の明暗インピーダンスを決定付けている。
電荷輸送層14は、電荷発生層13および電荷発生層15からの自由キャリアの注入が効率良く発生し(電荷発生層13および電荷発生層15とイオン化ポテンシャルが近いことが好ましい)、注入された自由キャリアが高速にホッピング移動するものが好適である。暗時のインピーダンスを高くするため、熱キャリアによる暗電流は低い方が好ましい。
電荷輸送層14は、低分子の正孔輸送材料(たとえばトリニトロフルオレン系化合物、ポリビニルカルバゾール系化合物、オキサジアゾール系化合物、ベンジルアミノ系ヒドラゾンあるいはキノリン系ヒドラゾン等のヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、ベンジジン系化合物)、または低分子の電子輸送材料(たとえばキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、フルフレオン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物)を、高分子バインダー(たとえばポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、含珪素架橋型樹脂等)とともに適当な溶剤に分散乃至溶解させて塗布液を調製し、これを塗布し乾燥させて形成すればよい。
A−2−5.着色層の構成
着色層9とは、アドレス光と入射光を光学分離し、相互干渉による誤動作を防ぐ目的で設けられる層であり、本発明において必須の構成要素ではない。ただし、表示媒体1の性能向上のためには、設けることが望まれる層である。その目的から、着色層9には、少なくともCGLの吸収波長域の光を吸収する機能が要求される。
着色層9は、具体的には、無機顔料(たとえばカドミウム系、クロム系、コバルト系、マンガン系、カーボン系)、または有機染料や有機顔料(アゾ系、アントラキノン系、インジゴ系、トリフェニルメタン系、ニトロ系、フタロシアニン系、ペリレン系、ピロロピロール系、キナクリドン系、多環キノン系、スクエアリウム系、アズレニウム系、シアニン系、ピリリウム系、アントロン系)を有機光導電体層10の電荷発生層13側の面に直接塗布して形成するか、あるいはこれらを高分子バインダー(たとえばポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル樹脂等)とともに適当な溶剤に分散乃至溶解させて塗布液を調製し、これを塗布し乾燥させて形成することができる。
A−2−6.ラミネート層の構成
ラミネート層8は、ガラス転移点の低い高分子材料を含むものであり、熱や圧力によって表示層7a,7bと着色層9とを密着・接着させることができる材料が選択される。また、少なくとも入射光、アドレス光に対して透過性を有することが条件となる。
ラミネート層8に好適な材料としては、粘着性の高分子材料(たとえばウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂)を挙げることができる。
なお、ラミネート層8は、本発明において必須の構成要素ではない。
A−3.書き込み装置の構成
本実施形態において書き込み装置2とは、表示媒体1に画像を書込む装置であり、表示媒体1に対してアドレス光の照射を行う光照射部(露光装置)18および表示媒体1にバイアス電圧を印加する電圧印加部(電源装置)17を主要構成要素とし、さらにこれらの動作を制御する制御回路16が配されてなる。
A−3−1.電圧印加部の構成
電圧印加部17は、予め定められたバイアス電圧を表示媒体1に印加する機能を有し、制御回路16からの入力信号に基づき、表示媒体(各電極間)に所望の電圧波形を印加できるものであればよい。ただし、AC出力ができ、高いスルーレートが要求される。また、電圧印加部17は、印加する電圧の周波数を変えられるものであってもよい。電圧印加部17には、例えばバイポーラ高電圧アンプなどを用いることができる。
電圧印加部17による表示媒体1への電圧の印加は、接触端子19を介して、透明電極5と透明電極6との間に為される。
ここで接触端子19とは、電圧印加部17および表示媒体1(透明電極5,6)に接触して、両者の導通を行う部材であり、高い導電性を有し、透明電極5,6および電圧印加部17との接触抵抗が小さいものが選択される。表示媒体1と書き込み装置2とを切り離すことができるように、透明電極5,6と電圧印加部17とのどちらか、あるいは両者から分離できる構造であることが好ましい。
接触端子19としては、金属(たとえば金・銀・銅・アルミ・鉄)、炭素、これらを高分子中に分散させた複合体、導電性高分子(たとえばポリチオフェン系・ポリアニリン系)などでできた端子で、電極を挟持するクリップ・コネクタ形状のものが挙げられる。
A−3−2.光照射部の構成
光照射部18は、アドレス光を表示媒体1に照射する機能を有し、制御回路16からの入力信号に基づいて、表示媒体1上(詳しくは、有機光導電体層10上)に光画像パターン(スペクトル・強度・空間周波数)を照射できるものであれば特に制限されるものではない。
光照射部18により照射されるアドレス光としては、以下の条件のものが好ましく選択される。
・スペクトル:有機光導電体層10の吸収波長域のエネルギーが多いことが好ましい。
・照射強度:明時に各表示層7への印加電圧が有機光導電体層10との分圧により上下閾値の電圧以上となって、表示層7中の液晶を相変化させ、暗時にはそれ以下となるような強度。
光照射部18により照射されるアドレス光としては、有機光導電体層10の吸収波長域内にピーク強度を持ち、バンド幅の狭い光であることが望ましい。
光照射部18としては、具体的には以下のものが挙げられる。
(1−1)光源(たとえば、冷陰極管、キセノンランプ、ハロゲンランプ、LED(Light Emitting Diode)、EL(Electro Luminescence)等)をアレイ状に配置したものや、光源と導光板とを組み合せたもの、などの均一な光源。
(1−2)光パターンを作る調光素子(たとえば、LCD(Liquid Crystal Display)、フォトマスクなど)の組み合わせ。
(2)面発光型ディスプレイ(たとえばCRT(Cathode Ray Tube)、PDP(Plasma Display Panel)、EL、LED、FED(Field Emission Display)、SED(Surface-conduction Electron-emitter Display))。
(3)上記(1−1)、(1−2)あるいは(2)と光学素子(たとえばマイクロレンズアレイ、セルホックレンズアレイ、プリズムアレイ、視野角調整シート)との組み合わせ。
A−3−3.制御回路の構成
制御回路16は、外部(画像取り込み装置、画像受信装置、画像処理装置、画像再生装置、あるいはこれらの複数の機能を併せ持つ装置等)からの画像データに応じて、電圧印加部17および光照射部18の動作を制御する機能を有する部材である。具体的には、制御回路16は、電圧印加部17を制御して表示媒体1へ予め定められた電圧を印加させ、光照射部18を制御して上記の画像データに基づいた光画像パターンを構成するアドレス光を表示媒体1の有機光導電体層10へ照射させる。
B.動作
以下、上述した図4を用いてこのシステムの動作を説明する。
制御回路16は、表示層7bの遷移領域Vfpbより低く表示層7aの遷移領域Vfpaより高いVc間の電圧(リセット電圧)が表示層7の全体にかかるバイアス電圧を電圧印加部17により印加する。それと同時に、光照射部18により表示媒体1を選択的に露光して、露光された部分(以下、露光部という)における有機光導電体層10の抵抗値を変化(低下)させることで表示層7aおよび表示層7bの分圧を上昇させる。これにより、露光部では、表示層7aおよび表示層7bにかかる電圧が遷移領域Vfpbを超える。すなわち、露光部はVd間の電圧を印加した状態となり、非露光部は勿論Vc間の電圧のままとなる。従って、露光部では表示層7aおよび表示層7bの両方がH配向を経由してP配向となるので選択反射状態となり、非露光部では表示層7aが選択反射状態で表示層7bがF配向による透過状態となる。
上記スイッチングの原理は、下閾値についても同様である。すなわち、表示層全体にかかる電圧が、表示層7aの遷移領域Vpfaよりも低いVa間になるバイアス電圧を電圧印加部17により印加しておき、光照射部18により表示媒体1を選択的に露光することにより遷移領域Vpfaを超える部分と越えない部分とで液晶の相変化を選択することができる。
すなわち、光導電層を含む積層型光変調素子について、閾値シフト法による駆動を行う際には、上閾値および下閾値のそれぞれについて予め定められた電圧を印加し、これを維持しながら選択的に露光することで書き込みを実現することができる。
上述したようにコレステリック液晶に炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ有する脂肪族有機化合物を含む添加剤を添加することにより、相変化は急峻化する。すなわち、図4に示した遷移領域(Vpfa、Vpfb、Vfpa、Vfpb)の幅は短くなるので、制御可能な動作マージンを取るために、各表示層7の閾値電圧を離す量を低減することができる。したがって、本システムによれば、制御に必要な電力を抑制することができる。
C.変形例
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
(1)上述した実施形態において、表示層7が2層構成のものを具体例として挙げて説明しているが、表示層7は2層に限られるものではなく、1層の構成や3層以上の構成とすることもできる。3層構成として、各層の発色をブルー、グリーンおよびレッドとして加法混色することにすれば、表示媒体1にフルカラー画像を表示させることができる。この場合、上下閾値においては、3つの層それぞれが閾値の電圧の値に差が生じるように調整して反射型液晶表示素子を構成すればよい。
(2)上述した実施形態において、アドレス光の照射を行う光照射部を有する書き込み装置2について説明したが、書き込み装置はアドレス光の照射による「光書き込み」を用いないものを使用してもよい。この場合、表示媒体に有機光導電体層10は必須ではない。要するに、書き込み装置2は、予め定められたバイアス電圧を表示媒体1に印加する機能を有し、制御回路16からの入力信号に基づき、表示媒体(各電極間)に所望の電圧波形を印加できるものであればよい。
(3)上述した実施形態において、添加剤に含まれる有機化合物の添加剤全体に対する割合については言及しなかったが、この割合は50%以上であることが望ましく、99%以上であることが最も望ましい。
また、この添加剤に含まれる有機化合物が満たすべき条件として(条件1)〜(条件5)を挙げたが、この条件はこれらに限られない。この条件として「シス構造を有する直鎖状の不飽和炭化水素基を有する」ことや「オレイル基を有する」ことを挙げてもよい。
D.実施例
以下に、本発明の実施例を説明する。
D−1.実験1
以下に示す実験1では、添加剤をオレイン酸とし、添加剤の添加量に対する相変化現象の急峻化効果を評価した。具体的には印加電圧と入射光の波長を変化させ、反射光を測定した。
<実施例1>
コレステリック液晶(DIC製コレステリック液晶94615)に添加剤としてオレイン酸を5重量%添加した後、垂直配向処理した5μmのガラスセル(EHC製)に毛管現象により注入した。このガラスセルを、積分球(ミノルタ製)により評価した。
<実施例2>
添加剤の添加量を10重量%とする以外は、実施例1と同様の実験を行った。
<比較例1>
添加剤の添加量を0重量%とする以外は、実施例1と同様の実験を行った。
<比較例2>
添加剤の添加量を15重量%とする以外は、実施例1と同様の実験を行った。
図5は、実施例1、2および比較例1、2における、印加電圧と反射率(正規化反射率)の関係を示す図である。コレステリック液晶に添加剤を添加していない場合には、比較例1の結果が示すように、相変化における遷移状態の電圧の幅は広く、相変化は緩やかに生じていることがわかる。一方、添加剤を5重量%添加した場合には、実施例1の結果が示すように、比較例1よりも相変化は急峻化した。また、添加剤を10重量%添加した場合も、実施例2の結果が示すように、比較例1よりも相変化は急峻化した。添加剤を15重量%添加した場合には、比較例2の結果が示すように、相変化は緩慢化した。
図6は、実施例1、2および比較例1、2における、入射光の波長と光学密度(入射光に対する反射光の強さ)の関係を示す図である。添加剤を添加した実施例1、2および比較例2は、添加剤を添加しない比較例1に比べて、光学密度のピークを示す波長が高波長側へ移動した。比較例2においては、光学密度のピーク値は比較例1と比べて著しく低下した。
D−2.実験2
以下に示す実験2では、添加剤の添加量を一定量とし、添加剤の種類を種々の有機化合物の中から選択して、相変化現象の急峻化効果を評価した。具体的には印加電圧と入射光の波長を変化させ、反射光を測定した。添加剤はネマチック相・アイソトロピック(等方)相転移温度Ti以上の温度で添加した。
<実施例3>
コレステリック液晶(メルク製)に添加剤としてオレイン酸を5重量%添加し、これを実験1と同様に、垂直配向処理した10μmのガラスセル(EHC製)に封入した。このガラスセルを、積分球(ミノルタ製)により評価した。
<実施例4>
添加剤をオレイン酸エチルとする以外は、実施例3と同様の実験を行った。
<実施例5>
添加剤をオレイルアルコールとする以外は、実施例3と同様の実験を行った。
<比較例3>
添加剤を添加しない以外は、実施例3と同様の実験を行った。
<比較例4>
添加剤をオクタデカンとする以外は、実施例3と同様の実験を行った。
<比較例5>
添加剤をオクテデシルベンゼンとする以外は、実施例3と同様の実験を行った。
<比較例6>
添加剤をステアリン酸とする以外は、実施例3と同様の実験を行った。
<比較例7>
添加剤をステアリン酸エチルとする以外は、実施例3と同様の実験を行った。
図7は、実施例3〜5および比較例3〜5、7における、印加電圧と反射率(正規化反射率)の関係を示す図である。コレステリック液晶に添加剤を添加していない場合には、比較例3の結果が示すように、相変化における遷移状態の電圧の幅は広く、相変化は緩やかに生じていることがわかる。一方、添加剤としてオレイン酸、オレイン酸エチル、またはオレイルアルコールを5重量%添加した場合には、実施例3〜5の結果が示すように、比較例3よりも相変化は急峻化した。添加剤としてオクタデカン、オクテデシルベンゼン、ステアリン酸エチルを5重量%添加した場合には、比較例4、5、7の結果が示すように、相変化は比較例3とほぼ同じように生じることがわかった。添加剤としてステアリン酸を5重量%添加した場合(比較例6)には、室温において添加剤が析出したため測定不能であった。
図8は、実施例3〜5および比較例3〜5、7における、入射光の波長と光学密度の関係を示す図である。添加剤を添加した実施例3〜5および比較例4、5、7は、添加剤を添加しない比較例3に比べて、光学密度のピークを示す波長が長波長側へ移動した。
D−3.実験3
以下に示す実験3では、添加剤を実験1と同じオレイン酸とし、添加剤の添加量を比較例1の0重量%から実施例1の5重量%までを1重量%ずつ変化させ、添加量に対する相変化現象の急峻化効果を評価した。具体的には印加電圧を変化させ、反射光を測定した。
ここで、Vpf,10とは、正規化反射率が10%となるときのP配向とF配向の相変化のしきい電圧である。Vpf,50とは、正規化反射率が50%となるときのP配向とF配向の相変化のしきい電圧である。Vpf,90とは、正規化反射率が90%となるときのP配向とF配向の相変化のしきい電圧である。
そして、γ90,10は、P配向とF配向の相変化の急峻さを示す指標であり、次式(1)で定義される。
[数1]
γ90,10=(Vpf,10−Vpf,90)/Vpf,50 ・・・ (1)
すなわち、Vpf,10からVpf,90を減算した値(Vpf,10>Vpf,90であるから、この値は必ず正となる)をVpf,50(正の値)で除算した数値がγ90,10である。この値が小さいほど、P配向とF配向の相変化における遷移領域が狭い、すなわちP配向とF配向の相変化が急峻であることを示す。
図9は、オレイン酸添加量がP配向とF配向の相変化へ与える影響を説明するための図である。横軸はオレイン酸の添加量を重量%で示しており、縦軸はγ90,10を示している。同図に示すように、オレイン酸の添加量が0重量%から5重量%へ増加するにつれて、γ90,10は減少している。このことから、添加量が増加するほどP配向とF配向の相変化は急峻になっていくことがわかる。さらに、オレイン酸添加量が3重量%未満のときと3重量%以上のときとでは、γ90,10の減少傾向は異なっており、オレイン酸添加量が3重量%未満のときよりも、オレイン酸添加量が3重量%以上のときのほうがγ90,10は顕著に減少している。つまり、オレイン酸添加量を3重量%以上にすることで、P配向とF配向の相変化は顕著に急峻となることがわかる。
なお、オレイン酸添加量が3重量%未満の場合であっても、γ90,10は減少している。すなわち、オレイン酸のように炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ有する脂肪族有機化合物を含む添加剤を、コレステリック液晶に対して添加することで、そのP配向とF配向の相変化を急峻にすることができる。
1…表示媒体、10…有機光導電体層、13,15…電荷発生層、14…電荷輸送層、16…制御回路、17…電圧印加部、18…光照射部、19…接触端子、2…書き込み装置、3,4…透明基板、5,6…透明電極、7,7a,7b…表示層、8…ラミネート層、9…着色層。

Claims (6)

  1. 炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ有する脂肪族有機化合物を含む添加剤を、コレステリック液晶に対して3重量%以上10重量%以下の割合で添加した
    ことを特徴とする液晶層。
  2. 前記脂肪族有機化合物は、アルコール、脂肪酸またはエステルである
    ことを特徴とする請求項1に記載の液晶層。
  3. 前記脂肪族有機化合物の前記二重結合を構成する各炭素原子にそれぞれ結合した、主鎖に属する炭素原子の立体配置は、シス型である
    ことを特徴とする請求項1に記載の液晶層。
  4. 前記脂肪族有機化合物は、前記二重結合を1つだけ有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の液晶層。
  5. 前記脂肪族有機化合物は、オレイルアルコール、オレイン酸またはオレイン酸エチルである
    ことを特徴とする請求項1に記載の液晶層。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の液晶層を2層以上、積層して成り、
    各々の前記液晶層は、可視光域において互いに異なる波長の光を反射し、かつ、印加される電圧に応じてそれぞれの相が変化するときの電圧の閾値が互いに異なる
    ことを特徴とする表示媒体。
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