JP2010008466A - 光変調素子の駆動方法、および光変調素子の駆動装置 - Google Patents

光変調素子の駆動方法、および光変調素子の駆動装置 Download PDF

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Abstract

【課題】閾値シフト法等プレーナからフォーカルコニックへの状態変化の下閾値駆動を含み、アドレス光の光量の大小で下閾値駆動における階調を制御し得る光変調素子の駆動方法、及び駆動装置を提供する。
【解決手段】一対の電極5,6間に、コレステリック液晶を含み所定の波長の光を選択反射する表示層7a,7bと光導電体層10とが挟持されてなる光アドレス型の光変調素子1に画像を記録すべく、表示層7aにおける下閾値をアドレス光の露光時に超え非露光時に超えない電圧Vを一対の電極5,6間に印加しつつ適宜アドレス光を選択露光して、前記下閾値を超える部位または超えない部位の選択を行う書き込み工程を含み、前記アドレス光の選択露光が、実際に書き込む際の最小光量における光電流の飽和時定数よりも短いパルス幅の光パルス及び電圧パルスのいずれか一方もしくは双方を断続的に印加することで行われる光変調素子の駆動方法、及び駆動装置である。
【選択図】図4

Description

本発明は、液晶を含む複数の表示層からなり2色以上の画像を表示し記録する光アドレス型の光変調素子に、像を書き込むための駆動方法および駆動装置に関する。
森林資源保護などの地球環境保全や、スペースセーブといった事務環境改善などの理由から、紙に替わるハードコピー技術として、リライタブルマーキング技術への期待が大きい。
一方、反射型液晶表示素子(光変調素子)は、バックライトのような専用の光源を必要とせず、消費電力が少ないとともに、偏平小型に構成できることから、小型情報機器や携帯情報端末などの表示装置として注目されている。
リライタブルマーキング技術に対しても、反射型液晶表示素子を利用した技術が様々に提案されている。中でも、本発明者らによる光変調素子を用いた閾値シフト法による画像書き込みおよび表示は、1つの駆動信号により2層の表示層を独立に制御することができるため、媒体の構造を簡略化し、製造コストを低減できるという多大なメリットがある(特許文献1および特許文献2参照)。すなわち、閾値シフト法によれば、簡易的かつ低コストでフルカラーを含む2色以上の画像を表示し記録することができるという卓越した効果を奏する。
閾値シフト法による画像書き込みおよび表示の原理について説明する。
図12は、閾値シフト法による画像書き込みの様子を説明するための模式断面図である。光変調素子101は、一対の透明電極105および透明電極106間に、コレステリック液晶からなる2層の表示層107aおよび107bが、主として積層されてなる。
正の誘電率異方性を有するコレステリック液晶は、図13(A)に示すように、螺旋軸がセル表面に垂直になり、入射光に対して上記の選択反射現象を起こすプレーナ、図13(B)に示すように、螺旋軸がほぼセル表面に平行になり、入射光を少し前方散乱させながら透過させるフォーカルコニック、および図13(C)に示すように、螺旋構造がほどけて液晶ダイレクタが電界方向を向き、入射光をほぼ完全に透過させるホメオトロピック、の3つの状態を示す。
上記の3つの状態のうち、プレーナとフォーカルコニックは、無電界で双安定に存在することができる。したがって、コレステリック液晶の状態は、液晶層に印加される電界強度に対して一義的に決まらず、プレーナが初期状態の場合には、電界強度の増加に伴って、プレーナ、フォーカルコニック、ホメオトロピックの順に変化し、フォーカルコニックが初期状態の場合には、電界強度の増加に伴って、フォーカルコニック、ホメオトロピックの順に変化する。
一方、液晶層に印加した電界強度を急激にゼロにした場合には、プレーナとフォーカルコニックはそのままの状態を維持し、ホメオトロピックはプレーナに変化する。
したがって、パルス信号を印加した直後のコレステリック液晶層は、図14に示すようなスイッチング挙動を示し、印加されたパルス信号の電圧が、Vfh,90以上のときには、ホメオトロピックからプレーナに変化した選択反射状態となり、Vpf,10とVfh,10の間のときには、フォーカルコニックによる透過状態となり、Vpf,90以下のときには、パルス信号印加前の状態を継続した状態、すなわちプレーナによる選択反射状態またはフォーカルコニックによる透過状態となる。
なお、図中、縦軸は正規化反射率であり、最大反射率を100、最小反射率を0として、反射率を正規化している。また、プレーナ、フォーカルコニックおよびホメオトロピックの各状態間には、遷移領域が存在するため、正規化反射率が90以上の場合を選択反射状態、正規化反射率が10以下の場合を透過状態と定義し、プレーナとフォーカルコニックの状態変化の閾値電圧を、遷移領域の前後に対して、それぞれVpf,90、Vpf,10とし、フォーカルコニックとホメオトロピックの状態変化の閾値電圧を、遷移領域の前後に対して、それぞれVfh,10、Vfh,90とする。
当該技術による光変調素子では、このコレステリック液晶の双安定現象を利用して、(A)プレーナによる選択反射状態と、(B)フォーカルコニックによる透過状態とを、各層ごとに独立して、しかも1つの信号でスイッチングすることによって、無電界でのメモリ性を有するカラー表示を行う。
閾値シフト法による画像書き込みに供される光変調素子101においては、表示層107aと表示層107bとでコレステリック液晶の動作閾値を異ならせることで、透明電極105および透明電極106への印加電圧に応じていずれか任意の一方もしくは双方の表示層を反射状態、または双方を透過状態とすることができるように構成されている。
図15に、表示層107aおよび表示層107bのコレステリック液晶のスイッチング挙動を示すグラフを挙げる。コレステリック液晶の状態変化を生じる閾値の電圧については、図15に示されるグラフからわかるように表示層107aと表示層107bとでずれている。すなわち、プレーナからフォーカルコニックへの状態変化の閾値電圧(本発明においては、これを「下閾値」と称している。)については、表示層107aがVpfaに対して表示層107bがVpfbと、表示層107bのコレステリック液晶の方が高い値となっている。一方、フォーカルコニックからホメオトロピックへの状態変化の閾値電圧(本発明においては、これを「上閾値」と称している。)については、表示層107aがVfpaに対して表示層107bがVfpbと、こちらも表示層107bのコレステリック液晶の方が高い値となっている。
この閾値の違いを利用して、表示層107aおよび表示層107bを独立して制御するように構成したものが、閾値シフト法である。
詳しくは、まず表示層107bの上閾値Vfpbより低く表示層107aの上閾値Vfpaより高いVc間の電圧、または表示層107bの上閾値Vfpbより高いVd間の電圧を電源装置117により選択的に印加する。Vc間の電圧を印加した部位は、表示層107bがフォーカルコニックで、表示層107aがホメオトロピックの状態となる(この液晶の駆動を「上閾値駆動」と称する。)。一方、Vd間の電圧を印加した部位は、表示層107aはVc間の場合と同じくホメオトロピックの状態であるが、表示層107bにおいては上閾値Vpfbを超えるため、ホメオトロピックに状態変化する。
つまり、電源装置117による印加電圧をVc間とするかVd間とするかを選択することで、表示層107bの状態について、フォーカルコニックとホメオトロピックのいずれかの選択が為される。この状態で電圧印加を急速に解除すると、ホメオトロピックはプレーナに変化し、フォーカルコニックはその状態を維持する。一方、表示層107aは、電圧印加の解除前には、いずれの印加電圧であってもホメオトロピック状態となっており、電圧印加の急速解除によって、全てプレーナ状態に変化する。
その後、表示層107aの下閾値Vpfaよりも低いVa間の電圧、または表示層107aの下閾値Vpfaよりも高く表示層107bの下閾値Vfpbより低いVb間の電圧を電源装置117により選択的に印加する。表示層107aでは、Vb間の電圧を印加した部位は下閾値Vpfaを超え、フォーカルコニックに状態変化し、Va間の電圧を印加した部位は下閾値Vpfaを超えないため、プレーナ状態を維持する(この液晶の駆動を「下閾値駆動」と称する。)。一方、表示層107bでは、いずれの印加電圧であっても下閾値Vfpbよりも低いため、上述の如く上閾値で選択されたプレーナまたはフォーカルコニックの状態を維持する。
このようにして、表示層107aの部位ごとに、液晶の状態が選択されて書き込みが為される。
すなわち、表示層107aおよび表示層107bのうち任意の一方もしくは双方を反射状態、または双方を透過状態とすることができ、表示側から反射画像が表示される。従って、1つの駆動信号により2層の表示層を独立に制御することができるため、媒体の構造を簡略化し、製造コストを低減することができる。
閾値シフト法による駆動の一つの態様として、光変調素子に光導電体層を含む構成のものを用い、光書き込みによるスイッチングを可能とした方法がある。図16は、光導電体層を含む光変調素子に対する閾値シフト法による画像書き込みの様子を説明するための模式説明図である。図16に示される光変調素子111、図12に示される光変調素子101と同様、一対の透明電極105および透明電極106間に、2層の表示層107aおよび107bが積層されているほか、表示層107bと透明電極106との間に、光導電体層110が積層されている。なお、当該光導電体層110と表示層107bとの間に着色層109が配されている。
本例においては、まず表示層107bの上閾値Vfpbより低く表示層107aの上閾値Vfpaより高いVc間の電圧が表示層全体にかかるようなバイアス電圧を電源装置117により印加しつつ、それと同時に、露光装置112で選択的に露光して、露光部における光導電体層110の抵抗値を変化(低下)させることで表示層107aおよび表示層107bの分圧を上昇させる。これにより、露光部では、表示層107aおよび表示層107bにかかる電圧が上閾値電圧Vpfbを超える。すなわち、露光部はVd間の電圧を印加した状態となり、非露光部は勿論Vc間の電圧のままとなる。従って、図12〜図15を用いて説明した電圧の大きさで選択的にスイッチングさせた構成と同様の液晶の状態変化の選択を、露光のオンオフにより実施することができる(上閾値駆動)。
上記スイッチングの原理は、下閾値についても同様である。すなわち、表示層全体にかかる電圧が、表示層107aの下閾値Vpfaよりも低いVa間になるようなバイアス電圧を電源装置117により印加しておき、選択的に露光することにより下閾値Vpfaを超える部分と越えない部分とで液晶の状態変化を選択することができる(下閾値駆動)。
よって、光導電体層を含む光変調素子について、閾値シフト法による駆動を行う際には、上閾値および下閾値それぞれについて所定の電圧を印加しこれを維持しながら選択的に露光することで書き込みを実現することができる。
特開平10−177191号公報 特開2000−111942号公報 特開2000−111942号公報
表示画像の高画質化のためには、階調表現を可能とすることが有効である。階調は、書き込みの際に表示層(表示層)に印加される電圧(分圧)の強弱を調整することでアナログ的に制御することが簡便である。すなわち、光書き込みの場合にはそのアドレス(書き込み)光の光量の大小を制御することで階調表現を実現できることが望まれる。
図17は、後述する実施例の光アドレス型の光変調素子に対して、従来方式で実際に、照射光量を変えて下閾値駆動による書き込みを行った際の表示層に印加された電圧の時間変化(電圧波形)を照射光量毎に示すグラフである(書き込み時のバイアス電圧は直流70V、印加および露光時間は100ms)。図17中の破線で囲った領域で、僅か20μWの光量で短時間の内に光電流が飽和していることがわかる。下閾値駆動では表示層に加えられる総エネルギー量(印加される電力量=電力×時間)が液晶の状態変化に寄与するため、僅か20μW以下の低光量でも短時間で光電流が飽和してしまうことは、すなわちアドレス光の光量の大小で階調を制御することが困難であること意味する。
図18は、図17のグラフと同一条件、並びに、バイアス電圧印加および露光時間を400msにした条件で実際に書き込みを行った際の照射光量と表示画像のピーク反射率(%)との関係を示すグラフである。図18から、バイアス電圧印加および露光時間が短い100msでは、光量が大きくても反射率が下がり切っていない、すなわち液晶が十分に配向しないことがわかる。逆に、液晶を十分に配向させるべく、バイアス電圧印加および露光時間を400msに延ばすとますます諧調制御が困難になる。
この下閾値駆動における階調表現の困難さの問題は、書き込み時のバイアス電圧が低周波、とりわけ直流の場合に顕著である。
なお、当該問題は、閾値シフト法による書き込みに限らず、その他下閾値駆動を含む各種書き込みにおいて同様である。
したがって、本発明の目的は、アドレス光の光量の大小で下閾値駆動における階調を制御し得る光変調素子の駆動方法、および光変調素子の駆動装置を提供することである。
また、本発明の他の目的は、閾値シフト法を利用しつつ、光変調素子における各表示層に十分な反射率を持たせながら、アドレス光の光量の大小で下閾値駆動における階調を制御し得る光変調素子の駆動方法、および光変調素子の駆動装置を提供することである。
上記目的は、以下の本発明により達成される。すなわち本発明の光変調素子の駆動方法は、一対の電極間に、コレステリック液晶を含み所定の波長の光を選択反射する1層または2層以上の表示層と、光導電体層とが挟持されてなる光アドレス型の光変調素子に、画像を記録するための光変調素子の駆動方法であって、
前記表示層におけるプレーナからフォーカルコニックへの状態変化の外部印加電圧に対する動作閾値たる下閾値をアドレス光の露光時に超え非露光時に超えない電圧Vを前記一対の電極に印加しつつ適宜アドレス光を選択露光して、前記下閾値を超える部位または超えない部位の選択を行う書き込み工程を含み、
前記アドレス光の選択露光が、実際に書き込む際の最小光量における光電流の飽和時定数よりも短いパルス幅の光パルスおよび電圧パルスのいずれか一方もしくは双方を断続的に印加することで行われることを特徴とする。
一方、本発明の光変調素子の駆動装置は、一対の電極間に、コレステリック液晶を含み所定の波長の光を選択反射する1層または2層以上の表示層と、光導電体層とが挟持されてなる光アドレス型の光変調素子に、画像を記録するための光変調素子の駆動装置であって、少なくとも、前記両電極間に電圧を印加し得る電源装置と、前記光変調素子を露光し得る露光装置とを含み、
前記表示層におけるプレーナからフォーカルコニックへの状態変化の外部印加電圧に対する動作閾値たる下閾値をアドレス光の露光時に超え非露光時に超えない電圧Vを前記一対の電極に印加しつつ適宜アドレス光を選択露光して、前記下閾値を超える部位または超えない部位の選択を行う書き込み動作が為され、
前記アドレス光の選択露光が、実際に書き込む際の最小光量における光電流の飽和時定数よりも短いパルス幅の光パルスおよび電圧パルスのいずれか一方もしくは双方を断続的に印加することで為されるように制御されてなることを特徴とする。
本発明の光変調素子の駆動方法乃至駆動装置によれば、実際に書き込む際の最小光量における光電流の飽和時定数よりも短いパルス幅の光パルスおよび電圧パルスのいずれか一方もしくは双方(以下、「光パルス等」と省略することがある。)を断続的に印加することでアドレス光の選択露光を行うことによって、アドレス光を光パルスにおよび/またはバイアス電圧を電圧パルスに分断して断続的に印加する状態となり、それぞれの光パルス等印加時には光電流の飽和が抑制されて、複数回の光パルスのエネルギーの総和によって液晶を配向させることができ、その結果、アドレス光の光量の大小で下閾値駆動における階調を制御することができる。
なお、「操作」は本発明の光変調素子の駆動方法(以下、単に「本発明の駆動方法」という場合がある。)において、各工程で実際に行う作業を指し、「動作」は本発明の光変調素子の駆動装置(以下、単に「本発明の駆動装置」という場合がある。)において、装置の構成部材が為す動作を指す。ただし、本発明の駆動装置においては、本発明の駆動方法における操作を装置の構成部材に動作として行わせるように制御するので、結果として「操作」と「動作」とは本発明においてほとんど同義になる。
書き込み工程乃至動作において印加する光パルス等のパルス幅としては、実際に書き込む際の最小光量における光電流の飽和時定数よりも短いことが必須であるが、光電流の飽和をより抑制させて諧調制御を良好ならしめるためには、当該飽和時定数の半分以下であることがより好ましい。
既述の通り、下閾値駆動における階調表現の困難さの問題は、書き込み時のバイアス電圧が低周波の場合に顕著であるため、前記電圧Vの周波数FVが0〜100Hzの範囲内である場合に、本発明の効果が特に遺憾なく発揮される。
本発明の駆動方法乃至駆動装置は、いわゆる閾値シフト法による画像書き込みにおいて、下閾値駆動する操作において適用することが特に有効である。
すなわち、本発明を適用した閾値シフト法による駆動方法は、各層ごとに可視光中の互いに異なる波長の光を選択反射し、かつ、それぞれのプレーナからフォーカルコニックへの状態変化の外部印加電圧に対する動作閾値たる下閾値、および、フォーカルコニックからホメオトロピックへの状態変化の外部印加電圧に対する動作閾値たる上閾値が互いに異なる、少なくともコレステリック液晶からなる複数の表示層が、各層の間に電極を介することなく積層され、その積層された一方の面に光導電体層がさらに積層されて、これらが一対の電極間に挟持されてなる光アドレス型の光変調素子に、画像を記録するための光変調素子の駆動方法であって、
前記いずれかの表示層における上閾値を、アドレス光の露光時に超え非露光時に超えない電圧V1を前記一対の電極に印加しつつ適宜アドレス光を選択露光して、当該表示層における前記上閾値を超える部位または超えない部位の選択を行う第1書き込み工程と、
第1書き込み工程で上閾値として選択された表示層以外のいずれかの表示層の下閾値を、アドレス光の露光時に超え非露光時に超えない電圧V2を前記一対の電極に印加しつつ適宜アドレス光を選択露光して、当該表示層における前記下閾値を超える部位または超えない部位の選択を行う第2書き込み工程とからなり、
第2書き込み工程におけるアドレス光の選択露光が、実際に書き込む際の最小光量における光電流の飽和時定数よりも短いパルス幅の光パルスおよび電圧パルスのいずれか一方もしくは双方を断続的に印加することで行われることを特徴とする。
一方、本発明を適用した閾値シフト法による駆動装置は、各層ごとに可視光中の互いに異なる波長の光を選択反射し、かつ、それぞれのプレーナからフォーカルコニックへの状態変化の外部印加電圧に対する動作閾値たる下閾値、および、フォーカルコニックからホメオトロピックへの状態変化の外部印加電圧に対する動作閾値たる上閾値が互いに異なる、少なくともコレステリック液晶からなる複数の表示層が、各層の間に電極を介することなく積層され、その一方の面に光導電体層が積層されて、これらが一対の電極間に挟持されてなる光アドレス型の光変調素子に、画像を記録するための光変調素子の駆動装置であって、少なくとも、前記両電極間に電圧を印加し得る電源装置と、前記光変調素子を露光し得る露光装置とを含み、
前記いずれかの表示層における上閾値を、アドレス光の露光時に超え非露光時に超えない電圧V1を前記一対の電極に印加しつつ適宜アドレス光を選択露光して、当該表示層における前記上閾値を超える部位または超えない部位の選択を行う第1書き込み動作と、
第1書き込み動作で上閾値として選択された表示層以外のいずれかの表示層の下閾値を、アドレス光の露光時に超え非露光時に超えない電圧V2を前記一対の電極に印加しつつ適宜アドレス光を選択露光して、当該表示層における前記下閾値を超える部位または超えない部位の選択を行う第2書き込み動作とが順次為され、
第2書き込み動作における前記アドレス光の選択露光が、実際に書き込む際の最小光量における光電流の飽和時定数よりも短いパルス幅の光パルスおよび電圧パルスのいずれか一方もしくは双方を断続的に印加することで為されるように制御されてなることを特徴とする。
閾値シフト法による当該態様においては、下閾値駆動における動作マージンを確保する上で、下閾値において印加する電圧V2の周波数FV2を低周波とし、各表示層に加わる電圧の容量分圧比から抵抗分圧比への緩和時定数を下げて、抵抗成分の影響が大きくなるようにすることが有利である一方、元々動作マージンを確保しやすく低周波数電圧により生じる波形の乱れの影響を受け易い上閾値駆動では、周波数を高めて動作安定を実現することが望ましいため、前記電圧V2の周波数FV2が、前記電圧V1の周波数FV1に比して小さい(FV2<FV1)ことが望ましい。特に、下閾値駆動における前記電圧V2の周波数FV2としては、0〜100Hzの範囲内であることが好ましい。
第2書き込み工程乃至動作において印加する光パルスのパルス幅としては、実際に書き込む際の最小光量における光電流の飽和時定数よりも短いことが必須であるが、半分以下であることがより好ましい。
本発明において(閾値シフト法に適用した態様は勿論、適用しない態様をも含む。)、前記表示層としては、2層構成であってもよいし、フルカラー画像を形成することをも可能とする3層構成であってもよい。また、前記表示層(複数層積層される場合には、そのそれぞれの前記表示層)としては、高分子中に前記コレステリック液晶が分散されてなる構造のものが好ましい。
本発明の請求項1に係る発明によれば、従来技術に比して、アドレス光の光量の大小で下閾値駆動における階調を制御することが容易な光変調素子の駆動方法を提供することができる。
請求項2に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、アドレス光の光量の大小で下閾値駆動における階調を制御することがより容易な光変調素子の駆動方法を提供することができる。
請求項3に係る発明によれば、従来技術に比して、アドレス光の光量の大小で下閾値駆動における階調を制御することが容易で、光変調素子における各表示層に十分な反射率を持たせながら動作マージンが拡大される光変調素子の駆動方法を提供することができる。
請求項4に係る発明によれば、従来技術に比して、アドレス光の光量の大小で下閾値駆動における階調を制御することが容易で、光変調素子における各表示層に十分な反射率を持たせながら動作マージンがより拡大される光変調素子の駆動方法を提供することができる。
請求項5に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、 アドレス光の光量の大小で下閾値駆動における階調を制御することが容易で、光変調素子における各表示層に十分な反射率を持たせながら動作マージンがより拡大される光変調素子の駆動方法を提供することができる。
請求項6に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、アドレス光の光量の大小で下閾値駆動における階調を制御することがより容易な光変調素子の駆動方法を提供することができる。
請求項7に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、アドレス光の光量の大小で下閾値駆動における階調を制御することが容易であり、異なる2色以上の画像を表示し記録し得る光変調素子の駆動方法を提供することができる。
請求項8に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、 アドレス光の光量の大小で下閾値駆動における階調を制御することが容易であり、液晶分子の配向状態を安定に保持して媒体の変形による画像の変化を抑制し得る光変調素子の駆動方法を提供することができる。
請求項9に係る発明によれば、従来技術に比して、アドレス光の光量の大小で下閾値駆動における階調を制御することが容易な光変調素子の駆動装置を提供することができる。
請求項10に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、アドレス光の光量の大小で下閾値駆動における階調を制御することがより容易な光変調素子の駆動装置を提供することができる。
請求項11に係る発明によれば、従来技術に比して、アドレス光の光量の大小で下閾値駆動における階調を制御することが容易で、光変調素子における各表示層に十分な反射率を持たせながら動作マージンが拡大される光変調素子の駆動装置を提供することができる。
請求項12に係る発明によれば、従来技術に比して、アドレス光の光量の大小で下閾値駆動における階調を制御することが容易で、光変調素子における各表示層に十分な反射率を持たせながら動作マージンがより拡大される光変調素子の駆動装置を提供することができる。
請求項13に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、アドレス光の光量の大小で下閾値駆動における階調を制御することが容易で、光変調素子における各表示層に十分な反射率を持たせながら動作マージンがより拡大される光変調素子の駆動装置を提供することができる。
請求項14に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、アドレス光の光量の大小で下閾値駆動における階調を制御することがより容易な光変調素子の駆動装置を提供することができる。
請求項15に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、アドレス光の光量の大小で下閾値駆動における階調を制御することが容易であり、異なる2色以上の画像を表示し記録し得る光変調素子の駆動装置を提供することができる。
請求項16に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、アドレス光の光量の大小で下閾値駆動における階調を制御することが容易であり、液晶分子の配向状態を安定に保持し、媒体の変形による画像の変化を抑制し得る光変調素子の駆動装置を提供することができる。
以下、本発明を図面に則して詳細に説明する。
[本発明の原理]
まず、本発明の原理について説明する。以下の説明においては、光パルスを断続的に印加する例を挙げて説明するが、電圧パルスのみ、あるいは光パルスと電圧パルスの双方を断続的に印加する場合においても同様である。
図1は、光アドレス型の光変調素子に対して、従来方式で下閾値駆動による書き込みを行った際のバイアス電圧およびアドレス光の照射光量の推移を時系列で示すチャートである。該チャートでは、バイアス電圧として直流パルスが印加された例を示している。当該チャートに示されるように、下閾値駆動の書き込みでは、バイアス電圧の印加と共にアドレス光が照射される。
このとき、アドレス光の照射光量を破線で示すように大小させることで表示画像の階調を制御することが望まれるが、既述の通り、下閾値駆動による書き込みでは、僅かな光量で表示層が暗状態になってしまうため、光量の大小調整では階調を実質的に制御できない(図17および図18参照。)。
本発明では、図2のチャートに示されるように、バイアス電圧Vの印加とともに照射するアドレス光を、光パルスとして断続的に印加する。このときのパルス幅は、実際に書き込む際の最小光量における光電流の飽和時定数よりも短いものとする。ここで、図2は、光アドレス型の光変調素子に対して、本発明の駆動方法によって下閾値駆動による書き込みを行った際のバイアス電圧およびアドレス光の照射光量の推移を時系列で示すチャートである。
一方、図3は、後述する実施例の光アドレス型の光変調素子に対して、本発明の駆動方法により実際に書き込みを行った際の照射光量と表示画像のピーク反射率(%)との関係を示すグラフである(本発明100msの光パルス断続2回「○」)。このときの各種条件は以下の通りである。比較のために、図3には、図18のグラフも同時にプロットしてある(従来方式100msの光パルス1回「□」と400msの光パルス1回「△」)。
・バイアス電圧・・・70V
・アドレス光・・・0μW〜500μW、100msの光パルスをパルス間隔100msで2回(本発明)、100msの光パルス1回(従来方式)、400msの光パルス1回(従来方式)
図3のグラフからわかるとおり、アドレス光の照射が100msの光パルス1回印加だけでは光量が大きくても反射率が下がり切らず、すなわち液晶を十分に配向し得ない一方、光パルス印加方法を変えずに露光時間を400msに延ばしただけではわずかな光量で反射率が下がり切ってしまい諧調制御が極めて困難であるのに対し、アドレス光の照射が100msの光パルスを2回印加断続的に印加する本発明の場合には、光量の増加と共に反射率が徐々に低下して行き、光量が十分に大きくなると反射率が十分に低下した段階で飽和している。
すなわち、本発明のように特定の条件を満たすパルス幅の光パルスを断続的に印加することで、アドレス光の光量の大小で下閾値駆動における階調を制御することができることが図3からわかる。
既述の通り、下閾値駆動では表示層に加えられる総エネルギー量(印加される電力量=電圧×時間)が液晶の状態変化に寄与する。図2のチャートにおける各パルスを示す線と横軸とで囲まれる領域の面積の合計が、表示層に加えられる総エネルギー量に比例するため、1つ1つのパルス幅を実際に書き込む際の最小光量における光電流の飽和時定数よりも短くすることで、それぞれの光パルスで光電流を飽和させること無く、当該パルス幅の光パルスを断続的に印加する、すなわち複数回光パルスを重ねることで光量の総量を確保して、液晶が十分に配向できるようになる。従って、アドレス光の光量の大小で下閾値駆動における階調を制御することができる。
書き込み工程で印加するバイアス電圧の具体的な電圧の大きさや印加時間(パルス幅)は、表示媒体1の各層の組成や厚さ、層構成;光照射部18によるアドレス光の強度や照射時間、照射方法;等各種条件に応じて適宜制御すればよい。
書き込み工程で印加するバイアス電圧Vについては、図15の表示層107aのグラフを用いて説明すれば、アドレス光の照射無しには下閾値Vpf以下であって、アドレス光の照射時に下閾値Vpfを超え、上閾値Vfhを超えない電圧が表示層に印加されるような電圧であることが必要となる。この条件を満たす範囲で、適切な電圧および印加時間に調整すればよい。
また、当該バイアス電圧Vの周波数FVとしては、特に下閾値における階調が制御し難い低周波である場合に本発明が有効に作用することから、当該周波数FVが0〜100Hzの範囲内であることが好ましく、直流パルス(0Hz)である場合が最も効果的である。
なお、閾値シフト法における下閾値駆動においては、その動作マージンの確保のために、より低周波のバイアス電圧を採用することが望ましく、当該下閾値駆動への本発明の駆動方法の適用が極めて有効である。
書き込み工程における光パルスおよび/または電圧パルスは、実際に書き込む際の最小光量における光電流の飽和時定数よりも短いパルス幅で断続的に印加する。
ここで「実際に書き込む際の最小光量」とは、露光装置が制御できる光量のうち、光を発しない消光状態を除いた最小の光量を指す。
なお、実際に書き込む際の光量は、0μW〜100μW程度の範囲から選択され、5μW〜300μW程度の範囲が好ましく、5μW〜100μW程度の範囲がより好ましい。5μW未満の光量は露光装置で微小な光量を精度よく制御しなければならず、また露光装置から光導電層に結像される際のわずかな漏れ光の影響でも表示層の反射率が変化してしまう為使用しづらく、100μWを超える光量は光電流がすぐに飽和してしまい諧調制御が困難なばかりか、エネルギーの浪費にも繋がるため好ましくない。
また、ある光量の光を連続的に光導電層に照射すると表示層に印加される電圧(分圧)が徐々に上昇して一定時間後に最大値となり、以降照射を続けても電圧が上昇しない飽和状態となるが、その状態になるまでの時間を「光電流の飽和時定数」と称する。図17のグラフを例に挙げると、バイアス電圧の印加と同時にアドレス光を照射すると、表示層に印加される電圧が徐々に(高光量では急峻に)上昇し、50ボルトに達した時点、例えば照射光量が10μWでは0.08s、20μWでは0.055sで飽和状態となる。この値がそれぞれの光量における飽和時定数となる。
したがって、図17の例の場合、実際に書き込む際の最小光量が10μWならばパルス幅0.08s未満の、20μWならばパルス幅0.055s未満の光パルスを断続的に印加することが本発明の条件となる。
この光パルス等のパルス幅としては、光電流の飽和をより抑制させて諧調制御を良好ならしめるためには、実際に書き込む際の最小光量における光電流の飽和時定数の半分以下とすることが好ましい。他の指標では、実際に書き込む際の最小光量と最大光量の中間光量(例えば、最小光量10μW・最大光量100μWならば中間光量は55μW)光電流の飽和時定数よりも短いことが好ましい。
個々の光パルス印加時における光電流の飽和の影響をより確実に解消し、精度な諧調制御を実現するには、実際に書き込む際の最大光量における光電流の飽和時定数以下であることが最も好ましい。
光パルス等の印加回数としては、2回以上であって、エネルギーの総和が液晶を駆動するのに十分なエネルギー量になるようなパルス印加回数とする。実際には、パルス幅や照射光量により大幅に異なるため、その都度適宜設定すればよい。
また、パルス間隔としては、あまりに短い場合は光導電層の状態が初期化される前に次のパルスが印加され、長いパルスを連続して印加した場合と同様の光電流が飽和した状態となり、本発明の効果が得られなくなるため、50ms〜1s程度の間隔を空けることが望ましい。
[好ましい実施形態]
次に、本発明の駆動方法乃至駆動装置の好ましい実施形態を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
本実施形態では、本発明の構成を、光書き込み型で光変調素子の閾値シフト法による駆動方法に適用した例を挙げる。
図4は、本発明の光変調素子の駆動方法を適用したシステムの例示的一態様である実施形態の概略構成図である。本実施形態のシステムは、表示媒体(光変調素子)1と書き込み装置(光変調素子の駆動装置)2とからなる。この両構成要素について、詳細に説明してから、その動作について説明する。
<表示媒体>
本実施形態において表示媒体とは、本発明における光変調素子に相当し、アドレス光の照射、バイアス信号の印加によって複数の液晶層(表示層)の選択駆動ができる部材である。
本実施形態において、表示媒体1は、表示面側から順に、透明基板3、透明電極層(電極)5、表示層7b、表示層7a、ラミネート層8、着色層(遮光層)9、OPC層(光導電体層)10、透明電極層(電極)6および透明基板4が積層されてなる物である。
(透明基板)
透明基板3,4は、各機能層を内面に保持し、表示媒体の構造を維持する目的の部材である。透明基板3,4は、外力に耐える強度を有するシート形状の物体であり、少なくとも入射光を透過する機能を有する。フレキシブル性を有することが好ましい。具体的な材料としては、無機シート(たとえばガラス・シリコン)、高分子フィルム(たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート)等を挙げることができる。外表面に、防汚膜、耐磨耗膜、光反射防止膜、ガスバリア膜など公知の機能性膜を形成してもよい。
(透明電極)
透明電極層5,6は、書き込み装置2から印加されたバイアス電圧を、光アドレス素子内の各機能層へ面均一に印加する目的の部材である。透明電極層5,6は、面均一な導電性を有し、少なくとも入射光・アドレス光を透過する。具体的には、金属(たとえば金、アルミニウム)、金属酸化物(たとえば酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズ(ITO))、導電性有機高分子(たとえばポリチオフェン系・ポリアニリン系)などで形成された導電性薄膜を挙げることができる。表面に、密着力改善膜、光反射防止膜、ガスバリア膜など公知の機能性膜を形成してもよい。なお、本発明において表示側で無い側の電極(本実施形態で言えば透明電極層6)は、透明でなくても構わない。
(表示層)
本発明において表示層とは、電場によって入射光のうち特定の色光の反射・透過状態を変調する機能を有し、選択した状態が無電場で保持できる性質のものである。曲げや圧力などの外力に対して変形しない構造であることが好ましい。
本実施形態において表示層としては、コレステリック液晶および透明樹脂からなる自己保持型液晶複合体の液晶層が形成されてなるものである。すなわち、複合体として自己保持性を有するためスペーサ等を必要としない液晶層である。本実施形態では、不図示ではあるが、高分子マトリックス(透明樹脂)中にコレステリック液晶が分散した状態となっている。
なお、本発明においては、表示層が、自己保持型液晶複合体の液晶層であることは必須ではなく、単に液晶のみで表示層を構成することとしても構わない。
コレステリック液晶は、入射光のうち特定の色光の反射・透過状態を変調する機能を有し、液晶分子がらせん状に捩れて配向しており、らせん軸方向から入射した光のうち、らせんピッチに依存した特定の光を干渉反射する。電場によって配向が変化し、反射状態を変化させることができる。表示層を自己保持型液晶複合体とする場合には、ドロップサイズが均一で、単層稠密に配置されていることが好ましい。
コレステリック液晶として使用可能な具体的な液晶としては、ネマチック液晶やスメクチック液晶(たとえばシッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、安息香酸エステル系、ビフェニル系、ターフェニル系、シクロヘキシルカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、ビフェニルシクロヘキサン系、ピリミジン系、ジオキサン系、シクロヘキシルシクロヘキサンエステル系、シクロヘキシルエタン系、シクロヘキサン系、トラン系、アルケニル系、スチルベン系、縮合多環系)、またはこれらの混合物に、光学活性材料(たとえばステロイド系コレステロール誘導体、シッフ塩基系、アゾ系、エステル系、ビフェニル系)を添加したもの等を挙げることができる。
コレステリック液晶の螺旋ピッチは、ネマチック液晶に対するカイラル剤の添加量で調整する。例えば、表示色を青、緑、赤とする場合には、それぞれ選択反射の中心波長が、400nm〜500nm、500nm〜600nm、600nm〜700nmの範囲になるようにする。また、コレステリック液晶の螺旋ピッチの温度依存性を補償するために、捩じれ方向が異なる、または逆の温度依存性を示す複数のカイラル剤を添加する公知の手法を用いてもよい。
表示層7a,7bがコレステリック液晶と高分子マトリックス(透明樹脂)からなる自己保持型液晶複合体を形成する形態としては、コレステリック液晶の連続相中に網目状の樹脂を含むPNLC(Polymer Network Liquid Crystal)構造や、高分子の骨格中にコレステリック液晶がドロップレット状に分散されたPDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)構造を用いることができ、PNLC構造やPDLC構造とすることによって、コレステリック液晶と高分子の界面にアンカリング効果を生じ、無電界でのプレーナまたはフォーカルコニックの保持状態を、より安定にすることができる。
PNLC構造やPDLC構造は、高分子と液晶とを相分離させる公知の方法、例えば、アクリル系、チオール系、エポキシ系などの、熱や光、電子線などによって重合する高分子前駆体と液晶を混合し、均一相の状態から重合させて相分離させるPIPS(Polymerization Induced PhaseSeparation)法、ポリビニルアルコールなどの、液晶の溶解度が低い高分子と液晶とを混合し、攪拌懸濁させて、液晶を高分子中にドロップレット分散させるエマルジョン法、熱可塑性高分子と液晶とを混合し、均一相に加熱した状態から冷却して相分離させるTIPS(Thermally Induced Phase Separation)法、高分子と液晶とをクロロホルムなどの溶媒に溶かし、溶媒を蒸発させて高分子と液晶とを相分離させるSIPS(Solvent Induced Phase Separation)法などによって形成することができるが、特に限定されるものではない。
高分子マトリックスは、コレステリック液晶を保持し、表示媒体の変形による液晶の流動(画像の変化)を抑制する機能を有するものであり、液晶材料に溶解せず、また液晶と相溶しない液体を溶剤とする高分子材料が好適に用いられる。また、高分子マトリックスとしては、外力に耐える強度をもち、少なくとも反射光およびアドレス光に対して高い透過性を示す材料であることが望まれる。
高分子マトリックスとして採用可能な材料としては、水溶性高分子材料(たとえばゼラチン、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアクリル酸系ポリマー、エチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアミジン、イソプレン系スルホン酸ポリマー)、あるいは水性エマルジョン化できる材料(たとえばフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂)等を挙げることができる。
閾値シフト法に供する反射型液晶表示素子としての表示媒体1においては、表示層7aと表示層7bとで上下閾値電圧が適度に離れ、閾値シフト法による動作マージンが確保されていることが望まれる。本発明においては、容量比と抵抗比とを、液晶材料や各層の厚みを適切に調整することにより適宜調整する。
なお、本実施形態においては、表示層7aが高抵抗、表示層7bが低抵抗になるように各層の液晶材料を選択している。
液晶材料の比抵抗は、例えば、高抵抗のフッ素系材料と低抵抗のシアノ系材料を混合したり、液晶材料にイオン性の不純物を添加したりすることにより制御できる。この時、各表示層間には容量の差を若干持たせておく必要もある。表示層間の容量の差は、液晶材料の誘電率や表示層の厚みを異ならせることで制御できる。
その他、表示層7a,7bのスイッチング挙動は、表示層7a,7bを構成するコレステリック液晶の誘電率異方性、弾性率、螺旋ピッチ、高分子の骨格構造や側鎖、相分離プロセス、高分子マトリックスと表示層7a,7bとの界面のモルフォロジー、これらの総合によって決まる高分子マトリックスと表示層7a,7bとの界面におけるアンカリング効果の程度などによっても制御することができる。
より具体的には、ネマチック液晶の種類や組成比、カイラル剤の種類、樹脂の種類、高分子樹脂の出発物質であるモノマー、オリゴマー、開始剤、架橋剤などの種類や組成比、重合温度、光重合のための露光光源、露光強度、露光時間、雰囲気温度、電子線重合のための電子線強度、暴露時間、雰囲気温度、塗布時の溶媒の種類や組成比、溶液濃度、ウェット膜厚、乾燥温度、温度降下時の開始温度、温度降下速度などであるが、これらに限定されない。
また、本発明に特有の光パルス等の断続印加操作により適応させるために、以上説明した液晶組成を適宜調整することが好ましい。しかし、液晶材料によって、光パルス等の断続印加操作に対する挙動が異なることから、液晶組成を調整しながら、光パルス等を断続的に印加した際に所望の作用が現れるように構成することが望ましい。この調整の対象としては、具体的には例えば、液晶材料の選択、液晶の組成、液晶材料の粘度、インピーダンスの調整等が挙げられる。
勿論、液晶組成についてこれらの調整を行った場合においても、その効果が最適に得られるとは限らない。そのため、一旦所定の液晶組成で表示層を構成する液晶層を形成し、その特性を検証した上でそれに合わせて書き込みの各条件を設定するのが望ましい。
また、ある程度液晶組成がかけ離れた2種類(例えば、特定の組成成分の配合量が多いものと少ないもの等)の表示層を形成し、これの特性を予め求めておけば、その途中段階的な液晶組成についてもその特性を推測することができる。
(OPC層)
OPC層(光導電体層)10は、内部光電効果をもち、アドレス光の照射強度に応じてインピーダンス特性が変化する特性を有する有機光導電体からなる層である。交流(AC)動作が可能であり、アドレス光に対して対称駆動することが望まれる。電荷発生層(CGL)が電荷輸送層(CTL)の上下に積層された3層構造に形成されてなる。本実施形態では、OPC層10として、図4における上層から順に上側の電荷発生層13、電荷輸送層14および下側の電荷発生層15が積層されてなる。
電荷発生層13,15は、アドレス光を吸収して光キャリアを発生させる機能を有する層である。主に、電荷発生層13が表示面側の透明電極層5から書き込み面側の透明電極層6の方向に流れる光キャリア量を、電荷発生層15が書き込み面側の透明電極層6から表示面側の透明電極層5の方向に流れる光キャリア量を、それぞれ左右している。電荷発生層13,15としては、アドレス光を吸収して励起子を発生させ、CGL内部、またはCGL/CTL界面で自由キャリアに効率良く分離させられるものが好ましい。
電荷発生層13,15は、電荷発生材料(たとえば金属又は無金属フタロシアニン、スクアリウム化合物、アズレニウム化合物、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスやトリス等アゾ顔料、キナクリドン顔料、ピロロピロール色素、多環キノン顔料、ジブロモアントアントロンなど縮環芳香族系顔料、シアニン色素、キサンテン顔料、ポリビニルカルバゾールとニトロフルオレン等電荷移動錯体、ピリリウム塩染料とポリカーボネート樹脂からなる共昌錯体)を直接成膜する乾式法か、またはこれら電荷発生材料を、高分子バインダー(たとえばポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビニルカルバゾール樹脂、ビニルホルマール樹脂、部分変性ビニルアセタール樹脂、カーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、ビニルアセテート樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂等)とともに適当な溶剤に分散乃至溶解させて塗布液を調製し、これを塗布し乾燥させて成膜する湿式塗布法等により形成することができる。
電荷輸送層14は、電荷発生層13,15で発生した光キャリアが注入されて、バイアス信号で印加された電場方向にドリフトする機能を有する層である。一般にCTLは、CGLの数10倍の厚みを有するため、電荷輸送層14の容量、電荷輸送層14の暗電流、および電荷輸送層14内部の光キャリア電流が、OPC層10全体の明暗インピーダンスを決定付けている。
電荷輸送層14は、電荷発生層13,15からの自由キャリアの注入が効率良く発生し(電荷発生層13,15とイオン化ポテンシャルが近いことが好ましい)、注入された自由キャリアができるだけ高速にホッピング移動するものが好適である。暗時のインピーダンスを高くするため、熱キャリアによる暗電流は低い方が好ましい。
電荷輸送層14は、低分子の正孔輸送材料(たとえばトリニトロフルオレン系化合物、ポリビニルカルバゾール系化合物、オキサジアゾール系化合物、ベンジルアミノ系ヒドラゾンあるいはキノリン系ヒドラゾン等のヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、ベンジジン系化合物)、または低分子の電子輸送材料(たとえばキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、フルフレオン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物)を、高分子バインダー(たとえばポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、含珪素架橋型樹脂等)とともに適当な溶剤に分散乃至溶解させて塗布液を調製し、これを塗布し乾燥させて形成すればよい。
(着色層)
着色層(遮光層)9とは、アドレス光と入射光を光学分離し、相互干渉による誤動作を防ぐ目的で設けられる層であり、本発明において必須の構成要素ではない。ただし、表示媒体1の性能向上のためには、設けることが望まれる層である。その目的から、着色層9には、少なくともCGLの吸収波長域の光を吸収する機能が要求される。
着色層9は、具体的には、無機顔料(たとえばカドミウム系、クロム系、コバルト系、マンガン系、カーボン系)、または有機染料や有機顔料(アゾ系、アントラキノン系、インジゴ系、トリフェニルメタン系、ニトロ系、フタロシアニン系、ペリレン系、ピロロピロール系、キナクリドン系、多環キノン系、スクエアリウム系、アズレニウム系、シアニン系、ピリリウム系、アントロン系)をOPC層10の電荷発生層13側の面に直接塗布して形成するか、あるいはこれらを高分子バインダー(たとえばポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル樹脂等)とともに適当な溶剤に分散乃至溶解させて塗布液を調製し、これを塗布し乾燥させて形成することができる。
(ラミネート層)
ラミネート層8は、ガラス転移点の低い高分子材料からなるものであり、熱や圧力によって表示層7a,7bと着色層9とを密着・接着させることができる材料が選択される。また、少なくとも入射光、アドレス光に対して透過性を有することが条件となる。
ラミネート層8に好適な材料としては、粘着性の高分子材料(たとえばウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂)を挙げることができる。
なお、ラミネート層8は、本発明において必須の構成要素ではない。
<書き込み装置>
本実施形態において書き込み装置(光変調素子の駆動装置)2とは、表示媒体1に画像を書込む装置であり、表示媒体1に対してアドレス光の照射を行う光照射部(露光装置)18および表示媒体1にバイアス電圧を印加する電圧印加部(電源装置)17を主要構成要素とし、さらにこれらの動作を制御する制御回路16が配されてなる。
(光照射部)
光照射部(露光装置)18は、像様となる所定のアドレス光パターンを表示媒体1に照射する機能を有し、制御回路16からの入力信号に基づき、表示媒体1上(詳しくは、OPC層上)に所望の光画像パターン(スペクトル・強度・空間周波数)を照射できるものであれば特に制限されるものではない。
光照射部18により照射されるアドレス光としては、以下の条件のものが好ましく選択される。
・スペクトル:OPC層10の吸収波長域のエネルギーができるだけ多いことが好ましい。
・照射強度:明時に各表示層7a,7bへの印加電圧がOPC層10との分圧により上下閾値の電圧以上となって、表示層7a,7b中の液晶を状態変化させ、暗時にはそれ以下となるような強度。
光照射部18により照射されるアドレス光としては、OPC層10の吸収波長域内にピーク強度を持ち、できるだけバンド幅の狭い光であることが望ましい。
光照射部18としては、具体的には以下のものが挙げられる。
(1−1)光源(たとえば、冷陰極管、キセノンランプ、ハロゲンランプ、LED、EL等)をアレイ状に配置したものや、光源と導光板とを組み合せたもの、などの均一な光源
(1−2)光パターンを作る調光素子(たとえば、LCD、フォトマスクなど)の組み合わせ
(2)面発光型ディスプレイ(たとえばCRT、PDP、EL、LED、FED、SED)
(3)上記(1−1)、(1−2)あるいは(2)と光学素子(たとえばマイクロレンズアレイ、セルホックレンズアレイ、プリズムアレイ、視野角調整シート)との組み合わせ
(電圧印加部)
電圧印加部(電源装置)17は、所定のバイアス電圧を表示媒体1に印加する機能を有し、制御回路16からの入力信号に基づき、表示媒体(各電極間)に所望の電圧波形を印加できるものであればよい。ただし、AC出力ができ、高いスルーレートが要求される。また、本実施形態では、下閾値駆動と、パルス電圧印加動作と、上閾値駆動とで、適宜印加する電圧の周波数を変える(あるいは直流電圧を印加する)必要があるので、周波数が可変(0Hzを含む。)であることが必須となる。電圧印加部17には、例えばバイポーラ高電圧アンプなどを用いることができる。
電圧印加部17による表示媒体1への電圧の印加は、接触端子19を介して、透明電極層5−透明電極層6間に為される。
ここで接触端子19とは、電圧印加部17および表示媒体1(透明電極層5,6)に接触して、両者の導通を行う部材であり、高い導電性を有し、透明電極層5,6および電圧印加部17との接触抵抗が小さいものが選択される。表示媒体1と書き込み装置2とを切り離すことができるように、透明電極層5,6と電圧印加部17とのどちらか、あるいは両者から分離できる構造であることが好ましい。
接触端子19としては、金属(たとえば金・銀・銅・アルミ・鉄)、炭素、これらを高分子中に分散させた複合体、導電性高分子(たとえばポリチオフェン系・ポリアニリン系)などでできた端子で、電極を挟持するクリップ・コネクタ形状のものが挙げられる。
(制御回路)
制御回路16は、外部(画像取り込み装置、画像受信装置、画像処理装置、画像再生装置、あるいはこれらの複数の機能を併せ持つ装置等)からの画像データに応じて、電圧印加部17および光照射部18の動作を適宜制御する機能を有する部材である。制御回路16による具体的な制御内容については、「第1書き込み工程(動作)」および「第2書き込み工程(動作)」の2つの工程(動作)からなるものであり、その詳細については後述することにする。
<動作>
本実施形態の反射型液晶表示素子の駆動方法、および反射型液晶表示素子の駆動装置の動作(操作)について、簡単な検証実験を交えて、以下に詳細に説明する。
なお、以下の説明では、図2および図3のグラフ、図5のチャートと共に、背景技術の項において用いた図15および図17のグラフをも用いて説明する。ここで図5は、表示媒体(光変調素子)1に対して、本実施形態における書き込み操作を行った際のバイアス電圧およびアドレス光の照射光量の推移を時系列で示すチャートである。該チャートでは、下閾値駆動におけるバイアス電圧として直流パルスが印加された例を示している。
(第1書き込み期間)
本発明における第1書き込み工程の操作が為される第1書き込み期間では、表示層全体にかかる電圧が、表示層7bの上閾値電圧Vfpbより低く表示層7aの上閾値電圧Vfpaより高い、Vc間になるようなバイアス電圧(上閾値用バイアス電圧V1)を周波数50Hzパルス波形で印加しつつ、それと同時に、露光装置で選択的にアドレス光を照射して、露光部における光導電体層の抵抗値を変化(低下)させることで表示層7aおよび表示層7bの分圧を上昇させる。これにより、露光部で、表示層7aおよび表示層7bにかかる電圧が上閾値の電圧Vpfbを超え、表示層7bはホメオトロピックに状態変化する。
また、非露光部への印加電圧はVcであるため、表示層7bはフォーカルコニック状態となる。
一方、表示層7aは露光部、非露光部にかかわらずホメオトロピック状態になる。この状態で電圧印加を急速に解除すると、ホメオトロピックはプレーナに状態変化し、フォーカルコニックはその状態を維持する(以上、図15参照)。
第1書き込み期間においては、このようにして、表示層7bの部位ごとに、液晶状態の選択が為される。
この上閾値駆動するための第1書き込み期間において、アドレス光の照射光量を図5中破線で示すように大小変化させることで、表示層7bの階調を制御することができる。上閾値駆動では、当該階調の制御は比較的容易である。
(第2書き込み期間)
本発明における第2書き込み工程の操作が為される第2書き込み期間では、表示層全体にかかる電圧が、表示層7aの下閾値Vpfaよりも低いVa間になるような(図15参照)バイアス電圧(下閾値用バイアス電圧V2)を、直流パルス波形で印加すると同時に、露光装置で選択的にアドレス光を照射して、第1書き込み期間と同様に、露光部における表示層7aおよび表示層7bの分圧を上昇させる。これにより、露光部では、表示層7aおよび表示層7bにかかる電圧が下閾値Vpfaを超え、表示層7aはフォーカルコニックに状態変化する。また、非露光部への印加電圧はVaであるため、表示層7aはプレーナ状態を維持する。
本実施形態においては、図5のチャートに示されるとおり、このアドレス光として、実際に書き込む際の最小光量における光電流の飽和時定数よりも短いパルス幅の光パルスが印加される。アドレス光を光パルスに分断して断続的に印加することで、それぞれの光パルス印加時には光電流の飽和が抑制されて、複数回の光パルスのエネルギーの総和によって液晶を配向させることができ、その結果、アドレス光の光量の大小で下閾値駆動における階調を制御することができる。
以上のようにして、表示層7aについて、フォーカルコニックとプレーナのいずれかの状態が、アナログ的に諧調を制御しつつ選択される。
一方、表示層7bは露光部、非露光部にかかわらずプレーナまたはフォーカルコニック状態を維持する(以上、図15参照)。
第2書き込み期間においては、このようにして、表示層7aの部位ごとに、液晶状態の選択が為される。
以上の第1および第2の書き込み工程の動作が順次為され、上下閾値の2段階の電圧信号を印加しつつ、部位により露光/非露光の選択が為され、その組合せに応じて、表示層7aおよび表示層7bの内の任意の一方もしくは双方を反射状態、または双方を透過状態とすることができる。このように液晶状態が選択されて、表示媒体1への書き込み(駆動)が為される。このとき、本実施形態によれば、上下閾値ともアドレス光の光量の大小により階調を制御することができ、高画質の画像を簡便に表示することができる。
なお、本実施形態では、上下閾値駆動におけるそれぞれの動作マージン(端的に言えば、各表示層間の上下閾値電圧の開き。図15で言えば、VbおよびVcの幅。)を拡大し、安定的な閾値シフト駆動を実現するために、電圧V2の周波数FV2(=12.5Hz)が、電圧V1の周波数FV1(=50Hz)に比して小さくなる(FV2<FV1)ように構成されている。この技術的意義について、以下説明する。
閾値シフト法を用いて、複数の表示層を独立に駆動するための動作マージンを大きくするためには、各表示層間の動作閾値電界比、もしくは、それぞれの表示層の誘電率および膜厚により決まる各表示層への印加電界比を大きくすることが考えられる。
しかし、一般にコレステリック液晶には、比誘電率と屈折率異方性Δnとの間、および、屈折率異方性Δnと反射率との間に相関があるため、各表示層間の誘電率比を大きくとった場合、低誘電率側の表示層の明度が得られにくい。また、コレステリック液晶は比誘電率の増加に伴い閾値電界が小さくなる傾向があり、各表示層への印加電界と各表示層の閾値電界の逆転が生じやすく、動作マージンの拡大が困難である。
そこで本発明者らは、特許文献3に示すとおり、閾値シフト法を利用しつつ、光変調素子における各表示層に十分な反射率を持たせながら、動作マージンを拡大し、安定的な閾値シフト駆動を実現する技術を提案しており、当該技術を本実施形態においても採用している。
図6のグラフを参考に説明すると、表示層が2層構成の表示媒体1に電圧を印加した場合の各表示層(表示層)の動作マージンVmは、以下にように表すことができる。ここで、図6は、表示媒体(光変調素子)1における各表示層7a,7bのコレステリック液晶のスイッチング挙動を示すグラフである。
各表示層がプレーナ状態からフォーカルコニック状態へ遷移するとき(下閾値)の各表示層の正規化反射率が90%になる電圧をVpf90、50%になる電圧をVpf50、10%になる電圧をVpf10として、上下閾値の電圧が大きい表示層7bには数字の前にbを、上下閾値の電圧が小さい表示層7aには数字の前にaを付するとすると、下閾値における動作マージンVmは、
Vm=2×(Vpfb90−Vpfa10)/(Vpfb50+Vpfa50)
と、表すことができる。
また、同様に、各表示層(表示層)がフォーカルコニック状態からホメオトロピック相状態に遷移するとき(上閾値)の各表示層の正規化反射率が90%になる電圧をVfh90、50%になる電圧をVfh50、10%になる電圧をVfh10として、かつ、上記同様にaおよびbを付するとすると、上閾値における動作マージンVmは、
Vm=2×(Vfhb10−Vfha90)/(Vfhb50+Vfha50)
と、表すことができる。
これら動作マージンは、正の値であることが望ましい。各表示層を正の誘電率異方性を有するコレステリック液晶で構成する場合、下閾値の動作マージンが、上閾値の動作マージンよりも小さくなる傾向がある。図7は、閾値シフト法に供される光変調素子における積層状態の表示層7a,7bの等価回路を示す回路図である。CaおよびRaは、上下閾値の電圧が小さい表示層7aの等価静電容量および抵抗値であり、CbおよびRbは、上下閾値の電圧が大きい0.表示層7bの等価静電容量および抵抗値である。
各表示層7a,7b間への印加電界比を拡大するためには、各表示層7a,7bの誘電率比を大きく取り、容量分圧比を大きくする方法が考えられる。ただし、これについては既述の通り、一般的にコレステリック液晶の比誘電率と屈折率異方性Δnとの間には正の相関があるため、低誘電率側表示層(この場合、表示層7a)において明るい表示が得られにくく、また、液晶材料の誘電率が増加すると閾値電界が小さくなる傾向があるため、容量分圧比の小さい高誘電率側表示層(この場合、表示層7b)の閾値電界が小さくなり、動作マージンの拡大が困難である。
特許文献3に記載の技術では、各液晶材料の比抵抗に差を持たせ、各表示層への分圧比が、容量分圧比から抵抗分圧比に緩和する(抵抗分圧比に依存する割合を上げる)ような低い周波数の電圧パルスを加えることで、動作マージンを拡大している。
すなわち、表示層間の抵抗比を利用して分圧させること(抵抗分圧比への緩和)により、各表示層間の液晶材料の誘電率比を大きくとる必要がなくなるため、各表示層に高い屈折率異方性Δnの液晶材料を用いることができ、明るい表示が得られる。また、誘電率比を抑えることで閾値電界の逆転も生じにくいため、動作マージンを容易に拡大することができる。
図8に、低い周波数の電圧パルスを加えることにより、抵抗分圧比への緩和を図り、分圧比を拡げることができることを説明するためのグラフを示す。図8において、上段の2つのグラフは高抵抗側の表示層7aにおける分圧Vaの推移を表すグラフであり、下段の2つのグラフは低抵抗側の表示層7bにおける分圧Vbの推移を表すグラフである。上下段とも本実施形態とは条件が異なり、左が周波数50Hz、右が周波数5Hzのパルス波を印加した場合のグラフである。両グラフにおいて、横軸の単位時間当たりの目盛の長さは、周波数50Hzのものが周波数5Hzのものに対して10倍になっている。
周波数50Hzのパルス波を印加した場合は、各段の左側のグラフに示されるように、パルス波の形状は、パルスごとに、増加ないし減少の傾向を見せるものの直線状の推移となる。これに対して、周波数5Hzのパルス波を印加した場合は、各段の右側のグラフに示されるように、パルス波の形状は、パルスごとの増加ないし減少の傾向がサチュレートするまで続いており、表示層7aと表示層7bとで分圧比が大きく広がっていることがわかる。
つまり、下閾値の動作マージンに対しては、各表示層に加わる電圧の容量分圧比から抵抗分圧比への緩和時定数を下げて、抵抗成分の影響が大きくなるような周波数・波形のパルスを加え、各層の抵抗比を利用することにより、誘電率の制限が減少するため、液晶材料の材料設計の自由度が格段に向上すると言うことができる。
しかしながら、抵抗成分への緩和を利用した波形(低い周波数)の電圧パルスを印加した場合、最終パルス印加後に残留電位による波形の乱れが生じる。図9は、当該波形の乱れを表す印加電圧と時間との関係を示すグラフである。図9のグラフを見ればわかるように、電圧印加終了時(当該グラフでは400ms)の後にも残留電位の影響で、波形の乱れたパルスが印加されてしまう。この波形の乱れは、低周波電圧を印加した場合の宿命とも言え、完全に避けることはできない。この最終パルス印加後の波形の乱れにより、ホメオトロピックからプレーナへの状態変化が妨げられ反射率が低下するため、上閾値におけるスイッチングが困難となる。
上閾値の動作マージンは下閾値の動作マージンよりも容易に大きくなる傾向にあるため、比較的小さい誘電率比であっても容量分圧によって動作させることができる。そこで、本実施形態においては、下閾値駆動での動作マージン確保のために印加電圧の周波数を小さくして(詳しくは直流パルス、すなわち周波数を0Hzにして)、抵抗分圧比へ緩和させるとともに、低周波数電圧により生じる波形の乱れの影響を受け易い上閾値駆動では、周波数を高めて(詳しくは50Hzにして)、動作安定を実現しつつ動作マージンを確保している。
なお、第1書き込み工程と第2書き込み工程とで異ならせる印加電圧の周波数については、特に第2書き込み工程(下閾値駆動時)における印加電圧V2の周波数FV2として、0〜100Hzの範囲内とすることが好ましく、0〜30Hzの範囲内とすることがより好ましい。100Hzを超えると抵抗分圧比への緩和が十分ではなくなり、動作マージン確保が困難になる場合があり、好ましくない。
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明の光変調素子の駆動方法および駆動装置を詳細に説明したが、本発明は以上の実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、バイアス電圧を一定に印加しつつ実際に書き込む際の最小光量における光電流の飽和時定数よりも短いパルス幅の光パルスを断続的に印加する例を挙げたが、同パルス幅のバイアス電圧を断続的に印加しつつアドレス光は一定の強度としてもよいし、同パルス幅のバイアス電圧と光パルスの両方を断続的に印加する態様でもかまわない。
また、例えば、上記実施形態では本願発明を閾値シフト法に適用した態様を例に挙げて説明したが、表示層が1層のみの構成や、2層以上であっても閾値シフト法に拠らない駆動方法であれば、下閾値駆動を実施する際に本発明を有効に適用することができる。なお、表示層が1層のみの構成については、後述の実施例で具体例を挙げる。
また、閾値シフト法に適用する場合であっても、上記実施形態では表示層(表示層)が2層構成のもののみを具体例として挙げて説明しているが、本発明において表示層は2層に限られるものではなく、3層以上の構成とすることもできる。3層構成として、各層の発色をブルー、グリーンおよびレッドとして加法混色することにすれば、容易にフルカラー画像を得ることができる。
3層構成の表示層の場合、上下閾値においては、3つの層それぞれが閾値の電圧の値に差が生じるように調整して光変調素子を構成する。ここで、3つの表示層をそれぞれ閾値電圧の低いものから順に表示層a、表示層bおよび表示層cとした場合における動作を簡単に説明する。
図10は、表示層a、表示層bおよび表示層cにおけるコレステリック液晶の理想的なスイッチング挙動を示すグラフである。図10のグラフにおいては、説明を容易にするために、上下閾値とも動作マージンが確保されている表示層の組合せを例示している。下閾値のVpfa〜Vpfcおよび上閾値のVfpa〜Vpfcについては、従来技術の項で説明した図15の場合と同様である。ただし、アルファベットの符号に続いて数字が付されているが、当該数値は正規化反射率の値を示す。
3層構成の光変調素子を光アドレスにより閾値シフト法で駆動させるには、露光する光の強度により以下の7つの電圧を適宜選択することで、各表示層のスイッチングをすることができる。
・表示層aの下閾値Vpfa90未満の範囲A中の電圧a。
・上記電圧aを超え、表示層bの下閾値Vpfb90未満の範囲B中の電圧b。
・上記電圧bを超え、表示層aの上閾値Vfpa10未満の範囲C中の電圧c。
・上記電圧cを超え、表示層cの下閾値Vpfc90未満の範囲D中の電圧d。
・上記電圧dを超え、表示層bの上閾値Vfpb10未満の範囲E中の電圧e。
・上記電圧eを超え、表示層cの上閾値Vfpc10未満の範囲F中の電圧f。
・表示層cの上閾値Vfpc90を超える範囲G中の電圧g。
なお、階調表現を実現させる本発明の趣旨からすれば、これら電圧は、階調表現に利用される程度の電圧値の幅を有するものであるが、説明を容易にするため、固定の電圧値として説明を続ける。
詳しくは、電圧eをバイアス電圧として印加した状態で、光の強度を3種類(非露光を含む)から選択して露光することによって、電圧e、電圧fおよび電圧gを選択し(上閾値駆動)、その後、電圧aをバイアス電圧として印加した状態で、光の強度を4種類(非露光を含む)から選択して露光することによって、電圧a、電圧b、電圧cおよび電圧dを適宜選択する(下閾値駆動)ことにより、各表示層のスイッチングの有無を選択する。すなわち、露光する光の強度を3種類または4種類から選択することで、それぞれ所望の閾値の表示層について液晶の状態変化を生じさせるように、露光強度を設計する。
以上のように設計することで、1回の露光で3つの層のスイッチング状態を自由に選択することができる。すなわち、印加電圧を一定にしておき、露光強度を3種類または4種類の中から適宜選択することで、各表示層の駆動を選択することができ、1度の信号で同時に画像を書き込むことができる。
上記スイッチングは、上下閾値においてそれぞれ行われるので、既述の実施形態の場合と同様、第1書き込み工程および第2書き込み工程の各操作を行うことで、第2書き込み工程の下閾値駆動における階調をアドレス光の照射光量の大小で制御することができる。
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明を適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の駆動方法あるいは本発明の駆動装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
以下、本発明を、実施例を挙げることでより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<表示媒体の作製>
本発明に適用し得る光変調素子として、図11に記載の表示媒体1’を試作して、本発明および比較例の光変調素子の駆動方法ないし光変調素子の駆動装置を利用して、画像の書き込みを行った。
ここで図11は、実施例および比較例に供した光変調素子および駆動装置を含むシステムの概略構成図である。なお、図11において、図4と同様の機能を有する部材には図4と同一の符号を付している。
図11を参照しつつ説明する。
(OPC層側基板の作製)
片面にITO(表面抵抗300Ω/□)が形成された125μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製ハイビーム)を50.8mm(2インチ)角に切り出して、透明基板4および透明電極層6とした。そのITO(透明電極層6)側の面に、リビニルブチラール樹脂をブタノールに溶解した溶液に、電荷発生材料(チタンフタロシアニン顔料)をペイントシェイカーで分散させた塗料を、スピンコート法によって乾燥膜厚が0.2μmとなるように塗布・乾燥し、電荷発生層15を形成した。
次にその上に、ポリカーボネート樹脂と電荷輸送材料(ベンジジンN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン)をモノクロロベンゼンに溶解した塗料を、ディップコート法によって乾燥膜厚が6μmになるように塗布・乾燥し、電荷輸送層14を形成した。さらにその上に、ポリビニルブチラール樹脂をブタノールに溶解した溶液に、電荷発生材料(チタニルフタロシアニン顔料)をペイントシェイカーで分散させた塗料を、スピンコート法によって乾燥膜厚が0.2μmとなるように塗布・乾燥し、電荷発生層13を形成して、電荷発生層15、電荷輸送層14、電荷発生層13の3層からなるOPC層10を形成した。
そのOPC層10上に、カーボンブラック顔料を分散させたポリビニルアルコール水溶液を、スピンコート法によって乾燥膜厚が1.2μmとなるように形成して、着色層9とした。さらに当該着色層9の上層として、酢酸ブチルで希釈した二液性ウレタンラミネート剤(三井武田ケミカル社製,A315/A50)を、スピンコート法によって乾燥膜厚が1.0μm厚となるように塗布し、ラミネート層8を形成し、OPC層側基板を作製した。
(表示層側基板の作製)
コレステリック液晶として、ネマチック液晶(大日本インキ化学工業社製,RDP−83132)85.5質量%、右旋性カイラル剤(メルク社製,R811)11.6質量%および右旋性カイラル剤(メルク社製,R1011)2.9質量%を混合して、赤色を反射する材料を調製した。
4.2μm径のセラミック多孔質膜をセットした膜乳化装置(SPGテクノ社製,マイクロキット)を用いて、窒素圧力11.8kPa(0.12kgf/cm2)の条件下で前記コレステリック液晶を0.25質量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液中に乳化した。得られたエマルジョンは、コレステリック液晶ドロップの粒径平均が14.9μm、粒径標準偏差が1.32μmで、単分散に近い状態だった。
次に、エマルジョンを静置してコレステリック液晶ドロップを沈降させ、上澄みを除去して濃縮されたエマルジョンを得た。この濃縮エマルジョン1質量部に対して、酸性法骨ゼラチン(ニッピ社製,ゼリー強度314)の7.7質量%水溶液を4質量部添加することにより、液晶層用塗布液内の不揮発分体積率が約0.15、不揮発分内のコレステリック液晶体積率が約0.70の液晶層用塗布液を得た。
透明基板4および透明電極層6として用いたものと同じITO透明電極付きPETフィルム(東レ社製ハイビーム)を透明基板3および透明電極層5として、50℃に加熱してゼラチンをゾル状態にした前記液晶層用塗布液を、ITO面側に、塗布後のウェット膜厚が90μmになるようにギャップを調整したマイクロメータ付きアプリケータで塗布した。
50℃/RH90%の高温高湿チャンバー内に15分間保持した後、室温下で12時間乾燥させ、表示層7として、15μm径の単分散コレステリック液晶ドロップが少し偏平した形状で高分子バインダー中に単層稠密に分散された約12μm厚のPDLC層を形成し、表示層側基板を作製した。
(基板の貼り合わせ)
このようにして作製したOPC層側基板および表示層側基板を、表示層7とラミネート層8が向かい合い、かつ端面の一部が少しずれるように重ね合わせて、100℃のラミネータを通して接着し、表示媒体(光変調素子)1を得た。
なお、ずらした端面上の各機能膜を除去してITO電極を露出させておき、最終的に得られる表示媒体1の外部から両透明電極層5,6が導通できるようにした。
得られた表示媒体1の外観は、表示層7が赤色の選択反射を示すものであった。また、得られた表示媒体1の暗時における上閾値電圧(F状態→H状態)は380V、同様に下閾値電圧(P状態→F状態)は85Vであった。
得られた表示媒体1の両透明電極層5,6にリード線を付けた市販のミノ虫クリップ(接触端子19)を接続し、リード線の他端を、電圧印加部17としての高速・高電圧アンプ(松定プレシジョン社製,HEOPT−1B60型)に接続した。
一方、光源としてカラー発光ダイオード光源(CCS社製,HLV−27−NR−R型)を用い、表示媒体1の非表示面(書き込み側の面)を照射できるように構成して、光照射部18を作製した。当該光照射部18により、ピーク波長625nm、バンド半値幅20nmのRed光を照射することができる。
また、制御回路16としてマルチチャンネルDAQボード(ナショナルインスツルメンツ社製6713型)、および制御ソフト(ナショナルインスツルメンツ社製LabVIEW)を用い、パーソナルコンピュータからの画像データに基づいて電圧印加部17および光照射部18の動作を適宜制御できるように配線した。
なお、不図示ではあるが、表示面側(透明基板3側)の表面に、表示層7の表示画像の光反射率を測定するための積分球形分光計(コニカミノルタ社製、CM2002型)を取り付けた。
以上のようにして、実施例および比較例に供する表示媒体(光変調素子)1および書き込み装置(光変調素子の駆動装置)2を含む駆動評価用システムを作製した。
[実施例1]
以上のようにして作製した表示媒体(光変調素子)に、バイアス電圧として70Vを300ms、アドレス光として100msの光パルスをパルス間隔100msで2回、強度0μW〜500μWの条件で、実際に書き込みを行った。図3は、光変調素子へ照射した光量と、表示画像のピーク反射率との関係を示すグラフであり、○印プロットが本実施例の結果である。図3から、アドレス光強度が増加するにしたがって表示画像のピーク反射率は徐々に低下しており、50μW以上の高光量ではピーク反射率が十分に低下しており、アドレス光の強弱で下閾値における階調を制御できていることがわかる。
[比較例1]
比較のため実施例1と同一の光変調素子に、バイアス電圧として70Vを100ms、アドレス光として100ms(1回)、アドレス光強度0μW〜500μWの従来条件で書き込みを行った。書き込みを行った際の、光変調素子へ照射した光量と、表示画像のピーク反射率との関係を図3中の□印プロットで示す。図3から、50μW以上の高光量でもピーク反射率が十分には低下せず、表示画像のコントラストが十分でないことがわかる。
[比較例2]
比較例1と同様、実施例1と同一の光変調素子に、バイアス電圧として70Vを400ms、アドレス光として400ms(1回)、アドレス光強度0μW〜100μWの従来条件で書き込みを行った。書き込みを行った際の、光変調素子へ照射した光量と、表示画像のピーク反射率との関係を図3中の△印プロットで示す。図3から、わずか10μW程度の低光量でピーク反射率はほぼ下がりきっており、アドレス光の強弱では実質的に階調を制御できないことがわかる。
光アドレス型の光変調素子に対して、従来方式で下閾値駆動による書き込みを行った際のバイアス電圧およびアドレス光の照射光量の推移を時系列で示すチャートである。 光アドレス型の光変調素子に対して、本発明の光変調素子の駆動方法によって下閾値駆動による書き込みを行った際のバイアス電圧およびアドレス光の照射光量の推移を時系列で示すチャートである。 光書き込み型の光変調素子に対して、本発明の光変調素子の駆動方法で実際に、照射光量を変えて下閾値駆動による書き込みを行った際の照射光量と表示画像のピーク反射率(%)との関係を示すグラフである。 本発明の光変調素子の駆動方法を適用したシステムの例示的一態様である実施形態の概略構成図である。 光変調素子に対して、実施形態における書き込み操作を行った際のバイアス電圧およびアドレス光の照射光量の推移を時系列で示すチャートである。 閾値シフト法に供される光変調素子における各表示層のコレステリック液晶のスイッチング挙動を示すグラフである。 閾値シフト法に供される光変調素子における積層状態の表示層の等価回路を示す回路図である。 低い周波数の電圧パルスを加えることにより、抵抗分圧比への緩和を図り、分圧比を拡げることができることを説明するためのグラフである。 低い周波数の電圧パルスを印加した場合、最終パルス印加後に残留電位により生じる波形の乱れを表す、印加電圧と時間との関係を示すグラフである。 閾値シフト法に供される3層構成の光変調素子について、各表示層のコレステリック液晶のスイッチング挙動を示すグラフである。 実施例および比較例に供した光変調素子および駆動装置を含むシステムの概略構成図である。 閾値シフト法による画像書き込みの様子を説明するための模式断面図である。 コレステリック液晶の分子配向と光学特性の関係を示す模式説明図であり、(A)はプレーナ、(B)はフォーカルコニック、(C)ホメオトロピックの各状態におけるものである。 コレステリック液晶のスイッチング挙動を説明するためのグラフである。 閾値シフト法に供される光変調素子における各表示層のコレステリック液晶のスイッチング挙動を示すグラフである。 光導電層を含む光変調素子に対する閾値シフト法による画像書き込みの様子を説明するための模式説明図である。 光書き込み型の光変調素子に対して、従来方式で実際に、照射光量を変えて下閾値駆動による書き込みを行った際の表示層に印加された電圧の時間変化(電圧波形)を照射光量毎に示すグラフである。 光書き込み型の光変調素子に対して、従来方式で実際に、照射光量を変えてバイアス電圧印加および露光時間を2水準、下閾値駆動による書き込みを行った際の照射光量と表示画像のピーク反射率(%)との関係を示すグラフである。
符号の説明
1:表示媒体(光変調素子)、 2:書き込み装置(駆動装置)、 3,4:透明基板、 5,6:透明電極層(電極)、 7,7a,7b,107a,107b:表示層、 8:ラミネート層、 9,109:着色層、 10:OPC層(光導電体層)、 13,15:電荷発生層、 14:電荷輸送層、 16:制御回路、 17:電圧印加部(電源装置)、 18:光照射部、 19:接触端子、 101,111:光変調素子、 105,106:透明電極、 110:光導電体層、 112:露光装置、 117:電源装置

Claims (16)

  1. 一対の電極間に、コレステリック液晶を含み所定の波長の光を選択反射する1層または2層以上の表示層と、光導電体層とが挟持されてなる光アドレス型の光変調素子に、画像を記録するための光変調素子の駆動方法であって、
    前記表示層におけるプレーナからフォーカルコニックへの状態変化の外部印加電圧に対する動作閾値たる下閾値をアドレス光の露光時に超え非露光時に超えない電圧Vを前記一対の電極に印加しつつ適宜アドレス光を選択露光して、前記下閾値を超える部位または超えない部位の選択を行う書き込み工程を含み、
    前記アドレス光の選択露光が、実際に書き込む際の最小光量における光電流の飽和時定数よりも短いパルス幅の光パルスおよび電圧パルスのいずれか一方もしくは双方を断続的に印加することで行われることを特徴とする光変調素子の駆動方法。
  2. 前記電圧Vの周波数FVが、0〜100Hzの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の光変調素子の駆動方法。
  3. 各層ごとに可視光中の互いに異なる波長の光を選択反射し、かつ、それぞれのプレーナからフォーカルコニックへの状態変化の外部印加電圧に対する動作閾値たる下閾値、および、フォーカルコニックからホメオトロピックへの状態変化の外部印加電圧に対する動作閾値たる上閾値が互いに異なる、少なくともコレステリック液晶からなる複数の表示層が、各層の間に電極を介することなく積層され、その積層された一方の面に光導電体層がさらに積層されて、これらが一対の電極間に挟持されてなる光アドレス型の光変調素子に、画像を記録するための光変調素子の駆動方法であって、
    前記いずれかの表示層における上閾値を、アドレス光の露光時に超え非露光時に超えない電圧V1を前記一対の電極に印加しつつ適宜アドレス光を選択露光して、当該表示層における前記上閾値を超える部位または超えない部位の選択を行う第1書き込み工程と、
    第1書き込み工程で上閾値として選択された表示層以外のいずれかの表示層の下閾値を、アドレス光の露光時に超え非露光時に超えない電圧V2を前記一対の電極に印加しつつ適宜アドレス光を選択露光して、当該表示層における前記下閾値を超える部位または超えない部位の選択を行う第2書き込み工程とからなり、
    第2書き込み工程におけるアドレス光の選択露光が、実際に書き込む際の最小光量における光電流の飽和時定数よりも短いパルス幅の光パルスおよび電圧パルスのいずれか一方もしくは双方を断続的に印加することで行われることを特徴とする光変調素子の駆動方法。
  4. 前記電圧V2の周波数FV2が、前記電圧V1の周波数FV1に比して小さい(FV2<FV1)ことを特徴とする請求項3に記載の光変調素子の駆動方法。
  5. 前記電圧V2の周波数FV2が、0〜100Hzの範囲内であることを特徴とする請求項3に記載の光変調素子の駆動方法。
  6. 前記パルス幅が、実際に書き込む際の最小光量における光電流の飽和時定数の半分以下であることを特徴とする請求項1または3に記載の光変調素子の駆動方法。
  7. 前記表示層が、2層構成または3層構成であることを特徴とする請求項1または3に記載の光変調素子の駆動方法。
  8. 前記表示層が、高分子中に前記コレステリック液晶が分散されてなることを特徴とする請求項1または3に記載の光変調素子の駆動方法。
  9. 一対の電極間に、コレステリック液晶を含み所定の波長の光を選択反射する1層または2層以上の表示層と、光導電体層とが挟持されてなる光アドレス型の光変調素子に、画像を記録するための光変調素子の駆動装置であって、少なくとも、前記両電極間に電圧を印加し得る電源装置と、前記光変調素子を露光し得る露光装置とを含み、
    前記表示層におけるプレーナからフォーカルコニックへの状態変化の外部印加電圧に対する動作閾値たる下閾値をアドレス光の露光時に超え非露光時に超えない電圧Vを前記一対の電極に印加しつつ適宜アドレス光を選択露光して、前記下閾値を超える部位または超えない部位の選択を行う書き込み動作が為され、
    前記アドレス光の選択露光が、実際に書き込む際の最小光量における光電流の飽和時定数よりも短いパルス幅の光パルスおよび電圧パルスのいずれか一方もしくは双方を断続的に印加することで為されるように制御されてなることを特徴とする光変調素子の駆動装置。
  10. 前記電圧Vの周波数FVが、0〜100Hzの範囲内であることを特徴とする請求項9に記載の光変調素子の駆動装置。
  11. 各層ごとに可視光中の互いに異なる波長の光を選択反射し、かつ、それぞれのプレーナからフォーカルコニックへの状態変化の外部印加電圧に対する動作閾値たる下閾値、および、フォーカルコニックからホメオトロピックへの状態変化の外部印加電圧に対する動作閾値たる上閾値が互いに異なる、少なくともコレステリック液晶からなる複数の表示層が、各層の間に電極を介することなく積層され、その一方の面に光導電体層が積層されて、これらが一対の電極間に挟持されてなる光アドレス型の光変調素子に、画像を記録するための光変調素子の駆動装置であって、少なくとも、前記両電極間に電圧を印加し得る電源装置と、前記光変調素子を露光し得る露光装置とを含み、
    前記いずれかの表示層における上閾値を、アドレス光の露光時に超え非露光時に超えない電圧V1を前記一対の電極に印加しつつ適宜アドレス光を選択露光して、当該表示層における前記上閾値を超える部位または超えない部位の選択を行う第1書き込み動作と、
    第1書き込み動作で上閾値として選択された表示層以外のいずれかの表示層の下閾値を、アドレス光の露光時に超え非露光時に超えない電圧V2を前記一対の電極に印加しつつ適宜アドレス光を選択露光して、当該表示層における前記下閾値を超える部位または超えない部位の選択を行う第2書き込み動作とが順次為され、
    第2書き込み動作における前記アドレス光の選択露光が、実際に書き込む際の最小光量における光電流の飽和時定数よりも短いパルス幅の光パルスおよび電圧パルスのいずれか一方もしくは双方を断続的に印加することで為されるように制御されてなることを特徴とする光変調素子の駆動装置。
  12. 前記電圧V2の周波数FV2が、前記電圧V1の周波数FV1に比して小さい(FV2<FV1)ことを特徴とする請求項11に記載の光変調素子の駆動装置。
  13. 前記電圧V2の周波数FV2が、0〜100Hzの範囲内であることを特徴とする請求項12に記載の光変調素子の駆動装置。
  14. 前記パルス幅が、実際に書き込む際の最小光量における光電流の飽和時定数の半分以下であることを特徴とする請求項9または11に記載の光変調素子の駆動装置。
  15. 前記表示層が、2層構成または3層構成であることを特徴とする請求項9または11に記載の光変調素子の駆動装置。
  16. 前記表示層が、高分子中に前記コレステリック液晶が分散されてなることを特徴とする請求項9または11に記載の光変調素子の駆動装置。
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