JP2010186661A - X線管装置及びそれを用いたx線撮影装置 - Google Patents

X線管装置及びそれを用いたx線撮影装置 Download PDF

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Abstract

【課題】陽極から発生する反跳電子のX線照射窓への入射量を低減し、X線照射窓の機械的強度の信頼性を向上することが可能なX線管装置及びX線撮影装置を提供することである。
【解決手段】
電子ビームを放出する陰極と、前記電子ビームを衝突させ、該衝突位置を焦点位置とするX線ビームを発生させる陽極ターゲットと、前記X線ビームを取り出すX線照射窓とを備えたX線管装置であって、前記陽極ターゲットと前記X線照射窓を形成する部材との間に、絶縁物で形成される遮蔽体を形成したX線管装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は、X線管装置及びそれを用いたX線撮影装置に係り、特に陽極から発生する反跳電子のX線照射窓への入射量を低減させるX線管装置に関するものである。
従来のX線管装置は、例えば特許文献1に開示されるように、陰極と陽極を真空外囲器で支持し、該真空外囲器内部を真空気密に保持する構成となっている。真空外囲器の一部は絶縁物で構成されており、陰極と陽極の絶縁を保つ構成としている。陰極と陽極間には通常120〜130kVの電圧を印加して使用する。このために特許文献1に記載のX線管装置では、陽極近傍に反跳電子を捕獲する電極(以下、コレクタと記す)を配置している。該X線管装置では、陽極から発生する反跳電子の軌道上にコレクタを配置することで、反跳電子の捕獲を行い、X線照射窓への入射を低減している。このときコレクタへ入射した反跳電子によりコレクタが発熱するため、コレクタを冷却する必要がある。このためにX線管を冷却するための冷媒とは別系統の冷媒を用いて冷却している。
また、特許文献2に記載のX線管装置のように、真空外囲器外部よりX線照射窓近傍にノズルを設け冷媒の流速を上げ、X線照射窓近傍の温度を低減することでろう付け部の熱応力を小さくしているものもある。
特開2007−134342号公報 特開2004−146295号公報
特許文献1に記載のX線管装置では、コレクタの冷却が必要となるため、コレクタ冷却用の冷媒を設ける必要がある。すなわち、コレクタを冷却するための機構をX線管装置に形成する必要があり、X線管装置の構造が複雑化してしまう。
また、特許文献2に記載のX線管装置では、流速を大きくするには限界があるため、陽極接地型X線管装置のように反跳電子の入射量が多い場合に、冷却能力が不足してしまうという可能性がある。
本発明はこれらの未解決の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、陽極から発生する反跳電子のX線照射窓への入射量を低減し、X線照射窓の機械的強度の信頼性を向上することが可能なX線管装置及びX線撮影装置を提供することである。
前記課題を解決すべく、電子ビームを放出する陰極と、前記電子ビームを衝突させ、該衝突位置を焦点位置とするX線ビームを発生させる陽極ターゲットと、前記X線ビームを取り出すX線照射窓とを備えたX線管装置であって、前記陽極ターゲットと前記X線照射窓を形成する部材との間に、絶縁物で形成される遮蔽体を形成したX線管装置である。
本発明によれば、陽極から発生する反跳電子のX線照射窓への入射量を低減し、機械的強度の信頼性を向上することができる。
本発明の実施形態1のX線管装置の概略構成を説明するための断面図である。 本発明の実施形態1のX線照射窓の概略構成を説明するための断面図である。 電子の入射エネルギーと絶縁物の帯電電荷との関係を説明するための二次電子放出効率グラフである。 本発明の実施形態2のX線管装置におけるX線照射窓の概略構成を説明するための図である。 本発明の実施形態3のX線管装置におけるX線照射窓の概略構成を説明するための図である。 本発明の実施形態4のX線管装置におけるX線照射窓の概略構成を説明するための図である。 本発明の実施形態5のX線CT装置の概略構成を説明するための図である。
以下、本発明が適用された実施形態の例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明は省略する。
〈実施形態1〉
図1は本発明の実施形態1のX線管装置の概略構成を説明するための断面図であり、実施形態1のX線管装置は陽極接地型回転陽極X線管装置である。なお、実施形態1のX線管装置においては、陽極ターゲット102の近傍に配置され、反跳電子を捕獲する電極(コレクタ)が不要である。また、後に詳述するX線照射窓105を除く構成は従来と同様の構成となっているので、詳細な説明は省略する。
図1に示すように、実施形態1のX線管装置は、陰極101、陽極ターゲット102、及びロータ103が高真空を維持するためのステンレス(SUS)製の真空外囲器104内に封入される構成となっている。真空外囲器104にはX線照射窓105が設けられ、当該真空外囲器104は管容器106内部に収納され、X線照射窓105に対応する位置に管容器106の窓部110が形成される構成となっている。すなわち、本発明の実施形態1のX線管装置は、管容器106と真空外囲器104との二重構造となっており、内部が真空に保持される真空外囲器104と管容器106との間には絶縁性の冷媒107が循環可能に封入される構成となっている。
陰極101は陰極支持体108によって支持される構成となっており、陰極101から放出される電子(熱電子)が電子ビームとして陽極ターゲット102の電子ビーム衝突面側に衝突する位置に固定される構成となっている。
陽極ターゲット102は、ロータ103と連結されて回転体を構成している。この回転体は、図示しない回転支持機構によって回転可能に支持されている。すなわち、回転支持機構の一端側に陽極ターゲット102の中心位置が配置される構成となっており、他端側にロータ103が配置される構成となっている。このような構成により、陰極101から放出される電子ビームが衝突する陽極ターゲット102の電子ビーム衝突面側の位置(電子ビームの衝突位置)を順次移動させる構成となっている。電子ビームが衝突した陽極ターゲット102には焦点が形成され、この焦点からX線(X線ビーム)が発生する。該X線ビームは真空外囲器104のX線照射窓105を通過した後に、管容器106に形成される窓部110を通過し、外部に照射される構成となっている。
ロータ103を囲む位置には、誘導磁界を発生するステータ109が配置されている。ステータ109の図示しないコイルには、誘導磁界を発生させるために約500Vの電圧が印加される構成となっており、絶縁が必要となる。そのため、管容器106内すなわち管容器106で囲まれる領域の内で真空外囲器104の領域内を除く領域は、例えば周知の絶縁油等の絶縁性の冷媒107が充填されており、該絶縁性の冷媒107を循環させることにより管容器1の内部で発生する熱を冷却する構成となっている。さらに、絶縁性の冷媒107を冷却するために、図示しない周知の外部冷却器が設けられている。
図2は本発明の実施形態1のX線照射窓の概略構成を説明するための断面図であり、以下、図2に基づいて実施形態1のX線照射窓の詳細構成を説明する。
図2に示すように、実施形態1のX線照射窓105は真空外囲器104の円形の開口部に絶縁部材201が配置される構成となっている。該絶縁部材201は一端側が開口され、該開口面と対向する他端側(底部側)の面が閉口された低い略円筒状の構成である。すなわち、側壁面が真空外囲器104の開口部と同じ円筒形状に構成され、開口側と底部側との内周側の大きさが同じとなるように、底部から側壁部が垂直に形成される構成となっている。また、開口部の辺縁部位は底部側に近い側よりも側壁部が厚くなるように形成されている。さらには、実施形態1のX線照射窓105では、側壁部の外周面側には外周面を1周する凸状部が形成される構成となっている。さらには、該凸状部よりも開口部に近い側の側壁部の厚さが底部に近い側よりも厚くなるように形成されている。
このような構成の絶縁部材201の開口側は真空外囲器104に固着され、真空外囲器104内の真空を保持する構成となっている。すなわち、実施形態1のX線照射窓105では、絶縁部材201にスリットが形成されない構成となっているので、真空側である真空外囲器104の内部側と外部側(冷媒107が充填される管容器106側)とを絶縁部材201で分離する構成となっている。
また、実施形態1のX線放射窓105では、例えばステンレス製の円筒状の支持部材202の一端側が絶縁部材201に固着される構成となっている。また、支持部材202の内周側にステンレス製の凹型形状(カップ形状)の凹型部材203が嵌合され、該凹型部材203も絶縁部材201に固着される構成となっている。さらには、支持部材202と凹型部材203とは溶接され、固着される構成となっている。
また、実施形態1のX線照射窓105では、凹型部材203の底面部にはスリット204が形成されており、該スリット204を塞ぐようにして凹型部材の内面にはBe(ベリリウム)製のX線照射窓部材205がろう付けされ、固着される構成となっている。特に、本願発明のX線管装置では、X線照射窓部材203として、X線の透過性は良好であるが、比重が軽く、部分的に加熱されると破損しやすい、すなわち溶接のように温度耐性が高い固着法を用いることができないBe(ベリリウム)を用いているので、ろう付けでの固着となっている。
また、実施形態1の絶縁部材201はセラミックスを用いて形成する構成としたが、これに限定されることはなく、アルミナやガラス等の蒸気圧が低く、高融点の絶縁体ならセラミックス以外でもよい。
次に、図3に電子の入射エネルギーと絶縁物の帯電電荷との関係を説明するための二次電子放出効率グラフを示し、以下、図1〜3に基づいて、実施形態1のX線管装置の動作を説明する。
ステータ109のコイルに電流が流され、ロータ103と共に陽極ターゲット102が回転すると共に、陰極101の図示しないフィラメントに加熱電流が流される。さらには、陰極101には負の高電圧が印可されと共に、陽極ターゲット102は接地電位に維持されることにより、陰極101から熱電子が飛び出し電子ビームとなり陽極ターゲット102に衝突することによりX線(X線ビーム)が発生する。このとき、陽極ターゲット102に衝突した電子の内で45%程度の電子は陽極ターゲット102での散乱等で反跳電子となり、該反跳電子の一部はX線照射窓105へ入射することとなる。
ここで実施形態1のX線照射窓105は絶縁部材201が陽極ターゲット102側に配置される構成となっているので、X線照射窓105に入射した反跳電子は絶縁部材201に入射することとなる。このとき、図3に示すように、絶縁物で形成される絶縁部材201は電子の入射エネルギーによって、帯電電荷が正または負となる。ここで、殆どの絶縁物の二次電子放出係数は、電子の入射エネルギーが数kV以上で1以下となる。一方、陽極ターゲット102から発生する反跳電子のエネルギーの殆どは数kV以上なので、絶縁部材201は負に帯電する。すなわち、絶縁部材201に所定量の電子が入射すると絶縁部材201が負に帯電するために、以降に入射しようとする反跳電子を反発させる効果を有することとなる。その結果、以降入射してくる反跳電子の絶縁部材201への入射量を低減すことができ、絶縁部材201自身の温度上昇を抑制することができる。ここで実施形態1では、陽極ターゲット102と凹型部材203及びX線照射窓部材205との間に絶縁部材201が配置される構成となっているので、凹型部材203及びX線照射窓部材205への反跳電子の入射量も低減させることができ、凹型部材203及びX線照射窓部材205の温度上昇も抑制することが可能となる。
また、実施形態1のX線管装置では、一端が絶縁部材201に接続され、他端が真空外囲器104に接続されるサージアレスタ206を備える構成となっている。該サージアレスタ206の動作は、サージ電圧による点弧後、抵抗が通常動作中の数GΩから1Ω未満の値まで瞬間的に切り換わることである。さらには、障害が消滅すると、再びもとの高インピーダンス状態に復帰する。周知のガス封入サージアレスタをサージアレスタ206として用いた場合には、電圧の立ち上がりでガスアレスタの放電開始電圧に達するまでの時間には、電流は流れず、ガスアレスタが点弧されると、グロー放電領域に入り、電圧はグロー電圧まで降下する。ガスアレスタに流れる電流がさらに増加すると、アーク放電領域へ移行する。アーク放電が終わると、グロー放電領域を経由して消弧する。サージアレスタのサージ電圧は一般的に数kVであるので、絶縁物の電位を高くするために複数を直列に接続し使用することにより、所望のサージ電圧を得ることが可能である。
実施形態1では前述のサージアレスタ206を用いるので、絶縁部材201の帯電量が許容値を越えた場合にはサージアレスタ206を介して絶縁部材201の沿面に帯電した電荷が放電され、絶縁破壊を防ぐことができる。なお、絶縁部材201の沿面に帯電した電荷を放電する手段として、サージアブソーバ等でもよい。
例えば、前述するように、陽極ターゲット102へ衝突した電子の約45%が反跳電子として反跳する場合、焦点面から等方的に反跳すると、X線放射窓105へ入射する反跳電子は立体角で決まりおよそ20%となる。X線照射窓105の近傍に絶縁部材201が形成されない従来のX線管装置では、X線の出力条件が120kV、250mAの場合、X線照射窓105へ入射するエネルギーは120kV×250mA×45%×20%=2.7kWとなる。
一方、X線照射窓105の近傍に比誘電率9のアルミナを用いたセラミックスの絶縁部材201を設けた実施形態1のX線管装置では、X線照射窓105へ入射した反跳電子の付着率を0.001%とすると、アルミナは20kV/sで電圧が上昇する。また、絶縁部材201沿面の電圧を最大30kV以下になるようにした場合、反跳電子の入射エネルギーは約2kWsとなり、従来のX線管装置のX線照射窓へ入射するエネルギーよりも約25%低減できる。なお、反跳電子の付着率はアルミナ表面の抵抗率によって決まり、該付着率は絶縁部材201の表面に付着させる金属膜の量などによって決定される。また、前述するように、実施形態1では絶縁部材201の最大電圧はサージアレスタ206によって制限を設ける構成である。従って、X線が照射している期間は絶縁部材201へ電子が供給されるため、絶縁部材201の電圧はサージアレスタ206で制限される30kVを維持することができる。
以上説明したように、実施形態1のX線管装置では、電子ビームを放出する陰極101と、電子ビームを衝突させ該衝突位置を焦点位置とするX線ビームを発生させる陽極ターゲット102と、X線ビームを取り出すX線照射窓105とを備え、陽極ターゲット102とX線照射窓105との間に絶縁物で形成される絶縁部材201をする構成となっているので、反跳電子が絶縁部材201に所定量入射すると当該絶縁部材201自身が負に帯電するために、以降に入射しようとする反跳電子を反発させる効果を有することとなり、以降入射してくる反跳電子の絶縁部材201及び凹型部材203並びにX線照射窓部材205への入射量を低減すことができ、絶縁部材201自身及び凹型部材203並びにX線照射窓部材205の温度上昇を抑制することができるので、X線照射窓のろう付け部分の機械的強度の信頼性を向上することができる。
なお、実施形態1のX線管装置においては、絶縁部材201の帯電に伴う沿面放電の発生を防止するために、サージアレスタ206を設け絶縁部材201沿面の電圧が沿面破壊電圧以下となるよう制御する構成としたが、これに限定されることなく、後述するように、絶縁部材201の電位を制御する又は絶縁部材201の沿面における絶縁耐力を向上させる等の方法を用いることにより、サージアレスタ206を設けることなく沿面放電の発生を防止できる。
〈実施形態2〉
図4は本発明の実施形態2のX線管装置におけるX線照射窓の概略構成を説明するための図であり、特に図4(a)はX線照射窓の上面図であり、図4(b)はX線照射窓の断面図である。以下、図4(a)(b)に基づいて実施形態2のX線管装置について説明する。ただし、実施形態2のX線管装置はX線放射窓105を形成する絶縁部材401の構成及びサージアレスタを用いない構成を除く他の構成は、実施形態1のX線管装置と同様の構成である。従って、以下の説明では、絶縁部材401の構成について詳細に説明する。
まず、前述の実施形態1の絶縁部材201上で発生する沿面放電について説明する。前述するように、絶縁部材201には反跳電子が入射し負の電位となる。このときの絶縁部材201の電位Vは平行平板コンデンサモデルで考えると、下記の式(1)となる。ただし、式(1)において、Qは帯電量、dは絶縁部材と陽極の距離、εは絶縁部材の誘電率、Sは絶縁部材の表面積である。
V=Qd/(εS) ・・・ 式(1)
この式(1)から絶縁部材201の電位Vは、入射電子の付着率、絶縁部材201の表面積により任意に設定することができることが分かる。実施形態2のX線管装置では、入射電子の付着率を制御することにより、絶縁部材401の帯電に伴う当該絶縁部材401表面における絶縁物電子付着量を制御し、絶縁部材401上での沿面放電を防止するものである。
次に、実施形態2のX線管装置における絶縁部材401の構成について説明する。図4(a)(b)に示すように、実施形態2の絶縁部材401は陽極ターゲット103側の平坦面部分である沿面に円弧形状の金属薄膜402a〜402cが形成される構成となっている。すなわち、実施形態2の絶縁部材401では、当該絶縁部材401への入射電子の付着率を制御する手段として、導電性を有する金属薄膜402a〜402cを用いるものである。
金属薄膜402a〜402cを絶縁部材401の陽極ターゲット103側に形成した場合、金属薄膜402a〜402cが形成される領域は導体領域となるので、例えば金属薄膜402a〜402cの幅を一定とした場合、金属薄膜402aと金属薄膜402bとの間隔、及び金属薄膜402bと金属薄膜402cとの間隔がそれぞれ小さくなるように金属薄膜を形成した時には電子付着率は低下し、間隔が大きくなるように形成した時には電子付着率は高くなる。なお、式(1)に示すように、絶縁部材401の電位は帯電量、絶縁部材と陽極の距離、絶縁部材の誘電率、及び絶縁部材の表面積等によって変化することとなるので、金属薄膜402a〜402cの太さや配置間隔は適宜実験等に基づいて決定するものである。
〈実施形態3〉
図5は本発明の実施形態3のX線管装置におけるX線照射窓の概略構成を説明するための図であり、特に図5(a)はX線照射窓の上面図であり、図5(b)はX線照射窓の断面図である。以下、図5(a)(b)に基づいて実施形態3のX線管装置について説明する。ただし、実施形態3のX線管装置はX線放射窓105を形成する絶縁部材501の構成及びサージアレスタを用いない構成を除く他の構成は、実施形態1のX線管装置と同様の構成である。従って、以下の説明では、絶縁部材501の構成について詳細に説明する。
実施形態3のX線管装置では、前述する式(1)に基づいて、絶縁部材201の沿面の表面積を制御することにより、絶縁部材501の帯電に伴う当該絶縁部材501上での沿面放電を防止するものである。以下、実施形態3のX線管装置における絶縁部材501の構成について説明する。
図5(a)(b)に示すように、実施形態3の絶縁部材501は、陽極ターゲット103側の面部分に同心円形状の段差502a〜502dが形成される構成となっている。すなわち、実施形態3の絶縁部材501では、当該絶縁部材501への入射電子の付着率を制御する手段として、段差502a〜502dを形成することにより、絶縁部材501の陽極ターゲット103に対向する側の表面積を増大させるものである。
特に、実施形態3のX線管装置では、図5(a)(b)に示すように、陽極ターゲット103側の面が中心部から離れるに従って段階的に同心円状に広がる形状、すなわち直径が異なる円柱を4個の円柱を重ね合わせたような形状とするものである。
絶縁部材201の陽極ターゲット103側の面である沿面を前述する形状とすることにより、平坦領域502aと平坦領域502b、及び平坦領域502bと平坦領域502cとの段差で形成される側壁面の分だけ、実施形態1の絶縁部材201よりも表面積を増加することができるので、絶縁部材501の帯電に伴う当該絶縁部材501表面における絶縁物電子付着量を増加させることが可能となり、絶縁部材501上での沿面放電を防止することが可能となる。
なお、前述する実施形態3のX線管装置における絶縁部材501では、テーパー状の段差を形成することによって、当該絶縁部材501の表面積を制御(増大)する構成としたが、これに限定されることはなく、表面に凹凸を形成することによっても沿面の表面積を増大させることができる。
また、セラミック表面を改質してセラミックの表面抵抗を制御する技術として、例えば周知のサンドブラスト処理等を行い絶縁部材501の表面抵抗を制御することにより、入射電子の付着率を制御して絶縁物電子付着量を制御し、絶縁部材501上での沿面放電を防止することも可能である。
また、実施形態3においても、式(1)に示すように、絶縁部材501の電位は帯電量、絶縁部材と陽極の距離、絶縁部材の誘電率、及び絶縁部材の表面積等によって変化することとなるので、平坦領域(段差)の数、及び段差の高低差は適宜実験等に基づいて決定するものである。
〈実施形態4〉
図6は本発明の実施形態4のX線管装置におけるX線照射窓の概略構成を説明するための図であり、特に図6(a)はX線照射窓の上面図であり、図6(b)はX線照射窓の断面図である。以下、図6に基づいて実施形態4のX線管装置について説明する。ただし、実施形態4のX線管装置はX線放射窓105を形成する絶縁部材601の構成及びサージアレスタを用いない構成を除く他の構成は、実施形態1のX線管装置と同様の構成である。従って、以下の説明では、絶縁部材601の構成について詳細に説明する。
実施形態4のX線管装置では、周知の技術を用いて絶縁部材201の表面形状を制御することにより、絶縁部材601の帯電に伴う当該絶縁部材601上での沿面放電の原因となる電子の流れを制御するものである。
実施形態4のX線管装置における絶縁部材601の構成について説明する。図6(a)(b)に示すように、実施形態4の絶縁部材601では、陽極ターゲット103側の平面部分である沿面に円形状の凹部603が形成される構成となっている。特に、実施形態4の絶縁部材601では沿面放電を防ぐ方法として、絶縁物(絶縁部材601)の電位を制御するのではなく、絶縁物沿面の絶縁耐力を向上することにより、沿面放電を回避するものである。すなわち、沿面放電は絶縁物上を電子が雪崩現象で増幅しながら移動することで発生するので、実施形態4では、その前駆現象となる少量の電子の移動を防ぐことで沿面の絶縁耐力を向上させるものである。
実施形態4の絶縁部材601では、沿面部602a、602bにおける電子が移動する際の軌道を阻害する凹部603を形成することにより、当該絶縁部材601の沿面絶縁耐力を向上させることができるので、絶縁部材601上での沿面放電を防止することができる。
なお、実施形態4のX線管装置では、絶縁部材601の平坦面に凹部603を形成することによって、当該絶縁部材601表面における沿面放電の原因となる少量の電子の移動を防止する構成としたが、これに限定されることはなく、絶縁部材601の平坦面に電子の移動を阻害する形状の凸部又は凹凸部を設ける構成としてもよい。
また、実施形態4においても、式(1)に示すように、絶縁部材601の電位は帯電量、絶縁部材と陽極の距離、絶縁部材の誘電率、及び絶縁部材の表面積等によって変化することとなるので、凹部の数及び形状は適宜実験等に基づいて決定するものである。
〈実施形態5〉
図7は本発明の実施形態5のX線CT装置の概略構成を説明するための図である。図7に示すX線CT装置は、X線管装置701を除く他の構成は従来のX線CT装置と同様の構成となる。なお、本発明のX線管装置の適用範囲はX線CT装置に限定されることはなく、他のX線撮影装置にも適用可能である。
図7から明らかなように、実施形態5のX線CT装置はX線ビームを発生する実施形態1〜4の何れかのX線管装置701と、該X線管装置701に対向配置されるX線検出器702とで撮影系が形成される。該撮影系は回転体703に収納され、該回転体703と共に高速回転される。また、回転体703には電源704、705と、錘706も収納される構成となっている。該回転体703は床面に立設される筐体707に回転可能に取り付けられ、モータ708により高速回転され、架台709に搭載される被検者712の周囲360度からの回転撮影を可能としている。
被検者712の周囲360度から撮影されたX線像は画像処理装置710で周知の再構成演算等が行われて被検者712の断層像や3次元像等が生成され、モニタ711に表示される。
このとき、実施形態5のX線CT装置では、本願発明の(実施形態1〜4)のX線管装置を用いる構成となっているので、多量のX線ビームを長時間出力することができる。その結果、被検者712のスキャン(CT撮影)に要する時間を短縮することが可能となり、心臓等の比較的動きの速い臓器であってもモーションアーチファクトを抑えた再構成画像を得ることができる。
さらには、被検者712のスキャン(CT撮影)に要する時間を短縮することが可能となるので、被検者712の負担を低減できると共に、より多くの被検者のX線CT撮影を行うことができる。
さらには、X線管装置701の重量を軽量化できるので、回転体703にかかる負荷を低減できるので、さらに高速に回転体703(撮影系)を回転させることが可能となり、さらなる撮影時間の短縮が可能となる。
また、実施形態1〜4のX線管装置を用いるので、X線CT装置本体の機械定な信頼性も向上させることができる。
なお、実施形態1〜4のX線照射窓では絶縁部材の底部にスリットを設けない構成としたが、これに限定されることはなく、底部にスリットを形成することにより、X線ビームはスリットを通してX線が照射されるので、絶縁部材であるセラミックス部による減衰の影響を受けることなくX線を照射することができる。
また、実施形態2〜4のX線管装置においてはサージアレスタを設けない構成としたが、これに限定されることはなく、実施形態1のX線管装置同様に、サージアレスタを設けてもよい。この場合、サージアレスタは補助的な役割となる。
さらには、本願発明のX線管装置は陽極接地型X線管装置であり、従来の中性点接地型X線管装置に比較すると、陽極接地型X線管装置では陰極のみに−150Vを印可し、他の構成部位の電位はアース電位となるので、陰極から放出される電子が陽極ターゲットに衝突するのみならず、様々な部位に電子が反跳電子として入射し、従来よりも他の構成部品を加熱してしまう。このため、陽極接地型X線管装置に本願発明を適用した場合に、前述した顕著な効果を得ることができる。しかしながら、本願発明の適用対象は陽極接地型X線管装置に限定されることはなく、中性点接地型X線管装置にも適用可能である。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記発明の実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記発明の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
101・・・陰極、102・・・陽極ターゲット、103・・・ロータ
104・・・真空外囲器、105・・・X線照射窓、106・・・管容器
107・・・冷媒、108・・・陰極支持体、109・・・ステータ
110・・・窓部、201・・・絶縁部材、202・・・支持部材
203・・・凹型部材、204・・・スリット204、205・・・X線照射窓部材
206・・・サージアレスタ、401・・・絶縁部材
402a〜402c・・・金属薄膜、501・・・絶縁部材
502a〜502d・・・段差、601・・・絶縁部材
602a、602b・・・沿面部、603・・・凹部、603、701・・・X線管装置
702・・・X線検出器、703・・・回転体、704、705・・・電源
707・・・筐体、708・・・モータ、709・・・架台、710・・・画像処理装置
711・・・モニタ、712・・・被検者

Claims (4)

  1. 電子ビームを放出する陰極と、前記電子ビームを衝突させ、該衝突位置を焦点位置とするX線ビームを発生させる陽極ターゲットと、前記X線ビームを取り出すX線照射窓とを備えたX線管装置であって、
    前記陽極ターゲットと前記X線照射窓を形成する部材との間に、絶縁物で形成される遮蔽体を形成したことを特徴とするX線管装置。
  2. 請求項1に記載のX線管装置において、
    前記遮蔽体の表面における沿面電位を制御する手段を備えることを特徴とするX線管装置。
  3. 請求項1又は2に記載のX線管装置において、
    前記遮蔽体は、当該遮蔽体の保持電荷を所定値以下に保持する手段を備えることを特徴とするX線管装置。
  4. 請求項1乃至3の内の何れか1項に記載のX線管装置と、該X線管装置と対向配置されるX線検出手段とを備えることを特徴とするX線撮影装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP3747100B1 (en) * 2018-01-30 2022-03-16 Hitachi Energy Switzerland AG Surge arrestor dimensioning in a dc power transmission system

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