JP2014067665A - X線管装置及びこれを用いたx線診断装置 - Google Patents

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慶二 小▲柳▼
Shigeru Tachiki
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Abstract

【課題】 安価に、放電を好適に抑制したX線管装置を提供する。
【解決手段】 熱電子を放出するフィラメントを含む陰極と、該陰極に対向して配置され、前記熱電子を受けてX線を放射する焦点を形成するターゲットを含む陽極と、前記陰極および前記陽極とを真空気密に封入する外囲器と、該外囲器を、絶縁油で浸漬して収容するX線管容器を備えたX線管装置において、前記外囲器にヒーターを設置して、外囲器を加熱する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、X線管装置及びこれを用いたX線診断装置に係り、特に、X線管装置に生じる放電を好適に抑制する技術に関する。
X線管装置に備えられる陽極には、固定されたものと、回転されるものと2つのタイプがあり、研究用、工業用、医療用等に広く用いられている。固定陽極X線管装置は、陽極として機能をするターゲットが、回転しないものであり、高真空のガラスバルブと、その内部に配置されたフィラメントと、フィラメントに対向して配置されたターゲット等から構成されている。フィラメントは陰極として、ターゲットは陽極として機能する。
一方、回転陽極X線管装置は、陽極として機能するターゲットを回転(2000rmp〜9000rmp程度)させるもので、ターゲット上での電子線照射部位を分散させ、ターゲット上での局所的な発熱を抑えるものである。
X線管装置において、外囲器の内部をはうように発生する放電を抑制する技術として、特許文献1記載の従来技術がある。特許文献1ではより具体的に、電子線による帯電を軽減するために、ガラスバイブ表面に二次電子係数の異なる物質を配置している。
特開2007-179866号公報
しかしながら、上記従来技術では、ガラスバルブ表面に更に、二次電子係数の異なる物質を配置するため、構造が複雑になり製造するのにコストがかかる問題点があった。
本発明の目的は、安価に、放電を好適に抑制したX線管装置及びこれを用いたX線診断装置を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明に係るX線管装置では、外囲器にヒーターを設置して、外囲器を加熱する機構を備える。
本発明によれば、安価に、放電を好適に抑制したX線管装置及びこれを用いたX線診断装置を提供することができる。
本発明のX線管装置の基本構成の概略を示す図 スタータの構造を説明する図
以下、添付図面に従って本発明のX線管装置について説明する。なお、発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符合を付け、その繰り返しの説明は省略する。
図1は、本発明のX線管装置の基本構成の概略を示す図である。
本発明の実施例に係るX線管装置は、X線管を内部に備える。X線管は、熱電子を放出する陰極1と、この陰極1に対向して配置された陽極2と、陰極1と陽極2を真空気密に封入する外囲器3と、を備えている。
陰極1は、熱電子を放出するフィラメントと、このフィラメントからの熱電子を集束する集束溝部を有する集束体とを備え、フィラメントは集束溝部内に取り付けられている。
陽極2は、陰極1のフィラメントからの熱電子が衝突してX線を発生する傘型のターゲット4と、ターゲット4を支持するロータ5と、ロータ5を軸受けを介して回転自在に支持する固定部6とを、具備する。
そして、X線管装置は、上述したX線管と、これを内包する防X線、防電撃構造のX線管容器7と、X線管の陽極端を絶縁支持する陽極側支持体8と、X線管の陰極側を外囲器の部分にて絶縁支持する陰極側支持体(図示せず)と、X線管のロータの外周に配置され、回転陽極に回転力を付与するステータコイル13と、X線管の回転陽極及び陰極に高電圧を導くためのケーブルレセプタクル(図示せず)と、X線管を絶縁し、冷却するための絶縁油10と、X線管で発生したX線を外部に取り出すためのX線放射窓11などから構成される。
このようなX 線管装置においては放電抑制性能が求められており、これは特にX線透視・撮影装置など医療用機器に、X線管装置を用いた場合に、装置の信頼性を大幅に向上させる課題の一つである。その理由は次のとうりである。
すなわち、X線発生装置において放電が発生すると、放電電荷による電流(Ia)とX線管の管電流(Ib)の和(Ia+Ib)が総管電流として検出される。このとき、放電電荷による電流(Ia)はX線発生には寄与しない。X線管の動作は総管電流の検出された値に基づいて制御されるため、放電電荷による電流が流れると所望のX線出力が得られず一時的に動作不安定となる。このことから、安定したX線出力を得るためにはX線管球内で発生する放電を抑制することが必要となるのである。
一方、真空中の電圧印加電極間における放電は下記のような過程で発生すると考えられている。すなわち、電子銃などから飛来した電子が絶縁物表面に衝突し、飛来した電子より多数の二次電子が発生した場合に絶縁体表面は正に帯電する。入射電子数と放出される二次電子数の比(二次電子数/入射電子数) は二次電子放出係数と呼ばれ、物質固有に異なる値を持っている。X 線管球の外囲器に使用されるガラスも含め、絶縁体の二次電子放出係数は一般的に1より大きいため、正に帯電する。このとき、正に帯電した絶縁物表面と陰極の間に電界強度が上昇して絶縁物の絶縁耐力を超えた時、陰極から電子が電界放出されるのを発端として放電が発生する。以上より、絶縁体表面に生じる正帯電を抑制すれば、放電が抑制されることになる。
反対に、電子が絶縁物表面に衝突した時のエネルギーが高い場合には二次電子は放出されず、衝突電子は絶縁物内部に侵入し留まる。この場合、負電荷がとどまることになるので負に帯電する。正帯電の時と同様に負に帯電した絶縁物表面と陽極間で電界強度が上昇し、絶縁耐力を超えた時、放電が発生する。
一方、X線管装置における外囲器を構成するガラスバルブは電気抵抗が温度によって変化する性質を持つ。すなわち温度の変化によって、絶縁耐力が変化するのである。そのためX線管装置の稼動直後のまだガラスバルブの温度が低い時に使い始めると、すぐ帯電し、結果として放電してしまうのである。
一般的に放電の抑制は、絶縁部の絶縁距離を長くとり電界を低減することにより図られるが、これではX 線管装置の大型化を伴う。絶縁部の絶縁距離を変えずに若しくは短くしたまま放電抑制するためには絶縁体の絶縁耐力を向上させることが必要である。
本発明の実施例1を説明する。実施例1では、外囲器3を構成するガラスバルブの温度を上昇させるために、ヒーター12を外囲器3に沿って追加した。ただし、管球の陽極と陰極には高電圧が印加されるため、付加するヒーターはセラミックヒータのように絶縁物で覆われているものを用いる。また、ガラスバルブの温度分布に著しい不均一が生じると熱応力のために割れる可能性があるため、ヒータ12はガラスバルブ全体を暖められるよう配置する。そして、外部から導かれるヒーター12を制御するためにリード線は、一端がX線管装置の外部に出るようにしておく。これは、フィラメントやステータコイル等のリード線と共に外に出るようにすれば良い。
実施例1の動作について説明する。医療現場においては、夜間等におけるX線診断装置の休止中はX線管装置全体は常温となる。使用開始後、X線管装置はX線曝射により発熱するため、使用とともにX線管各部の温度は上昇する。又、X線曝射時に管内の電子線のためにガラスバルブは帯電する。したがって使用開始直後は、まだガラスバルブ温度が上がらないうちに帯電する。これが使用とともに陽極及び陰極に電圧が印加され放電に至ってしまうことは課題に述べたとおりである。この現象を防ぐために本発明では、管球に付加したヒータでガラスバルブの温度を上げてから使用を開始する。それにより、ガラスバイブ(外囲器)は使用開始時に高い温度となっているため抵抗が低くなっているため、使用開始時に帯電することがない。使用開始時に帯電していないため、これにより放電が発生するのを防ぐことができる。
一方、X線曝射中は自身の発熱で温度が上がるためヒータによる加熱を行なわなくても良い。この制御はX線診断装置から行う。例えばX線装置の電源投入とともに加熱を開始するように制御すれば、患者のセットアップの時間中に温度が上昇するためX線曝射開始時には温度が上がっていることになる。
第二の実施例を説明する。実施例2は、回転陽極X線管装置において用いられるステータコイル13を用いる方法である。
ステータコイル13の駆動はX線装置に備えられたスタータ9によって行われる。図2に示したスタータ9の構造を説明する図によれば、スタータ9には、主コイル14と補助コイル15の位相をずらす進相コンデンサ16が、図の例では2個備えてある。これは例えば50Hzと180Hzの2通りで制御する場合に用いられる例である。
このスタータ9によりステータコイル13に通電することで絶縁油10の温度を上昇させることができ、間接的にガラスバルブ3の温度を上げることができる。この時、ステータコイル13に通電すると回転陽極が回転する。絶縁油温度を上げるのが目的であるから陽極が回転してしまうのは避けたい。そこで本実施例では、図2中破線で示した加熱制御切替スイッチ17を設けて、加熱時にはステータコイル13を駆動させるスタータ9の進相コンデンサの配線を短絡し陽極の回転磁界が発生しないようにし、使用時には通常配線に切替えるように制御する。
実施例1と同様に使用開始前にステータコイル13に通電を行い絶縁油を介してガラスバルブ3を加熱し、X線管装置を実際に使用する時にはステータコイル13の配線をターゲットの回転に用いられるように切替るように制御を行えば良い。
本発明は、X線管装置及びこれを用いたX線診断装置に利用することができる。
12 ヒーター

Claims (3)

  1. 熱電子を放出するフィラメントを含む陰極と、該陰極に対向して配置され、前記熱電子を受けてX線を放射する焦点を形成するターゲットを含む陽極と、前記陰極および前記陽極とを真空気密に封入する外囲器と、該外囲器を、絶縁油で浸漬して収容するX線管容器を備えたX線管装置において、前記外囲器にヒーターを設置して、外囲器を加熱することを特徴とするX線管装置。
  2. 熱電子を放出するフィラメントを含む陰極と、該陰極に対向して配置され、前記熱電子を受けてX線を放射する焦点を形成するターゲットを含む陽極と、前記陰極および前記陽極とを真空気密に封入する外囲器と、該外囲器を、絶縁油で浸漬して収容するX線管容器と、前記ターゲットを回転させる回転部を備えた回転陽極のX線管装置であって、該回転陽極のX線管装置のステータコイルを通電することにより、前記外囲器の外側に配置された絶縁油を介して前記外囲器を加熱する通電部を備えたことを特徴とする回転陽極のX線管装置。
  3. 前記ヒーターの通電を制御するヒーター制御部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のX線管装置を備えたX線診断装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN107371313A (zh) * 2016-05-11 2017-11-21 上海西门子医疗器械有限公司 用于加热x射线管的系统和x射线成像设备
WO2019127599A1 (en) * 2017-12-31 2019-07-04 Shanghai United Imaging Healthcare Co., Ltd. Radiation emission device

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