JP2010185844A - 表面形状測定方法およびこれを用いた装置 - Google Patents

表面形状測定方法およびこれを用いた装置 Download PDF

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将 杉山
Tatsuya Yokota
達也 横田
Eiko Ogawa
英光 小川
Katsuichi Kitagawa
克一 北川
Kazuyoshi Suzuki
一嘉 鈴木
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Abstract

【課題】平面上の凹凸段差、曲面などが混在する測定面を有する測定対象物の表面高さおよび表面形状を高速かつ精度よく求める。
【解決手段】干渉縞を発生させて撮像した測定対象物の表面画像において、明部と暗部の組みからなる干渉縞の一周期ごとに輝度レベルが最大の画素と輝度レベルが最小の画素を選択する。選択された各画素の光の強度値とその近傍の画素の強度値を利用し、各画素に含まれる干渉縞波形の直流成分、交流振幅、および位相が等しいと仮定、位相を求め、高さを求める。この高さから測定対象物全体の高さを補間で求め、表面高さ、および表面形状を求める。
【選択図】図2

Description

本発明は、単色光を用いて非接触で測定対象物の表面形状を測定する技術に関し、特に、半導体ウエハ、液晶パネル、プラズマディスプレイパネル、磁性体フィルムなどの測定対象物の凹凸、あるいは平面と曲面とが混在する測定対象物の表面形状を測定する。
従来、測定対象面の表面形状測定方法は、次のようにして行われている。単色光源から出力される単色光を分岐手段を介して分岐された光の進行方向に対して任意角度の斜め傾斜姿勢で配備された参照面と測定対象面とに照射し、当該測定対象面と当該参照面の両方から反射して同一光路を戻る反射光によって生じる干渉縞を1回撮像する。この撮像により取得した画像データから対応する各画素が検出した光の強度値g(x)が求められる。ここで、各画素が検出した光の強度値g(x)から所定画素に対応する位相を求めるために以下の式を利用する。
g(x) = a( x )+b( x )cos{2πfx+φ( x )}
なお、a( x )は光の強度値g(x)を有する干渉縞波形に含まれる直流成分、b( x )は干渉縞波形に含まれる交流振幅、fは光の強度値g(x)の空間周波数成分、φ( x )は測定対象面の所定画素に対応する位相である。
位相φ(x)を求める方法としては、各画素の強度値とその近傍の複数画素の強度値とを利用し、それらの画素における干渉縞波形の直流成分、交流振幅、および位相が等しいと仮定し、各画素の位相を求めている。
さらに、各画素の位相から撮像された測定対象面の表面高さを求め、これら画素の高さから測定対象物の表面形状を求めている。
国際特許出願 PCT/JP2007/051268
上記方法は、真っ平ら、あるいは矩形の凹凸段差を有する測定対象物の表面を測定するのに有効に機能する。
しかしながら、平坦あるいは矩形の凹凸以外に曲面や凸部の低部から隆起開始の部分、凸部のエッジ部分などの丸みを帯びた部分、および傾斜面が混在するような測定対象物では、各画素の位相を正確に求めることができず、表面高さおよび表面形状を正確に求めることができないといった問題がある。
そこで、発明者らは、当該問題の発生原因を解析する実験や演算によるシミュレーションを繰り返し行い、かつ、鋭意検討した結果、以下のような知見を得ることができた。
すなわち、1回の撮像で取得した画像の画素ごとから得られる光の強度値において、その近傍画素の有する干渉縞波形の直流成分、交流成分、および位相が等しいとする仮定が崩れ、当該問題が発生していることが分かった。
そこで、発明者達は、先ず、曲面などを有する測定対象物の高さを、図5(a)に示すように、シミュレーションまたは実験で任意に決定した。この高さは、CCDカメラで撮像して得た干渉縞波形の位相との間に相関関係を有するので、当該関係を利用して各画素の高さの値から位相を理論的に求めた。さらに、この求めた位相から撮像画像の輝度分布をも理論的に求めた。
一方、この輝度分布に対して従来方法を利用して演算により位相を求めると、発明者達の期待に反してシミュレーションなどにより任意に決定した高さから求まる位相と異なることが分かった。
それ故に、この従来方法で求めた位相から測定対象物の高さを演算により求めると、その実演算高さは、図5(c)の鎖線で示す任意設定高さに対して細かな振幅の複数の波形となり一致しないことが分かった。
そこで、図5(c)に示される結果から実演算高さの中には任意設定高さと一致する画素があることに着目し、これら一致する高さの値をとる画素と干渉縞波形との相関関係を分析した結果、曲面などであっても従来方法により求めた位相と任意決定した高さから求めた位相とが一定の周期で一致することが分かった。
すなわち、図5(b)に示すように、グラデーションのかかった明部と暗部からなる干渉縞の一周期の中で、最も明るい画素と最も暗い画素のみが近傍画素の位相と等しいことが分かった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、測定対象物の表面の状態に関わらず表面高さおよび表面形状を高速かつ精度よく求めることのできる表面形状測定方法およびこれを用いた装置を提供することを主たる目的としている。
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、第1の発明は、単色光源から出力される単色光を分岐手段を介して測定対象面と参照面とに照射し、測定対象面と参照面の両方から反射して同一光路を戻る反射光によって生じる干渉縞の強度値に基づいて測定対象面の表面高さと表面形状を求める表面形状測定方法において、
前記参照面を光の進行方向に対して任意角度の斜め傾斜姿勢に配置した状態で発生させた干渉縞の画像を取得する第1過程と、
取得した前記画像における各画素の干渉縞の強度値を求める第2過程と、
連続する暗部と明部からなる干渉縞の一周期ごとに最も明るい部分と最も暗い部分の画素を位相計算画素として選択する第3過程と、
選択した前記画素ごとについて、画素の強度値とその近傍の複数画素の強度値とを利用し、それらの画素における干渉縞波形の直流成分、交流振幅、および位相が等しいと仮定し、予め決めた干渉縞波形を求める表現式を利用して各画素の位相を求める第4過程と、
求めた前記各画素の位相から撮像された測定対象面の表面高さを求める第5過程と、
選択した前記画素間に存在する非選択の画素の表面高さを補間する第6過程と、
求めた前記測定対象面の表面高さから表面形状を求める第7過程と、
を備えたことを特徴とする。
(作用・効果) この方法によれば、参照面を光の進行方向に対して任意角度の斜め傾斜姿勢で配備することにより、測定対象面と参照面から同一光路を戻る反射光により干渉縞を発生させる。この干渉縞の強度値を画素単位で求め、連続するグラデーションのかかった暗部と明部からなる干渉縞の一周期ごとに最も明るい部分と最も暗い部分の画素を位相計算画素として選択する。このとき、干渉縞波形の直流成分、交流振幅、および位相が等しいと仮定し、予め決めた干渉縞波形を求める表現式を利用して各画素の位相を求める位相計算を行う際に、位相計算範囲である位相を求める画素とその近傍の複数画素において実際には位相が等しくない場合は算出される位相には誤差が生じるが、選択画素では位相計算範囲で実際には位相が等しくない場合であっても位相の計算による誤差が生じない。
これら選択された画素ごとについて、光の強度値とその近傍の複数画素の強度値とを利用し、それらの画素における干渉縞波形の直流成分、交流振幅、および位相が等しいと仮定し、予め決めた干渉縞波形を求める表現式を利用して各画素の位相を求める。このとき、各画素における直流成分および交流振幅をキャンセルすることができ、空間周波数成分を除去するためのローパスフィルタ処理を施す必要がなくなる。これによって、ローパスフィルタ処理の影響で発生する空間分解能の低下を回避することができる。つまり、曲面部分の曲率を正確に求めることができるとともに、急峻な箇所のエッジ部分も正確に求めることができる。
求めた各画素の位相から撮像された測定対象面の表面高さを求める。この時点で、求めた表面高さを測定方向、例えばXY平面の1軸に沿って画素ごとにプロットすると、非選択の画素の表面高さが求められていない。そこで、選択した画素間を、例えば線形補間して非選択画素の表面高さを求める。さらに、これら求めた表面高さから測定対象物の表面全体あるいは所定領域の表面形状を求める。
上述のように、フーリエ変換や逆変換、フィルタリング処理のような複雑な演算処理を利用する必要がなく、かつ、撮像範囲に含まれる全画素の中から特定画素について位相を求めればよいので、計算負荷が軽減され、処理時間を短縮することができる。すなわち、作業効率の向上を図ることができる。
なお、上記発明の測定方法において、求める前記位相は、各画素の強度値g(x)を画素の近傍で干渉縞波形の表現式である g(x) = a+bcos{2πfx+φ( x )} にフィッティングさせることから求めるのが好ましい。
この測定方法によれば、各画素の強度値g(x)を画素の近傍で干渉縞波形の表現式である g(x) = a+bcos{2πfx+φ( x )} にフィッティングさせることにより、各画素の位相を容易に求めることができる。すなわち、簡素な演算式を利用することにより、上記第1の発明を好適に実施することができる。
また、この発明は、上記目的を達成するために次のような構成をとる。
すなわち、単色光源から出力される単色光を分岐手段を介して測定対象面と参照面とに照射し、測定対象面と参照面の両方から反射して同一光路を戻る反射光によって生じる干渉縞の強度値に基づいて測定対象面の表面高さと表面形状を求める表面形状測定装置において、
前記参照面は、光の進行方向に対して任意角度の斜め傾斜姿勢で配備されており、
前記単色光が照射されて測定対象物と参照面とから反射して同一光路を戻る反射光によって干渉縞を生じさせて測定対象面を撮像する撮像手段と、
撮像された前記測定対象面を画素ごとに干渉縞の強度値として取り込むサンプリング手段と、
前記サンプリング手段によって取り込まれた前記強度値である干渉縞強度値群を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された強度値群から画素ごとに強度値を読み出して連続する暗部と明部からなる干渉縞の一周期ごとに最も明るい部分と最も暗い部分の画素を選択し、
選択した各画素の強度値と画素ごとにその近隣にある画素の強度値を利用し、各画素に含まれる干渉縞波形の直流成分、交流振幅、および位相が等しいと仮定するとともに、干渉縞波形を求める表現式を利用して各画素の位相を求め、
前記各画素の位相から各画素の表面高さを求め、
選択した前記画素間に存在する非選択の画素の表面高さを補間して求め、
この求めた全画素の位相から撮像された測定対象面の表面高さを求め、
この求めた前記測定対象面の表面高さから表面形状を求める演算手段と、
を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、参照面は、光の進行方向に対して任意角度の斜め傾斜姿勢で配備されている。撮像手段は、単色光が照射されて測定対象物と参照面とから反射して同一光路を戻る反射光によって干渉縞を生じさせて測定対象面を撮像する。サンプリング手段は、撮像された前記測定対象面を画素ごとに干渉縞の強度値として取り込む。記憶手段は、サンプリング手段によって取り込まれた強度値である干渉縞強度値群を記憶する。演算手段は、記憶手段に記憶された強度値群から画素ごとに強度値を読み出して連続する暗部と明部からなる干渉縞の一周期ごとに最も明るい部分と最も暗い部分の画素を選択し、選択した各画素の強度値と画素ごとにその近隣にある画素の強度値を利用し、各画素に含まれる干渉縞波形の直流成分、交流振幅、および位相が等しいと仮定するとともに、干渉縞波形を求める表現式を利用して選択した各画素の位相を求め、各画素の位相から各画素の表面高さを求め、選択した前記画素間に存在する非選択の画素の表面高さを補間して求め、この求めた全画素の位相から撮像された測定対象面の表面高さを求め、この求めた前記測定対象面の表面高さから表面形状を求める。
つまり、連続する暗部と明部からなる干渉縞の一周期ごとに最も明るい部分と最も暗い部分の画素を選択し、選択した各画素のみ位相計算画素として位相を計算しているので、位相計算範囲において実際には位相が等しくない場合においても位相の計算による誤差が生じない。したがって、曲面部分や急峻な箇所のエッジ部分の高さを正確に求めることができる。すなわち、上記第1の発明を好適に実現することができる。
なお、この測定装置において、演算手段は、各画素の強度値g(x)を画素の近傍で干渉縞波形の表現式である g(x) = a+bcos{2πfx+φ} にフィッティングさせることから求めることが好ましい。
この構成によれば、各画素の強度値g(x)を画素の近傍で干渉縞波形の表現式である g(x) = a+bcos{2πfx+φ( x )} にフィッティングさせることにより、各画素の位相を容易に求めることができる。すなわち、上記測定方法を好適に実現することができる。
本発明の表面形状測定方法およびこれを用いた装置によれば、干渉縞波形の直流成分、交流振幅、および位相が等しいと仮定して予め決めた干渉縞波形を求める表現式を利用して各画素の位相を求める位相計算を行う際に、画素の強度値とその近傍の複数画素において実際には位相が等しくない場合であっても、連続する暗部と明部からなる干渉縞の一周期ごとに最も明るい部分と最も暗い部分の画素では誤差の無い位相を求めることができる。
また、各画素の高さを補間することにより測定対象物の正しい表面高さを求めることができる。したがって、画素の強度値とその近傍の複数画素において実際には位相が等しくない場合である傾斜面や曲面などにおいても測定対象物の表面高さを正しく求めることができる。
さらに、撮像範囲に含まれる全画素から限定された画素のみを利用して位相計算がされるので、計算負荷が小さくなり短時間で測定対象物の表面高さを求めることができる。
本実施例に係る表面形状測定装置の概略構成を示す図である。 表面形状測定装置における処理を示すフローチャートである。 測定対象面の撮像画像データを示す図である。 撮像画像のX軸方向輝度変化を示す図である。 (a)はシミュレーションなどにより任意に決定した測定対象物の高さ分布を示す図、(b)は(a)の測定対象物を先行技術文献で発明された装置で撮像した場合の輝度の分布状態を理論計算した結果を示す図、(c)は(b)の輝度分布情報をもとに先行技術文献で発明された方法で高さ分布を計算した結果と、(a)の高さ分布との比較結果を示す図である。 sinφとcosφの符号情報を利用してφの範囲を特定できることを示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。なお、本実施例では、平坦な表面に丸みを帯びた凹凸が混在する測定対象物のその表面高さ、およびその表面形状を、干渉縞を利用して測定する表面形状測定装置を例に採って説明する。
図1は、本発明の実施例に係る表面形状測定装置の概略構成を示す図である。
この表面形状測定装置は、半導体ウエハ、ガラス基板、金属膜などの表面に微細な凹凸段差および曲面、並びに丸みを帯びた凹凸段差の混在した略平坦な測定対象物30に特定波長帯域の単色光を照射する光学系ユニット1と、光学系ユニット1を制御する制御系ユニット2とを備えて構成されている。
光学系ユニット1は、測定対象面30Aおよび参照面15に照射する光を発生させるための光源である白色光源10と、白色光源10から白色光を平行光にするコリメートレンズ11と、特定周波数帯域の単色光だけを通過させるバンドパスフィルタ12と、バンドパスフィルタ12を通過した光を測定対象物30の方向に反射する一方、測定対象物30の方向からの光を通過させるハーフミラー13と、ハーフミラー13で反射されてきた単色光を集光する対物レンズ14と、対物レンズ14を通過してきた単色光を、参照面15へ反射させる参照光と、測定対象面30Aへ通過させる測定光とに分けるとともに、参照面15で反射してきた参照光と測定対象面30Aで反射してきた測定光とを再びまとめて干渉縞を発生させるビームスプリッタ17と、参照光と測定光とがまとめられた単色光を結像する結像レンズ18と、干渉縞とともに測定対象面30Aを撮像するCCDカメラ19とを備えて構成されている。なお、CCDカメラ19は、本発明の撮像手段に相当する。
白色光源10は、例えばハロゲンランプなどであり、比較的広い周波数帯域の白色光を発生させる。この白色光源10から発生された白色光は、コリメートレンズ11によって平行光とされ、バンドパスフィルタ12を通過することによって特定周波数帯域の単色光となり、ハーフミラー13に向かう。
ハーフミラー13は、コリメータレンズ11からの平行光を測定対象物30の方向に向けて反射する一方、測定対象物30の方向から戻ってきた光を通過させるものである。このハーフミラー13で反射された特定周波数帯域の単色光は、対物レンズ14に入射する。
対物レンズ14は、入射してきた光を図示されていない焦点Pに向けて集光するレンズである。この対物レンズ14によって集光される光は、ビームスプリッタ17に到達する。
ビームスプリッタ17は、対物レンズ14で集光される光を、参照面15で反射させる参照光と、測定対象面30Aで反射させる測定光とに分ける。また、各面で反射して同一光路を戻る参照光と測定光とを再びまとめることによって、干渉を発生させるものである。ビームスプリッタ17に達した光は、ビームスプリッタ17の面で反射された参照光と、ビームスプリッタ17を通過する測定光とに分けられ、その参照光は参照面15に達し、その測定光は測定対象面30Aに達する。
参照面15は、参照光の進行方向に対して前後斜め傾斜姿勢で取り付けられている。この参照面15によって反射された参照光は、ビームスプリッタ17に達し、さらに、この参照光はビームスプリッタ17によって反射される。
参照面15を参照光の進行方向に対して前後斜め傾斜姿勢で取り付けることにより、参照光の到達距離および反射光がCCDカメラ19に到達するまでの距離が、その反射面の位置によって変化する。これは参照面15を移動して、参照面15とビームスプリッタ17との間の距離L1を変動させるのと等価である。したがって、1回の撮像で干渉縞を発生させた画像の取得を可能にする。
ビームスプリッタ17を通過した測定光は、焦点に向けて集光され、測定対象面30Aで反射する。この反射した測定光は、ビームスプリッタ17に達して、そのビームスプリッタ17を通過する。
ビームスプリッタ17で、参照光と測定光とが再びまとまる。このとき、参照面15とビームスプリッタ17との間の距離L1と、ビームスプリッタ17と測定対象面30Aとの間の距離L2との違いによって光路差が生じる。この光路差に応じて、参照光と測定光とは干渉する。この干渉が生じた状態の光は、ハーフミラー13を通過し、結像レンズ18によって結像されて、CCDカメラ19に入射する。
CCDカメラ19は、測定光によって映し出される測定対象面30Aの画像を撮像する。このとき、参照面15が傾いていることにより、撮像された測定対象面30Aの画像には干渉による輝度の空間的な変動である干渉縞が撮像される。この撮像した画像データは、制御系ユニット2によって収集される。また、後述で明らかになるが、制御系ユニット2の駆動部24によって、所望する撮像箇所へ光学系ユニット1を図1中のx,y,z軸方向に移動させる。また、CCDカメラ19によって、所定のサンプリングタイミングで測定対象面30Aの画像が撮像され、その画像データが制御系ユニット2によって収集される。
制御系ユニット2は、表面形状測定装置の全体の統括的な制御や、所定の演算処理を行うためのCPU20と、CPU20によって逐次収集された画像データやCPU20での演算結果などの各種のデータやプログラムを記憶するメモリ21と、サンプリングタイミングや撮像エリアなどその他の設定情報を入力するマウスやキーボードなどの入力部22と、測定対象面30Aの画像などを表示するモニタ23と、CPU20の指示に応じて光学系ユニット1を上下左右に移動するように駆動させる、例えば、3軸駆動型のサーボモータなどの駆動機構で構成される駆動部24を備えるコンピュータシステムで構成されている。なお、CPU20は、本発明における演算手段に、メモリ21は本発明における記憶手段にそれぞれ相当する。
CPU20は、いわゆる中央演算処理装置であって、CCDカメラ19、メモリ21および駆動部24を制御するとともに、CCDカメラ19で撮像した干渉縞を含む測定対象面30Aの画像データに基づいて、測定対象物30の表面高さを求める演算処理を行うための画素選択部25、位相算出部26、画素高さ算出部27、補間処理部28および画像データ作成部29を備えている。このCPU20における画素選択部25、位相算出部26、補間処理部28および画像データ作成部29の処理については後述する。さらに、CPU20には、モニタ23と、キーボードやマウスなどの入力部22とが接続されており、操作者は、モニタ23に表示される操作画面を観察しながら、入力部22から各種の設定情報の入力を行う。また、モニタ23には、測定対象面30Aの表面画像や凹凸形状などが数値や画像として表示される。
駆動部24は、所望する撮像箇所へ例えば光学系ユニット1を図1中のx,y,z軸方向に移動させる装置である。この駆動部24は、CPU20からの指示によって光学系ユニット1をx,y,z軸方向に駆動する例えば3軸駆動型のサーボモータを備える駆動機構で構成されている。なお、本実施例では、光学系ユニット1を動作させるが、例えば測定対象物30が載置される図示していないテーブルを直交3軸方向に変動させるようにしてもよい。また、移動軸は2軸以下や存在しなくても良い。
以下、本実施例の特徴部分である表面形状測定装置全体で行なわれる処理を図2に示すフローチャートに従って説明する。
なお、本実施例では、参照面15を、図1に示すのように傾けた場合を例に採って説明する。この場合、撮影画像は図3に示すような干渉縞になる。
<ステップS1> 測定データの取得
CPU20は、図示しないステッピングモータなどの駆動系を駆動させて駆動部24が光学系ユニット1を測定対象物30の撮像領域に移動させる。撮像位置が決定すると、光学系ユニット1は、白色光源10から白色光を発生させる。この白色光はバンドパスフィルタ12を介して単色光(例えば、波長λ=600nm)とされ測定対象物30および参照面15に照射される。
この単色光の照射に連動してCCDカメラ19が作動し、例えば、図1に示す頂部のエッジ部分および低部平面から隆起し始める部位が丸みを帯びた凸部30Bを有する測定対象面30Aの撮像を1回行う。この撮像によって取得された測定対象面30Aの干渉縞の画像データが収集されてメモリ21に記憶される。つまり、メモリ21には傾斜姿勢の参照面15での反射光と、測定対象面30Aで反射して戻る反射光とによって生じる干渉縞の画像データが記憶される。このとき参照面15で反射する光の伝播距離(L1の2倍)は、参照面15での反射位置において規則的に変動する。したがって、測定対象面30Aの高さが平坦な部分では、測定対象面30Aで反射して戻る反射光の伝播距離(L2の2倍)は、測定箇所における変動は無いので、CCDカメラ19によって撮像される画像における干渉縞は参照面15の傾きの向きと角度に応じて撮像面内に空間的に規則的に現れる。この干渉縞は参照面15で反射する光の伝播距離(L1の2倍)と測定対象面30Aで反射して戻る反射光の伝播距離(L2の2倍)の差がλ/2=300nmとなるごとに1周期分現れる。
一方、図3に示されるように、測定対象面30Aの高さが変動する箇所では、干渉縞がずれた不規則な縞模様として現れる。
なお、この過程が本発明における第1過程に相当する。
<ステップS2> 干渉光強度値群の取得
CPU20は、撮像してメモリ21に記憶した各画素の強度値、すなわち、測定対象面30Aの干渉光の強度値を画像データから取り込む。このとき、図4に示すように、測定対象面30Aと凸部30Bの高さが変動する箇所で、干渉縞の空間的な位相が(例えば図4の本実施例ではX軸方向に)ずれた不規則な縞模様として現れる。
なお、この過程が本発明における第2過程に相当する。
<ステップS3> 画素の選択
CPU20の画素選択部25は、先ず、図5(b)に示すように、取得した画像の中から連続するグラデーションのかかった暗部と明部からなる干渉縞の一周期を選択する。次に、選択した組みの干渉縞部分の全画素について光の強度値を比較し、図5(c)に示すように、強度値が最大の画素Phighと最小の画素PLowを選択する。この演算処理を取得した画像に含まれる干渉縞の全ての周期に対して行う。
なお、この過程が本発明における第3過程に相当する。
<ステップS4> 選択画素の位相の算出
CPU20の位相算出部26は、画素選択部25によって選択した画素における位相を、その画素と当該画素に隣接する画素(本実施例ではx軸方向に隣接する画素)のそれぞれの干渉縞の光強度値を用いて予め決定した計算アルゴリズムを利用して求めてゆく。具体的には、選択した画素および当該画素に隣接する画素における干渉縞の光の強度値を干渉縞波形を求める表現式にあてはめて(フィッティング)位相を求める。
まず、算出対象の画素における干渉縞の光の強度値は次式(1)のように記載される。
g(x) = a( x )+b( x )cos{2πfx+φ( x )} ・・・(1)
ここで、xは算出対象の画素の位置座標、a( x )は干渉縞波形に含まれる直流成分、b( x )は干渉縞波形に含まれる交流成分(振動成分の振幅であって、以下、適宜に「交流振幅」という)、fは干渉縞の光の強度値g(x)の空間周波数成分、φ( x )は測定対象面30Aの所定画素に対応する位相で算出すべきものである。なお、算出対象の画素の位置座標は(x、y)の2次元で現されるが、本実施例では説明を簡便化するためy座標を省略して記載する。
次に、隣接する画素については、算出対象の画素からx軸方向に微小距離Δxずれているので、その干渉縞の光の強度値は次式(2)のように表現される。
g(x+Δx ) = a( x+Δx )+b( x+Δx )cos{2πf( x+Δx )+φ( x+Δx )} ・・・(2)
ここで、本実施例では、算出対象の画素と隣接する画素とのピッチが微小距離であるので、各画素にまたがる干渉縞に含まれる直流成分、交流振幅、および位相を等しいと仮定し、次式(3)〜(5)の関係式を利用する。
a( x ) = a( x+Δx) = a ・・・(3)
b( x ) = b( x+Δx) = b ・・・(4)
φ( x ) = φ( x+Δx ) =φ ・・・(5)
ここで、a、b、φは定数である。
上記(3)〜(5)のように仮定することにより、式(1)および式(2)は、以下の式(1a)および式(2a)のように置き直すことができる。
g(x) = a+bcos{2πfx+φ( x )} ・・・(1a)
g(x+Δx ) = a+bcos{2πf( x+Δx )+φ( x+Δx )} ・・・(2a)
次に、式(1a)および式(2a)を変形し、次式(6)、(7)を作成する。
G(x) = g(x)−a=bcos(2πfx+φ) ・・・(6)
G(x+Δx)=g(x+Δx ) −a=bcos{2πf( x+Δx )+φ} ・・・(7)
次に、加法定理により式(6)、(7)を次式(8)、(9)のように変形する。
G(x) = bcos( 2πfx+φ)
=b{cos( 2πfx )cosφ}−sin( 2πfx )sinφ)} ・・・(8)
G(x+Δx)=bcos{ 2πf( x+Δx )+φ}
=b[cos{ 2πf( x+Δx )cosφ−sin( 2πfx+Δx )sinφ}] ・・・(9)
次に、これら式(8)、(9)を行列(10)で表わす。
Figure 2010185844
なお、Aは、次のように表される。
Figure 2010185844
ここで、行列(10)の左辺からAの逆行列を掛けて展開することにより、次式(11)、(12)を求める。
Figure 2010185844
Figure 2010185844
これら上記式(11)、(12)を利用し、次式(13)を得ることができる。なお、ここで、上記bsinφおよびbcosφのそれぞれをbsinφ=S およびbcosφ=Cとし、さらにtanφ=S/Cとする。
φ=arctan{ S/C } +n’π ・・・(13)
なお、n’は、整数である。
ここで、CPU20は、さらに符号判定機能を備え、この機能によりsinφとcosφの符号情報を参照する。この符号情報を用いると、sinφとcosφの符号の組み合わせから、φの存在範囲をπから2πに拡張できることになる。図6は、式(13)に示されるような、sinφとcosφの符号情報を参照してφの範囲を特定するための具体的な図である。したがって、sinφとcosφの符号情報を用いれば式(13)は、次式(14)で表わすことができる。
φ= arctan{ S/C } + 2nπ ・・・(14)
なお、nは、整数である。
よって、G(x)と干渉縞波形の空間周波数fが既知であるならば式(14)によって位相φを求めることができる。G(x)は画素の輝度情報g(x)およびg(x+Δx)と干渉縞波形の直流成分aからなるので、結局g(x)およびg(x+Δx)、干渉縞波形の直流成分a、干渉縞波形の空間周波数fが既知であるならば式(14)によってφを求めることができる。
g(x)およびg(x+Δx)はCCDカメラ19の画素の輝度情報として得ることができる。
aは例えば、CCDカメラ19で観測された全画素の輝度の平均値とする方法、位相算出対象画素の近傍画素の平均値とする方法、あるいは予め反射率を測定する方法などで求めることができる。
fは例えば、参照面15の設置角度から求める方法、予め測定対象物として平坦面を観察した場合の干渉縞波形の画面内の干渉縞本数から求める方法などで求めることができる。
なお、この過程が本発明の第4過程に相当する。
<ステップS5> 選択画素の表面高さ算出
CPU20の画素高さ算出部27は、上記式(14)から算出された算出対象の画素の位相φ( x )を次式(15)に代入して高さz( x )を求める。
z(x)=[φ(x)/4π]λ+z0 ・・・(15)
ここで、z0は測定対象物30の基準高さである。
なお、この過程が本発明における第5の過程に相当する。
<ステップS6> 全ての選択画素の演算処理終了?
CPU20は、全ての画素について位相と高さの算出が終了するまで、ステップS4〜S5の処理を繰り返し行う。
<ステップS7> 表面高さの補間処理
CPU20の補間処理部28は、x軸方向に沿って選択された演算対象の画素同士の間に存在する非選択画素について、表面高さを補間処理にて求める。この補間処理としては、例えば、線形補間を利用する。
なお、この過程が本発明における第6過程に相当する。
<ステップS8> 表面形状の表示
CPU20の画像データ作成部29は、算出された表面高さの情報から測定対象面30Aの表示画像を作成する。そして、CPU20は、この画像データ作成部29によって作成された情報に基づいて、モニタ23に測定対象物30の表面高さの情報を表示したり、それら各特定箇所の高さの情報に基づいた3次元または2次元の画像を表示したりする。オペレータは、これらの表示を観察することで、測定対象面30Aの表面にある凹凸形状を把握することができる。以上、測定対象面30Aの表面形状の測定処理が終了する。
なお、この過程が本発明における第7過程に相当する。
以上で一連の処理が終了する。
ここで、曲面などを有する測定対象物30を撮像して取得した画像において、グラデーションのかかった明部と暗部の干渉縞の一周期に含まれる画素のうち、光の強度値が最大の画素と最小の画素を位相計算画素としたときに計算された位相および高さが、同じ試料の測定対象物30を用いてシミュレーションあるいは実験で求めた位相および高さの値と等しくなることについて説明する。
各画素にまたがる干渉縞に含まれる直流成分、交流振幅、および位相のうち、位相のみが微小距離において等しくなく変化していると仮定する。つまり、上記式(3)〜(5)は、以下の式(3b)〜(5b)のように表わされる場合である。
a( x ) = a( x+Δx) = a ・・・(3b)
b( x ) = b( x+Δx) = b ・・・(4b)
φ( x ) ≠ φ( x+Δx ) ・・・(5b)
この場合、x=x0なる点における上記式(1a)は、以下の式(1b)のように置き換えることができる。
g(x0) = a+bcos{2πf x0+φ( x0)} ・・・(1b)
ここで、位相も微小距離において等しいとの仮定を使い、式(1a)および式(2a)から算出した位相をφとし、式(1b)のように表現される実際の位相をφ0(=φ( x0))としたとき、これらの差分εを式(16)のように定義する。
ε=φ−φ0 ・・・(16)
式(1b)と式(16)から、式(17)〜式(21)を求めることができる。
Figure 2010185844
Figure 2010185844
Figure 2010185844
Figure 2010185844
Figure 2010185844
ここで、式(20)および式(21)のO(Δx5)は、Δx5の高次項である。また、式(20)および式(21)のRとSは位相φ(x)の分布状態に依存する変数である。
したがって、Δx5の高次項を無視することにより、以下の式(22)および式(23)を求めることができる。
Figure 2010185844
θ=φ0+2πf x0 ・・・(23)
したがって、以下の式(24)が成り立つときには式(22)の分子が0となるので、ε=tanε=0 が成り立つ。
θ=φ0+2πf x0=mπ(mは整数) ・・・(24)
式(24)が成り立つのは、式(1b)が以下の式(1c)のように表わされるときである。
g(x) = a+bcos{mπ} = a±b ・・・(1c)
よって、式(1c)が成り立つのは、位置xが干渉縞分布の明部の最大輝度レベルもしくは暗部の最小輝度レベルとなる画素のときである。
つまり、位相φの算出を行った場合、位相計算範囲において位相が一定でなくても、干渉縞分布の光の強度置の最大もしくは最小の画素に対しては誤差なく位相を算出できる。したがって、逆に測定対象物が微小距離で高さが一定ではないとしても、干渉縞分布のグラデーションのかかった明部と暗部からなる干渉縞の一周期ごとに最も明るい部分と最も暗い部分の画素のみを計算することにより、誤差のない高さ分布を得ることができる。
以上のことから、曲面などを有する測定対象物であっても、明部と暗部の干渉縞の一周期に含まれる画素のうち、光の強度値が最大の画素と最小の画素を位相計算画素としたときに計算された位相および高さが、同じ試料の測定対象物30を用いてシミュレーションあるいは実験で求めた位相および高さの値と等しくなることが証明される。
上述のように、CCDカメラ19で撮像した画像データから画素ごとの干渉縞の光の強度値と、その近傍の複数画素の強度値を算出する過程で、選択した画素の干渉縞波形に含まれる直流成分a( x )、交流振幅b( x )、および位相φ( x )のそれぞれが、各画素について等しいと仮定して連立比較することにより各画素における干渉縞の直流成分と交流振幅をキャンセルすることができる。
したがって、従来法では測定対象物30の表面を測定した場合は、ローパスフィルタ処理を施すので、凸部30Bのエッジ部分がなまされるの対し、本実施例の場合は、ローパスフィルタを利用することなしに測定対象面30Aの表面高さを測定することができるので、測定対象面30Aの急峻なエッジ部分、およびエッジ部分の丸みを帯びた部位など、形状に関わりなくその表面高さを精度よく求めることができる。その結果、測定対象面30Aの表面形状を精度よく測定することができる。
また、フーリエ変換や逆変換、フィルタリング処理のような複雑な演算処理を利用する必要がないので、計算負荷が軽減され、処理時間を短縮することができる。つまり、各画素の強度値g(x)を画素の近傍で干渉縞波形の表現式である g(x) = a(x)+b(x)cos{2πfx+φ( x )} にフィッティングさせることにより、各画素の位相を容易に求めることができる。
また、全画素から特定画素を選択し、当該画素について演算処理を実行する。したがって、演算式自体が簡素化されるとともに、演算処理量が低減されるので処理時間が短縮され、作業効率の向上を図ることができる。
本発明は上述した実施例のものに限らず、次のように変形実施することもできる。
(1)上記実施例では、算出対象の画素に隣接する1個の画素の干渉光の強度値を利用して測定対象面30Aの高さを求めていたが、算出対象の画素の近傍にある2個の画素を利用し、合計3画素から測定対象面30Aの高さを求めてよい。
この場合、3元の連立方程式を解いて、3個の未知変数を求めることができる。よって、算出対象の画素に隣接する1個の画素の干渉光の強度値を利用して求めたときと比較すると、干渉縞波形の直流成分a、干渉縞波形の空間周波数fのいずれか一方を未知変数として追加できる。
“f”を別の方法で推定し,“a”を未知変数として追加した例を挙げると、算出対象の画素x+Δx1と近隣画素x+Δx2,x+Δx3の計3画素の干渉光の強度値を利用して、この所定画素の高さは、次式(25)のように求められる。
Figure 2010185844
ただし、g1 = g( x+Δx1) ,g2= g( x+Δx2) ,g3 = g( x+Δx3 )である。
以上の演算処理により、測定対象面30Aの所定画素の表面高さを精度よく求めることができる。
また、本発明では、4個以上の複数個の近隣画素を利用して測定対象面30Aの高さを求めてもよい。この場合は、多数画素の強度値の情報をもとにφ(x)を求めるため、撮像時の輝度ノイズや計算時の量子化誤差に対する測定値の影響を小さくできるという特長を持つ。
すなわち、上記実施例装置において、CPU20の位相算出部26は、求めたい測定対象面30Aの画素xにおける位相を、その画素xと該画素xの近傍にある複数個(N個)の画素x+Δxi (i=1,2,3,…,N)(本実施例ではx軸方向に存在する複数個の画素)のそれぞれの干渉縞の光強度値を求めるために予め決定した計算アルゴリズムを利用して求めてゆく。具体的には、算出対象の画素xにおける干渉縞の光の強度値を次式(26)によって求める。
g( x+Δxi ) = a( x+Δxi )+b( x+Δxi )cos{2π・f・( x+Δxi )+φ( x+Δxi )} … (26)
この場合も上述の実施例と同様に、各画素の干渉縞に含まれる直流成分、交流振幅、および位相を等しいと仮定し、上記式(3)〜(5)の関係式を適用する。本実施例の場合、次式(27)〜(29)のようになる。
a( xi ) = a( x+Δxi) = a ・・・ (27)
b( xi ) = b( x+Δxi) = b ・・・ (28)
φ( xi ) = φ( x+Δxi ) =φ ・・・ (29)
上記式(27)〜(29)のように仮定することにより、式(26)を次式(30)のように表わすことができる。
g( x+Δxi ) = a + bcos{2π・f・( x+Δxi )+φ}
= a + bcosφ・cos{2π・f・( x+Δxi )−bsinφ・sin{2π・f・( x+Δxi )} …(30)
これらN元の連立方程式から、干渉縞波形の直流成分a、交流振幅b、空間周波数f、位相φをフィッティングによる推定で求めることになる。ここで、干渉縞波形の直流成分aおよび、干渉縞波形の空間周波数fは2画素もしくは3画素からの位相φの算出のときと同様に別の方法で求めておいてもよい。
以下では、干渉縞波形の空間周波数fを別の方法で推定し、干渉縞波形の直流成分aはフィッティングによる推定で求める例を記載する。
式(25)に対し、複数画素の強度値g( x+Δxi )をもとに以下の式(26)を満たす(a, bcosφ,bsinφ)の組を求め、そのうちの(bcosφ,bsinφ)から、φを求めればよい。
Figure 2010185844
ここで、以下の式(32)、式(33)、式(34)のように置く。
Figure 2010185844
Figure 2010185844
Figure 2010185844
次に、式(31)を満たすαは以下の式(35)のように求めることができる。
α=(AT・A)-1・AT・G ・・・ (35)
そして、αのベクトル成分から位相φを次式(36)を用いて求めることができる。
Figure 2010185844
この式(36)から上記実施例に示す式(13),(14)と同様にしてφを求めることができる。
上述のように、算出対象の画素に対して、該画素の近隣画素を複数個利用しても、該画素の高さを精度よく求めることができる。なお、この変形実施例では、X軸方向にある複数個の近隣画素を利用しているが、Y軸方向の画素を利用するなど、その利用画素については、特に限定されない。
(2)上記実施例では、X軸もしくはY軸方向の1軸に分布する近傍画素を利用して説明したが、XY平面上に分布する近傍画素を利用してもよい。この場合、算出対象である(x, y)座標上にある画素に対し、該画素の近傍にある画素の座標を{(xi,yi)}(i=1,2,…N)として解けばよい。
上記変形実施例(1)や(2)においても、上記実施例と同じ効果を奏する。すなわち、画素の強度値とその近傍の複数画素において実際には位相が等しくない場合であっても、連続する暗部と明部からなる干渉縞の一周期ごとに最も明るい部分と最も暗い部分の画素においては誤差無く位相を求めることができる。
また、各画素の表面高さを補間することにより、測定対象物の高さを正確に求めることができる。したがって、画素の強度値とその近傍の複数画素において実際には位相が等しくない場合である傾斜面や曲面においても測定対象の高さを正しく求めることが出来る。
(3)上記実施例では、測定対象物30を静止状態で撮像していたが、長尺の測定対象物や複数個の測定対象物30を所定速度で移動させながら、この移動速度と同期をとりながら測定対象面30Aの画像を所定サンプリング時間で撮像し、表面高さを求めるように構成してもよい。
(4)上記実施例では、撮像手段としてCCDカメラ19を用いたが、例えば、特定箇所の干渉縞の強度値のみを撮像(検出)することに鑑みれば、1列または2次元配列に構成された複数個の受光素子などによって撮像手段を構成することもできる。
(5)上記実施例では、1個の測定対象物30の表面高さおよび表面形状を求めていたが、次のように構成してもよい。例えば、複数個の測定対象物30を搬送経路で連続的に搬送させたり、可動テーブル上に整列配置した複数個の測定対象物30をX-Y平面上で移動させたりしながら全ての測定対象物30について、その表面高さおよび表面形状を求めるように構成してもよい。
(6)上記実施例では、光源から出力される単色光の波長を予め決定していたが、例えば、複数個のバンドパスフィルタを選択できるように構成し、任意の波長に調整できるようにしてもよい。
(7)上記実施例では、測定対象物30の平行度が予め保たれた状態で参照面15の角度を任意に設定して測定を行っていたが、次のように構成してもよい。例えば、測定対象物30の測定面側に平坦度が保たれて高さが既知の基準領域を設けておき、参照面15の角度を設定した後にこの領域の高さを予め測定し、そのときの測定対象物30の傾きを測定する。そして、この求まる傾きの補正量を算出し、その結果を利用して補正するように構成してもよい。これにより、干渉縞波形の空間周波数成分を推定することができる。
1 … 光学系ユニット
2 … 制御系ユニット
10 … 白色光源
11 … コリメートレンズ
12 … バンドパスフィルタ
13 … ハーフミラー
14 … 対物レンズ
15 … 参照面
17 … ビームスプリッタ
18 … 結像レンズ
19 … CCDカメラ
20 … CPU
21 … メモリ
22 … 入力部
23 … モニタ
24 … 駆動部
25 … 画素選択部
26 … 位相算出部
27 … 画素高さ算出部
28 … 補間処理部
29 … 画像データ作成部
30 … 測定対象物
30A… 測定対象面
30B… 測定対処面の凸部

Claims (4)

  1. 単色光源から出力される単色光を分岐手段を介して測定対象面と参照面とに照射し、測定対象面と参照面の両方から反射して同一光路を戻る反射光によって生じる干渉縞の強度値に基づいて測定対象面の表面高さと表面形状を求める表面形状測定方法において、
    前記参照面を光の進行方向に対して任意角度の斜め傾斜姿勢に配置した状態で発生させた干渉縞の画像を取得する第1過程と、
    取得した前記画像における各画素の干渉縞の強度値を求める第2過程と、
    連続する暗部と明部からなる干渉縞の一周期ごとに最も明るい部分と最も暗い部分の画素の強度値を選択する第3過程と、
    選択した前記各画素について、画素の強度値とその近傍の複数画素の強度値とを利用し、それらの画素における干渉縞波形の直流成分、交流振幅、および位相が等しいと仮定し、予め決めた干渉縞波形を求める表現式を利用して各画素の位相を求める第4過程と、
    求めた前記各画素の位相から撮像された測定対象面の表面高さを求める第5過程と、
    選択した前記画素間に存在する非選択の画素の表面高さを補間する第6過程と、
    求めた前記測定対象面の表面高さから表面形状を求める第7過程と、
    を備えたことを特徴とする表面形状測定方法。
  2. 請求項1に記載の表面形状の測定方法において、
    求める前記位相は、各画素の強度値g(x)を画素の近傍で干渉縞波形の表現式である g(x) = a+bcos{2πfx+φ( x )} にフィッティングさせることから求める
    ことを特徴とする表面形状の測定方法。
  3. 単色光源から出力される単色光を分岐手段を介して測定対象面と参照面とに照射し、測定対象面と参照面の両方から反射して同一光路を戻る反射光によって生じる干渉縞の強度値に基づいて測定対象面の表面高さと表面形状を求める表面形状測定装置において、
    前記参照面は、光の進行方向に対して任意角度の斜め傾斜姿勢で配備されており、
    前記単色光が照射されて測定対象物と参照面とから反射して同一光路を戻る反射光によって干渉縞を生じさせて測定対象面を撮像する撮像手段と、
    撮像された前記測定対象面を画素ごとに干渉縞の強度値として取り込むサンプリング手段と、
    前記サンプリング手段によって取り込まれた前記強度値である干渉縞強度値群を記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶された強度値群から画素ごとに強度値を読み出して連続する暗部と明部からなる干渉縞の一周期ごとに最も明るい部分と最も暗い部分の画素を選択し、
    選択した各画素の強度値と画素ごとにその近隣にある画素の強度値を利用し、各画素に含まれる干渉縞波形の直流成分、交流振幅、および位相が等しいと仮定するとともに、干渉縞波形を求める表現式を利用して各画素の位相を求め、
    前記各画素の位相から各画素の表面高さを求め、
    選択した前記画素間に存在する非選択の画素の表面高さを補間して求め、
    この求めた全画素の位相から撮像された測定対象面の表面高さを求め、
    この求めた前記測定対象面の表面高さから表面形状を求める演算手段と、
    を備えたことを特徴とする表面形状測定装置。
  4. 請求項3に記載の表面形状測定装置において、
    前記演算手段は、各画素の強度値g(x)を画素の近傍で干渉縞波形の表現式である g(x) = a+bcos{2πfx+φ( x )} にフィッティングさせることから求める
    ことを特徴とする表面形状測定装置。
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