JP2010183395A - スロット同期伝送システム及び受信装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】送信部1において、送信データ系列を、位置情報符号系列(M系列)と多重化し、ディジタル変調する。受信部3において、位置情報符号系列検出器41は、ブラインド等化器38が出力する受信信号を入力し、位置情報符号系列を分離して検出する。検出した位置情報符号系列に基づいて、位置情報符号系列を構成するビットの順序番号を検出する。フリーラン・カウンタ42は、受信側のシンボルタイミングを計数するとともに、位置情報符号系列検出器41が出力した順序番号を強制的にセットすることにより、送信側の順序番号との同期をとる。
【選択図】図1
Description
このPLCにおいては、データ伝送装置(PLC端末)を屋内配線の任意の位置に配設し、このPLC端末内の結合回路を介してデータ伝送を行うことによりPLC端末間や、PLC端末と外部のネットワークに接続されたPLC端末との間でデータ通信を行う。
PLCには、無線などの伝送媒体と異なり、過酷で非定常な伝送障害がある。すなわち、家電機器から発生する、大きくうねる雑音と鋭いインパルス雑音とが信号電力と同程度以上のレベルで加わる。また、家電機器による信号電力の吸い込み、分電盤などの分岐による受信信号の減衰もある。
上述した伝送障害は、電源周波数の半分を周期として変動するが、変動のパターンは周期毎に揺らいでいる。
図12(a)は、インバータ蛍光灯の障害を示すものである。伝送信号は、山のような固まりの雑音に埋まっていて見えない。この雑音は、伝送信号に重畳される加法的雑音である。
図12(b)は、エアコンの障害を示すものである。伝送信号は、横軸に沿って太く見える部分であり、鋭いインパルス状のものが伝送信号に重畳される加法的雑音である。
図12(c)は、急速充電器の障害を示すものである。伝送信号は、横軸に沿って太く見える部分である。伝送信号は充電期間中においては吸収されるので、充電期間と放電期間とでは伝送信号の振幅が変動する。充電池の充電が進むにつれて、充電期間の時間帯が狭くなる。振幅が不連続に変化する過渡期間では伝送障害が大きくなる。
図12(d)は、多数の家電機器を接続した場合の障害を示すものである。一戸建て2階屋を模擬した配線板に、15種類の家電機器を接続した。この図は、100Hzの1周期分の受信波形を表しているが、周期内の波形は時々刻々変化する。測定値の上下は切れて表示されている。屋内配線は分電盤やコンセントなどで分岐している。新たな負荷をコンセントに接続したり外したりすることにより、また、電源スイッチで任意の家電機器をオン/オフすることにより、線路長や終端インピーダンスが変化する。
しかし、PLCの伝送障害は極めて人工的であり、定常性や厳密な周期性を仮定することができない非定常な伝送障害である。伝送障害は時間的に集中しているので、時間帯によって、送信データの判定結果の信頼性に大きな差がある。
このような非定常な状況に対して周知の「シャノン理論」を適用することは限界がある。その理由は、伝送ビット列中に非常に大きな誤り率を有するビットがあれば、誤り率がそのビット誤り率に支配されるからである。現実的な例で言えば、データ判定がほぼ確実に誤る時間帯が50%に近づけば、平均としてのビット率は0.5に達し、シャノン限界によれば、無限長の符号化になってしまい、誤り訂正は不可能である。
しかし、実際には、信号対雑音比(SNR:Signal to Noise Ratio)の良い時間帯を、前もって予測することは困難である。また、仮に予測できるとしても、送信機と受信機との間で新たな打合せプロトコルを実施することによりSNRの良い時間帯を予測しなければならない。しかし、この打合せプロトコル自体は、SNRの良い時間帯の評価を参照できないので、打合せプロトコルが確実に実行される保証はない。
このジレンマを回避する現実的な方策として、とりあえずSNRの良い時間帯の送信データを判定して採用し、SNRの悪い時間帯の送信データを再送するARQ(再送制御)が考えられる。この方式を実現するには、採用した送信データの位置と、放棄した送信データの位置とがわかる必要がある。
そのため、フレームの先頭にM系列等を用いたフレーム同期信号を挿入したり、このフレーム同期信号をフレーム内の送信データ内に分散配置して伝送し、フレーム同期を実行する(特許文献1参照)。
しかし、大きな伝送障害が到来する時刻とフレーム同期信号の位置とが一致した場合、フレーム同期信号を検出することができないため、フレーム同期が確立されない。しかし、伝送障害が発生しない時間帯が非常に限られているし、時間的に一定しない。
なお、以下の本明細書では、上述した従来技術の「フレーム」は、「スロット」と対応関係があり、「フレーム」という用語は、複数の「スロット」により構成される「データフレーム」として使用している。
従って、伝送障害があっても、送信信号の一部が受信できれば、送信データに多重化された位置情報符号系列は、1データフレーム内のビット位置を検出できるので、1データフレーム内の各スロットの位置がわかる。また、この位置情報符号系列と多重化されていた送信データ系列の送信データについても、その1データフレーム内における位置がわかる。その結果、非定常な伝送障害を有する伝送チャンネルにおいても結果的にスロット同期が可能となる。
特に、スロットの長さJを、J=Nとすれば、識別されたNビット配列から、各スロットの位置及びスロット番号が直ちにわかる。
従って、スロットを単位とした受信データの信頼性判定ができる。
従って、位置情報符号系列を線形シフトレジスタで簡単に生成することができる。
特に、スロットの長さJを、J=Nとすることができる。
従って、参照信号を送信しなくても伝送チャンネルの等化ができる。
また、請求項6に記載の発明においては、請求項1から4までのいずれか1項に記載のスロット同期伝送システムにおいて、前記ディジタル変調手段は8PSK変調手段であり、前記送信データの2ビットの値に対し、4QAMの信号点配置を割り当てるとともに、前記位置情報符号系列の1ビットの値に応じて、前記送信データの2ビットの値に割り当てた前記信号点配置をそのままにするか、又は、該信号点配置を−135度の位相シフトをした信号点配置とするものである。
従って、いずれの請求項に記載の発明においても、送信データ系列と位置情報符号系列の多重化が容易にできる。位置情報符号系列により、送信データ系列のスペクトルを平坦化することもできる。
従って、送信データ系列と位置情報符号系列の多重化が容易にできる。位置情報符号系列により、送信データ系列のスペクトルを平坦化することもできる。また、受信信号に、位相の不確定さがない。
従って、受信信号から位置情報符号系列を容易に分離することができる。
従って、送信された位置情報符号系列を、受信信号から連続して検出できていない期間においても、フリーラン・カウンタの計数値により、送信データの位置を表す順序番号を取得するとともに、前記1データフレーム内における前記各スロットの順序番号も検出することができる。
その結果、いわゆる障害に強い伝送を目的とするロバスト(Robust)伝送のスロット同期に適用して効果がある。
図示の例は、PLCであって、伝送路2として、電力線の屋内電気配線を用い、伝送路2に、データ伝送装置(PLC端末)が接続されている。
背景技術で述べたように、PLCには、強靱なデータ伝送能力が求められる。この実施の形態においては、この強靱性を、トレーニング信号(参照信号)の送信を必要としないブラインド等化器、位置情報符号系列を送信データに多重化して伝送することによるスロット同期、スロット同期状態及び誤り検出による信頼性判定に基づいた選択的再送訂正(Selective-ARQ:Automatic Repeat reQuest)により実現する。
PLC端末A,PLC端末Bは、同一構成であって、伝送路2にハイブリッド回路4を介して送信部1、受信部3が接続された構成である。送信部1の詳細は上部のPLC端末Aについて示し、受信部3の詳細は下部のPLC端末Bについて示す。
位置情報符号系列発生器14は、M系列(Maximum length code)の1周期以内のビット列を位置情報符号系列として発生し、直並列変換/エンコーダ13に出力する。
伝送制御処理部15は、また、1データフレームの先頭タイミングにおいて、位置情報符号系列発生器14を所定の初期値から開始させる。
この送信データ系列を、さらに、位置情報符号系列発生器14から出力される、位置情報符号系列(M系列)と、シンボルタイミングを単位として多重化し、多重化した送信データ系列を、ディジタル変調方式の規則に応じた、2系列のI相(同相),Q相(直交)の並列データに変換する。
以下の説明では、ディジタル変調方式として、図4を参照して後述する8PSK(8 Phse Shift Keying:8相位相変調)、図5を参照して後述する4QAM(Quadrature Amplitude Modulation:直交振幅変調)(例1)、図6を参照して後述する4QAM(例2)を例示している。
なお、スクランブル技術が周知である。スクランブル技術では、送信信号のスペクトラムを平坦化するために、送信データ系列とM系列とを、それぞれの1,0を1,-1に変換して乗算したものを、そのままベースバンドで、又は、さらにディジタル変調して送信する。このスクランブル技術では、送信データ系列とM系列とが一体化されて送信される。そのため、受信側において、送信側のM系列と受信側の参照用M系列との位相同期をとらなければ、送信データ系列を分離することができない。
変調器17は、乗算器18,19、移相器20、加算器21からなる。I相データ及びQ相データは、変調器17においてキャリア信号発生器22から出力されるキャリア(搬送波)信号と乗算することにより、直交変調される。
変調器17の出力信号は、D/A変換器23によってアナログ信号に変換され、アンプ24によって増幅され、ハイブリッド回路4を介し伝送路2に送出される。
復調器33は、乗算器34,35、移相器36からなり、受信信号をキャリア信号37と乗算することにより直交復調し、I相成分,Q相成分をブラインド等化器38に出力する。
これに対し、ブラインド等化器38は、ブラインド等化器38が出力するシンボルの絶対値と所定の半径値との差の2乗を評価関数とし、この評価関数が最小となるようにタップ利得を制御する(佐藤洋一著「線形等化理論−適応ディジタル信号処理」、丸善株式会社、平成2年5月31日発行、p.187等を参照)。
従って、このブラインド等化器38は、上述したトレーニング信号(参照信号)を必要とせず、AGC(自動利得制御)が確立すれば自動的に収束し、特に、シンボルの複数の各信号点が、いずれも同じ半径上にある8PSKや4QAMの場合は、急速に収束する。その結果、伝送障害の少ない時間帯がわずかであっても、この時間帯においては、等化器の出力信号のアイパターンが開き、正確なレベル判定を可能にし、送信データと同じ受信データを取得することができる。
位相シフト/レベル判定部39は、加えて、キャリア信号37を基準とした等化器出力信号の位相が、送信側におけるキャリア信号22を基準とした送信信号の位相と一致していないときに、等化器の出力信号を位相シフト、言い換えれば位相回転させる。
位置情報符号系列検出器41は、ブラインド等化器38が出力するベースバンドの受信信号を入力し、位置情報符号系列を分離して検出する。
位置情報符号系列検出器41は、送信側の位置情報符号系列発生器14が出力する位置情報符号系列と同一の位置情報符号系列を参照符号系列として使用し、位置情報符号系列を検出する。
この位置情報符号系列検出器41の具体的な動作については、図7〜図10を参照して後述することとして、ここでは、機能の概要を説明する。
位置情報符号系列検出器41は、また、一致の連続検出回数(一致するシンボル期間の連続長さ)が所定値以上であるとき、言い換えれば、順序番号を所定以上のシンボルにわたって連続して検出しているとき、この順序番号をフリーラン・カウンタ42及び同期判定部43に出力する。
フリーラン・カウンタ42は、受信側のシンボルタイミングを計数して出力するとともに、位置情報符号系列検出器41が出力した順序番号を強制的にセットすることにより、送信側の送信データの位置を表す順序番号との同期をとる。
順序番号の最初の番号が、1データフレームの先頭のシンボルタイミングを表す。
一方、位置情報符号系列検出器41が、順序番号を出力していないときは、シンボルタイミングで計数を続けることにより順序番号を出力する。
フリーラン・カウンタ42は、また、同期タイミング(シンボルタイミング)、スロット番号を出力する。
同期判定部43は、位置情報符号系列検出器41の出力(送信側の順序番号)とフリーラン・カウンタ42が出力する順序番号とを比較し、両者が不一致のときは、スロットを単位として、同期誤り信号を伝送制御処理部15に出力する。
PLC端末Aの伝送制御処理部15とPLC端末Bの伝送制御処理部15とは、信頼性のないスロットの送信データについて、選択的ARQ制御を行い、最終的に信頼性のある送信データを組み立てて、データバッファ45から図示しない利用装置に出力する。
伝送障害の少ない時間帯に受信されたデータは、できる限り正確であってほしい。もし、この受信データの信頼性が低ければ、誤り訂正が必要になり、本発明の意義が失われる。本発明では、送信データを短いスロット単位(例:24ビット)の送信データ系列にして送信する。このスロットの信頼性を評価して、ほとんど100%正しい(accept)、正しいと思われるが保留(suspend)、誤り(reject)に分類する。
通信制御のコマンド伝送や高い信頼性が要求される伝送では、acceptのデータだけをMAC層に上げ、MAC層に対し、rejectとsuspendのデータについて選択的ARQを実行させる。その他の場合、例えば、音声信号や画像信号の場合は、acceptとsuspendのデータをMAC層に上げて、rejectのデータについて選択的ARQを実行する。
PLC端末Aから再送があったとき、再送された受信データに信頼性があった場合は、この再送された受信データのスロット番号を参照して、データバッファ45内の、同じスロット番号が付された信頼性のないスロットの受信データと置き換える。
図2(a)は、M系列生成器の具体例である。
M系列生成器は、LFSR(線形帰還シフトレジスタ)であって、このシフトレジスタの段数を所定の段数としたときに、最大周期のPN(疑似乱数)系列となるものがM系列(Maximum length code)である。
図示の例では、N=4段(Nは正の整数)の線形帰還シフトレジスタ(LFSR)において、出力端子のタップを0としたとき、タップ0、タップ3が帰還タップとなり、帰還タップの出力が排他的加算されて、入力端子であるタップ4に入力される。
M系列の性質の1つとして、連続するN=4ビットの配列は、どこをとっても全て異なることが知られている。すなわち、M系列を、その1周期=15にわたって、1ビットずつ、ずらせて、連続するN=4ビットを識別する(言い換えれば、N=4ビットの窓を通して識別する)(2周期目にまたがって識別する)と、全て異なるパターンが識別される。
この全て異なるパターンとは、2値4桁の組合せからオール0を除いたものである。
従って、上述したN=4ビット窓で識別されたパターンが、M系列の1周期中における一部分に識別できれば、識別した窓の位置、すなわち、M系列の1周期の先頭から何番目のビット位置であるかが確定される。
上述した連続するNビットパターンがすべて異なる性質を備えた有限長の2値符号系列は、典型的な例はM系列であるが、M系列の他にも存在する。有限長の全ての2値符号系列の中から、このような性質を有する符号系列を探索することができる。本発明者等は、上述した性質を持つ符号系列を「位置情報符号系列」と呼んでいる。
ここで、位置情報とは、シンボルやデータビットの位置であり、時間位置(時刻)ということもできる。
図1を参照して説明した実施の形態においては、1スロットの長さをN=4とし、複数k=3個のスロットで1データフレームを構成している。図示のM系列は、1周期の長さL=2N−1=15ビットである。
従って、1データフレームの長さ=12=N×k<L=15である。一般的には、N×k≦Lとする。すなわち、データフレームの長さを設計すると、このデータフレームの長さ以上の周期Lを有するM系列を採用する。
ここで、スロット長Nは、M系列において、図2(b)に示したように、連続するN=4ビットの配列(パターン)が全て異なるという数値である。従って、連続するN=4ビットの配列を識別することにより、直ちに、スロット番号を識別できる。
図2(b)では、N=4ビット窓で識別される15種類のパターンと順序番号1〜15とを対応付けるとともに、順序番号1,5,9にスロット番号1,2,3を対応付けている。
しかし、スロットの長さ(これをJとおく)は、必ずしも連続する相異なるパターンの長さであるNに等しく(J=N)する必要はない。図2(b)において説明したように、N=4ビットのパターンが識別されれば、識別されたパターンがM系列の1周期内のどの位置であるかがわかるから、M系列の1周期の開始ビットから何ビット目であるかが識別できる。
一方、1データフレーム内の各スロットの先頭位置と長さJは予め固定されている。従って、スロットの先頭位置がわかるので、スロットを正確に同期して切り出すことができる。この切り出しは、J≠Nであっても矛盾なく行うことができる。
このことは、Jの値に関係しないから、J=1(1シンボル=1スロット)とし、1シンボル(ビット)とその位置を表す位置情報符号系列の1ビットとを対にして伝送するシステムの場合にも言える。
図3は、図1の実施形態に使用するM系列と、データフレーム、スロット、送信データ系列との対応関係の説明図である。
図1に示したPLCにおいては、バーストモードでデータを送信する。規格上の制約により、1バーストは、最大許容時間が決められており、伝送休止期間をおいて、次の1バーストを送信しなければならない。
1データフレームを1バーストで伝送する。1データフレームの長さは、最大許容時間内であれば、固定長であっても、可変長であってもよい。従って、1データフレームに含まれるスロットの個数は、固定数であっても、可変数であってもよい。
図示の例では、位置情報符号系列としてN=12のM系列を採用し、スロットの長さを、上述したN(相異なる配列が検出される連続ビット数)=12とした例を示す。このM系列の周期L=2N−1=4095である。その結果、最大長さのデータフレーム中のスロットの数kは、L÷N=(2N−1)÷Nの整数部分=341となり、最大で、Slot1〜Slot341の341個のスロットを含んでいる。このとき、M系列の先頭から、N×k=4092ビットが、1データフレームに割り当てられる。
後述する8PSKにおいては、2ビットの送信データに基づいて1シンボルの送信データが作成され、4QAMにおいては、1ビットの送信データに基づいて1シンボルの送信データが作成される。
上述した基準位相シンボルSは、後述する8PSKの場合に、基準位相を送信側と受信側とで一致させるために使用する。
誤り検出用冗長シンボルCは、1スロット内の送信データに対する誤り検出を行う場合に使用する。
図4(a)は信号点の配置図、図4(b)は、位置情報符号系列(M系列)のビット及び送信データと送信シンボルの信号点配置との対応関係を示すシンボルマップである。
図4(a)に示すように、信号点は(0)〜(7)の8点であり、その絶対値が等しい。M系列のビット=0のときは黒丸の信号点の1つに対応し、M系列のビット=1のときは白丸の信号点の1つに対応する。
図4(c)に示すように、M系列のビット=0のときは奇数番号の信号点に対応する。図4(d)に示すように、M系列のビット=1のときは偶数番号の信号点に対応する。いずれの信号点配置も、4QAMの信号点配置となる。図中、各信号点に[0,0]のように記載したものは、対応する2ビットの送信データを示す。
この位相シフトの角度は、位相シフトによって、元の信号点配置と重ならない限り任意の角度、例えば+45度、又は、-45度でもよい。しかし、±180度に近いほど、多重化した後の送信信号のスペクトルが、送信データ系列のスペクトル(送信データに同値の連続が生じていると、スペクトルが集中する)に依存しなくなる。すなわち、位置情報符号系列のランダム性によって送信データ系列のスペクトルが平坦になるから、伝送チャネルの不均一な周波数特性の影響を受けにくくなる。従って、135度に代えて、−135度の位相シフトをしてもよい。
ディジタル変調は、上述した8PSKに限られるものではない。送信データの1又は複数のビットに対して割り当てた信号点配置を、位置情報符号系列の1ビットの値に対し、上述した信号点配置をそのままにするか、又は、この信号点配置に対し位相シフトした信号点配置とする。位相シフトは、180度に近い値とすることが好ましい。
なお、送信シンボルの信号点配置は、キャリア信号に対して位相が固定されていれば、図示の信号点配置の全体を位相シフト(位相回転、例えば、22.5度)させた信号点配置であってもよい。
図5(a)は信号点の配置図、図5(b)は、位置情報符号系列(M系列)のビット及び送信データと送信シンボルの信号点配置との対応関係を示すシンボルマップである。全体として4QAMの信号点配置(0)〜(3)となる。
図5(c)に示すように、M系列の値に応じて、2PSKの信号点配置(0),(2)そのままにするか、又は、この配置に対し+90度位相シフトした信号点配置とする。
この具体例においても、送信シンボルの信号点配置は、キャリア信号に対して位相が固定されていれば、図示の信号点配置の全体を位相シフト(位相回転、例えば、45度)させた信号点配置であってもよい。
図6(a)は信号点の配置図、図6(b)は、位置情報符号系列(M系列)のビット及び送信データと送信シンボルの信号点配置との対応関係を示すシンボルマップである。全体として4QAMの信号点配置(0)〜(3)となる。
図6(c)に示すように、90度の位相差を有する変則的2PSKの信号点配置(3),(2)を、M系列の値に応じて、そのままにするか、又は、180度の位相シフトした信号点配置とする。
この4QAM(例2)は、送信データの1ビットの値に応じて、90度の角度をなす2つの信号点の一方を割り当てるとともに、M系列の1ビットの値に応じて、送信データの1ビットの値に応じて割り当てた信号点をそのままにするか、又は、この信号点に180度の位相シフトをした信号点とする場合の典型例である。
また、非対称のPSK変調であるため、4QAMシンボルのいわゆる「90度任意性」問題を回避できる。そのため、図9、図10を参照して後述するように、スロット同期シンボルSをスロット先頭に付加しなくてもよい。その結果、送信シンボルを1シンボル増やすことができる。
この第1の具体例は、図3のデータフレーム構成及びM系列、図4の8PSKディジタル変調方式を採用したものである。
図8(a)は、等化された受信信号の信号点位置を示す信号点配置図である。
図8(b)は、M系列のビット=1のとき、8PSKの信号点配置を、4QAMの信号点配置へ変換する処理の説明図である。
図8(c)は、等化された受信信号の絶対位相を、スロットの先頭に付加された基準位相シンボルSにより確定させた後の信号点配置図である。
図1に示した復調器33によりディジタル復調され、I相成分,Q相成分のベースバンド信号は、ブラインド等化器38により等化された受信信号となる。
S101において、等化された受信信号のI相成分とQ相成分とをレベル判定(シンボル信号点の判定)する。もし、ブラインド等化のアイパターンが開いていれば、8PSK信号の偶数番の信号点であるか、奇数番の信号点であるかが識別できる。偶数位相の信号点、奇数位相の信号点のいずれとも判定できないときには、後述する判定系列1,判定系列2のいずれも取得されないから、以下のS102〜S110の処理が行われない。
第1の信号点配置とは、送信された8PSKと等化された受信信号の位相の偶奇が合致した信号点配置である。これに対し、第2の信号点配置とは、送信された8PSKと等化された受信信号の位相の偶奇が逆になった信号点配置である。
第1の信号点配置を想定した場合について、S102〜S105において位置情報符号系列(M系列)の検出処理を行い、第2の信号点配置を想定した場合について、S106〜S109において位置情報符号系列(M系列)の検出処理を行う。S102〜S105とS106〜S109とは、時分割多重処理等により同時に実行する。
図8(a)の左図に示すように、二重丸を付している偶数位相(0度、90度、180度、270度)のいずれかのときは、“1”、奇数位相(45度、135度、225度、315度)のいずれかのときは“0”となる判定系列1を出力する。
一方、S106においては、S101におけるレベル判定結果から、第2の信号点配置を想定した位置情報符号系列の判定系列2を取得する。図8(a)の右図に示すように、二重丸を付している奇数位相(45度、135度、225度、315度)のいずれかのときは“1”、偶数位相(0度、90度、180度、270度)のいずれかのときは“0”となる判定系列2を出力する。
なお、判定系列1と判定系列2とは相補的であるから、一方の判定系列の“0”と“1”とを反転させれば他方の判定系列が得られる。
この具体例では、図8(a)の左図において判定系列1を取得すると、M系列のビットパターンが検出される。すなわち、等化された受信信号から、送信信号系列に多重化されていた位置情報符号系列(M系列)が分離される。
これに対し、図8(b)の右図において判定系列2を取得しても、M系列のビットパターンが検出されない。
S104において、コード表を参照し、連続する12ビットに対応する順序番号(連番ともいう)を読み出す。
ここで、コード表とは、位置情報符号系列(M系列)を、順番に12ビットの窓で識別したときの配列(ビットパターン)と、その順序番号を並べた表である。順序番号は、位置情報符号系列(M系列)の1周期における、先頭ビットからの順序を示す番号である。コード表にない配列(ビットパターン)があれば(例えば、M系列の1周期中、使用していない系列が予めわかっている場合において、使用していない系列に含まれる配列)、順序番号=0を出力する。
S104の処理は、位置情報符号系列の連続するNビットの配列と、位置情報符号の参照符号系列の連続するNビットの配列とを、シンボルタイミングを単位として比較することに相当する。
なお、図2(b)に示したM系列の4ビットパターンには、順序番号を付している。
S107〜S109は、S103〜S105と同様の処理である。
S110において、S105又はS109のうち、最初にyesを出力した判定系列1又は判定系列2を選択する。この選択したyesの判定系列が出力する順序番号(S104又はS108で出力されている)を取得する。
すなわち、一致検出が連続する回数に基づいて、想定された信号点配置のうち最も確からしい信号点配置を前提として分離された判定系列を選択し、選択した判定系列に基づいて、順序番号を検出する。このNビット連続パターンの一致の連続性は、非常に強い意味の誤り検出である。
S112において、選択した判定系列のビット(すなわち、M系列のビット)が1のときは、図8(b)に示すように、等化された受信信号を−135°位相シフトする。
この処理は、8PSKの信号配置を4QAMの信号配置に変換して、後続するデコーダ/並直列変換部44を4QAMのデコーダで実現できるようにするための処理である。
S113において上述した処理を実行する。スロットの切り出しタイミングの位置が基準位相シンボルSになるようにスロット内の受信信号の全体を位相シフト(位相回転)し、受信データ系列(受信データ及び冗長ビット)を取得する。
上述したS112における−135°位相シフトは、送信側の位相シフト135度の位相シフトに呼応するものであるが、45度の奇数倍であっても構わない。なぜなら、S113においても、基準位相シンボルSに基づいて位相シフトをするからである。
なお、位相シフト/レベル判定部39において位相シフトをすることなく、デコーダ/並直列変換部44において、選択した判定系列のビット(M系列のビット)の値、スロットの先頭シンボルの位置の基準位相に基づいて、図4(b)に示した8PSKのシンボルマップを参照して送信データのデコードをしてもよい。
S115において、フリーラン・カウンタ42の値と、位置情報符号系列検出器41が出力する、選択した判定系列の出力する順序番号とを比較する。この処理は、図1の同期判定部43に対応する。
誤り検出OK(データ誤り無し)&フリーラン・カウンタの値=選択した判定系列の出力する「順序番号」(同期誤りなし)の場合は、「accept(真)」と判定する。この場合は、このように判定したスロットの受信データにフリーラン・カウンタ42から出力されるスロット番号を付けて、図1のデータバッファ45に出力する。
図1の伝送制御処理部15は、データバッファ45にスロット単位で一時記憶された受信データ及びスロット番号を用いて、選択的ARQの通信制御手順を実行する。
この場合、第1の信号点配置とは、送信された4QAMと位相が合致していると想定した場合の信号点配置であり、第2の信号点配置とは、送信された4QAMと位相が直交している(90度シフトしている)と想定した場合の信号点配置である。
この第2の具体例は、図3のデータフレーム構成及びM系列、図6の4QAM(例2)を採用したものである。
4QAM(例2)の信号点配置の非対称性を利用して、スロットの先頭に基準位相シンボルSを付加しなくても絶対位相が確定される。
図10(a)は、第1〜第4の信号点配置を想定したときの位相シフト処理の説明図である。
図示の具体例は、送信された4QAM(例2)と等化された受信信号との位相が一致している場合の具体例を示している。
図10(b)は、選択された判定系列における4QAM(例2)の信号点配置図である。
図10(c)は、4QAM(例2)のシンボルマップである。
S121において、等化された受信信号のI相成分とQ相成分とをレベル判定(シンボル信号点判定)する。
次に、送信側の4QAM信号に対する受信信号の位相について、可能性のある、第1〜第4の信号点配置を想定する。
第2の信号点配置とは、送信された4QAM(例2)に対し、等化された受信信号の位相が90度位相シフトしていると想定した信号点配置である。この場合、S127において、図10(a)の上右に示されるように、等化された受信信号を−90度位相シフト(位相回転)する。
第4の信号点配置とは、送信された4QAM(例2)に対し、等化された受信信号の位相が270度位相シフトしていると想定した信号点配置である。この場合、S137において、図10(a)の下右に示されるように、等化された受信信号を−270度位相シフトする。
S124において、判定系列1から連続12ビットを抽出する。
S125,S126,S142,S143は、図7のS104,S105,S110,S111と同様の処理である。
S144において、図10(b)に示された選択された判定系列(図示の具体例では、図10(a)の上左図に基づく判定系列1)において、選択された判定系列のQ相データの値(±1)にI相データの値(±1)を乗算することにより、受信データ系列(受信データ及び冗長ビット)を取得する。この演算は、図10(c)のシンボルマップの変換規則を根拠としている。このS144の機能は、図1のデコーダ/並直列変換器44の機能に対応する。
S145〜S147は、図7のS114〜S116と同じである。
その結果、スロットの先頭位置に基準位相シンボルを付加しておかなくても、絶対位相が確定する。
これに対し、図9,図10に示したような、全ての信号点配置を選択する受信処理をする方法は、第1の信号点配置を位相シフトすると第2の信号点配置に一致する関係にあるかどうかに関係なく、適用することができる。
図中、横軸をシンボル番号とし、伝送制御処理部15において判定した、スロット毎の信頼性を、矩形の模様で表している。参考のため、縦軸に、等化された受信信号のI相成分を示している。
しかし、1対1伝送の場合においても、伝送データの内容に応じて、連続する相異なるNビットパターンの長さ(識別窓のビット)、スロット長を同じにして、異なる位置情報符号系列(M系列)を用いるようにしてもよい。
また、3以上のPLC端末間、又は、1つのPLC親端末と複数のPLC子端末との間で、データ伝送をする場合に、各PLC端末が、連続する相異なるNビットパターンの長さ(識別窓のビット)、スロット長を同じにして、異なる位置情報符号系列(M系列)を用いるようにしてもよい。
M系列の場合、周期L=2N−1が同じであっても、複数種類のM系列が得られる。例えば、12段のシフトレジスタを用いる周期L=4095のとき、約70種類のM系列が得られる。
しかし、上述したデータフレームを複数個連結したものを1バーストで伝送したり、データフレームを単位とする連続伝送をするようにしてもよい。
この場合、1データフレームに割り当てた位置情報符号系列が、1データフレームの境界で、連続するNビットパターンの長さが相異なるという性質を持たなくなる場合がある。しかし、この場合でも、一時的に連続番号が得られなくなるだけであるから、さほどの問題にはならない。なお、1データフレームにM系列の1周期を割り当てた場合には、1データフレームの境界で、連続するNビットパターンの長さが相異なるという性質を保持する。
11…データバッファ、12…誤り検出用冗長ビット生成部、13…直並列変換/エンコーダ、14…位置情報符号系列発生器、15…伝送制御処理部、16I,16Q…ロールオフフィルタ、17…変調器、18,19…乗算器、20…移相器、21…加算器、22…キャリア信号発生部、23…D/A変換器、24…アンプ
31…BPF、32…A/D変換器、33…復調器、34,35…乗算器、36…移相器、37…キャリア信号発生部、38…ブラインド等化器、39…位相シフト/レベル判定部、40…スロット同期部、41…位置情報符号系列検出器、42…フリーラン・カウンタ、43…同期判定部、44…デコーダ/並直列変換部、45…データバッファ、46誤り検出部
Claims (9)
- J(Jは2以上の整数)シンボルで1スロットを構成し、k(kは2以上の整数)スロットで1データフレームを構成してデータを伝送するスロット同期伝送システムであって、
送信装置において、
J×kビット以上の長さを有し、連続するNビット(Nは2以上の整数)の配列が全て異なる位置情報符号系列を発生する位置情報符号系列発生器と、
送信データ系列と、前記位置情報符号系列発生器から出力される位置情報符号系列とを、シンボルタイミングを単位として多重化する多重化手段と、
該多重化手段により多重化されたシンボルを変調して送信信号とするディジタル変調手段を有し、
受信装置において、
前記送信装置が送信した送信信号を受信して復調した受信信号を入力し、該受信信号から前記位置情報符号系列を分離するとともに、分離した位置情報符号系列の前記Nビットの配列と、前記位置情報符号系列と同一の参照符号系列の前記Nビットの配列とを、前記シンボルタイミングを単位として比較することにより、前記1データフレーム内における前記各スロットの位置を検出するスロット同期手段、
を有することを特徴とするスロット同期伝送システム。 - 前記各スロットにおける前記送信データ系列は、当該スロット内の送信データに対する誤り検出用の冗長ビットを含み、
前記受信装置は、
前記スロット同期手段が前記各スロット内の前記送信データの位置を検出できないときに、前記各スロットの同期誤りを出力する同期判定手段と、
前記冗長ビットを用いて前記各スロット内の受信データの誤りを検出するデータ誤り検出手段と、
該同期判定手段が出力する同期誤り、及び、前記データ誤り検出手段が出力するデータ誤りに基づいて、前記各スロット内の受信データの信頼性を判定する伝送制御処理手段、
を有することを特徴とする、
請求項1に記載のスロット同期伝送システム。 - 前記位置情報符号系列として、1周期Lが2N−1ビットであり、J×k≦LとなるM系列を用いる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のスロット同期伝送システム。 - 前記受信装置は、前記送信装置が送信した送信信号を受信して復調した受信信号をブラインド等化するブラインド等化器を有し、
前記スロット同期手段は、前記受信信号として、前記ブラインド等化器によりブラインド等化された受信信号を入力する、
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のスロット同期伝送システム。 - 前記ディジタル変調手段は8PSK変調手段であり、
前記送信データの2ビットの値に対し、4QAMの信号点配置を割り当てるとともに、
前記位置情報符号系列の1ビットの値に応じて、前記送信データの2ビットの値に割り当てた前記信号点配置をそのままにするか、又は、該信号点配置を135度の位相シフトをした信号点配置とする、
ことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載のスロット同期伝送システム。 - 前記ディジタル変調手段は8PSK変調手段であり、
前記送信データの2ビットの値に対し、4QAMの信号点配置を割り当てるとともに、
前記位置情報符号系列の1ビットの値に応じて、前記送信データの2ビットの値に割り当てた前記信号点配置をそのままにするか、又は、該信号点配置を−135度の位相シフトをした信号点配置とする、
ことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載のスロット同期伝送システム。 - 前記ディジタル変調手段は4QAM変調手段であり、
前記送信データの1ビットの値に応じて、90度の角度をなす2つの信号点の一方を割り当てるとともに、前記位置情報符号系列の1ビットの値に応じて、前記送信データの1ビットの値に応じて割り当てた信号点をそのままにするか、又は、該信号点に180度の位相シフトをした信号点とする、
ことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載のスロット同期伝送システム。 - 請求項1から7までのいずれか1項に記載のスロット同期伝送システムに用いる受信装置であって、
前記スロット同期手段は、
前記送信信号のシンボルに対する前記受信信号の信号点配置について複数の場合を想定し、想定した信号点配置の複数の場合のそれぞれについて、前記受信信号から、前記位置情報符号系列の判定系列を分離し、分離した位置情報符号系列の判定系列の前記Nビットの配列と、前記位置情報符号系列と同一の参照符号系列の前記Nビットの配列とを、前記シンボルタイミングを単位として比較した結果、一致した検出が連続する回数に基づいて、前記想定した信号点配置の複数の場合のうち、最も確からしい信号点配置を選択し、選択した信号点配置を前提として分離した位置情報符号系列の判定系列に基づいて、前記1データフレーム内における前記各スロットの位置を検出する、
ことを特徴とする受信装置。 - 前記スロット同期手段は、前記受信装置におけるシンボルタイミングを計数するフリーラン・カウンタを有するとともに、
前記選択した信号点配置を前提として分離した位置情報符号系列の判定系列に基づいて、前記1データフレーム内の前記送信データの位置を表す順序番号を検出したとき、検出した順序番号を、前記フリーラン・カウンタにセットすることにより、前記フリーラン・カウンタの計数値を前記送信データの位置を表す順序番号に同期させる、
ことを特徴とする請求項8に記載の受信装置。
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