JP2010182371A - 回折素子と、光ピックアップと、光学記録および再生装置 - Google Patents

回折素子と、光ピックアップと、光学記録および再生装置 Download PDF

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Abstract

【課題】異なる波長の光をそれぞれ適切な位置に集光させる上で、各集光位置の収差を補正し、各光の回折効率を高め適切な回折角度を付与する。
【解決手段】回折素子1の回折構造が上面1a1と下面1a4と少なくとも2つの中間面1a2,1a3と段差とを有する。中間面1a2は上面1a1との間隔が1つの特定の波長(780nm)の光の回折効率を向上できる高さ(3.08μm)に一致し、中間面1a3は上面1a1との間隔が他の特定の波長(660μm)の光の回折効率を向上できる高さ(3.85μm)に一致し、下面1a4は上面1a1との間隔が両高さの合計の高さ(6.93μm)に一致するようにそれぞれ位置する。段差は、面方向に見て、1つの特定の波長の光を特定の角度に回折する単一のピッチと、他の特定の波長の光を特定の角度に回折する他の単一のピッチとを重ねたパターンをなす位置にある。
【選択図】図2

Description

本発明は、収差補正用の回折素子と、それを有する光ピックアップと光学記録および再生装置に関する。
CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc(商標):ブルーレイディスク)等の光記録媒体に対する記録の書き込みや、それらの光記録媒体からの記録の読み出しを行う際には、それぞれの光記録媒体に対応する波長の光が照射される。光記録媒体の種類ごとに、照射すべき光の波長と、光記録媒体の厚さ、より正確には、光記録媒体の表面から光を集光させるべき位置までの深さが、それぞれ異なる。すなわち、複数種類の光記録媒体の記録の書き込みおよび/または読み出しを行う場合には、異なる波長の光を異なる位置に集光させる必要がある。単一の光ピックアップを用いて、前記したような複数種類の光記録媒体の記録の書き込みおよび/または読み出しを行う場合には、各集光位置にそれぞれ個別に収差(球面収差)が発生するので、それらの収差を個別に補正することが望まれる。
特許文献1,2に記載の発明では、対物レンズの一方の光学面上に階段形状の第1位相変調手段が設けられ、対物レンズの他方の光学面上に階段形状の第2位相変調手段が設けられている。従って、引用文献1,2の構成では、ある1つの光記録媒体(例えばCD)に対する記録の書き込みおよび/または読み出しを行う際には、光源から放射された光のうちの特定の波長(780nm)に関して第1位相変調手段によって位相変調することにより球面収差の補正を行った上で、その光記録媒体の所定の深さ位置(表面から約1.2mm)に集光させる。他の光記録媒体(例えばDVD)に対する記録の書き込みおよび/または読み出しを行う際には、光源から放射された光のうちの他の1つの波長(660nm)に関して第2位相変調手段によって球面収差の補正を行った上で、その光記録媒体の所定の深さ位置(表面から約0.6mm)に集光させる。このようにして、種類の異なる光学記録媒体のそれぞれに適した光の照射が行える。
また、特許文献3に記載の発明では、光源と対物レンズの間に収差補正手段が配置され、この収差補正手段の一方の面に、階段形状の位相変調手段(回折面)が形成されている。この位相変調手段の段差を利用することによって、3種類の光学記録媒体のそれぞれに適した波長の光をそれぞれに適した深さ位置に照射することができる。
特開2005−38585号公報 特許3966303号公報 特開2007−294029号公報
特許文献1,2に記載の発明では、対物レンズの両面にそれぞれ独立した回折構造が形成されている。従って、光は2つの回折構造を必ず通過することになり、光透過率の低下が避けられない。さらに、対物レンズの板厚を挟んで両面に形成された回折構造同士の偏心が生じ易いため、光ビームの品質低下を招く可能性がある。また、光が両回折構造からそれぞれ位相差を付与されると、所定の集光位置における良好な収差補正ができなくなるため、引用文献1,2では、両回折構造は、一方の回折構造によって位相差を付与される波長の光に対して、他方の回折構造から位相差を付与することがないように設計されている。すなわち、それぞれの回折構造は、光記録媒体の種類に応じた波長の光の所定の集光位置における収差補正を実現させることのみならず、他の波長の光に対して影響を及ぼさないようにすることも目的として設計される。従って、その設計は非常に煩雑なものになる。
特許文献3に記載の発明では、回折構造は、平面的に見て(収差補正手段の面方向に見て)単一のピッチで形成されており、すなわち、繰返しパターンの間隔が単一のピッチになっている。なお、回折レンズによって通常の凹凸レンズと同様の集束および発散の特性を達成するためには、その回折構造のピッチは、厳密には内周から外周にかけて徐々に狭くなるような特定の規則に基づいた変化率を持たせる必要があるが、このように特定の規則に基づいて変化する場合も含めて、本明細書中では「単一のピッチ」と称する。
特許文献3に記載の発明では、このように回折構造が単一のピッチで構成されているため、複数の波長の光のそれぞれに対して個別に適切な回折角度を与えることができず、補正しきれない収差が残る。この点について説明すると、回折構造の平面的なピッチは回折角度を変化させ、回折パターンの段差の高さ(深さ)は回折効率(光の強さ)を変化させる。通常、回折パターンが存在すると、0次光(透過光)、±1次光、±2次光など、複数の次数の光が発生する。特許文献3では、DVDの書き込み/読み出し用の波長660nmの光(−1次光)と、CDの書き込み/読み出し用の波長780nmの光(−2次光)とを用いているにもかかわらず、回折構造が全て、単一のピッチで配置され単一の高さの段差の組み合わせで構成されている。従って、厳密に言うと、1つの波長の光に対して適切な回折効率および回折角度を実現した場合には、他の波長の光に対して適切な回折効率および回折角度を得ることはできない。すなわち、それぞれの波長の光に対して個別に適切な回折効率および回折角度を与えることはできず、その結果、補正しきれない収差が生じる。
そこで本発明の目的は、複数種類の光記録媒体に対する記録の書き込み/読み出しを行うために、異なる波長の光を光記録媒体の種類に応じた適切な位置に集光させる上で、各集光位置のそれぞれの収差を補正し、かつ、それぞれの光の強度(回折効率)を高めるとともに、適切な回折角度を付与して、良好な書き込み/読み込みを可能にするための回折素子、光ピックアップ、および光学記録および再生装置を提供することにある。
本発明は、回折構造を有する回折素子において、回折構造が、上面と、下面と、上面と下面の間に位置する少なくとも2つの中間面と、上面、下面、および中間面を繋ぐ段差とを有し、1つの中間面は、回折素子の厚さ方向に見たときの上面との間隔が、1つの特定の波長の光の回折効率を高めることができる高さに一致するように配置され、他の中間面は、回折素子の厚さ方向に見たときの上面との間隔が、他の特定の波長の光の回折効率を高めることができる高さに一致するように配置されており、下面は、回折素子の厚さ方向に見たときの上面との間隔が、1つの特定の波長の光の回折効率を高めることができる高さと他の特定の波長の光の回折効率を高めることができる高さとの合計の高さに一致するように配置されており、段差は、回折素子の面方向に見て、1つの特定の波長の光を特定の角度に回折するための単一のピッチと、他の特定の波長の光を特定の角度に回折するための他の単一のピッチとを重ねたパターンをなす位置にそれぞれ存在している、ことを特徴とする。なお、本明細書中における「特定の波長の光」とは、厳密には「特定の波長の特定の次数の回折光」を意味し、特に±1次光を指す。
回折構造は、1つの特定の波長の光のための回折パターンと、他の特定の波長の光のための回折パターンとを、回折素子の厚さ方向および面方向に重ね合わせた形状を有している。
回折素子の面方向に見たときの、隣接する段差同士の設計上の間隔が、予め設定された最小間隔よりも小さい場合には、一方の段差を移動させて間隔を広げて形成される。
本発明の光ピックアップは、光源と、対物レンズと、光源と対物レンズの間に配置された前記した構成の回折素子とを有する。
本発明の光学記録および再生装置は、前記した光ピックアップを有し、光源から回折素子および対物レンズを介して光記録媒体に光を照射するものである。
本発明の回折素子によると、異なる波長を有する複数の光のそれぞれに対して、適切な回折効率と適切な回折角度による回折を行うことができる。このように本発明では、球面収差補正について、1つの回折構造にて、2つ以上の特定の波長の光を、それぞれ適正な角度に回折することができる。それにより、2つ以上の波長の光の球面収差をよりよく補正することができる。この回折素子を光学記録および再生装置の光ピックアップに採用すると、光記録媒体に対して、波長が異なる複数の光をいずれも良好に収差補正した状態で照射することができる。
回折素子の面方向に見たときの、隣接する段差同士の設計上の間隔が、予め設定された最小間隔よりも小さい場合に、一方の段差を移動させて間隔を広げて形成すると、本発明の回折素子が容易に製造できる。
(a)は本発明の一実施形態の回折素子の平面図、(b)はその部分断面図である。 図1に示す回折素子の内周部の回折構造を示す拡大図である。 (a)は従来の回折構造の一例の段差(アップエッジとダウンエッジ)の配列を示す模式図、(b)はその回折構造を示す模式図である。 (a)は波長780nmの光に適した段差(アップエッジとダウンエッジ)の配列を示す模式図、(b)は波長660nmの光に適した段差(アップエッジとダウンエッジ)の配列を示す模式図、(c)は(a)と(b)を重ね合わせた形状の、本発明の一実施形態の回折構造を示す模式図である。 図4(c)に示す回折構造を補正した例を示す模式図である。 本発明の回折素子を含む光学記録および再生装置の模式図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1(a),(b)に本発明の回折素子1の概略図が示され、図2にその回折素子1の一方の面に形成された回折構造が示されている。本実施形態の回折素子1は円形の平面形状を有するレンズ状であり、その内周部1a(中心から半径0.889mm以内の範囲)に、球面収差を補正するための回折構造が形成されている。中間部分1b(半径0.889mm〜1.195mmの範囲)には、単一の波長の光(具体的にはDVDに対する記録の書き込み/読み出しに用いられる波長660nmの光)のみ回折する回折構造、つまり単一の高さの段差が単一のピッチで配置された階段状のパターンを有する回折構造が形成されている。外周部1c(半径1.195mm〜1.5mmの範囲)は、中間面および段差の無い平らな面であり、回折構造が形成されておらず、あらゆる光を回折せず透過させるようになっている。本実施形態の主な特徴は、内周部1aの回折構造に存するため、以下、この内周部1aの回折構造について説明する。
前記したように、回折素子1は、一方の面に、球面収差を補正するための回折構造(図1(b)参照)を有している。本実施形態の回折素子1は温度補正素子を兼ねており、他方の面には、温度による収差を補正するための回折構造が設けられている。温度による収差を補正するための回折構造については、本発明の本質ではないのでこれ以上詳述しない。以下の説明で述べる「回折構造」とは、回折素子1の一方の面の内周部1aの、球面収差を補正するための回折構造のことである。
具体的には、この回折構造は、上面1a1と、下面1a4と、上面1a1と下面1a4の間に位置する少なくとも2つの中間面1a2,1a3とを有している。そして、上面1a1、下面1a4、および中間面1a2,1a3をそれぞれ繋ぐ段差が形成されている。この上面1a1を基準とすると、第1の中間面1a2は、回折素子1の厚さ方向に見て、上面1a1との間に3.08μmの高さの差を生じる位置に存在する。すなわち、回折素子1の厚さ方向に見たときの、第1の中間面1a2と上面1a1との間隔が、1つの特定の波長(780nm)の光の回折効率を高めることができる高さ(3.08μm)に一致している。また、第2の中間面1a3は、回折素子1の厚さ方向に見て、上面1a1との間に3.85μmの高さの差を生じる位置に存在する。すなわち、回折素子1の厚さ方向に見たときの、第2の中間面1a3と上面1a1との間隔が、他の特定の波長(660nm)の光の回折効率を高めることができる高さ(3.85μm)に一致している。そして、下面1a4は、回折素子1の厚さ方向に見て、上面1a1との間に6.93μmの高さの差を生じる位置に存在する。すなわち、回折素子1の厚さ方向に見たときの、下面1a4と上面1a1との間隔が、1つの特定の波長(780nm)の光の回折効率を高めることができる高さ(3.08μm)と他の特定の波長(660nm)の光の回折効率を高めることができる高さ(3.85μm)との合計の高さ(6.93μm)に一致している。なお、この下面1a4とは、回折素子1の一方の面に形成された回折構造の最も下の面という意味であり、通常は1mm以上の厚さを有する回折素子1の底面というわけではない。
これらの4つの面1a1,1a2,1a3,1a4が段差によって繋がれて、1つの回折構造が構成されている。そして、各面1a1,1a2,1a3,1a4の境界部分となる各段差は、回折素子の面方向に見て、全て単一のピッチで配列されているのではなく、後述するとおり、異なる2つのピッチ(第1の基準ピッチおよび第2の基準ピッチ)で配列されている。
このような本発明の技術的意義を説明するために、まず、従来の回折構造の一例について説明する。最も基本的な回折構造は、図3(b)に示すように、高さの異なる面を繋ぐ段差が、特定の波長(例えば780nm)に対応する単一のピッチ(「第1の基準ピッチ」という)で配置されたものである。具体的には、図3(a)に実線で示されているアップエッジU1が第1の基準ピッチで繰り返されており、アップエッジU1同士の中間の位置に、破線で示されているダウンエッジD1が位置している。言い換えると、矩形パターンのデューティー比が50%である。なお、図面の左側から右側に見た場合に、低いレベルから高いレベルに変わる段差を「アップエッジ」と称し、高いレベルから低いレベルに変わる段差を「ダウンエッジ」と称している。段差(アップエッジとダウンエッジ)によって繋がれる各面は1点鎖線で図示されている。
実際には、透過する光の回折角はアップエッジのピッチによって決まり、レンズ状の回折素子の場合には、回折素子の中心を含む内周側が最もピッチが広く、外周側に移るに従ってピッチは狭くなる性質がある。そのため基準ピッチは全て同一の大きさというわけではないが、前記した通り本明細書中では「単一のピッチ」と称する。図3〜5では、理解を容易にするために、内周側と外周側の差異は考慮せず、一様な基準ピッチとして図示している。
図3(b)に示す回折構造によると、回折構造の段差の高さは、その回折素子の材質の屈折率を考慮した上で、CDに対する記録の書き込み/読み出しに用いられる波長780nmの光に対し最も高い回折効率(理想的には約41%の回折効率)が得られる値に設定されている。例えば、本例の回折素子の材質の、波長780nmの光に対する屈折率が1.504であるとすると、回折構造の段差の最適な高さは3.08μmである。そして、高さ3.08μmの段差は、DVDに対する記録の書き込み/読み出しに用いられる波長660nmの光をほぼ全透過して、CDに対する記録の書き込み/読み出しに用いられる波長780nmの光のみ回折させて光路を変え、新しい波面を形成させることが可能なものである。この時、この回折素子の材質の、波長660nmの光に対する屈折率は1.507である。
以上説明したように、図3(b)に示す回折構造は、波長780nmの光に対する回折構造としては非常に優れたものであり、光記録媒体としてCDのみを用いる光ピックアップにおける収差補正素子として用いるのに非常に適している。ただし、波長660nmの光は単に全透過するだけであり、有効な回折作用を及ぼすことはできない。従って、図3(b)に示す回折構造は、光記録媒体としてCDのみならずDVDを用いる場合もある光ピックアップにおける収差補正用の回折素子としては、不十分である。
前記した通り、特許文献1〜3により、複数の波長の光に対して回折作用を及ぼして複数種類の光記録媒体の収差補正を実行できる構成が提案されているが、それぞれに、前記したような問題が生じている。そこで、本発明では、図1,2に示すような回折構造を形成することにより、これらの問題を解決した。まず、本発明の回折構造の基本的な概念を、単純化して示す図4(a)〜(c)に基づいて説明する。
図4(a),(b)には、図3と同様に波長780nmの光に対して適した回折構造の段差(アップエッジU1およびダウンエッジD1)と、波長660nmの光に対して適した回折構造の段差(アップエッジU2(2点鎖線にて図示)およびダウンエッジD2(点線にて図示))とを示している。前記したのと同じ材質の回折素子を用いる場合には、波長660nmの光に関して最も高い回折効率が得られる回折構造の段差の高さは3.85μmである(この高さの段差は、波長780nmの光をほぼ全透過する)。そして、1つの特定の波長(780nm)の光を所望の特定の角度に回折するための単一のピッチ(第1の基準ピッチ)と、他の特定の波長の光(660nm)を所望の特定の角度に回折するための他の単一のピッチ(第2の基準ピッチ)は異なっている。そこで、波長780nmの光に対して適した高さ(3.08μm)の段差(アップエッジU1およびダウンエッジD1)は、第1の基準ピッチで配置されている。そして、波長660nmの光に対して適した高さ(3.85μm)の段差(アップエッジU2およびダウンエッジD2)は、第2の基準ピッチで配置されている。このように、段差U1,D1,U2,D2は、回折素子1の面方向に見て、2つのピッチ(第1の基準ピッチおよび第2の基準ピッチ)を重ねたパターンをなす位置にそれぞれ存在している。これにより、660nmと780nmの回折光である1次光が最も高い回折効率でそれぞれ特定の角度に回折される。つまり、特定の波長の特定の次数の回折光の回折効率を高め、それぞれ任意の特定な角度に回折できる。
本実施形態では、図4(c)に示すように、図4(a)に示すアップエッジU1およびダウンエッジD1と図4(b)に示すアップエッジU2およびダウンエッジD2とを組み合わせて、1つの回折構造を構成している。この時、図4(a)に示すアップエッジU1と図4(b)に示すアップエッジU2とが同一位置に存在する箇所では、3.08μm+3.85μm=6.93μmの高さだけ、低いレベルから高いレベルに変わる段差を形成する。そして、図4(a)に示すダウンエッジD1と図4(b)に示すダウンエッジD2とが同一位置に存在する箇所では、6.93μmの高さだけ、高いレベルから低いレベルに変わる段差を形成する。そして、図4(a)に示すアップエッジU1または図4(b)に示すアップエッジU2のみが位置する箇所では、3.08μmまたは3.85μmの高さだけ、低いレベルから高いレベルに変わる段差を形成する。同様に、図4(a)に示すダウンエッジD1または図4(b)に示すダウンエッジD2のみが位置する箇所では、3.08μmまたは3.85μmの高さだけ、高いレベルから低いレベルに変わる段差を形成する。仮に、図4(a)に示すアップエッジU1と図4(b)に示すダウンエッジD2が同一位置に存在する箇所や、図4(a)に示すダウンエッジD1と図4(b)に示すアップエッジU2が同一位置に存在する箇所が生じた場合には、3.85μm−3.08μm=0.77μmの高さだけ、低いレベルから高いレベルに、または高いレベルから低いレベルに変わる段差を形成する。
このように、本発明では、異なる2つの波長の光のそれぞれに対して最適な回折パターン(凹凸形状)同士を、すなわち、1つの特定の波長(780nm)の光のための回折パターン(図4(a)参照)と、他の特定の波長(660nm)の光のための回折パターン(図4(b)参照)とを、回折素子1の厚さ方向および面方向に重ね合わせて、1つの回折構造(図4(c)参照)を構成している。それによって、2つの波長の光のいずれに対しても良好な回折作用を及ぼすことができる。しかも、設計段階で、2つの回折パターン(凹凸形状)同士を重ね合わせた1つの回折構造の形状データを作成しておけば、特許文献1,2のように互いに独立した2つの回折構造が配置された構成と同様に製造時に回折構造同士の精緻な位置合わせを行う必要が無く、比較的容易に精度良く回折素子を製造することができる。また、特許文献3のように単一の基準高さの段差を多数に並べた凹凸形状を単一の基準ピッチで並べた回折構造とは異なり、各波長の光のそれぞれに適した複数の基準高さを複数の基準ピッチで凹凸形状を配置しているため、適切な回折効率と適切な回折角度をいずれも実現することができる。このように、段差の高さを調整することによって各波長の光にそれぞれ適した回折効率を実現するのと同時に、各段差(アップエッジU1、ダウンエッジD1、アップエッジU2、ダウンエッジD2)を単一の基準ピッチのみではなく複数のピッチに従って形成することによって、各波長の光にそれぞれ適した回折角度を実現することは、特許文献3をはじめとした従来技術では全く達成されておらず、本発明によって初めて可能になったものである。
ところで、図4(c)に示されている本発明の回折構造では、1つの回折構造の中に複数のピッチを採用しているために、回折素子1の面方向に見て、非常に近接した位置に2つの段差が配置される可能性がある。このような場合には、製造技術上、設計通りの回折構造を形成することが困難になる可能性がある。そこで、本実施形態では、最短間隔(例えば3.0μm)を予め設定しておき、2つの回折パターン同士を重ね合わせた時に隣り合う段差同士の設計上の間隔がこの最短間隔以下になるような場合には、その部分の間隔を広げるように補正して形成している。例えば、図4(c)のA部分のように隣り合う段差同士の設計上の間隔が短い場合には、図5のA’部分のようにその間隔を、少なくとも最短間隔よりも大きく(例えば3.0μmよりも大きく、好ましくは4.0μm以上に)広げている。その際には、基準ピッチで配列されているアップエッジU1は移動させずに、ダウンエッジD2を移動させることによって間隔を広げるようにする。また、ダウンエッジD1とダウンエッジD2が最短間隔以下の間隔で近接する場合には、深さや高さに対して非常に狭い(アスペクト比の大きい)溝部や突起部が形成される訳ではないため、通常は工程の制約のために段差位置を移動させる必要はないが、規準ピッチが長い方の波長(図4に示されている例では波長780nm)の光のためのパターンのダウンエッジD1を移動させて、両者の間隔が最短間隔よりも大きくなるように補正してもよい。段差(この例ではダウンエッジ)を移動させることにより、その部分における回折角度は最適な角度から外れてしまうが、移動量はごく僅かであり、また移動させた部分も回折構造の一部であるためさほどの影響は生じない。
このような補正を行うことにより、2つの波長の光のいずれに関しても、第1および第2の規準ピッチを規定するアップエッジU1,U2は移動されず、第1および第2の基準ピッチは維持されるため、光の波面の精度や品質を保つことが可能である。なお、ダウンエッジを基準ピッチに従って正確に配置する場合には、前記した例とは逆にアップエッジを移動させることが好ましい。要するに、アップエッジとダウンエッジのうち、基準ピッチを規定する方を固定して、基準ピッチを規定していない方を移動させることが好ましい。このように、固定する段差の種類と、必要に応じて移動させる段差の種類とを予め決めておくことにより、設計ルールが明確になり、容易かつ迅速に回折構造の設計が行える。
以上、図4〜5を参照して説明した通り、本実施形態によると、2種類の波長の光、すなわち、CDに対する記録の書き込み/読み出しに用いられる波長780nmの光のための回折パターン(凹凸形状)と、DVDに対する記録の書き込み/読み出しに用いられる波長660nmの光のための回折パターン(凹凸形状)とを兼ね備えている。そして、一般に、BDの記録の書き込み/読み出しに用いられる波長405nmの光が単に透過されるだけであっても収差が生じないように、対物レンズ13(図6参照)が設計されているため、BD用の光のための回折構造は不要である。従って、本実施形態の回折素子1を用いると、CD用の光とDVD用の光の両方に対してそれぞれ適切な回折効率と回折角度とを両立することができ、回折不要のBDを加えて3種類の光記録媒体に関して、良好な記録の書き込み/読み出しが可能である。
図1,2に示されている例では、4つの高さ位置、すなわち、回折素子の上面1a1と、板厚方向の中間位置にあたる2つの中間面1a2,1a3と、下面1a4との合計4つの高さ位置を設けることによって、少なくとも3種類の高さ(3.08μm,3.85μm,6.93μm)の段差を形成している。この3種類の高さは、2種類の波長(780nm,660nm)の光に適したそれぞれの段差の高さに基づいて決まるものである。また、この高さのそれぞれが、2種類の波長に対応した基準ピッチ(第1の基準ピッチおよび第2の基準ピッチ)に従って配置されている。すなわち、回折素子の中心位置から半径方向外側に向かって、各波長に適した高さの段差(アップエッジとダウンエッジ)が、それぞれの波長に対応する基準ピッチの半分ごとに交互に設けられており、段差の高さと基準ピッチは、回折すべき光の波長ごとに個別に適切に選択されている。異なる波長に対応するピッチ同士が重なった位置においては、それらの波長に適した段差の高さの和または差の凹凸形状が形成される。結果的に、図3(b)に示すような周期的な矩形構造ではなく、全体に非周期的な段差が生じている。こうして、1つの回折構造によって、異なる複数の波長の光に応じてそれぞれ個別の波面を与えることができ、異なる複数の波長の光に対して異なるパワー(焦点距離)や収差補正を付与することができる。
さらに、隣接する2つの段差が近接しすぎる場合には、いずれか一方の段差をずらすことによって、製造を容易にすることができる。その場合、アップエッジとダウンエッジのどちらをずらしてどちらを固定するか、予めルールを決めておくとよい。特に、基準ピッチを規定している方の段差を固定し、それ以外の段差を移動させることが好ましい。
次に、本発明の回折格子を有する光ピックアップを含む光学記録および再生装置の全体的な構成について説明する。図6に示すように、この光学記録および再生装置は、光記録媒体2に情報の記録または再生を行うための光ピックアップヘッド12と、光記録媒体2を保持して回転させる媒体保持機構18を有している。
光ピックアップヘッド12は、光ビームを出射する光源として2つの半導体レーザ3,4を有している。半導体レーザ3は、DVDに対する書き込み/読み出しを行うための波長660nmの赤色レーザビーム(第1の光ビーム)を発光する第1の発光領域と、CDに対する書き込み/読み出しを行うための波長780nmの赤外レーザビーム(第2の光ビーム)を発光する第2の発光領域とが、所定の間隔を置いて形成され、1つのパッケージ内に収容されている。一方、半導体レーザ4は、BDに対する書き込み/読み出しを行うための波長405nmの青色レーザビーム(第3の光ビーム)を発光する。
半導体レーザ3と半導体レーザ4とは、半導体レーザ3から出射された第1または第2の光ビームの光軸と、半導体レーザ4から出射された第3の光ビームの光軸とが互いに直交するように配置されている。
半導体レーザ3の光出射部に対向する位置に、回折格子5が配置されている。この回折格子5の片面には、図示しないが、半導体レーザ3から出射された第1および第2の光ビームをそれぞれ3本の光ビーム(0次の主ビームと±1次の副ビーム)に分割するために最適化された回折格子パターンが形成されている。すなわち、回折格子5は、光記録媒体2の表面(情報記録面)において、主ビームの集光位置を中心としてトラック方向に所定距離だけ隔てて対称な位置に±1次の副ビームがそれぞれ集光されるように、半導体レーザ3から出射された第1および第2の光ビームを分割する。
また、半導体レーザ4の光出射部に対向する位置にも、回折格子6が配置されている。この回折格子6の片面には、図示しないが、半導体レーザ4から出射された、第3の光ビームを3本の光ビーム(0次の主ビームと±1次の副ビーム)に分割するために最適化された回折格子パターンが形成されている。すなわち、回折格子6は、光記録媒体2の表面(情報記録面)において、主ビームの集光位置を中心としてトラック方向に所定距離だけ隔てて対称な位置に±1次の副ビームがそれぞれ集光されるように、半導体レーザ4から出射された第3の光ビームを分割する。
回折格子5の下流側かつ回折格子6の下流側の位置、すなわち、半導体レーザ3から出射されて回折格子5を透過した第1または第2の光ビームと、半導体レーザ4から出射されて回折格子6を透過した第3の光ビームが互いに直角に交わる位置に、ダイクロイックプリズム7が配置されている。ダイクロイックプリズム7は、略立方体形状であり、第1および第2の光ビームをほぼ全透過し、第3の光ビームをほぼ全反射する。
ダイクロイックプリズム7の回折格子5と対向する面と反対側には、偏光ビームスプリッタ8が配置されている。偏光ビームスプリッタ8は、ダイクロイックプリズム7からの光ビーム(往路光ビーム)の90%程度を反射して、後述する立ち上げミラー11に入射させるとともに、残りの10%程度を透過させて、後述するフロントモニタ用光検出器14に入射させる。また、偏光ビームスプリッタ8は、立ち上げミラー11からの戻り光(復路光ビーム)を透過させて、後述するアナモフィックレンズ15に入射させる。
偏光ビームスプリッタ8のアナモフィックレンズ15と対向する面と反対側には、立ち上げミラー11が配置されている。立ち上げミラー11は、偏光ビームスプリッタ8からの光ビームを反射して光路を折り曲げて光記録媒体2へ向かう方向に立ち上げ、後述するコリメータレンズ9に入射させる。一方、立ち上げミラー11は、コリメータレンズ9からの光ビームを反射して光路を折り曲げて偏光ビームスプリッタ8に入射させる。
立ち上げミラー11による反射光の光路上に、コリメータレンズ9、液晶素子17、4分の1波長板10、前記した本発明の(温度補正素子を兼ねる)回折素子1、および対物レンズ13が順番に配置されている。なお、実際には、コリメータレンズ9、液晶素子17、4分の1波長板10、回折素子1、および対物レンズ13は、図1の紙面に垂直な方向に重なるように配置されている。コリメータレンズ9は、立ち上げミラー11からの光ビームを平行光線束に変換する。コリメータレンズ9の駆動装置9aは、球面収差量を調整するために、モータにより光軸方向にコリメータレンズ9を駆動する。
液晶素子17は、球面収差、非点収差、およびコマ収差などの収差を補正するためのものである。
4分の1波長板10は、立ち上げミラー11からの主ビームおよび±1次の副ビーム(以下、これらを総称して「往路光ビーム」という。)を直線偏光から円偏光に変換するとともに、対物レンズユニット13からの光ビームを円偏光から、往路光ビームの偏光方位と直交する方向の直線偏光に変換する。
対物レンズ13は、4分の1波長板10からの平行光線束を光記録媒体2の情報記録面に集光するとともに、光記録媒体2からの反射光を平行光線束に変換する。この対物レンズ13に近接して温度補償素子17が設けられている。
回折素子1は、温度変化に伴う誤差を修正するための温度補正素子を兼ねるものであり、具体的には、一方の面に、前記した構成および機能を有する球面収差補正用の回折構造(図4(c),5参照)を有し、他方の面に、温度による収差を補正するための回折構造を有している。対物レンズ13と回折素子1は一体的に、図示しないアクチュエータによって、光記録媒体2に垂直な方向にその光記録媒体2に対して近づいたり遠ざかったりすることができる。
また、ダイクロイックプリズム7から偏光ビームスプリッタ8に向かう直線の先には、フロントモニタ用光検出器14が配置されている。フロントモニタ用光検出器14は、半導体レーザ3,4から出射された第1〜第3の光ビームの光強度を計測する。このフロントモニタ用光検出器14の出力に基づいて半導体レーザ3,4の出力が調整される。
偏光ビームスプリッタ8から見て立ち上げミラー11の反対側、すなわち立ち上げミラー11から偏光ビームスプリッタ8へ向かう直線の先には、アナモフィックレンズ15と受光素子16が順番に配置されている。アナモフィックレンズ15は、偏光ビームスプリッタ8からの光ビームに、焦点ずれ誤差検出のための非点収差を与え、受光素子16上に結像させる。受光素子16は、受光した各光ビームを、分割された各受光領域(図示せず)においてそれぞれ独立して光電変換して電気信号を出力する。
このような構成の光学記録および再生装置において、媒体保持機構18に保持されて回転させられる光記録媒体2に対する記録の書き込み/読み出しのために光を照射する方法について説明する。光記録媒体2としてCDを用いる場合には、半導体レーザ3の第2の発光領域から波長780nmの第2の光ビーム(赤外レーザビーム)を出射する。この第2の光ビームは、回折格子5によって3本の光ビーム(0次の主ビームと±1次の副ビーム)に分割され、それらの3本の光ビーム(往路光ビーム)が、ダイクロイックプリズム7を透過して偏光ビームスプリッタ8に入射する。偏光ビームスプリッタ8に入射した往路光ビームは、その90%程度が反射されて立ち上げミラー11に入射し、立ち上げミラー11によってさらに反射されて、コリメータレンズ9に入射して平行光線束に変換される。こうして、平行光線にされた往路光ビームは、液晶素子17によってコマ収差等が補正され、4分の1波長板10によって円偏光に変換された後に、本発明の(温度補正素子を兼ねる)回折素子1の他方の面で温度に伴う誤差が防止され、さらに一方の面で適正に回折されて球面収差が補正される。そして、対物レンズ13により、光記録媒体(CD)2の所定の深さ位置、具体的には光記録媒体(CD)2の表面から約1.2mmの深さの位置に精度良く集光させられる。
このようにして照射された往路光ビームの、光記録媒体(CD)2による反射光(以下「復路光ビーム」という)は、対物レンズ13および回折素子1を透過し、4分の1波長板10によって直線偏光に変換され、液晶素子17、コリメータレンズ9、および立ち上げミラー11を介して偏光ビームスプリッタ8に入射する。さらにこの復路光ビームは、偏光ビームスプリッタ8を透過して、アナモフィックレンズ15によって、受光素子16上に結像する。受光素子16は、受光した各光ビームを、分割された各受光領域(図示せず)においてそれぞれ独立して光電変換して電気信号を出力する。図示しない処理回路によってこれらの電気信号が処理されて、光記録媒体(CD)2に記録された情報が読み取られる。
光記録媒体2としてDVDを用いる場合には、半導体レーザ3の第1の発光領域から波長650nmの第1の光ビーム(赤色レーザビーム)を出射する。そして、CDの場合と同様に、回折格子5、ダイクロイックプリズム7、偏光ビームスプリッタ8、立ち上げミラー11、コリメータレンズ9、液晶素子17、4分の1波長板10、および(温度補正素子を兼ねる)回折素子1を介して、対物レンズ13により、光記録媒体(DVD)2の所定の位置に集光させられる。この第1の光ビームは、回折素子1の一方の面の内周部1aおよび中間部分1bによって適正に回折されることにより、球面収差が補正される。対物レンズ13は、図示しないアクチュエータによって移動させられて、光記録媒体(DVD)2の表面から約0.6mmの深さの位置に往路光ビームを集光させる。そして、光記録媒体(DVD)2による反射光(復路光ビーム)は、対物レンズ13および回折素子1を透過し、4分の1波長板10、液晶素子17、コリメータレンズ9、立ち上げミラー11、偏光ビームスプリッタ8、アナモフィックレンズ15を介して、受光素子16上に結像する。そして、受光素子16および図示しない処理回路によって、光記録媒体(DVD)2に記録された情報が読み取られる。DVDを用いる場合は、前記したCDを用いる場合と、半導体レーザ3から出射される光ビームが異なるだけで、それ以外の経緯は全く同じであるので、これ以上の説明は省略する。
次に、光記録媒体2としてBDを用いる場合について説明する。この場合、半導体レーザ4から波長405nmの第3の光ビーム(青色レーザビーム)を出射する。この第3の光ビームは、回折格子6によって3本の光ビーム(0次の主ビームと±1次の副ビーム)に分割され、それらの3本の光ビーム(往路光ビーム)が、ダイクロイックプリズム7によって反射されて偏光ビームスプリッタ8に入射する。その後は、CDおよびDVDを用いる場合と同様に、偏光ビームスプリッタ8、立ち上げミラー11、コリメータレンズ9、液晶素子17、4分の1波長板10、および(温度補正素子を兼ねる)回折素子1を介し、さらに対物レンズ13により、光記録媒体(BD)2の所定の位置に集光させられる。この第3の光ビームは、回折素子1の全領域で回折されずに透過され、対物レンズ13によって、記録媒体(BD)2の表面から約0.1mmの深さの位置に集光させられる。このとき第3の光ビームに球面収差が生じないように、対物レンズ13が予め設計されている。
そして、記録媒体(BD)2による反射光(復路光ビーム)は、対物レンズ13および回折素子1を透過し、4分の1波長板10、液晶素子17、コリメータレンズ9、立ち上げミラー11、偏光ビームスプリッタ8、アナモフィックレンズ15を介して、受光素子16上に結像する。そして、受光素子16および図示しない処理回路によって、光記録媒体(BD)2に記録された情報が読み取られる。BDを用いる場合は、前記したCDおよびDVDを用いる場合と、半導体レーザ4から第3の光ビームを出射してダイクロイックプリズム7によってそれを反射する点のみが異なり、それ以外の経緯は全く同じであるので、これ以上の説明は省略する。
なお、各光記録媒体の再生において、往路光ビームのうちの一部が、偏光ビームスプリッタ8の上方に位置するフロントモニタ用光検出器14に入射する。このフロントモニタ用光検出器14は各光ビームの光強度を計測し、その計測結果に基づいて半導体レーザ3,4の出力が調整される。
このように、前記した本発明の回折素子を収差補正素子として光ピックアップに採用することにより、異なる種類の光記録媒体に適した光のそれぞれの波長に応じて、球面収差の少ない条件のパワーを与えることが可能になる。その結果、球面収差の残留量の少ない高品質のビームスポットを得ることができる。
以上、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。本発明の光学記録および再生装置は、記録と再生の両方を行う光学装置のみならず、記録または再生のいずれか一方のみを行う光学装置も含む。
なお、前記した実施形態は、上面1a1と、2つの中間面1a2,1a3と、下面1a4とを有する構成であるが、3つ以上の中間面を有する構成にすることもできる。その場合、3つめの中間面は、回折素子1の高さ方向に見たときの上面1a1との間隔が、さらに他の特定の波長(780nmおよび660nm以外の特定の波長)の光に対して適切な高さ(回折効率を高めることができる高さ)に一致するように配置される。下面1a4は、回折素子1の高さ方向に見たときの上面1a1との間隔が、3種類の波長の光のそれぞれに適した高さの合計の高さに一致するように配置される。そして、3つめの特定の波長(780nmおよび660nm以外の特定の波長)の光を所望の特定の角度に回折するための、さらに他の特定のピッチ(第1および第2の基準ピッチ以外の特定のピッチ)で、追加の段差が配置される。その結果、全ての段差についてみると、3種類の波長の光をそれぞれ所望の特定の角度に回折するための各ピッチを重ね合わせたパターンをなす位置にそれぞれ段差が存在することになる。そして、3種類の波長の光のためのそれぞれの回折パターンが、回折素子1の厚さ方向および面方向に重ね合わせた形状の回折構造が構成される。このような構成によると、3種類以上の波長の光に対してそれぞれ適切な回折効率と回折角度とを両立することができ、回折不要のBDを加えると4種類以上の光記録媒体に関して、良好な記録の書き込み/読み出しが可能になる。
4つ以上の中間面を有する場合には、前記した構成に準じた構成になり、4種類以上の波長の光に対してそれぞれ適切な回折効率と回折角度とを両立することができる。
1 (温度補正素子を兼ねる)回折素子
1a1 上面
1a2 第1の中間面
1a3 第2の中間面
1a4 下面
2 光記録媒体
3,4 半導体レーザ
5,6 回折格子
7 ダイクロイックプリズム
8 偏光ビームスプリッタ
9 コリメータレンズ
9a 駆動装置
10 4分の1波長板
11 立ち上げミラー
12 光ピックアップヘッド
13 対物レンズ
14 フロントモニタ用光検出器
15 アナモフィックレンズ
16 受光素子
17 液晶素子
18 媒体保持機構
1,U2 アップエッジ(段差)
1,D2 ダウンエッジ(段差)

Claims (5)

  1. 回折構造を有する回折素子において、
    前記回折構造が、上面と、下面と、前記上面と前記下面の間に位置する少なくとも2つの中間面と、前記上面、前記下面、および前記中間面を繋ぐ段差とを有し、
    1つの前記中間面は、前記回折素子の厚さ方向に見たときの前記上面との間隔が、1つの特定の波長の光の回折効率を高めることができる高さに一致するように配置され、他の前記中間面は、前記回折素子の厚さ方向に見たときの前記上面との間隔が、他の特定の波長の光の回折効率を高めることができる高さに一致するように配置されており、
    前記下面は、前記回折素子の厚さ方向に見たときの前記上面との間隔が、前記1つの特定の波長の光の回折効率を高めることができる高さと前記他の特定の波長の光の回折効率を高めることができる高さとの合計の高さに一致するように配置されており、
    前記段差は、前記回折素子の面方向に見て、前記1つの特定の波長の光を特定の角度に回折するための単一のピッチと、前記他の特定の波長の光を特定の角度に回折するための他の単一のピッチとを重ねたパターンをなす位置にそれぞれ存在している、
    ことを特徴とする回折素子。
  2. 前記回折構造は、前記1つの特定の波長の光のための回折パターンと、前記他の特定の波長の光のための回折パターンとを、前記回折素子の厚さ方向および面方向に重ね合わせた形状を有している、請求項1に記載の回折素子。
  3. 前記回折素子の面方向に見たときの、隣接する前記段差同士の設計上の間隔が、予め設定された最小間隔よりも小さい場合には、一方の前記段差を移動させて前記間隔を広げて形成される、請求項1または2に記載の回折素子。
  4. 光源と、対物レンズと、前記光源と前記対物レンズの間に配置された請求項1から3のいずれか1項に記載の回折素子とを有する、光ピックアップ。
  5. 請求項4に記載の光ピックアップを有し、前記光源から前記回折素子および前記対物レンズを介して光記録媒体に光を照射する、光学記録および再生装置。
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