JP2010181675A - プロジェクター - Google Patents

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Abstract

【課題】大きな傾斜角での近接投射に適するプロジェクターであって、十分な画面サイズと画質とを確保できるプロジェクターを提供すること。
【解決手段】システム光軸SAが投射面P1に垂直な基準線L1に対して角度α(15°〜30°)で傾斜して配置されるので、プロジェクター10を投射面P1に垂直な状態から比較的大きく傾けるとともにプロジェクター10を投射面P1に近接させた状態で斜め投射を行わせる近接投射を前提として、上記角度αに対応して十分に拡大された画像をスクリーン84上に形成することができる。さらに、本実施形態のプロジェクター10によれば、投射レンズ70の光軸OAが傾斜方向に基準画像高d0以上のシフト量dで標準的に位置ずれして配置されるので、レンズシフトによる斜め投射を併用した近接投射が可能になり、投射像PIのサイズを確保しつつスクリーン84に対する近接度をさらに高めることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば液晶パネル等で構成されるライトバルブによって形成した画像をスクリーン上に投射するプロジェクターに関する。
プロジェクターとして、光源ランプと、液晶パネルと、投射レンズとを備え、液晶パネルに形成された画像をスクリーンに対して傾斜させて歪みなく投射するため、液晶パネルに表示させる画像を台形にし、液晶パネルの前段に近接して設けた一対の遮光板の内辺を表示画像の台形の斜辺に一致させるものが存在する(特許文献1参照)。
別のプロジェクターとして、光変調素子で変調された光をスクリーン上に投射するための投射レンズを光変調素子の光軸に対して鉛直な平面に沿って移動させるレンズシフト部を有し、このレンズシフト部によってプロジェクターからの投射角度を積極的に調整可能にしたものも存在する(特許文献2参照)。
特開2001−215610号公報 特開2000−347290号公報
しかし、前者のプロジェクターのように、台形補正を行う方法では、投射の傾斜角が大きくなるほど、表示領域中で画像投射に活用される実表示領域の割合が小さくなって解像度が急激に劣化するとともに、黒表示時に光が部分的に透過してコントラストが低下するといった弊害が増加する。特に、最近のプロジェクターは、スクリーンに近接した位置から十分な拡大率で投射することが求められているが、このような場合、投射の傾斜角が大きくなって、上記のような弊害が急激に増大する。
また、後者のプロジェクターのように、レンズシフト部を設ける方法は、基本的にスクリーンがレンズの光軸に略垂直であることが前提となっており、レンズシフト量を大きくとると、収差、ケラレ等によって画像劣化が著しくなる傾向がある。特に、スクリーンに近接した位置から大きな拡大率で投射するプロジェクターでは、前者のプロジェクターと同様に投射の傾斜角が大きくなって、画像劣化が顕著になる。
そこで、本発明は、大きな傾斜角での近接投射に適するプロジェクターであって、十分な画面サイズと画質とを確保できるプロジェクターを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係るプロジェクターは、光束を出射する光源と、光源から出射された光束を画像情報に応じて変調して画像を形成するライトバルブと、ライトバルブで形成された画像を投射する投射光学系とを備える。ここで、ライトバルブから投射光学系にかけて延びるシステム光軸は、投射面に垂直な基準線に対して所定角度で傾斜して配置され、ライトバルブは、システム光軸が傾斜する所定角度に対応して画像に2次元的な歪補正を施す。投射光学系の光軸は、システム光軸に垂直で光路下流側でシステム光軸が基準線から離れる傾斜方向に、システム光軸からライトバルブに形成される画像端までの基準画像高以上に標準的に位置ずれして配置されている。
上記プロジェクターによれば、ライトバルブから投射光学系にかけて延びるシステム光軸が投射面に垂直な基準線に対して所定角度で傾斜して配置されるので、プロジェクターを投射面に垂直な状態から比較的大きく傾けるとともにプロジェクターを投射面に近接させた状態で斜め投射を行わせる近接投射を前提として、上記所定角度に対応して十分に拡大された画像を投射面上に形成することができる。この際、ライトバルブが上記所定角度に対応して画像に2次元的な歪補正を施すので、システム光軸を基準線に対して傾斜させたことによる投射像の歪みを補償して元の画像に近づけた画像を投射することができる。さらに、上記プロジェクターによれば、投射光学系の光軸が傾斜方向に基準画像高以上に標準的に位置ずれして配置されるので、レンズシフトによる斜め投射を併用した近接投射が可能になり、投射像のサイズを確保しつつ投射面に対する近接度をさらに高めることができる。
また、本発明の具体的な態様又は側面によれば、上記プロジェクターにおいて、ライトバルブは、画像に対して所定角度に対応する台形補正を施す。この場合、システム光軸を基準線に対して傾斜させることに起因する投射像の台形歪みをライトバルブ側で補償することができ、歪みの少ない画像を投射することができる。
本発明の別の態様によれば、ライトバルブは、光束の変調が可能な表示可能領域のうち傾斜方向の外縁側の端部領域を除くとともに傾斜方向の反対側の外縁まで延在する実表示領域において光束の変調による表示を行う。この場合、表示が行われる実表示領域は、台形補正に際して拡大率を確保する観点で表示可能領域内で有利に偏っており、近接投射による拡大投射をより実効的なものとすることができる。
本発明のさらに別の態様によれば、ライトバルブは、台形補正によって矩形輪郭に変換される台形輪郭に対応する表示可能領域を有する。この場合、システム光軸を基準線に対して傾斜させるとともにレンズシフトを併用した近接投射に適したライトバルブによって高品位の画像投射が可能になる。
本発明のさらに別の態様によれば、投射光学系によって投射される画像の半画角は、48°以上であり、傾斜方向の投射像幅に対する投射光学系の光軸から投射像までの距離の比をオフセット比とした場合に、オフセット比は、0以上であり、所定角度は、15°以上30°以下である。この場合、投射像の中心や周辺を含む全体で解像度やコントラストを一定以上のレベルに保つことができる。
第1実施形態のプロジェクターの光学系について説明する図である。 図1のプロジェクターの要部と使用状態とを説明する側面図である。 図1のプロジェクターによる投射像を説明する正面図である。 ライトバルブを構成する液晶パネルの構造、動作等を説明する図である。 第1実施形態における液晶パネルの構造、動作等を説明する図である。
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る第1実施形態のプロジェクターの構造や動作について説明する。
図1に示すように、本実施形態のプロジェクター10は、光学エンジンユニットとも呼ばれる本体光学装置11と、装置全体を覆う外装ケース19とを備える。このうち、本体光学装置11は、照明装置20、色分離導光光学系40、光変調部50、クロスダイクロイックプリズム60、及び投射レンズ70を備えて構成される。これらの照明装置20、色分離導光光学系40、光変調部50、クロスダイクロイックプリズム60、及び投射レンズ70は、遮光性を有するライトガイド11a中に略全体が収納され、ライトガイド11a内において光学的にアライメントされた状態で固定されている。
まず、照明装置20は、光源ランプユニット21と、均一化光学系23とを備える。このうち、光源ランプユニット21は、光源として、ランプ部21aと、凹レンズ21bとを備える。ランプ部21aは、例えば高圧水銀ランプ等であるランプ本体22aと、光源光を回収して前方に出射させる凹面鏡22bとを備える。凹レンズ21bは、ランプ部21aからの光源光をシステム光軸SAすなわち照明光軸に略平行な光束にする役割を有するが、例えば凹面鏡22bが放物面鏡である場合には、省略することもできる。光源ランプユニット21の次段に配置される均一化光学系23は、第1及び第2レンズアレイ23a,23bと、偏光変換部材23fと、重畳レンズ23hとを備える。第1及び第2レンズアレイ23a,23bは、それぞれマトリクス状に配置された複数の要素レンズからなる。このうち、第1レンズアレイ23aを構成する要素レンズによって、光源ランプユニット21から出射された光束が複数の部分光束に分割される。また、第2レンズアレイ23bを構成する要素レンズによって、第1レンズアレイ23aからの各部分光束は適当な発散角で出射される。偏光変換部材23fは、プリズムアレイ等で構成され、レンズアレイ23bから出射された光源光を特定方向の直線偏光のみに変換して次段光学系に供給する。重畳レンズ23hは、偏光変換部材23fを経た照明光を全体として適宜収束させることにより、光変調部50に設けた各色のライトバルブ50a,50b,50cに対する重畳照明を可能にする。つまり、照明装置20から出射された照明光は、後述するように、色分離導光光学系40を介して各色のライトバルブ50a,50b,50cの表示可能領域を均一に照明する。
色分離導光光学系40は、第1及び第2ダイクロイックミラー41a,41bと、反射ミラー42a,42b,42cと、3つのフィールドレンズ43a,43b,43cとを備え、照明装置20から出射された照明光を赤(R)色、緑(G)色、及び青(B)色の3色に分離するとともに、各色光を次段のライトバルブ50a,50b,50cへ導く。より詳しく説明すると、まず、第1ダイクロイックミラー41aは、RGBの3色のうちR色の照明光LRを反射しG色及びB色の照明光LG,LBを透過させる。また、第2ダイクロイックミラー41bは、GBの2色のうちG色の照明光LGを反射しB色の照明光LBを透過させる。この色分離導光光学系40において、第1ダイクロイックミラー41aで反射された照明光LRは、ここで2分岐されたR色用光路をシステム光軸SAに略沿って進むことにより、反射ミラー42aを経て入射角調節用のフィールドレンズ43aに入射する。また、第1ダイクロイックミラー41aを透過し、第2ダイクロイックミラー41bで反射された照明光LGは、ここで2分岐された一方のG色用光路をシステム光軸SAに略沿って進むことにより、入射角調節用のフィールドレンズ43bに入射する。さらに、第2ダイクロイックミラー41bを通過した照明光LBは、ここで2分岐された他方のB色用光路をシステム光軸SAに略沿って進むことにより、リレーレンズ44a,44b及び反射ミラー42b,42cを経て入射角調節用のフィールドレンズ43cに入射する。
光変調部50において、各ライトバルブ50a,50b,50cは、非発光型の光変調装置として、入射した照明光の空間的強度分布を個別に変調する。これらのライトバルブ50a,50b,50cは、色分離導光光学系40から出射された各色光に対応してそれぞれ照明される液晶パネル51a,51b,51cと、各液晶パネル51a,51b,51cの入射側にそれぞれ配置される入射側偏光フィルター52a,52b,52cと、各液晶パネル51a,51b,51cの出射側にそれぞれ配置される出射側偏光フィルター53a,53b,53cとを備える。各液晶パネル51a,51b,51cは、入射側偏光フィルター52a,52b,52cを経て入射した照明光LR,LG,LBに対してその偏光方向の空間的分布を変化させる。つまり、各液晶パネル51a,51b,51cにそれぞれ入射した各色光LR,LG,LBは、各液晶パネル51a,51b,51cに電気的信号として入力された駆動信号或いは制御信号に応じて、画素単位で偏光状態が調整され、出射側偏光フィルター53a,53b,53cの通過に伴って画素単位で空間的な強度変調が施される。
クロスダイクロイックプリズム60は、カラー画像を合成するための光合成光学系であり、その内部には、R光を反射する誘電体多層膜である第1ダイクロイック膜61と、B光を反射する誘電体多層膜である第2ダイクロイック膜62とが、平面視X字状に配置されている。このクロスダイクロイックプリズム60は、R色用光路上にあってシステム光軸SAに垂直に配置されたライトバルブ50aからの赤色光LRを第1ダイクロイック膜61で反射して進行方向右側に出射させる。また、クロスダイクロイックプリズム60は、G色用光路上にあってシステム光軸SAに垂直に配置されたライトバルブ50bからの緑色光LGを両ダイクロイック膜61,62を介して直進・出射させる。さらに、クロスダイクロイックプリズム60は、B色用光路上にあってシステム光軸SAに垂直に配置されたライトバルブ50cからの青色光LBを第2ダイクロイック膜62で反射して進行方向左側に出射させる。
投射レンズ70は、投射光学系を具体化したものであり、クロスダイクロイックプリズム60を経て形成された合成光による画像光を所望の拡大率で拡大して、後述するスクリーン上にカラーの静止画又は動画を投射する。なお、投射レンズ70は、レンズシフトに対応する比較的広角のレンズであり、投射レンズ70の中心を通る光軸OAは、システム光軸SAに対して垂直な方向(この場合+Y方向)に適宜シフトした状態に配置されている。
以上の本体光学装置11を覆う外装ケース19は、本体光学装置11を天井や机上等の水平面に対して恒常的に傾斜させた状態で配置できるような形状及び構造を有している。つまり、本体光学装置11のシステム光軸SAは、XZ面内に沿って延びるが、外装ケース19の底面は、XZ面に平行ではなく、その法線方向がYZ面内となるように、システム光軸SAに対して傾斜した状態となっている。
図2に示すように、図1のプロジェクター10は、例えばxz面に沿って延びる天井81に固定され、xy面に沿って延びる壁面82に取り付けたスクリーン84上に拡大された画像である投射像PIを投影する。この場合、プロジェクター10の外装ケース19の底面19bを利用してプロジェクター10を天井81に固定する結果として、本体光学装置11のシステム光軸SAは、光出射側すなわち光路下流側で下方に傾斜して固定されており、プロジェクター10の前方下方に配置されたスクリーン84上に斜め投射を行う。具体的に説明すると、ライトバルブ50b等を通過しクロスダイクロイックプリズム60を貫通して光出射側に延びるシステム光軸SAは、スクリーン84の前面に沿った投射面P1に垂直でz方向に延びる基準線L1を基準として、光路下流側で下向きとなるように、水平なx軸のまわりに回転して角度α傾斜した状態で固定されている。
さらに、投射レンズ70は、既に説明したようにレンズシフトに対応しており、システム光軸SAに対して平行な状態を保ってシステム光軸SAに垂直な斜め下方向に固定的にシフトした状態で配置されている。この際、投射レンズ70のシフト量dは、投射レンズ70の性能を考慮した上限程度に設定されており、システム光軸SAの傾斜に匹敵する追加の斜め投射を可能にしている。すなわち、投射レンズ70の光軸OAは、システム光軸SAに垂直な前方下向きの傾斜方向に基準画像高d0以上のシフト量dで位置ずれして配置されている。ここで、傾斜方向とは、本実施形態の場合、図1のシステム光軸SAの存在するXZ面に垂直なY方向となっており、一般的には、システム光軸SAを基準として、システム光軸SAに垂直で、かつ、投射光LPの光路下流側で基準線L1から離れる方向を意味するものとする。また、基準画像高d0は、ライトバルブ50b(50a,50c)の表示可能領域に形成される画像の縦幅の半分、すなわちシステム光軸SAからライトバルブ50b(50a,50c)上の画像端までの距離を意味する。
以上のように、投射レンズ70をレンズシフトさせることにより、投射光LPによってシステム光軸SAに垂直な仮想的スクリーン184上に形成される投射像PI'は、縦方向に関して、投射レンズ70の水平線Hよりもオフセット量(距離a)だけ下側に外縁を有するとともに縦幅bを有する画像となっている。実際のスクリーン84は、システム光軸SAに対して角度αだけ傾いており、システム光軸SAよりも上側でプロジェクター10に近づき下側でプロジェクター10から離れるように配置されている。この結果、実際のスクリーン84上に形成される投射像PIは、縦方向に関して、投射レンズ70の中心を通る基準線L1に平行な水平線Hよりもオフセット量(距離a')だけ下側に外縁を有するとともに縦幅b'を有する画像となっている。この際、投射レンズ70の中心からスクリーン84の投射面P1までの投影距離Dは、画像の縦幅b'よりも十分小さくなっている。つまり、本実施形態のプロジェクター10は、近接投射型のプロジェクターとして、スクリーン84に近接してスクリーン84上方から大きな傾斜角度βで画像の投射を行う。このように傾斜角度βを大きくした場合、スクリーン84の手前に人が立っても影になりにくい。なお、同様の傾斜角度βを例えばレンズシフトだけで達成しようとした場合、投射レンズ70が非常に大きく高価なものとなってしまう。
図3は、本実施形態のプロジェクター10による投射像PIの形成を説明する図である。一点鎖線で示す第1枠91は、レンズシフトだけを利用した比較例の近接投射による投射画像の範囲を示し、点線で示す第2枠92は、レンズシフトに斜め投射を追加した近接投射による投射画像の範囲を示す。第2枠92のままでは、画像が歪んでしまうので、本実施例の場合、ライトバルブ50b(50a,50c)の表示可能領域に形成される画像に歪み補正処理を施す。具体的には、台形補正(キーストーン補正)を施した画像をライトバルブ50b(50a,50c)に表示させることで、実線で示す第3枠93内に略歪みのない画像を投射することができる。
図4は、ライトバルブ50bすなわち液晶パネル51bの構造、動作等を説明する図である。なお、他の色用のライトバルブ50a,50cの動作は、この液晶パネル51bの動作と同じであり、説明を省略する。
液晶パネル51bは、外周フレーム56に囲まれたパネル本体57を備えて構成され、パネル本体57に対応して表示可能領域A1を有する。この表示可能領域A1は、パネル本体57を構成する画素によって光束の変調すなわち画像の表示が可能な矩形で横長の領域になっている。本実施形態の場合、表示可能領域A1のすべてを活用するのではなく、表示可能領域A1の一部である台形の実表示領域A2において光束の変調による表示を行う。つまり、表示可能領域A1は、図3に示す台形の第2枠92に相当し、実表示領域A2は、図3に示す矩形の第3枠93に相当する。液晶パネル51bにおいて、実表示領域A2は、傾斜方向(図2等に示すY方向)の外縁側の端部領域A3を除くとともに当該傾斜方向の反対(図2等に示すY方向)側の外縁まで延在する。つまり、実表示領域A2は、表示可能領域A1内で有利に偏って配置されており、偏り方向は、台形補正に際して拡大率を確保する観点で有利になっている。この際、実表示領域A2に対応する開口を有するマスクを液晶パネル51bに隣接して配置することで、投射画像の周辺が漏れ光によって明るくなることを防止できる。なお、実表示領域A2が傾斜方向の反対(図2等に示すY方向)側に偏っている場合、第3枠93の場合に比較して拡大率が小さくなってしまう。
以上において、投射レンズ70によってスクリーン84上に投射される投射像PIの半画角(ここでは、光軸OAから最も離れた投射方向の光軸OAに対する角度を意味する)は、正面に投射する場合と比較した斜め投射の拡大率として1.1倍以上を達成できるという観点で、たとえば48°程度以上とする。また、傾斜方向(図2等に示すY方向)の投射像幅としての縦幅b'に対するオフセット量としての水平線Hから投射像PIまでの距離a'(水平線Hが投射像PI外の場合、便宜上正の値になるものとする)の比をオフセット比R(=a'/b')とした場合に、このオフセット比Rは、0以上となっている。表現を変えると、画面縦幅とオフセット量との比率b':a'は、正面の投射の場合、10:−5となるが、本実施形態の場合、10:0より大きな正の値となっている。さらに、システム光軸SAを基準線L1に対して傾斜させる角度αは、例えば15°以上30°以下とする。なお、オフセット比Rについては、水平線Hが投射像PI内にあって距離a'が負の場合、これに対応して負の値となる。
下記の表1は、実施形態のプロジェクター10によって80インチの画像を投射する場合について、システム光軸SAの角度αと、スクリーン84までの投影距離Dと、オフセット量である距離a'との関係を算出したものである。この際、ライトバルブ50bの画面の高さを3.8mmとし、投射レンズ70のシフト量dは、4.94mmとした。表1からも明らかなように、投影距離Dに対してオフセット量a'を大きくした近接投射が可能になることが分かる。
Figure 2010181675
以上の説明から明らかなように、上記実施形態のプロジェクター10によれば、システム光軸SAが投射面P1に垂直な基準線L1に対して角度α(例えば15°〜30°)で傾斜して配置されるので、プロジェクター10を投射面P1に垂直な状態から比較的大きく傾けるとともにプロジェクター10を投射面P1に近接させた状態で斜め投射を行わせる近接投射を前提として、上記角度αに対応して十分に拡大された画像を投射面P1すなわちスクリーン84上に形成することができる。この際、ライトバルブ50a,50b,50cが実表示領域A2において上記角度αに対応して画像に2次元的な歪補正を施すので、システム光軸SAを基準線L1に対して傾斜させたことによる投射像PIの歪みを補償して元の画像に近づけた画像を投射することができる。さらに、本実施形態のプロジェクター10によれば、投射レンズ70の光軸OAが傾斜方向に基準画像高d0以上のシフト量dで標準的に位置ずれして配置されるので、レンズシフトによる斜め投射を併用した近接投射が可能になり、投射像PIのサイズを確保しつつ投射面P1すなわちスクリーン84に対する近接度をさらに高めることができる。
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態のプロジェクターについて説明する。なお、本実施形態のプロジェクターは、第1実施形態のプロジェクター10を変形したものであり、特に説明しない部分は第1実施形態と同様であるものとする。
図5は、図4等に示す液晶パネル51bを変形した液晶パネル151bを説明する図である。なお、図4等に示す他の色用のライトバルブ50a,50cも同様に変形されるので、他の色用のライトバルブ150a,150cについては、説明を省略する。
本実施形態の液晶パネル151bの場合、外周フレーム56に囲まれたパネル本体57は、台形輪郭の表示可能領域A1を有する。この表示可能領域A1は、パネル本体57を構成する画素によって光束の変調すなわち画像の表示が可能な領域となっている。つまり、液晶パネル151bは、表示可能領域A1全体に台形歪みの補償を予定した台形輪郭の画像を形成する。なお、図5の表示可能領域A1に形成される画像は、図4の表示可能領域A1に形成される画像と同じである。参考のため、図4の表示可能領域A1に対応する領域A1'を二点差線で示した。図5の表示可能領域A1の各点に形成される画素は、台形補正を不要にしたものであり、各部で画素のサイズ及び間隔が異なったものとなっている。例えば、上下辺の縁中央に位置する部分PP1では、直交する格子状の画素が形成されており、四隅に位置する部分PP2では、歪んだ格子状の画素が形成されている。第2実施形態の場合、表示可能領域A1中に使用されない無駄な領域が存在しない。
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。すなわち、上記実施形態では、プロジェクター10を天井81に固定したが、プロジェクター10を机や床上に設置することもできる。この場合も、外装ケース19を利用して本体光学装置11すなわちシステム光軸SAを傾斜して配置することができ、効率的な近接投射が可能になる。さらに、プロジェクター10を壁面82に固定してスクリーン84に側方から画像投射を行うこともできる。この場合、システム光軸SAは、xz面内にあって投射面P1すなわち基準線L1に対して傾いている。
また、上記実施形態の光源ランプユニット21に用いるランプとしては、高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等種々のものが考えられる。また、光源ランプユニット21は、副鏡13を有しないタイプの光源ランプユニットとすることができる。
また、上記実施形態では、透過型のライトバルブ50a,50b,50cを備えるプロジェクターに本発明を適用した場合の例について説明したが、本発明は、反射型のライトバルブを備えるプロジェクターにも適用することが可能である。ここで、「透過型」とは、液晶パネル等を含むライトバルブが光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、ライトバルブが光を反射するタイプであることを意味している。
また、上記実施形態の本体光学装置11では、色分離導光光学系40やライトバルブ50a,50b,50c等を用いて各色の光変調を行っているが、これらに代えて、例えば照明装置20によって照明されるカラーホイールと、マイクロミラーの画素によって構成されカラーホイールの透過光が照射されるデバイス(ライトバルブ)とを組み合わせたものとを用いることによって、カラーの光変調及び合成を行うこともできる。
また、プロジェクターとしては、投射面を観察する方向から画像投射を行う前面投射型のプロジェクターと、投射面を観察する方向とは反対側から画像投射を行う背面投射型のプロジェクターとがあるが、図1等に示すプロジェクター10の構成は、いずれにも適用可能である。
また、上記実施形態では、3つのライトバルブ50a,50b,50cを用いたプロジェクター10の例のみを挙げたが、本発明は、1つ又は2つのライトバルブを用いたプロジェクター、4つ以上のライトバルブを用いたプロジェクターにも適用可能である。
10…プロジェクター、 11…本体光学装置、 19…外装ケース、 19b…底面、 20…照明装置、 21…光源ランプユニット、 21a…ランプ部、 21b…凹レンズ、 23…均一化光学系、 23a,23b…レンズアレイ、 23f…偏光変換部材、 23h…重畳レンズ、 40…色分離導光光学系、 41a,41b…ダイクロイックミラー、 43a,43b,43c…フィールドレンズ、 50…光変調部、 50a,50b,50c…ライトバルブ、 51a,51b,51c…液晶パネル、 56…外周フレーム、 57…パネル本体、 60…クロスダイクロイックプリズム、 70…投射レンズ、 84…スクリーン、 A1…表示可能領域、 A2…実表示領域、 A3…端部領域、 d…シフト量、 D…投影距離、 d0…基準画像高、 L1…基準線、 LR,LG,LB…照明光、 OA…光軸、 P1…投射面、 SA…システム光軸

Claims (5)

  1. 光束を出射する光源と、
    前記光源から出射された光束を画像情報に応じて変調して画像を形成するライトバルブと、
    前記ライトバルブで形成された画像を投射する投射光学系と、を備え、
    前記ライトバルブから前記投射光学系にかけて延びるシステム光軸は、投射面に垂直な基準線に対して所定角度で標準的に傾斜して配置され、
    前記ライトバルブは、前記システム光軸が傾斜する前記所定角度に対応して前記画像に2次元的な歪補正を施し、
    前記投射光学系の光軸は、前記システム光軸に垂直で光路下流側で前記システム光軸が前記基準線から離れる傾斜方向に、前記システム光軸から前記ライトバルブに形成される画像端までの基準画像高以上に位置ずれして配置されている、
    プロジェクター。
  2. 前記ライトバルブは、前記画像に対して前記所定角度に対応する台形補正を施す、請求項1に記載のプロジェクター。
  3. 前記ライトバルブは、光束の変調が可能な表示可能領域のうち前記傾斜方向の外縁側の端部領域を除くとともに前記傾斜方向の反対側の外縁まで延在する実表示領域において光束の変調による表示を行う、請求項2に記載のプロジェクター。
  4. 前記ライトバルブは、台形補正によって矩形輪郭に変換される台形輪郭に対応する表示可能領域を有する、請求項2に記載のプロジェクター。
  5. 前記投射光学系によって投射される投射像の半画角は、48°以上であり、
    前記傾斜方向の投射像幅に対する前記投射光学系の光軸から投射像までの距離の比をオフセット比とした場合に、オフセット比は、0以上であり、
    前記所定角度は、15°以上30°以下である、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のプロジェクター。
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WO2024075228A1 (ja) * 2022-10-05 2024-04-11 日精テクノロジー株式会社 投射光学系

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