本実施形態の空気調和機の室内ユニットを図1、2に示す。室内ユニットは、熱交換器1および室内ファン2を備え、これらがキャビネット3に内装されている。キャビネット3は、高さよりも奥行きが長い箱状に形成され、前面から底面にかけて湾曲面とされる。キャビネット3の上面に吸込口4が形成され、湾曲面に吹出口5が形成される。
キャビネット3の内部には、吸込口4から吹出口5に至る空気通路6が形成され、この空気通路6に熱交換器1と室内ファン2とが配設される。吸込口5と熱交換器1との間に、フィルタ7が配され、吸込口4から吸込んだ室内の空気から塵埃を除去する。このフィルタ7を清掃する清掃装置8が設けられる。
清掃装置8は、キャビネット3内でフィルタ7を移動させて、塵埃除去部9を通過させ、塵埃除去部9において、フィルタ7に付着した塵埃を除去する。キャビネット3内の前側に、側面視でU字形に湾曲した案内路10が形成され、モータ、ギアからなる移動部が、フィルタ7を案内路10に沿って往復移動させる。塵埃除去部9において、回転ブラシ11により、通過するフィルタ7から塵埃を掻き取り、吸引ファンにより、フィルタ7と略平行方向(左右方向)に空気を流して、掻き取った塵埃を吸引して排出する。
キャビネット3の湾曲面には、吹出口5を開閉する導風パネル20が設けられる。図3〜6に示すように、導風パネル20は、上下両開き可能とされ、導風パネル20を開閉する開閉機構が設けられる。
空気調和機では、室内ユニットに対して図示しない室外ユニットが室外に設置されている。室外ユニットには、圧縮機、熱交換器、四方弁、室外ファン等が内装され、これらと室内側の熱交換器1とによって冷凍サイクル40が形成される。そして、図7に示すように、冷凍サイクル40を制御する制御装置41が室内ユニットに設けられる。マイコンからなる制御装置41は、ユーザの指示および室温や外気温を検出する温度センサ等の各種のセンサ42の検出信号に基づいて、冷凍サイクル40を制御し、冷暖房運転を行う。このとき、制御装置41は、冷暖房運転に応じて開閉機構を制御し、導風パネル20を開閉する。また、制御装置41は、定期的に、あるいはユーザからの指示により、清掃装置8を制御して、フィルタ7を清掃する。
導風パネル20は、湾曲した1枚のパネルによって形成され、導風パネル20の幅は、キャビネット3の幅と同寸とされ、吹出口5の幅より大とされる。そして、キャビネット3の前面には、前面の中段部分から底面にかけて、一段低くなるように前パネル21が形成される。これによって、幅方向全体に凹部が形成され、凹部に導風パネル20が嵌るようになっている。凹部を形成する前パネル21に開口が形成され、この開口が吹出口5である。そのため、導風パネル20は、吹出口5よりも前方に位置することになり、吹出口5および吹出口5の周囲の前パネル21を覆う。このとき、導風パネル20は図2に示す閉姿勢となる。
閉姿勢のとき、導風パネル20の前端および後端とキャビネット3との間に隙間が形成される。図4、6に示すように、導風パネル20が開閉するとき、導風パネル20の端部がこの隙間に入り込む。導風パネル20は、キャビネット3に当たらずにスムーズに回動できる。また、上開きあるいは下開きにおいて、導風パネル20が最大に開いたとき、導風パネル20がキャビネット3に接触するように、導風パネル20の前後の端部を形成することにより、吹き出した風が漏れることを防げる。特に、冷風の場合には、キャビネット3の底面側での結露を防止できる。
このように、導風パネル20の外面がキャビネット3の前面から底面に至る滑らかな湾曲面を構成する。すなわち、導風パネル20が、キャビネット3の前面の一部を構成する部材となる。言い換えれば、キャビネット3のパネルの一部を導風パネル20として利用する。これによって、導風パネル20は、従来の空気調和機に採用されているルーバに比べて全長が長いロングパネルとなる。
導風パネル20は、上下の軸を中心にして、異なる方向に回動することにより、上下いずれかの方向に開く。図5、6に示すように、導風パネル20は、冷房運転時には下軸22周りに下開きする。この下開き姿勢のとき、導風パネル20は、吹出口5の下壁とつながり、導風パネル20と吹出口5の上壁とによってロングノズルが形成される。導風パネル20は、冷風を斜め上方向に導き、冷風が天井に沿って吹き出す。
図3、4に示すように、暖房運転時には上軸23周りに上開きする。この上開き姿勢のとき、導風パネル20は、吹出口5の前方を遮蔽し、前方に向かって吹き出される温風を押さえ込み、温風を床面方向に導く。なお、冷房運転の初期時にも、導風パネル20は上開き姿勢とされ、冷風が床面方向に吹き出され、急速冷房が行われる。導風パネル20は、図2に示すように、運転停止時には閉姿勢となり、吹出口5を覆って、キャビネット3と一体化する。
ところで、上記のように大型化された導風パネル20では、捩れや撓みが生じやすい。そこで、導風パネル20の内面において、前後方向(短手方向)側の両端縁に補強用の周壁が形成される。周壁は、左右方向(長手方向)全体にわたって形成される。周壁は中空構造とされ、周壁を厚肉にできる。このような周壁により、導風パネル20の強度アップを図れ、撓みを防止できる。さらに、左右方向側の両端縁にも、同様の補強用の周壁が形成される。したがって、導風パネル20の捩れを防止できる。
このように、導風パネル20の四方の端縁を厚肉化して補強することにより、導風パネル20の変形に対する強度を高めることができ、導風パネル20の大型化が可能となる。しかも、導風パネル20は変形しにくい構造となるので、導風パネル20の前後方向の湾曲具合を大きくすることが可能となり、導風パネル20が開いたときの送風方向の制御がしやすくなる。すなわち、冷房運転時には、天井に向かうように冷風を導くことができ、冷風の到達距離を長くできる。暖房運転時には、壁に近づくように温風を導き、温風が床面に達するようになる。
また、周壁の先端側に、傾斜面が形成される。周壁の内側面が傾斜面とされる。外側面は、垂直面とされる。導風パネル20が下開き姿勢にあるとき、吹き出された冷風が左右方向に位置する周壁に当たり、周壁に露が付くことがある。そこで、傾斜面とすることにより、冷風は傾斜面に沿って流れる。冷風は留まることなく流れ、周壁への結露を防止できる。
この周壁に囲まれた導風パネル20の内面に、断熱材30が設けられる。断熱材30は、左右方向の両端側を除き、全面にわたって装着される。断熱材30の左右方向の幅は、吹出口5の幅よりも大とされる。断熱材30の表面は面一とされる。したがって、吹出口5に面する導風パネル20の内面側には突出物がなく、風の流れを妨げない。
図5に示すように、導風パネル20の内面の左右方向の両側には、支持材31が設けられる。導風パネル20は、支持材31に着脱自在に支持される。支持材31は、キャビネット3に対してロッド32を介して取り付けられる。すなわち、導風パネル20は、開閉機構を構成するロッド32を介してキャビネット3に取り付けられ、かつキャビネット3に着脱可能とされる。
導風パネル20の上軸23は支持材31の前側に設けられ、下軸22は支持材31の後側に設けられる。上下軸22、23は、左右方向に沿って配置され、支持材31から離れるように両端が支持される。上下軸22、23は、前後左右方向において、吹出口5よりも外側に位置し、かつ吹出口5よりも前方に位置する。そのため、上下軸22、23は、吹出口5から吹き出される風の流れを邪魔することはない。
導風パネル20の左右方向の両側に、支持材31を係止する係止部が設けられる。係止部として、左右方向にスライド自在な爪33が設けられる。爪33は、前後方向に形成された周壁に対向し、ばね等の付勢部材により周壁に向かって付勢される。爪33と周壁との間に支持材31が挟み込まれることにより、支持材31は導風パネル20に係止される。爪33を周壁から離れる方向にスライドさせることにより、導風パネル20を支持材31から取り外せる。
なお、前後方向において、爪33は前側あるいは後側のうち、少なくとも一側に設ければよい。この場合、他側では、導風パネル20を回動自在に保持するための保持部が設けられる。保持部として、ピンを孔に係合することにより、導風パネル20を回動自在に保持する。導風パネル20あるいは支持材31のいずれか一方にピンが設けられ、他方にピンを受ける孔が形成される。ピンを孔に嵌め込むことにより、支持材31は導風パネル20を回動可能に保持する。このように、導風パネル20は、前後方向において支持材31に2点で支持される。
爪33を一側に設ける場合、作業性を考慮して、前側に設けるとよい。この場合、ユーザは、導風パネル20を下開き姿勢にした状態で爪33を見ながら、導風パネル20を着脱できる。したがって、着脱作業を容易にかつ確実に行うことができる。また、爪33の係止が解除されても、ピンは孔に嵌まったままであるので、導風パネル20は支持材31に回動自在に支持され、導風パネル20は支持材31にぶら下がった状態となる。そのため、導風パネル20が落下することはない。その後、ピンを孔から外すと、導風パネル20を支持材31から完全に取り外せる。
上記のパネル構造では、爪33が導風パネル20の内面側に設けられているため、導風パネル20を下開き姿勢または上開き姿勢にして取り外しを行う必要があった。そこで、必ずしも下開き姿勢や上開き姿勢などにしなくても、導風パネル20が閉姿勢のときでも着脱できるパネル構造とする。以下に、このパネル構造について説明する。
本パネル構造では、図8に示すように、導風パネル20の左右方向の両側に、支持材31を係止する係止部300が設けられる。また、支持材31に対して導風パネル20を回動自在に保持する保持部301が設けられる。係止部300により導風パネル20の後側が支持され、保持部301により導風パネル20の前側が支持され、導風パネル20は支持材31に2点で支持される。すなわち、導風パネル20が閉姿勢にあるとき、保持部301は、係止部300よりも上側に位置する。なお、図8中、図面の上側が導風パネル20の前側、下側が導風パネル20の後側である。
係止部300は、支持材31を押え込む可動部材302を備える。可動部材302は、図9〜12に示すように、導風パネル20の内面側に左右方向にスライド自在に設けられる。可動部材302は、内端側、すなわち導風パネル20の中央寄りの端部側に爪303を有し、外端側、すなわち導風パネル20の外側寄りの端部側に操作ボタン304を有する。爪303と操作ボタン304とが連結板305により一体的に連結される。連結板305は、支持材31の裏面側に位置する。
爪303は、支持材31の表裏面を挟み込むように支持材31を係合する。支持材31の内端側、すなわち導風パネル20の中央寄りの端部側に係止片306が突設され、爪303は係止片306に係合される。爪303の内端側にピン307が突設され、導風パネル20に立設された縦壁308に形成された保持孔309に、ピン307が挿通される。ピン307の周囲にばね310が挿入され、ばね310は縦壁308と爪303との間に介装される。ばね310は、外から触れないように、覆い片311によりカバーされている。
そして、ばね310は、外端側に向かって爪303を付勢する。このばね310のような付勢部材を設けることにより、爪303が支持材31に向かって押され、爪303が支持材31を係止する。したがって、導風パネル20が開閉するとき、支持材31の係止を維持でき、導風パネル20が支持材31から外れることを防止できる。付勢部材としては、弾性を有する部材であればよく、弾性ゴムを用いてもよい。なお、支持材31は、導風パネル20の内面に左右方向に移動しないように、位置決めされている。そのため、爪303が、ばね310に付勢されて、支持材31に当接しても、支持材31は外側にずれない。
操作ボタン304は、図13、14に示すように、導風パネル20の左右方向側の周壁320に形成された貫通孔321に挿通される。ばね303の付勢力により、図11に示すように、操作ボタン304は、貫通孔321から導風パネル20の外面に露出する。これにより、可動部材302を外部から操作可能とされる。
図10、12に示すように、ユーザが操作ボタン304を押し込む操作することにより、可動部材302は、ばね310の付勢力に抗して導風パネル20の長手方向中央側に移動する。これに伴い、爪303が移動して、支持材31の係止が解除される。
導風パネル20が、支持材31から取り外されたとき、可動部材302は、ばね310によって外端側に移動する。操作ボタン304の外周には、段差322が形成され、操作ボタン304が外側に向かって移動すると、段差322が貫通孔321の内面側の周縁に当接する。これにより、図11に示すように、可動部材302がばね310に付勢されて押されても、操作ボタン304が導風パネル20の外面から大きく突出することを防げる。
可動部材302は、左右方向(導風パネル20の長手方向)において導風パネル20に移動自在に保持されている。すなわち、外端側では、操作ボタン304が貫通孔321に嵌め込まれ、内端側では、ピン307が保持孔309に嵌め込まれている。これにより、可動部材302は、左右方向の両側が導風パネル20に保持され、導風パネル20から外れない。
操作ボタン304が押されたときに、可動部材302は内側に向かって移動するが、この移動が規制される。導風パネル20にリブ323が突設され、このリブ323に可動部材302が当接して、移動が規制される。可動部材302の連結板305に、スリット324が形成され、スリット324内に、薄片325が突出して形成される。薄片325の厚みは連結板305より薄い。この薄片325がリブ323に当接すると、可動部材302の移動が停止される。このとき、図12に示すように、操作ボタン304は貫通孔321から抜け出ない。ピン307は保持孔309に嵌まっているので、可動部材302は導風パネル20から外れない。
ここで、可動部材302を導風パネル20に装着するために、保持孔309の孔壁はテーパ状に形成され、可動部材302のピン307を斜め上から保持孔309に挿入できる。ピン307を保持孔309に挿入した後、可動部材302を押し下げ、操作ボタン304が周壁320に当たらないように、可動部材302を内端側に寄せる。このとき、リブ323に薄片325が当接する。薄片325は薄いので、薄片325は撓みやすく、リブ323に当たって撓むことにより、連結板305が導風パネル20に当たるまで押し下げることができる。そして、ばね310の付勢力により、可動部材302が外端側に移動して、操作ボタン304が貫通孔321に嵌まる。
図8に示すように、導風パネル20と支持材31とは、回動軸330と軸受331とによって構成される保持部301により回動可能に係合される。図15、16に示すように、支持材31の前側に、回動軸330が突設される。回動軸330は、左右一対に設けられる。なお、図中、80はロッド32を回動自在に取り付けるための支軸である。図15、16中、図面の上側が支持材31の前側である。
導風パネル20の前側には、図13、14に示すように、軸受331が左右一対に設けられる。軸受331は、回動軸330が抜けないように回動軸330を受ける。図13、14中、図面の上側が導風パネル20の前側、下側が導風パネル20の後側である。
導風パネル20が閉姿勢にあるとき、後述するように、支持材31の上軸23および下軸22は、開閉機構によりロックされ、支持材31は、キャビネット3に近接した状態に保持される。閉姿勢の導風パネル20において、ユーザが操作ボタン304を押すと、可動部材302はスライドし、爪303が支持材31から離れる。導風パネル20と支持材31との係合が解除され、導風パネル20の後側は支持材31から離れる。導風パネル20の前側では、支持材31の回動軸330に導風パネル20の軸受331が係合されているので、図17に示すように、導風パネル20は、支持材31にぶら下がった状態となる。したがって、着脱作業中、導風パネル20は落下することはない。この状態において、キャビネット3の吹出口5が外部に露出するので、吹出口5内部の清掃やメンテナンスを行うことができる。さらに、導風パネル20を持ち上げるようにして、回動軸330から軸受331を外すと、キャビネット3に保持された支持材31から導風パネル20を完全に取り外せる。
このように、係止部300が保持部301よりも後側、すなわち下側にあると、操作ボタン304は床に近い。そのため、ユーザは、着脱のための操作をしやすくなる。導風パネル20はぶら下がった状態にあるので、簡単な作業では邪魔にならない。
導風パネル20を取り付けるとき、まず導風パネル20の軸受331を支持材31の回動軸330に引っ掛ける。図17に示すように、導風パネル20の前側が支持材31に支持される。導風パネル20は、回動軸330を中心に回動可能となる。操作ボタン304を押しながら、導風パネル20の後側を持ち上げ、導風パネル20を反時計回りに回動させる。
導風パネル20が支持材31に当接すると、操作ボタン304を離す。ばね310の付勢力により、可動部材302が移動して、爪303が支持材31を挟み込む。導風パネル20の後側が支持材31に支持され、導風パネル20は支持材31に取り付けられる。このように、導風パネル20が閉姿勢にあるときに、導風パネル20を着脱することができる。なお、導風パネル20が上開き姿勢あるいは下開き姿勢にあるときでも、同様に導風パネル20を支持材31に対して着脱することができる。
図11、12に示すように、爪303の上面は、傾斜面に形成される。支持材31の内端側の下側角は丸みを帯びている。これにより、操作ボタン304を押さなくても、導風パネル20を支持材31に取り付けることができる。
支持材31がないとき、可動部材302は、ばね310の付勢力により、導風パネル20の外側に向かって押され、段差322が貫通孔321の周縁に当接して、図11に示すような支持材31を係止可能な位置にある。導風パネル20の後側を回動軸330を中心に半時計回りに回動させると、支持材31の下側角に爪303が当たる。そのまま回動させると、可動部材302は、支持材31に押され、中央側に向かって移動する。支持材31の下側角が爪303の傾斜面を乗り越える。ばね310の付勢力により、可動部材302が外側に向かって移動して、爪303が支持材31を係止する。このように、操作ボタン304を押さずに導風パネル20は支持材31に取り付けることができ、より簡単に導風パネル20を装着できる。
この導風パネル20の着脱作業において、ユーザは支持材31に触れることなく作業を行うことができる。すなわち、ユーザは、導風パネル20の左右方向の外側だけを持ち、必要に応じて操作ボタン304を操作すればよく、容易に導風パネル20を着脱することができる。また、導風パネル20は、開閉機構に直接取り付けられた構造ではなく、支持材31を介して取り付けられた構造とされる。そのため、導風パネル20の着脱の際、開閉機構に対する影響はなく、装着時の取付ミス等によって導風パネル20の開閉動作不良が起こる可能性を低減することができる。
図18〜21に示すように、吹出口5には、風向板24および補助ルーバ800が設けられる。風向板24は、左右方向に角度を変えて、左右方向の風向きを変える。補助ルーバ800は、風向板4の前方で吹出口5の出口部分に設けられ、導風パネル20の姿勢に応じて上下方向の角度を変え、吹き出される風を整流しながら上下方向の風向きを変える。
補助ルーバ800は、左右方向に長い板状に形成され、前後端部は先細に形成される。後端部側には、左右端部に形成された軸連結部に軸方向を左右方向とする回転軸801が固定される。この回転軸801は、吹出口5に至る空気通路6を形成する上下の壁5a,5bのうち、上壁5a側に配置されて、吹出口5の左右側壁を貫通して回転自在に軸受けされる。そして、回転軸801の軸端には図示しない減速機構を介してルーバモータ803が連結され(図7参照)、ルーバモータ803が制御装置41によって駆動制御される。
制御装置41は、導風パネル20の下端が上軸23周りに前側に開放した上開き姿勢で、風向を変更するように補助ルーバ800を風の流れに対して角度をもって配向するようルーバモータ803を駆動制御する。また、制御装置41は、導風パネル20の上端が下軸22周りに下開きした下開き姿勢で、補助ルーバ800を風の流れと平行に配向制御するようルーバモータ803を駆動制御する。
さらに、制御装置41は、導風パネル20の上開き姿勢で、補助ルーバ800によって吹出口5の前方を遮蔽し、前方に向かって吹き出される空気を押さえ込んで下方に導くように補助ルーバ800の姿勢を制御する。また、導風パネル20の上開き姿勢で、吹出口5から吹出した風を補助ルーバ800と導風パネル20の2つの部材に当てて二段階で風向を変更するよう補助ルーバ800の角度を制御する。以下に、導風パネル20および補助ルーバ800の姿勢を例示する。
図4は導風パネルが上開き姿勢で、補助ルーバ800を風の流れに対して角度を持って配向した例である。この例では、吹出口5から吹出した空気は、補助ルーバ800を風の流れに対して角度を持たせているので、風が補助ルーバ800により整流され、その一部は補助ルーバ800の下側を通って導風パネル20に干渉されずに直接斜め下方に流れる。また、残部の風は補助ルーバ800で整流された後、導風パネル20の内面に当たり、その内側湾曲面に沿って斜め下方に導かれる。
図6は導風パネルが下開き姿勢で、補助ルーバ800を風の流れと平行に配向した例である。この例では、導風パネル20は下軸22周りに下回動してほぼ水平な姿勢を取る。つまり、導風パネル20は、下開き姿勢のとき、吹出口5の下壁とつながり、導風パネル20と吹出口5の上壁5aとによってロングノズルを形成する。したがって、導風パネル20により、風を斜め上方向に導き、天井に沿って遠方まで吹き出すことができる。このとき、補助ルーバ800は、風の流れと平行に配向されるので、風の流れを無理に遮断することがなく、吹出口5から吹出した空気を遠方まで導くように作用する。
図18は導風パネルの上開き姿勢で導風パネル20の開き角度を抑えてほぼ垂直姿勢とし、補助ルーバ800を風の流れに対して角度を持たせて整流した例である。この例では、吹出口5から吹出した空気は、補助ルーバ800により整流され、導風パネル20に当たって風向が変更され、吹出口5から直下方向に風が流れる。したがって、この例では、補助ルーバ800による風向の変更と、風の下流側に位置する導風パネル20による風向変更との2段階による風向変更により、吹出口5の直下に送風している。また、補助ルーバ800と導風パネル20とにより段階的に風向を変更するため、極端な風向の変更に比べて風切り音も低減できる。
図19は導風パネルの上開き姿勢で導風パネル20の開き角度を抑えてほぼ垂直姿勢としているが、主な風向変更機能を補助ルーバ800で担うよう、補助ルーバ800を垂直方向に配向して風の流れを遮断し、風を下方に押さえ込むようにした例である。この例では、主に補助ルーバ800によって風向変更機能が発揮され、図18に示す垂直直下への風の流れよりもわずかに斜め下方に向かう風の流れになる。
図20は、図4に示す姿勢と同様に、導風パネルの上開き姿勢で導風パネル20を最大限に開き、補助ルーバ800を風の流れに対して角度を持って配向した例である。本例では、補助ルーバ800が風向を変更するため吹出口5の出口近辺で軸801周りに回動自在に設けられているため、補助ルーバ800と吹出口5の上壁5aとの間には空間804が発生し、この空間804を通って上壁5aに沿った空気の流れが発生し、空気が漏れてその一部が導風パネル20に当たり、左右方向に抜ける可能性もある。
そこで、このような空気の漏れをなくすために、図20に示すように、補助ルーバ800の軸801よりも前側で上壁5aに、空気通路6からの風の流れを上壁5aから離して補助ルーバ800に沿わせるための突起901を形成している。突起901は、断面三角形状のものを例示したが、断面半円形など、他の形状であってもよい。この突起901により、上壁5aに沿った空気の流れが突起901によってジャンプして補助ルーバ800側に沿わせることができる。
導風パネル20の開閉機構は、図21に示すように、導風パネル20をキャビネット3に対して近接離間させる移動部50と、導風パネル20が移動するときに導風パネル20の開く方向を規制する規制部51とからなる。
導風パネル20を開くとき、移動部50は、導風パネル20をキャビネット3から離れる方向に移動させる。このとき、規制部51は、上開きあるいは下開きのいずれか一方の開きを許容し、他方の開きを規制することによって、導風パネル20の開く方向を切り換える。下開きが規制されると、導風パネル20は上開きする。逆に、上開きが規制されると、導風パネル20は下開きする。導風パネル20を閉じるとき、移動部50は、導風パネル20をキャビネット3に近づく方向に移動させる。
すなわち、規制部51は、上軸23あるいは下軸22を移動しないようにロックすることによって、開く方向を規制する。下開きするときは、下軸22がロックされる。上開きするときは、上軸23がロックされる。
また、規制部51は、導風パネル20を閉姿勢に保持する機能を有する。閉姿勢の導風パネル20は、キャビネット3の前パネル21に近接している。このとき、規制部51は、上軸23および下軸22をロックする。導風パネル20を引き離そうとする外力がかかっても、両軸22、23がロックされているので、導風パネル20は動かない。
このように、導風パネル20を開閉するための駆動源として、導風パネル20を移動させるためだけの駆動源を備えればよい。しかも、駆動源は、導風パネル20に対して往復動といった単純な動作を行わせるものでよい。したがって、導風パネル20を往復移動させる移動部50を簡単な機構にできる。これにより、開閉機構を簡略化でき、開閉機構の小型化を図れる。
規制部51は、図22、23に示すように、上下軸22、23を保持する上下一対のフック52、53、各フック52、53の動作を規制して、開く方向を切り換える切換部54、各フック52、53を連動して動作させる連動部55、連動部55を駆動する駆動部56を備える。移動部50は、図24〜26に示すように、導風パネル20を保持するロッド32、ロッド32をキャビネット3から出し入れする移動機構部57、移動機構部57を駆動する駆動部58を備える。なお、図21、24〜26では、導風パネルの移動部および規制部の機構を分かりやすくするため、補助ルーバを省略して図示している。
規制部51は、キャビネット3の内部に左右一対に設けられ、吹出口5よりも左右方向の外側に配置される。図27に示すように、規制部51は、ベース板60上に構成され、ユニット化されている。ベース板60は、キャビネット3の内部に固定される。
上フック52および下フック53は、ベース板60に固定された固定軸61に回転自在に支持される。前パネル21に、各フック52、53が出没する出入口21aが上下にそれぞれ形成される。上フック52は、出入口21aから突出して、上軸23を下側から引っ掛ける。前パネル21に形成された受台62と上フック52とにより、上軸23を挟み込んで保持する。同様に、下フック53も出入口から突出して、下軸22を下側から引っ掛け、下フック53と受台63とにより下軸22を挟み込んで保持する。
連動部55は、リンク機構を利用して、各フック52、53を動作可能とする。具体的には、連動部55は、上下一対のリンク材64、65および連動板66からなる。上下のリンク材64、65は、それぞれ上下のフック52、53と連動板66とを連結する。すなわち、上リンク材64の一端に軸64aが形成され、この一端軸64aが上フック52の軸孔に嵌められる。上リンク材64の一端に、上フック52が回動自在に支持される。下リンク材65と下フック53に関しても同様である。
上リンク材64の他端は、連動板66に回動自在に取り付けられる。連動板66は、扇形ギアとされ、その円弧面に歯が形成される。連動板66は、ベース板60に突設された固定軸67に回動自在に支持される。連動板66に、一対の長溝68が形成され、各長溝68に、上下のリンク材64、65の他端軸64b、65bが嵌められる。各長溝68は、固定軸67を中心とする半径方向に延びている。各リンク材64、65の他端軸64b、65bは、半径方向に移動可能とされ、長溝68によって遊びが設けられる。
連動板66の回動により、各リンク材64、65が、フック52、53の固定軸61と連動板66の固定軸67との間で連動して移動する。これにより、各フック52、53は固定軸61周りに回動可能となる。
駆動部56は、複数のギア69と、規制モータ70とからなる。ベース板60に取り付けられた載置台71に規制モータ70が設けられる。規制モータ70のモータ軸にギア69が嵌め込まれ、複数のギア69を介して規制モータ70の駆動力が連動板66に伝達される。規制モータ70が駆動すると、連動板66が固定軸67周りに回転する。
切換部54は、図23に示すように、各リンク材64、65の他端軸64b、65bの移動をガイドする。載置台71に、規制溝72が形成され、規制溝72に両他端軸64b、65bが嵌められる。規制溝72によって、各リンク材64、65が異なる動きをすることにより、各フック52、53の動きが決まる。すなわち、一方のフック52、53が移動するとき、他方のフック52、53は規制されて移動しない。切換部54は、開く方向に応じて各フック52、53の動きを決める。
規制溝72は、略コ字状に形成される。規制溝72は、上ロック溝72a、中立溝72b、下ロック溝72cの3つの溝からなり、3つの溝が連続してつながっている。上ロック溝72aは、上リンク材64の一端軸64aを中心とする円弧に沿って形成される。下ロック溝72cは、下リンク材65の一端軸65aを中心とする円弧に沿って形成される。中立溝72cは、連動板66の固定軸67を中心とする円弧に沿って形成される。
図22(a)・BR>A23(a)に示すように、中立溝72bに両他端軸64b、65bがあるとき、各フック52,53がそれぞれ上下軸22、23を保持して、両軸22、23がロックされる。このときの状態を初期状態とする。図22(b)、23(b)に示すように、上ロック溝72aに上リンク材64の他端軸64bがあるとき、上フック52が上軸23を保持して、上軸23がロックされる。下フック53は下軸22から外れる。図22(c)、23(c)に示すように、下ロック溝72cに下リンク材65の他端軸65bがあるとき、下フック53が下軸22を保持して、下軸22がロックされる。上フック52は上軸23から外れる。
初期状態にあるときに、連動板66が時計回りに回動すると、上リンク材64の他端軸64bは、上ロック溝72aに沿って移動する。上リンク材64の他端軸64bは一端軸64aを中心にして円周方向に移動する。上リンク材64は、半径方向には移動しないので、一端軸64aも移動しない。そのため、上フック53は回動しない。一方、下リンク材65の他端軸65bは、中立溝72bに沿って移動する。一端軸65aが引っ張られ、移動する。下フック53が時計回りに回動する。これによって、図22(b)、23(b)に示すように、下軸22のロックが解除される。初期状態にあるときに、連動板66が反時計回りに回動すると、同様にして、図22(c)、23(c)に示すように、上軸23のロックが解除される。なお、上記の動作は、左右の規制部51において同期するように、制御装置41は、左右の規制モータ70を駆動する。なお、規制モータ70は、ステッピングモータを用い、開く方向に応じて正逆転される。
移動部50は、キャビネット3の内部に左右一対に設けられ、規制部51よりも左右方向の外側に配置される。図24〜26に示すように、ロッド32の前端が前パネル21に形成された縦長の孔21b(図3参照)から外側に突出する。支持材31に、ロッド32を取り付けるための支軸80が設けられる。ロッド32の前端が支軸80に回動自在に支持される。支軸80は、前後方向において中央よりも前側寄りに偏心して位置する。ロッド32は、断面が円形とされる。風が当たったとき、風が表面に沿って流れやすくなるので、冷風が吹き付けられても、結露しにくい。さらに、ロッド32は中空構造とされる。これによって、強度を維持しながら軽量化でき、ロッド32を移動させるモータへの負荷を軽減できる。
移動機構部57は、導風パネル20を開くときには、ロッド32の前端を前方に移動させ、閉じるときには、後方に移動させる。移動機構部57は、ロッド32を保持して、往復動する移動板81とされる。移動板81は、図28に示すように、扇形に形成され、ベース板82に固定された固定軸83に回転自在に支持される。ベース板82は、キャビネット3に対して固定される。
移動部50も規制部51と同様にユニット化されている。ここで、規制部51および移動部50は、キャビネット3の左右両側のスペースに並んで配置されている。両者を1つのユニットにすれば、開閉機構ユニットとして取り扱うことができ、取付作業が容易になる。また、移動部50を少ない部品によって構成できるので、ユニットの小型化、薄型化を実現できる。これにより、限られたスペースの中に開閉機構を収めることができ、吹出口5の幅を大きくすることが可能となる。大きな吹出口5になれば、幅方向の送風範囲が広くなり、部屋の隅々まで風を行き届けることができる。
ロッド32の後端が、移動板81の前端近傍に回動軸84を介して回動自在に取り付けられる。移動板81には、円弧溝85が形成される。円弧溝85は、固定軸83を中心とする円弧上に形成される。円弧溝85に、ラックが形成される。駆動部58は、開閉モータ86と、モータ軸に取り付けられたギア87とからなる。このギア87が円弧溝85内に挿入され、ラックと噛み合う。
開閉モータ86が駆動されると、ギア87の回転に伴って、移動板81が固定軸83周りに回動し、ロッド32が前パネル21から出入りする。図24に示すように、導風パネル20が閉姿勢のとき、移動板81は後側に位置する。ロッド32の前端だけが前パネル21から突出している。このような状態が初期状態である。
下軸22のロックが解除されているとき、開閉モータ86が駆動されると、図25に示すように、移動板81は反時計回りに回動する。ロッド32は押し出され、前端が前方に移動する。導風パネル20は、上軸23周りに回動して、上開きする。なお、移動板81が一定角度、例えば50度回動するように、開閉モータ86は制御される。
上軸23のロックが解除されているとき、開閉モータ86が駆動されると、図26に示すように、移動板81は反時計回りに回動する。ロッド32は押し出され、前端が前方に移動する。導風パネル20は、下軸22周りに回動して、下開きする。このとき、導風パネル20が下がるように開くので、ロッド32の前端も徐々に下がりながら前進する。この場合も、移動板81は一定角度だけ回動する。
導風パネル20が開いているとき、開閉モータ86が駆動され、移動板81が時計回りに回動すると、導風パネル20は閉じる。移動板81の回動により、ロッド32の後端が後方に移動する。ロッド32はキャビネット3内に引き込まれていく。これに伴って、導風パネル20は、上軸23あるいは下軸22を中心にして回動する。導風パネル20がキャビネット3に近づき、閉姿勢となる。
なお、上記の動作は、左右の移動部50において同期するように、制御装置41は、左右の開閉モータ86を駆動する。開閉モータ86は、ステッピングモータを用い、開閉に応じて正逆転される。
冷暖房運転中、導風パネル20が開いているとき、導風パネル20は、上下軸22、23のうち一方の軸がロックされている。ここで、導風パネル20が引っ張られて、外力がかかると、一方の軸(ここでは、上軸23とする)が押される。上軸23が押されると、上フック52が反時計回りに回動しようとする。上リンク材64は、軸線方向に押される。軸線方向は、上リンク材64の一端と他端とを結ぶ方向である。上リンク材64の他端が規制溝72を通じて載置台71を押す。このとき、上リンク材64の他端がある上ロック溝72aの方向と上リンク材64の軸線方向とはほぼ直交している。固定されている載置台71のため、上リンク材64は軸線方向に移動しない。そして、上リンク材64からの力の作用する方向は、上ロック溝72aの方向とほぼ直交する。上リンク材64の他端には、上ロック溝72aの方向と平行な方向への力が作用しない。これにより、上リンク材64は、上ロック溝72aに沿って移動せず、上フック52の回動が阻止される。
したがって、導風パネル20が開いているときに、外力がかかっても、リンク材64、65と規制溝72との方向を直交する関係にすることにより、ロックが解除されることを防止できる。そのため、開いている導風パネル20が、ロッド32に支えられて、ぶら下がるような事態を回避できる。
ところで、導風パネル20が最大限に開くとき、開く方向に関係なく、ロッド32の移動量は一定である。しかし、導風パネル20に対するロッド32の前端の位置が偏心しているので、上開きと下開きとでは、図4、6に示すように、開き角度が異なる。上開きのときの開き角度が下開きのときの開き角度より大となる。すなわち、開くときの中心から支点までの距離が近いほど、開き角度は大きくなる。中心は上軸23あるいは下軸22であり、支点はロッド32前端の位置である。ロッド32は上軸23の近くに取り付けられているので、上開きの開き角度は大きく、下開きの開き角度が小さくなる。
冷房運転時には、下開きするが、開き角度が大きいと、導風パネル20が水平線よりも下がってしまう。これでは、冷風は水平方向に流れ、天井に向かう気流が生じない。冷風の到達距離が短くなり、人に直接冷風が当たってしまう。そのため、下開きの場合、開き角度を小さくすることが望ましい。暖房運転時には、上開きするが、開き角度が小さいと、温風の出口が狭くなる。導風パネル20に当たって戻ってきた温風は、逃げ場がなくなり、吹き出された温風と衝突して、流れが乱れる。その結果、床面方向に吹き出す風速が弱まり、温風が床面まで達しなくなる。
このように、冷暖房運転時に、効率のよい送風を行えず、能力を最大限発揮させることができない。しかし、上記のように、上開きの開き角度を大きく、下開きの開き角度を小さくすることにより、冷房運転時には、冷風を天井に向かって吹き出すことができ、暖房運転時には、温風の出口が広くなり、スムーズな温風の流れを形成することができる。したがって、空気調和機の最大能力を遺憾なく発揮させることができる。
空気調和機では、ユーザがリモコンを操作したときの指示により、あるいはタイマの設定時間になったときに、冷暖房運転が行われる。制御装置41は、冷凍サイクル40を制御するとともに、導風パネル20および補助ルーバ800の開閉を制御する。このとき、制御装置41は、移動部50と規制部51とを連動させる。
制御装置41は、冷暖房運転を行うとき、予め決められたタイミングにしたがって、規制モータ70および開閉モータ86の駆動をオンオフする。また、補助ルーバ800のルーバモータ803の駆動をオンオフする。すなわち、各モータ70、86、803は、シーケンス制御される。
補助ルーバ800の動作タイミングは、導風パネル20の開放した後に開回動し、また、導風パネルの閉動作に先立ち補助ルーバ800を閉回動する。急速冷房のとき、導風パネル20は、一旦、上軸周りに上開き姿勢を取った後、閉姿勢を経て下軸周りに下開き姿勢を取るよう切り換わるが、このとき、補助ルーバ800は、導風パネル20の開動作後に開動作し、導風パネル20の閉動作前に閉回動するようシーケンス制御される。
また、制御装置41は、運転の開始に先立ってイニシャル動作を行う。すなわち、制御装置41は、運転停止時の導風パネル20の位置を判断して、初期状態にないとき、イニシャル動作として、初期状態になるように移動部50および規制部51を動作させる。運転開始時、初期状態にあるとき、イニシャル動作をせずに、運転を開始する。なお、導風パネル20が閉姿勢にあるときが初期状態であり、導風パネル20の開き角度と、移動部50および規制部51の各部材の状態とは関連性を有している。
図24に示すように、導風パネル20の位置を検出するための位置検出センサ90が、移動部50に設けられる。なお、位置検出センサ90は、左右の移動部50に設けられる。位置検出センサ90は、リミットスイッチとされる。位置検出センサ90は、キャビネット3内において、移動部90のベース板82に取り付けられる。位置検出センサ90は、初期状態にあるときの移動板81に近接するように配置される。初期状態にあるとき、移動板81に取り付けられたロッド32が位置検出センサ90に接触する。したがって、位置検出センサ90は、導風パネル20が初期状態、すなわち閉姿勢にあることを検出する。
なお、位置検出センサ90は、導風パネル20の位置を直接検出してもよく、リミットスイッチ等の接触式センサに限らず、光センサ、カメラ等の非接触式センサを用いてもよい。
制御装置41は、位置検出センサ90の検出信号に基づいて、初期状態にあるかないかを判断する。通常、運転停止時には、導風パネル20は閉姿勢にあり、移動部50および規制部51は初期状態にある。しかし、何らかの事情により、初期状態にないとき、制御装置41は、位置検出センサ90からの検出信号により、初期状態にないと判断する。そこで、制御装置41は、イニシャル動作を行って、強制的に初期状態にする。
従来、導風パネル20が最も開いた状態から閉じた状態(初期状態)となるまでの時間を初期化時間としてメモリしておき、冷房や暖房の運転開始時に初期化時間の間、導風パネル20を閉じるというイニシャル動作を必ず行ってから、冷房や暖房などの通常運転を行うようにしていた。しかしながら、このような従来のイニシャル動作では、冷房運転や暖房運転などの運転開始時に初期状態にあっても必ず初期化時間の間、イニシャル動作が行われるため、冷房運転や暖房運転の通常動作に移るまで時間がかかっていた。
本実施の形態のように、位置検出センサ90を設けることで、運転開始時に導風パネル20が初期状態にあるか否かを検知することができるので、運転開始時に導風パネル20が初期状態にあるときには、イニシャル動作を行わずに冷房運転や暖房運転を行うことができる。
また、運転開始時に導風パネル20が初期状態にない場合には、イニシャル動作を行い、位置検出センサ90が初期状態にあると検出した時点でイニシャル動作を終了し、冷房運転や暖房運転に移ることができる。また、導風パネル20がもっとも開いた状態ではなく、少し開いた状態や中間くらいまで開いた状態であってもイニシャル動作を行うが、位置検出センサ90が初期状態にあると検出した時点でイニシャル動作を終了するので、初期化時間の間イニシャル動作を行わずに冷房運転や暖房運転に移ることができる。
以上のように、位置検出センサ90からの検出結果を利用することでイニシャル動作に要する時間を低減することができ、速やかに通常運転に移ることができる。なお、位置検出センサ90が、導風パネル20が初期状態にあることを検出していない場合には、導風パネル90の開動作を行わず、閉動作のみを行うようにする。
イニシャル動作を所定時間行っても、導風パネル20が初期状態とならない場合には、一旦導風パネル20を全開状態、すなわち、閉状態から全開状態とするために必要な時間だけ開動作を行って、全開状態にする。そして、補助ルーバ800を閉状態とし、その後、導風パネル20を閉状態としてもよい。この動作を行っても、導風パネル20が初期状態となったことを位置検出センサ90が検出できない場合は、動作不良としてエラー表示を行う。
なお、空気調和機のコンセントを初めて商用電源に接続した場合や、停電などにより一旦空気調和機への通電が途切れた場合などにおいては、補助ルーバ800を閉状態とする必要があるため、まず、導風パネル20を少なくとも補助ルーバ800が回動可能となるまで開き(例えば、全開状態となるまで導風パネル20を開き)、補助ルーバ800を閉状態としてから、導風パネル20を初期状態とする。
初期状態において、移動部50では、図24に示すように、移動板81が後側の位置にある。規制部51では、図21、23(a)に示すように、上下のリンク材64、65の他端軸64b、65bが中立溝72bに位置する。
暖房運転を開始すると、制御装置41は、まず規制部51の規制モータ70を駆動する。この駆動により、連動板66が時計回りに回動する。上リンク材64は、一端を中心に回動する。下リンク材65の他端軸54bが中立溝72bに沿って移動することにより、下リンク材65が引き上げられる。下フック53が時計回りに回動して、下軸22のロックが解除される。
制御装置41は、規制モータ70の起動タイミングから少し遅らせて、移動部50の開閉モータ86を駆動する。開閉モータ86の起動タイミングは、下フック53が下軸22から離れた後である。すなわち、制御装置41は、所定の第1タイミングに達したとき、規制モータ70を停止する。この第1タイミングは、図23(b)に示すように、上フック材64の他端軸64bが上ロック溝72aの終端に達するまでの時間に応じて決められたタイミングである。規制モータ70の停止後、制御装置41は、開閉モータ86を駆動する。
開閉モータ86の駆動により、移動板81が反時計回りに回動する。ロッド32が前方に押し出され、導風パネル20がキャビネット3から離れる方向に移動する。導風パネル20は、上軸23周りに開いていく。設定された開き角度になると、制御装置41は、開閉モータ86を停止する。なお、開き角度は、開閉モータ86のステップ数から算出される。
制御装置41は、開閉モータ86を一定時間駆動して、第2タイミングになると、開閉モータ86を停止する。このとき、図25に示すような最大の開き角度に達する。導風パネル20は上開き姿勢となり、温風が床面に向かって吹き出される。
その後、制御装置41は、ルーバモータ803を動作制御し、補助ルーバ800を所定の角度まで開動作させ、温風を床面に向かって吹出させる。
冷房運転の場合も、制御装置41は、同様のタイミングで規制モータ70および開閉モータ86を制御する。ただし、規制モータ70は、暖房運転時とは反対方向に回転される。開閉モータ86は、同じ方向に回転される。
開閉モータ86は、一定時間駆動したときの第2タイミングになると、停止する。このとき、図26に示すような最大の開き角度に達する。導風パネル20は下開き姿勢となり、冷風が天井に向かって吹き出される。その後、制御装置41は、ルーバモータ803を動作制御し、補助ルーバ800を風の流れと平行に配向動作させ、冷風を天井に向かって吹出すようにする。
冷暖房運転が終了すると、制御装置41は、まず、ルーバモータ803が動作して補助ルーバ800を閉動作させる。次に、開閉モータ86を駆動する。ロッド32が引き戻され、導風パネル20がキャビネット3に近づく。制御装置41は、所定の第3タイミングに達すると、開閉モータ86を停止する。このとき、図24に示すように、導風パネル20は、閉姿勢となって、移動板81は後側の位置にある。すなわち、第3タイミングは、移動板81が初期状態に戻るときの時間に応じて決められたタイミングである。なお、位置検出センサ90は、移動板81が初期状態に戻ったことを検出する。第3タイミングは、この検出タイミングに応じたものとしてもよい。
この後、制御装置41は、規制モータ70を駆動する。例えば、暖房運転していた場合、図23(b)に示す状態から図23(a)に示す状態に変化する。下フック53が回動して、下軸22がロックされる。制御装置41は、所定の第4タイミングに達すると、規制モータ70を停止する。第4タイミングは、下リンク材65の他端軸65bが上ロック溝72aと中立溝72bとの連結位置から中立溝72bと下ロック溝72cとの連結位置に達するまでの時間に応じて決められたタイミングである。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。係止部を支持材に設けてもよく、導風パネルを掴んで係止する。保持部として、導風パネルに回動軸、支持材に軸受を設けてもよい。
また、係止部を導風パネルの中間に設け、保持部を前側および後側に設けて、3点支持としてもよい。この場合、保持部の回動軸を左右方向にスライド可能にして、回動軸を押し込むことにより、軸受から外れるようにして、容易に着脱できるようにする。
本実施の形態の空気調和機とは異なる、吹出口を開閉する導風パネルを支持する支持材が腕部の先端近傍に回動自在(または回転自在)に取り付けられた構造の空気調和機にも上記のパネル構造を適用することができる。この場合、本実施形態のように、上軸や下軸を設ける必要がない。すなわち、ロッドが腕部に置き換えられ、その腕部内にギアなどの駆動部品が納められる。その駆動部品がモータにより駆動され、腕部先端に取り付けられている支持材が回動(または回転)する。これに伴い、支持材に取り付けられる導風パネルも回動(または回転)する。
導風パネルを回動(または回転)させるには、腕部の先端がキャビネットから離れるように腕部をモータなどを用いて吹出口よりも前方に移動させ、導風パネルをキャビネットに接触しない位置で回動(または回転)させて制御する。そして、腕部の移動と導風パネルの回動(または回転)とを制御して、吹出口から吹き出る風を、水平方向や天井に沿って吹き出すことができる位置に導風パネルを移動する、すなわち導風パネルを下開き姿勢とする。または、吹出口から前方に向かって吹き出される風を押さえ込み、風を床面方向に導くことができる位置に導風パネルを移動する、すなわち導風パネルを上開き姿勢とする。導風パネルの開閉を制御することにより、所望の方向に風を吹き出すことができる。