図1は、本発明を適用した全波整流回路の動作状況を説明するための概略図を示している。
全波整流回路1は、主に4個のN型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)(以下、単にNch-MOSFETと称する)により構成され、全体の動作の概略は、この4個のNch-MOSFETの動作により表現することができる。
図1の全波整流回路1においては、4個の各Nch-MOSFET11乃至14は、それぞれダイオードの回路記号により表現されているが、ダイオードの極性が、オンの状態におけるNch-MOSFET11乃至14のソース−ドレイン方向の極性を示している。
すなわち、Nch-MOSFET11のソースは、交流電源2の第1の端子2aに接続され、ドレインが負荷3に接続されている。Nch-MOSFET14のソースは、負荷3に接続され、ドレインが交流電源2の第2の端子2bに接続されている。Nch-MOSFET13のソースは交流電源2の第2の電源2bに接続されており、ドレインは、負荷3に接続されている。Nch-MOSFET12のソースは負荷3に接続されており、ドレインは、交流電源2の第2の端子2bに接続されている。
交流電源2は、第2の端子を基準とした場合、第1の端子より図2で示されるような波形の電圧を発生する。図2は、横軸が交流電源2の発生する電圧の位相を示しており、縦軸が電圧を示している。図2においては、期間Aが、正のサイクルであり、期間Bが負のサイクルである。尚、図1の全波整流回路1におけるNch-MOSFET11乃至14は、後述する図7のNch-MOSFET101乃至104に対応するものである。
次に、全波整流回路1の動作の概略について説明する。
図2における0°乃至180°の位相で示されるように、期間Aで示される正のサイクルが開始されると、Nch-MOSFET11,14がオンの状態となり、電流は、経路21で示されるように交流電源2の第1の端子2a、Nch-MOSFET11、負荷3、Nch-MOSFET14、および交流電源2の第2の端子2bの順に流れる。
また、図2における180°乃至360°の位相で示されるように、負のサイクルが開始されると、Nch-MOSFET12,13がオンの状態となり、電流は、経路22で示されるように交流電源2の第2の端子2b、Nch-MOSFET13、負荷3、Nch-MOSFET12、および交流電源2の第1の端子2aの順に流れる。
以上のような動作により全波整流回路1は、負荷3に対して全波整流した電力を供給する。
したがって、本願における全波整流回路は、Nch-MOSFET11乃至14が、上述したような動作を実現できる構成とする必要がある。そこで、Nch-MOSFET11乃至14を上述したように動作させるように制御するに当たり、次に、Nch-MOSFET11乃至14の詳細な動作特性について説明する。
図3の左部は、Nch-MOSFET11乃至14の動作特性を説明する回路図である。図3の回路は、直流電源E1、抵抗R1、ダイオードD1、Nch-MOSFETと等価の回路Q1、およびNch-MOSFETのゲート−ソース間の電圧を制御する制御回路Cから構成されている。
電源E1の正極は抵抗R1の一方の端部に接続され、負極はダイオードD1のアノード、Nch-MOSFETと等価の回路Q1におけるソース、および制御回路Cの他方の端部に接続されている。抵抗R1の一方の端部は、直流電源E1の正極に接続されており、他方の端部は、ダイオードD1のカソード、回路Q1のドレインに接続されている。ダイオードD1のカソードは、抵抗R1の他方の端部、および回路Q1のドレインに接続されており、アノードは、直流電源E1の負極、回路Q1のソース、および制御回路Cの他方の端部に接続されている。回路Q1のドレインは、ダイオードD1のカソード、および抵抗R1の他方の端部に接続されており、ソースが、直流電源E1の負極、ダイオードD1のアノード、および制御回路Cの他方の端部に接続されており、ゲートが制御回路Cの一方の端部に接続されている。制御回路Cの一方の端部は、回路Q1のゲートに接続されており、他方の端部が回路Q1のソース、ダイオードD1のアノード、および直流電源E1の負極に接続されている。
ここで、図3におけるダイオードD1は、Nch-MOSFETの内部に等価的に存在するもので、一般にボディダイオードと呼ばれるものである。したがって、Nch-MOSFETの等価回路は、現実的な動作を考えると、回路Q1とダイオードD1とが並列に接続された回路となる。
ところで、Nch-MOSFETは、ゲート−ソース間電位Vgsが所定のスレッシュホールド電圧よりも低いとき、ドレイン−ソース間に電流を流さず、ダイオードD1に電流を流す。そして、ゲート−ソース間電位Vgsが所定のスレッシュホールド電圧以上となったとき、Nch-MOSFETは、ドレインからソース方向へと電流を流す。ただし、図3で示されるように、直流電源E1が接続されている場合、ダイオードD1は、逆バイアスとなるため非道通となり、電流が流れない状態となる。
したがって、図3の右部の最上段で示されるように、制御回路Cがゲート−ソース間電圧Vgsを発生させた場合、ゲート−ソース間電圧Vgsが所定のスレッシュホールド電圧よりも高い、上に凸の波形のとき、図3の右部の中段で示されるように、抵抗R1に電流Idが流れる。しかしながら、このときダイオードD1は、逆バイアスであるため、図3の右部の最下段で示されるように電流Ibは0となる。
尚、図3の右部は、最上段がゲート−ソース間電圧Vgsの、中段が、抵抗R1を流れる電流Idの電流値の、最下段が、ダイオードD1を流れる電流Ibの電流値の、それぞれの時間方向の変化を示している。
一方、図4の左部で示されるように、直流電源E1の極性を反転させた直流電源E2につなぎ変えた場合、ダイオードD1に対して、順バイアスであるため、図4の右部の最上段、および中段で示されるように、制御回路Cによりゲート−ソース間電圧Vgsが図3における場合と同様に制御されると、ゲート−ソース間電圧Vgsが下に凸の波形となっているタイミングにおいて、図4の最下段で示されるように、ダイオードD1に流れる電流Ibの波形が上に凸のとなり、順方向に電流を流していることが示される。
したがって、図3,図4を参照して説明したようなNch-MOSFETの特性によれば、上述した図1の全波整流回路1においては、図2における交流電源2の出力電圧の位相が、0°乃至180°のタイミングにおいて、Nch-MOSFET11,14のゲートに電圧を印加し、180°乃至360°のタイミングにおいて、Nch-MOSFET12,13のゲートに電圧を印加できればよいことになる。
しかしながら、Nch-MOSFETには、入力容量が存在するため、ゲートへの印加電圧を位相と完全に同期したタイミングで行うとゲート−ソース間の残電圧により本来オンの状態としたくないNch-MOSFETがオンの状態のまま位相が反転するため、貫通電流が発生する可能性がある。
そこで、交流電源2の電圧位相が反転する0°近傍、および180°近傍の前後のタイミングにおいて、いずれのNch-MOSFETもオンとならないように制御することが望ましい。
すなわち、交流電源2の電圧位相が反転する0°近傍、および180°近傍の前後のタイミングとは、例えば、図5で示されるように、(360−α)°乃至(0+α)°および(180−α)°乃至(180+α)°で示される期間2×Δtである。したがって、正のサイクルを期間Aに代えて期間A’とし、負のサイクルを期間Bに代えて期間B’とすることが望ましい。
例えば、Nch-MOSFETの入力容量を8000pF、ゲート−ソース間の抵抗を10kΩ、オン時のゲート電圧を10V、ゲートスレッシュホールド電圧が2Vであるとし、図6で示されるような放電カーブであるものとすれば、Δt=1mSあれば、Nch-MOSFETは確実にオフの状態となる。
また、交流電源2の入力周波数は50Hz乃至60Hzが一般的であるので、例えば、α=30°とすれば、期間Δtは1ms以上に設定することができることになる。
そこで、上述した全波整流回路1の基本構成に加えて、Nch-MOSFETの動作特性を踏まえて、上述した期間Δtを設けられる構成とすれば、上述の問題を解決しつつ、電力損失の低い全波整流回路が実現されることになる。
次に、図7を参照して、これらの問題を解決すべく構成された本発明の全波整流回路について説明する。
図7は、本発明を適用した全波整流回路の一実施の形態の構成例を示す図である。尚、図7における全波整流回路101、交流電源102、負荷103、およびNch-MOSFET111乃至114は、上述した図1の全波整流回路1、交流電源回路2、負荷3、およびNch-MOSFET11乃至14に対応するものであり、同一のものである。
全波整流回路101は、Nch-MOSFET111乃至114、チャージポンプ回路115,116、位相検知回路117,制御回路118,放電回路119,位相検知回路120、制御回路121、放電回路122、および分圧回路123,124より構成されている。
Nch-MOSFET111乃至114は、それぞれ上述したボディダイオードであるダイオードD1に対応するダイオード111a乃至114aを備えている。尚、Nch-MOSFETの回路図において、ボディダイオードについては、内蔵されるものであり、通常の回路図には記載されないものであるが、説明の便宜上、ここでは図示するものとする。
Nch-MOSFET111のソースは、位相検知回路117の抵抗171の一方の端部、チャージポンプ回路115のコンデンサ152の他方の端部、制御回路118のツェナーダイオード181のアノード、抵抗184の他方の端部、放電回路119の抵抗191の一方の端部、Nch-MOSFET112のドレイン、分圧回路124の抵抗243の一方の端部、および交流電源102の第1の端子102aに接続されている。また、Nch-MOSFET111のドレインは、チャージポンプ回路のダイオード151のアノード、Nch-MOSFET113のドレイン、チャージポンプ回路116のダイオード161のアノード、および負荷103の一方の端部に接続されている。Nch-MOSFET111のゲートは、放電回路119のダイオード191の他方の端部、および制御回路118のトランジスタ182のエミッタに接続されている。
Nch-MOSFET112のソースは、分圧回路123のツェナーダイオード231のアノード、抵抗232の一方の端部、Nch-MOSFET114のソース、分圧回路124の抵抗242の一方の端部、ツェナーダイオード241のアノード、位相検知回路117のフォトダイオード173のカソード、負荷103の他方の端部、および位相検知回路120のフォトダイオード203のカソードに接続されている。Nch-MOSFET112のドレインは、位相検知回路117の抵抗171の一方の端部、チャージポンプ回路115のコンデンサ152の他方の端部、制御回路118のツェナーダイオード181のアノード、抵抗184の他方の端部、放電回路119の抵抗191の一方の端部、Nch-MOSFET111のソース、分圧回路124の抵抗243の一方の端部、および電源102の第1の端子102aに接続されている。Nch-MOSFET112のゲートは、分圧回路123のツェナーダイオード231のカソード、抵抗232の他方の端部、および抵抗233の一方の端部に接続されている。
Nch-MOSFET113のソースは、放電回路122の抵抗221の他方の端部、チャージポンプ回路116のコンデンサ162の他方の端部、Nch-MOSFET114のドレイン、分圧回路123の抵抗233の他方の端部、位相検知回路120の抵抗201の他方の端部、制御回路121の抵抗214の他方の端部、ツェナーダイオード211のアノード、および交流電源102の第2の端子102bに接続されている。Nch-MOSFET113のドレインは、Nch-MOSFET111のドレイン、チャージポンプ回路115のダイオード151のアノード、チャージポンプ回路116のダイオード161のアノード、および負荷103の一方の端部に接続されている。Nch-MOSFET113のゲートは、放電回路122の抵抗221の他方の端部、およびチャージポンプ回路116のコンデンサ162の他方の端部に接続されている。
Nch-MOSFET114のソースは、分圧回路123のツェナーダイオード231のアノード、抵抗232の一方の端部、Nch-MOSFET112のソース、分圧回路124の抵抗242の一方の端部、ツェナーダイオード241のアノード、位相検知回路117のフォトダイオード173のカソード、負荷103の他方の端部、および位相検知回路120のフォトダイオード203のカソードに接続されている。Nch-MOSFET114のドレインは、放電回路122の抵抗221の他方の端部、チャージポンプ回路のコンデンサ162の他方の端部、Nch-MOSFET113のソース、分圧回路123の抵抗233の他方の端部、位相検知回路120の抵抗201の他方の端部、制御回路121の抵抗214の他方の端部、ツェナーダイオード211のアノード、および交流電源102の第2の端子102bに接続されている。Nch-MOSFET114のゲートは、分圧回路124のツェナーダイオード241のカソード、抵抗242の他方の端部、および抵抗243の他方の端部に接続されている。
チャージポンプ回路115は、ダイオード151、およびコンデンサ152より構成されており、交流電源102の第1の端子102aより供給されてくる、Nch-MOSFET111のソース側の電圧よりも、Nch-MOSFET111のゲート側の電圧を上昇させて、Nch-MOSFET111のゲート−ソース間電圧を上昇させる。ダイオード151のカソードは、コンデンサ152の一方の端部、制御回路118のトランジスタ182のコレクタ、および抵抗183の一方の端部に接続されている。ダイオード151のアノードは、Nch-MOSFET111のドレイン、Nch-MOSFET113のドレイン、チャージポンプ回路116のダイオード161のアノード、および負荷103の一方の端部に接続されている。コンデンサ152の一方の端部は、ダイオード151のカソード、制御回路118のトランジスタ182のコレクタ、および抵抗183の一方の端部に接続されている。コンデンサ152の他方の端部は、位相検知回路117の抵抗171の一方の端部、Nch-MOSFET111のソース、制御回路118のツェナーダイオード181のアノード、抵抗184の他方の端部、放電回路119の抵抗191の一方の端部、Nch-MOSFET112のドレイン、分圧回路124の抵抗243の一方の端部、および交流電源102の第1の端子102aに接続されている。
チャージポンプ回路116は、ダイオード161、およびコンデンサ162より構成されており、Nch-MOSFET113のソース側の電圧よりも、Nch-MOSFET113のゲート側の電圧を上昇させて、Nch-MOSFET113のゲート−ソース間電圧を上昇させる。ダイオード161のカソードは、コンデンサ162の一方の端部、制御回路121のトランジスタ212のコレクタ、および抵抗213の一方の端部に接続されている。ダイオード161のアノードは、Nch-MOSFET111のドレイン、Nch-MOSFET113のドレイン、チャージポンプ回路115のダイオード151のアノード、および負荷103の一方の端部に接続されている。コンデンサ162の一方の端部は、ダイオード161のカソード、制御回路121のトランジスタ212のコレクタ、および抵抗213の一方の端部に接続されている。コンデンサ162の他方の端部は、放電回路122の抵抗221の他方の端部、Nch-MOSFET113のソース、Nch-MOSFET114のドレイン、分圧回路123の抵抗233の他方の端部、制御回路121のツェナーダイオード211のアノード、抵抗214の他方の端部、位相検知回路120の抵抗201の他方の端部、および交流電源102の第2の端子102bに接続されている。
位相検知回路117は、抵抗171、ツェナーダイオード172、およびフォトダイオード173より構成されており、ツェナーダイオード172の設定電圧(ツェナー電圧)により、交流電源102の第1の端子102aより出力される電圧の位相を検出し、所定の位相範囲においてのみ、フォトダイオード173を発光させ、制御回路118のフォトトランジスタ185の受光部に受光させる。
抵抗171の一方の端部は、Nch-MOSFET111のソース、チャージポンプ回路115のコンデンサ152の他方の端部、制御回路118のツェナーダイオード181のアノード、抵抗184の他方の端部、放電回路119の抵抗191の一方の端部、Nch-MOSFET112のドレイン、分圧回路124の抵抗243の一方の端部、および交流電源102の第1の端子102aに接続されている。また、抵抗171の他方の端部は、ツェナーダイオード172のカソードに接続されている。ツェナーダイオード172のカソードは、抵抗171の他方の端部に接続されており、アノードは、フォトダイオード173のアノードに接続されている。フォトダイオード173のアノードは、ツェナーダイオード172のアノードに接続されている。また、フォトダイオード173のカソードは、Nch-MOSFET112のソース、分圧回路123のツェナーダイオード231のアノード、抵抗232の一方の端部、Nch-MOSFET114のソース、分圧回路124の抵抗242の一方の端部、ツェナーダイオード241のアノード、負荷103の他方の端部、およびフォトダイオード203のカソードに接続されている。
制御回路118は、ツェナーダイオード181、NPN型のトランジスタ182、抵抗183,184、およびフォトトランジスタ185より構成されており、フォトトランジスタ185が、フォトダイオード173より発生された光を受光することによりオンすると共に、ツェナーダイオード181により設定される電圧(ツェナー電圧)よりも高くなると、トランジスタ182がオンされる。トランジスタ182がオンすると、チャージポンプ回路115を動作させ、Nch-MOSFET111のゲート−ソース間の電圧を上昇させる。
ツェナーダイオード181のアノードは、位相検知回路117の抵抗171の一方の端部、チャージポンプ回路115のコンデンサ152の他方の端部、Nch-MOSFET111のソース、抵抗184の他方の端部、放電回路119の抵抗191の一方の端部、Nch-MOSFET112のドレイン、分圧回路124の抵抗243の一方の端部、および交流電源102の第1の端子102aに接続されている。ツェナーダイオード181のカソードは、トランジスタ182のベース、抵抗184の一方の端部、およびフォトトランジスタ185のエミッタに接続されている。
トランジスタ182のコレクタは、チャージポンプ回路115のコンデンサ152の一方の端部、ダイオード151のカソード、および抵抗183の一方の端部に接続されている。トランジスタ182のエミッタは、Nch-MOSFET111のゲート、および放電回路119の抵抗191の一方の端部に接続されている。トランジスタ182のベースは、ツェナーダイオード181のカソード、抵抗184の一方の端部、およびフォトトランジスタ185のエミッタに接続されている。
抵抗183の一方の端部は、トランジスタ182のコレクタ、チャージポンプ回路115のコンデンサ152の一方の端部、およびダイオード151のカソードに接続されており、他方の端部は、フォトトランジスタ185のコレクタと接続されている。
抵抗184の他方の端部は、位相検知回路117の抵抗171の一方の端部、チャージポンプ回路115のコンデンサ152の一方の端部、Nch-MOSFET111のソース、ツェナーダイオード181のアノード、放電回路119の抵抗191の一方の端部、Nch-MOSFET112のドレイン、分圧回路124の抵抗243の一方の端部、および交流電源102の第1の端子102aに接続されている。抵抗184の一方の端部は、トランジスタ182のベース、ツェナーダイオード181のカソード、およびフォトトランジスタ185のエミッタに接続されている。
フォトトランジスタ185は、受光部が位相検知回路117のフォトダイオード173の発光部と対向している。また、フォトトランジスタ185のコレクタは、抵抗183の他方の端部に接続されている。さらに、フォトトランジスタ185のエミッタは、トランジスタ182のベース、ツェナーダイオード181のカソード、および抵抗184の一方の端部に接続されている。
放電回路119は、抵抗191から構成されており、Nch-MOSFET111のゲート−ソース間の電圧を放電する。抵抗191の一方の端部は、位相検知回路117の抵抗171の一方の端部、チャージポンプ回路115のコンデンサ152の他方の端部、制御回路118のツェナーダイオード181のアノード、抵抗184の他方の端部、Nch-MOSFET111のソース、Nch-MOSFET112のドレイン、分圧回路124の抵抗243の一方の端部、および交流電源102の第1の端子102aに接続されている。また、抵抗191の他方の端部は、Nch-MOSFET111のゲート、および制御回路118のトランジスタ118のエミッタに接続されている。
位相検知回路120は、抵抗201、ツェナーダイオード202、およびフォトダイオード203より構成されており、ツェナーダイオード202の設定電圧(ツェナー電圧)により、交流電源102の第2の端子102bより出力される電圧の位相を検出し、所定の位相範囲においてのみ、フォトダイオード203を発光させ、制御回路121のフォトトランジスタ215の受光部に受光させる。
抵抗201の他方の端部は、Nch-MOSFET113のソース、チャージポンプ回路116のコンデンサ162の他方の端部、制御回路121のツェナーダイオード211のアノード、抵抗214の他方の端部、放電回路122の抵抗211の他方の端部、Nch-MOSFET114のドレイン、分圧回路124の抵抗233の他方の端部、および交流電源102の第2の端子102bに接続されている。また、抵抗201の一方の端部は、ツェナーダイオード202のカソードに接続されている。ツェナーダイオード202のカソードは、抵抗201の一方の端部に接続されており、アノードは、フォトダイオード203のアノードに接続されている。また、フォトダイオード203のカソードは、Nch-MOSFET112のソース、分圧回路123のツェナーダイオード231のアノード、抵抗232の一方の端部、Nch-MOSFET114のソース、分圧回路124の抵抗242の一方の端部、ツェナーダイオード241のアノード、負荷103の他方の端部、およびフォトダイオード173のカソードに接続されている。
制御回路121は、ツェナーダイオード211、NPN型のトランジスタ212、抵抗213,214、およびフォトトランジスタ215より構成されており、フォトトランジスタ215が、フォトダイオード203より発生された光を受光することによりオンすると共に、ツェナーダイオード211により設定される電圧(ツェナー電圧)よりも高くなると、トランジスタ212がオンされる。トランジスタ212がオンすると、チャージポンプ回路116を動作させ、Nch-MOSFET113のゲート−ソース間の電圧を上昇させる。
ツェナーダイオード211のアノードは、位相検知回路120の抵抗201の他方の端部、チャージポンプ回路116のコンデンサ162の他方の端部、Nch-MOSFET113のソース、抵抗214の他方の端部、放電回路122の抵抗221の他方の端部、Nch-MOSFET114のドレイン、分圧回路123の抵抗233の他方の端部、および交流電源102の第2の端子102bに接続されている。ツェナーダイオード211のカソードは、トランジスタ212のベース、抵抗214の一方の端部、およびフォトトランジスタ215のエミッタに接続されている。
トランジスタ212のコレクタは、チャージポンプ回路116のコンデンサ162の一方の端部、ダイオード161のカソード、および抵抗213の一方の端部に接続されている。トランジスタ212のエミッタは、Nch-MOSFET113のゲート、および放電回路122の抵抗221の一方の端部に接続されている。トランジスタ212のベースは、ツェナーダイオード211のカソード、抵抗214の一方の端部、およびフォトトランジスタ215のエミッタに接続されている。
抵抗213の一方の端部は、トランジスタ212のコレクタ、チャージポンプ回路116のコンデンサ162の一方の端部、およびダイオード161のカソードに接続されており、他方の端部は、フォトトランジスタ215のコレクタと接続されている。
抵抗214の他方の端部は、位相検知回路120の抵抗201の他方の端部、チャージポンプ回路116のコンデンサ162の他方の端部、Nch-MOSFET113のソース、ツェナーダイオード211のアノード、放電回路122の抵抗221の他方の端部、Nch-MOSFET114のドレイン、分圧回路123の抵抗233の他方の端部、および交流電源102の第2の端子102bに接続されている。抵抗214の一方の端部は、トランジスタ212のベース、ツェナーダイオード211のカソード、およびフォトトランジスタ215のエミッタに接続されている。
フォトトランジスタ215は、受光部が位相検知回路120のフォトダイオード203の発光部と対向している。また、フォトトランジスタ215のコレクタは、抵抗213の他方の端部に接続されている。さらに、フォトトランジスタ215のエミッタは、トランジスタ212のベース、ツェナーダイオード211のカソード、および抵抗214の一方の端部に接続されている。
放電回路122は、抵抗211から構成されており、Nch-MOSFET113のゲート−ソース間の電圧を放電する。抵抗211の他方の端部は、位相検知回路120の抵抗201の他方の端部、チャージポンプ回路116のコンデンサ162の他方の端部、制御回路121のツェナーダイオード211のアノード、抵抗214の他方の端部、Nch-MOSFET113のソース、Nch-MOSFET114のドレイン、分圧回路123の抵抗233の他方の端部、および交流電源102の第2の端子102bに接続されている。また、抵抗221の一方の端部は、Nch-MOSFET113のゲート、および制御回路121のトランジスタ212のエミッタに接続されている。
分圧回路123は、ツェナーダイオード231、および抵抗232,233より構成されており、交流電源102の第1の端子102bの電圧とNch-MOSFET112のソースの電圧とを、抵抗232,233により分圧して、分圧した電圧をNch-MOSFET112のゲートに印加する。
ツェナーダイオード231のアノードは、Nch-MOSFET112のソース、抵抗232の一方の端部、Nch-MOSFET114のソース、分圧回路124の抵抗242の一方の端部、ツェナーダイオード241のアノード、位相検知回路117のフォトダイオード173のカソード、負荷103の他方の端部、および位相検知回路120のフォトダイオード203のカソードに接続されている。ツェナーダイオード231のカソードは、Nch-MOSFET112のゲート、抵抗232の他方の端部、および抵抗233の一方の端部に接続されている。
抵抗232の一方の端部は、Nch-MOSFET112のソース、ツェナーダイオード231のアノード、Nch-MOSFET114のソース、分圧回路124の抵抗242の一方の端部、ツェナーダイオード241のアノード、位相検知回路117のフォトダイオード173のカソード、負荷103の他方の端部、および位相検知回路120のフォトダイオード203のカソードに接続されている。抵抗232の他方の端部は、Nch-MOSFET112のゲート、ツェナーダイオード231のカソード、および抵抗233の一方の端部に接続されている。
抵抗233の一方の端部は、Nch-MOSFET112のゲート、ツェナーダイオード231のカソード、および抵抗232の他方の端部に接続されている。抵抗233の他方の端部は、放電回路122の抵抗221の他方の端部、チャージポンプ回路116のコンデンサ162の他方の端部、Nch-MOSFET114のドレイン、Nch-MOSFET113のソース、位相検知回路120の抵抗201の他方の端部、制御回路121の抵抗214の他方の端部、ツェナーダイオード211のアノード、および交流電源102の第2の端子102bに接続されている。
分圧回路124は、ツェナーダイオード241、および抵抗242,243より構成されており、交流電源102の第2の端子102aの電圧とNch-MOSFET114のソースの電圧とを、抵抗232,233により分圧して、分圧した電圧をNch-MOSFET114のゲートに印加する。
ツェナーダイオード241のアノードは、Nch-MOSFET114のソース、抵抗242の一方の端部、Nch-MOSFET112のソース、分圧回路123の抵抗232の一方の端部、ツェナーダイオード231のアノード、位相検知回路120のフォトダイオード203のカソード、負荷103の他方の端部、および位相検知回路117のフォトダイオード173のカソードに接続されている。ツェナーダイオード241のカソードは、Nch-MOSFET114のゲート、抵抗242の他方の端部、および抵抗243の他方の端部に接続されている。
抵抗242の一方の端部は、Nch-MOSFET112のソース、Nch-MOSFET114のソース、分圧回路123のツェナーダイオード231のアノード、抵抗232の一方の端部、ツェナーダイオード241のアノード、位相検知回路117のフォトダイオード173のカソード、負荷103の他方の端部、および位相検知回路120のフォトダイオード203のカソードに接続されている。抵抗242の他方の端部は、Nch-MOSFET114のゲート、ツェナーダイオード241のカソード、および抵抗243の他方の端部に接続されている。
抵抗243の一方の端部は、位相検知回路117の抵抗171の一方の端部、チャージポンプ回路115のコンデンサ152の他方の端部、制御回路118のツェナーダイオード181のアノード、抵抗184の他方の端部、放電回路119の抵抗191の一方の端部、Nch-MOSFET112のドレイン、Nch-MOSFET111のソース、および交流電源102の第1の端子102aに接続されている。抵抗243の他方の端部は、Nch-MOSFET114のゲート、抵抗242の他方の端部、およびツェナーダイオード241のカソードに接続されている。
次に、図8の波形図を参照して、図7の全波整流回路101の全波整流処理の動作について説明する。図8は、図2における波形と同様に、交流電源102における、第2の端子102bを基準とした、第1の端子102aより発生される電圧の波形であり、1サイクル分の波形を0°乃至360°の位相で表現したものである。
位相T0乃至T1において、第1の端子102aより出力される電圧が正のサイクルに入るタイミング直後であるため、位相検知回路117においては、ツェナーダイオード172により設定された電圧を超えないため、電流を流さない。このため、フォトダイオード173においても電流が流れないため、フォトダイオード173は発光しない。このため、制御回路118のフォトトランジスタ185も光を受光しないので、オフの状態となる。したがって、チャージポンプ回路115が動作しないため、Nch-MOSFET111のゲート−ソース間電圧が上昇しないため、Nch-MOSFET111は、オフの状態となる。
一方、交流電源102の第1の端子102aの電圧と、Nch-MOSFET114のソース電圧とが十分に小さいので、分圧回路124により分圧された電圧も十分に小さいので、Nch-MOSFET114のゲートへの印加電圧も低いため、Nch-MOSFET114もオフの状態となる。
したがって、位相T0乃至T1においては、Nch-MOSFET111のボディダイオードであるダイオード111aには、交流電源102の第1の端子102aから負荷103の方向に帰還電流が流れる。また、Nch-MOSFET114のボディダイオードであるダイオード114aには、負荷103から交流電源102の第2の端子102bの方向に帰還電流が流れる。
結果として、図9の経路301で示されるように、交流電源102の第1の端子102a、Nch-MOSFET111のダイオード111a、負荷103、Nch-MOSFET114のダイオード114a、および交流電源102の第2の端子102bの順序で帰還電流が流れる。
位相T1乃至T2において、例えば、位相検知回路117におけるツェナーダイオード172の設定電圧が、図8におけるV1乃至V2の範囲におけるいずれかである場合、位相検知回路117においては、位相T1乃至T2のいずれかのタイミングでツェナー電圧を超えることになるため、ツェナーダイオード172が電流を流すことにより、フォトダイオード173が発光する。
フォトダイオード173が発光することにより、制御回路118のフォトトランジスタ185は、その光を受光することによりオンされる。フォトトランジスタ185がオンされることにより、制御回路118のトランジスタ182がオンされる。トランジスタ182がオンされることにより、チャージポンプ回路115が動作を開始し、Nch-MOSFET111のゲート−ソース間電圧が上昇する。
そして、Nch-MOSFET111のゲート−ソース間電圧が所定の電圧値を越えると、Nch-MOSFET111がオンの状態となり、ソースからドレインに電流を流す。この動作により、ボディダイオードであるダイオード111aに流れていた電流が停止する。
一方、交流電源102の第1の端子102aの電圧が上昇することにより、交流電源102の第1の端子102aの電圧と、Nch-MOSFET114のソース電圧と電位差が大きくなるため、分圧回路124により分圧された電圧も徐々に大きくなり、Nch-MOSFET114のゲートへの印加電圧が所定の電圧を越えると、Nch-MOSFET114もオンの状態となり、ソースからドレインに電流を流す。この動作により、ボディダイオードであるダイオード114aに流れていた電流が停止する。
したがって、位相T1乃至T2においては、交流電源102の第1の端子102aからの出力電圧の上昇に伴って、ツェナーダイオード172により設定されるツェナー電圧で規定される、いずれかのタイミングでNch-MOSFET111のボディダイオードであるダイオード111a経由で、交流電源102の第2の端子102aから負荷103の方向に帰還電流が流れている状態から、Nch-MOSFET111のソースからドレイン経由で帰還電流が流れる状態に切り替わる。同様に、位相T1乃至T2においては、分圧回路124における抵抗242,243により設定される分圧電圧により規定される、いずれかのタイミングでNch-MOSFET114のボディダイオードであるダイオード114a経由で、負荷103から交流電源102の第2の端子102bの方向に帰還電流が流れている状態から、Nch-MOSFET114のソースからドレイン経由で、帰還電流が流れている状態に切り替わる。
位相T2乃至T3においては、交流電源102の第1の端子102aの電圧がV2よりも高い状態が維持されているため、Nch-MOSFET111のソースからドレイン経由で、交流電源102の第2の端子102aから負荷103の方向に帰還電流が流れ続ける。同様に、Nch-MOSFET114のソースからドレイン経由で、負荷103から交流電源102の第2の端子102bの方向に帰還電流が流れ続ける。
尚、この間も、交流電源102の第1の端子102aより出力され続ける電圧がピークを迎えるまでは、チャージポンプ回路115は、Nch-MOSFET111のソース−ゲート間電圧を昇圧し続けるが、ツェナーダイオード181は、Nch-MOSFET111のソース−ゲート間電圧が所定の電圧を超えると電流が流れるため、電圧の上昇を抑制することができるので、Nch-MOSFET111のソース−ゲート間に過大な電圧が印加されることによる破壊からNch-MOSFET111を保護することが可能となる。
位相T3乃至T4においては、位相T1乃至T2における動作と逆の動作となる。すなわち、位相検知回路117においては、位相T3乃至T4のいずれかのタイミングでツェナー電圧よりも小さくなるため、ツェナーダイオード172が電流を停止することにより、フォトダイオード173の発光が停止する。
フォトダイオード173の発光が停止することにより、制御回路118のフォトトランジスタ185は、その光を受光することができないのでオフされる。フォトダイオード173がオフされることにより、制御回路118のトランジスタ182がオフされる。トランジスタ182がオフされることにより、チャージポンプ回路115の動作が停止し、Nch-MOSFET111のゲート−ソース間電圧が下降する。
そして、Nch-MOSFET111のゲート−ソース間電圧が所定の電圧値よりも小さくなると、Nch-MOSFET111がオフの状態となり、ソースからドレイン経由の電流を停止する。この動作により、ボディダイオードであるダイオード111aに電流が流れる。
一方、交流電源102の第1の端子102aの電圧が下降することにより、交流電源102の第1の端子102aの電圧と、Nch-MOSFET114のソース電圧と電位差が小さくなるため、分圧回路124により分圧された電圧も徐々に小さくなり、Nch-MOSFET114のゲートへの印加電圧が所定の電圧より小さくなると、Nch-MOSFET114もオフの状態となり、ソースからドレイン経由の電流が停止する。この動作により、ボディダイオードであるダイオード114aに電流が流れる。
したがって、位相T3乃至T4においては、交流電源102の第1の端子102aからの出力電圧の下降に伴って、ツェナーダイオード172により設定されるツェナー電圧で規定される、いずれかのタイミングでNch-MOSFET111のソースからドレイン経由で、交流電源102の第2の端子102aから負荷103の方向に帰還電流が流れている状態から、Nch-MOSFET111のダイオード111経由で帰還電流が流れる状態に切り替わる。同様に、位相T3乃至T4においては、分圧回路124における抵抗242,243により設定される分圧電圧により規定される、いずれかのタイミングでNch-MOSFET114のソースからドレイン経由で、負荷103から交流電源102の第2の端子102bの方向に帰還電流が流れている状態から、Nch-MOSFET114のダイオード114a経由で、帰還電流が流れている状態に切り替わる。
位相T4乃至T5において、第1の端子102aより出力される電圧が正のサイクルを終了するため、位相検知回路117においては、ツェナーダイオード172により設定された電圧を超えないため、フォトダイオード173は発光しない。このため、制御回路118のフォトトランジスタ185も光を受光しないので、オフの状態となる。したがって、チャージポンプ回路115が動作しないため、Nch-MOSFET111のゲート−ソース間電圧が上昇しないため、Nch-MOSFET111は、オフの状態となる。
さらに、Nch-MOSFET111のソース−ゲート間電圧が、放電回路119の抵抗191を介して放電されることにより、電位差がなくなる。このとき、図6を参照して説明したように、放電に必要とされる時間に対応して、ツェナーダイオード172のツェナー電圧が設定されているので、位相T5のタイミング、すなわち、位相が180°となるまでには、完全に放電される。このため、ソース−ゲート間の残電圧が残されている状態で、位相が切り替わることにより発生する貫通電流を抑制することが可能となる。
一方、交流電源102の第1の端子102aの電圧と、Nch-MOSFET114のソース電圧とが十分に小さいので、分圧回路124により分圧された電圧も十分に小さいので、Nch-MOSFET114のゲートへの印加電圧も低いため、Nch-MOSFET114もオフの状態となる。
したがって、位相T4乃至T5においては、Nch-MOSFET111のボディダイオードであるダイオード111aには、交流電源102の第1の端子102aから負荷103の方向に帰還電流が流れる。また、Nch-MOSFET114のボディダイオードであるダイオード114aには、負荷103から交流電源102の第2の端子102bの方向に帰還電流が流れる。いずれの帰還電流も徐々に減少し、位相T5において、帰還電流は0となる。
結果として、図9の経路301で示されるように、交流電源102の第1の端子102a、Nch-MOSFET111、負荷103、Nch-MOSFET114、および交流電源102の第2の端子102bの順序の帰還電流は、位相T0乃至T5において流れることとなる。
位相T5乃至T6において、第1の端子102aより出力される電圧が負のサイクルに入るタイミング直後であるため、位相検知回路120においては、ツェナーダイオード202により設定された電圧を超えないため、フォトダイオード203は発光しない。このため、制御回路121のフォトトランジスタ215も光を受光しないので、オフの状態となる。したがって、チャージポンプ回路116が動作しないため、Nch-MOSFET113のゲート−ソース間電圧が上昇しないため、Nch-MOSFET113は、オフの状態となる。
一方、交流電源102の第2の端子102bの電圧と、Nch-MOSFET112のソース電圧とが十分に小さいので、分圧回路123により分圧された電圧も十分に小さいので、Nch-MOSFET112のゲートへの印加電圧も低いため、Nch-MOSFET112もオフの状態となる。
したがって、位相T5乃至T6においては、Nch-MOSFET113のボディダイオードであるダイオード113aには、交流電源102の第2の端子102bから負荷103の方向に帰還電流が流れる。また、Nch-MOSFET112のボディダイオードであるダイオード112aには、負荷103から交流電源102の第1の端子102aの方向に帰還電流が流れる。
結果として、図9の経路302で示されるように、交流電源102の第2の端子102b、Nch-MOSFET113のダイオード113a、負荷103、Nch-MOSFET112のダイオード112a、および交流電源102の第1の端子102aの順序で帰還電流が流れる。
位相T6乃至T7において、例えば、位相検知回路120におけるツェナーダイオード202の設定電圧が、図8におけるV1乃至V2の範囲におけるいずれかである場合、位相検知回路120においては、位相T6乃至T7のいずれかのタイミングでツェナー電圧を超えることになるため、ツェナーダイオード202が電流を流すことにより、フォトダイオード203が発光する。
フォトダイオード203が発光することにより、制御回路121のフォトトランジスタ215は、その光を受光することによりオンされる。フォトトランジスタ215がオンされることにより、制御回路121のトランジスタ212がオンされる。トランジスタ212がオンされることにより、チャージポンプ回路116が動作を開始し、Nch-MOSFET113のゲート−ソース間電圧が上昇する。
そして、Nch-MOSFET113のゲート−ソース間電圧が所定の電圧値を越えると、Nch-MOSFET113がオンの状態となり、ソースからドレインに電流を流す。この動作により、ボディダイオードであるダイオード113aに流れていた電流が停止する。
一方、交流電源102の第2の端子102bの電圧が上昇することにより(交流電源102の第1の端子102aの電圧が下降にすることにより)、交流電源102の第2の端子102bの電圧と、Nch-MOSFET112のソース電圧と電位差が大きくなるため、分圧回路124により分圧された電圧も徐々に大きくなり、Nch-MOSFET112のゲートへの印加電圧が所定の電圧を越えると、Nch-MOSFET112もオンの状態となり、ソースからドレインに電流を流す。この動作により、ボディダイオードであるダイオード112aに流れていた電流が停止する。
したがって、位相T6乃至T7においては、交流電源102の第2の端子102bからの出力電圧の上昇に伴って(交流電源102の第1の端子102aからの出力電圧の下降に伴って)、ツェナーダイオード202により設定されるツェナー電圧で規定される、いずれかのタイミングでNch-MOSFET113のボディダイオードであるダイオード113a経由で、交流電源102の第2の端子102bから負荷103の方向に帰還電流が流れている状態から、Nch-MOSFET113のソースからドレイン経由で帰還電流が流れる状態に切り替わる。同様に、位相T6乃至T7においては、分圧回路123における抵抗232,233により設定される分圧電圧により規定される、いずれかのタイミングでNch-MOSFET112のボディダイオードであるダイオード112a経由で、負荷103から交流電源102の第1の端子102aの方向に帰還電流が流れている状態から、Nch-MOSFET112のソースからドレイン経由で、帰還電流が流れている状態に切り替わる。
位相T7乃至T8においては、交流電源102の第2の端子102bの電圧がV2よりも高い状態が維持されているため、Nch-MOSFET113のソースからドレイン経由で、交流電源102の第2の端子102bから負荷103の方向に帰還電流が流れ続ける。同様に、Nch-MOSFET112のソースからドレイン経由で、負荷103から交流電源102の第1の端子102aの方向に帰還電流が流れ続ける。
尚、この間も、交流電源102の第2の端子102bより出力され続ける電圧がピークを迎えるまでは、チャージポンプ回路116は、Nch-MOSFET113のソース−ゲート間電圧を昇圧し続けるが、ツェナーダイオード211は、Nch-MOSFET113のソース−ゲート間電圧が所定の電圧を超えると電流が流れるため、電圧の上昇を抑制することができるので、Nch-MOSFET113のソース−ゲート間に過大な電圧が印加されることによる破壊からNch-MOSFET113を保護することが可能となる。
位相T8乃至T9においては、位相T6乃至T7における動作と逆の動作となる。すなわち、位相検知回路120においては、位相T8乃至T9のいずれかのタイミングでツェナー電圧よりも小さくなるため、ツェナーダイオード202が電流を停止することにより、フォトダイオード203の発光が停止する。
フォトダイオード203の発光が停止することにより、制御回路121のフォトトランジスタ215は、その光を受光することができないのでオフされる。フォトダイオード203がオフされることにより、制御回路121のトランジスタ212がオフされる。トランジスタ212がオフされることにより、チャージポンプ回路116の動作が停止し、Nch-MOSFET113のゲート−ソース間電圧が下降する。
そして、Nch-MOSFET113のゲート−ソース間電圧が所定の電圧値よりも小さくなると、Nch-MOSFET113がオフの状態となり、ソースからドレイン経由の電流を停止する。この動作により、ボディダイオードであるダイオード113aに電流が流れる。
一方、交流電源102の第1の端子102aの電圧が下降することにより(第2の端子102bの電圧が上昇することにより)、交流電源102の第2の端子102bの電圧と、Nch-MOSFET112のソース電圧と電位差が小さくなるため、分圧回路123により分圧された電圧も徐々に小さくなり、Nch-MOSFET112のゲートへの印加電圧が所定の電圧より小さくなると、Nch-MOSFET112もオフの状態となり、ソースからドレイン経由の電流が停止する。この動作により、ボディダイオードであるダイオード112aに電流が流れる。
したがって、位相T8乃至T9においては、交流電源102の第1の端子102aからの出力電圧の下降に伴って、ツェナーダイオード202により設定されるツェナー電圧で規定される、いずれかのタイミングでNch-MOSFET113のソースからドレイン経由で、交流電源102の第2の端子102bから負荷103の方向に帰還電流が流れている状態から、Nch-MOSFET113のダイオード113a経由で帰還電流が流れる状態に切り替わる。同様に、位相T8乃至T9においては、分圧回路123における抵抗232,223により設定される分圧電圧により規定される、いずれかのタイミングでNch-MOSFET112のソースからドレイン経由で、負荷103から交流電源102の第1の端子102aの方向に帰還電流が流れている状態から、Nch-MOSFET114のダイオード114a経由で、帰還電流が流れている状態に切り替わる。
位相T9乃至T0において、第1の端子102aより出力される電圧が負のサイクル終了するため、位相検知回路120においては、ツェナーダイオード202により設定された電圧を超えないため、フォトダイオード203は発光しない。このため、制御回路121のフォトトランジスタ215も光を受光しないので、オフの状態となる。したがって、チャージポンプ回路116が動作しないため、Nch-MOSFET113のゲート−ソース間電圧が上昇しないため、Nch-MOSFET113は、オフの状態となる。
さらに、Nch-MOSFET113のソース−ゲート間電圧が、放電回路122の抵抗221を介して放電されることにより、電位差がなくなる。このとき、図6を参照して説明したように、放電に必要とされる時間に対応して、ツェナーダイオード202のツェナー電圧が設定されているので、位相T0のタイミング、すなわち、位相が0°となるまでには、完全に放電される。このため、ソース−ゲート間の残電圧が残されている状態で、位相が切り替わることにより発生する貫通電流を抑制することが可能となる。
一方、交流電源102の第2の端子102bの電圧と、Nch-MOSFET112のソース電圧とが十分に小さいので、分圧回路123により分圧された電圧も十分に小さいので、Nch-MOSFET112のゲートへの印加電圧も低いため、Nch-MOSFET112もオフの状態となる。
したがって、位相T9乃至T0においては、Nch-MOSFET113のボディダイオードであるダイオード113aには、交流電源102の第2の端子102bから負荷103の方向に帰還電流が流れる。また、Nch-MOSFET112のボディダイオードであるダイオード112aには、負荷103から交流電源102の第1の端子102aの方向に帰還電流が流れる。いずれの帰還電流も徐々に減少し、位相T0において、帰還電流は0となる。
結果として、図9の経路302で示されるように、交流電源102の第2の端子102b、Nch-MOSFET113、負荷103、Nch-MOSFET112、および交流電源102の第1の端子102aの順序の帰還電流は、位相T5乃至T0において流れることとなる。
そして、以降、同様の処理が繰り返される。
ところで、全波整流回路の電力損失は、図1で示される実際の回路図で示されるダイオードで構成された場合、平均電流×VF(順方向降下電圧)で決定され、例えば交流電圧がAC100Vで負荷を200Wとすると、平均電流が約1A程度になり、VF=1.1Vとすると、1(A)×1.1(V)=1.1Wであり、4個のダイオードによるトータルのロスは4.4W程度になる。
一方、本発明のNch-MOSFETからなる全波整流回路を用いた同期整流では、Nch-MOSFETのロスは実効値電流×実効値電流×オン抵抗で決定され、前記と同じ条件で、実効値電流は約1.5A程度になり、オン抵抗を50mΩとすると、1.5×1.5×0.05≒0.11Wであり、MOSFET4つトータルのロスは0.44W程度とり、3.96Wのロス低減が可能となる。
また、例えば、スイッチング電源に入力される交流電圧がAC24Vの場合、Nch-MOSFETの耐圧は60Vで良いので、オン抵抗が更に低いものを使用することが可能となる。一方、ダイオードのVFはダイオードの耐圧を下げたとしても極端には下がらず約0.6V程度である。ダイオードのVFを0.6V、MOSFETのオン抵抗を4mΩとすると、9.3W程度のロス低減が可能となる。
以上の如く、本発明によれば、電力損失を低減すると共に、nチャネルMOSFETを保護することができるので、動作の安定性を向上させることが可能となる。
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。