JP2010173483A - 液化燃料運搬船およびその推進システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】制御装置5は、少なくとも1台の二次燃料エンジン2をガス燃焼モードで稼働させるとともに、他の少なくとも1台の二次燃料エンジン2を油燃焼モードで稼働させ、ガス燃焼モードで稼働している二次燃料エンジン2に割り当てる負荷を油燃焼モードで稼働させている二次燃料エンジン2に割り当てる負荷よりも多く設定するガス優先運転モード、及び、少なくとも1台の二次燃料エンジン2をガス燃焼モードで稼働させるとともに、他の少なくとも1台の二次燃料エンジン2を油燃焼モードで稼働させ、油燃焼モードで稼働している各二次燃料エンジン2に割り当てる負荷をガス燃焼モードで稼働させている各二次燃料エンジン2に割り当てる負荷よりも多く設定する油優先運転モードの少なくともいずれかを有する。
【選択図】図1
Description
また、近年、新たな推進システムの開発が進められており、その一つにガス焚きディーゼル機関を利用した推進システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この二次燃料エンジンのガス燃焼モードでは、BOGを使用することから、BOGを有効に利用することができる。
しかしながら、二次燃料エンジンでは、ガスとディーゼル油とを同時に燃料として用いることはできないことから、燃焼モードを切り替えることによりタンク圧を調整しなければならなかった。特に、LNGの満載時には、タンク内におけるガスのスペースが少ないため、タンク圧の変動率は高く、タンク圧を安定させるためには、頻繁に燃焼モードを切り替えなければならない。燃焼モードの切り替えについては自動化されておらず、このように燃焼モードの切り替えが頻繁に必要とされる場合には、作業員の負担が大きいなどの種々の問題が生じていた。
本発明は、液化燃料が貯蔵されるタンクと、ガスを燃料とするガス燃焼モードと油を燃料とする油燃焼モードとを切り替えて使用可能な複数の二次燃料エンジンと、該二次燃料エンジンの各々に割り当てる負荷を決定する制御装置とを備え、前記ガス燃焼モードにおいては、前記タンク内に貯蔵されている液化燃料が気化することで発生するガス及び該タンク内に貯蔵される液化燃料を強制的にガス化して生成されたガスの少なくとも一方が前記二次燃料エンジンに供給され、前記制御装置は、少なくとも1台の二次燃料エンジンをガス燃焼モードで稼働させるとともに、他の少なくとも1台の二次燃料エンジンを油燃焼モードで稼働させ、ガス燃焼モードで稼働している二次燃料エンジンに割り当てる負荷を油燃焼モードで稼働させている二次燃料エンジンに割り当てる負荷よりも多く設定するガス優先運転モード、及び、少なくとも1台の二次燃料エンジンをガス燃焼モードで稼働させるとともに、他の少なくとも1台の二次燃料エンジンを油燃焼モードで稼働させ、油燃焼モードで稼働している各二次燃料エンジンに割り当てる負荷をガス燃焼モードで稼働させている各二次燃料エンジンに割り当てる負荷よりも多く設定する油優先運転モードの少なくともいずれかを有する液化燃料運搬船の推進システムを提供する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る液化燃料運搬船の推進システムの概略構成を示した図である。
図1に示すように、液化燃料運搬船の推進システムは、液化燃料が貯蔵されたタンク1と、複数台の二次燃料エンジン(例えば、ディーゼルエンジン)2と、二次燃料エンジンによって発電された電力によって回転させられる可変速の推進モータ3と、推進モータの回転力が伝達されることにより回転するプロペラ4と、各二次燃料エンジン2に負荷を割り当てる制御装置5とを主な構成として備えている。本実施形態においては、4台の二次燃料エンジン2を備える場合を想定しているが、二次燃料エンジン2の台数は2台以上であればその台数は特に限定されない。また、本実施形態では、図1に示すように、各二次燃料エンジンが発電機6にそれぞれ接続されている場合を想定しているが、2台以上の二次燃料エンジン2が1台の発電機6に接続されていてもよい。また、各発電機6に接続される二次燃料エンジン2の台数については統一されていなくてもよい。また、発電機6の設置数についても限定されない。
本実施形態に係る二次燃料エンジン2の制御装置5は、ガス燃料を優先的に用いるガス優先運転モードと、油燃料を優先的に用いる油優先運転モードと、各二次燃料エンジンに均等に負荷を割り当てる通常運転モードとを備えている。
この負荷配分テーブルは、例えば、必要電力量と運転しているエンジン台数とに基づいて決定されている。または、負荷配分テーブルは、例えば、タンク1内に発生するガスの比率、又はタンク1の圧力に基づいて決定されていてもよい。タンク1内に発生するガスの比率またはタンク1の圧力に基づいて負荷配分テーブルを決定することにより、この負荷配分情報に基づいて負荷配分を行えば、タンク1内のガス圧力を適切に調整することができる。
また、油優先運転モードでは、例えば、ガス燃焼モードで稼動している二次燃料エンジンには、約10%以上約95%以下の負荷が、油燃焼モードで稼動している二次燃料エンジンには、約10%以上約95%以下の負荷が、そのときのタンク圧、船内の必要電力量等に応じて割り当てられる。
また、通常運転モードでは、ガス燃焼モード、油燃焼モードに関係なく、均等に負荷が配分される。例えば、約15%以上約95%以下の負荷が運転状況等に応じてそれぞれ割り当てられる。
図2及び図3において、横軸は時間、縦軸は出力を示している。
次に、通常運転モードに対するガス優先運転モードの効果を説明するために、本実施形態に係るガス優先運転モードを適用した場合における燃焼モード切替頻度と、通常運転モードを適用した場合における燃焼モード切替頻度とを比較する。なお、以下の例では、タンクにおいて発生するガスの生成比率を0.15として説明する。
例えば、4台の二次燃料エンジンをガス燃焼モードで稼働させており、また、各二次燃料エンジンに対して要求負荷の約73%をそれぞれ割り当てた場合、タンク内におけるガスは徐々に減少し、タンク内圧力は30mmbar/hの変化率で徐々に減少する(図4のCase1参照)。そして、タンク内圧力が既定の切替下限値に達すると、これ以上のガス流出を防止してタンク内圧力を回復させるために、1台の二次燃料エンジンの燃焼モードをガス燃焼モードから油燃焼モードに切り替える。
このように、負荷を均等に割り当てる通常運転モードにおいては、燃焼モードの切り替えによってタンク内圧力を安定させなければならないので、燃焼モードの切り替えを頻繁に行う必要がある。
例えば、ガス燃焼モードの二次燃料エンジンを3台とし、油燃焼モードの二次燃料エンジンを1台として、ガス優先運転モードを適用し、ガス燃焼モードの二次燃料エンジンに約82%の負荷を、油燃焼モードの二次燃料エンジンに約17%の負荷を割り当てたとすると、タンク内の圧力は、9mmbar/hの変化率で徐々に上昇することとなる(図4の「ガス優先運転モード」参照)。
また、ガス優先運転モードでは、タンク内に発生するBOGを有効に使用するとともに、油(重油)の使用料を極力抑えることができるので、経済的な運行が可能となる。
なお、上記〔効果例:1−1〕では、タンクにおいて発生するガスの生成比率を0.15としたが、この生成比率を0.13に下げて検討した場合には、ガス優先運転モードを適用してしまうと、タンク圧の変動率が129mmbar/hの変化率で徐々に減少することとなり、BOGを消費しすぎてしまうこととなる。このような場合には、油優先運転モードを適用することにより、タンク変動率を抑制でき、例えば、13mmbar/hでタンク圧を徐々に上昇させることが可能となる(図4の「油優先運転モード」参照)。
バラスト運行時には、タンク内にガススペースが十分あり、タンク圧の変動率は、満載時に比べて小さく(たとえば、±10mmbar/h以下)なるため、タンク内からBOGを積極的に放出させてしまうと、タンク内の圧力が必要以上に減少してしまう。
従って、この場合には、油優先運転モードを適用することで、タンク内圧力を一定に保つことが可能となる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
本実施形態の液化燃料運搬船及びその推進システムにおいては、ガス優先運転モード又は油優先運転モードが適用されている場合に、タンク内の圧力に応じて、各燃焼モードにおける負荷配分を変更する点が上述した第1の実施形態と異なる。
以下、本実施形態に関する箇所のみ主に説明する。
例えば、タンク圧力が既定の負荷制限範囲内にある場合には、制御装置5は、ガス燃焼モードの二次燃料エンジンに対しそれぞれ負荷約90%を割り当て、油燃焼モードの二次燃料エンジンに対しそれぞれ負荷約30%を割り当てる。
タンク内の圧力が既定の負荷制限下限値(タンクの許容下限値よりも大きい値に設定されている)を下回った場合には、制御装置5は、ガス燃焼モードの二次燃料エンジンの負荷配分を所定量減少させるとともに、油燃焼モードの負荷配分を所定量増加させる。例えば、ガス燃焼モードの負荷配分については、約90%から約80%に変更し、油燃焼モードの負荷配分については、約30%から約50%に変更する。
このように、ガス優先運転モードが適用されている場合において、タンク内の圧力が既定の負荷制限下限値を下回った場合には、制御装置が各燃焼モードにおける負荷配分を変更するので、トータルの出力は変化させずに、タンク内の圧力の低下を抑制することができる。
例えば、タンク圧力が既定の負荷制限範囲内にある場合には、制御装置5は、ガス燃焼モードの二次燃料エンジンに対しそれぞれ負荷約60%を割り当て、油燃焼モードの二次燃料エンジンに対しそれぞれ負荷約90%を割り当てる。
タンク内の圧力が既定の負荷制限上限値(タンクの許容上限値よりも小さい値に設定されている)を上回った場合には、制御装置5は、ガス燃焼モードの二次燃料エンジンの負荷配分を所定量増加させるとともに、油燃焼モードの負荷配分を所定量減少させる。例えば、ガス燃焼モードの負荷配分については、約60%から約75%に変更し、油燃焼モードの負荷配分については、約90%から約60%に変更する。
このように、油優先運転モードが適用されている場合において、タンク内の圧力が既定の負荷制限上限値を上回った場合には、制御装置5が各燃焼モードにおける負荷配分を変更するので、トータルの出力は変化させずに、タンク内の圧力の低下を抑制することができる。
次に、本発明の第3の実施形態について、図5を用いて説明する。
上述した1の実施形態の液化燃料運搬船及びその推進システムにおいては、4台の二次燃料エンジンを1つのグループとして捕らえ、この4台の二次燃料エンジンに対して通常運転モード、ガス優先運転モード、油優先運転モードのいずれかを適用していた。
これに対し、本実施形態では、複数の二次燃料エンジンを2台以上ずつのグループに分け、各グループの二次燃料エンジンを共通のバスに接続し、また、各グループに対して個別に運転モードを割り当てる。
2 二次燃料エンジン
3 推進モータ
4 プロペラ
5 制御装置
6 発電機
Claims (7)
- 液化燃料が貯蔵されるタンクと、
ガスを燃料とするガス燃焼モードと油を燃料とする油燃焼モードとを切り替えて使用可能な複数の二次燃料エンジンと、
該二次燃料エンジンの各々に割り当てる負荷を決定する制御装置と
を備え、
前記ガス燃焼モードにおいては、前記タンク内に貯蔵されている液化燃料が気化することで発生するガス及び該タンク内に貯蔵される液化燃料を強制的にガス化して生成されたガスの少なくとも一方が前記二次燃料エンジンに供給され、
前記制御装置は、
少なくとも1台の二次燃料エンジンをガス燃焼モードで稼働させるとともに、他の少なくとも1台の二次燃料エンジンを油燃焼モードで稼働させ、ガス燃焼モードで稼働している二次燃料エンジンに割り当てる負荷を油燃焼モードで稼働させている二次燃料エンジンに割り当てる負荷よりも多く設定するガス優先運転モード、及び、少なくとも1台の二次燃料エンジンをガス燃焼モードで稼働させるとともに、他の少なくとも1台の二次燃料エンジンを油燃焼モードで稼働させ、油燃焼モードで稼働している各二次燃料エンジンに割り当てる負荷をガス燃焼モードで稼働させている各二次燃料エンジンに割り当てる負荷よりも多く設定する油優先運転モードの少なくともいずれかを有する液化燃料運搬船の推進システム。 - 前記制御装置は、前記ガス優先運転モード及び前記油優先運転モードの少なくとも1つについて、ガス燃焼モード及び油燃焼モードにおける要求負荷に対する負荷配分が関連付けられた負荷配分情報を有しており、該負荷配分情報を用いて各二次燃料エンジンに負荷を配分する請求項1に記載の液化燃料運搬船の推進システム。
- 前記負荷配分情報は、必要電力量と運転しているエンジン台数、又は前記タンク内に発生するガスの比率、又は前記タンクの圧力に基づいて決定されている請求項2に記載の液化燃料運搬船の推進システム。
- 前記制御装置は、前記ガス優先運転モードが選択されており、かつ、前記タンクの圧力が既定の負荷制限下限値を下回った場合に、前記ガス燃焼モードの負荷配分を減少させるとともに、前記油燃焼モードの負荷配分を増加させる請求項1から請求項3のいずれかに記載の液化燃料運搬船の推進システム。
- 前記制御装置は、前記油優先運転モードが選択されており、かつ、前記タンクの圧力が既定の負荷制限上限値を上回った場合に、前記ガス燃焼モードの負荷配分を増加させるとともに、前記油燃焼モードの負荷配分を減少させる請求項1から請求項4のいずれかに記載の液化燃料運搬船の推進システム。
- 4台以上の二次燃料エンジンを備えている場合に、該4台以上の二次燃料エンジンを2台以上ずつのグループに分け、各グループの二次燃料エンジンを共通のバスに接続するとともに、各バスは接続手段によって接続/非接続の切り替えが可能とされており、
該制御装置は、該グループ毎に、運転モードを個別に割り当てる請求項1から請求項5のいずれかに記載の液化燃料運搬船の推進システム。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載の液化燃料運搬船の推進システムを備える液化燃料運搬船。
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