JP2010173447A - 船外機の姿勢制御システム - Google Patents

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俊哉 稲井
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Abstract

【課題】ユーザの操作を簡略化しながら走行条件に適した走行性能を得ることが可能な船外機の姿勢制御システムを提供する。
【解決手段】この船外機の姿勢制御システム10は、船外機本体30aおよび30bと、プロペラ33aおよび33bと、船外機本体30aおよび30bを左右方向に回動させるための駆動力を発生させるモータ312aおよび312bと、船体の走行状態を検出する検出手段6と、検出手段6により検出された走行状態に基づいて船体が滑走状態で走行しているかまたは非滑走状態で走行しているかを判定するとともに、船体が非滑走状態で走行していると判定した場合に、プロペラ33aおよび33bが近づく方向に船外機本体30aおよび30bを所定の角度分左右方向に回動させるように、モータ312aおよび312bをそれぞれ駆動制御する制御部7とを備える。
【選択図】図2

Description

この発明は、船外機の姿勢制御システムに関し、特に、船体に取り付けられた複数の船外機本体を備える船外機の姿勢制御システムに関する。
従来、船体に取り付けられた複数の船外機本体を備える船外機の姿勢制御システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。上記特許文献1には、船尾に取り付けられ、船体に対して左右方向に回動可能な複数の推進機(船外機本体)と、複数の推進機を左右方向に回動させる電動モータと、電動モータを駆動制御する制御装置とを備えた複数の推進機が搭載された小型船舶が開示されている。上記特許文献1による小型船舶は、ユーザがスイッチを操作することにより、最高速度を極力高くする性能、および、短時間で加速する性能などの複数の目標走行性能から走行条件に適した目標走行性能を選択可能に構成されている。具体的には、複数の推進機は、ユーザが短時間で船舶を加速させたい場合には、ユーザがスイッチを操作することによって、目標走行性能に適した左右方向の回動角度(トーアウトのトー角)に調整されるように構成されている。
特開2007−83795号公報
しかしながら、上記特許文献1の複数の推進機(船外機本体)が搭載された小型船舶では、短時間で船舶を加速させたい場合に、ユーザがスイッチを操作することにより走行条件に適した目標走行性能を選択して、トー角を調整する必要がある。このため、走行条件に適した走行性能を得るための操作が煩わしいという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、ユーザの操作を簡略化しながら走行条件に適した走行性能を得ることが可能な船外機の姿勢制御システムを提供することである。
課題を解決するための手段および発明の効果
この発明の一の局面による船外機の姿勢制御システムは、船体に対して左右方向に回動可能な複数の船外機本体と、複数の船外機本体にそれぞれ設けられたプロペラと、複数の船外機本体を左右方向に回動させるための駆動力を発生させる複数の第1駆動源と、船体の走行状態を検出する検出手段と、検出手段により検出された走行状態に基づいて船体が滑走状態で走行しているかまたは非滑走状態で走行しているかを判定するとともに、船体が非滑走状態で走行していると判定した場合に、複数のプロペラが近づく方向に複数の船外機本体を所定の角度分左右方向に回動させるように、複数の第1駆動源をそれぞれ駆動制御する制御部とを備える。ここで、本発明において、「滑走状態」とは、船体が実質的に一定の姿勢を保った状態で、かつ、加速後の略定速走行している状態のことをいい、「非滑走状態」とは、「滑走状態」以外の状態のことを意味する。
この一の局面による船外機の姿勢制御システムでは、上記のように、検出手段により検出された走行状態に基づいて船体が滑走状態で走行しているかまたは非滑走状態で走行しているかを判定するように構成されているとともに、船体が非滑走状態で走行していると判定した場合に、複数のプロペラが近づく方向に複数の船外機本体を所定の角度分左右方向に回動させるように、複数の第1駆動源をそれぞれ駆動制御する制御部を設ける。これにより、制御部により、船体が非滑走状態で走行していることを自動的に判別して、複数のプロペラを近づけて船外機のトー角がトーアウトの状態になるように自動的に複数の船外機本体を所定の角度分左右方向に回動させることができる。その結果、船体の非滑走状態時における加速性能を向上させることができるので、ユーザの操作を簡略化しながら走行条件に適した走行性能を得ることができる。
上記一の局面による船外機の姿勢制御システムにおいて、好ましくは、制御部は、船体が非滑走状態から滑走状態に切り替わったと判断した場合に、複数のプロペラが略同方向に指向するように、複数の第1駆動源をそれぞれ駆動制御するように構成されている。このように構成すれば、トー角がトーアウト状態に制御される非滑走状態から滑走状態に切り替わった際には、複数の船外機本体を走行方向に略平行な状態にすることができるので、非滑走状態時の加速性能を向上しながら、滑走状態時にプロペラおよび船外機本体が水から受ける抵抗を低減することができる。
上記一の局面による船外機の姿勢制御システムにおいて、好ましくは、制御部は、検出手段により検出可能な船体の走行状態の指標となる複数のパラメータを用いて複数の船外機本体をそれぞれ左右方向の所定の角度に回動させる基準が表わされたトー角制御マップに基づいて、第1駆動源をそれぞれ駆動制御するように構成されている。このように構成すれば、トー角制御マップに基づいて、容易に、制御部に滑走状態および非滑走状態のいずれかを判定させることができる。
上記一の局面による船外機の姿勢制御システムにおいて、好ましくは、検出手段は、船体の前後方向の傾きを検出する傾斜角検出手段を含み、制御部は、少なくとも傾斜角検出手段により検出された前後方向の傾きに基づいて滑走状態であるかまたは非滑走状態であるかを判定するように構成されている。このように構成すれば、傾斜角検出手段により、容易に、滑走状態時における船体の状態の指標のうちの1つである船体の傾斜角が略一定の状態を検出することができるので、傾斜角検出手段により検出された傾斜角に基づいて、容易に、滑走状態かまたは非滑走状態かを判定することができる。
上記検出手段は傾斜角検出手段を含む船外機の姿勢制御システムにおいて、好ましくは、複数の船外機本体の内部にそれぞれ設けられたエンジンをさらに備え、検出手段は、エンジンの回転数を検知するエンジン回転数検出手段をさらに含み、制御部は、エンジン回転数検出手段により検出された回転数、および、傾斜角検出手段により検出された前後方向の傾きの少なくとも一方に基づいて滑走状態であるかまたは非滑走状態であるかを判定するように構成されている。このように構成すれば、エンジン回転数検出手段により、容易に、滑走状態時における船体の状態の指標のうちの1つであるエンジン回転数が高回転数である状態を検出することができるので、エンジン回転数検出手段により検出されたエンジン回転数に基づいて、容易に、滑走状態かまたは非滑走状態かを判定することができる。また、傾斜角検出手段により、容易に、滑走状態時における船体の状態の指標のうちの1つである船体の傾斜角が略一定の状態を検出することができるので、傾斜角検出手段により検出された傾斜角に基づいて、容易に、滑走状態かまたは非滑走状態かを判定することができる。
上記検出手段は傾斜角検出手段を含む船外機の姿勢制御システムにおいて、好ましくは、検出手段は、船体の走行速度を検出する船体速度検出手段をさらに含み、制御部は、船体速度検出手段により検出された速度、および、傾斜角検出手段により検出された前後方向の傾きの少なくとも一方に基づいて滑走状態であるかまたは非滑走状態であるかを判定するように構成されている。このように構成すれば、船体速度検出手段により、容易に、滑走状態時における船体の状態の指標のうちの1つである船体速度が大きい状態を検出することができるので、船体速度検出手段により検出された船体速度に基づいて、容易に、滑走状態か否かを判定することができる。また、傾斜角検出手段により、容易に、滑走状態時における船体の状態の指標のうちの1つである船体の傾斜角が略一定の状態を検出することができるので、傾斜角検出手段により検出された傾斜角に基づいて、容易に、滑走状態かまたは非滑走状態かを判定することができる。
上記一の局面による船外機の姿勢制御システムにおいて、好ましくは、検出手段は、船体の加速度を検出する加速度検出手段を含み、制御部は、加速度検出手段により検出された船体の加速度が所定の値以下の場合に、船体が非滑走状態から滑走状態に切り替わったと判定するように構成されている。このように構成すれば、加速度検出手段により検出された加速度に基づいて、容易に、非滑走状態から滑走状態に切り替わったことを判定することができる。
上記一の局面による船外機の姿勢制御システムにおいて、好ましくは、制御部に接続され、ユーザの操作に基づいて船外機本体を左右方向に回動させる操舵信号を制御部に送信することにより船体を操舵可能な操舵部をさらに備え、制御部は、船体が非滑走状態で走行していると判定した場合に、操舵信号に基づいた船外機本体の左右方向の回動角度を左右方向の所定の角度分補正して、船外機本体を左右方向に回動させるように構成されている。このように構成すれば、船体が左右方向のいずれかに操舵されている場合にも、船体の非滑走状態時における加速性能を向上させることができる。
上記一の局面による船外機の姿勢制御システムにおいて、好ましくは、複数の船外機本体を上下方向に回動させるための駆動力を発生させる複数の第2駆動源をさらに備え、制御部は、船体が非滑走状態で走行していると判定した場合に、複数の船外機本体が前方下側に向かって傾斜する所定の角度に回動されるように第2駆動源を駆動制御するように構成されている。このように構成すれば、船体が非滑走状態で走行していると判定した場合に、複数の船外機本体が前方下側に向かって傾斜するのに伴って複数のプロペラを後方下側に指向させることができる。これにより、船体が非滑走状態で走行していると判定した場合に、船体の非滑走状態時における加速性能を向上させることができる。
本発明の第1実施形態による船外機の姿勢制御システムが搭載された船舶を示した斜視図である。 図1に示した第1実施形態による船外機の姿勢制御システムの構成を説明するためのブロック図である。 図1に示した第1実施形態による船外機の姿勢制御システムのピッチ角を説明するための側面図である。 図1に示した第1実施形態による船外機の姿勢制御システムのトー角を説明するための平面図である。 図1に示した第1実施形態による船外機の姿勢制御システムの船外機の構成を説明するための側面図である。 図1に示した第1実施形態による船外機の姿勢制御システムのスイベル部の構成を説明するための平面図である。 図1に示した第1実施形態による船外機の姿勢制御システムの船外機本体がトー角0°で配置されている状態を示した図である。 図1に示した第1実施形態による船外機の姿勢制御システムの船外機本体がトーアウトで配置されている状態を示した図である。 図1に示した第1実施形態による船外機の姿勢制御システムのトー角制御マップである。 図1に示した第1実施形態による船外機の姿勢制御システムの効果を説明するための図である。 図1に示した第1実施形態による船外機の姿勢制御システムのトリム角インで配置されている状態を示した図である。 図1に示した第1実施形態による船外機の姿勢制御システムの制御部が滑走状態であるか否かを判定する際の処理フローを説明するためのフローチャートである。 本発明の第2実施形態による船外機の姿勢制御システムの構成を説明するためのブロック図である。 本発明の第2実施形態による船外機の姿勢制御システムのトー角制御マップである。 本発明の第2実施形態による船外機の姿勢制御システムの制御部が滑走状態であるか否かを判定する際の処理フローを説明するためのフローチャートである。 本発明の第3実施形態による船外機の姿勢制御システムの構成を説明するためのブロック図である。 本発明の第3実施形態による船外機の姿勢制御システムの制御部が滑走状態であるか否かを判定する際の処理フローを説明するためのフローチャートである。 本発明の第1変形例による船外機の姿勢制御システムのトー角制御マップである。 本発明の第2変形例による船外機の姿勢制御システムのトー角制御マップである。 本発明の第3変形例による船外機の姿勢制御システムのトー角制御マップである。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
まず、図1〜図11を参照して、本発明の第1実施形態による船舶1に搭載された船外機の姿勢制御システム10の構成について説明する。なお、図中、FWDは、船舶の前進方向を示している。
第1実施形態による船舶1には、図1に示すように、水面に浮かべられる船体2と、船体2の後部に取り付けられた船体2を推進するための2機の船外機3aおよび3bと、船体2を操舵するステアリングからなる操舵部4と、操舵部4の近傍に配置され、船体2を前進または後進させる操作を行うためのコントロールレバー部5とが設けられている。
船外機3aは、図2に示すように、船体2に対して左右方向(Ra1方向およびRa2方向)に回動可能な船外機本体30aと、船外機本体30aを左右方向に回動させるスイベル部31aと、船外機本体30aを上下方向に回動させるチルト部32aと、船外機本体30aに設けられたプロペラ33aとにより主に構成されている。また、船外機3bは、船外機3aと同様に、船外機本体30bと、船外機本体30bを左右方向(Rb1方向およびRb2方向)に回動させるスイベル部31bと、船外機本体30bを上下方向に回動させるチルト部32bと、船外機本体30bに設けられたプロペラ33bとにより主に構成されている。また、操舵部4には、操舵部4が回転された際の回転角を検出する操舵角センサ6aが接続されている。なお、操舵部4および操舵角センサ6aは、本発明の「操舵部」の一例である。
ここで、第1実施形態では、船体2(図1参照)には、船体2の走行状態を検出するセンサ類6(図2参照)が設けられている。具体的には、センサ類6は、船舶1(船体2)の走行速度を検出する船速センサ部6bと、船舶1(船体2)の加速度を検出する加速度センサ部6cと、船体2の前後方向の傾きを検出するピッチ角センサ6dとを有している。なお、センサ類6は、本発明の「検出手段」の一例であり、船速センサ部6bは、本発明の「船体速度検出手段」の一例である。また、加速度センサ部6cは、本発明の「加速度検出手段」の一例であり、ピッチ角センサ6dは、本発明の「傾斜角検出手段」の一例である。
船速センサ部6bは、船体2が走行している際の水の流れを検知するように構成されている。また、ピッチ角センサ6dは、図3に示すように、船体2が水面に対して傾斜する角度(ピッチ角)αを検出する機能を有する。
また、船外機3aおよび3bは、それぞれ、図4に示すように、2つのプロペラ33aおよび33bが近づくトー角がトーアウトの位置に回動するとともに、2つのプロペラ33aおよび33bが離れるトー角がトーインの位置に回動することが可能なように構成されている。そして、船外機3aおよび3bは、それぞれ、後述する図10に示すように、トーアウトの位置に配置されている場合に、加速性能が向上することが知られている。
図2に示すように、操舵角センサ6a、船速センサ部6b、加速度センサ部6cおよびピッチ角センサ6dは、それぞれ、制御部7と接続されている。ここで、制御部7は、センサ類6により検出された走行状態に基づいて船体2(図1参照)が滑走状態で走行しているかまたは非滑走状態で走行しているかを判定するように構成されている。そして、制御部7は、船体2(図1参照)が非滑走状態で走行していると判定した場合に、船外機3aのプロペラ33aおよび船外機3bのプロペラ33bが互いに近づく方向に船外機本体30aおよび30bを回動させるようにモータ312aおよび312bをそれぞれ駆動制御するように構成されている(トーアウトの状態(図4参照))。具体的には、制御部7は、操舵角センサ6aにより検知された回転角に基づいて、船外機本体30aおよび30bが回動するべき基本舵角θ(図7参照)を演算する機能を有する。また、制御部7は、演算された基本舵角θ(図7参照)と、船速センサ部6b、加速度センサ部6c、ピッチ角センサ6d、および、後述するエンジン回転数検出部303aおよび303bなどにより検知されたパラメータとに基づいて、船外機本体30aおよび30bを左右方向(Ra1方向、Ra2方向、および、Rb1方向、Rb2方向)および上下方向(Q方向(図5参照))に回動させる角度を補正演算する機能を有する。また、制御部7は、演算して得られた角度の信号を船外機3aおよび3bの駆動ドライバ311aおよび311bに送信する機能を有する。駆動ドライバ311aには、モータ312aおよび油圧駆動部321aが接続されているとともに、駆動ドライバ311bには、モータ312bおよび油圧駆動部321bが接続されている。なお、モータ312aおよび312bは、それぞれ、本発明の「第1駆動源」の一例であり、油圧駆動部321aおよび321bは、それぞれ、本発明の「第2駆動源」の一例である。
駆動ドライバ311aは、制御部7から送信された角度の信号に基づいてモータ312aおよび油圧駆動部321aを駆動させる機能を有するとともに、駆動ドライバ311bは、制御部7から送信された角度の信号に基づいてモータ312bおよび油圧駆動部321bを駆動させる機能を有する。モータ312aおよび312bは、それぞれ、船外機本体30aおよび30bを左右方向(Ra1方向、Ra2方向、および、Rb1方向、Rb2方向)に回動させるための駆動力を発生するように構成されている。また、油圧駆動部321aおよび321bは、それぞれ、船外機本体30aおよび30bを上下方向(図5のQ方向)に回動させるための駆動力を発生するように構成されている。
なお、船外機3aおよび3bは、それぞれ、舵を有しておらず、船外機3aおよび3b自体で舵を切る構造になっている。すなわち、船外機本体30aおよび30bを左右方向に回動させることによりプロペラ33aおよび33bの向きを変えることによって、そのプロペラ33aおよび33bの推力で船体2が方向を変えられるように構成されている。
また、船外機本体30aには、エンジン301aと、エンジン301aに電気的に接続されたECU(エンジン・コントロール・ユニット)302aと、エンジン301aの回転数を検知するセンサ類6のエンジン回転数検出部303aとが収納されている。なお、回転数検出部303aは、本発明の「検出手段」および「エンジン回転数検出手段」の一例である。また、船外機本体30bには、船外機本体30aと同様、エンジン301bと、エンジン301bに電気的に接続されたECU(エンジン・コントロール・ユニット)302bと、エンジン301bの回転数を検出するセンサ類6のエンジン回転数検出部303bとが収納されている。なお、回転数検出部303bは、本発明の「検出手段」および「エンジン回転数検出手段」の一例である。ECU302aおよび302bは、それぞれ、コントロールレバー部5が操作されるのに基づいて、制御部7を介してエンジン301aおよび301bを制御する機能を有する。
また、図5に示すように、船外機3aのスイベル部31aには、スイベル軸313aが上下方向(Z方向)に延びるように配置されている。つまり、船外機本体30aは、スイベル軸313aを中心に船体2に対して左右方向(Ra1方向、Ra2方向、および、Rb1方向、Rb2方向(図2参照))に回動可能に保持されている。また、船外機3bのスイベル部31bには、図2に示すように、スイベル部31aと同様に、スイベル軸313bが設けられている。
また、図5に示すように、チルト部32aのチルト軸322aは、スイベル軸313aと直交するとともに、船体2の幅方向(図1の矢印X1方向および矢印X2方向)に延びるように配置されている。つまり、スイベル部31aに保持された船外機本体30aは、チルト軸322aを中心に上下方向(垂直方向)に回動可能に保持されている。また、チルト部32aには、上記した油圧駆動部321aが設けられており、油圧駆動部321aは、駆動されるのに伴って、スイベル部31aに保持された船外機本体30aをチルト軸322aを中心に上下方向(垂直方向)に回動させるように構成されている。また、チルト部32aは、船体2の後進方向側に設けられた船尾板2aに固定されている。なお、チルト部32bの構成は、チルト部32aの構成と同様である。
スイベル部31aは、図5および図6に示すように、ケース状であり、内部には、図6に示すように、上記した駆動ドライバ311aおよびモータ312aと、モータ312aと接続されたギヤ部314aと、モータ312aの駆動力がギヤ部314aを介して伝達されるボールネジ315aと、ボールネジ315a上を移動可能に係合されたボールナット316aと、ボールナット316aが移動されるのに伴って、スイベル軸313aを中心に回動するように構成された伝達プレート317aとが設けられている。
モータ312aには、モータ軸318aが設けられており、モータ軸318aは、制御部7(図2参照)および駆動ドライバ311aの信号に基づいて回転するように構成されている。ギヤ部314aは、3つの平歯車が噛合することにより構成されている。ボールネジ315aは、ギヤ部314aと接続されており、ギヤ部314aの駆動に伴って回転するように構成されている。ボールナット316aは、ボールネジ315aが回転されるのに伴って矢印X1方向および矢印X2方向に移動されるように構成されている。つまり、モータ軸318aが所定の方向に回転されるのに伴って、ギヤ部314aを介してボールネジ315aが回転された場合に、ボールナット316aは、矢印X1方向に移動されるように構成されている。その一方で、モータ軸318aが所定の方向とは反対方向に回転されるのに伴って、ギヤ部314aを介してボールネジ315aが回転された場合に、ボールナット316aは、矢印X2方向に移動されるように構成されている。
また、伝達プレート317aは、ボールナット316aと接続されている。また、伝達プレート317aは、スイベル軸313aと係合されている。これにより、伝達プレート317aは、ボールナット316aが矢印X1方向および矢印X2方向に移動されるのに伴って、スイベル軸313aを中心に回動することが可能となる。その結果、スイベル軸313aを回動させることが可能となる。なお、スイベル部31bの内部の構成も、スイベル部31aと略同様の構成である。
また、船外機本体30aおよび30bは、図10に示すように、非滑走状態の時にトー角がトーアウト状態になるように回動された場合に、トー角0°(図7の状態)の場合と比べて、船体加速度が向上される。また、船外機本体30aおよび30bは、滑走状態の時にトー角がトーアウト状態(図8の状態)からトー角0°(図7の状態)に回動された場合に、トー角がトーアウト状態(図7の状態)と比べて、船体加速度および船体速度の両方を向上される。また、油圧駆動部321aおよび321b(図5参照)は、図11に示すように、船外機本体30aおよび30bがトリム角インの状態(図11の状態)になるように駆動可能に構成されている。
次に、図1、図2、図7〜図9、図11および図12を参照して、制御部7がトー角制御(およびトリム角制御)を行う際の処理フローについて説明する。
第1実施形態では、図2に示すように、制御部7は、センサ類6により検出された走行状態に基づいて船体2(図1参照)が滑走状態で走行しているかまたは非滑走状態で走行しているかを判定する。そして、制御部7は、船体2(図1参照)が非滑走状態で走行していると判定した場合に、船外機3aのプロペラ33aおよび船外機3bのプロペラ33bが互いに向かい合うように船外機本体30aおよび30bを回動させるようにモータ312aおよび312bをそれぞれ駆動制御する(トーアウトの状態(図8参照))。
また、第1実施形態では、制御部7は、船体2(図1参照)が非滑走状態から滑走状態に切り替わったと判断した場合に、船外機3aのプロペラ33aおよび船外機3bのプロペラ33bが略同方向に指向するようにモータ312aおよび312bをそれぞれ駆動制御する(トー角0°の状態(図7参照))。以下、詳細を説明する。
まず、図12のステップS1において、図2に示すように、操舵角センサ6aにより操舵部4の回転角が検知されるとともに、検知された回転角に基づいて、制御部7により、船外機本体30aおよび30bを回動させる基本舵角θ(図7参照)が演算される。そして、ステップS2において、制御部7により、トー角制御マップA(図9参照)を用いて、ピッチ角センサ6dにより検出されたピッチ角とエンジン回転数検出部303aおよび303bにより検出されたエンジン回転数とに基づく補正舵角が取得される。これにより、第1実施形態では、制御部7により、ピッチ角センサ6dにより検出されたピッチ角とエンジン回転数検出部303aおよび303bにより検出されたエンジン回転数とに基づいて滑走状態または非滑走状態かが判定される。
具体的には、制御部7(図2参照)には、図9に示すように、ピッチ角センサ6d(図2参照)により検出可能なピッチ角とエンジン回転数検出部303aおよび303b(図2参照)により検出可能なエンジン回転数とにより表わされたトー角制御マップAが格納されている。トー角制御マップAは、検出されたピッチ角とエンジン回転数とから船外機本体30aおよび30b(図2参照)を左右方向の所定の角度(トー角)に回動させる基準が表わされている。そして、制御部7(図2参照)は、たとえば、検出されたピッチ角とエンジン回転数との値が、それぞれ、トー角制御マップAの領域A1などの領域A2以外の値である場合には、非滑走状態であると認識する一方で、領域A2の値である場合には、滑走状態であると認識する。そして、制御部7は、トー角制御マップA上の値に対応する補正舵角(トー角)を取り出す。
次に、ステップS3において、制御部7により、船体2(図1参照)の船体加速度が0(所定の値)よりも大きいか否かが判断される。つまり、第1実施形態では、制御部7は、船体加速度が所定の値(0)以下の場合には、ステップS2においてトー角制御マップAより非滑走状態であると判別されていたとしても、船体2が非滑走状態から滑走状態に切り替わったと判断する。すなわち、ステップS3において、船体2の船体加速度が0(所定の値)以下であると判断された場合には、ステップS4に進み、トー角制御マップA(図9参照)から取り出された補正舵角が約0°に変更され、ステップS5に進む。つまり、船体加速度が約0以下の場合には、船外機本体30aおよび30bを加速重視の姿勢に回動させる必要がないため、補正舵角が約0°に変更することによって、水の抵抗を低減することが可能な状態に船外機本体30aおよび30bを配置させる。その一方、ステップS3において、船体2の船体加速度が0よりも大きいと判断された場合には、非滑走状態から滑走状態に切り替わっていないと判断して、ステップS5に進む。ステップS5においては、基本舵角θ(図7参照)とステップS2で取得して補正舵角とに基づいて船外機本体30aおよび30bの回動角度の補正演算が行われる。
たとえば、検出されたピッチ角とエンジン回転数との値が、それぞれ、トー角制御マップAの領域A1に存在する場合には、制御部7(図2参照)は、図7および図8に示すように、船外機本体30aおよび30bをトーアウト状態のトー角の4°に回動させるように補正演算を行う。具体的には、制御部7(図2参照)は、船外機本体30aを基本舵角θからRa1方向に2°補正演算を行うとともに、船外機本体30bを基本舵角θからRb1方向に2°補正演算を行う。その一方で、検出されたピッチ角とエンジン回転数との値が、それぞれ、トー角制御マップA(図9参照)の領域A1から領域A2に移動した場合には、制御部7(図2参照)は、船外機本体30aおよび30bをトーアウト状態のトー角4°からトー角0°に戻すための補正演算を行う。具体的には、制御部7(図2参照)は、船外機本体30aを補正舵角から基本舵角θに戻すようにRa2方向に2°補正演算を行うとともに、船外機本体30bを補正舵角から補正舵角から基本舵角θに戻すようにRb2方向に2°補正演算を行う。
そして、ステップS6において、ステップS5の補正演算の結果を駆動ドライバ311aおよび311bに送信することにより、モータ312aおよび312bが駆動される。この場合、補正舵角が0°でない場合には、船外機3aおよび3bがトーアウトの状態になるようにモータ312aおよび312bが駆動されるとともに、船外機本体30aおよび30bがトリム角インの状態(図11の状態)になるように油圧駆動部321aおよび321bが駆動され、トー角制御(およびトリム角制御)の処理は終了される。上記処理は、エンジン301aおよび301bの始動後、制御部7により、約50msec毎に行われる。
第1実施形態では、上記のように、センサ類6のピッチ角センサ6dとエンジン回転数検出部303aおよび303bとにより検出された走行状態(ピッチ角およびエンジン回転数)に基づいて船体2が滑走状態で走行しているかまたは非滑走状態で走行しているかを判定するように構成されているとともに、船体2が非滑走状態で走行していると判定した場合に、プロペラ33aおよび33bが近づく方向に船外機本体30aおよび30bを所定の角度(たとえば、約2°ずつ)分左右方向(Ra1方向、Ra2方向、および、Rb1方向、Rb2方向)に回動させるように、モータ312aおよび312bをそれぞれ駆動制御する制御部7を設ける。これにより、制御部7により、船体2が非滑走状態で走行していることを自動的に判別して、プロペラ33aおよび33bを近づけて船外機本体30aおよび30bのトー角がトーアウトの状態になるように自動的に船外機本体30aおよび30bを所定の角度分左右方向(Ra1方向、Ra2方向、および、Rb1方向、Rb2方向)に回動させることができる。その結果、船体2の非滑走状態時における加速性能を向上させることができるので、ユーザの操作を簡略化しながら走行条件に適した走行性能を得ることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御部7を、船体2が非滑走状態から滑走状態に切り替わったと判断した場合に、プロペラ33aおよび33bが略同方向に指向するように、モータ312aおよび312bをそれぞれ駆動制御するように構成する。これにより、トー角がトーアウト状態に制御される非滑走状態から滑走状態に切り替わった際には、船外機本体30aおよび30bを走行方向に略平行(トー角が略0°)な状態にすることができるので、非滑走状態時の加速性能を向上しながら、滑走状態時にプロペラ33aおよび33bと、船外機本体30aおよび30bとが水から受ける抵抗を低減することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御部7を、ピッチ角センサ6dにより検出可能なピッチ角とエンジン回転数検出部303aおよび303bにより検出可能なエンジン回転数とにより表わされたトー角制御マップAに基づいて、モータ312aおよび312bをそれぞれ駆動制御するように構成することによって、トー角制御マップAに基づいて、容易に、制御部7に滑走状態および非滑走状態のいずれかを判定させることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御部7を、エンジン回転数検出部303aおよび303bにより検出されたエンジン回転数、および、ピッチ角センサ6dにより検出された前後方向の傾き(ピッチ角α)に基づいて滑走状態であるか否かを判定するように構成する。これにより、エンジン回転数検出部303aおよび303bにより、容易に、滑走状態時における船体2の状態の指標のうちの1つであるエンジン回転数が高回転数である状態を検出することができるので、エンジン回転数検出部303aおよび303bにより検出されたエンジン回転数に基づいて、容易に、滑走状態かまたは非滑走状態かを判定することができる。また、ピッチ角センサ6dにより、容易に、滑走状態時における船体2の状態の指標のうちの1つである船体2の傾斜角が略一定である状態を検出することができるので、ピッチ角センサ6dにより検出された傾斜角に基づいて、容易に、滑走状態かまたは非滑走状態かを判定することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御部7を、加速度センサ部6cにより検出された船体2の加速度が所定の値(0)よりも小さい場合に、船体2が非滑走状態から滑走状態に切り替わったと判定するように構成することによって、加速度センサ部6cにより検出された加速度に基づいて、容易に、非滑走状態から滑走状態に切り替わったことを判定することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御部7を、船体2が非滑走状態で走行していると判定した場合に、操舵信号に基づいた船外機本体30aおよび30bの基本舵角θから左右方向の補正舵角分補正して、船外機本体30aおよび30bを左右方向(Ra1方向、Ra2方向、および、Rb1方向、Rb2方向)に回動させるように構成する。これにより、船体2が左右方向(Ra1方向、Ra2方向、および、Rb1方向、Rb2方向)のいずれかに操舵されている場合にも、トーアウトの状態にすることができるので、船体2の非滑走状態時における加速性能を向上させることができる。
(第2実施形態)
次に、図13および図14を参照して、本発明の第2実施形態による船外機の姿勢制御システム11の構成について説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、ピッチ角センサ6dにより検出可能なピッチ角と船速センサ部6bにより検出可能な船速とにより表わされたトー角制御マップBを用いて、船体が滑走状態か否かを判定する例について説明する。
図13〜図15を参照して、トー角制御(およびトリム角制御)を行う際の制御部71の処理フロー沿って説明する。
第2実施形態では、図13に示すように、制御部71は、ピッチ角センサ6dにより検出されたピッチ角と船速センサ部6bにより検出された船速(速度)とに基づいて滑走状態であるかまたは非滑走状態であるかを判定するように構成されている。以下、詳細を説明する。
まず、図15のステップS11において、図13に示すように、操舵角センサ6aにより操舵部4の回転角が検知されるとともに、検知された回転角に基づいて、制御部71により、船外機本体30aおよび30bを回動させる基本舵角が演算される。そして、ステップS12において、制御部71により、トー角制御マップB(図14参照)を用いて、ピッチ角センサ6dにより検出されたピッチ角と船速センサ部6bにより検出された船速とに基づく補正舵角が取得される。これにより、第2実施形態では、制御部71により、ピッチ角センサ6dにより検出されたピッチ角と船速センサ部6bにより検出された船速とに基づいて滑走状態または非滑走状態かが判定される。
具体的には、制御部71(図13参照)には、図14に示すように、ピッチ角センサ6d(図13参照)により検出可能なピッチ角と船速センサ部6b(図13参照)により検出可能な船速とにより表わされたトー角制御マップBが格納されている。トー角制御マップBは、検出されたピッチ角と船速とから船外機本体30aおよび30b(図13参照)を左右方向の所定の角度(トー角)に回動させる基準が表わされている。そして、制御部71(図13参照)は、たとえば、検出されたピッチ角と船速との値が、それぞれ、トー角制御マップBの領域B1などの領域B2以外の値である場合には、非滑走状態であると認識する一方で、領域B2の値である場合には、滑走状態であると認識する。そして、制御部71は、トー角制御マップB上の値に対応する補正舵角(トー角)を取り出す。
次に、ステップS13において、基本舵角と補正舵角とに基づいて船外機本体30aおよび30bの回動角度の補正演算が行われる。そして、ステップS14において、ステップS13の補正演算の結果を駆動ドライバ311aおよび311bに送信することにより、モータ312aおよび312bが駆動される。この場合、補正舵角が0°でない場合には、船外機本体30aおよび30bがトーアウトの状態になるようにモータ312aおよび312bが駆動されるとともに、船外機本体30aおよび30bがトリム角インの状態になるように油圧駆動部321aおよび321bが駆動され、トー角制御(およびトリム角制御)の処理は終了される。上記処理は、エンジン301aおよび301bの始動後、制御部71により、約50msec毎に行われる。
第2実施形態では、上記のように、制御部71を、船速センサ部6bにより検出された船速(速度)、および、ピッチ角センサ6dにより検出された前後方向の傾き(ピッチ角)に基づいて滑走状態であるか否かを判定するように構成する。これにより、船速センサ部6bにより、容易に、滑走状態時における船体2の状態の指標のうちの1つである船速が大きい状態を検出することができるので、船速センサ部6bにより検出された船速に基づいて、容易に、滑走状態かまたは非滑走状態かを判定することができる。また、ピッチ角センサ6dにより、容易に、滑走状態時における船体2の状態の指標のうちの1つである船体2の傾斜角が略一定である状態を検出することができるので、ピッチ角センサ6dにより検出された傾斜角に基づいて、容易に、滑走状態かまたは非滑走状態かを判定することができる。
(第3実施形態)
次に、図16を参照して、本発明の第3実施形態による船外機の姿勢制御システム12の構成について説明する。この第3実施形態では、上記第1および第2実施形態とは異なり、トー角制御マップを用いずに、船体が滑走状態か非滑走状態かを判定するとともにトー角制御(およびトリム角制御)を行う例について説明する。
図16および図17を参照して、制御部72がトー角制御(およびトリム角制御)を行う際の処理フローに沿って説明する。
第3実施形態では、図16に示すように、制御部72は、エンジン回転数検出部303aおよび303bにより検出されたエンジン回転数と、エンジン回転数を時間で微分した微分値(エンジン回転数の変化率)と、ピッチ角センサ6dにより検出されたピッチ角を時間で微分した微分値(ピッチ角の変化率)とに基づいて滑走状態であるかまたは非滑走状態であるかを判定する。
まず、図17のステップS31において、図17に示すように、操舵角センサ6aにより操舵部4の回転角が検知されるとともに、検知された回転角に基づいて、制御部72により、船外機本体30aおよび30bを回動させる基本舵角が演算される。その後、ステップS32において、制御部7により、フラグが0であるか否かが判断される。このフラグは、制御部72が後述するステップS34およびステップS38において滑走状態か否かを判定する処理を行った際に、1または0で成立させる。フラグが0の場合には、制御部72は、非滑走状態であると判断しているとともに、フラグが1の場合には、制御部72は、滑走状態であると判断している。
そして、ステップS32において、フラグが0(非滑走状態)であると判断された場合には、ステップS33に進み、約5°の補正舵角が取得され、ステップS34に進む。その後、ステップS34において、制御部72により、エンジン回転数が3000rpmよりも大きく、かつ、エンジン回転数の変化率が0よりも大きく、かつ、ピッチ角の変化率が0よりも小さいか否かが判断される。制御部72は、エンジン回転数が3000rpmよりも大きい場合で、かつ、エンジン回転数の変化率が0よりも大きい場合で、かつ、ピッチ角の変化率が0よりも小さい場合に、船体が滑走状態であると判定する。そして、ステップS34において、条件が満たされていないと判断された場合には、ステップS35に進み、基本舵角と補正舵角(約5°)とに基づいて船外機本体30aおよび30bの回動角度の補正演算が行われる。また、ステップS34において、条件が満たされていると判断された場合には、ステップS36に進み、フラグが1に変更される。つまり、制御部72は、滑走状態であると判断して、その判断を次回の処理に持ち越すためにフラグを1に変更させる。その後、ステップS35に進み、基本舵角と補正舵角(約5°)とに基づいて船外機本体30aおよび30bの回動角度の補正演算が行われる。
また、ステップS32において、フラグが1(滑走状態)であると判断された場合には、ステップS37に進み、約0°の補正舵角が取得され、ステップS38に進む。その後、ステップS38において、制御部72により、エンジン回転数が2000rpmよりも小さいか否かが判断される。つまり、ユーザがエンジンの回転数を小さくして、滑走状態から脱しているか否かが判断される。そして、ステップS38において、条件が満たされていないと判断された場合には、ステップS35に進み、基本舵角と補正舵角(約0°)とに基づいて船外機本体30aおよび30bの回動角度の補正演算が行われる。また、ステップS38において、条件が満たされていると判断された場合には、ステップS39に進み、フラグが0に変更される。つまり、制御部72は、非滑走状態であると判断して、その判断を次回の処理に持ち越すためにフラグを0に変更させる。その後、ステップS35に進み、基本舵角と補正舵角(約0°)とに基づいて船外機本体30aおよび30bの回動角度の補正演算が行われる。
その後、ステップS40において、ステップS34の補正演算の結果を駆動ドライバ311aおよび311bに送信することにより、モータ312aおよび312bが駆動される。この場合、補正舵角が5°の場合には、船外機本体30aおよび30bがトーアウトの状態になるようにモータ312aおよび312bが駆動されるとともに、船外機本体30aおよび30bがトリム角インの状態になるように油圧駆動部321aおよび321bが駆動され、トー角制御(およびトリム角制御)の処理は終了される。上記処理は、エンジン301aおよび301bの始動後、制御部72により、約50msec毎に行われる。また、エンジン301aおよび301bの始動時のフラグは、0にリセットされている。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、制御部が滑走状態か否かを判定する際のパラメータを取得するセンサ類の一例として、船速センサ部、加速度センサ部、ピッチ角センサおよびエンジン回転数検出部を適用した例について示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、エンジンのスロットル開度を検出するスロットル開度センサや、アクセル開度センサなど、その他のセンサ類を適用してもよい。そして、たとえば、スロットル開度やアクセル開度などのパラメータに基づいて、制御部に滑走状態か否かを判定させるようにしてもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、本発明を、船外機を2機設置した船舶に適用した例について示したが、本発明はこれに限らず、本発明を、船外機を3機以上設置した船舶に適用してもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、制御部が非滑走状態と判定した場合に、制御部を、油圧駆動部を駆動させるとともに、船外機本体をトリム角インの状態に回動するように構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、油圧駆動部を駆動させないように構成してもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、滑走状態か否かを船体2に設けられた制御部により判定させた例について示したが、本発明はこれに限らず、滑走状態か否かを船外機のECUにより判定させてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、それぞれ、ピッチ角とエンジン回転数との2つのパラメータにより表わされたトー角制御マップA、および、ピッチ角と船速との2つのパラメータにより表わされたトー角制御マップBを適用して、船体が滑走状態であるかまたは非滑走状態であるかを判定するとともにトー角を制御した例について示したが、本発明はこれに限らず、ピッチ角、エンジン回転数および船速の少なくともいずれか1つのパラメータにより表わされたトー角制御マップを適用して、船体が滑走状態であるか否かを判定するようにしてもよい。
たとえば、図18に示す第1変形例のように、ピッチ角センサに検出されるピッチ角のみにより表わされたトー角制御マップCを適用して、制御部により滑走状態か否かを判定するようにしてもよい。また、図19に示す第2変形例のように、エンジン回転数検出部に検出されるエンジン回転数のみにより表わされたトー角制御マップDを適用して、制御部により滑走状態か否かを判定するようにしてもよい。また、図20に示す第3変形例のように、船速センサ部に検出される船速のみにより表わされたトー角制御マップEを適用して、制御部により滑走状態か否かを判定するようにしてもよい。
また、ピッチ角、エンジン回転数および船速の3つのパラメータにより表わされたトー角制御マップを適用して、制御部により滑走状態か否かを判定するようにしてもよい。
2 船体
3a、3b 船外機
4 操舵部
6 センサ類(検出手段)
6a 操舵角センサ(操舵部)
6b 船速センサ部(船体速度検出手段)
6c 加速度センサ部(加速度検出手段)
6d ピッチ角センサ(傾斜角検出手段)
7、71、72 制御部
10、11、12 船外機の姿勢制御システム
30a、30b 船外機本体
33a、33b プロペラ
301a、301b エンジン
303a、303b エンジン回転数検出部(エンジン回転数検出手段)
312a、312b モータ(第1駆動源)
321a、321b 油圧駆動部(第2駆動源)
A、B、C、D、E トー角制御マップ

Claims (9)

  1. 船体に対して左右方向に回動可能な複数の船外機本体と、
    前記複数の船外機本体にそれぞれ設けられたプロペラと、
    前記複数の船外機本体を左右方向に回動させるための駆動力を発生させる複数の第1駆動源と、
    前記船体の走行状態を検出する検出手段と、
    前記検出手段により検出された走行状態に基づいて前記船体が滑走状態で走行しているかまたは非滑走状態で走行しているかを判定するとともに、前記船体が非滑走状態で走行していると判定した場合に、前記複数のプロペラが近づく方向に前記複数の船外機本体を所定の角度分左右方向に回動させるように、前記複数の第1駆動源をそれぞれ駆動制御する制御部とを備える、船外機の姿勢制御システム。
  2. 前記制御部は、前記船体が非滑走状態から滑走状態に切り替わったと判断した場合に、前記複数のプロペラが略同方向に指向するように、前記複数の第1駆動源をそれぞれ駆動制御するように構成されている、請求項1に記載の船外機の姿勢制御システム。
  3. 前記制御部は、前記検出手段により検出可能な前記船体の走行状態の指標となる複数のパラメータを用いて前記複数の船外機本体をそれぞれ左右方向の所定の角度に回動させる基準が表わされたトー角制御マップに基づいて、前記第1駆動源をそれぞれ駆動制御するように構成されている、請求項1または2に記載の船外機の姿勢制御システム。
  4. 前記検出手段は、前記船体の前後方向の傾きを検出する傾斜角検出手段を含み、
    前記制御部は、少なくとも前記傾斜角検出手段により検出された前後方向の傾きに基づいて滑走状態であるかまたは非滑走状態であるかを判定するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の船外機の姿勢制御システム。
  5. 前記複数の船外機本体の内部にそれぞれ設けられたエンジンをさらに備え、
    前記検出手段は、前記エンジンの回転数を検知するエンジン回転数検出手段をさらに含み、
    前記制御部は、前記エンジン回転数検出手段により検出された回転数、および、前記傾斜角検出手段により検出された前後方向の傾きの少なくとも一方に基づいて滑走状態であるかまたは非滑走状態であるかを判定するように構成されている、請求項4に記載の船外機の姿勢制御システム。
  6. 前記検出手段は、前記船体の走行速度を検出する船体速度検出手段をさらに含み、
    前記制御部は、前記船体速度検出手段により検出された速度、および、前記傾斜角検出手段により検出された前後方向の傾きの少なくとも一方に基づいて滑走状態であるかまたは非滑走状態であるかを判定するように構成されている、請求項4に記載の船外機の姿勢制御システム。
  7. 前記検出手段は、前記船体の加速度を検出する加速度検出手段を含み、
    前記制御部は、前記加速度検出手段により検出された前記船体の加速度が所定の値以下の場合に、前記船体が非滑走状態から滑走状態に切り替わったと判定するように構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の船外機の姿勢制御システム。
  8. 前記制御部に接続され、ユーザの操作に基づいて前記船外機本体を左右方向に回動させる操舵信号を前記制御部に送信することにより前記船体を操舵可能な操舵部をさらに備え、
    前記制御部は、前記船体が非滑走状態で走行していると判定した場合に、前記操舵信号に基づいた前記船外機本体の左右方向の回動角度を左右方向の所定の角度分補正して、前記船外機本体を左右方向に回動させるように構成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の船外機の姿勢制御システム。
  9. 前記複数の船外機本体を上下方向に回動させるための駆動力を発生させる複数の第2駆動源をさらに備え、
    前記制御部は、前記船体が非滑走状態で走行していると判定した場合に、前記複数の船外機本体が前方下側に向かって傾斜する所定の角度に回動されるように前記第2駆動源を駆動制御するように構成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の船外機の姿勢制御システム。
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