JP2010172155A - 制御装置、制御方法、及び、給電装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】直流電圧レギュレータが故障した場合であっても、適切に退避走行ができる制御装置、制御方法、及び、給電装置を提供する。
【解決手段】燃料電池10と蓄電装置40に接続された直流電圧レギュレータ50がモータ70を駆動するインバータ60に並列接続された給電装置2に対して、燃料電池10の出力電圧と直流電圧レギュレータ50の出力電圧との差が許容範囲に入るように制御する発電制御処理と、直流電圧レギュレータ50の故障を検知する故障検知処理と、故障検知処理で故障が検知されると、バイパス回路9に備えたリレー90を導通させるフェールセーフ処理と、故障検知処理で故障が検知されると、燃料電池10と蓄電装置40の出力電圧との差が許容範囲に入るように電圧調整するフェールセーフ発電処理とを実行する制御部80と、故障検知処理で検知された故障情報を記憶する記憶部82とを備える。
【選択図】図2
【解決手段】燃料電池10と蓄電装置40に接続された直流電圧レギュレータ50がモータ70を駆動するインバータ60に並列接続された給電装置2に対して、燃料電池10の出力電圧と直流電圧レギュレータ50の出力電圧との差が許容範囲に入るように制御する発電制御処理と、直流電圧レギュレータ50の故障を検知する故障検知処理と、故障検知処理で故障が検知されると、バイパス回路9に備えたリレー90を導通させるフェールセーフ処理と、故障検知処理で故障が検知されると、燃料電池10と蓄電装置40の出力電圧との差が許容範囲に入るように電圧調整するフェールセーフ発電処理とを実行する制御部80と、故障検知処理で検知された故障情報を記憶する記憶部82とを備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、燃料ガスと反応ガスの電気化学反応で発電する燃料電池からの発電電力でモータを駆動して車両を走行させる制御装置に関する。
図1に示すように、燃料電池10が搭載され、当該燃料電池10による発電電力で走行用のモータ70を駆動する燃料電池車両1には、燃料電池10から負荷としてのインバータ60への給電線20に、直流電圧レギュレータとしてのDC−DCコンバータ50を介して蓄電装置40が並列に接続された給電装置2が搭載されている。尚、図中、符合11は燃料電池10方の給電リレーを示し、符合30はシステムメインリレーを示す。
そして、蓄電装置40の出力電圧VbをDC−DCコンバータ30により所定電圧Vcに昇圧するとともに、燃料電池10に供給する燃料ガス及び反応ガスの供給量を調整して、燃料電池10による発電電圧VfcをDC−DCコンバータ50の出力電圧Vcと略同等電圧になるように制御する制御部80を備えている。
制御部80は、運転者のアクセルペダルの操作量に基づいて、必要な走行トルクを算出し、算出した走行トルクに対応する電力をモータ70に供給するべく、DC−DCコンバータ30の出力電圧Vcを設定するとともに、燃料電池10による発電電圧VfcをDC−DCコンバータ50の出力電圧Vcと同等または少し高い電圧に調整する、所謂、等価電圧制御を実行する。
燃料電池10による発電電圧VfcがDC−DCコンバータ50の出力電圧Vcよりも低くなると、燃料電池10からモータ70に給電できないためである。
このような制御によって、通常の安定走行時には、燃料電池10からインバータ60に給電され、急激な加速が必要な場合には、燃料電池10から供給される電力に加えて蓄電装置40からの電力が供給されるようになる。
また、制御部80は、モータ70の回生制動時には、インバータ60から供給される回生電力をDC−DCコンバータ50を介して蓄電装置40に充電制御する。このとき、制御部80は、インバータ60の出力電圧を充電に必要な適正電圧に降圧するようにDC−DCコンバータ50を制御する。
しかし、DC−DCコンバータ50が故障すると、蓄電装置40からの電力の供給ができなくなるばかりでなく、DC−DCコンバータ50の出力電圧が定まらないために等価電圧制御が適正に行なわれなくなる。
その結果、DC−DCコンバータ50の出力電圧よりも燃料電池10の出力電圧が相対的に高くなると、燃料電池10がオーバーフローして出力電圧が低下し、DC−DCコンバータ50の出力電圧よりも燃料電池10の出力電圧が相対的に低くなると、燃料電池10の電力がモータ70に供給されず、走行不能になるという問題があった。
特許文献1には、DC−DCコンバータが故障した場合でも、燃料電池に供給されるガスの不足状態を回避し、燃料電池の劣化を防止するために、燃料電池と蓄電装置が負荷に対して並列に接続された燃料電池の電気システムにおいて、燃料電池と蓄電装置の並列接続部よりも蓄電装置側に設けられたDC−DCコンバータと、DC−DCコンバータの故障を検出する故障検出手段と、故障検出手段によりDC−DCコンバータの故障が検出された場合、燃料電池から出力される電力の応答性を制限する応答制限手段と、を有する燃料電池の電気システムが提案されている。
しかし、上述の従来技術であっても、DC−DCコンバータの出力電圧よりも燃料電池の出力電圧が相対的に低くなると、燃料電池の電力がモータに供給されず、最寄りの修理工場までの退避走行が不可能になるという問題が解決されるものではない。
本発明の目的は、上述の問題点に鑑み、直流電圧レギュレータが故障した場合であっても、適切に退避走行ができる制御装置、制御方法、及び、給電装置を提供する点にある。
上述の目的を達成するため、本発明による制御装置の特徴構成は、給電装置を制御する制御装置であって、給電装置は、燃料電池と、蓄電装置に接続された直流電圧レギュレータとが、モータを駆動するインバータに並列に接続され、蓄電装置から直流電圧レギュレータを介さずに給電線に給電するバイパス回路に備えたリレーを備えるものであり、給電装置における、燃料電池の出力電圧と直流電圧レギュレータの出力電圧との差分が所定の許容範囲に入るように制御する発電制御処理と、直流電圧レギュレータの故障を検知する故障検知処理と、故障検知処理で直流電圧レギュレータの故障が検知された場合に、リレーを導通させるフェールセーフ処理と、故障検知処理で直流電圧レギュレータの故障が検知された場合に、燃料電池の出力電圧と蓄電装置の出力電圧との差分が所定の許容範囲に入るように電圧を調整するフェールセーフ発電処理と、を実行する制御部と、制御部が各処理を実行する際に必要な情報を記憶する記憶部と、を備えている点にある。
上述の構成によれば、直流電圧レギュレータの故障が検知された場合に、蓄電装置から直流電圧レギュレータを介さずに給電線に給電するバイパス回路に備えたリレーを導通させ、また、フェールセーフ発電処理により、電圧を調整することにより、蓄電装置の出力電圧に対して燃料電池の出力電圧を略等しくなるように制御する等価電圧制御が可能になり、適切に退避走行が行なえる環境を実現できるようになる。
さらに、本発明による制御装置は、燃料電池と、蓄電装置に接続された直流電圧レギュレータとが、モータを駆動するインバータに並列に接続された給電装置に対して、燃料電池の出力電圧が直流電圧レギュレータの出力電圧と略等しくなるように制御する発電制御処理と、直流電圧レギュレータの故障を検知する故障検知処理と、故障検知処理で直流電圧レギュレータの故障が検知された場合に、燃料電池の出力電圧と蓄電装置の出力電圧との差分が所定の許容範囲に入るように電圧を調整する電圧調整処理と、電圧調整処理で燃料電池の出力電圧と蓄電装置の出力電圧との差分が所定の許容範囲に入ると、蓄電装置から直流電圧レギュレータを介さずに給電線に給電するバイパス回路に備えたリレーを導通させるフェールセーフ処理と、を実行する制御部と、制御部が各処理を実行する際に必要な情報を記憶する記憶部と、を備えていることが好ましい。
リレーを導通させる際に、燃料電池の出力電圧と蓄電装置の出力電圧の電圧差が大きければ、大電流がリレーに通流してリレーの接点が溶着する虞があるが、電圧調整処理により、電圧差を減少させた後にリレーを導通させることにより、このような不都合も解消されるようになる。
以上説明した通り、本発明によれば、直流電圧レギュレータが故障した場合であっても、適切に退避走行ができる制御装置を提供することができるようになった。
以下、本発明による制御装置、制御方法、及び、給電装置について説明する。
図2に示すように、燃料電池10が搭載された車両1には、燃料電池10と、蓄電装置40に接続された直流電圧レギュレータとしてのDC−DCコンバータ50とが、三相交流同期回転機で構成されるモータ70を駆動するインバータ60に並列に接続された給電装置2と、給電装置2を制御する制御装置8が搭載されている。
DC−DCコンバータ50からインバータ60への給電線20に、リレー11を介して燃料電池10が接続され、蓄電装置40とDC−DCコンバータ50の間にシステムメインリレー30が介装されている。
また、蓄電装置40からDC−DCコンバータ50を介さずに給電線20に給電するリレー90を備えたバイパス回路9が設けられている。尚、システムメインリレー30及びリレー90は保護抵抗が内蔵されている。
図2及び図3に示すように、DC−DCコンバータ50は、電力スイッチング素子である二つのnpn型トランジスタが直列に接続された入力側スイッチ回路51と、同じく電力スイッチング素子である二つのnpn型トランジスタが直列に接続された出力側スイッチ回路52と、各スイッチ回路51,52のトランジスタの接続点に介装されたリアクトル53を備えている。尚、各トランジスタは、保護用のダイオードが逆並列に接続されている。
インバータ60は、互いに並列に接続されたU相アーム、V相アーム、及びW相アームを備えている。各相アームは、直列に接続された2つのnpn型トランジスタを含み、各npn型トランジスタにはダイオードが逆並列に接続されている。各相アームを構成する2つのnpn型トランジスタの接続ノードが、モータ70のU相コイル、V相コイル、及びW相コイルの端部に夫々接続されている。
npn型トランジスタとして、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を好適に用いることができる。また、npn型トランジスタに代えて、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)等の電力スイッチング素子を用いることも可能である。
インバータ60は、DC−DCコンバータ50または燃料電池10から供給される直流電力を交流電力に変換して、モータ70へ供給し、或は、回生制動されたモータ70で発電された交流電力を直流電力に変換してDC−DCコンバータ50へ供給する。
燃料電池10は、燃料ガスとしての水素が供給されるアノード電極と、反応ガスとしての空気が供給されるカソード電極と、両電極に挟まれた高分子電解質膜を備えた膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly)が、燃料ガスをアノード電極に誘導するアノードセパレータと、酸化ガスをカソード電極に誘導するカソードセパレータを介して複数積層されている。
燃料ガスタンク400からインジェクタ500を介してアノードセパレータに供給された水素ガスが、高分子電解質膜の電極に設けた触媒作用により水素イオンと電子に分解され、高分子電解質膜を移動した水素イオンが、カソードセパレータに供給された酸素と反応して水が生成され、アノード電極で発生した電子が外部回路であるインバータ60に供給される。
アノードセパレータに供給された水素ガスのうち、未反応の水素ガスが循環経路に配置されたポンプ600を介して再度アノードセパレータに供給されるように構成され、エアコンプレッサ700を介して吸引された空気がカソードセパレータに供給されるように構成されている。
蓄電装置40とシステムメインリレー30間の給電線から分岐した給電線に、上述したインジェクタ500、ポンプ600、エアコンプレッサ700が夫々接続されている。
制御装置8には、制御部としてのCPU80と、CPU80で実行される制御プログラムや制御データが格納されたROM81と、CPU80のワーキングエリアとして使用されるRAM82と、バッファやドライバ等の入出力回路等を備えている。
制御装置8にはイグニッションスイッチ、アクセルペダルの操作量を検知するポテンショメータ、蓄電装置40の出力電圧Vbを検知する電圧センサと、DC−DCコンバータ50の出力電圧Vcを検知する電圧センサ等のスイッチやセンサ信号が入力され、制御装置8からシステムメインリレー30、バイパス回路9のリレー90、DC−DCコンバータ50、インバータ60等への制御信号が出力される。
制御装置8は、運転者によるイグニッションスイッチIGSWのオン操作に対応して、低圧の蓄電装置から制御用の電力を給電するための電源リレーをオンするとともに、スタータスイッチSTSWのオン操作に対して、走行制御を開始し、運転者によるアクセルペダルの操作量に基づいて、所定の演算式により車両の走行トルクを算出し、算出したトルクでモータ70が駆動されるように、DC−DCコンバータ50及びインバータ60を制御する。
制御装置8は、蓄電装置40の出力電圧VbとDC−DCコンバータ50の出力電圧Vcを入力して、DC−DCコンバータ50の出力電圧Vcが目標電圧となるように、DC−DCコンバータ50にPWM信号を出力する。制御装置8から出力されるPWM信号に基づいて、各電力スイッチング素子が所定周波数で制御されるのである。
制御装置8は、レゾルバを介して検知されるロータの回転位置と、各相電流に基づいて、インバータ60を介してd軸電流及びq軸電流、または、電流ベクトルの振幅と位相をフィードバック制御し、モータ70を目標トルク及び目標速度となるように最適な効率で駆動制御する。
さらに、制御装置8には燃料電池10の出力電圧Vfcを検知する電圧センサ等のセンサ信号が入力され、出力電圧Vfcが所定の電圧値となるように、制御装置8からリレー11、インジェクタ500、ポンプ600、エアコンプレッサ700等に制御信号が出力される。
尚、スイッチやセンサ信号等の制御装置8へ入力される情報や、制御信号等の制御装置8から出力される情報は、制御装置8が車両の走行制御、並びに、後述する発電制御処理、故障検知処理、フェールセーフ処理、及び電圧調整処理等の各処理を実行する際に必要な情報としてRAM82に記憶される。
以下、DC−DCコンバータ50が正常に機能している場合の、制御装置8による車両の走行制御を、図4に示すフローチャート、及び、図5に示すタイミングチャートに基づいて説明する。
図5に示す時点T1でイグニッションスイッチが投入されると(SA1)、制御装置8は、低圧の蓄電装置から車両を制御するブレーキ制御装置等の他の制御装置に制御用の電力を供給するために電源リレーを閉じ、時点T2でスタータスイッチが操作されると(SA2)、時点T3でシステムメインリレーを閉じて(SA3)、DC−DCコンバータ50にPWM信号を出力し、その出力電圧を所定電圧に昇圧する(SA4、時点T4から時点T5)。本実施形態では、蓄電装置40の出力電圧Vbが300Vに設定され、DC−DCコンバータ50の出力電圧Vcが最大400Vに昇圧される。また、燃料電池10の開放端子電圧が最大で400Vに設定されている。
DC−DCコンバータ50が所定電圧に昇圧されると、インジェクタ500、ポンプ600、エアコンプレッサ700を制御して、燃料電池10に燃料ガス及び反応ガスを供給して、燃料電池10の出力電圧がDC−DCコンバータ50の出力電圧と略等しくなるように制御する(SA5)。つまり、燃料電池10の出力電圧VfcがDC−DCコンバータ50の出力電圧Vcと略等しくなるように制御する発電制御処理が実行される。
制御装置8は、燃料電池10の出力電圧VfcがDC−DCコンバータ50の出力電圧Vcと略等しい400Vまたは僅かに大きい電圧になると(SA6)、リレー11を閉じて給電線20に電力を供給する(SA7、時刻T5)。燃料電池10の出力電圧Vfcが上昇してからリレー11を閉じるのは、DC−DCコンバータ50から燃料電池10に大電流が流入してリレー11が破損するのを回避するためである。
つまり、ステップSA6では、制御装置8は、出力電圧Vfcと出力電圧Vcとの差分が所定の許容範囲に入ると、リレー11を閉じて給電線20に電力を供給する。ここで、所定の許容範囲は、燃料電池10から給電線20に適正な電力が供給されるような範囲に、適宜設定される。
燃料電池10の出力電圧VfcがDC−DCコンバータ50の出力電圧Vcと略等しい等価電圧制御状態が確認されると、制御装置8は、インバータ60をフィードバック制御して、モータ70を目標トルク及び目標速度で駆動制御する。
つまり、制御装置8は、運転者によるアクセルペダルの操作量をポテンショメータを介して検知し(SA8)、当該操作量に基づいて、所定の演算式により車両の走行トルクを算出し、算出したトルクでモータ70が駆動されるように、DC−DCコンバータ50及びインバータ60を制御する(SA9)。
DC−DCコンバータ50の出力電圧Vcが所定の値に維持されている場合で、大きなトルクが必要なときには、燃料電池10からの電流のみならず蓄電装置40からの電流がインバータ60に供給される。
尚、アクセルペダルが踏込まれ、大きなトルクが必要な場合には、制御装置8は、DC−DCコンバータ50をPWM制御してその出力電圧Vcを最大値まで昇圧するとともに、その値に対応した等価電圧制御を実行し、アクセルペダルの踏込み量が一定の安定走行時には、図5の時点T6以降に示すように、DC−DCコンバータ50をPWM制御して300Vと400Vの間の所定の電圧に制御するとともに、その値に対応した等価電圧制御を燃料電池10に対して実行する。
また、制御装置8は、アクセルペダルが開放され、モータ70による回生制動が要求される場合には、インバータ60を制御してモータ70による交流の発電電圧を直流電圧に変換する。このとき、インバータ60の出力電圧が燃料電池10の出力電圧より高い状態となり、DC−DCコンバータ50により降圧された所定の充電電圧によって蓄電装置40が充電される。
次に、DC−DCコンバータ50に故障が発生した場合の、制御装置8による車両の走行制御を、図6に示すフローチャートに基づいて説明する。
制御装置8は、DC−DCコンバータ50の故障を検知する故障検知処理と、故障検知処理でDC−DCコンバータ50の故障が検知された場合に、燃料電池10の出力電圧Vfcが蓄電装置40の出力電圧Vbと略等しくなるように電圧を調整する電圧調整処理と、電圧調整処理で燃料電池10の出力電圧Vfcが蓄電装置40の出力電圧Vcと略等しくなると、蓄電装置40からDC−DCコンバータ50を介さずに給電線20に給電するバイパス回路9に備えたリレー90を導通させるフェールセーフ処理とを実行し、故障検知処理で検知された故障情報をRAM82に記憶する。RAM82に記憶された故障情報は、CAN等の車載ネットワークを介して故障表示用の制御装置に送信され、運転者の前方に設置された表示パネルに表示される。
以下、詳述する。故障検知処理では、制御装置8は、図3に示すように、DC−DCコンバータ50のリアクトル53の温度を検知する温度センサTSまたはリアクトル53の通電電流を検知する電流センサISを所定時間間隔で監視し、温度センサTSによる検知温度が予め設定された異常判別閾値より高くなるか、或は、電流センサISによる検知電流の周波数がトランジスタのスイッチング周波数と異なる場合に(SB1)、DC−DCコンバータ50が故障していると判定し(SB2)、上述の判定条件を満たしていない場合に正常判定する(SB11)。尚、DC−DCコンバータ50の出力電圧Vcが適正に制御できない場合にDC−DCコンバータ50が故障していると判断することも可能である。また、電流センサISで検知された通電電流や電流センサISによる検知電流の周波数等は、上述した入出力情報と同様に、各処理を実行する際に必要な情報としてRAM82に記憶される。
DC−DCコンバータ50が故障すると、蓄電装置40からの電力の供給ができなくなるばかりでなく、DC−DCコンバータ50の出力電圧が定まらないために等価電圧制御が適正に行なわれなくなる。また、DC−DCコンバータ50の出力電圧よりも燃料電池10の出力電圧が相対的に低くなると、燃料電池の電力がモータに供給されず、最寄りの修理工場までの退避走行が不可能になる。
そこで、制御装置8は、先ずシステムメインリレー30をオフして(SB3)、次に燃料電池10の出力電圧Vfcが蓄電装置40の出力電圧Vbと略等しくなるように、燃料電池10に供給する燃料ガスの供給量または反応ガスの供給量を減少制御することにより、燃料電池10の出力電圧を低下させるべく、インジェクタ500、ポンプ600、エアコンプレッサ700を制御する(SB4)。
つまり、ステップSB3で、制御装置8は、出力電圧Vfcと出力電圧Vbとの差分が所定の許容範囲に入るように、燃料電池10に供給する燃料ガスの供給量または反応ガスの供給量を減少制御する。ここで、所定の許容範囲は、燃料電池10から蓄電装置40に過電流が流れないような範囲に、適宜設定される。
具体的には、インジェクタ500からの燃料ガスの供給量を減少させるとともにポンプ600の回転数を低下させ、または、エアコンプレッサ700による空気の吸引量を低減させるのである。尚、ポンプ600の回転数を低下させ、且つ、エアコンプレッサ700による空気の吸引量を同時に低減させてもよい。
しかし、燃料電池10の出力電圧Vfcは急に低下しないため、制御装置8は、これと並行して、インバータ60を制御して、モータ70による電力消費を促進する。
具体的には、モータ70のd軸電流ベクトルの大きさよりも、q軸の電流ベクトルの大きさを増大させるようにインバータを制御することにより、トルク変動を招くことなく、燃料電池の出力電圧を低下させる。つまり、q軸の電流ベクトルの増大分を熱損失として消費するのである(SB5)。
図7(a),(b),(c)は、電流位相βが0°、30°、60°における電流、鎖交磁束、誘起電圧のベクトル図を示す。電流値iaが一定で電流位相βを大きくすると、q軸電流iqが減少し、d軸電流idが負の方向に増加する。その結果、q軸電機子反作用Lqiqが減少し、d軸電機子反作用Ldidは永久磁石の磁束を弱める方向に増加し、永久磁石と電機子反作用を合わせた全鎖交磁束Φが減少する。ここに、ia=(iq2+id2)1/2である。
逆に、iaを一定で電流位相βを小さくしてiqを大きくすると、全鎖交磁束Φが増大して、損失が増大する。つまり、d軸電流ベクトルの大きさよりも、q軸の電流ベクトルの大きさを増大させることにより、トルク変動を招くことなく、熱損失を増大させることによって、燃料電池の出力電圧を低下させるのである。
DC−DCコンバータ50の故障判定の直後にバイパス回路9のリレー90を閉じると、その時点で出力電圧Vfcが約400Vに制御されている燃料電池10から蓄電装置40に過電流が流れてリレー接点が溶着する虞があるため、電圧調整処理が実行されるのである。
電圧調整処理で燃料電池10の出力電圧Vfcが蓄電装置40の出力電圧Vbと略等しくなると(SB6)、リレー90を導通してフェールセーフ処理に移行し(SB7)、燃料電池10の出力電圧Vfcが蓄電装置40の出力電圧Vbと略等しいまたは僅かに高い値となるように等価電圧制御、つまりフェールセーフ発電処理が実行される(SB8)。この状態が図8に示されている。
つまり、ステップSB8では、出力電圧Vfcと出力電圧Vbとの差分が所定の許容範囲に入るようにフェールセーフ発電処理が実行される。ここで、所定の許容範囲は、燃料電池10から給電線20に適正な電力が供給されるような範囲に、適宜設定される。
制御装置8は、フェールセーフ処理の実行中に、アクセルペダルが操作されると(SB9)、正常時のアクセルペダルの操作量に対応した燃料電池10の発電量よりも少ない発電量で発電するように燃料電池10を制御する(SB10)。
例えば、制御装置8のROM81に、アクセルペダルの操作量(ポテンショメータの入力値)またはその変化量と車両の要求トルクとの関係を規定したデータテーブル(データマップ)を、DC−DCコンバータ50の正常時と故障時に対応して二つ記憶され、フェールセーフ処理の実行中には故障時に対応したデータテーブルから要求トルクを求めることができる。同じアクセルペダルの操作量であっても故障時に対応したデータテーブルは、正常時に対応したデータテーブルによる要求トルクよりも低くなるように設定されている。
さらに、制御装置8は、フェールセーフ処理の実行中に、モータ70を回生制動する場合には(SB12)、蓄電装置40への充電電圧が正常時の充電電圧より低くなるようにインバータ60を制御する(SB13)。蓄電装置40への充電電流が大きくなると、蓄電装置40の異常発熱等の故障の原因になるため、モータ70による交流の発電電圧をインバータ60のスイッチ素子を制御して、低い直流電圧に制御するのである。
以下、別実施形態を説明する。
上述の実施形態では、制御装置8が一つの制御部で構成される例を説明したが、例えば、燃料電池を制御する制御部と、走行制御を実行する制御部の二つの制御部で制御装置が構成されるものであってもよい。
上述の実施形態では、制御装置8が一つの制御部で構成される例を説明したが、例えば、燃料電池を制御する制御部と、走行制御を実行する制御部の二つの制御部で制御装置が構成されるものであってもよい。
上述した実施形態では、制御装置8が、直流電圧レギュレータ50の故障を検知した場合に、燃料電池10の出力電圧が蓄電装置40の出力電圧と等しくなるように燃料電池10を発電制御した後にバイパス回路9に備えたリレー90を導通させる例を説明したが、制御装置8が、直流電圧レギュレータ40の故障を検知した場合に、燃料電池10の出力電圧が蓄電装置40の出力電圧と等しくなるように燃料電池10を発電制御することなく、バイパス回路9に備えたリレー90を直ちに導通させてもよい。但し、この場合、蓄電装置40の出力電圧と燃料電池10の出力電圧との差がそれほど大きくなく、リレー接点が溶着する虞が無い場合に限られる。
上述した実施形態では、本発明による給電装置が燃料電池車両に搭載される場合を例に説明したが、当該給電装置は、燃料電池車両以外に燃料電池が組み込まれるシステムに適用することができることはいうまでもない。
上述した実施形態では、直流電圧レギュレータがDC−DCコンバータで構成される場合を説明したが、他の方式の公知の直流電圧レギュレータで構成されるものであってもよい。
尚、上述した実施形態は本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において各ブロックの具体的構成等を適宜変更設計できることは言うまでもない。
2:給電装置
8:制御装置
9:バイパス回路
10:燃料電池
20:給電線
40:蓄電装置
50:直流電圧レギュレータ(DC−DCコンバータ)
60:インバータ
70:モータ
80:制御部(CPU)
82:記憶部(RAM)
90:リレー
8:制御装置
9:バイパス回路
10:燃料電池
20:給電線
40:蓄電装置
50:直流電圧レギュレータ(DC−DCコンバータ)
60:インバータ
70:モータ
80:制御部(CPU)
82:記憶部(RAM)
90:リレー
Claims (9)
- 給電装置を制御する制御装置であって、
給電装置は、燃料電池と、蓄電装置に接続された直流電圧レギュレータとが、モータを駆動するインバータに並列に接続され、蓄電装置から直流電圧レギュレータを介さずに給電線に給電するバイパス回路に備えたリレーを備えるものであり、
給電装置における、燃料電池の出力電圧と直流電圧レギュレータの出力電圧との差分が所定の許容範囲に入るように制御する発電制御処理と、
直流電圧レギュレータの故障を検知する故障検知処理と、
故障検知処理で直流電圧レギュレータの故障が検知された場合に、リレーを導通させるフェールセーフ処理と、
故障検知処理で直流電圧レギュレータの故障が検知された場合に、燃料電池の出力電圧と蓄電装置の出力電圧との差分が所定の許容範囲に入るように電圧を調整するフェールセーフ発電処理と、を実行する制御部と、
制御部が各処理を実行する際に必要な情報を記憶する記憶部と、
を備えている制御装置。 - 燃料電池と、蓄電装置に接続された直流電圧レギュレータとが、モータを駆動するインバータに並列に接続された給電装置に対して、
燃料電池の出力電圧が直流電圧レギュレータの出力電圧と略等しくなるように制御する発電制御処理と、
直流電圧レギュレータの故障を検知する故障検知処理と、
故障検知処理で直流電圧レギュレータの故障が検知された場合に、燃料電池の出力電圧と蓄電装置の出力電圧との差分が所定の許容範囲に入るように電圧を調整する電圧調整処理と、
電圧調整処理で燃料電池の出力電圧と蓄電装置の出力電圧との差分が所定の許容範囲に入ると、蓄電装置から直流電圧レギュレータを介さずに給電線に給電するバイパス回路に備えたリレーを導通させるフェールセーフ処理と、を実行する制御部と、
制御部が各処理を実行する際に必要な情報を記憶する記憶部と、
を備えている制御装置。 - 電圧調整処理は、モータのq軸のベクトル電流の大きさが増大するようにインバータを制御することにより、燃料電池の出力電圧を低下させる請求項2記載の制御装置。
- 電圧調整処理は、燃料電池に供給する燃料ガスの供給量または反応ガスの供給量を減少制御することにより、燃料電池の出力電圧を低下させる請求項2または3記載の制御装置。
- 制御部は、フェールセーフ処理の実行中に、アクセルペダルが操作されると、正常時のアクセルペダルの操作量に対応した燃料電池の発電量よりも少ない発電量で発電するように燃料電池を制御する請求項1から4の何れかに記載の制御装置。
- 制御部は、フェールセーフ処理の実行中に、モータを回生制動する場合に、蓄電装置への充電電圧が正常時の充電電圧より低くなるようにインバータを制御する請求項1から5の何れかに記載の制御装置。
- 燃料電池と、蓄電装置に接続された直流電圧レギュレータとが、モータを駆動するインバータに並列に接続された給電装置に対して、
燃料電池の出力電圧が直流電圧レギュレータの出力電圧と略等しくなるように発電制御する制御処理と、
直流電圧レギュレータの故障を検知する故障検知処理と、
故障検知処理で直流電圧レギュレータの故障が検知された場合に、燃料電池の出力電圧と蓄電装置の出力電圧との差分が所定の許容範囲に入るように電圧を調整する電圧調整処理と、
電圧調整処理で燃料電池の出力電圧と蓄電装置の出力電圧との差分が所定の許容範囲に入ると、蓄電装置から直流電圧レギュレータを介さずに給電線に給電するバイパス回路に備えたリレーを導通させるフェールセーフ処理と、
を実行する制御方法。 - 燃料電池から負荷への給電線に、直流電圧レギュレータを介して蓄電装置が並列に接続されている給電装置であって、
蓄電装置から直流電圧レギュレータを介さずに給電線に給電するバイパス回路と、直流電圧レギュレータの故障を検知した場合にバイパス回路に備えたリレーを導通させる制御部とを備えている給電装置。 - 燃料電池から負荷への給電線に、直流電圧レギュレータを介して蓄電装置が並列に接続されている給電装置であって、
蓄電装置から直流電圧レギュレータを介さずに給電線に給電するバイパス回路と、直流電圧レギュレータの故障を検知した場合に、燃料電池の出力電圧が蓄電装置の出力電圧と等しくなるように燃料電池を発電制御した後にバイパス回路に備えたリレーを導通させる制御部とを備えている給電装置。
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JP2009014111A JP2010172155A (ja) | 2009-01-26 | 2009-01-26 | 制御装置、制御方法、及び、給電装置 |
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JP2009014111A Withdrawn JP2010172155A (ja) | 2009-01-26 | 2009-01-26 | 制御装置、制御方法、及び、給電装置 |
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-
2009
- 2009-01-26 JP JP2009014111A patent/JP2010172155A/ja not_active Withdrawn
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