JP2010171409A - シリコン材料構造体及びその製法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のシリコン材料構造体は、厚さ2〜6nmの第1のSiO2層と、該
第1のSiO2層の上に形成され、結晶方位が所定の方位に揃ったSi微結晶がSiO2薄膜にドット状に埋め込まれた厚さ1〜10nmの中間層と、該中間層の上に形成された厚さ2〜6nmの第2のSiO2層と、を備えている。このシリコン材料構造体は、常温で
あっても負性抵抗が観測される、つまり常温であってもRTDとして機能するという特異な特性が得られる。また、電圧がゼロからRTDのピークの立ち上がり電圧までの区間では電流がほとんど流れない、つまり漏れ電流が極めて小さいという特性も有する。
【選択図】図2
Description
厚さ2〜6nmの第1のSiO2層と、
該第1のSiO2層の上に形成され、結晶方位が所定の方位に揃ったSi微結晶がSiO2薄膜にドット状に埋め込まれた厚さ1〜10nmの中間層と、
該中間層の上に形成された厚さ2〜6nmの第2のSiO2層と、
を備えたものである。
(a)縮退半導体基板の上に、第1のSiO2層、Si層及び第2のSiO2層をこの順で前記第1及び第2のSiO2層が厚さ2〜6nm、前記Si層が厚さ1〜10nmとなるように積層する工程と、
(b)前記工程(a)で得られた積層体を、前記Si層が多結晶となるように、真空、不活性ガス又は還元性ガスの雰囲気で加熱する工程と、
(c)前記工程(b)の処理を施した積層体を、前記Si層中の{100}面以外に配向したSi微結晶は酸化してSiO2になり、{100}面に配向したSi微結晶は少なくとも一部が酸化されずに残るように、酸素を含む雰囲気で加熱する工程と、
を含むものである。
θ1=θb−(FWHM/2), θ2=θb+(FWHM/2)
(a)縮退半導体基板の上に、第1のSiO2層、Si層及び第2のSiO2層をこの順で前記第1及び第2のSiO2層が厚さ2〜6nm、前記Si層が厚さ1〜10nmとなるように積層する工程と、
(b)前記工程(a)で得られた積層体を、前記Si層が多結晶となるように、真空、不活性ガス又は還元性ガスの雰囲気で加熱する工程と、
(c)前記工程(b)の処理を施した積層体を、前記Si層中の{100}面以外に配向したSi微結晶は酸化してSiO2になり、{100}面に配向したSi微結晶は少なくとも一部が酸化されずに残るように、酸素を含む雰囲気で加熱する工程と、
を含むものである。
図2に、実施例1のシリコン材料構造体の概略図を示す。このシリコン材料構造体は、(100)面に配向した単結晶n型Siウェハである厚さ500μmのSi基板(抵抗率0.02Ω・cm以下)の上に、厚さ約6nmの第1のSiO2層と、結晶方位が<100>軸に揃ったSi微結晶がSiO2薄膜にドット状に埋め込まれた厚さ約6nmの中間層と、厚さ約6nmの第2のSiO2層とを、この順に積層したものである。なお、Si基板上に積層された第1のSiO2層、中間層及び第2のSiO2層からなる積層体の直径は、60〜200μmの範囲に設定した。
工程(c)つまり酸素熱処理を実施しなかった以外は、実施例1と同様にしてシリコン材料構造体10を作製した。
工程(c)で温度を800℃に設定した以外は、実施例1と同様にしてシリコン材料構造体10を作製した。
工程(c)で温度を600℃に設定した以外は、実施例1と同様にしてシリコン材料構造体10を作製した。
(1)XRDスペクトル
比較例1,2及び実施例1のシリコン材料構造体のXRDスペクトルを図4に示す。図4から明らかなように、比較例1及び実施例1では、Siに関するピークすなわち(111)面,(220)面,(311)面のピークが観察されたが、比較例2ではこれらのピークは観察されなかった。これは、比較例2ではSi微結晶のほとんどが酸化されたことを意味する。なお、比較例3のXRDスペクトルは、図4には示さなかったが、概ね比較例1と同様であった。これは、比較例3では酸素熱処理の温度が低すぎてSi微結晶の酸化がほとんど進行しなかったことを意味する。
比較例1及び実施例1のシリコン材料構造体の断面TEM像を図5に示す。図5から明らかなように、両者とも中間層にはSiの格子像が見えており、この中間層は上下からアモルファス状のSiO2層に挟まれていることがわかる。各層の厚さを図5に書き込んだ。また、実施例1の中間層は、酸素熱処理を施したことにより、比較例1の中間層に比べて厚さが1.1nm薄くなった。
比較例1、実施例1及び参考例のシリコン材料構造体の格子像を高速フーリエ変換した像(FFT像)を図6の右側に示す。なお、参考例のFFT像は、(100)面に配向した単結晶n型Siウェハを[110]軸から見た場合のFFT像である。また、FFT像に基づいて作成した逆格子点存在強度の分布を表すグラフを図6の左側に示す。図6の左側のグラフは、[100]軸を0°として1周分(360°)のプロファイルをとり、横軸を[100]軸からの角度θ、縦軸を逆格子点存在強度としたものである。
θ1=61°-(18°/2)=52°, θ2=61°+(18°/2)=70°
(1)電流電圧特性(IV特性)
次に、実施例1のシリコン材料構造体の第2のSiO2層の上にフォトリソグラフィ技術により直径60μm、膜厚300nmのAl電極を形成した。また、Si基板の裏面全面にも同Al電極を形成した。そして、両Al電極間に電圧を印加してIV特性を測定した。図9に、測定温度100K〜350K(−173℃〜77℃)のIV特性を示す。ピーク電流とバレー電流の比をとったピーク・ツゥ・バレー比(Peak-to-valley ratio,PVR)の温度変化に対する特性及び半値幅(FWHM)の温度変化に対する特性を図10に示す。図9から明らかなように、すべての温度領域で、特定の電圧において電流が急激に減少する現象(負性抵抗)が見られた。特に、室温(300K)以上の350Kでも負性抵抗を示しているが、これは世界初である。また、負性抵抗のピーク電圧値及びピーク電流値は、いずれも温度上昇に伴って減少する傾向にあった。更に、電圧ゼロからピークの立ち上がり電圧に至るまでの低バイアス区間において漏れ電流がきわめて少なかった。また、図10から明らかなように、PVRは温度250Kで最大値4.7を示したが、FWHMは温度によらずほとんど変わらなかった。なお、比較例1は、温度5Kという極低温でもRTDのピークは見られなかった。
実施例1につき、微少電流検出顕微鏡像のデータを取得した。その結果を図13に示す。このデータは、導電性カンチレバーを用いたAFMにより、サンプルのトポグラフ(凹凸像)と電流像とを同時にプロービングすることにより得られたものである。図13から明らかなように、実施例1の最表面、すなわち第2のSiO2層表面の形状は、原子レベルで平坦であるが、局所的に電流が検出された。電流像における黒い斑点が電流を流すパスになっていると思われる。このことは、{100}面に配向したSi微結晶が孤立した量子ドットとして振る舞い、その量子ドットをトンネル電流が流れることを示唆している。つまり、本結果は、図7(b)に示した構造モデルを支持するものである。
実施例1で酸素熱処理の温度を650℃、750℃に設定した場合も、実施例1とほぼ同様の結果が得られた。
Claims (8)
- 厚さ2〜6nmの第1のSiO2層と、
該第1のSiO2層の上に形成され、結晶方位が所定の方位に揃ったSi微結晶がSiO2薄膜にドット状に埋め込まれた厚さ1〜10nmの中間層と、
該中間層の上に形成された厚さ2〜6nmの第2のSiO2層と、
を備えたシリコン材料構造体。 - 前記第1のSiO2層は、縮退半導体基板の上に形成され、前記Si微結晶は、前記結晶方位が<100>軸であり該軸が前記縮退半導体の法線に対して±15°の範囲で傾いている、
請求項1に記載のシリコン材料構造体。 - 前記縮退半導体は、単結晶基板である、
請求項1又は2に記載のシリコン材料構造体。 - 少なくとも温度300Kにおいて負性抵抗を示す、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリコン材料構造体。 - (a)縮退半導体基板の上に、第1のSiO2層、Si層及び第2のSiO2層をこの順で前記第1及び第2のSiO2層が厚さ2〜6nm、前記Si層が厚さ1〜10nmとなる
ように積層する工程と、
(b)前記工程(a)で得られた積層体を、前記Si層が多結晶となるように、真空、不活性ガス又は還元性ガスの雰囲気で加熱する工程と、
(c)前記工程(b)の処理を施した積層体を、前記Si層中の{100}面以外に配向したSi微結晶は酸化してSiO2になり、{100}面に配向したSi微結晶は少なくとも一部が酸化されずに残るように、酸素を含む雰囲気で加熱する工程と、
を含むシリコン材料構造体の製法。 - 前記工程(b)では、600℃以上1000℃以下の温度で加熱し、
前記工程(c)では、650℃以上800℃未満の温度で加熱する、
請求項5に記載のシリコン材料構造体の製法。 - 前記工程(a)では、スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法又は化学気相成長法により前記第1のSiO2層、前記Si層及び前記第2のSiO2層を生成させる、
請求項5又は6に記載のシリコン材料構造体の製法。 - 請求項5〜7のいずれか1項に記載のシリコン材料構造体の製法によって製造されたシリコン材料構造体。
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