JP2010169870A - 偏光フィルムの製造方法、および該製造方法を用いた偏光板の製造方法 - Google Patents

偏光フィルムの製造方法、および該製造方法を用いた偏光板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高光学特性を維持したまま、具体的なミクロ構造の観点から偏光フィルム自体の耐久性を高めることを可能とする技術を提供すること。
【解決手段】偏光フィルムの製造における染色工程の少なくとも前に、フィルムを、ホウ酸を含む水溶液に浸漬する工程を少なくとも行う偏光フィルムの製造方法を提供する。該製造方法を用いれば、偏光フィルム内のホウ酸−樹脂分子間の架橋割合を増やすことができるため、高光学特性を維持したまま、局所分子運動を規制して高温や高温多湿環境下での耐久性が向上した偏光フィルムを提供することが可能である。
【選択図】図1

Description

本発明は、偏光フィルムの製造方法に関する。より詳しくは、液晶表示装置に好適に用いることが可能な偏光フィルムの製造方法、および該製造方法を用いた偏光板の製造方法に関する。
液晶表示装置は、薄型で低消費電力という特長を持ち、コンピューター用ディスプレイ装置、携帯電話機、テレビ受像機など様々な機器の表示装置として広く用いられている。これらの液晶表示装置は主に液晶をガラス基板等で挟持した液晶セルの両面に、一定方向の偏光のみを透過する偏光板を配置した構造となっている。
この液晶表示装置は、顧客要求等に応じてさらなる大型化、薄型化、軽量化、低消費電力化及び高コントラスト化等の特性改善・改良が要望されており、これに応えるべく種々の施策を実行するにはそれぞれに付随する課題解決が必須となる。
これらの課題のうち、大型化、薄型化、高コントラスト化についてはバックライトユニットの大幅設計変更が必要であり、かかる場合には現在以上に液晶パネル部材へ熱負荷が大きくなることを避けて通れない。このため、液晶パネル部材の中で熱負荷の影響を受け易いだけでなく、液晶パネルの構成上必須で基幹部材である偏光板の高温環境下や高温多湿環境下での耐久性向上が非常に重要となってくる。特に薄型かつ高性能化を図る場合には、光学部材の液晶セル内への設置、所謂インセル化を避けて通るわけにはいかず、かかる場合には透明電極であるITO(Indium Tin Oxide)の製膜時における百数十度程度の熱負荷に対する耐久性が必須条件となってくる。
ところで、従来、偏光板は、例えばポリビニルアルコール(PVA)等の樹脂フィルムにヨウ素などの二色性染料を用いて染色し、ホウ酸などを含む水溶液中にて延伸固定処理等を行うことで偏光性能を付与し、そのフィルム両面に例えばTAC(トリアセチルセルロース)フィルムなどのセルロース系フィルム等の保護膜を積層した偏光板がその光学特性の優位性から多く使用されている。
薄型化等を目指し、偏光フィルムに積層するセルロース系フィルム等の保護フィルムを無くすなどの検討がなされているが、基材であるポリビニルアルコール(PVA)等の樹脂フィルム自体が耐熱性や耐湿性などが良くないのが現状である。そのため、高温下や高温多湿下での光学特性の保持やフィルム寸法の維持などの耐久性の確保については、技術的に難易度が高い。これまでにも、偏光フィルムの光学特性を向上させる種々の方法や、偏光フィルム自体の耐久性を向上させる種々の方法の提案がなされている。
例えば、偏光フィルムの光学特性を向上させる技術として、特許文献1には、シンジオタクチシチーが55%以上のポリビニルアルコール系重合体と該ポリビニルアルコール系重合体に対して0.001〜1重量%の沃素を含む溶液を製膜してなる厚さ5〜150μmのフィルムを一軸方向に3倍以上延伸することで、光学特性を向上させる技術が開示されている。また、特許文献2には、光の波長が420〜700nmの間での10nm毎の平行透過率の標準偏差が3以下で、且つ、光の波長が420〜700nmの間での10nm毎の(平行透過率/直交透過率)の最小値が300以上とすることで、光学特性を向上させる技術が開示されている。
これらのような偏光フィルムの光学特性を向上させる場合の技術においては、偏光フィルム製造工程における架橋剤の種類や架橋剤を施すタイミングについては、任意とされている。
一方、偏光フィルムの耐久性向上を図るための技術として、特許文献3には、ヨウ素/ヨウ化カリウム水溶液にて染色を行いホウ酸水溶液中にて延伸を行った後に、グリオキサール水溶液にて架橋固定を施すことにより耐久性向上を図る技術が開示されている。また、特許文献4には、膨潤・染色・固定・延伸・洗浄・乾燥の一連の偏光フィルム作製プロセス工程のうち、洗浄工程に純水やヨウ化物水溶液の代わりにジアルデヒドやジカルボン酸等の多官能性化合物溶液に置き換えて架橋を進めることにより、耐久性向上を図る技術が開示されている。
これらのような偏光フィルム自体の耐久性を向上させる技術においては、光学特性を向上させる技術とは異なり、偏光フィルム製造工程における架橋剤の種類や架橋剤を施すタイミングについての検討がなされている。具体的に、特許文献3および4における架橋剤を施すタイミングタイミングは、いずれも延伸後である。
一般的にポリマー溶液のような分子間距離がある程度広がっていて、架橋剤試薬が基材の官能基を攻撃し易いような状態であるならば、容易に施策内容を想像出来てその効果も予想と違わない。
しかしながら、前記特許文献3の技術を用いて製造したPVAフィルム単体で、高温多湿下保存を想定した高温加湿の粘弾性試験や高温保存を想定した加温粘弾性試験を行ったところ、PVAフィルムの寸法収縮が改善されていないことが分かった。また、前記特許文献4の技術を用いて製造したPVAフィルム単体で、追試試験を行ったところ、浸漬時間が長くなるとHazeが増加する問題やPVAフィルム単体では逆に耐久性が劣化することが分かった。そのため、前記特許文献3、および特許文献4のいずれの技術を用いても、偏光板を、TACフィルム等の保護フィルムを無くして薄型化する場合には、耐久性向上効果が期待できないことが明らかになった。
このように、ポリマー溶液の場合と異なって、PVAフィルムの場合には分子間の距離が狭いせいなのか理由は明らかになっていないが、単純な架橋剤の追加というだけでは耐久性を改善することも予想見通しを立てることも容易でないのが現状である。
また、前記特許文献3、および特許文献4のいずれの技術も、あくまでも対処療法的に導かれた結果であり、具体的なミクロ構造を想定して解決策を導き出した検討ではない。そのため、現状要求されている高光学特性を維持したままTACフィルム等の保護フィルムを無くして薄型化した場合には、高温や高温多湿環境での耐久性を満足させることが出来ないだけでなく、根本的解決策を見出すには至っていない。
ここで、具体的なミクロ構造を想定した先行技術として、下記非特許文献1では、PVAの結晶領域をホウ酸が壊して新たな水素結合を介した架橋構造の形成を推定している。本願発明者らもX線回折法(XRD)を用いた解析検討により、PVA結晶領域にホウ酸が侵入して結晶相を微細化することや、延伸するとアモルファス領域が減少して結晶領域が拡大することなどを確認した。偏光フィルム製造工程におけるプロセスを変化させた場合のXRD測定結果を図5に、偏光フィルム製造工程におけるプロセス毎のXRD測定結果を図6に示す。なお、具体的な測定条件は、XRD装置:JOEL JDX-3500(日本電子株式会社製)、X線源:Cu、40kV、300mA、ステップ幅:0.02°、走査範囲:3°〜60°、測定時間:0.5secで行った。
図5中(iii)、(iv)に示す通り、ヨウ素の影響ではなくホウ酸の影響で、主回折ピークがブロード化(結晶領域が微細化かつ結晶格子間隔が不均一化)することが明らかとなった。また、図5中(i)、(ii)に示す通り、ホウ酸がない状態では、延伸により主回折ピークの強度が急峻になる(結晶格子間隔が変化せず結晶領域が増加する)ことが判明した。
また、図5および図6の結果から、フィルム内のミクロ構造は、図7のような変化が起きていることが推測された。図7(B)に示すように、延伸状態においては、延伸により結晶相が成長(主回折強度が増加)し、結晶内部も分子鎖が回転し、結晶面が揃い出し、部分的に結晶相も発生すると考えられる。また図7(C)に示すように、染色延伸架橋状態においては、ホウ酸が結晶相に入って結晶相が小さくなる他、結晶格子間隔が不均一に乱れると考えられる。
特開平8−190017号公報 特開2002−221618号公報 特開平6−235815号公報 特開2006−139166号公報
第15回ポリマー材料フォーラム予稿集、126(2006)
前述の通り、偏光フィルムの耐久性を向上させるための方法として、種々の方法が提案されているが、具体的なミクロ構造を想定して解決策を導き出した検討ではないため、それぞれに前記のような問題を抱えており、耐久性向上の新たな技術が期待されている。
そこで、本発明では、高光学特性を維持したまま、具体的なミクロ構造の観点から偏光フィルム自体の耐久性を高めることを可能とする技術を提供することを主目的とする。
本願発明者らは、高透過率かつ高偏光度である高光学特性を維持したまま、より高い耐久性を確保する偏光フィルムを製造し得る方法を開発すべく鋭意検討した結果、偏光フィルムの結晶領域には例えばホウ酸のような浸入可能な小さい架橋剤を入れ、分子間の配向性を高める延伸操作を行うことである程度まで分子間距離が縮まるアモルファス領域にはホウ酸よりサイズの大きい架橋剤を導入することで局所分子運動を規制して高温や高温多湿環境下での耐久性向上を図れるミクロ構造のモデル化を導き出した。
このミクロ構造モデルでは、結晶領域での高耐久性に結びつく分子間の結合は、樹脂分子同士の結合に加えホウ酸架橋された分子間の結合で構成される。そこで、より結合の強いホウ酸−樹脂分子間の架橋割合を増やすことで高耐久性の偏光フィルムが得られることを確認し、本発明に至った。
即ち、本発明では、まず、偏光フィルムの製造における染色工程の少なくとも前に、
フィルムを、ホウ酸を含む水溶液に浸漬する工程を少なくとも行う偏光フィルムの製造方法を提供する。
従来、染色前にホウ酸などを用いて架橋処理を行うと、染色が十分に行われないのが常識であり、また、延伸前に架橋処理を行うと、延伸しにくくなるのが常識であった。しかし、本発明では、敢えて、染色および延伸前にホウ酸を用いた架橋処理を行うことで、偏光フィルム内のホウ酸−樹脂分子間の架橋割合を増やすことができる。
本発明に係る製造方法を用いることができるフィルムは、偏光フィルムに用いることができる素材からなるフィルムであれば、その種類は特に限定されないが、光学特性の観点からポリビニルアルコール系フィルムが好ましい。
前記ホウ酸を含む溶液のpHは、本発明の目的を損なわない限り特に限定されないが、0以上4以下とすることが好ましい。
本発明に係る偏光フィルムの製造方法は、偏光板の製造工程の一工程として行うことで、偏光板の製造にも好適に用いることができる。
本発明に係る偏光フィルムの製造方法を用いれば、偏光フィルム内のホウ酸−樹脂分子間の架橋割合を増やすことができるため、高光学特性を維持したまま、局所分子運動を規制して高温や高温多湿環境下での耐久性が向上した偏光フィルムを提供することが可能である。
本発明に係る偏光フィルムの製造方法の一例を示すフロー図である。 本発明に係る製造方法を用いて製造した偏光フィルムを用いることができる液晶表示装置1の一例の概略構成を示す断面模式図である。 本発明に係る製造方法を用いて製造した偏光フィルムを用いることができるカラー液晶表示装置100の一例の概略構成を示す断面模式図である。 図4(A)は、実施例1、および比較例1、2に係る偏光フィルムの加温に対する貯蔵弾性率(E’)の変化および局所運動の発生状態を示すtanδの変化を示し、図4(B)は、実施例1、および比較例1、2に係る偏光フィルムの加温に対する試料長変化率の変化を示す図面代用グラフである。 偏光フィルム製造工程におけるプロセスを変化させた場合のXRD測定結果を示す図面代用グラフである。 偏光フィルム製造工程におけるプロセス毎のXRD測定結果を示す図面代用グラフである。 図5および図6から推定されるフィルム内のミクロ構造変化を示す模式図である。
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。なお、説明は以下の順序で行う。
1.偏光フィルムの製造方法
(A)ホウ酸水溶液浸漬工程
(1)膨潤プロセスI
(2)染色プロセスII
(3)延伸プロセスIII
(4)架橋固定化プロセスIV
(5)乾燥プロセスV
2.偏光板の製造方法
3.液晶表示装置・カラー液晶表示装置
<1.偏光フィルムの製造方法>
図1は、本発明に係る偏光フィルムの製造方法の一例を示すフロー図である。本発明に係る偏光フィルムの製造方法は、通常の偏光フィルムの製造方法で行われる染色工程の前に、ホウ酸を含む水溶液に浸漬する工程(以下「ホウ酸水溶液浸漬工程A」とする。)を少なくとも行うことを特徴とする。
本発明に係る製造方法に用いることができるフィルムは、偏光フィルムに用いることができる素材からなるフィルムであれば、その種類は特に限定されず、あらゆる素材からなるフィルムを自由に選択して用いることができる。また、その厚みも特に限定されず、通常のフィルムと同様の50〜150μm程度のフィルムを用いることができる。
特に本発明においては、耐熱性や光学特性の観点からポリビニルアルコール系フィルムを好適に用いることができる。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムとしては、例えば、ポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、ポリ(エチレン−酢酸ビニル)共重合体フィルム、これらの部分ケン化または完全ケン化フィルム、ポリビニルアルコールの部分ポリエン化フィルムなどを挙げることができる。共重合体フィルムを用いる場合、その重合度も特に限定されないが、高光学特性を得るためには、重合度は1500〜3000の範囲が好適である。また、部分ケン化または完全ケン化フィルムを用いる場合、そのケン化度も特に限定されないが、高光学特性を得るには、ケン化度の範囲が98〜100モル%であることが望ましい。
(A)ホウ酸水溶液浸漬工程
ホウ酸水溶液浸漬工程Aは、フィルムを、ホウ酸を含む水溶液に浸漬して、フィルム内部を架橋処理する工程である。
従来、染色が十分に行われないという理由から、染色前に架橋処理を行うことはなかった。また、延伸しにくくなるという理由から、延伸前に架橋処理を行うことはなかった。しかし、本発明では、敢えて、染色および延伸前にホウ酸による架橋処理を行うことで、偏光フィルム内のホウ酸−樹脂分子間の架橋割合を増やすことができ、その結果、光学特性を維持したまま高耐久性を実現することに成功した。
浸漬を行うホウ酸水溶液のpHは、ホウ酸による架橋処理を行うことができれば特に限定されないが、本発明においては、pH0以上4以下が好ましい。pHが0未満の場合、反応が進みすぎてポリマーフィルムのHaze(曇り)が急増したり、フィルム破断が生じたりするなどの問題が生じる場合があるからである。逆に、pHが4を超えると、反応が起きなくなって、期待される効果が生じない場合がある他、酸によるpH調節が難しく、浸漬中にフィルムが溶解する場合もあるからである。
また、浸漬処理を行うホウ酸水溶液の濃度、温度は、架橋処理を行うことができれば特に限定されないが、本発明においては、濃度は2.5wt%以上4.0wt%以下の範囲が好ましく、液温は40℃以上70℃以下の範囲が好ましい。特に、水溶液の温度が40℃以下になると、偏光フィルム内へのホウ酸の滲入が遅くなり、架橋効果を得るためには浸漬時間をかなり長くかける必要が生じ、製造効率が低下する場合がある。逆に70℃を超えると、偏光フィルム自体が溶液に溶解し易くなる場合がある。
浸漬処理を行うホウ酸水溶液には、本発明の効果を損なわない程度に、従来から用いられている添加助剤を用いることも自由である。例えば、ヨウ化カリウムを添加助剤として用いてもよい。この場合、ヨウ化カリウムのホウ酸水溶液における濃度は、2.5wt%以上4.0wt%以下の範囲が好ましい。
このように、本発明に係る製造方法では、ホウ酸水溶液浸漬工程Aを染色・延伸前に行うことにより、従来の製造方法に比べ、偏光フィルム内のホウ酸−樹脂分子間の架橋割合を増やすことができる。そのため、偏光フィルムの高光学特性を維持したまま、局所分子運動を規制して高温や高温多湿環境下での耐久性を著しく向上させることが可能である。
本発明に係る偏光フィルムの製造方法は、以上説明したホウ酸水溶液浸漬工程Aを、少なくとも染色工程の前に一工程として行う方法を全て包含するが、例えば、図1に示す通り、通常の製造工程で行われる(1)膨潤プロセスI、(2)染色プロセスII、(3)延伸プロセスIII、(4)架橋固定化プロセスIV、(5)乾燥プロセスV、などを適宜行うことも可能である。以下、それぞれのプロセスについて一例を示しながら説明する。
(1)膨潤プロセスI
膨潤プロセスIは、後述する延伸プロセスIIIの前処理としてフィルムを膨潤させるプロセスである。膨潤に用いる溶媒は特に限定されず、通常の偏光フィルムの製造方法における膨潤プロセスで用いられている溶媒を、自由に選択して用いることができる。例えば、純水、ヨウ化カリウム水溶液、などを挙げることができる。本発明においては、膨潤のし易さの観点から、純水を用いることが好ましい。膨潤浴の液温も特に限定されず、フィルムの厚さや溶媒の種類に応じて、自由に設定することができるが、本発明においては、20℃以上45℃以下が好ましい。
(2)染色プロセスII
染色プロセスIIでは、ホウ酸水溶液浸漬工程Aを経たフィルムを染色水溶液に浸漬させることで、フィルムの染色を行う。染色に用いる染料は二色性物質であれば特に限定されず、通常の偏光フィルムの製造方法における染色プロセスで用いられている染料を、自由に選択して用いることができる。例えば、ヨウ素、レッドR、などを挙げることができる。本発明においては特に、ヨウ素系を用いることが好ましい。ヨウ素を用いる場合、具体的な染色水溶液としては、ヨウ素、ヨウ化カリウム、及びホウ酸の混合水溶液を用いることが好ましい。その重量濃度は、ヨウ素、ヨウ化カリウム、及びホウ酸が、それぞれ0.015wt%以上0.025wt%以下、1.5wt%以上4.0wt%以下、及び1.0wt%以上3.0wt%以下の範囲であることが好ましい。また、染色水溶液の温度、浸漬時間、などは、偏光フィルムの種類や形態、他のプロセスとの関係等に合わせて自由に設定することが可能である。本発明において特に好ましい条件を挙げると、染色水溶液の温度については、25℃以上35℃以下である。
(3)延伸プロセスIII
延伸プロセスIIIでは、偏光特性を付与するために、目的に応じた倍率の延伸を行う。延伸倍率は特に限定されず、目的の偏光特性に応じて自由に設定することができるが、本発明においては、膨潤前のフィルムと比較して、数倍程度の延伸倍率であることが好ましい。
本発明における延伸プロセスIIIでは、湿式延伸、乾式延伸等、いずれの方法を用いることも自由であるが、本発明においては、湿式延伸の方が好ましい。湿式延伸を行う場合、延伸浴の水溶液は特に限定されず、通常の偏光フィルムの製造方法における延伸プロセスで用いられている水溶液を、自由に選択して用いることができる。例えば、ヨウ化カリウムおよびホウ酸からなる混合水溶液等を用いることができる。この場合、ヨウ化カリウムとホウ酸の濃度も特に限定されず、必要に応じて適宜設定することができるが、ヨウ化カリウムを2.0wt%〜4.0wt%、ホウ酸を2.5wt%〜4.0wt%の範囲に設定することが好ましい。また、また、延伸浴の水溶液の温度も、偏光フィルムの種類や形態、他のプロセスとの関係等に合わせて自由に設定することが可能であるが、本発明においては、45℃以上60℃以下に設定することが好ましい。
(4)架橋固定化プロセスIV
架橋固定化プロセスIVでは、前記延伸プロセスIIIにおいて所定倍率の延伸を行ったフィルムを、架橋固定化浴に浸漬させることで、架橋固定する。架橋固定化浴の水溶液は特に限定されず、通常の偏光フィルムの製造方法における架橋固定化プロセスで用いられている水溶液を、自由に選択して用いることができる。例えば、ヨウ化カリウム、ホウ酸、および塩化亜鉛からなる混合水溶液等を用いることができる。この場合、ヨウ化カリウム、ホウ酸、および塩化亜鉛の濃度も特に限定されず、必要に応じて適宜設定することができる。本発明においては、ヨウ化カリウムを2.0wt%〜4.0wt%、ホウ酸を1.0wt%〜4.0wt%、塩化亜鉛を1.0wt%〜2.0wt%の範囲に設定することが好ましい。また、また、架橋固定化浴の水溶液の温度も、偏光フィルムの種類や形態、他のプロセスとの関係等に合わせて自由に設定することが可能であるが、本発明においては、30℃以上45℃以下に設定することが好ましい。
(5)乾燥プロセスV
乾燥プロセスVは、前記架橋固定化プロセスIVにおいて固定化された偏光フィルムを乾燥させるプロセスである。乾燥プロセスVにおける乾燥温度や乾燥時間は、偏光フィルムの種類や形態、他のプロセスとの関係等に合わせて自由に設定することが可能である。偏光フィルム内の含有水の除去能力の観点、および乾燥効率の観点からは、85℃以上120℃以下で乾燥を行うことが好ましい。しかし、いきなり高温で乾燥させるとヨウ素錯体イオン分布が変化するために偏光フィルムの色相が大きくズレるので、本発明においては、段階的に温度が上昇するような乾燥プロセスを経ることが好ましい。
<2.偏光板の製造方法>
本発明に係る偏光フィルムの製造方法は、偏光板の製造時に一工程として行うことで、偏光板の製造に好適に用いることができる。例えば、前記偏光フィルムの製造方法により、偏光フィルムを作製し、該偏光フィルムに、必要に応じてハードコート層、反射防止層、紫外線吸収層、アンチグレア層、アンチリフレクション層、ハーフリフレクション層、反射層、蓄光層、拡散層、エレクトロルミネッセンス層、視野角拡大層、輝度向上層などの機能層を、公知の接着剤を用いて貼り合わせ、次いで、該接着剤を電子線等により固化させることにより偏光板を製造することができる。
また、本発明に係る偏光フィルムの製造方法で製造した偏光フィルムは、偏光フィルム自体の耐久性が著しく高いため、従来の偏光フィルムのように保護フィルムを積層させる必要はないが、耐熱性や耐湿性を一層高めるために、偏光フィルムの片面または両面に、光学的に等方性のある保護フィルムを、前記機能層に加えて積層させて、偏光板を製造することも可能である。
保護フィルムを積層させる場合、その種類は特に限定されず、公知のあらゆる素材からなる保護フィルムを自由に選択して用いることができる。例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンエステル、ポリ−4−メチルペンテン、ポリフェニレンオキサイド、シクロ系またはノルボルネン系ポリオレフィンなどからなる保護フィルムを挙げることができる。
<3.液晶表示装置・カラー液晶表示装置>
本発明に係る製造方法を用いて製造した偏光フィルムは、従来の偏光フィルムに比べ、耐熱性や耐湿性などの耐久性が著しく高いため、液晶表示装置の一部材として好適に用いることができる。以下、本発明に係る製造方法を用いて製造した偏光フィルムを用いることができる液晶表示装置の一例を、図面を参照しながら説明する。
図2は、本発明に係る製造方法を用いて製造した偏光フィルムを用いることができる液晶表示装置1の一例の概略構成を示す断面模式図である。この液晶表示装置1は、大別すると、一対の基板13と、該基板13間に挟持された液晶層14と、からなる液晶パネル10と、該液晶パネル10に光を照射するための光源20と、からなる。
液晶表示装置1の前記液晶パネル10には、前述した本発明に係る製造方法を用いて製造した偏光フィルム11を備えていることを特徴とする。液晶パネル10における偏光フィルム11の配置場所は、少なくとも液晶層14を挟んで入射側偏光フィルムと出射側偏光フィルムとして配置されれば特に限定されず、通常の液晶表示装置における偏光フィルムの配置に準じて自由に設計することができる。
それぞれの基板13は、内面に電極12がそれぞれ配置されている。また、必要に応じて、電極12と液晶層14との間に液晶分子を一定方向に並べるための配向膜15、電極12と基板13との間または基板13と偏光フィルム11との間にカラー表示するためのカラーフィルター16、など通常の液晶表示装置に用いられる部材を自由に選択して用いることができる。
液晶層14の具体的構成は特に限定されず、通常の液晶表示装置に用いられている構造に準じて自由に設計することができる。例えば、図2に示すように、スペーサー17により所定間隔を離して対向配置された一対の基板13との間に、液晶材料を注入してなる構成を挙げることができる。スペーサー17は、一対の基板13間を所定距離保持するためのものである。
なお、基板13、電極12、液晶層14、配向膜15、などは、通常の液晶表示装置に用いられているものを自由に選択して用いることができる。
図3は、本発明に係る製造方法を用いて製造した偏光フィルムを用いることができるカラー液晶表示装置100の一例の概略構成を示す断面模式図である。このカラー液晶表示装置100は、大別すると、(a−1)一対の基板13と、(a−2)該基板13間に挟持された液晶層14と、を備え、第1〜3ピクセルを1組としたピクセルが、複数、2次元マトリックス状に配列されたカラー液晶パネル10と、該カラー液晶パネル10に光を照射するための光源20と、からなる。
カラー液晶表示装置100の前記カラー液晶パネル10には、図2に示す液晶表示装置1と同様に、本発明に係る製造方法を用いて製造した偏光フィルム11を備えていることを特徴とする。カラー液晶パネル10における偏光フィルム11の配置場所は、少なくとも液晶層14を挟んで入射側偏光フィルムと出射側偏光フィルムとして配置されれば特に限定されず、通常の液晶表示装置における偏光フィルムの配置に準じて自由に設計することができる。なお、基板13、電極12、液晶層14、配向膜15、などは、図2に示す前記液晶表示装置1と同様に、通常の液晶表示装置に用いられているものを自由に選択して用いることができる。
カラー液晶表示装置100の光源20は、第1原色、第2原色及び第3原色から構成された光の三原色の内の第1原色に相当する第1原色光を出射する。例えば、第1原色光を青色の光(例えば、波長λ1:440nm乃至460nmの範囲内のいずれかの値の波長)、第2原色を緑色の光、第3原色を赤色の光、と構成することができる。第1〜3原色の色はこれに限定されるものではなく、必要に応じて、第1原色、第2原色、第3原色を、それぞれ、赤色、緑色、青色とすることもでき、あるいは第1原色、第2原色、第3原色を、それぞれ、緑色、赤色、青色とすることもできる。なお、光源20の具体的な装置は、任意の第1原色光を出射することができればその種類は限定されず、公知の光源を自由に選択して用いることができる。
カラー液晶表示装置100のカラー液晶パネル10には、本発明に係る製造方法を用いて製造した偏光フィルム11の他に、(1)第2原色発光領域102、(2)第3原色発光領域103、(3)拡散または通過領域、を少なくとも備えることを特徴とする。以下、それぞれの領域について、説明する。
(1)第2原色発光領域102
第2原色発光領域102は、カラー液晶パネル10の第2ピクセルと同光路上に配置され、第2原色に相当する第2原色光を発光する第2原色発光粒子から成る領域である。この第2原色発光領域102では、これを構成する前記第2原色発光粒子が、光源20から出射された第1原色光によって励起されて第2原色光を発光する。
第2原色発光粒子は、光源20から出射された第1原色光によって励起されて第2原色光を発光し得る粒子であれば、その種類は特に限定されず、公知のあらゆる発光粒子を自由に選択して用いることができる。例えば、第2原色発光粒子を、緑色を発光する蛍光体粒子とする場合、かかる緑色発光蛍光体として、(ME:Eu)Ga、(M:RE)x(Si,Al)12(O,N)16、(M:Tb)x(Si,Al)12(O,N)16、(M:Yb)x(Si,Al)12(O,N)16、LaPO:Ce,Tb、BaMgAl1017:Eu,Mn、ZnSiO:Mn、MgAl1119:Ce,Tb、YSiO:Ce,Tb、MgAl1119:CE,Tb,Mn、(Sr,Ba)SiO:Euを挙げることができる。ここで、「ME」は、Ca、Sr及びBaから成る群から選択された少なくとも1種類の原子を意味し、「M」は、Li、Mg及びCaから成る群から選択された少なくとも1種類の原子を意味し、「RE」は、Tb及びYbを意味する(以下同じ)。
(2)第3原色発光領域103
第3原色発光領域103は、カラー液晶パネル10の第3ピクセルと同光路上に配置され、第3原色に相当する第3原色光を発光する第3原色発光粒子から成る領域である。この第3原色発光領域103では、これを構成する前記第3原色発光粒子が、光源20から出射された第1原色光によって励起されて第3原色光を発光する。
第3原色発光粒子は、光源20から出射された第1原色光によって励起されて第3原色光を発光し得る粒子であれば、その種類は特に限定されず、公知のあらゆる発光粒子を自由に選択して用いることができる。例えば、第3原色発光粒子を、赤色を発光する蛍光体粒子とする場合、かかる赤色発光蛍光体として、(ME:Eu)S、(M:Sm)x(Si,Al)12(O,N)16、MESi:Eu、(Ca:Eu)SiN、(Ca:Eu)AlSiN、Y:Eu、YVO:Eu、Y(P,V)O:Eu、3.5MgO・0.5MgF・Ge:Mn、CaSiO:Pb,Mn、MgAsO11:Mn、(Sr,Mg)(PO:Sn、LaS:Eu、YS:Euを挙げることができる。
これらの第2原色発光領域102および第3原色発光領域103は、シアン色を発光する構成としてもよく、この場合には、緑色発光蛍光体粒子(例えば、LaPO:Ce,Tb、BaMgAl1017:Eu,Mn、ZnSiO:Mn、MgAl1119:Ce,Tb、YSiO:Ce,Tb、MgAl1119:CE,Tb,Mn)と青色発光蛍光体粒子(例えば、BaMgAl1017:Eu、BaMgAl1627:Eu、Sr:Eu、Sr(POCl:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)(POCl:Eu、CaWO、CaWO:Pb)を混合したものを用いればよい。
蛍光体粒子から成る第2原色発光領域102および第3原色発光領域103は、蛍光体粒子から調製された蛍光体粒子組成物を使用し、例えば、赤色の感光性の蛍光体粒子組成物(赤色発光蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、赤色発光蛍光体層から成る第3原色発光領域103を形成し、次いで、緑色の感光性の蛍光体粒子組成物(緑色発光蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、緑色発光蛍光体層から成る第2原色発光領域102を形成することができる。なお、第3原色発光領域103の形成と第2原色発光領域102の形成の順序を逆にしてもよい。あるいは、赤色発光蛍光体スラリー、緑色発光蛍光体スラリーを順次塗布した後、各蛍光体スラリーを順次露光、現像して、第3原色発光領域103、第2原色発光領域102を形成してもよいし、スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、フロート塗布法、沈降塗布法、蛍光体フィルム転写法等により第2原色発光領域102、第3原色発光領域103を形成してもよい。
その他、第2原色発光領域102や第3原色発光領域103を構成する材料は、発光蛍光粒子に限定されず、例えば、間接遷移型のシリコン系材料において、直接遷移型のように、キャリアを効率良く光へ変換させるために、キャリアの波動関数を局所化し、量子効果を用いた、2次元量子井戸構造、1次元量子井戸構造(量子細線)、0次元量子井戸構造(量子ドット)等の量子井戸構造を適用した発光粒子を挙げることもできる。また、半導体材料に添加された希土類原子は殻内遷移により鋭く発光することが知られており、このような技術を適用した発光粒子を挙げることもできる。
第2原色発光領域102および第3原色発光領域103は、それぞれ第2サブプクセルおよび第3サブピクセルと同光路上に配置されていれば、液晶層14を挟んで入射側または出射側のどちらに配置してもよい。
第2原色発光領域102および第3原色発光領域103を液晶層14より出射側に配置する場合、図示しないが、第2原色発光領域102および第3原色発光領域103と出射側の電極12との間に、第1原色光を第2原色発光領域102へと集光する第2集光部材、及び、第1原色光を第3原色発光領域103へと集光する第3集光部材を更に備えることが望ましい。これらの第2集光部材および第3集光部材により、視差の発生や光学的クロストークの発生を確実に防止することができるからである。この場合の第2集光部材および第3集光部材は、屈折率分布型レンズが多数配列されて成るレンズアレイ、レンチキュラーレンズ又はマイクロレンズ・アレイが一体化されて成る構成とすることができる。
一方、第2原色発光領域102および第3原色発光領域103を液晶層14より入射側に配置する場合、図示しないが、第2原色発光領域102および第3原色発光領域103と入射側の電極12との間に、第2原色発光領域102から発光された第2原色光を第2サブピクセルへと集光する第2集光部材、及び、第3原色発光領域103から発光された第3原色光を第3サブピクセルへと集光する第3集光部材を更に備えることが望ましい。これらの第2集光部材および第3集光部材により、視差の発生や光学的クロストークの発生を確実に防止することができるからである。
(3)拡散または通過領域
拡散または通過領域101は、第1サブピクセルと同光路上に配置され、光源20から出射された第1原色光を拡散または通過させる領域である。この領域は、液晶層14より出射側に配置する場合、第1原色光を拡散させる拡散領域(図3中符号101)となり、液晶層14より入射側に配置する場合、第1原色光を通過させる通過領域(図示せず)となる。
拡散領域101は、光源20から出射された第1原色光を拡散させることができれば、その構成は特に限定されないが、例えば、透明バインダー樹脂中に微粒子から成る光拡散剤が分散されて成り、例えば、スクリーン印刷法やインクジェット印刷法といった各種の塗布法によって形成することができる。光拡散剤は、光源20からの光を拡散させる性質を有する粒子であり、無機材料粒子あるいは有機材料粒子から構成することができる。無機材料粒子を構成する無機材料として、具体的には、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、マグネシウムシリケート、又は、これらの混合物を例示することができる。一方、有機材料粒子を構成する樹脂として、アクリル系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、メラミン系樹脂を例示することができる。光拡散剤の形状として、例えば、球状、立方状、針状、棒状、紡錘形状、板状、鱗片状、繊維状を挙げることができる。
その他、拡散領域101は、光拡散シート(光拡散フィルム)から構成してもよい。
拡散領域101と出射側の電極12との間には、図示しないが、第1原色光を拡散領域101へと集光する第1集光部材を更に備えることが望ましい。この第1集光部材により、視差の発生や光学的クロストークの発生を確実に防止することができるからである。この場合の第1集光部材は、屈折率分布型レンズが多数配列されて成るレンズアレイ、レンチキュラーレンズ又はマイクロレンズ・アレイが一体化されて成る構成とすることができる。
通過領域と入射側の電極12との間には、通過領域を通過した第1原色光を第1サブピクセルへと集光する第1集光部材を更に備えることが望ましい。この第1集光部材により、視差の発生や光学的クロストークの発生を確実に防止することができるからである。
カラー液晶表示装置100において、第2原色発光領域102と第3原色発光領域103との間の領域、拡散または通過領域と第2原色発光領域102との間の領域、拡散または通過領域と第3原色発光領域103との間の領域には、光吸収層104(所謂ブラックマトリクス)を形成することができる。光吸収層104を構成する材料としては、第1原色光、第2原色光、第3原色光を99%以上吸収する材料を選択することが好ましい。例えば、カーボン、金属薄膜、耐熱性有機樹脂、ガラスペースト等の材料を挙げることができ、具体的には、感光性ポリイミド樹脂、酸化クロムや、酸化クロム/クロム積層膜を例示することができる。光吸収層104は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法とエッチング法との組合せ、真空蒸着法やスパッタリング法、スピンコーティング法とリフトオフ法との組合せ、スクリーン印刷法、リソグラフィ技術等、使用する材料に依存して適宜選択された方法にて形成することができる。
第2原色発光領域102、第3原色発光領域103、および拡散または通過領域の光源20側には、第1原色光を透過し、第2原色光及び第3原色光を反射する光反射膜18を配置することが好ましい。第2原色光及び第3原色光を反射する光反射膜を配置することによって、第2原色発光領域及び第3原色発光領域にて発光した第2原色光及び第3原色光が、第2サブピクセル及び第3サブピクセルに侵入することが無くなり、効率良く第2原色発光領域及び第3原色発光領域から第2原色光及び第3原色光が出射され、明るく明瞭な画像を得ることができる。
カラー液晶表示装置100に光反射膜18を配置する場合、第1原色光を透過し、第2原色光及び第3原色光を反射するものであれば特に限定されず、公知の光反射膜を自由に選択して用いることができる。例えば、酸化シリコン膜、酸化ニオブ膜、低屈折率材料と高屈折率材料とから成る多層積層膜(例えば、酸化シリコン膜と酸化ニオブ膜とから成る多層積層膜)から構成することができ、例えば、各種の塗布法やスパッタリング法等の物理的気相成長法によって形成することができる。また、フィルム状の光反射膜を積層することで配置してもよい。
また、第2原色発光領域102、第3原色発光領域103、および拡散または通過領域や、第1集光部材、第2集光部材、および第3集光部材には、平滑化膜19が積層配置されていることが好ましい。平滑化膜19を配置することによって、第2原色発光領域102、第3原色発光領域103、および拡散または通過領域や、第1集光部材、第2集光部材、および第3集光部材の表面の凹凸や厚さの相違を吸収することができ、一層効果的に明るく明瞭な画像を得ることができる。
カラー液晶表示装置100に平滑化膜19を配置する場合、その種類は特に限定されず、公知の平滑化膜を自由に選択して用いることができる。例えば、アクリル樹脂やシリコーン樹脂から構成することができ、例えば、各種の塗布法によって形成することができる。また、フィルム状の平滑化膜を積層することで配置してもよい。
カラー液晶表示装置100において、拡散または通過領域の大きさと第1サブピクセルが実際に光を通過させる部分の大きさとは、同じ大きさであってもよいし、前者が大きくてもよいし、後者が大きくてもよい。また、拡散または通過領域の外形形状と第1サブピクセルが実際に光を通過させる部分の外形形状とは、同形であってもよいし、相似形であってもよいし、異なる形状であってもよい。
同様に、第2原色発光領域102の大きさと第2サブピクセルが実際に光を通過させる部分の大きさとは、同じ大きさであってもよいし、前者が大きくてもよいし、後者が大きくてもよい。また、第2原色発光領域102の外形形状と第2サブピクセルが実際に光を通過させる部分の外形形状とは、同形であってもよいし、相似形であってもよいし、異なる形状であってもよい。
同様に、第3原色発光領域103の大きさと第3サブピクセルが実際に光を通過させる部分の大きさとは、同じ大きさであってもよいし、前者が大きくてもよいし、後者が大きくてもよい。また、第3原色発光領域103の外形形状と第3サブピクセルが実際に光を通過させる部分の外形形状とは、同形であってもよいし、相似形であってもよいし、異なる形状であってもよい。
カラー液晶表示装置100において、1つのピクセルは、少なくとも第1サブピクセル、第2サブピクセル及び第3サブピクセルを備えていればよく、第4のサブピクセル、第5のサブピクセル・・・を更に備えていてもよい。第4のサブピクセル、第5のサブピクセル・・・が表示すべき色は、カラー液晶表示装置100に要求される仕様に基づき決定すればよく、例えば、輝度向上のための白色、色再現範囲を拡大するための補色、色再現範囲を拡大するためにイエロー色やシアン色、マゼンタ色を例示することができる。
この場合、第i番目の発光領域(i=4,5・・・)は、第i番目のサブピクセルと同光路上に配置され、第i番目の色に相当する光を発光する発光粒子から成り、光源20から出射された第1原色光によって励起されて第i番目の色に相当する光を発光する領域となる。
なお、カラー液晶表示装置100のサブピクセルの配列状態も特に限定されず、通常の液晶表示装置に準じて自由に設計することができる。例えば、デルタ配列、ストライプ配列、ダイアゴナル配列、レクタングル配列を挙げることができる。
以上説明したカラー液晶表示装置100は、カラーフィルターを用いなくともカラー表示が可能であるが、画像の色純度を一層向上させるために、カラーフィルターを配置することも可能である。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
本実施例では、偏光フィルムの製造において、染色工程前にホウ酸水溶液浸漬工程を行った場合と行わなかった場合の偏光フィルムの耐久性の違いを調べた。なお、本実施例では、偏光フィルムに用いることができるフィルムの一例として、市販のアタクティックPVAフィルム(重合度:2400、ケン化度:99%、膜厚:75μm)を用いて検討を行った。
(1)偏光フィルムの作製
[実施例1]
まず、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを手動型一軸延伸機に設置固定した後に、35℃の純水に3分間膨潤させた。膨潤後、前記ポリマーフィルムを膨潤浴から引き上げ、ホウ酸を含む55℃の水溶液に5分間浸漬させた。なお、この処理水溶液の重量濃度は2.8wt%であり、塩酸や水酸化ナトリウム等を用いてpH値の調製を行うが、ここでは3.5に調製したものを用いた。
次に、前記ポリマーフィルムをホウ酸水溶液から引き上げ、35℃の染色水溶液に3分間浸漬させた。なお、染色水溶液としては、ヨウ素/ヨウ化カリウム及びホウ酸の重量濃度がそれぞれ0.02wt%/3.0wt%及び3.0wt%の混合水溶液を用いた。
次に、前記ポリマーフィルムを染色浴から引き上げ、55℃の延伸水溶液に5分間浸漬させ、この浸漬中に膨潤前と比較して6倍の延伸を行った。なお、延伸浴の水溶液としては、ヨウ化カリウムとホウ酸の重量濃度がそれぞれ3.0wt%ずつの混合水溶液を用いた。延伸後、前記ポリマーフィルムを延伸浴から引き上げ、35℃の架橋固定化浴に3分間浸漬させた。なお、この架橋固定化浴の水溶液としては、ヨウ化カリウム、ホウ酸、及び塩化亜鉛から構成され、それぞれ濃度が2.5wt%、2.5wt%、及び1.0wt%である混合水溶液を用いた。
架橋固定化後、前記ポリマーフィルムを架橋固定化浴から引き上げ、110℃にて30分間の乾燥を行った。このようにして実施例1に係る偏光フィルムを得た。
[比較例1]
染色前にホウ酸水溶液浸漬工程を行わず、乾燥工程における乾燥温度を60℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で比較例1に係る偏光フィルムを得た。
[比較例2]
染色前にホウ酸水溶液浸漬工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で比較例2に係る偏光フィルムを得た。
(2)各物性の評価
[偏光フィルムのHaze測定]
実施例1、および比較例1、2に係る偏光フィルムに関し、ヘイズメーターHM−150(株式会社村上色彩技術研究所製)を用いて、JISK7136に準じたHaze測定を行った。なお、基材フィルムのHaze値は、0.2%であった。
[耐久性]
実施例1、および比較例1、2に係る偏光フィルムについて、以下の方法に従い、粘弾性測定試験機にて高温保存を想定した低湿度での昇温試験を行い、耐久性を判断した。なお、以下の方法を採用した理由は、通常の耐久性確認試験の場合には得られる結果が、所定期間保存前後の光学特性変化と形状変化しかないことに加え、所定期間保存自体が数百〜1000時間程度とかなりの時間を要する。しかし、同測定機の場合にはフィルム内部での局所分子運動といったミクロ構造に関する情報や試料長変化が連続かつ定量的に求められることに加え、測定自体が短時間で済むというメリットを有するからである。
具体的な装置としては、IT研究所製のDVA−220を使用し、歪一定モードにて貯蔵弾性率(E’)の変化と局所分子運動の発生状態を示すtanδの変化、さらに試料長変化についてモニターを行った。具体的な温度としては、加温速度を2℃/minにて室温から150℃まで加温した場合をモニターした。この際、サンプル形状を掴み長:15mm、サンプル幅:5mmに設定し、各サンプルフィルムからスリットして試料作製を行ったほか、サンプル膜厚はTESA moduleを用いて求めた。
(3)結果
各偏光フィルムのHaze測定の結果を下記表1に、耐久性の結果については、図4に示す。
比較例1は市販されている偏光フィルムとほぼ同等であり、比較例2は比較例1より乾燥温度を110℃に上げて製造したものであり、実施例1はこの比較例2に対して染色前にホウ酸水溶液浸漬工程を行ったものである。このホウ酸水溶液浸漬工程のpHが0より小さい場合には反応が急速に進み過ぎてHazeが増加するか、またはフィルム破断が生じる等の問題が発生するため、pHは0よりも大きくしなければならなかった。また、酸によるpH調整が出来ない限界はいずれの試薬でもpH4付近であった。よって、pHの好ましい範囲は0〜4であることが分かった。
また、表1に示す通り、実施例1、および実施例1、2に係る偏光フィルムのHaze値は、基材フィルムのHaze値と変化がないことが分かった。この結果から、染色前にホウ酸水溶液浸漬工程を行った場合でも、高光学特性を維持することができることが分かった。
図4(A)は、実施例1、および比較例1、2に係る偏光フィルムの昇温に対する貯蔵弾性率(E’)の変化および局所運動の発生状態を示すtanδの変化を示し、図4(B)は、実施例1、および実施例1、2に係る偏光フィルムの昇温に対する試料長変化率の変化を示す図面代用グラフである。図4(A)に示す通り、貯蔵弾性率E’の温度依存性結果は、実施例1、および比較例1、2に係る偏光フィルムの全てにおいて、E’が温度とともに単調に減少していた。一方、tanδの場合、比較例1、2に係る偏光フィルムついては、90℃および120℃付近に僅かに副分散が見られるのに対し、実施例1の場合ほとんど見られなかった。この結果から、染色前にホウ酸水溶液浸漬工程を行った実施例1は、ミクロな局所分子運動が抑制されていることが分かった。
また、図4(B)の寸法変化の温度依存性の結果に示す通り、比較例1よりも乾燥温度を上げた比較例2の方が高温での収縮量が小さく、さらにホウ酸水溶液浸漬工程を行った実施例1の方が比較例2よりも高温での寸法収縮量が小さいことが分かった。具体的に、150℃の温度位置で寸法収縮量を比較した場合、比較例1では4%近くの収縮量があり、比較例2では約1.8%の収縮量があったのに対し、実施例1の収縮量は約0.9%以内に収まっていることが分かった。この結果から、染色前にホウ酸水溶液浸漬工程を行った実施例1は、寸法安定性が高いことが分かった。
以上の結果より、ホウ酸水溶液浸漬工程を染色前に行うことで、Hazeの発生もなく、ミクロな局所分子運動が抑制され、寸法変化が小さくなり、耐久性を著しく向上させることが分かった。即ち、ホウ酸水溶液浸漬工程を染色前に行うことで、偏光フィルムの高光学特性を維持したまま、局所分子運動を規制して高温や高温多湿環境下での耐久性を向上させることが可能であることが分かった。
1 液晶表示装置
11 偏光フィルム
12 電極
13 基板
14 液晶層
15 配向膜
16 カラーフィルター
17 スペーサー
18 光反射膜
19 平滑化膜
20 光源
21 光学機能シート
100 カラー液晶表示装置
101 拡散または通過領域
102 第2原色発光領域
103 第3原色発光領域
104 光吸収層

Claims (4)

  1. 偏光フィルムの製造における染色工程の少なくとも前に、
    フィルムを、ホウ酸を含む水溶液に浸漬する工程を少なくとも行う偏光フィルムの製造方法。
  2. 前記フィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムである請求項1記載の偏光フィルムの製造方法。
  3. 前記水溶液のpHは、0以上4以下である請求項1または2に記載の偏光フィルムの製造方法。
  4. 偏光フィルムの製造における染色工程の少なくとも前に、
    フィルムを、ホウ酸を含む水溶液に浸漬する工程を少なくとも行い偏光フィルムを製造する工程を少なくとも行う偏光板の製造方法。
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