JP2010169147A - 真空断熱材、その製造装置および製造方法 - Google Patents

真空断熱材、その製造装置および製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】糸同士がどのような方向を向いて積層し合って繊維構造体を形成している場合であっても、糸同士の密着および接触部分を低減することができ、より高性能な真空断熱材を得ることができるとともに、断熱性能がほぼ一定した真空断熱材を得る。
【解決手段】この発明に係る真空断熱材は、繊維シートと、該繊維シートが複数枚積層されてなる芯材と、該芯材を真空密閉して覆う外被材とを備えた真空断熱材において、前記繊維シートは、少なくとも一種類の複数の突起形状を有する異形断面繊維と、略円形の断面を有する円形断面繊維とを混合して形成されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、真空断熱材、その製造装置および製造方法に関するものである。
従来の真空断熱材においては、既に内部空間を保持していることから、減圧空間を細分化しやすく、また同一太さの普通糸と比較すると、曲げおよびねじり剛性率が高いことから、その減圧空間を維持、保持することができるとの理由から中空繊維を使用するか、または、糸同士の密着、接触が少なくなり、空間を細分化しやすく、剛直性も向上するので、安定に空間を維持、保持することができるとの理由から、例えば糸断面がT型、Y型、三つ葉型、四葉型または五葉型の断面を有する異形断面糸を使用し、繊維構造体の素材としている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−58604号公報(第4貢)
従来の異形断面糸を使用した繊維構造体では、糸同士が交差しながら積層し合って繊維構造体を形成すれば糸同士の密着および接触が低減されるが、糸同士が同じ方向を向いた状態で積層し合って繊維構造体を形成すれば、異形断面糸の凹凸部が噛みあってむしろ接触面積が大きくなり、十分な断熱性能が得られないという欠点があった。また、交差する割合と同じ方向を向く割合が一定ではなく、これらの割合に応じて断熱性能が大きく左右されるという欠点があった。
また、中空繊維を使用した繊維構造体では、繊維自体の強度が弱くなるため真空圧力下における繊維同士が接触する部分での接触歪が大きく、逆に接触表面積が大きくなってしまう。この結果、繊維間接触部からの固体熱伝導が大きくなり、十分な断熱性能が得られないという欠点があった。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、糸同士がどのような方向を向いて積層し合って繊維構造体を形成している場合であっても、糸同士の密着および接触部分を低減することができ、より高性能な真空断熱材を得ることができるとともに、断熱性能がほぼ一定した真空断熱材を得ることを目的とする。
この発明に係る真空断熱材は、繊維シートと、該繊維シートが複数枚積層されてなる芯材と、該芯材を真空密閉して覆う外被材とを備えた真空断熱材において、前記繊維シートは、少なくとも一種類の複数の突起形状を有する異形断面繊維と、略円形の断面を有する円形断面繊維とを混合して形成するようにしたものである。
この発明に係る真空断熱材においては、繊維シートを異形断面繊維と円形断面繊維とで構成しているので、糸同士がどのような方向を向いて、積層し合って繊維シートを形成している場合であっても、繊維同士が互いに面で接触することがほとんどなく、点もしくは線接触となる。このため、繊維同士の接触熱伝導を抑制することでき、真空断熱材の断熱性能の向上を図ることができるとともに、断熱性能がほぼ一定した真空断熱材を得ることができる。
この発明の実施の形態1における真空断熱材の構造を模式的に示した断面図である。 この発明の実施の形態1における真空断熱材の繊維シートを構成する一組の繊維を模式的に示した断面図である。 この発明の実施の形態1における真空断熱材の繊維シートを構成する複数の突起形状を有する異形断面繊維を模式的に示した断面図である。 円形断面繊維の繊維径と熱伝導率との関係、及び異形断面繊維の突起径と熱伝導率との関係をシミュレートした結果を示した特性図である。 従来の発明における3突起異形断面繊維だけで繊維シートを構成した場合の繊維を模式的に示した断面図である。 この実施の形態1に係る繊維シートの製造に用いられる溶融紡糸用ダイのノズル配置を示した図である。 この発明の実施の形態2による真空断熱材の繊維シートを構成する一組の繊維を模式的に示した断面図である。 この発明の実施の形態3による真空断熱材の繊維シートを構成する一組の繊維を模式的に示した断面図である。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における真空断熱材の構造を模式的に示した断面図である。図1において、この実施の形態1における真空断熱材は、複数の突起形状を有する異形断面繊維と略円形の断面を有する円形断面繊維とからなる繊維シート3と、該繊維シート3を積層して構成された芯材4と、該芯材4を覆って密閉する外被材5とを有している。
図2はこの発明の実施の形態1における真空断熱材の繊維シートを構成する一組の繊維を模式的に示した断面図である。図2において、円形部10の外周上に複数の突起形状からなる突起部11を有する異形断面繊維1(例えば、ここで示されている異形断面繊維1は6個の突起部11を有する6突起異形断面繊維6である)と略円形の断面を有する円形断面繊維2とは繊維同士が互いに面で接触することがほとんどなく、点もしくは線で接触した状態で混在している。
図3はこの発明の実施の形態1における真空断熱材の繊維シートを構成する複数の突起形状を有する異形断面繊維を模式的に示した断面図である。図3において、この実施の形態1の異形断面繊維1(例えば、ここで示されている異形断面繊維1は5個の突起部11を有する5突起異形断面繊維12である)は、突起高さhk7と、突起先端幅dk8とからなる突起部11と、基準円直径ds9である円形部10とから構成されている。
次に、この実施の形態1における真空断熱材の製造方法について説明する。まず、繊維シート3の作製方法について説明する。例えばポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、PET樹脂と記載)のペレットを融点まで加熱しながら溶解し、得られた液状(またはゲル状)PET樹脂をギアポンプで送出する。液状PET樹脂は、複数のノズルから吐出され、冷却されることにより紡糸を形成する。このように形成された紡糸をさらにスパンボンド方式やメルトブロー方式により、10μm程度の径まで延伸させ繊維を得る。この延伸され得られた繊維をコンベア上に吐出してシートを形成する。このコンベアの後段では、必要に応じてフラットもしくはエンボス加工したロールを用いて、繊維を一部熱融着させて繊維の引張強度を増加させるとともにシート表面部の繊維の毛羽立ちを抑制する。これによりシートのロール巻きおよびロール巻き戻しを容易にすることができる。
次に、このロール化されたシート(以下、シートロールと記載)から必要なサイズのシートを引き出して裁断することで繊維シート3を得る。この繊維シート3を複数枚重ね芯材4が得られる。この後、芯材4を2枚または1枚を折り返した外被材5で覆い、真空チャンバ内に配置し減圧することで外被材5に覆われた空間を真空状態にする。外被材5で覆われた空間が所定の圧力、例えば0.1〜3Pa程度の真空圧になっている状態で外被材5の外周部を密閉し、真空チャンバ内の圧力を大気圧状態にまで戻す。以上、この発明の実施の形態1における真空断熱材が完成する。この真空断熱材の内部空間は真空状態に保持され、外被材5および芯材4は外部との圧力差による圧縮力を受けている。
なお、長期真空下に置くことにより、芯材4または外被材5等からガスが発生する場合とか、外部から気体が混入する場合とか、水分が混入する場合などが想定される場合には、必要に応じて外被材5で覆われた空間に適切なガス吸着剤を挿入する場合もある。
なお、繊維シート3に含有される水分については、裁断前後などに繊維シート3を加熱しながら減圧するような工程を設けてこの水分を除去してもよい。また、外被材5で覆われた芯材4が真空チャンバ内において減圧された状態で、真空チャンバ内を加熱するような機構を設けて、繊維シート3に熱収縮や熱分解などの熱負荷がかからない温度で、かつ真空放電などを誘発しない圧力に設定するなど、適切な条件にて繊維シート3の水分を除去してもよい。
ここで、この実施の形態1の真空断熱材において、複数の突起形状を有する異形断面繊維1と略円形の断面を有する円形断面繊維2とからなる繊維シート3を芯材4とする真空断熱材は、異形断面繊維1と円形断面繊維2のそれぞれの繊維径が小さいほど繊維と繊維の接触面積を小さくすることができ、接触熱抵抗を大きくすることができる。その結果、固体熱伝導が低下し性能が向上する。しかし、溶融紡糸法にて樹脂素材で繊維シート3を製造する場合、円形断面繊維2を糸切れせずに連続的に製造するには繊維径をある程度大きくする必要がある。例えばPET樹脂のペレット素材を用い、スパンボンド方式の溶融紡糸法で円形断面繊維2を用いた繊維シート3を試作したところ、繊維径が約10μmまでは連続的な製造が可能であったが、それ未満になると糸切れが発生し安定的に製造することができなかった。
上記のようなことを踏まえ、円形断面繊維2の繊維径と熱伝導率との関係、及び異形断面繊維1の突起径と熱伝導率との関係をシミュレートした。ここで、異形断面繊維1としてY形となる3個の突起を有する異形断面繊維1を想定し、これが円形断面繊維2と理想的に接触する状態、つまり繊維同士が交差するように積層された状態であるものとする。図4は、このシミュレート結果を示した特性図である。図4において、熱伝導率は真空断熱材の厚さ方向の熱伝導率を計算したものであり、縦軸には円形断面繊維2の繊維径がφ10μmのときの真空断熱材の熱伝導率を基準値として、その基準値との熱伝導率の差を取った。また、異形断面繊維1は、繊維径を基準円直径ds9とし、基準円直径ds9からなる円形部10と、突起高さhk7で突起先端幅dk8からなる突起部11が組み合わさった形状と仮定した。
この結果からも明らかなように、円形断面繊維2の繊維径を小さくすることで熱伝導率を下げることが期待できるが、製造上円形断面繊維2の繊維径を小さくできなくても、突起先端幅dk8を小さくした異形断面繊維1と組み合わせて芯材4を形成することで、異形断面繊維の凹部に円形断面繊維が入り込まないような幾何学形状で構成され、熱伝導率を下げることが期待できることがわかる。一方で、突起先端幅dk8を小さくしすぎると突起部11への応力集中により歪が大きくなり、その結果接触面積が増し、かえって効果が滅殺されることが分かった。したがって、突起先端幅dk8は約3μm〜約8μmの大きさの範囲にすることが望ましい。
なお、従来例との効果の差異を明確にするために、従来の発明における3突起異形断面繊維13だけで繊維シート3を作製し、断熱性能の評価を試みた。図5は、従来の発明における3突起異形断面繊維13だけで繊維シート3を構成した場合の繊維を模式的に示した断面図である。図5における3突起異形断面繊維13はPET樹脂のペレットを素材とし、スパンボンド方式の溶融紡糸法で3突起異形断面繊維13のみを用いた繊維シート3を試作し、これを25枚積層して芯材4を作製した。芯材4を外被材5であるアルミラミネートシート(ナイロン15μm+ポリエチレンテレフタレート12μm+アルミシート6μm+ポリエチレン50μm)に吸着剤とともに挿入して、真空チャンバ内で約1Paまで減圧させて、外被材5の間口部を熱融着によって密閉し、真空断熱材を製造した。
ここで、吸着剤は、外被材5のシール部やアルミラミネートシート自体の欠陥などを通じて内部に侵入してくる水分や外部気体もしくは芯材4から発生するアウトガスなどを吸着して真空度を保持するためのもので、CaO系、活性炭系、ゼオライト系や、さらにこれらにLiやBaを混合させたものなどである。
この従来例により製造した真空断熱材の熱伝導率を測定した結果、繊維径がφ10μm程度の円形断面繊維2のみで繊維シート3を構成した場合と同等もしくは数ポイントだけ高い値となった。この原因を調べるために、真空状態を模擬した芯材4の断面を観察したところ、基準円直径ds9は約10μm、突起先端幅dk8は約4μmと概ね仕様に合致した断面形状(ここでは詳細な説明は省略するが、設計目標を定めて製造する場合であってもスパンボンド方式による延伸工程や芯材の乾燥工程などを経ることで素材の膨張、伸縮が発生するため、設計値から多少のずれが生じることがある。)であったが、繊維同士の配置については、図5で示す状態、すなわち3突起異形断面繊維13の突起部11間の凹部14と隣接する3突起異形断面繊維13の突起部11が噛み合わさり、繊維同士の接触部15が広く面接触している箇所が多数見られた。つまり、3突起異形断面繊維13のみの構成で繊維シート3を作製した場合には、期待した性能が得られない場合がありうるのみならず、性能の大きなバラツキを発生させる可能性があることが容易に想起される。
なお、真空状態を模擬して芯材4の断面観察する方法とは、真空チャンバ内に入れる前の真空断熱材を両面から1気圧相当の圧力で圧縮し、これを樹脂で固めたのちに断面を電子顕微鏡等で観察する方法である。
図4の結果からも明らかなように、繊維径が細い、つまり繊維断面積が小さいほど、断熱性能が向上する。したがって、基準円直径ds9が同じ径であれば、突起高さhk7が小さい方がより断熱性能が向上することは容易に予想できる。そこで、突起先端幅dk8の影響も考慮して、異形断面繊維1の突起部11間の凹部14に円形断面繊維2が入り込まない幾何学形状となるような条件の検討を行った。その結果、繊維径が10μmの円形断面繊維2と組み合わせる6突起異形断面繊維6は、例えば基準円直径ds9が10μm、突起高さhk7が2.5μmとした場合に、異形断面繊維の凹部に円形断面繊維が入り込まないような幾何学形状で構成され、比較的良好な特性が得られることが判明した。
一方、円形断面繊維2を中空繊維にした場合も別途検討したが、真空環境における大気からの圧力により中空繊維が圧縮変形し接触面積が増加した結果、熱伝導率の低減効果がほとんど得られないことが判明した。
ここで、この実施の形態1に係る繊維シート3の試作を行うために、溶融紡糸用ダイ15を作製した。図6はこの実施の形態1に係る繊維シートの製造に用いられる溶融紡糸用ダイ15のノズル配置を示した図である。図6において、隣接する繊維が異形断面繊維1と円形断面繊維2となるように、異形断面繊維1に対応するノズルである異形断面ノズル16と円形断面繊維2に対応するノズルである円形断面ノズル17のそれぞれノズル配置を互いに1つおきに同じ形状のノズルとなるよう相互配置としたものである。
図6に示す溶融紡糸用ダイ15を用いて前記3突起異形断面繊維13の試作手順と同様の手順で繊維シート3を作製した。その結果、繊維径が10μmの円形断面繊維2と、基準円直径ds9が約8μm、突起先端幅dk8が約4μm、突起高さhk7が約2.5μmの6個の突起部11を有する6突起異形断面繊維6とで厚さ約0.5mmの繊維シート3を作製した。これを25枚積層して芯材4を作製した。芯材4を外被材5であるアルミラミネートシート(ナイロン15μm+ポリエチレンテレフタレート12μm+アルミシート6μm+ポリエチレン50μm)に吸着剤とともに挿入して、真空チャンバ内で約1Paまで減圧させて、外被材5の間口部を熱融着によって密閉し、真空断熱材を製造した。
このように製造した真空断熱材の熱伝導率を測定した結果、従来の繊維シートを芯材とした真空断熱材は、熱伝導率が0.0018W/(m・K)程度であったのに対し、図6に示す溶融紡糸用ダイ15を用いたこの実施の形態1に係る真空断熱材は、熱伝導率が0.0015W/(m・K)程度となり断熱効果が約20%改善された。また、繊維シート3の断面を観察したところ、それぞれの繊維接触部での突起同士の面接触及び噛み合わせはほとんど見られなかった。したがってこの発明における真空断熱材は、繊維同士が重なり合う接触面積を低減させ、熱伝導率を下げることでより高い断熱効果が得られる。
また同様にして、異形断面繊維1として6個の突起部11を有する6突起異形断面繊維6とし、基準円直径ds9が約8μm、突起先端幅dk8が約3μm、突起高さhk7が約2μmになるようにして繊維シート3を試作したところ、熱伝導率は約30%上昇、すなわち断熱効果が約30%悪化した。この原因は突起高さhk7が低いために突起部11間の凹部14に円断面が接しているためであることが断面観察の結果認められた。このことから6突起異形断面繊維6では突起高さが2μm以上であることが望ましい。
なお、図6は異形断面ノズル16と円形断面ノズル17のそれぞれノズル配置を互いに1つおきに同じ形状のノズルとなるよう相互配置しているが、特にこの配置にする必要はない。このような相互配置を取った場合、製造された繊維シート3において隣接する繊維が異形断面繊維1と円形断面繊維2となる確率が高く、良好な特性を持つ繊維シート3を製造できることは容易に想像できる。しかし、このような相互配置としない場合、例えば、異形断面ノズル16と円形断面ノズル17がランダムに配置された場合においても、繊維シート3の断熱特性を向上させるという効果を達成できることは自明である。
また、図6は異形断面ノズル16と円形断面ノズル17のそれぞれの数が略同数の場合について示しているが、製造条件によっては異形断面ノズル16と円形断面ノズル17のそれぞれの数が異なるような配置をとった方がよい場合がある。このような配置としては、例えば周辺部に加工しやすい円形断面ノズル17を配置し、中心部に相互配置となるように配置する場合等が考えられる。
さらに、図6は異形断面ノズル16について、断面形状が同一である単一種類のノズルを示しているが、製造条件によっては断面形状が異なる複数種類の異形断面ノズル16を組み合わせて、さらに円形断面ノズル17と組み合わせることで、より良好な特性を持つ繊維シート3が得られる場合が考えられる。
なお、製造条件によっては断面形状が異なる複数種類の異形断面ノズル16のみを組み合わせることで、より良好な特性を持つ繊維シート3が得られる可能性も考えられるが、この場合には、前記従来の発明における3突起異形断面繊維13だけで繊維シート3を作製したときに説明したように、異形断面繊維1の突起部11間の凹部14に他の異形断面繊維1の突起部11が噛み合わさり、繊維同士の接触部15が広く面接触している箇所が多数発生し、良好な特性が得られないようなことがないように、組み合わせる異なる断面形状を有する異形断面繊維1について、基準円直径ds9、突起先端幅dk8及び突起高さhk7を十分検討する必要がある。
以上述べたように、図6で示したこの実施の形態1に係る繊維シートの溶融紡糸用ダイ15のノズル配置は一例を示したものであり、これに限定されるものではない。隣接するノズル形状が異なるような配列条件を満たしていれば、一般的な製造条件ではよりよい特性を得やすいが、全てのノズル配置においてこの配置条件を満たしていない場合であっても、製造条件によってはよりよい効果が得られる場合も容易に想定できる。すなわち、一部のノズル配置においてでもこの配置条件を満たすことで、この発明の実施の形態1に係る繊維シートが得られることは自明である。
実施の形態2.
図7はこの発明の実施の形態2による真空断熱材の繊維シートを構成する一組の繊維を模式的に示した断面図である。図7において、繊維シート3は円形断面繊維2と、異形断面繊維1として7個の突起部11を有する7突起異形断面繊維18とが混在する形で構成されている。
基準円直径ds9が約8μm、突起先端幅dk8が約3μm、突起高さhk7が約2μmである7突起異形断面繊維18を用いて、厚さ約0.5mmの繊維シート3を構成している。その他の構成ならびに製造方法は前記実施の形態1と同様であるため説明を省略する。これを25枚積層して芯材4を作製した。芯材4を外被材5であるアルミラミネートシート(ナイロン15μm+ポリエチレンテレフタレート12μm+アルミシート6μm+ポリエチレン50μm)に吸着剤とともに挿入して、真空チャンバ内で約1Paまで減圧させて、外被材5の間口部を熱融着によって密閉し、真空断熱材を製造した。
このように製造した真空断熱材の熱伝導率を測定した結果、この発明の実施の形態2に係る真空断熱材は、前記実施の形態1と同等の熱伝導率0.0015W/(m・K)程度が得られた。また、繊維シート3の断面を観察したところ、それぞれの繊維接触部での突起部11同士の面接触及び噛み合わせはほとんど見られなかった。したがってこの発明の実施の形態2における真空断熱材は、前記実施の形態1と同等の断熱効果が得られる。
また同様にして、異形断面繊維1として7個の突起部11を有する7突起異形断面繊維18とし、基準円直径ds9が約8μm、突起先端幅dk8が約3μm、突起高さhk7が約1.5μmになるようにして繊維シート3を試作したところ、熱伝導率は約30%上昇、すなわち断熱効果が約30%悪化した。この原因は突起高さhk7が低いために突起部11間の凹部14に円断面が接しているためであることが断面観察の結果認められた。このことから7突起異形断面繊維18では突起高さが1.5μm以上であることが望ましい。
実施の形態3.
図8はこの発明の実施の形態3による真空断熱材の繊維シートを構成する一組の繊維を模式的に示した断面図である。図8において、繊維シート3は円形断面繊維2と、異形断面繊維1として8個の突起部11を有する8突起異形断面繊維19とが混在する形で構成されている。
基準円直径ds9が約8μm、突起先端幅dk8が約3μm、突起高さhk7が約1.5μmである8突起異形断面繊維19を用いて、厚さ約0.5mmの繊維シート3を構成している。その他の構成ならびに製造方法は前記実施の形態1と同様であるため説明を省略する。これを25枚積層して芯材4を作製した。芯材4を外被材5であるアルミラミネートシート(ナイロン15μm+ポリエチレンテレフタレート12μm+アルミシート6μm+ポリエチレン50μm)に吸着剤とともに挿入して、真空チャンバ内で約1Paまで減圧させて、外被材5の間口部を熱融着によって密閉し、真空断熱材を製造した。
このように製造した真空断熱材の熱伝導率を測定した結果、この発明の実施の形態3に係る真空断熱材は、前記実施の形態1と同等の熱伝導率0.0015W/(m・K)程度が得られた。また、繊維シート3の断面を観察したところ、それぞれの繊維接触部での突起部11同士の面接触及び噛み合わせはほとんど見られなかった。したがってこの発明の実施の形態3における真空断熱材は、前記実施の形態1と同等の断熱効果が得られる。
また同様にして、異形断面繊維1として8個の突起部11を有する8突起異形断面繊維19とし、基準円直径ds9が約8μm、突起先端幅dk8が約3μm、突起高さhk7が約1.0μm になるようにして繊維シート3を試作したところ、熱伝導率は約40%上昇、すなわち断熱効果が約40%悪化した。この原因は突起高さhk7が低いために突起部11間の凹部14に円断面が接しているためであることが断面観察の結果認められた。このことから8突起異形断面繊維19では突起高さが1.0μm以上であることが望ましい。
なお、前記実施の形態において、繊維材料としてポリエチレンテレフタレート繊維を用いたが、ポリエステル系やそれ以外の有機繊維、例えばポリプロピレン、ポリスチレン、またはポリエチレンなどの有機繊維を用いてもよい。また、円形断面繊維2と異形断面繊維1を別個の材料としても同様な効果が得られる。
また、前記実施の形態において、繊維シート3を作製する方法として、溶融紡糸法を用いたが、これに限定されるものではなく、繊維シート3を形成できるのであればその他の方法、例えば乾式紡糸法および湿式紡糸法ならびに湿式製法等を用いてもよい。
1 異形断面繊維、2 円形断面繊維、3 繊維シート、4 芯材、5 外被材、6 6突起異形断面繊維、7 突起高さhk、8 突起先端幅dk、9 基準円直径ds、10 円形部、11 突起部、12 5突起異形断面繊維、13 3突起異形断面繊維、14 凹部、15 溶融紡糸用ダイ、16 異形断面ノズル、17 円形断面ノズル、18 7突起異形断面繊維、19 8突起異形断面繊維

Claims (6)

  1. 繊維シートが複数枚積層されてなる芯材と、該芯材を真空密閉して覆う外被材とを備えた真空断熱材において、前記繊維シートは、円形部と該円形部の円周上に配置された複数の突起部からなる異形断面繊維と、略円形の断面を有する円形断面繊維とを混合して形成されていることを特徴とする真空断熱材。
  2. 前記異形断面繊維と前記円形断面繊維が隣接した平面幾何学配置において、前記突起部の少なくとも1つの先端部と前記円形断面繊維の円周の一部とが接触していることを特徴とする請求項1記載の真空断熱材。
  3. 前記突起部における先端部の幅が、前記円形断面繊維の直径より小さいことを特徴とする請求項1または請求項2記載の真空断熱材。
  4. 前記突起部の突起数が6以上としたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の真空断熱材。
  5. 前記異形断面繊維を放出するノズルである異形断面ノズルと、前記円形断面繊維を放出するノズルである円形断面ノズルとを互いに1つおきに配置した紡糸用ダイを有することを特徴とする前記請求項1乃至前記請求項4のいずれか1つに記載の真空断熱材の製造装置。
  6. 前記異形断面繊維を放出するノズルである異形断面ノズルと、前記円形断面繊維を放出するノズルである円形断面ノズルとを互いに1つおきに配置した紡糸用ダイを用いたことを特徴とする前記請求項1乃至前記請求項4のいずれか1つに記載の真空断熱材の製造方法。
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