JP2010167998A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤサイド部にフィンを設けた場合に、タイヤサイド部の更なる冷却効率の向上を図ることができる空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】タイヤサイド部7にタイヤ幅方向に突出してタイヤ径方向に延びる乱流発生用フィン20を配設したランフラットタイヤ1である。乱流発生用フィン20には、乱流発生用フィン20の延在方向に交差して延びる貫通孔30を形成している。走行風が貫通孔30の内面に当たりながら、貫通孔30を通過することによって乱流発生用フィン20を冷却し、併せてタイヤサイド部7の冷却効率を向上させることができる。
【選択図】 図3
【解決手段】タイヤサイド部7にタイヤ幅方向に突出してタイヤ径方向に延びる乱流発生用フィン20を配設したランフラットタイヤ1である。乱流発生用フィン20には、乱流発生用フィン20の延在方向に交差して延びる貫通孔30を形成している。走行風が貫通孔30の内面に当たりながら、貫通孔30を通過することによって乱流発生用フィン20を冷却し、併せてタイヤサイド部7の冷却効率を向上させることができる。
【選択図】 図3
Description
本発明は空気入りタイヤに関し、特に劣化が生じやすいタイヤサイド部の温度低減を図ることができる空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤにおいては温度が上昇すると、材料物性の変化という経時的変化を促進したり、高速走行時にはトレッドの破損などの原因になるため、耐久性の観点から好ましくない。特に、重荷重で使用されるオフザロードラジアル(ORR)タイヤ、トラックバスラジアル(TBR)タイヤや、パンク走行時(内圧が0kPaでの走行時)のランフラットタイヤにおいては、耐久性を向上させるためにタイヤ温度を低減させることが大きな課題となっている。例えば断面が三日月形に形成された補強ゴムを設けたランフラットタイヤでは、パンク走行時に補強ゴムに径方向の変形が集中してこの部分が非常に高温に達し、耐久性に多大な影響を与える。
従来、空気入りタイヤの放熱を促進させる技術として、タイヤ本体の側部にタイヤ幅方向に突出するフィンを複数設け、タイヤ回転時にフィン近傍で空気の乱流を発生させることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、前述したフィンを設けた空気入りタイヤにおいては、車両走行によってフィンに熱が蓄積されると、タイヤサイド部の冷却効率が低下するおそれがあった。
本発明の目的は、タイヤサイド部にフィンを設けた場合に、タイヤサイド部の更なる冷却効率の向上を図ることができる空気入りタイヤを提供することにある。
本発明の第1の特徴は、タイヤの側面に配置されたタイヤサイド部(タイヤサイド部7)に、タイヤ径方向(タイヤ径方向D)に延設されると共にタイヤ幅方向に突出する乱流発生用フィン(乱流発生用フィン20)をタイヤ周方向(タイヤ周方向S)に所定間隔をおいて複数配設した空気入りタイヤ(ランフラットタイヤ1)であって、前記乱流発生用フィンに、前記乱流発生用フィンの延在方向に交差する方向に延びて乱流発生用フィンを貫通する貫通孔(貫通孔30)を形成したことを要旨とする。
第1の特徴によれば、前記乱流発生用フィンに、前記乱流発生用フィンの延在方向(タイヤ径方向)に交差する方向に延びて乱流発生用フィンを貫通する貫通孔を形成している。このため、タイヤ周方向に沿って流れてきた空気は、貫通孔の内面のうち、タイヤ径方向外側の面に当たって乱流となり、該乱流は貫通孔を長手方向に進みながら排出される。
従って、乱流発生用フィンを冷却して蓄熱を防止することができる。また、車両走行時に走行風を受ける表面積が、貫通孔の内面の分だけ増加するため、貫通孔を設けない場合よりも冷却効率が向上する。さらに、貫通孔を設けた分だけ、タイヤ全体の重量が軽減される。
その他の特徴では、前記貫通孔(貫通孔30)は、タイヤ周方向(タイヤ周方向S)に対して所定角度(角度θ)傾斜して延設されていることを要旨とする。
その他の特徴では、前記貫通孔(貫通孔30)は、一つの乱流発生用フィン(乱流発生用フィン20)について複数形成されていることを要旨とする。
本発明によれば、タイヤサイド部にフィンを設けた場合に、タイヤサイド部の更なる冷却効率の向上を図ることができる空気入りタイヤを提供できる。
以下、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤの詳細を図面に基づいて説明する。但し、図面は模式的なものであり、各材料層の厚みやその比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
〈ランフラットタイヤの概略構成〉
図1は本発明の実施の形態に係るランフラットタイヤの側面図、図2は本発明の実施の形態に係るランフラットタイヤの要部断面を示す斜視図である。
図1は本発明の実施の形態に係るランフラットタイヤの側面図、図2は本発明の実施の形態に係るランフラットタイヤの要部断面を示す斜視図である。
図1および図2に示すように、空気入りタイヤであるランフラットタイヤ1は、タイヤ幅方向に離間して配置された一対の円環状のビードコア2,2と、これらのビードコア同士2,2をクラウン状に結び、タイヤの骨格となるカーカス3と、該カーカス3の頂部上に配置されたベルト層4と、カーカス3の頂部に設けられたトレッド部5と、該トレッド部5のタイヤ幅方向両側に形成されたショルダー部6と、タイヤ側面を構成するタイヤサイド部7とを備えている。前記トレッド部5には、タイヤ周方向に延びる周方向溝8が形成され、前記ビードコア2には、例えばスチールコードが用いられる。
また、タイヤサイド部7に対応するカーカス3のタイヤ幅方向内側には、タイヤサイド部7を補強するサイドウォール補強層9が設けられている。このサイドウォール補強層9は、タイヤ幅方向断面において三日月形状のゴムストックによって形成されている。
前記ビードコア2のタイヤ径方向外側には、ビードフィラー11が配設されており、これらのビードコア2とビードフィラー11とによってビード部12が構成されている。
タイヤサイド部7には、乱流発生用フィン20が設けられている。該乱流発生用フィン20は、ビード部12の近傍からショルダー部6にかけてタイヤ径方向に延びており、タイヤ幅方向外側に突出している。また、図1に示すように、乱流発生用フィン20は、周方向に沿って複数(本実施形態では8つ)近接して1つのフィン群を形成し、このフィン群が周方向に沿って間欠的に5つずつ設けられている。
〈乱流発生用フィンの構成〉
図3は本発明の実施の形態に係る乱流発生用フィンを示す斜視図、図4は図3をタイヤ幅方向外側から見た平面図、図5は図3をタイヤ径方向内側から見た側面図である。なお、これらの図に示す乱流発生用フィンは、タイヤ径方向内側の端部近傍を拡大して示している。
図3は本発明の実施の形態に係る乱流発生用フィンを示す斜視図、図4は図3をタイヤ幅方向外側から見た平面図、図5は図3をタイヤ径方向内側から見た側面図である。なお、これらの図に示す乱流発生用フィンは、タイヤ径方向内側の端部近傍を拡大して示している。
これらの図に示すように、乱流発生用フィン20は、タイヤ幅方向外側に配置された頂壁面21と、該頂壁面21に対向配置された底壁面22と、タイヤ周方向両側に配置されてタイヤ径方向に延びる径方向壁面23,24と、タイヤ径方向両側に配置されてタイヤ周方向に延びる周方向壁面25とから画成されている。
図5に示すように、周方向壁面25はタイヤ径方向内側から見ると台形状に形成されており、径方向壁面23,24の双方は、タイヤ幅方向外側に向かうにつれて互いに近づくように斜め方向に延びている。
また、円筒状に形成された複数の貫通孔30が、これらの径方向壁面同士23,24を結ぶように乱流発生用フィン20をタイヤ周方向に貫通して形成されている。図5に示すように、貫通孔30は、径方向壁面23,24のうち、底壁面22の近く(即ち、乱流発生用フィン20におけるタイヤ幅方向内側の端部近傍)に形成されている。また、図4に示すように、貫通孔30の延在方向Pは、乱流発生用フィン20の延在方向(タイヤ径方向D)に交差する方向に延びており、かつ、タイヤ周方向Sに対して所定角度θだけ傾斜して延びている。この所定角度θは、15〜75°が好ましく、30〜60°が更に好ましい。
〈乱流の発生の説明〉
次に、乱流の発生の状態を説明する。
次に、乱流の発生の状態を説明する。
図6は、貫通孔がない乱流発生用フィンによる乱流発生状態を示す説明図、図7は本発明の実施の形態に係る乱流発生用フィンに形成した貫通孔内を通る空気の流れを示す断面図である。
図6に示すように、ランフラットタイヤ1の回転に伴い、乱流発生用フィン20が形成されていないタイヤサイド部7の一般面7aに接触していた空気の流れS1が乱流発生用フィン20で一般面7aから剥離されて乱流発生用フィン20を乗りこえることによって乱流となる。このとき、乱流発生用フィン20の流れ方向の背面側には、空気の流れが滞留する部分(領域)S2が生じる。そして、空気の流れ(乱流)S1は、次の乱流発生用フィン20との間の底部(一般面7a)に再付着して、次の乱流発生用フィン20で再び剥離される。このとき、空気の流れS1と次の乱流発生用フィン20との間には、空気の流れが滞留する領域S3が生じる。ここで、乱流S1が接触する領域上の速度を大きくすることが放熱率を高めるために優位となると考えられる。
ここで、本発明では、乱流発生用フィン20に貫通孔30を形成している。従って、図7に示すように、タイヤ周方向Sに沿って流れてきた空気S1は、貫通孔30の内面31のうち、タイヤ径方向外側の面に当たって乱流S4となり、該乱流S4は貫通孔30を長手方向に進みながら排出される。この排出された空気流S4は、タイヤ周方向に沿って隣の乱流発生用フィン20に向けて流れる。
<作用効果>
(1)本実施形態では、劣化の発生が他の部分に比較して起こり易いタイヤサイド部7に乱流発生用フィン20を設けたことにより、この乱流発生用フィン20で発生した空気の乱流S1でタイヤサイド部7の放熱を促進させることができる。これは、タイヤを構成するゴムは熱伝導性の悪い材料であるため、放熱面積を拡大して放熱を促進させるよりも、乱流の発生を促進させて空気の乱流を直接タイヤサイド部7に当てることによる放熱効果が大きくなると考えられる。
(1)本実施形態では、劣化の発生が他の部分に比較して起こり易いタイヤサイド部7に乱流発生用フィン20を設けたことにより、この乱流発生用フィン20で発生した空気の乱流S1でタイヤサイド部7の放熱を促進させることができる。これは、タイヤを構成するゴムは熱伝導性の悪い材料であるため、放熱面積を拡大して放熱を促進させるよりも、乱流の発生を促進させて空気の乱流を直接タイヤサイド部7に当てることによる放熱効果が大きくなると考えられる。
特に、重荷重用タイヤ(ORR)や、三日月形補強ゴムが設けられたタイヤサイド部7を有するランフラットタイヤ1やTBR(トラックバスラジアル)のように、長期使用において他の部分に比較してタイヤサイド部7に損傷が発生し易い空気入りタイヤにおいて、タイヤサイド部7の温度を低減させる効果が高くなる。
(2)本実施形態では、前記乱流発生用フィン20に、該乱流発生用フィン20の延在方向(タイヤ径方向D)に交差する方向に延びて乱流発生用フィン20を貫通する貫通孔30を形成している。このため、タイヤ周方向Sに沿って流れてきた空気S1は、貫通孔30の内面31のうち、タイヤ径方向外側の面に当たって乱流S4となり、該乱流S4は貫通孔30を長手方向に進みながら排出される。
従って、乱流発生用フィン20を冷却して蓄熱を防止することができる。また、車両走行時に走行風を受ける表面積が、貫通孔30の内面31の分だけ増加するため、貫通孔30を設けない場合よりも冷却効率が向上する。さらに、貫通孔30を設けた分だけ、タイヤ全体の重量が軽減される。
(3)前記貫通孔30は、タイヤ周方向Sに対して所定角度(θ)傾斜して延設されている。従って、貫通孔30がタイヤ周方向Sに沿って延設されている場合よりも、タイヤ周方向Sに流れる空気流が当たる貫通孔30の内面31の面積が向上するため、乱流発生用フィン20の畜熱を防止してタイヤサイド部7の冷却を効率的に行うことができる。また、タイヤ周方向Sに沿って延設されている場合よりも、貫通孔30の長さが長くなり、重量軽減効果も向上する。
(4)前記貫通孔30は、一つの乱流発生用フィン20について複数形成されているため、タイヤサイド7の冷却効率が更に向上すると共に、更なる重量軽減効果が得られる。
[その他の実施の形態]
前述した実施の形態の開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
前述した実施の形態の開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
例えば、前記した各実施の形態では、空気入りタイヤとしてランフラットタイヤ1を適用したが、オフザロードラジアル(ORR)タイヤ、トラックバスラジアル(TBR)タイヤなどの他のタイプのタイヤに適用できることは勿論である。また、貫通孔30を乱流発生用フィン20におけるタイヤ幅方向内側の端部近傍に形成したが、タイヤ幅方向の中央部に形成しても良い。さらに、本実施形態では、貫通孔30の数は特に限定されず、複数設けることが好ましい。
以下に、実施例を通して本発明を更に具体的に説明する。
従来例、比較例、および本発明例に係る空気入りタイヤは、ともに、タイヤサイズが215/40R17とした。タイヤ重量および温度は、表1に示すように、従来例のタイヤを100として相対的な数値を表示した。従来例の空気入りタイヤでは、乱流発生用フィンがなく、従来例の空気入りタイヤでは、乱流発生用フィンを○○個形成した。また、本発明例の空気入りタイヤでは、乱流発生用フィンを83個形成し、かつ、乱流発生用フィンにタイヤ周方向に対して角度45°だけ傾斜した貫通孔を一つのフィンにつき、3個設けた。
表1に示すように、本発明例の空気入りタイヤは、比較例の空気入りタイヤよりも重量が小さくなった。また、本発明例の空気入りタイヤは、従来例および比較例の空気入りタイヤよりもタイヤサイド部の温度上昇が抑制された。
θ…所定角度
D…タイヤ径方向
P…フィンの延在方向
S…タイヤ周方向
1…ランフラットタイヤ(空気入りタイヤ)
7…タイヤサイド部
20…乱流発生用フィン
30…貫通孔
D…タイヤ径方向
P…フィンの延在方向
S…タイヤ周方向
1…ランフラットタイヤ(空気入りタイヤ)
7…タイヤサイド部
20…乱流発生用フィン
30…貫通孔
Claims (3)
- タイヤの側面に配置されたタイヤサイド部に、タイヤ径方向に延設されると共にタイヤ幅方向に突出する乱流発生用フィンをタイヤ周方向に所定間隔をおいて複数配設した空気入りタイヤであって、
前記乱流発生用フィンに、前記乱流発生用フィンの延在方向に交差する方向に延びて乱流発生用フィンを貫通する貫通孔を形成したことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記貫通孔は、タイヤ周方向に対して所定角度傾斜して延設されていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記貫通孔は、一つの乱流発生用フィンについて複数形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009014373A JP2010167998A (ja) | 2009-01-26 | 2009-01-26 | 空気入りタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2009014373A JP2010167998A (ja) | 2009-01-26 | 2009-01-26 | 空気入りタイヤ |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101656346B1 (ko) * | 2015-07-17 | 2016-09-12 | 넥센타이어 주식회사 | 런플랫 타이어 |
JP2017007363A (ja) * | 2015-06-16 | 2017-01-12 | 東洋ゴム工業株式会社 | 非空気圧タイヤ |
-
2009
- 2009-01-26 JP JP2009014373A patent/JP2010167998A/ja active Pending
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