JP2010165618A - 静電容量型入力装置及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】例え絶縁体を使用しても入力作業に支障を来たすことのない静電容量型入力装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】押圧操作される被押圧層１と、この被押圧層１の裏面に積層される模様層２と、この模様層２に積層され、一対の電極体１１・１１Ａの間に誘電体１２が介在したコンデンサ層１０とを備え、これら被押圧層１、模様層２、及びコンデンサ層１０を積層方向にそれぞれ変形可能に形成し、コンデンサ層１０の静電容量の変化を検出して入力信号に変換する。センサと接触する指とでコンデンサを構成するのではなく、押圧操作に伴うコンデンサ層１０の変形により静電容量を変化させるので、絶縁性の手袋を嵌めた場合や義手の場合でも、静電容量の変化を確実に検出できる。
【選択図】図１

Description

本発明は、エアコン、オーディオ、携帯電話に代表される携帯機器等に使用される静電容量型入力装置及びその製造方法に関するものである。

入力装置には様々なタイプがあるが、その一つとして、オーディオやパソコンに採用されている静電容量型入力装置があげられる。この種の静電容量型入力装置は、図示しないが、平板のセンサと指とがコンデンサを構成し、このコンデンサが、センサ表面のどの位置に指が存在するかを微弱な静電容量の変化として検出し、センサ表面をなぞった指の軌跡を所定の機能、例えばマウスポインタの動作等に関連付けるよう機能する（特許文献１、２、３参照）。

特公平７‐９９３４６号公報 Ｗ０２００３／０３６２４７号公報 特開平５‐２６７５３号公報

従来における静電容量型入力装置は、以上のように構成され、コンデンサの構成にセンサと導電体である指とを必要とするので、絶縁性の手袋を嵌めた場合や義手の場合等には、コンデンサを構成して静電容量の変化を検出することができず、入力作業に支障を来たすという問題がある。

本発明は上記に鑑みなされたもので、例え絶縁体を使用しても入力作業に支障を来たすことのない静電容量型入力装置及びその製造方法を提供することを目的としている。

本発明においては上記課題を解決するため、静電容量の変化を検出して入力信号に変換するものであって、
押圧操作される被押圧層と、この被押圧層に積層され、一対の電極体の間に誘電体が介在するコンデンサ層とを含み、被押圧層とコンデンサ層とをそれぞれ変形可能に形成したことを特徴としている。

なお、被押圧層とコンデンサ層のうち、少なくともコンデンサ層を支持する支持層を備えることができる。
また、被押圧層、コンデンサ層、及び支持層のうち、少なくとも被押圧層とコンデンサ層とに光透過性をそれぞれ付与することができる。
また、被押圧層に模様層を積層することができる。

また、模様層の少なくとも一部を発光部とし、コンデンサ層の誘電体を、光源からの光線を導光して被押圧層の発光部を照明するライトガイドとすることが可能である。
また、コンデンサ層に、変形可能な接点素子をＯＮ‐ＯＦＦ動作させるアクチュエータ層を積層することが可能である。

また、本発明においては上記課題を解決するため、請求項１ないし６いずれかに記載の静電容量型入力装置の製造方法であって、
被押圧層に一の電極体を積層して中間体を形成し、この中間体を金型にセットして支持層を成形することにより支持層を備えた中間体を成形し、この中間体を金型にセットして誘電体を成形し、その後、支持層に他の電極体を形成してコンデンサ層を得ることを特徴としている。

また、被押圧層に一の電極体を形成するとともに、他の電極体と支持層とを一体化し、これらの中間体を金型にセットし、対向する一対の電極体間に誘電体の材料を射出して誘電体を成形することにより、コンデンサ層を形成することも可能である。
また、被押圧層に一の電極体を形成し、この中間体を金型にセットして一の電極体に誘電体の材料を射出することにより誘電体を成形し、その後、誘電体に他の電極体を形成することによりコンデンサ層を形成するようにしても良い。

ここで、特許請求の範囲における被押圧層、コンデンサ層の一対の電極体や誘電体、支持層、模様層、アクチュエータ層は、単数複数の数、長さ、大きさ等を特に問うものではない。コンデンサ層は、被押圧層に直接的に積層されても良いし、他の層を介し間接的に積層されても良い。このコンデンサ層の誘電体は、一対の電極体間に隙間なく介在しても良いし、一対の電極体間に間隔をおいて介在しても良い。

模様層は、被押圧層の表面あるいは裏面の全部又は一部に適宜積層することができ、必要に応じ、光透過性を付与することもできる。さらに、本発明に係る静電容量型入力装置は、少なくともエアコン、オーディオ、携帯電話に代表される携帯機器、自動車のセンターコンソールやオーディオ等に使用される。

本発明によれば、静電容量型入力装置の被押圧層を押圧操作すると、コンデンサ層の誘電体が変形して一対の電極体の静電容量を変化させ、静電容量の変化が検出されて入力信号に変換される。

本発明によれば、導電体の他、例え絶縁体を使用して操作しても、入力作業に支障を来たすのを抑制することができるという効果がある。

また、被押圧層とコンデンサ層のうち、少なくともコンデンサ層を支持する支持層を備えれば、コンデンサ層の位置ずれやガタツキ等を適切に防ぐことができる。
また、少なくとも被押圧層とコンデンサ層とに光透過性をそれぞれ付与すれば、光源を用意して発光させることにより、被押圧層や模様層を照明することができ、暗闇等における操作の便宜を図ることができる。

また、被押圧層に模様層を積層すれば、模様層を文字や記号等に形成して入力操作の便宜を図ったり、静電容量型入力装置が設けられる機器の機能性、意匠性、質感等を向上させることができる。
また、模様層の少なくとも一部を発光部とし、コンデンサ層の誘電体を、光源からの光線を導光して被押圧層の発光部を照明するライトガイドとすれば、発光部の照明に際して多数の光源を使用する必要がなく、コストを削減することが可能となる。

さらに、コンデンサ層に、変形可能な接点素子をＯＮ‐ＯＦＦ動作させる変形可能なアクチュエータ層を積層すれば、入力時の接点素子の変形により、良好なクリック感を得ることが可能となる。

本発明に係る静電容量型入力装置の実施形態を模式的に示す断面説明図である。 本発明に係る静電容量型入力装置の第２の実施形態を模式的に示す断面説明図である。 本発明に係る静電容量型入力装置の第３の実施形態を模式的に示す断面説明図である。 本発明に係る静電容量型入力装置の第４の実施形態を模式的に示す断面説明図である。 本発明に係る静電容量型入力装置の第５の実施形態を模式的に示す断面説明図である。

以下、図面を参照して本発明に係る静電容量型入力装置の好ましい実施形態を説明すると、本実施形態における静電容量型入力装置は、図１に示すように、表面層を形成する被押圧層１と、この被押圧層１に積層される模様層２と、この模様層２に積層されるシート形のコンデンサ層１０と、このコンデンサ層１０を支持する支持層２０とを備え、被押圧層１、模様層２、及びコンデンサ層１０がそれぞれ積層方向に変形可能に形成されており、自動車のオーディオの入力装置として使用される。

被押圧層１は、例えば光透過性と可撓性とを有するポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂等を使用して薄いシートあるいはフィルムに成形され、模様層２やコンデンサ層１０を保護した状態で操作者の指、手袋を嵌めた指、義手、あるいは筆記具等により押圧操作される。

模様層２は、例えば被押圧層１の裏面に光透過性の文字、図形、記号、これらの結合、あるいはこれらと色彩との結合等が薄く加飾形成されることにより操作キー等として積層される。この模様層２の積層法は、特に限定されるものではないが、例えば光透過性のインクによるスクリーン印刷法やフィルムインサート成形法等が採用される。

コンデンサ層１０は、相対向する一対の電極体１１・１１Ａの間に誘電体１２が隙間なく挟持接着されることにより形成され、被押圧層１の裏面に一の電極体１１が模様層２を介して積層されており、図示しない回路基板に電気的に接続される。各電極体１１・１１Ａは、例えば光透過性を有する低抵抗の導電性ポリマーがスクリーン印刷等されることにより薄膜に形成される。また、誘電体１２は、可撓性や弾性を有する光透過性のシリコーンゴムやウレタンゴム等の材料を使用して薄く成形される。

支持層２０は、光透過性を有する所定の材料を使用して成形され、コンデンサ層１０の他の電極体１１Ａに積層される。所定の材料としては、特に限定されるものではないが、例えば硬質のポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル等があげられる。

支持層２０の裏面側には、被押圧層１の反対側に位置して有彩色（例えば赤、青、緑等）の光線を照射するＬＥＤ等からなる光源２１が間隔をおいて設置され、この光源２１の光線が支持層２０、コンデンサ層１０、模様層２、被押圧層１に順次入射することにより、模様層２が照明され、操作者の入力操作の便宜が図られる。

上記において、静電容量型入力装置を製造する場合には、先ず、被押圧層１に模様層２と一の電極体１１とをスクリーン印刷により順次積層して形成するとともに、他の電極体１１Ａと支持層２０とを成形等により積層して一体化し、中間体を製造する。

こうして中間体を製造したら、中間体を入れ子付きの金型にインサートし、その後、対向する一対の電極体１１・１１Ａ間に誘電体１２の材料を射出して誘電体１２を成形し、コンデンサ層１０を完成させれば、静電容量型入力装置を製造することができる。この際、金型の入れ子をスライドさせることにより、一対の電極体１１・１１Ａ間に誘電体１２を適切に射出成形することができる。

また、被押圧層１に模様層２と一の電極体１１とをスクリーン印刷により順次積層して形成し、この中間体を金型にセットして一の電極体１１に誘電体１２の材料を射出することにより誘電体１２を積層成形し、その後、誘電体１２に他の電極体１１Ａをスクリーン印刷により積層して一体化し、コンデンサ層１０を形成しても、静電容量型入力装置を製造することができる。

上記構成において、自動車のオーディオを入力装操作したい場合には、被押圧層１側から所定の模様層２を押圧操作（図１の矢印参照）すれば良い。すると、コンデンサ層１０の誘電体１２が厚さ方向に圧縮変形して一対の電極体１１・１１Ａ間の距離を変更し、一対の電極体１１・１１Ａの静電容量が変化し、この静電容量の変化が検出され、かつ入力信号に変換されることにより、自動車のオーディオを入力装操作することができる。

上記構成によれば、センサとなぞる指とでコンデンサを構成するのではなく、押圧操作に伴うコンデンサ層１０の変形により静電容量を変化させるので、絶縁性の手袋を嵌めた場合や義手等の場合でも、簡易な構成で静電容量の変化を確実に検出することができる。したがって、検出感度が向上するので、入力作業に何ら支障を来たすことがない。また、静電容量型入力装置の製造にスクリーン印刷法を用いるので、模様層２や電極体１１・１１Ａの厚さを容易に変更したり、これらの成分を簡単に変更することができ、基本設計の自由度を著しく向上させることができる。

次に、図２は本発明の第２の実施形態を示すもので、この場合には、被押圧層１の裏面に小型の模様層２とコンデンサ層１０とを順次積層し、被押圧層１の裏面に、コンデンサ層１０を支持する支持層２０を積層形成するようにしている。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、静電容量型入力装置の構成の多様化を図ることができるのは明らかである。

次に、図３は本発明の第３の実施形態を示すもので、この場合には、被押圧層１の裏面に小型の模様層２とコンデンサ層１０の一部とを順次積層し、被押圧層１の裏面に、コンデンサ層１０の一部を支持する支持層２０を積層形成するとともに、この支持層２０には、コンデンサ層１０の残部である他の電極体１１Ａを形成して誘電体１２と他の電極体１１Ａとを離隔させるようにしている。

この静電容量型入力装置を製造する場合には、先ず、被押圧層１に模様層２と一の電極体１１とをスクリーン印刷により順次積層して中間体を形成し、この中間体を金型にインサートして支持層２０の材料を射出することにより支持層２０を成形する。支持層２０を備えた中間体を成形したら、この中間体を入れ子付きの金型にインサートし、誘電体１２の材料を射出して誘電体１２を成形し、その後、支持層２０に他の電極体１１Ａを埋設等してコンデンサ層１０を完成させれば、静電容量型入力装置を製造することができる。

この際、金型の入れ子をスライドさせることにより、一の電極体１１に誘電体１２を適切に射出成形して積層することができる。また、誘電体１２の成形前に、支持層２０に他の電極体１１Ａを形成しても良い。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。

本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、一対の電極体１１・１１Ａ間に誘電体１２の材料を射出するのではなく、誘電体１２の成形後に支持層２０に他の電極体１１Ａを形成するので、誘電体１２の材料の射出に伴い、他の電極体１１Ａが損傷するおそれを排除することができ、静電容量型入力装置の製造の容易化が大いに期待できる。また、一対の電極体１１・１１Ａの表面に保護層を設ければ、射出成形の際に損傷防止を図ることができる。

次に、図４は本発明の第４の実施形態を示すもので、この場合には、模様層２を複数の発光部３として被押圧層１の表面に配列し、コンデンサ層１０の誘電体１２を、ＬＥＤからなる横方向の光源２１からの光線をＸＹ方向に導光して被押圧層１の複数の発光部３を照明する光透過性のライトガイド１３とするようにしている。

各発光部３は、例えば所定のインクを用いるスクリーン印刷法により操作キーとして形成される。また、ライトガイド１３は、例えばシリコーンゴムを使用して屈曲可能な柔軟な板形に成形され、表面には、光線の導光・散乱により面発光する散乱透過模様１４がスクリーン印刷等により形成されており、この散乱透過模様１４が発光部３に電極体１１を介して対向する。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。

上記構成において、光源２１が発光すると、光線は、ライトガイド１３の周面から内部に入射して導光・伝送され、各散乱透過模様１４を通過・散乱して散乱透過模様１４を面発光させ、この散乱透過模様１４の面発光により、被押圧層１の複数の発光部３が照明される。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、誘電体１２とライトガイド１３とを兼用して光線を導光・散乱させるので、多数の光源２１を使用する必要がなく、大幅なコスト削減を図ることができる。

次に、図５は本発明の第５の実施形態を示すもので、この場合には、コンデンサ層１０の裏面に変形可能なアクチュエータ層３０を積層して支持層２０を省略し、アクチュエータ層３０から先細りのプッシャ３１を下方に突出させて回路基板３２の接点素子であるメタルドーム３３に近接させ、被押圧層１の押圧操作に基づき、プッシャ３１を圧下してメタルドーム３３を変形させることにより、メタルドーム３３をＯＮ‐ＯＦＦ動作させるようにしている。

アクチュエータ層３０は、例えばシリコーンゴムを含む成形材料により可撓性の薄いシートに成形される。また、メタルドーム３３は、例えば変形可能な中空半球形に湾曲形成され、プッシャ３１の圧下により圧潰してＯＮ動作し、圧下したプッシャ３１の離隔により元の形態に復帰してＯＦＦ動作するよう機能する。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。

本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、静電容量の確実な検出の他、メタルドーム３３の変形により、良好なクリック感を得ることができる。

なお、上記実施形態の支持層２０には、必要に応じ、弾性変形性等を付与したり、不透明等とすることができる。また、上記実施形態では電極体１１・１１Ａを導電性ポリマーによりスクリーン印刷したが、何らこれに限定されるものではない。例えば、導電膜を貼着することにより電極体１１・１１Ａを形成しても良い。

また、コンデンサ層１０の一の電極体１１を複数の電極片に分割形成し、他の電極体１１Ａをシート形に形成しても良い。さらに、コンデンサ層１０にアクチュエータ層３０を直接的に積層しても良いが、コンデンサ層１０の裏面に変形可能なアクチュエータ層３０を接着層等を介し間接的に積層しても良い。

１ 被押圧層
２ 模様層
３ 発光部
１０ コンデンサ層
１１ 電極体
１１Ａ 電極体
１２ 誘電体
１３ ライトガイド層
２０ 支持層
２１ 光源
３０ アクチュエータ層
３１ プッシャ
３２ 回路基板
３３ メタルドーム（接点素子）

Claims (7)

1. 静電容量の変化を検出して入力信号に変換する静電容量型入力装置であって、押圧操作される被押圧層と、この被押圧層に積層され、一対の電極体の間に誘電体が介在するコンデンサ層とを含み、被押圧層とコンデンサ層とをそれぞれ変形可能に形成したことを特徴とする静電容量型入力装置。
2. 被押圧層とコンデンサ層のうち、少なくともコンデンサ層を支持する支持層を備えてなる請求項１記載の静電容量型入力装置。
3. 被押圧層、コンデンサ層、及び支持層のうち、少なくとも被押圧層とコンデンサ層とに光透過性をそれぞれ付与した請求項２記載の静電容量型入力装置。
4. 被押圧層に模様層を積層した請求項１、２、又は３記載の静電容量型入力装置。
5. 模様層の少なくとも一部を発光部とし、コンデンサ層の誘電体を、光源からの光線を導光して被押圧層の発光部を照明するライトガイドとした請求項４記載の静電容量型入力装置。
6. コンデンサ層に、変形可能な接点素子をＯＮ‐ＯＦＦ動作させるアクチュエータ層を積層した請求項１ないし５いずれかに記載の静電容量型入力装置。
7. 請求項１ないし６いずれかに記載の静電容量型入力装置の製造方法であって、被押圧層に一の電極体を積層して中間体を形成し、この中間体を金型にセットして支持層を成形することにより支持層を備えた中間体を成形し、この中間体を金型にセットして誘電体を成形し、その後、支持層に他の電極体を形成してコンデンサ層を得ることを特徴とする静電容量型入力装置の製造方法。

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