JP2010164311A - 耐擦傷性試験装置および耐擦傷性試験方法 - Google Patents

耐擦傷性試験装置および耐擦傷性試験方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ワークの表面に生じる傷の発生をリアルタイムにかつ高精度に検出することができる耐擦傷性試験装置および耐擦傷性試験方法を提供すること。
【解決手段】耐擦傷性試験装置1は、載置台11と、この載置台11上に載置されたテーブル12と、擦傷具13と、擦傷具13が取り付けられる第1の支持部材14と、傷を検出する検出手段としての擦傷検出手段16と、除去手段としての吸引ノズル17を有する。擦傷検出手段16は、眼鏡レンズLに対して発光する第1の発光部161および第2の発光部162と、第1の発光部161から発光された光を眼鏡レンズLを介して受光する第1の受光部163と、第2の発光部162から発光された光を眼鏡レンズLを介して受光する第2の受光部164と、第1の発光部161および第2の発光部162を角度調整可能に支持する第2の支持部材165と、を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、ワーク表面の耐擦傷性を評価する耐擦傷性試験装置および耐擦傷性試験方法に関する。
従来、眼鏡レンズには、種々の性能が求められている。その中でも、使用中や保管時に他の物体とふれ合った際の傷つき難さ(耐擦傷性)は特に重要な性能である。そこで、これまで、眼鏡レンズ表面の耐擦傷性を評価するための装置が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、スチールウール、ワイヤーブラシまたは比較的柔らかな部材などの擦傷物を荷重を加えてレンズに押し付けながら往復運動させ、擦傷後の外観を目視して耐擦傷性を評価している。
また、特許文献2では、コーティングが施された各種材料表面の摩擦・摩耗特性を、摩擦力、摩擦係数、摩耗深度および摩耗体積を測定することにより評価している。具体的には、試験片を摺動する際に試験片に接する測定子の針部に生じる振動を検出することにより、摩耗深度および摩耗体積を測定している。
特開2005−258207号公報 特開2004−301791号公報
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、往復運動の終了後にレンズの外観状態を評価するため、耐擦傷性試験において最初に傷が入る瞬間が重要であるにも関わらず、往復運動のどのタイミングでレンズに傷が入ったかを確認することができない。
また、特許文献2に記載の装置では、針部の先端の振動によりデータのぶれが発生し、解析が非常に困難となる。そのため、特に微小な傷を検出しようとする場合は、正確なデータを得ることができない。
さらに、特許文献1および特許文献2に記載の装置で試験を実施すると、傷が発生した場所から摩耗粉が発生する。摩耗粉は静電気等により擦傷物に付着し、往復運動中に散乱するため、摩耗粉が落ちた場所に傷が発生したように見え、傷を検出する際の精度が落ちるという問題がある。
本発明の目的は、ワークの表面に生じる傷の発生をリアルタイムにかつ高精度に検出することができる耐擦傷性試験装置および耐擦傷性試験方法を提供することである。
本発明の耐擦傷性試験装置は、ワーク表面の耐擦傷性を評価する耐擦傷性試験装置であって、前記ワークを保持する第1の保持手段と、前記ワークの表面に当接する先端部を有する擦傷具と、前記擦傷具を、前記ワークの表面に押圧可能に保持する第2の保持手段と、前記第1の保持手段および前記第2の保持手段のうち少なくともいずれか一方を移動させることにより相対運動を行わせる移動制御手段と、前記ワークの表面に発生する傷を前記相対運動を行っている間に検出する検出手段と、前記傷の発生とともに発生する摩耗粉を前記相対運動を行っている間に除去する除去手段と、を備えたことを特徴とする。
この発明は、ワーク表面の耐擦傷性を評価するための耐擦傷性試験装置である。ワークを保持する第1の保持手段と、ワークの表面を擦傷する擦傷具を保持する第2の保持手段とのうちいずれか一方を往復運動させることにより、ワークと擦傷具は互いに相対運動を行う。この相対運動によりワークの表面に当接された擦傷具がワークの表面を擦傷する。そして、検出手段は、相対運動している間中、ワークの表面に発生する傷を検出する。また、除去手段は、相対運動している間中、ワークの表面の傷の発生場所から発生する摩耗粉などのゴミを除去する。ここで、ワークとしては、眼鏡レンズや金属製の材料などが挙げられる。
このため、相対運動している間に、どのタイミングで傷が発生したかをリアルタイムに検出することができる。また、相対運動している間に発生する摩耗粉などのゴミをすぐに除去することができるため、摩耗粉による誤検出を防止することができ、精度の高い試験を行うことができる。
本発明の耐擦傷性試験装置において、前記除去手段は、前記擦傷具の前記先端部近傍に吸引口を有する吸引ノズルであることが好ましい。
この発明では、除去手段として吸引ノズルを使用する。吸引ノズルは、擦傷具の先端部の近傍に吸引口を有しているので、擦傷具の擦傷により発生した摩耗粉をいち早く吸引することができる。したがって、その後の擦傷の動作に影響を与えることがない。また、検出手段が摩耗粉を誤検出することもないので、精度の高い試験を実施することができる。
本発明の耐擦傷性試験装置において、前記除去手段は、前記擦傷具が前記相対運動を行う際の動線上に設けられることが好ましい。
ワークを保持する第1の保持手段と、擦傷具を保持する第2の保持手段とが往復運動を行うため、ワークの表面において、擦傷具は一方向の動線上を移動する。したがって、この動線上に傷が発生することになる。
この発明では、除去手段がこの動線上に設けられるため、動線上で発生した摩耗粉をいち早く除去することができるため、精度の高い試験を実施することができる。
本発明の耐擦傷性試験装置において、前記検出手段は、前記擦傷具の前記先端部が前記相対運動を行う際の前記先端部の軌跡を検出対象とすることが好ましい。
この発明では、検出手段は擦傷具の先端部の軌跡を検出対象とする。本発明の耐擦傷性試験装置では、傷は擦傷具の先端部が相対運動する動線上に発生する。したがって、先端部の軌跡を検出することにより、発生した傷を確実に検出することができる。
本発明の耐擦傷性試験装置において、前記検出手段は、前記ワークの表面における前記先端部の軌跡に対して光を照射する発光部と、前記発光部から照射された光を前記ワークを介して受光する受光部と、を有することが好ましい。
この発明では、検出手段として発光部と受光部とを用い、発光部から照射された光をワークを介して受光部で受光する。ワークの表面に傷がある場合は、傷に入光した光は散乱するため、受光部で受光する光量は減少する。これを利用して傷の発生を検出することができる。
なお、ワークの材質によって光がワークを透過または反射するので、ワークの材質に応じて受光部の設置位置を調整する必要がある。ワークが眼鏡レンズである場合は、光は眼鏡レンズを透過するので、眼鏡レンズの発光部とは反対側の位置に発光部と対向させて配置する。
また、発光部からの光は、擦傷具の先端部の軌跡に対して発光するので、先端部の軌跡上の傷をいち早く検出することができるとともに、リアルタイムに傷を検出することができるので、傷が発生するタイミングを検出することができ、精度の高い試験を行うことができる。
本発明の耐擦傷性試験装置において、前記ワークは、レンズであることが好ましい。
本発明の耐擦傷性試験装置において、前記発光部と前記受光部とは、前記レンズを挟んで対向する位置に設けられることが好ましい。
この発明は、レンズは透明体であるので、前述のように、発光部と受光部とがレンズを挟んで対向する位置に設けられるため、発光部で発光された光を受光部で受光することができる。したがって、前述と同様の作用効果を奏することができる。
本発明の耐擦傷性試験方法は、ワーク表面の耐擦傷性を評価する耐擦傷性試験方法であって、前記ワークの表面に先端部を有する擦傷具を当接させる当接工程と、前記ワークを保持する第1の保持手段と、前記擦傷具を前記ワークの表面に押圧可能に保持する第2の保持手段と、のうち少なくともいずれか一方を移動させることにより相対運動させる擦傷工程と、前記ワークの表面に発生する傷を前記相対運動している間に検出する検出工程と、前記傷の発生とともに発生する摩耗粉を前記相対運動している間に除去する除去工程と、を備えることを特徴とする。
この発明では、ワークの表面に擦傷具の先端部を当接させ、ワークを保持する第1の保持手段と擦傷具を保持する第2の保持手段とを互いに相対運動させて、擦傷具の先端部でワークの表面を擦傷する。このとき、この擦傷により発生する傷を検出するとともに、傷の発生とともに発生する摩耗粉を除去しながら、相対運動を実施する。
これによれば、擦傷により発生した傷をリアルタイムに検出することができるとともに、傷の発生場所から発生した摩耗粉を瞬時に除去することができるので、精度の高い耐擦傷性試験を実施することができる。
以下、本発明の耐擦傷性試験装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
(耐擦傷性試験装置の構成)
図1は、本発明の実施形態にかかる耐擦傷性試験装置の概略図である。図2は、前記実施形態における擦傷具の先端部と光の入光位置との関係を示す説明図である。図3は、前記実施形態における発光部からの照射と受光部における受光の関係を示す説明図である。図4は、前記実施形態における耐擦傷性試験装置で試験した結果を表すグラフである。
図1に示すように、耐擦傷性試験装置1は、載置台11と、この載置台11上に載置されたテーブル12と、擦傷具13と、擦傷具13が取り付けられる第1の支持部材14と、傷を検出する検出手段としての擦傷検出手段16と、除去手段としての吸引ノズル17と、を有する。
テーブル12は、レール部121と、レール部121上に設置された第1の保持手段としてのX軸テーブル122とを有する。
レール部121には、X軸方向に延びる凹部121Aが形成されており、この凹部121A内をX軸テーブル122が矢印X1方向に摺動する。また、後述するが、レール部121には、擦傷検出手段16の一部である第1の受光部163および第2の受光部164が設けられている。
X軸テーブル122は、平面矩形状のテーブルである。このX軸テーブル122の上面には、眼鏡レンズLを固定するための一対のチャック122Aが設けられている。このチャック122Aは、眼鏡レンズLの外周形状に応じた形状となっており、眼鏡レンズLの外周部を挟み込んで固定する。固定された眼鏡レンズLはレンズ面が擦傷具13と対向配置されることとなる。また、X軸テーブル122の1対のチャック122Aに挟まれた領域には、X軸テーブル122が貫通して形成された貫通部122Bを有している。貫通部122Bは略矩形状に貫通し、擦傷具13と眼鏡レンズLとの往復運動による動線と対向している。
このX軸テーブル122は、載置台11上面に設けられたスイッチ123により摺動(X軸方向に沿った往復運動)を開始する。また、X軸テーブル122の摺動スピードは、載置台11上面に設けられたつまみ124により任意に設定することができる。本実施形態では、摺動スピードを2mm/s以上10mm/s以下の範囲に設定することが好ましい。さらに、カウンター125により、X軸テーブル122の往復運動の回数を予め設定することができる。従って、所定の回数に達したところで、往復運動を停止するように設定しておけば、正確に所定の回数の往復運動を行うことができる。
擦傷具13は、半径(R)0.01mm以上かつ0.5mm以下の半球形状に形成された先端部131を有し、この先端部131の球面は眼鏡レンズLに当接している。擦傷具13は、高硬度の材料で形成されることが好ましく、例えば、ダイヤモンド、サファイヤ、ステンレス鋼などが挙げられる。
第1の支持部材14は、載置台11に立設されたL字型の支持部材本体141と、この支持部材本体141に接続された第2の保持手段としての支持軸142と、を有する。
支持部材本体141は、載置台11上面に対し垂直に延びる柱状部141Aと、この柱状部141Aの上端から載置台11上面に対し平行に延びる延出部材141Bと、を有する。延出部材141Bは、略四角柱形状であり、この延出部材141Bの延出方向先端部には、支持軸142が貫通している。
支持軸142は、X軸テーブル122のチャック122Aに固定された眼鏡レンズLに向かって延びている。
支持軸142の延出方向先端部には、擦傷具13が取付可能となっている。一方、支持軸142の延出方向後端部には、荷重部15が装着可能となっている。この荷重部15は、円盤状に形成されており、中央部の内部にねじ溝が刻設された貫通孔が形成されている。支持軸142の延出方向後端部には、ねじが刻設されており、前記荷重部15のねじ溝と、支持軸142の延出方向後端部のねじとを螺合することで、荷重部15が支持軸142に装着されることとなる。この荷重部15の重さは、1g以上かつ500g以下であり、擦傷具13には、この荷重がかかることとなる。
また、この支持軸142は、Y軸方向(図1の上下(矢印Y1)方向)に可動する構造となっており、この支持軸142の先端に取り付けられる擦傷具13が眼鏡レンズL表面の形状に沿って追従できるようになっている。
擦傷検出手段16は、眼鏡レンズLに対して発光する第1の発光部161および第2の発光部162と、第1の発光部161から発光された光を眼鏡レンズLを介して受光する第1の受光部163と、第2の発光部162から発光された光を眼鏡レンズLを介して受光する第2の受光部164と、第1の発光部161および第2の発光部162を角度調整可能に支持する第2の支持部材165と、を備えている。
第1の発光部161および第2の発光部162は、眼鏡レンズLの上部斜め方向から入光できる位置に設置される。
第1の受光部163および第2の受光部164は、レール部121の凹部121Aに凹状に形成された設置部121B(図3参照)内に、眼鏡レンズLを介して第1の発光部161および第2の発光部162から発光される光を受光可能に配置されている。第1の発光部161から発光され、眼鏡レンズLを透過した光は、X軸テーブル122の貫通部122Bを通過して第1の受光部163で受光される。また、第2の発光部162から発光され、眼鏡レンズLを透過した光は、X軸テーブル122の貫通部122Bを通過して第2の受光部164で受光される。
ここで、第1の発光部161および第2の発光部162から眼鏡レンズLへの入光位置について説明する。図2に示すように、第1の発光部161から照射される光は眼鏡レンズLの入光位置Aに入光し、第2の発光部162から照射される光は眼鏡レンズLの入光位置Bに入光する。入光位置AおよびBは、擦傷具13の先端部131と眼鏡レンズLとが相対的に移動する動線l上にあることが好ましい。したがって、図2における先端部131の動線l上の、先端部131を挟んだ位置を入光位置AおよびBとする。入光位置AおよびBは、先端部131の近傍であれば特に限定されないが、たとえば、先端部131から1mm以上かつ5mm以下の範囲で離れた位置であることが好ましい。より好ましくは1mm以上かつ3mm以下である。
図2において、眼鏡レンズLがX1方向の往路側に移動した場合、先端部131は相対的に復路側に移動する。このとき、当接された擦傷具13の先端部131は眼鏡レンズLの動線l上を擦傷する。擦傷検出手段16は、先端部131が相対的に移動する際の軌跡を検出対象とするため、この場合は、入光位置Aに対して発光する第1の発光部161の光量と第1の受光部163で受光する光量に基づいて傷を検出する。一方、眼鏡レンズがX1方向の復路側に移動した場合は、先端部131が相対的に往路側に移動することになるので、入光位置Bに対して発光する第2の発光部162の光量と第2の受光部164で受光する光量に基づいて傷を検出する。
眼鏡レンズLの表面の傷を検出する方法としては、第1の発光部161から入光位置Aに照射する光を100%とし、この光に対する第2の受光部163で受光する光量の割合に基づいて行う。傷がない場合は、第1の発光部161から眼鏡レンズLに入光した光のうちおよそ100%の光を第1の受光部163で受光することができる。一方、傷がある場合は、図3に示すように、第1の発光部161から照射された照射光B1は眼鏡レンズLに入光し、眼鏡レンズLの表面の傷により様々な方向へ散乱する(例えば、散乱光B3、B4)。このため、眼鏡レンズLを透過する透過光B2は照射光B1に比べてその光量が減少する。そして、この透過光B2を第1の受光部163で受光して光量の減少度を検出することにより、眼鏡レンズLにおける傷を検出することができる。
第2の支持部材165は、載置台11上面に対し垂直に延びる2本の第2の柱状部165Aと、この2本の第2の柱状部165Aの端部を接続し、第1の発光部161および第2の発光部162を支持する支持部165Bと、を有している。支持部165Bには、第1の発光部161および第2の発光部162を取り付けるための取付具165Cが設けられており、第1の発光部161および第2の発光部162の角度を調節可能とされている。
吸引ノズル17は、円筒形状に形成され、内部が流通可能に形成されている。吸引ノズル17は、その先端が眼鏡レンズLに向かって開口した開口部171と、開口部171から図示しない吸引装置に接続するノズル部172と、を有している。
開口部171は、擦傷具13の先端部131よりもY1方向上部に位置している。例えば、眼鏡レンズLの表面から1mm以上かつ10mm以下の範囲に開口部171が位置することが好ましく、より好ましくは1mm以上かつ8mm以下、さらに好ましくは1mm以上かつ5mm以下である。
ノズル部172は、一端が開口部171となっており、支持軸142に沿って取り付けられ、他端は図示しない吸引装置に接続している。
吸引装置の動力により、吸引ノズル17の内部を通して吸気され、開口部171から眼鏡レンズL上に発生した摩耗粉などのゴミを吸引して除去することができる。
なお、吸引ノズル17は、図1に示したように擦傷具13および支持軸142を挟んで2つ設けられることが好ましく、擦傷具13が相対的に移動する際の動線l上に設けられることがさらに好ましい。これにより、擦傷具13により発生した摩耗粉などのゴミをいち早く除去することができる。
(耐擦傷性試験方法)
次に、耐擦傷性試験装置1による耐擦傷性試験方法を説明する。
ここで、試験を行う眼鏡レンズLは、眼鏡レンズLの基材上にハードコート層、反射防止層が形成されている。
まず、擦傷具13を支持軸142の先端部に取り付ける。さらに、支持軸142の後端部には、荷重部15を取り付ける。その後、X軸テーブル122のチャック122Aにより、眼鏡レンズLを固定する。
そして、眼鏡レンズLと擦傷具13の先端部131とを当接させ(当接工程)、先端部131を挟んだ入光位置Aに入光するように第1の発光部161の角度を調整し、入光位置Bに入光するように第2の発光部162の角度を調整する(入光調節工程)。そして、荷重部15による荷重をかけながら、この状態で、X軸テーブル122を所定の速度で駆動し、所定の擦り幅で、X軸方向に往復運動させる(擦傷工程)。往復運動させている間、第1の受光部163および第2の受光部164で受光する光量を測定する(検出工程)とともに、吸引ノズル17を作動させて眼鏡レンズLに発生するゴミ等を吸引して除去する(除去工程)。所定回数往復運動させた後、眼鏡レンズLを取り外し、評価を行う。
評価は、第1の発光部161で発光した光量と検出工程において第1の受光部163で受光した光量、および第2の発光部162で発光した光量と検出工程において第2の受光部164で受光した光量とに基づいて行われる。図4に測定結果を示す。図4において、X軸は0.0mmを先端部131による擦り幅の一方の端部とした場合の先端部131の位置、Y軸は往路を第1回、復路を第2回とした擦傷回数、Z軸は第1の受光部163または第2の受光部164で受光した光量を示す。また、本実施形態では、往路の場合は入光位置Aを透過し第1の受光部163で受光した光量であり、復路の場合は入光位置Bを透過し第2の受光部164で受光した光量を示す。
図4に示すように、傷がある場所は第1の受光部163および第2の受光部164における光量が減少するため、凹部が形成される。すなわち、図4においては、5回目の擦傷時に、擦傷開始位置2.5mmから3.5mmの範囲に最初の傷が発生したことがわかる。このようにして、擦傷時に傷が発生したタイミングと位置とを特定することができる。
(本実施形態の作用効果)
以上説明した本実施形態によれば、次のような作用効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、耐擦傷性試験装置において、傷を検出する検出手段として、第1の発光部161および第1の受光部163と、第2の発光部162および第2の受光部164と、を設けた。第1の発光部161(第2の発光部162)から照射する光の光量と第1の受光部163(第2の受光部164)で受光する光の光量とを比較することにより、傷を検出することができる。すなわち、第1の発光部161(第2の発光部162)から照射する光の光量に対して第1の受光部163(第2の受光部164)で受光する光の光量が減少している場合は傷があると評価する。
特に、第1の発光部161(第2の発光部162)は擦傷具13の先端部131の近傍における先端部131の動線l上にある入光位置A(B)に入光させるので、擦傷具13の先端部131により発生した傷をいち早く検出することができる。
このように、相対的に往復運動をする擦傷具13の先端部131が眼鏡レンズL上を辿る軌跡をリアルタイムに測定することができる。したがって、擦傷時に傷が発生するタイミングおよび位置を正確に検出することができるため、精度の高い測定を行うことができる。
(2)また、吸引ノズル17の開口部171を、擦傷具13の近傍に配置したので、擦傷具13による傷の発生場所から発生した摩耗粉等のゴミを吸引ノズル17ですぐに吸引して眼鏡レンズL上から除去することができる。
したがって、眼鏡レンズL上に残ったゴミによる誤検出を防止することができ、精度の高い測定を行うことができる。また、眼鏡レンズL上に残ったゴミによりその後の擦傷工程における傷の発生に影響を与えることもない。
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的および効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態では、擦傷具13を挟んで対向する位置に2本の吸引ノズル17を備えた構成としたが、吸引ノズルはこのような構成に限られない。例えば、擦傷具13の周囲を2重の壁部で取り囲んだ円筒状の吸引ノズルを用いてもよい。この場合、円筒状の吸引ノズルの中央に擦傷具を挿入する。2重の壁部間は流通可能に形成され、その開口部が擦傷具の先端部近傍に位置し、眼鏡レンズLの表面に発生した摩耗粉等を吸引する。
また、上記実施形態では、X軸テーブル122に貫通部122Bを形成し、眼鏡レンズLを透過した光を通過させて第1の受光部163および第2の受光部164に受光させることとしたが、X軸テーブル122を透明な材料で形成することにより貫通部122Bを形成しない構成としてもよい。これによれば、光が眼鏡レンズLおよびX軸テーブル122を透過して、第1の受光部163および第2の受光部164で受光することができる。
本発明は、各種材料の表面の耐擦傷性を試験する耐擦傷性試験装置として利用できる。
本発明の一実施形態にかかる光学物品の耐擦傷性試験装置の概略図。 前記実施形態における擦傷具の先端部と光の入光位置との関係を示す説明図。 前記実施形態における発光部からの照射と受光部における受光の関係を示す説明図。 前記実施形態における耐擦傷性試験装置で試験した結果を表すグラフ。
1…耐擦傷性試験装置、11…載置台、12…テーブル、121…レール部、122…X軸テーブル、13…擦傷具、131…先端部、14…第1の支持部材、142…支持軸、15…荷重部、16…検出手段、161…第1の発光部、162…第2の発光部、163…第1の受光部、164…第2の受光部、165…第2の支持部材、17…吸引ノズル、171…開口部、172…ノズル部

Claims (8)

  1. ワーク表面の耐擦傷性を評価する耐擦傷性試験装置であって、
    前記ワークを保持する第1の保持手段と、
    前記ワークの表面に当接する先端部を有する擦傷具と、
    前記擦傷具を、前記ワークの表面に押圧可能に保持する第2の保持手段と、
    前記第1の保持手段および前記第2の保持手段のうち少なくともいずれか一方を移動させることにより相対運動を行わせる移動制御手段と、
    前記ワークの表面に発生する傷を前記相対運動を行っている間に検出する検出手段と、
    前記傷の発生とともに発生する摩耗粉を前記相対運動を行っている間に除去する除去手段と、を備えた
    ことを特徴とする耐擦傷性試験装置。
  2. 請求項1に記載の耐擦傷性試験装置において、
    前記除去手段は、前記擦傷具の前記先端部近傍に吸引口を有する吸引ノズルである
    ことを特徴とする耐擦傷性試験装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の耐擦傷性試験装置において、
    前記除去手段は、前記擦傷具が前記相対運動を行う際の動線上に設けられる
    ことを特徴とする耐擦傷性試験装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の耐擦傷性試験装置において、
    前記検出手段は、前記擦傷具の前記先端部が前記相対運動を行う際の前記先端部の軌跡を検出対象とする
    ことを特徴とする耐擦傷性試験装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の耐擦傷性試験装置において、
    前記検出手段は、
    前記ワークの表面における前記先端部の軌跡に対して光を照射する発光部と、
    前記発光部から照射された光を前記ワークを介して受光する受光部と、を有する
    ことを特徴とする耐擦傷性試験装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載の耐擦傷性試験装置において、
    前記ワークは、レンズである
    ことを特徴とする耐擦傷性試験装置。
  7. 請求項6に記載の耐擦傷性試験装置において、
    前記発光部と前記受光部とは、前記レンズを挟んで対向する位置に設けられる
    ことを特徴とする耐擦傷性試験装置。
  8. ワーク表面の耐擦傷性を評価する耐擦傷性試験方法であって、
    前記ワークの表面に先端部を有する擦傷具を当接させる当接工程と、
    前記ワークを保持する第1の保持手段と、前記擦傷具を前記ワークの表面に押圧可能に保持する第2の保持手段と、のうち少なくともいずれか一方を移動させることにより相対運動させる擦傷工程と、
    前記ワークの表面に発生する傷を前記相対運動している間に検出する検出工程と、
    前記傷の発生とともに発生する摩耗粉を前記相対運動している間に除去する除去工程と、を備える
    ことを特徴とする耐擦傷性試験方法。
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