JP2010163350A - 化合物半導体基板及びその製造方法、並びに、半導体デバイス及びその製造方法 - Google Patents

化合物半導体基板及びその製造方法、並びに、半導体デバイス及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010163350A
JP2010163350A JP2009150205A JP2009150205A JP2010163350A JP 2010163350 A JP2010163350 A JP 2010163350A JP 2009150205 A JP2009150205 A JP 2009150205A JP 2009150205 A JP2009150205 A JP 2009150205A JP 2010163350 A JP2010163350 A JP 2010163350A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
semiconductor substrate
compound semiconductor
less
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009150205A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5636642B2 (ja
Inventor
Keiji Ishibashi
恵二 石橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP2009150205A priority Critical patent/JP5636642B2/ja
Publication of JP2010163350A publication Critical patent/JP2010163350A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5636642B2 publication Critical patent/JP5636642B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Led Devices (AREA)
  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Abstract

【課題】エピタキシャル層と基板との界面における電気抵抗の低減がはかられた化合物半導体基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】化合物半導体基板10は、III族窒化物で構成され、化合物半導体基板10の表面の表面層12に、Cl換算で200×1010個/cm以上12000×1010個/cm以下の塩化物及びO換算で3.0at%以上15.0at%以下の酸化物が含まれるときに、化合物半導体基板10とその上に形成されるエピタキシャル層14との間の界面のSiが低減され、その結果界面における電気抵抗が低減される。
【選択図】図2

Description

本発明は、半導体基板を有する化合物半導体基板及びその製造方法、並びに、半導体デバイス及びその製造方法に関するものであり、特に、III−V族化合物半導体基板を有する化合物半導体基板及びその製造方法、並びに、半導体デバイス及びその製造方法に関する。
近年、化合物半導体を始めとする半導体は、その種々の特性を活かして、応用範囲がさらに広がっている。例えば、高速素子、光通信素子ないしマイクロ波素子作製用のエピタキシャル成長の下地基板として、化合物半導体は特に有用である。
このようなエピタキシャル成長の下地基板として半導体(化合物半導体を含む)を用いる場合、該半導体の表面は、ひずみの無い鏡面とする必要がある。このため、半導体の単結晶インゴットの切断、ラッピング、エッチング等の、いわゆる「前加工」の後に、得られたウエハに対して、通常は鏡面研磨が施されている。
この鏡面研磨においては、例えば、コロイダルシリカを含む研磨剤を用いて該半導体ウエハ表面を研磨(例えば、下記特許文献1)した後、純水洗浄する方法が知られている。
ところが、上記により得られた半導体基板の上に、エピタキシャル層を配置してなる積層体を用いて製作したデバイスにおいては、良好な歩留まりが得にくいという欠点があったため、このような欠点を解消した半導体基板の開発が強く切望されていた。
特開昭64−87147号公報 特許第3183335号公報 米国特許6488767号明細書 米国特許6951695号明細書 特開2006−310362号公報 特許第2599250号公報
上記特許文献2では、エピタキシャル層と半導体基板との界面にパイルアップ(蓄積)されたSiが、エピタキシャル層/半導体単結晶の積層構造を含むデバイスにおける欠陥を生じさせているとの推測のもとに、エピタキシャル層と基板との界面におけるSi濃度が8×1017cm−3以下である積層体を提案している。
ただし、エピタキシャル層/基板界面におけるSiは高抵抗層を形成し、その高抵抗層が、基板の電気的特性や基板から作製されるデバイスの素子特性を低減させるため、この界面のSiはできる限り低く抑えることが好ましい。
発明者は、鋭意研究の末に、Siを低減することで上記界面における電気抵抗を低減する技術を新たに見出した。
つまり、本発明は、エピタキシャル層と基板との界面における電気抵抗の低減が図られた化合物半導体基板及びその製造方法、並びに、半導体デバイス及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る化合物半導体基板は、Cl換算で200×1010個/cm以上12000×1010個/cm以下の塩化物及びO換算で3.0at%以上15.0at%以下の酸化物を含む表面層を表面に有すると共に、III族窒化物で構成されるベース基板と、ベース基板の表面層上に形成されると共に、III族窒化物で構成されるエピタキシャル層とを備える。即ち、表面層は、Cl換算で200×1010個/cm以上12000×1010個/cm以下の塩化物がTXRF分析(全反射蛍光X線分析)によって計測され、O換算で3.0at%以上15.0at%以下の酸化物がAES(オージェ電子分光法)によって計測され得る厚みを有する層である。
発明者らは、鋭意研究の末、ベース基板の表面の表面層に、Cl換算で200×1010個/cm以上12000×1010個/cm以下の塩化物及びO換算で3.0at%以上15.0at%以下の酸化物が含まれるときに、ベース基板とその上に形成されるエピタキシャル層との間の界面のSiの増加が抑制され、その結果界面における電気抵抗が低減されることを新たに見出した。
また、表面層に、Cl換算で300×1010個/cm以上8000×1010個/cm以下の塩化物が含まれていることが好ましい。
さらに、表面層に、O換算で5.0at%以上12.0at%以下の酸化物が含まれていることが好ましい。
また、表面層の表面粗さ(RMS)が3nm以下である態様でもよく、1nm以下がより好ましく、0.3nm以下がさらに好ましい。
また、表面からの深さが10nm以上100nm以下であるスクラッチの密度が2本/cm以下である態様でもよく、1.2本/cm以下がより好ましい。
また、表面からの深さが2nm以上20nm以下であり、直径が0.2μm以上5μm以下である加工ピットの密度が50×10個/cm以下である態様でもよい。
また、表面の幅5mmの外周部を除く中央部の円形領域におけるスクラッチの最大深さが100nm以下である態様でもよい。
また、表面の潜傷密度が40本/cm以下である態様でもよい。
また、表面に加工変質層を有し、加工変質層の厚さが20nm以下である態様でもよい。
また、半導体基板が、低転位密度領域及び高転位密度領域が交互に並ぶ構造を有する態様でもよい。
また、半導体基板の平坦面領域率が60%以上である態様でもよい。
本発明に係る化合物半導体基板の製造方法は、III族窒化物で構成されるベース基板の表面に、Cl換算で200×1010個/cm以上12000×1010個/cm以下の塩化物及びO換算で3.0at%以上15.0at%以下の酸化物を含む表面層を形成する。
発明者らは、鋭意研究の末、ベース基板の表面に、Cl換算で200×1010個/cm以上12000×1010個/cm以下の塩化物及びO換算で3.0at%以上15.0at%以下の酸化物が含まれる表面層を形成することで、ベース基板とその上に形成されるエピタキシャル層との間の界面のSiが低減され、その結果界面における電気抵抗が低減されることを新たに見出した。
また、表面層の表面粗さ(RMS)が3nm以下である態様でもよい。
また、Si元素と、C、N及びOからなる群の少なくとも1つの元素とを含む化合物が存在するチャンバ内で、化合物半導体基板を塩素系ガスでドライエッチングして表面層を形成する態様でもよい。
また、ドライエッチングが反応性イオンエッチングであり、そのエッチング条件が、チャンバ内の圧力をP(Pa)、ガス流量をQ(sccm)、チャンバ容積をV(L)としたときに、下記式
0.05≦PV/Q≦3.0
の関係を満たす態様でもよい。
また、pHの値をx、酸化還元電位の値をy(mV)としたときに、下記2式
−50x+1000<y<−50x+1800 (1≦x≦6) …(1)
−50x+800<y<−50x+1500 (8.5≦x≦14) …(2)
の関係を満たし、粘度が2mPa・s以上30mPa・s以下であり、塩素系化合物を含む溶液を用いて、表面を研磨した化合物半導体基板の表面処理をして、表面層を形成する態様でもよい。
また、塩素系化合物を含む溶液が、H、C、O、N及びClのいずれかの元素のみからなる化合物と純水との溶液であり、表面処理として、圧縮率1.5%以上20%以下のポリシングパッドを用いて30g/cm以上800g/cm以下の圧力でポリシングをおこなう態様でもよい。
また、ベース基板の表面層上に、III族窒化物で構成されるエピタキシャル層を形成する態様でもよい。
本発明に係る半導体デバイスは、Cl換算で200×1010個/cm以上12000×1010個/cm以下の塩化物及びO換算で3.0at%以上15.0at%以下の酸化物を含む表面層を表面に有すると共にIII族窒化物で構成されるベース基板と、ベース基板の表面層上に形成されると共にIII族窒化物で構成されるエピタキシャル層とを有する化合物半導体基板、及び、化合物半導体基板の上面及び下面の少なくとも一方に形成された電極を備える。
発明者らは、鋭意研究の末、ベース基板の表面に、Cl換算で200×1010個/cm以上12000×1010個/cm以下の塩化物及びO換算で3.0at%以上15.0at%以下の酸化物が含まれる表面層を形成することで、ベース基板とその上に形成されるエピタキシャル層との間の界面のSiが低減され、その結果界面における電気抵抗が低減されることを新たに見出した。
本発明に係る半導体デバイスの製造方法は、Cl換算で200×1010個/cm以上12000×1010個/cm以下の塩化物及びO換算で3.0at%以上15.0at%以下の酸化物を含む表面層を表面に有すると共にIII族窒化物で構成されるベース基板の表面層上に、III族窒化物で構成されるエピタキシャル層を形成して化合物半導体基板を得るステップと、化合物半導体基板の上面及び下面の少なくとも一方に電極を形成するステップと、を含む。
発明者らは、鋭意研究の末、Cl換算で200×1010個/cm以上12000×1010個/cm以下の塩化物及びO換算で3.0at%以上15.0at%以下の酸化物が含まれる表面層を表面に有すると共にIII族窒化物で構成されるベース基板の上にエピタキシャル層を形成することで、ベース基板とエピタキシャル層との間の界面のSiが低減され、その結果界面における電気抵抗が低減されることを新たに見出した。
なお、上記化合物半導体基板の表面層のSiの量は、0.3at%以下がよく、0.2at%以下が好ましい。
本発明に係る化合物半導体基板は、III族窒化物で構成されるベース基板と、ベース基板上に形成されるエピタキシャル層との界面におけるCl原子の濃度が5×1015個/cm以上1×1018個/cm以下である。
本発明に係る化合物半導体基板は、III族窒化物で構成されるベース基板と、ベース基板上に形成されるエピタキシャル層との界面におけるO原子の濃度が5×1016個/cm以上1×1018個/cm以下である。
本発明に係る化合物半導体基板は、III族窒化物で構成されるベース基板と、ベース基板上に形成されるエピタキシャル層との界面におけるSi原子の濃度が1×1015個/cm以上5×1019個/cm以下である。
本発明に係る半導体デバイスは、上記化合物半導体基板と、その化合物半導体基板の上面及び下面の少なくとも一方に形成された電極とを備える。
なお、上記特許文献3、4には、AlGaInNの表面をSiO砥粒を用いて、化学機械研磨(CMP)することにより、表面粗さ(RMS)を1nm以下の平滑な表面が得られることが示されている。しかし、表面の不純物を減少させることには全く言及されておらず、表面層の組成を制御することに関する記載もない。また、特許文献5には、CMPのポリシング液のpH、酸化還元電位を制御することで、研磨速度が向上し、加工変質層を低減できることが示されている。しかし、表面の不純物を減少させることには言及されておらず、表面層の組成を制御することに関する記載もない。さらに、上記特許文献6には、GaN基板の表面を塩素系ガスでドライエッチングする際に、装置内にSi片を存在させることにより、GaN基板の表面が平滑に処理できることが示されている。しかし、表面の不純物を減少させることには全く言及されておらず、表面層の組成を制御することに関する記載もない。
本発明によれば、エピタキシャル層と基板との界面における電気抵抗の低減が図られた化合物半導体基板及びその製造方法、並びに、半導体デバイス及びその製造方法が提供される。
本発明の実施形態に係る化合物半導体基板の概略断面図を示した図である。 図1に示した化合物半導体基板とは異なる態様の化合物半導体基板の概略断面図である。 図2に示した化合物半導体基板とは異なる態様の化合物半導体基板の概略断面図である。 本発明の実施形態に係る半導体デバイスの概略断面図を示した図である。 図4に示した半導体デバイスとは異なる態様の半導体デバイスの概略断面図である。 図1に示した半導体基板とは異なる態様の半導体基板を示した平面図である。 図6に示した半導体基板を作製する手順を示した図である。 図6に示した半導体基板とは異なる態様の半導体基板を示した平面図である。 図6に示した半導体基板とは異なる態様の半導体基板を示した平面図である。 図6に示した化合物半導体基板における平坦面領域を示した図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のVIIIB−VIIIB線断面図を示した図である。 本発明の実施形態に係るポリシング装置の概略構成図である。 本発明の実施形態に係るドライエッチング装置の概略構成図である。 本発明の実施例1に係るデータを示した表である。 本発明の実施例2に係るデータを示した表である。 本発明の実施例3に係るデータを示した表である。 本発明の実施例4に係るデータを示した表である。 本発明の実施例5に係るデータを示した表である。 本発明の実施例6に係るデータを示した表である。 本発明の実施例7に係るデータを示した表である。 本発明の実施例8に係るデータを示した表である。 本発明の実施例9に係るデータを示した表である。 本発明の実施例10に係るデータを示した表である。 本発明の実施例11に係るデータを示した表である。
以下、添付図面を参照して本発明を実施するにあたり最良と思われる形態について詳細に説明する。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、説明が重複する場合にはその説明を省略する。
図1は、第1実施形態に係る化合物半導体基板10の概略断面図である。図1に示すように、化合物半導体基板10は、一側の表面に表面層12が形成された構成を有している。
化合物半導体基板10は、III族窒化物(例えば、GaNやAlN、InN、AlGaN、InGaN)で構成されている。GaNの場合には、HVPE法やフラックス法やアモノサーマル法によって成長され、AlNの場合には、HVPE法や昇華法やフラックス法で成長される。InNはHVPE法で成長される。
表面層12は、塩化物及び酸化物を含む層であり、例えば、AlGaInCl(x+y+z=1、a+b+c=1)で構成されている。
化合物半導体基板10は、その上に所望の半導体層をエピタキシャル成長させるための基板であり、その基板表面の品質が重要となる。この表面品質はバルクの結晶の品質とは異なり、表面組成や粗さ、加工変質層の影響を受けやすい。特に、LEDや半導体レーザ等の発光素子の作製に利用する場合には、基板とその上に成長させるエピタキシャル層との界面に、電気抵抗の高い層(以下、高抵抗層と称す。)が形成されないことが重要である。発光素子の電気抵抗が高くなってしまうと、発光効率の低下が招かれる。特に、大きな電流を注入したときに発光効率は著しく低下する。
ここで、加工変質層とは、結晶表面の研削又は研磨によって結晶の表面側領域に形成される結晶格子が乱れた層をいい、結晶を劈開面で破断した断面のTEM観察によりその層の存在及びその厚さを確認できる。加工変質層の厚さは20nm以下が好ましく、10nm以下がより好ましい。加工変質層の厚さが厚いと、エピタキシャル成長させたときのモフォロジー及び結晶性が低下する。
発明者らは、化合物半導体基板10の表面10aにおけるSiの存在量を抑制し、化合物半導体基板10上にCl元素及びO元素を塩化物や酸化物として存在させることで、上記高抵抗層の形成が抑制できることを新たに見出した。
具体的には、化合物半導体基板10の表面10aの表面層12が、Cl換算で200×1010個/cm以上12000×1010個/cm以下の塩化物及びO換算で3.0at%以上15.0at%以下の酸化物を含むことにより、高抵抗層の形成が抑制できることを見出した。なお、表面層12に、Cl換算で300×1010個/cm以上8000×1010個/cm以下の塩化物が含まれていることが好ましく、400×1010個/cm以上5000×1010個/cm以下の塩化物が含まれていることがより好ましい。また、表面層12に、O換算で5.0at%以上12.0at%以下の酸化物が含まれていることが好ましく、7.0at%以上10.0at%以下の酸化物が含まれていることがより好ましい。
化合物半導体基板10の表面粗さRyは30nm以下であることが好ましい。ここで、表面粗さRyとは、粗さ曲面から、その平均面の方向に基準面積として10μm角(10μm×10μm=100μm、以下同じ)だけ抜き取り、この抜き取り部分の平均面から最も高い山頂までの高さと最も低い谷底までの深さとの和をいう。表面粗さRyを30nm以下とすることにより、主面上にモフォロジー及び結晶性の良好なエピタキシャル層を形成することができる。かかる観点から、表面粗さRyは10nm以下であることがより好ましい。
化合物半導体基板10の表面粗さRMSは3nm以下であることが好ましい。ここで、表面粗さRaとは、粗さ曲面から、その平均面の方向に基準面積として10μm角だけ抜き取り、この抜き取り部分の平均面から測定曲面までの偏差の絶対値を合計してそれを基準面積で平均した値をいう。表面粗さRaを3nm以下とすることにより、モフォロジー及び結晶性の良好なエピタキシャル層を形成することができる。かかる観点から、表面粗さRMSは1nm以下であることがより好ましい。
化合物半導体基板10においては、表面からの深さが10nm以上100nm以下であるスクラッチの密度が2本/cm以下であることが好ましく、1.2本/cm以下がより好ましい。スクラッチ密度は単位長さに交差するスクラッチの本数を線密度として評価する。スクラッチは表面の直線上の凹みであり、スクラッチ密度は研磨条件、ドライエッチング条件で制御できる。スクラッチ密度が多いと、エピタキシャル成長させた際のモフォロジー及び結晶性の品質が低下する。スクラッチ密度は光干渉式粗さ計及び微分干渉顕微鏡で評価することができる。
化合物半導体基板10においては、表面からの深さが2nm以上20nm以下であり、直径が0.2μm以上5μm以下である加工ピットの密度が50×10/個/cm以下であることが好ましい。加工ピットの直径は、通常は0.5μm以上2μm以下である。加工ピットの密度は、20×10/個/cm以下がより好ましく、10×10/個/cm以下がさらに好ましい。加工ピットは表面の微小な凹みであり、ピット密度は研磨条件、ドライエッチング条件で制御できる。結晶の転位集中部の凹みとは異なる。ピット密度が多いと、エピタキシャル成長させたときのモフォロジー及び結晶性の品質が低下する。ピット密度は光干渉式粗さ計、微分干渉顕微鏡、SEMで評価することができる。
化合物半導体基板10においては、紫外蛍光観察又はカソードルミネッセンス(以下、CLという)観察による潜傷の密度が40本/cm以下であることが好ましい。潜傷の密度は単位長さに交差する潜傷の本数を線密度として評価する。潜傷の密度が40本/cm以下である場合、モフォロジー及び結晶性のよいエピタキシャル層を形成することができるため特性のよい半導体デバイスが得られる。かかる観点から潜傷の密度は、10本/cm以下であることがより好ましい。ここで、潜傷は、紫外蛍光観察又はCL観察により観察することができる。
紫外蛍光観察とは、化合物半導体基板10のIII族窒化物結晶のバンドギャップよりも十分に高エネルギー(低波長)の励起光を入射させてIII族窒化物結晶のバンドギャップに対応したエネルギー(波長)の蛍光を観察することをいう。例えば、励起光として水銀の輝線(波長:337nm)又はHe−Cdレーザ(波長:325nm)を用いて、GaN結晶の蛍光(波長:365nm)を観察する。III族窒化物結晶の紫外蛍光観察をおこなうと、表面状態が良好な結晶領域には蛍光が観察され、結晶が乱れた加工変質層の領域には蛍光が観察されず、潜傷は黒い直線状の陰影として観察される。
紫外蛍光観察においては、III族窒化物結晶を表面処理用の結晶ホルダに固定した状態でも観察が可能なことから、III族窒化物結晶の表面処理における各工程毎におけるIII族窒化物結晶の表面状態の観察が可能であり、各工程における問題点の把握が容易になる。また、紫外蛍光観察は紫外蛍光顕微鏡と光学顕微鏡(特に、微分干渉顕微鏡が好ましい)とを組み合わせた装置を用いることにより、同一視野を対比観察することができるため、スクラッチなどの表面の凹凸情報と、潜傷などの加工表面層内部の情報とを対比観察することができる。
CL観察とは、III窒化物結晶に励起光として電子線を入射させて放出される可視光又は可視波長領域に近い波長の光を観察することをいう。III族窒化物結晶のカソードルミネッセンス観察をおこなうと、表面状態が良好な結晶領域には光が観察され、結晶が乱れた加工変質層の領域には光が観察されず、潜傷は黒い直線状の陰影として観察される。
CL観察装置はSEM(走査式電子顕微鏡)と組み合わせることにより、高倍率の観察が可能となり、繊細な潜傷の観察が可能となる。CL画像とSEM画像を対比させることにより、スクラッチなどの表面の凹凸情報と、潜傷などの加工表面層内部の情報とを対比観察することができる。
以下、化合物半導体基板10を作製する手順について、図8を参照しつつ説明する。
まず、III族窒化物の結晶を成長させた後に、その結晶に外周加工を施して成形し、III族窒化物のインゴットを得る。そして、得られたインゴットをワイヤーソーやブレードソーで切断して、III族窒化物の化合物半導体基板10を得る。さらに、この化合物半導体基板10の表面10aを平坦化するためにグラインディング加工(研削)やラッピング加工をおこなう。
研削には、ダイヤモンド、SiC、BN、Al、Cr、ZrO等を硬質砥粒として含む砥石を用いることができ、ラッピング加工には、ダイヤモンド、SiC、BN、Al、Cr、ZrO等を硬質砥粒として含む一般的な研磨剤を用いることができる。研磨剤は、機械的な作用/特性から選定される。例えば、研磨レートを上げるためには、高硬度で粒径の大きな砥粒が使用され、表面粗さを平滑にしたり、加工による変質層を少なくしたりするためには、低硬度で粒径の小さな砥粒が使用される。また、研磨時間を短縮してなおかつ平滑な表面を得るためには、粒度の大きな砥粒から小さな砥粒へ変化させる多段階の研磨が好適である。
次に、ラッピング加工が施された化合物半導体基板10の表面10aの表面仕上げをおこなう。この表面仕上げ処理として、粗さ低減や加工変質層除去のために、CMP又はドライエッチングをおこなう。GaNのような窒化物のドライエッチングには、塩素系ガスを用いることが有効である。塩素系ガスの場合、高いエッチングレートが得られ、表面に塩化物を含む表面層12を形成することができる。塩素系ガスとして、例えば、Cl、HCl、CCl、BCl、SiCl、SiHCl等を用いることができる。なお、ガスの種類、流量、チャンバ内の圧力、エッチングのパワーの調整をすることで、表面層12の塩素量を制御することが可能であり、表面層12のピット密度を制御することも可能である。
化合物半導体基板10の表面10aは、その面方位がウルツ鉱型構造のC面、A面(11−20)、R面(10−12)、M面(10−10)、(20−21)面、S面(10−11)、(11−21)面、(11−22)面、(11−24)面のいずれかであることが好ましい。C面のGa面以外の面は、C面のGa面と比較して化学的な耐久性が低いために、CMPのレート向上に有効である。
化合物半導体基板10が、ウルツ鉱型構造を有する場合には[0001]方向(c軸方向)に極性を有する。このとき、c軸を極性軸という。また、この極性軸(c軸)に垂直な面を極性面という。すなわち、極性面は、その面に垂直な方向に分極している面と定義される。また、極性軸に平行な面を非極性面という。また、極性軸に対して斜めに交差する面を半極性面という。主面が非極性面(例えば、M面、A面など)である化合物半導体基板10を用いたLED、LD(レーザダイオード)などの半導体デバイスは、高い発光効率が得られる上、印加する電流の電流密度を増加させた場合であっても発光波長のブルーシフト(すなわち、短波長側へのシフト)が抑制される。また、半導体デバイスの作製において、化合物半導体基板10の主面10a上に結晶品質のよいエピタキシャル層を成長させたい場合、InGaN層でのInの取り込み量を増加させたい場合は、その主面10aは半極性面である(20−21)面、S面、R面、(11−21)面、(11−22)面、(11−24)面であることが好ましい。なお、結晶品質、Inの取り込み量の観点から、それぞれの面方位に対して15°以下のオフ角を有することができる。また、LDを作製する場合には、共振器の端面は劈開性を有するM面あるいはC面であることが好ましいため、M面に対して垂直な主面(例えば、A面、(11−21)面、(11−22)面など)あるいはC面に対して垂直な主面(例えば、M面、A面など)を有する化合物半導体基板10を用いることが好ましい。なお、劈開性の観点からは、それぞれの面方位に対して5°以下のオフ角を形成することができる。
なお、表面仕上げとして軟質な砥粒でポリシングをおこなってもよく、さらなる表面粗さや加工変質層の低減が実現される。軟質砥粒には、ZrO、SiO、CeO、MnO、Fe、Fe、NiO、ZnO、CoO、Co、GeO、Ga、Inから選ばれる砥粒を利用することができる。ポリシングの洗浄性を高めるためには、砥粒の金属元素はイオン化傾向が高いものがよく、Hよりもイオン化傾向が高いものでは洗浄による除去効率が高い。また、ポリシング液に界面活性剤を添加することで、砥粒の残存を抑制することができる。表面層12の金属元素の低減には、砥粒を含むポリシングの後に、砥粒を含まないポリシング液を用いたポリシングが有効である。SiOの除去には、ポリシング後にフッ酸洗浄をおこなうことが効果的である。
所望の組成の表面層を形成するために、上記表面処理には砥粒を含まない溶液を用いることができる。表面処理の溶液の化学的な作用は、pHや酸化還元電位で調整される。pH調整にHCl等の塩素を含む酸を用いることにより、表面層12の塩素濃度を制御することができる。さらに、酸化剤を用いて酸化還元電位を増加させることにより、研磨レートを向上させると共に、表面の酸素濃度を制御することができる。
ここで、pHの値をxとし、酸化還元電位の値をy(mV)としたときに、1≦x≦6の酸性条件では、
−50x+1000<y<−50x+1800
であることが好ましく、8.5≦x≦14のアルカリ性条件では、
−50x+800<y<−50x+1500
であることが好ましい。
上記酸化剤としては、特に制限はないが、酸化還元電位を高める観点から、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウムなどの次亜塩素酸塩、トリクロロイソシアヌル酸などの塩素化イソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムなどの塩素化イソシアヌル酸塩、過マンガン酸カリウムなどの過マンガン酸塩、ニクロム酸カリウムなどのニクロム酸塩、臭素酸カリウムなどの臭素酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどのチオ硫酸塩、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩、硝酸、過酸化水素水、オゾンなどが好ましく用いられる。塩素系酸化剤を用いることにより、研磨後の基板に塩化物を含む表面層12を形成することができる。塩素系酸化剤には、次亜塩素酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸等がある。
表面処理溶液の粘度を制御することにより、表面層の塩素濃度や酸素濃度を制御することができる。表面処理液の粘度は2mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上10mPa・s以下がより好ましい。溶液の粘度が2mPa・sより低い場合には、表面層の塩素濃度や酸素濃度が上述した所望の値よりも高くなる。溶液の粘度が30mPa・sより高い場合には、表面層の塩素濃度や酸素濃度が上述した所望の値よりも低くなる。なお、溶液の粘度は、エチレングリコール等の高粘度の有機化合物やベーマイト等の無機化合物を添加することで調整できる。
化合物半導体基板10の表面10aを平坦にエッチングするにはSi系ガスやSi片を存在させることが有効であるが、Siの比率が多い場合には、ドライエッチング後に基板表面に付着するSiの量が増加する問題が生じる。そこで、SiC、Si、Si6−zAl8−z等のSi元素と、C、N及びOからなる群の少なくとも1つの元素とを含む化合物を用いることで、表面10aを平坦にエッチングすることができるようになると共に、Siの付着を抑制することができる。エッチングする基板10に対して、SiCの面積比率を減少させることにより、表面10aの残留Siを減少させることができる。さらに、ガス流量、チャンバ内の圧力、エッチングパワーの調整をすることで、残留Siを減少させることができると共に、エッチングレートが低下する。
なお、より良好な表面層12を得るためには、上記ドライエッチングが反応性イオンエッチングであり、そのエッチング条件が、チャンバ内の圧力をP(Pa)、ガス流量をQ(sccm)、チャンバ容積をV(L)としたときに、0.05≦PV/Q≦3.0の関係を満たすことが好ましい。PV/Qが0.05よりも小さい場合には、酸素量が減少し、塩素量が増加すると共に、表面粗さが増加する。一方、PV/Qが3.0よりも大きい場合には、酸素量が増加し、塩素量が減少する。
以上で説明したとおり、ラッピング加工や表面仕上げの際に、塩化物及び酸化物を含む表面層12が形成された化合物半導体基板10においては、化合物半導体基板10とその上に形成されるエピタキシャル層との間の界面のSiが低減され、その結果界面における電気抵抗が低減されることを発明者らは新たに見出した。
なお、化合物半導体基板10の基板表面10aとウルツ鉱型構造における上記の結晶学的面の1つとのなす角であるオフ角は、0.05゜以上15゜以下が好ましく、0.1゜以上10゜以下がより好ましい。オフ角が大きくなるほど、砥粒の除去効果は大きくなる。オフ角を0.05゜以上にすることで、エピタキシャル層の欠陥を低減することができ、15°以下とすることで、化合物半導体基板10上にモフォロジー及び結晶性の良好なエピタキシャル層が形成されやすくなる。オフ角が15°を超えるとエピタキシャル層に階段状の段差ができやすくなる。オフ角が大きくなるほど、砥粒の除去効果は大きくなる。良好なエピタキシャル膜の形成により、化合物半導体基板10を用いて作製する半導体デバイスを高効率、高出力、長寿命とすることができる。
上記のように化合物半導体基板10の表面10a上にモフォロジー及び結晶性の良好なエピタキシャル層を形成することにより高特性の半導体デバイスが得られる。また、上記のオフ角を設けることにより、ポリシング速度が高まると共に、基板の転位集中部における優先的な除去を抑制して凹みの発生を抑制し、平滑な表面が得られやすくなる。
なお、表面層12の組成は、Si及びClについてはTXRF分析(全反射蛍光X線分析)やAES(オージェ電子分光分析)で定量することができる。このTXRFは、表面の1原子層の高精度の評価が可能である。Oについては、AESやXPSで定量することができる。このAESは0.1%の分解能がある。化合物半導体基板10における表面層12の部分とその他の部分との組成の違いは、SIMS(二次イオン質量分析)により深さ方向の分析をおこなうことで評価することができる。また、エピタキシャル成長層、界面、ベース基板の組成の違いについてもSIMSで評価することができる。
また、図2に示すように、化合物半導体基板10の表面10aにエピタキシャル層14が積層された態様の化合物半導体基板10Aであってもよい。エピタキシャル層14は、例えば、III族窒化物のGaNで構成されている。この化合物半導体基板10Aにおいては、実際に、半導体基板10とその上に形成されるエピタキシャル層14との間の界面の電気抵抗の低減が実現されている。
化合物半導体基板10Aは、III族窒化物で構成されCl換算で200×1010個/cm以上12000×1010個/cm以下の塩化物及びO換算で3.0個/cm以上15.0at%以下の酸化物を表面に有する化合物半導体基板10と、化合物半導体基板10の表面上にエピタキシャル成長された少なくとも1層のIII族窒化物層とを含むため、PL(フォトルミネッセンス)法により発光させた光の強度(PL強度)が高い。
化合物半導体基板10Aは、III族窒化物(GaN)からなるベース基板10とエピタキシャル層14との界面におけるCl原子の濃度は5×1015個/cm以上1×1018個/cm以下であることが好ましく、1×1016個/cm以上5×1017個/cm以下であることがより好ましい。
化合物半導体基板10Aは、III族窒化物(GaN)からなるベース基板10とエピタキシャル層14との界面におけるO原子の濃度は5×1016個/cm以上1×1018個/cm以下であることが好ましく、1×1017個/cm以上5×1017個/cm以下であることがより好ましい。
化合物半導体基板10Aは、III族窒化物(GaN)からなるベース基板10とエピタキシャル層14との界面におけるSi原子の濃度は1×1015個/cm以上5×1019個/cm以下であることが好ましく、1×1015個/cm以上1×1019個/cm以下であることがより好ましい。
化合物半導体基板10Aは、III族窒化物(GaN)からなるベース基板10とエピタキシャル層14との界面におけるH原子の濃度は2×1017個/cm以上1×1018個/cm以下であることが好ましい。
それにより、半導体基板10とその上に形成されるエピタキシャル層14との間の界面の電気抵抗の低減が実現される。
化合物半導体基板10Aは、異なる実施形態として、図3に示すような化合物半導体基板10Aにすることもできる。図3の化合物半導体基板10Aは、n型GaN結晶基板(化合物半導体基板)10の表面層12の上に、エピタキシャル成長された少なくとも1層のIII族窒化物層として、n型半導体層としての厚さ1μmのn型GaN層14a及び厚さ150nmのn型Al0.1Ga0.9N層14b、発光層14c、p型半導体層としての厚さ20nmのp型Al0.2Ga0.8N層14d及び厚さ150nmのp型GaN層14eが順次置かれている。ここで、発光層は、厚さ10nmのGaN層で形成される障壁層の4層と、厚さ3nmのGa0.85In0.15N層で形成される井戸層の3層とが交互に積層された多重量子井戸構造を有する。
図3に示した化合物半導体基板10Aを製造する際には、化合物半導体基板10の表面層12上に、少なくとも1層のIII族窒化物層をエピタキシャル成長させるため、PL法により発光させた光の強度(PL強度)が高い化合物半導体基板10Aが得られる。より具体的には、例えば、n型GaN結晶基板(化合物半導体基板)10をMOCVD装置内に配置して、このn型GaN結晶基板10の表面層12の上に、MOCVD(有機金属化学気相堆積)法により、n型GaN層14a、n型Al0.1Ga0.9N層14b、発光層14c、p型Al0.2Ga0.8N層14d及びp型GaN層14eを順次エピタキシャル成長させる。
なお、上述した化合物半導体基板10,10Aに、図4に示すように、所定の電極32A,32Bを形成することで半導体デバイス30が得られる。一方の電極32Aはエピタキシャル層14上に、他方の電極32Bは半導体基板10の裏面12bに、金属蒸着等によって形成される。電極32A,32Bの形成は、必要に応じて適宜変更可能であり、少なくとも半導体基板10及びエピタキシャル層14のいずれかに形成される。
半導体デバイス30は、III族窒化物で構成され、Cl換算で200×1010個/cm以上12000×1010個/cm以下の塩化物及びO換算で3.0at%以上15.0at%以下の酸化物を含む表面層12を表面に有する化合物半導体基板であって、表面層12上に形成され、III族窒化物で構成されたエピタキシャル層14を有する化合物半導体基板10Aと、化合物半導体基板10Aの上面10c及び下面10bに形成された電極とを備え、それにより発光強度が高くなっている。
半導体デバイス30は、異なる実施形態として、図5に示すような半導体デバイス30にすることもできる。図5の半導体デバイス30は、n型GaN結晶基板(化合物半導体基板)10の表面層12の上に、エピタキシャル成長された少なくとも1層のIII族窒化物層として、n型半導体層としての厚さ1μmのn型GaN層14a及び厚さ150nmのn型Al0.1Ga0.9N層14b、発光層14c、p型半導体層としての厚さ20nmのp型Al0.2Ga0.8N層14d及び厚さ150nmのp型GaN層14eが順次置かれている。ここで、発光層は、厚さ10nmのGaN層で形成される障壁層の4層と、厚さ3nmのGa0.85In0.15N層で形成される井戸層の3層とが交互に積層された多重量子井戸構造を有する。
化物半導体デバイス30は、化合物半導体基板10Aの最表層上面10cおよび化合物半導体基板10の少なくとも一方の表面10bに形成されている電極として、最表層であるp型GaN層14e上に第2の電極(p側電極)32Aが置かれ、化合物半導体基板10の他方の主表面上に第1の電極(n側電極)32Bが置かれている。
なお、LED(発光ダイオード、以下同じ)を含む半導体デバイス30は、第2の電極(p側電極)32Aがはんだ層34で導電体36Aにボンディングされており、第1の電極(n側電極)32Bが導電体36Bにワイヤ38でボンディングされている。
図5に示した半導体デバイス30を製造する際は、化合物半導体基板10の表面層12上に少なくとも1層のIII族窒化物層をエピタキシャル成長させる工程と、III族窒化物層の最表層および化合物半導体基板10の少なくとも一方の表面に電極を形成する工程と、を備える。それにより、歩留りよく半導体デバイス30が得られる。より具体的には、例えば、n型GaN結晶基板10をMOCVD装置内に配置して、このn型GaN結晶基板10の表面層12の上に、MOCVD(有機金属化学気相堆積)法により、n型GaN層14a、n型Al0.1Ga0.9N層14b、発光層14c、p型Al0.2Ga0.8N層14d及びp型GaN層14eを順次エピタキシャル成長させる。
次に、n型GaN結晶基板10の他方の主表面10b上に第1の電極として、直径100μmのn側電極32Bを形成する。一方、p型GaN層14e上に第2の電極として、p側電極32Aを形成する。上記積層体を400μm角、あるいは2mm角にチップ化してLED(発光ダイオード)を得る。
その後、上記p側電極32Aをはんだ層34で導電体36Aにボンディングし、上記n側電極32Bと導電体36Bとをワイヤ38でボンディングして、LEDを含む半導体デバイス30を得る。
さらに、上述した化合物半導体基板10,10Aの代わりに、図6に示すような化合物半導体基板10Bを用いてもよい。III族窒化物結晶の成長において、結晶内の転位密度を低減するために、下地基板上に開口部を有するSiO2などのマスク層を形成して、その上にIII族窒化物結晶をファセット成長させる場合がある(例えば、特開2003−165799号公報、特開2003−183100号公報など)
この化合物半導体基板10Bは、同一方向(図6のY方向)に直線状に延びる低転位密度領域18A及び高転位密度領域18Bが交互に並ぶストライプ構造を有するGaN基板である。化合物半導体基板(以下、III族窒化物結晶とも称す。)10B中の高転位密度領域及び低転位密度領域は、CL観察(日立製作所製S−4300)などにより観察することができる。
化合物半導体基板10Bは、以下に示すような手順により作製することができる。
まず、図7(a)に示すように、所定の単結晶基板20上に、ストライプ状のマスク層22をパターニング形成する。そして、図7(b)に示すように、上記マスク層22が形成された単結晶基板20上に、気相成長法によりGaN層24をエピタキシャル成長させる。気相成長法としては、HVPE法、MOCVD法、VOC法、MBE法、昇華法等を利用することができる。GaN層24をファセット成長によって厚膜成長させていくと、マスク層22がGaN層24によって覆われて、マスク層22に対応する部分に高転位密度領域18Bが形成されたGaN層24が得られる。この高転位密度領域18Bは、GaN層24の結晶欠陥(貫通転位)が集められて他の部に比べて欠陥の密度が著しく高くなっている部分(ストライプコア)である。
なお、高転位密度領域18Bは、前述のストライプ構造だけでなく、図8に示すストライプが直角に交差したスクエア構造や、図9に示すドットが規則的に配列されたドット構造であってもよい。このようなスクエア構造やドット構造であっても、ストライプ構造同様、下地基板となる単結晶基板20へのマスク層22のパターニング形状により、高転位密度領域18Bの形状を制御することができる。
上記のファセット成長法により成長されたIII族窒化物結晶10Bにおいて、低転位密度領域の表面はGa原子表面であるが、高転位密度領域の表面はN原子表面である。このため、高転位密度領域の表面は、低転位密度領域の表面に比べて、化学的なポリシングの速度が大きい。従って、高転位密度領域と低転位密度領域とを含むIII族窒化物結晶10Bの表面を、CMPや無砥粒ポリシングなどの化学的ポリシングをすると、高転位密度領域の表面は、低転位密度領域の表面に比べて凹む。
III族窒化物結晶を成長させた後、その結晶に外周加工を施して成形し、III族窒化物のインゴットを得る。そして、得られたインゴットをワイヤーソーやブレードソーで基板面(X−Y平面)に対して平行に切断して、表面10aを平坦化するためにグラインディング加工(研削)やラッピング加工をおこない、上述した表面層12を形成することで、図4に示した化合物半導体基板10Bが得られる。
次に、化合物半導体基板10Bにおける平坦面領域について、図10を参照しつつ説明する。
化合物半導体基板10Bの低転位密度領域18Aにおける平坦面領域は、低転位密度領域18Aの表面の最高点P0又は最高線L0から低転位密度領域18Aの外縁に向かって一定距離10μmの間隔で点P1、点P2、・・・、点Pk-1、点Pk(ここでkは正の整数)をとるとき、低転位密度領域18Aの表面の最高点P0又は最高線L0においてその表面(平面に近い曲面である)に接する基準平面Qに対して、点Pk-1と点Pkとを含む直線がなす傾き角θが0.1°未満となる任意の点Pkが存在する面領域と定義する。
このような平坦面領域は、低転位密度領域18Aの表面の中心部から外縁部に向かって連続的に存在する。ポリシング時に高転位密度領域18Bが除去されやすいために、高転位密度領域18B付近に位置する低転位密度領域18Aの外縁部は、低転位密度領域18Aの中心部に比べて優先的に除去され、形状ダレが生じる。そのために上記傾き角θが大きくなり、0.1°以上となる領域が生じる。また、低転位密度領域18Aにおける全表面S1の面積に対する低転位密度領域18Aの平坦面領域の面積S2の割合(百分率)を、平坦面領域率(単位:%)と定義する。
この平坦面領域率(=S2/S1×100)は、60%以上が好適であり、より好ましくは80%以上がよい。さらに90%以上がより好ましい。
この化合物半導体基板10BをCMP及び無砥粒ポリシングする際のパッドの圧縮率は、1.5%以上20%以下が好ましい。ポリシングパッドの圧縮率が1.5%より小さいと、表面層12の表面粗さRMS及びRyが大きくなる。ポリシングパッドの圧縮率が20%より大きいと、表面の効果が小さくなり、化合物半導体基板10Bの高転位密度領域18Bの表面の凹みが大きくなり、また、低転位密度領域18Aの表面における平坦面領域が小さくなる。かかる観点から、ポリシング工程において用いられるポリシングパッドの圧縮率は、3%以上10%以下がより好ましい。
上記の観点から、ポリシングパッドは、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート等から形成され、スウェード、不織布、発泡体(フォーム)などの形態を有していることが好ましい。
ここで、本明細書において、ポリシングパッドの圧縮率は、初荷重W1をパッドに負荷して1分後のパッドの厚さT1と、荷重をW2に増して1分後のパッドの厚さT2からを用いて、次式
圧縮率(%)=(T−T)/T×100
により定義される。圧縮率の算出においては、初荷重W1を100g、荷重W2を1600gとした。
軟質なパッドでは、ストライプコアへの選択的な除去が大きくなり、コア深さ、コア周辺部のダレが大きくなる。また、基板外周の形状ダレが大きくなる。一方、硬質なパッドでは、基板の表面品質が低下する。
CMP及び無砥粒ポリシングの圧力は、30g/cm以上800g/cm以下が好ましく、100g/cm以上600g/cm以下がより好ましい。圧力が小さいと研磨レートが実用上不十分であり、圧力が大きいと基板の表面品質が劣化してしまう。また、低転位密度領域18Aの表面における平坦面領域率が小さくなる。
ポリシング液の化学的な作用は、溶液のpHや酸化剤によって調整される。pHは、1以上6以下、又は8.5以上14以下がよく、より好ましくは1.5以上4以下、10以上13以下がよい。酸化剤を添加することにより、酸化還元電位を向上することができ、砥粒の除去効果を向上させることができる。アルカリ性領域では、ストライプコアの選択的除去が大きくなる。酸化還元電位が高い場合には、コア深さや平坦面領域率が低下する。
pH調整には、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸などの無機酸、蟻酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸などの有機酸、KOH、NaOH、NHOH、有機アルカリ、アミンなどのアルカリの他に硫酸塩、炭酸塩、燐酸塩などの塩を用いてもよい。酸化剤の添加により、pHを制御することもできる。
スラリーのpH調整に有機酸を使用することにより、無機酸、無機塩と比較して同じpHでも不純物除去効果を向上することができる。有機酸の中でも、ジカルボン酸(2価カルボン酸)が好ましい。
以下の実施例及び比較例に基づき、本発明についてさらに具体的に説明する。
(実施例1)
(1−1)n型GaN結晶の表面のラッピング
HVPE法により成長させたn型GaN結晶(ドーパント:Si)を、(0001)面に平行な面でスライスして直径50mm×厚さ0.5mmのn型GaN結晶基板を得た。このn型GaN結晶基板(窒化物結晶)のN原子面側のc面((000−1)面)をセラミックス製の結晶ホルダにワックスで貼り付けた。ラップ装置に直径380mmの定盤を設置し、スラリー供給口からダイヤモンドの砥粒が分散されたスラリーを定盤に供給しながら、定盤をその回転軸を中心にして回転させると共に、結晶ホルダ上に重りを載せることによりn型GaN結晶基板を定盤に押し付けながら、n型GaN結晶基板を結晶ホルダの回転軸を中心にして回転させることにより、n型GaN結晶の表面(Ga原子面側のc面、(0001)面)のラッピングをおこなった。
ここで、定盤としては銅定盤又は錫定盤を用いた。砥粒径が9μm、3μm、2μmの3種類のダイヤモンド砥粒を準備し、ラッピングの進行とともに、砥粒径を段階的に小さくしていった。研磨圧力は9.8kPa(100gf/cm2)以上49kPa(500gf/cm2)以下とし、n型GaN結晶基板(窒化物結晶1)及び定盤の回転数はいずれも30回/min以上100回/min以下とした。かかるラッピングによりn型GaN結晶基板の表面は鏡面となった。
(1−2)n型GaN結晶の表面のCMP
図11に示すとおり、ポリッシュ装置40に設置された直径380mmの定盤41上にポリシングパッド42を設置し、スラリー液供給口43から砥粒が分散されたスラリー44をポリシングパッド42に供給しながら、回転軸R1を中心にしてポリシングパッド42を回転させると共に、結晶ホルダ45上に重り46を載せることによりn型GaN結晶基板10をポリシングパッド42に押し付けながら、n型GaN結晶基板10を結晶ホルダ45の回転軸R2を中心にして回転させることにより、n型GaN結晶10の表面(Ga原子面側のc面、(0001)面)のCMPをおこなった。
ここで、スラリーは、砥粒として粒径2μmのAl(モース硬度9)粒子を水に分散させてAl含有量を5質量%とし、酸化剤としてジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(以下、DCIA−Naという)を、pH調整剤としてHNO3を添加して、pHを1以上4.5以下、酸化還元電位を1000mV以上1500mV以下に調整することにより作製した。また、ポリシングパッドとしては、ポリウレタンのスウェードパッド(ニッタ・ハース株式会社製Supreme RN-R)を用い、定盤としてはステンレス鋼定盤を用いた。ポリシング圧力は9.8kPa(100gf/cm2)以上78kPa(800gf/cm2)以下とし、n型GaN結晶基板及びポリシングパッドの回転数はいずれも30回/min以上120回/min以下とした。
n型GaN結晶基板の表面粗さRy及び表面粗さRmsの評価は、n型GaN結晶基板表面の10μm×10μmの範囲内におけるAFM(原子間力顕微鏡)観察によりおこなった。また、表面層の酸素量の評価はAESによりおこない、塩素量の評価はTXRFによりおこなった。
(1−3)n型GaN結晶の表面の無砥粒ポリシング
上述したCMPと同等のポリシング装置を用いて、砥粒を含まない溶液で無砥粒ポリシングを実施した。ポリシング液は、酸化剤としてトリクロロイソシアヌル酸(以下、TCIAという)を、pH調整剤としてHClを添加して、pHを1以上2.5以下、酸化還元電位を1200mV以上1500以下に調整することにより作製した。ポリシング液はエチレングリコールの添加により粘度を2mPa・s以上10mPa・s以下に調整した。ポリシングパッドには、不織布パッド(圧縮率3.0%)を用い、定盤としては表面処理を実施したアルミ定盤を用いた。ポリシング圧力は39kPa(400gf/cm2)以上78kPa(800gf/cm2)以下とし、n型GaN結晶基板及びポリシングパッドの回転数はいずれも80回/min以上100回/min以下とした。
(1−4)n型GaN結晶基板を含む半導体デバイスの作製
上記CMP後のn型GaN結晶基板をMOCVD装置内に配置して、このn型GaN結晶基板の一方の主面(CMPをおこなった(0001)面)側に、MOCVD法により、n型半導体層としての厚さ1μmのn型GaN層(ドーパント:Si)及び厚さ150nmのn型Al0.1Ga0.9N層(ドーパント:Si)、発光層、p型半導体層としての厚さ20nmのp型Al0.2Ga0.8N層(ドーパント:Mg)及び厚さ150nmのp型GaN層(ドーパント:Mg)を順次形成して、エピタキシャル成長層を含む化合物半導体基板を得た。ここで、発光層は、厚さ10nmのGaN層で形成される障壁層の4層と、厚さ3nmのGa0.85In0.15N層で形成される井戸層の3層とが交互に積層された多重量子井戸構造とした。エピタキシャル成長層について、表面粗さ、PL強度評価をおこなった。PL強度評価は、波長325nmのHe−Cdレーザを励起光源に用い、波長460nmの強度を評価した。また、ベース基板とエピタキシャル成長層との界面の組成について、SIMS分析をおこなった。
次に、n型のGaN結晶基板の他方の主面((000−1)面)側に第1の電極として、厚さ200nmのTi層、厚さ1000nmのAl層、厚さ200nmのTi層、厚さ2000nmのAu層から形成される積層構造を形成し、窒素雰囲気中で加熱することにより、直径100μmのn側電極を形成した。一方、p型GaN層上に第2の電極として、厚さ4nmのNi層、厚さ4nmのAu層から形成される積層構造を形成し、不活性ガス雰囲気中で加熱することにより、p側電極を形成した。上記半導体基板を400μm角、2mm角にチップ化した後に、上記p側電極をAuSnで形成されたはんだ層で導電体にボンディングした。さらに、上記n側電極と導電体とをワイヤでボンディングして、LEDとしての構成を有する半導体デバイスを得た。
得られたLEDの光出力を、積分球を用いて注入電流20mA、40mA、4Aの条件で測定した。発光素子の光出力は、以下のように測定した。積分球内に載置された発光素子に所定の電流を注入し、その発光素子から集光された光を受けるディテクタによって測定した。それぞれの半導体基板に対応する発光素子として、それぞれ400μm角と2mm角の2通りのチップサイズを有する素子が作製され、それぞれのチップサイズに応じて20mA、40mAと4Aの電流が注入された。結果を図13の表にまとめた。
図13の表に示す試料1〜13においては、酸素量が3.0at%以上15.0at%以下の範囲内で、且つ、塩素量が200×1010個/cm以上12000×1010個/cm以下の範囲内である試料3〜11では、良好なデバイス特性(光出力)が得られた。一方、試料1、2では、酸素量、塩素量のいずれかが少ないために光出力が低下し、試料12、13では、酸素量、塩素量のいずれかが多いために光出力が低下した。特に、電流注入が大きい場合に、光出力の低下が顕著であった。
SIMS分析の結果、試料2は、Cl原子の濃度が2×1015個/cm、O原子の濃度が2×1016個/cm、Si原子の濃度が1×1020個/cm、H原子の濃度が1×1017個/cmであった。試料3は、Cl原子の濃度が5×1015個/cm、O原子の濃度が5×1016個/cm、Si原子の濃度が5×1019個/cm、H原子の濃度が2×1017個/cmであった。試料6は、Cl原子の濃度が1×1017個/cm、O原子の濃度が2×1017個/cm、Si原子の濃度が5×1017個/cm、H原子の濃度が5×1017個/cmとなった。試料9は、Cl原子の濃度が1×1018個/cm、O原子の濃度が1×1018個/cm、Si原子の濃度が1×1019個/cm、H原子の濃度が1×1018個/cmとなった。試料13は、Cl原子の濃度が1×1019個/cm、O原子の濃度が1×1019個/cm、Si原子の濃度が1×1020個/cm、H原子の濃度が5×1018個/cmであった。
界面の組成が良好な範囲にある試料3、試料6、試料9では、良好なデバイス特性が得られた。界面の組成が良好な範囲ではない試料2、試料13では、光出力が低下した。
(実施例2)
図14の表に示す試料14〜17では、フラックス法により成長したn型のGaN結晶を用いた。スライス及びラッピングは、実施例1と同様におこなった。CMPでAl砥粒の粒径選定、及び後工程でSiO砥粒でのCMPを実施することにより、表面粗さ、スクラッチ密度を制御した。Al砥粒の粒径は、試料15は0.5μm、試料16は1μm、試料17は2μmとした。試料14は、粒径1μmのAl砥粒でCMPした後に、粒径50nmのコロイダルシリカでCMPをおこなった。シリカの含有量は10wt%とした。無砥粒ポリシングは、実施例1と同様に実施した。表面層の組成が適切な範囲にあり、表面粗さが良好な範囲にある試料14〜17では、良好なデバイス特性が得られた。スクラッチ密度が良好な範囲にある試料14〜16では、良好なデバイス特性が得られた。スクラッチ密度が高い試料17では、エピタキシャル層の表面粗さが大きくなり、PL強度が低下した。そのため、LEDの光出力が低下した。
(実施例3)
図15の表に示す試料20〜22では、Alを5%含むAlGaN基板をHVPE法で成長させ、CMP後に、ドライエッチング(DE)での表面処理を実施した。CMPは試料14と同様におこなった。図12に示すとおり、DE装置50として、真空チャンバ51内に平行平板型の電極52A、52Bを有するRIE(反応性イオンエッチング)装置を用いた。真空チャンバ51の容積は20Lとした。基板支持台53の材質はSiCとした。エッチングガスにはClを用い、流量は30sccmとした。圧力4.0Paの雰囲気下、パワー50W以上200W以下でドライエッチングをおこなった。(PV/Q=2.67)表面層の組成が適切な範囲にあり、ピット密度が良好な試料20〜22では、良好なデバイス特性が得られた。
(実施例4)
図16の表に示す試料24〜26では、昇華法で成長させたAlN基板を用いた。CMPは試料14と同様におこない、CMP後にドライエッチングでの表面処理を実施した。装置は試料20と同じ構成のものを用いた。エッチングガスにはBClを用い、流量は50sccmとした。圧力3.0Paの雰囲気下、パワー50W以上150W以下でドライエッチングをおこなった。(PV/Q=1.2)表面層の組成が適切な範囲にあり、加工変質層の厚さが良好な試料24〜26では、良好なデバイス特性が得られた。
(実施例5)
図17の表に示す試料28〜30では、下地基板にM面を主面とするn型GaN結晶(ドーパント:O)を用い、HVPE法によりM面を主面とするn型GaN結晶(ドーパント:O)を成長させた。結晶の主面から(0001)面の方向に15°傾けてスライスして、M面から15°のオフ角を有するn型GaN結晶基板を得た。(C面からM面方向に75°傾斜)サイズは直径50mm×厚さ0.5mmである。この基板に対して、Cr砥粒でのCMP後に、SiO砥粒でのCMPを実施した。Cr砥粒の粒径は1μmとし、砥粒濃度は10%とした。SiO砥粒の粒径は100nmとし、砥粒濃度は15%とした。いずれのスラリーも酸化剤としてH、pH調整剤としてHClを添加して、pHを1以上2以下、酸化還元電位を950mV以上1050mV以下に調整した。無砥粒ポリシングは、実施例1と同様の装置、溶液を用いた。ポリシングパッドは硬質ポリウレタン製(圧縮率1.5%)のものを用いた。ポリシング条件は実施例1と同様に実施した。表面層の組成が適切な範囲にあり、潜傷密度が良好な試料28〜30では、良好なデバイス特性が得られた。
(実施例6)
図18の表に示す試料32〜35では、高転位密度領域と低転位密度領域が直線状に交互に並ぶストライプ構造を有するGaN基板を用い、ZrO砥粒でのCMP後に、Fe砥粒でのCMPを実施した。ZrO砥粒の粒径は500nmとし、砥粒濃度は10%とした。Fe砥粒の粒径は500nmとし、砥粒濃度は5%とした。いずれのスラリーも酸化剤として次亜塩素酸ナトリウム、pH調整剤としてリンゴ酸を添加して、pHを2以上3以下、酸化還元電位を1300mV以上1400mV以下に調整した。無砥粒ポリシングは、実施例1と同様の装置、溶液を用いた。ポリシングパッドはスウェードパッド(圧縮率12%)のものを用いた。ポリシング装置は実施例1と同様のものを用いた。ポリシング圧力は15kPa(150gf/cm2)以上88kPa(900gf/cm2)以下とし、n型GaN結晶基板及びポリシングパッドの回転数はいずれも40回/min以上80回/min以下とした。表面層の組成が適切な範囲にあり、平坦面領域率が良好な試料33〜35では、良好なデバイス特性、歩留りが得られた。平坦面領域率が小さい試料32では、LEDの光出力が低下した。さらに歩留りが低下した。
(実施例7)
図19の表に示す試料36〜47では、試料15と同様のCMP処理をおこなった基板について、ICP−RIE装置を用いて、GaN基板の表面に対してドライエッチング処理を実施した。エッチングガスにはClを用いた。用いた設備の処理室の容積V、ドライエッチングの圧力P、ガス流量Q、算出されるPV/Q、バイアスパワー、アンテナパワー、及び基板支持台の材質を表に示した。PV/Qの値が適切であり、基板支持台にSi系化合物であるSiC、Siを用いた試料36、37では、良好な表面層を形成することができた。支持台の材質がSiである試料38では、表面層のSi量が多くなる問題が生じた。支持台の材質がSiを含まないAlである試料39では、表面層の粗さが増加する問題が生じた。試料38、39ともLEDの光出力が低下した。
基板支持台にSiC又はSiを用いてPV/Qが適切な試料41〜46では、良好な表面層が得られた。良好な表面層の化合物半導体基板を用いた場合には、良好なデバイス特性が得られた。基板支持台にSiCを用いてPV/Qが小さい試料40では、表面層の酸素量が減少し、塩素量が増加する問題が生じた。表面層の粗さも大きくなった。基板支持台にSiを用いてPV/Qが大きい試料47では、表面層の酸素量が増加し、塩素量が減少する問題が生じた。試料30、47ともLEDの光出力が低下した。
(実施例8)
図20の表に示す試料48〜58では、高転位密度領域と低転位密度領域が交互に並び、さらに垂直方向に高転位密度領域と低転位密度領域が交互に並ぶスクエア構造を有するn型GaN基板(ドーパントSi)をHVPE法で成長させた。粒径2μmのダイヤモンド砥粒とスズ定盤でラッピングした後、表に示す砥粒を含まない溶液を用いて試料48〜56では基板のポリシングを実施した。また、試料57、58では超音波洗浄を実施した。溶液の粘度はいずれも10mPa・sであった。溶液のpH、酸化還元電位が適切な範囲にある試料49〜52及び試料54〜58では、良好な組成の表面層が得られた。溶液のpHが1よりも低い試料48では、表面の酸素量、塩素量が増加した。さらに、表面粗さが増加した。pHが6よりも高い試料53では、表面の酸素量、塩素量が減少した。
(実施例9)
図21の表に示す試料59〜67では、ドット状に規則的に配列した高転位密度領域が存在するドット構造を有するn型GaN基板(ドーパントO)をHVPE法で成長させた。GaN基板を粒径3μmのダイヤモンド砥粒とスズ−2%ビスマス合金定盤でラッピングした後、表に示す砥粒を含まない溶液を用いて試料59〜64では基板のポリシングを実施した。また、試料65〜67では超音波洗浄を実施した。溶液の粘度はいずれも20mPa・sであった。溶液のpH、酸化還元電位が適切な範囲にある試料60〜63では、良好な組成の表面層が得られた。溶液のpHが8.5よりも低い試料59では、表面の酸素量、塩素量が減少した。溶液の酸化還元電位が高い試料64では、表面の酸素量、塩素量が増加した。さらに平坦面領域率が低くなった。
(実施例10)
図22の表に示す試料68〜81では、高転位密度領域と低転位密度領域が直線状に交互に並ぶストライプ構造を有するn型のAlGaN基板をHVPE法で成長させた。SiC砥粒と不織布パッドでラッピングした後に、表に示す砥粒を含まない溶液、パッド、条件で基板の表面をポリシングした。溶液の粘度はいずれも30mPa・sであった。溶液のpH、酸化還元電位が適切な範囲にあるため、良好な組成の表面層が得られた。パッドの圧縮率、圧力が適切な範囲にある試料69〜73及び試料76〜80では、良好な表面粗さ、平坦面領域率が得られた。パッドの圧縮率が低い試料70では、表面粗さが増加した。パッドの圧縮率が高い試料74では、平坦面領域率が低くなった。圧力が低い試料75では、砥粒のSiCの残留によるSi量が多くなった。圧力が高い試料81では、表面粗さが増加し、平坦面領域率が低下した。
(実施例11)
HVPE法により成長させたn型GaN結晶(ドーパント:O)を、(0001)面に平行な面でスライスして直径100mm×厚さ0.8mmのn型GaN結晶基板を得た。試料15と同様の方法でラッピング、CMP処理をおこなった。その後に、図23の表に示す粘度のポリシング液を用いて、無砥粒ポリシングを実施した。ポリシング液の粘度は、ベーマイトの添加量で調整した。ポリシング液は酸化剤としてTCIAを、pH調整剤としてリンゴ酸を添加して、pHを2、酸化還元電位を1400mVに調整した。ポリシング液の粘度が適切な範囲にある試料83〜87では、良好な組成の表面層が得られた。ポリシング液の粘度が2mPa・sよりも低い試料82では、表面の酸素量、塩素量が増加した。また、表面粗さが増加した。溶液の粘度が30mPa・sよりも高い試料88では、表面の酸素量、塩素量が減少した。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、半導体基板及びエピタキシャル層は、III族窒化物半導体で構成されていれば、GaNやAlNに限定されず、その他の半導体材料であってもよい。
10,10A,10B…化合物半導体基板、12…表面層、14…エピタキシャル層、18A…低転位密度領域、18B…高転位密度領域、30…半導体デバイス、32A,32B…電極。

Claims (9)

  1. Cl換算で200×1010個/cm以上12000×1010個/cm以下の塩化物及びO換算で3.0at%以上15.0at%以下の酸化物を含む表面層を表面に有すると共に、III族窒化物で構成されるベース基板と、
    前記ベース基板の前記表面層上に形成されると共に、III族窒化物で構成されるエピタキシャル層とを備える、化合物半導体基板。
  2. III族窒化物で構成されるベース基板と、前記ベース基板上に形成されるエピタキシャル層との界面におけるCl原子の濃度が5×1015個/cm以上1×1018個/cm以下である、化合物半導体基板。
  3. III族窒化物で構成されるベース基板と、前記ベース基板上に形成されるエピタキシャル層との界面におけるO原子の濃度が5×1016個/cm以上1×1018個/cm以下である、化合物半導体基板。
  4. III族窒化物で構成されるベース基板と、前記ベース基板上に形成されるエピタキシャル層との界面におけるSi原子の濃度が1×1015個/cm以上5×1019個/cm以下である、化合物半導体基板。
  5. III族窒化物で構成されるベース基板の表面に、Cl換算で200×1010個/cm以上12000×1010個/cm以下の塩化物及びO換算で3.0at%以上15.0at%以下の酸化物を含む表面層を形成する、化合物半導体基板の製造方法。
  6. 前記ベース基板の前記表面層上に、III族窒化物で構成されるエピタキシャル層を形成する、請求項5に記載の化合物半導体基板の製造方法。
  7. Cl換算で200×1010個/cm以上12000×1010個/cm以下の塩化物及びO換算で3.0at%以上15.0at%以下の酸化物を含む表面層を表面に有すると共にIII族窒化物で構成されるベース基板と、前記ベース基板の前記表面層上に形成されると共にIII族窒化物で構成されるエピタキシャル層とを有する化合物半導体基板、及び、
    前記化合物半導体基板の上面及び下面の少なくとも一方に形成された電極を備える、半導体デバイス。
  8. 請求項2〜4のいずれか一項に記載の化合物半導体基板と、
    前記化合物半導体基板の上面及び下面の少なくとも一方に形成された電極と、を備える、半導体デバイス。
  9. Cl換算で200×1010個/cm以上12000×1010個/cm以下の塩化物及びO換算で3.0at%以上15.0at%以下の酸化物を含む表面層を表面に有すると共にIII族窒化物で構成されるベース基板の前記表面層上に、III族窒化物で構成されるエピタキシャル層を形成して化合物半導体基板を得るステップと、
    前記化合物半導体基板の上面及び下面の少なくとも一方に電極を形成するステップと、を含む、半導体デバイスの製造方法。
JP2009150205A 2009-06-24 2009-06-24 化合物半導体基板 Active JP5636642B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009150205A JP5636642B2 (ja) 2009-06-24 2009-06-24 化合物半導体基板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009150205A JP5636642B2 (ja) 2009-06-24 2009-06-24 化合物半導体基板

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009009151A Division JP4333820B1 (ja) 2009-01-19 2009-01-19 化合物半導体基板

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009179554A Division JP2010166017A (ja) 2009-07-31 2009-07-31 化合物半導体基板及び半導体デバイス

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010163350A true JP2010163350A (ja) 2010-07-29
JP5636642B2 JP5636642B2 (ja) 2014-12-10

Family

ID=42579830

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009150205A Active JP5636642B2 (ja) 2009-06-24 2009-06-24 化合物半導体基板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5636642B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016021681A1 (ja) * 2014-08-07 2016-02-11 株式会社タムラ製作所 Ga2O3系単結晶基板
JP2019201158A (ja) * 2018-05-18 2019-11-21 株式会社東芝 半導体素子及びその製造方法
KR20210000328A (ko) * 2014-03-31 2021-01-04 가부시키가이샤 노리타케 캄파니 리미티드 GaN 단결정 재료의 연마 가공 방법

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6013053258; R. LI et al.: 'The reactive ion etching characteristics of AlGaN/GaN SLs and etch-induced damage study of n-GaN usi' Journal of Crystal Growth Vol. 298, 2007, p. 375-378 *

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20210000328A (ko) * 2014-03-31 2021-01-04 가부시키가이샤 노리타케 캄파니 리미티드 GaN 단결정 재료의 연마 가공 방법
KR102230096B1 (ko) 2014-03-31 2021-03-18 가부시키가이샤 노리타케 캄파니 리미티드 GaN 단결정 재료의 연마 가공 방법
WO2016021681A1 (ja) * 2014-08-07 2016-02-11 株式会社タムラ製作所 Ga2O3系単結晶基板
JP2016037417A (ja) * 2014-08-07 2016-03-22 株式会社タムラ製作所 Ga2O3系単結晶基板
JP2019201158A (ja) * 2018-05-18 2019-11-21 株式会社東芝 半導体素子及びその製造方法
JP7033498B2 (ja) 2018-05-18 2022-03-10 株式会社東芝 半導体素子及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5636642B2 (ja) 2014-12-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4333820B1 (ja) 化合物半導体基板
JP5365454B2 (ja) Iii族窒化物半導体基板、エピタキシャル基板及び半導体デバイス
JP4792802B2 (ja) Iii族窒化物結晶の表面処理方法
KR101621998B1 (ko) Ⅲ족 질화물 반도체 기판, 에피택셜 기판 및 반도체 디바이스
JP2007103457A (ja) ポリシングスラリー、iii族窒化物結晶の表面処理方法、iii族窒化物結晶基板、エピタキシャル層付iii族窒化物結晶基板、半導体デバイスおよびその製造方法
JP2009272380A (ja) Iii族窒化物結晶およびその表面処理方法、iii族窒化物積層体およびその製造方法、ならびにiii族窒化物半導体デバイスおよびその製造方法
JP5636642B2 (ja) 化合物半導体基板
JP5833297B2 (ja) Iii族窒化物半導体基板、エピタキシャル基板及び半導体デバイス
JP5402918B2 (ja) 半導体デバイスの製造方法
JP5696734B2 (ja) Iii族窒化物結晶基板、エピタキシャル層付iii族窒化物結晶基板および半導体デバイス
JP2010166017A (ja) 化合物半導体基板及び半導体デバイス
JP5648726B2 (ja) GaN基板及びその製造方法、エピタキシャル基板、並びに、半導体デバイス
JP2015053482A (ja) Iii族窒化物半導体基板、エピタキシャル基板及び半導体デバイス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111121

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130402

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131029

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140107

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140214

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140924

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20141007

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5636642

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350