JP2010163291A - ガラス溶融炉 - Google Patents

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博幸 内田
Shinsuke Matsuno
伸介 松野
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Abstract

【課題】本発明は、ガラス溶融炉において、流下ノズルからの溶融ガラスの流下開始及び停止の迅速性を向上することができる溶融炉を得ることを目的とする。
【解決手段】溶融ガラスが貯留される溶融炉本体と、前記溶融炉の下部に設けられ同溶融炉本体内に連通された流下ノズルと、前記流下ノズルを加熱する加熱手段と、同流下ノズルを冷却する冷却手段とを有し、前記加熱手段により前記流下ノズルを加熱して同流下ノズル内のガラスが溶融されているときに同流下ノズルから溶融ガラスが流下し、前記冷却手段により前記流下ノズルを冷却して同流下ノズル内のガラスが固化されたときに同流下ノズルからの溶融ガラスの流下が停止するガラス溶融炉において、前記流下ノズルの内周面が、同流下ノズルの断面において凹凸状に形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス溶融炉、特に溶融ガラス内の金属粒子が炉の底部に堆積することを抑制するガラス溶融炉に関する。
原子力施設において排出される高レベル放射性廃液は、前処理された後、ガラス溶融炉内で溶融ガラスに混入され、そしてその放射性廃液が混入された溶融ガラスが別の容器に注入され、同容器と共に固化され、放射性廃棄物保管施設に保管されるガラス固化体を形成している。
この種の溶融炉において、溶融ガラスは溶融炉の底部に設けられた流下ノズルから前述の容器に流下される。同流下ノズルからの溶融ガラスの流下開始及び停止は、例えば特許文献1(特開2001−337195号)に示されるように、流下ノズル内のガラスの加熱(融解)及び冷却(凝固)による所謂フリーズバルブ方式によって行われる。
特開2001−337195号公報
上述のガラス溶融炉において、流下ノズルからの溶融ガラスの流下開始及び停止の迅速性は、流下ノズルでの伝熱に大きく影響される。流下ノズル内のガラスの加熱は、流下ノズルの外方に設けられた加熱手段(例えば、高周波加熱ヒータ)による流下ノズル外面の加熱及び同流下ノズルの内面からガラスへの強制対流伝熱により行われる。また流下ノズル内のガラスの冷却は、流下ノズル外方に設けられた冷却手段(空気冷却)による流下ノズル外面の冷却及び同流下ノズルの内面からガラスへの強制対流伝熱により行われる。加熱及び冷却のいずれの場合においても、熱伝導率の小さなガラスへの対流伝熱が律速と考えられる。流下開始及び停止を迅速化するためには、この対流伝熱の性能向上が重要である。
しかしながら、従来、流下ノズルの内周面は、同流下ノズルの断面において平滑な円形であって、伝熱促進のための工夫が成されていなかった。
本発明は、上述したようなガラス溶融炉において、流下ノズルからの溶融ガラスの流下開始及び停止の迅速性を向上することができる溶融炉を得ることを目的とする。
この目的を達成するため、本発明の請求項1に係るガラス溶融炉は、溶融ガラスが貯留される溶融炉本体と、前記溶融炉の下部に設けられ同溶融炉本体内に連通された流下ノズルと、前記流下ノズルを加熱する加熱手段と、同流下ノズルを冷却する冷却手段とを有し、前記加熱手段により前記流下ノズルを加熱して同流下ノズル内のガラスが溶融されているときに同流下ノズルから溶融ガラスが流下し、前記冷却手段により前記流下ノズルを冷却して同流下ノズル内のガラスが固化されたときに同流下ノズルからの溶融ガラスの流下が停止するガラス溶融炉において、前記流下ノズルの内周面が、同流下ノズルの断面において凹凸状に形成されたことを特徴とする。
本発明の請求項2に係るガラス溶融炉は、請求項1の発明において、前記流下ノズルの内周面が、同流下ノズルと一体の部材で凹凸状に形成されたことを特徴とする。
本発明の請求項3に係るガラス溶融炉は、請求項1の発明において、前記流下ノズルの内周面が、内周面に固定された同流下ノズルとは別体の伝熱用部材により凹凸状に形成されたことを特徴とする。
本発明の請求項1のガラス溶融炉によれば、前記流下ノズルの内周面が、同流下ノズルの断面において凹凸状に形成されているので、同流下ノズルの内周面の溶融ガラスに対する接触面積が、平滑な円形の内周面をもつ従来装置と比べて、大幅に増大し、流下ノズル内面からガラスへの伝熱の性能も大幅に向上する。
したがって、流下ノズル内のガラスの溶融及び凝固、換言すれば、流下ノズルからの溶融ガラスの流下の開始及び停止を、従来装置よりも迅速に行うことができる。
本発明の請求項2のガラス溶融炉によれば、流下ノズルの内周面が、同流下ノズルと一体の部材で凹凸状に形成されているので、同流下ノズルの内周面と外周面との間の伝熱が効率よく行われる。
本発明の請求項3のガラス溶融炉によれば、前記流下ノズルの内周面が、内周面に固定された同流下ノズルとは別体の伝熱用部材により凹凸状に形成されているので、伝熱用部材の形状を自由に設定することができ、より伝熱面積を増やすことができる。
本発明の一実施例に係るガラス溶融炉の縦断面図である。 図1のII−II線に沿う矢視断面図である。 変形例を示す断面図である。
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
まず、本発明の一実施例に係るガラス溶融炉を図1及び図3に従って説明する。図1は本実施例に係るガラス溶融炉の縦断面図、図2は図1のII−II線に沿う断面図である。
溶融ガラスGが貯留される溶融炉本体2は、水平断面において四角形状を呈し、底部2aは4つの三角形の斜面からなる逆四角錐形状を呈している。溶融炉本体2の上部には、同溶融炉本体2内にガラスビーズを供給する供給管4と、廃液を投入するための供給管6が設けられている。溶融炉本体2の下部には、同溶融炉本体2内の溶融ガラスGをキャニスタ8内に流下させる排出孔としての流下ノズル10が設けられている。つまり、逆四角錐形状の底部2aを構成する4つの斜面は、流下ノズル10に向けて傾斜しており、溶融炉本体2内の溶融ガラスGがスムースに流下ノズルに向けて流れるように構成されている。溶融炉本体2は、耐火物Aにより周りを囲まれている。
溶融炉本体2の一対の側壁には、相対向するように配置された加熱用の主電極12a及び12bが設けられ、また溶融炉本体2の逆四角錐形状の底部2aの一対の斜面には、相対向するように配置された加熱用の補助電極14a及び14bが設けられている。溶融炉本体2の最下部及び流下ノズル10の上部にかけて底部電極16が設けられている。流下ノズル10の周りには、誘導加熱コイル18が設けられている。溶融炉本体2の上部には、間接的に溶融ガラスGを加熱する加熱装置20が設けられている。
なお、上述の各電極には、図示しないが、温度センサと各電極を冷却することができる冷却風通路が設けられており、各電極を所望の温度に制御することができる。
この溶融炉の稼働状態において、ガラスビーズは供給管4から溶融炉本体2内に供給され、廃液は供給管6溶融炉本体2内に供給され、加熱装置20、主電極12a,12bまたは補助電極14a,14bの通電により、ガラスビーズを溶融し、廃液を含んだ溶融ガラスGが得られる。そして、主電極12a,12b及び/または補助電極14a,14bの通電量または冷却風量を制御することにより、溶融ガラスGを所望の温度に保つように構成されている。
底部電極16及び誘導加熱コイル18によって流下ノズル10が加熱されていない状態では、流下ノズル10内で溶融ガラスGは固化されているため、溶融ガラスGの流下ノズル10からの流下が阻止される。逆に、底部電極16及び誘導加熱コイル18によって流下ノズル10を加熱すると、流下ノズル10内で固化されていたガラスが溶融して溶融ガラスGとなって同流下ノズル10からキャニスタ10内に流下する。また流下している状態において、底部電極16及び誘導加熱コイル18による流下ノズル10の加熱を止めると共に、底部電極16に冷却風を供給することによって、流下ノズル10を冷却することによって、流下ノズル10内の溶融ガラスが凝固し、流下ノズル10からの溶融ガラスの流下が停止される。
そして、本実施例において、図2に示されるように、流下ノズル10の内周面10aが同流下ノズル10と一体の部材で凹凸状に形成されている。
本実施例のガラス溶融炉によれば、流下ノズル10の内周面10aが、同流下ノズル10の断面において凹凸状に形成されているので、同流下ノズル10の内周面10aの溶融ガラスGに対する接触面積が、平滑な円形の内周面をもつ従来装置と比べて、大幅に増大し、流下ノズル内面からガラスへの伝熱の性能も大幅に向上する。
したがって、流下ノズル10内の溶融ガラスGの溶融及び凝固、換言すれば、流下ノズル10からの溶融ガラスGの流下の開始及び停止を、従来装置よりも迅速に行うことができる。しかも、本実施形態のガラス溶融炉によれば、流下ノズル10の内周面10aが、同流下ノズル10と一体の部材で凹凸状に形成されているので、同流下ノズル10の内周面10aと外周面との間の伝熱が効率よく行われる。
次に、本実施例に係るガラス溶融炉の変形例を図3にしたがって説明する。この図3は、流下ノズル10の断面を示し、流下ノズル10における図2と同じ部分の断面図である。
この変形例においては、流下ノズル10の内周面10bに、同流下ノズル10とは別体の伝熱用部材である複数のフィン22が固定されており、その結果、この複数のフィン22によって流下ノズル10の内周面10bが凹凸状に形成されている。
この変形例のガラス溶融炉によれば、流下ノズル10の内周面10bが、内周面10bに固定された同流下ノズル10とは別体のフィン22により凹凸状に形成されているので、より伝熱面積を増やすことができる。
本発明は、上述の実施例に限定されるものでなく、上述した構成を変形することが可能である。
2 ガラス溶融炉本体
2a 底部
10 流下ノズル
10a,10b 内周面

Claims (3)

  1. 溶融ガラスが貯留される溶融炉本体と、前記溶融炉の下部に設けられ同溶融炉本体内に連通された流下ノズルと、前記流下ノズルを加熱する加熱手段と、同流下ノズルを冷却する冷却手段とを有し、前記加熱手段により前記流下ノズルを加熱して同流下ノズル内のガラスが溶融されているときに同流下ノズルから溶融ガラスが流下し、前記冷却手段により前記流下ノズルを冷却して同流下ノズル内のガラスが固化されたときに同流下ノズルからの溶融ガラスの流下が停止するガラス溶融炉において、
    前記流下ノズルの内周面が、同流下ノズルの断面において凹凸状に形成された
    ことを特徴とするガラス溶融炉。
  2. 前記流下ノズルの内周面が、同流下ノズルと一体の部材で凹凸状に形成されたことを特徴とする請求項1記載のガラス溶融炉。
  3. 前記流下ノズルの内周面が、内周面に固定された同流下ノズルとは別体の伝熱用部材により凹凸状に形成されたことを特徴とする請求項1記載のガラス溶融炉。
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