JP2010163207A - 試料輸送容器、並びに、試料輸送方法 - Google Patents

試料輸送容器、並びに、試料輸送方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高精度な温度管理が要求される試料を容易かつ確実に輸送することができる技術を提供する。
【解決手段】試料輸送容器1は、試料を入れた試料保持具を収容して当該試料を目的温度域に維持しながら輸送するためのものであり、真空断熱容器(試料輸送容器本体)3と、面状ヒータ(電気ヒータ)5と、蓄熱剤6とを有する。真空断熱容器3は、ステンレススチール製の円筒型真空二重容器(デュワー瓶)である。面状ヒータ5は、試料を入れた試料保持具を直接的に加温するためのものであり、試料保持具の周りを覆うことができる。蓄熱剤6は空間部10に設置されている。目的温度域は、例えば0℃〜20℃あるいは15℃〜36℃の範囲から選択することでき、輸送対象となる試料としては細胞や生体試料が挙げられる。
【選択図】図2

Description

本発明は、細胞等の試料を目的温度域に維持して輸送するために使用される試料輸送容器、並びに、当該容器を用いた試料輸送方法に関するものである。
細胞や生体試料といった精密な温度管理が求められる試料を輸送する機会が増加している。一般に、これらの試料の保存や輸送は−20℃以下の「冷凍」や5℃程度の「冷蔵」の条件下で行われることが多い。冷凍条件で輸送する場合には、例えば、ドライアイスや液体窒素といった超低温の冷媒を試料に接触させるか試料近傍に置いた状態で輸送する。冷蔵条件で輸送する場合には、例えば、高吸水性ポリマーを袋詰めした保冷剤がよく使われている。
一方、これらの試料を生物学的に活発な状態を維持したまま輸送するニーズが高まっている。そのためには、冷蔵条件よりも少し高い温度領域や生体温度領域(以下、「中間温度領域」と称することがある。)に試料温度を維持しながら輸送する必要がある。また、細胞や生体試料の他に、医薬品関連試料や半導体関連試料でも、中間温度領域に維持しながら輸送すべきものがある。これらの試料の多くは温度変動の影響を受けやすいので、輸送中の温度変動を極力小さくする必要がある。さらに、遠方に輸送する機会が多いので、数日間の輸送にも対応できることが望ましい。特許文献1には、室温領域で細胞を輸送するための細胞輸送容器が開示されている。この細胞輸送容器は、蓄熱機能と断熱機能を備えた二層構造を有し、さらに酸化触媒による加温装置を有する。
また一方で、前記試料の輸送に用いる容器や装置類は、取り扱いやすさの点から、できるだけ簡単な構造からなるものが望まれる。
特開2004−217290号公報
上述のように、中間温度領域に維持しながら輸送すべき試料が増えており、長時間に渡って中間温度領域を維持でき、かつ輸送中の温度変動を高度に抑えられる試料輸送技術が求められている。本発明の目的は、高精度な温度管理が要求される試料を容易かつ確実に輸送することができる技術を提供することにある。
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、試料を入れた試料保持具を収容し、当該試料を目的温度域に維持しながら輸送するための試料輸送容器であって、
試料保持具を収容可能な試料輸送容器本体と、電気ヒータとを備え、
電気ヒータは試料保持具に対して直接的に加温するものであり、
電気ヒータの表面温度を制御することにより試料温度を目的温度域に維持可能であることを特徴とする試料輸送容器である。
本発明の試料輸送容器は、試料を入れた試料保持具を収容して試料を輸送するためのものであり、試料を目的温度域に維持しながら輸送することを目的とするものである。本発明の試料輸送容器は試料輸送容器本体を備え、その中に試料保持具を収容可能である。そして本発明の試料輸送容器は、試料保持具に対して直接的に加温する電気ヒータを備えている。そのため、容器内の温度雰囲気を目的温度域に維持する従来技術の試料輸送容器に比べて、試料温度を高精度かつ確実に目的温度域に維持できる。また電気ヒータを採用しているので、長時間に渡る加温が可能である。すなわち本発明の試料輸送容器によれば、輸送中の試料温度の変動が極めて小さく、高精度な温度管理が要求される試料であっても容易かつ確実に輸送することができる。
請求項2に記載の発明は、電気ヒータは、試料保持具の周囲を覆うか挟むことが可能なものであることを特徴とする請求項1に記載の試料輸送容器である。
本発明の試料輸送容器では、電気ヒータが試料保持具の周囲を覆うか挟むことが可能なものである。そのため、試料保持具に対してより確実に加温することができ、試料に対する温度維持がより高精度に行える。
請求項3に記載の発明は、電気ヒータは、面状ヒータであることを特徴とする請求項1又は2に記載の試料輸送容器である。
かかる構成により、試料保持具に対する加温をより確実かつ容易に行うことができる。
請求項4に記載の発明は、試料輸送容器本体は、真空断熱容器であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の試料輸送容器である。
本発明の試料輸送容器では、試料保持具を収容する試料輸送容器本体が真空断熱容器である。そのため、試料が容器外部の温度の影響をほとんど受けることがなく、試料の温度維持をさらに高精度に行える。
請求項5に記載の発明は、試料輸送容器本体内に蓄熱剤をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の試料輸送容器である。
本発明の試料輸送容器では試料輸送容器本体内に蓄熱剤が設置されている。そのため、試料輸送容器本体内の温度が安定化し、試料の温度変動がさらに高度に抑えられる。
請求項6に記載の発明は、断熱材からなる外容器をさらに備え、前記試料輸送容器本体は当該外容器内に収容されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の試料輸送容器である。
本発明の試料輸送容器では、断熱材からなる外容器をさらに備え、試料輸送容器本体は当該外容器内に収容されている。そのため、試料輸送容器本体の外側の温度変動が極めて小さく、試料に対する温度維持がさらに確実かつ高精度に行える
請求項7に記載の発明は、試料輸送容器本体と外容器との間に保冷剤を有することを特徴とする請求項6に記載の試料輸送容器である。
本発明の試料輸送容器は試料輸送容器本体の外側に保冷剤を有しているので、試料輸送容器本体内部の温度上昇が高度に抑えられる。そのため、試料温度が目的温度域を上回る可能性が極めて低く、より安全に試料を輸送することができる。
請求項8に記載の発明は、目的温度域は、0℃〜20℃の範囲から選択されたものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の試料輸送容器である。
かかる構成により、試料を冷蔵条件の温度領域ならびに冷蔵条件よりも少し高い温度領域に維持しながら輸送できる試料輸送容器が提供される。
請求項9に記載の発明は、目的温度域は、15℃〜36℃の範囲から選択されたものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の試料輸送容器である。
かかる構成により、試料を生体温度領域に維持しながら輸送できる試料輸送容器が提供される。
試料が細胞又は生体試料である構成が推奨される(請求項10)。
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれかに記載の試料輸送容器の試料輸送容器本体内に、試料を入れた試料保持具を収容し、前記電気ヒータで試料保持具に対して直接的に加温すると共に電気ヒータの表面温度を制御し、試料温度を目的温度域に維持しながら前記試料を輸送することを特徴とする試料輸送方法である。
本発明は試料輸送方法に係るものであり、本発明の試料輸送容器の試料輸送容器本体内に試料を入れた試料保持具を収容し、電気ヒータで試料保持具に対して直接的に加温して試料温度を目的温度域に維持しながら試料を輸送する。本発明の試料輸送方法によれば、輸送中の試料温度の変動が極めて小さく、高精度な温度管理が要求される試料であっても容易かつ確実に目的温度域で輸送することができる。
請求項12に記載の発明は、電気ヒータで試料保持具の周囲を覆うか挟むことを特徴とする請求項11に記載の試料輸送方法である。
かかる構成により、試料保持具に対してより確実に加温することができ、試料に対する温度維持がより高精度に行える。
目的温度域が0℃〜20℃の範囲から選択されたものである構成が推奨される(請求項13)。
目的温度域が15℃〜36℃の範囲から選択されたものである構成も推奨される(請求項14)。
試料が細胞又は生体試料である構成も推奨される(請求項15)。
請求項16に記載の発明は、試料を入れた試料保持具を収容し、当該試料を目的温度域に維持しながら輸送するための試料輸送容器であって、
試料保持具を収容可能な試料輸送容器本体と、蓄熱体とを備え、
試料輸送容器本体は、真空断熱容器であり、
蓄熱体は試料保持具に対して直接的に加温するものであり、
断熱材からなる外容器をさらに備え、前記試料輸送容器本体は当該外容器内に収容されており、
試料輸送容器本体と外容器との間に保冷剤を有することを特徴とする試料輸送容器である。
本発明の試料輸送容器は蓄熱体を備えており、当該蓄熱体が試料保持具に対して直接的に加温する。さらに、本発明の試料輸送容器は外容器と保冷剤を有しており、試料輸送容器本体が外容器内に収容されていると共に、保冷剤が試料輸送容器本体と外容器との間に存在する。本発明の試料輸送容器は、電気ヒータを必須としないので、構成が簡単である。また、外容器を備えているので、試料輸送容器本体の外側の温度変動が極めて小さく、試料に対する温度維持がさらに確実かつ高精度に行える。さらに、保冷剤を有するので、試料温度が目的温度域を上回る可能性が極めて低く、より安全に試料を輸送することができる。
蓄熱体としては、蓄熱性素材の相変化を利用した一般的な蓄熱剤の他、後に詳述するゲル状の弾性体を蓄熱性素材としたものが挙げられる。
請求項17に記載の発明は、蓄熱体は、試料保持具の周囲を覆うか挟むことが可能なものであることを特徴とする請求項16に記載の試料輸送容器である。
かかる構成により、蓄熱体が試料保持具に対してより確実に加温することができ、試料に対する温度維持がより高精度に行える。
請求項18に記載の発明は、蓄熱体は、面状であることを特徴とする請求項16又は17に記載の試料輸送容器である。
かかる構成により、蓄熱体による試料保持具に対する加温をより確実かつ容易に行うことができる。
請求項19に記載の発明は、目的温度域は、0℃〜20℃の範囲から選択されたものであることを特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載の試料輸送容器である。
かかる構成により、試料を冷蔵条件の温度領域ならびに冷蔵条件よりも少し高い温度領域に維持しながら輸送できる試料輸送容器が提供される。
請求項20に記載の発明は、目的温度域は、15℃〜36℃の範囲から選択されたものであることを特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載の試料輸送容器である。
かかる構成により、試料を生体温度領域に維持しながら輸送できる試料輸送容器が提供される。
試料が細胞又は生体試料である構成も推奨される(請求項21)。
請求項22に記載の発明は、請求項16〜21のいずれかに記載の試料輸送容器の試料輸送容器本体内に、試料を入れた試料保持具を収容し、
予めインキュベートした蓄熱体で試料保持具に対して直接的に加温すると共に前記保冷剤で試料輸送容器本体の外側を冷却し、試料温度を目的温度域に維持しながら前記試料を輸送することを特徴とする試料輸送方法である。
本発明の試料輸送方法は、予めインキュベートした蓄熱体を備えた本発明の試料輸送容器内に試料を入れた試料保持具を収容する。そして、当該蓄熱体で試料保持具に対して直接的に加温すると共に保冷剤で試料輸送容器本体の外側を冷却し、試料温度を目的温度域に維持しながら試料を輸送する。本発明の試料輸送方法によれば、輸送中の試料温度の変動が極めて小さく、高精度な温度管理が要求される試料であっても簡単な構成をもって、容易かつ確実に目的温度域で輸送することができる。
請求項23に記載の発明は、蓄熱体で試料保持具の周囲を覆うか挟むことを特徴とする請求項22に記載の試料輸送方法である。
かかる構成により、試料保持具に対してより確実に加温することができ、試料に対する温度維持がより高精度に行える。
目的温度域が0℃〜20℃の範囲から選択されたものである構成が推奨される(請求項24)。
目的温度域が15℃〜36℃の範囲から選択されたものである構成も推奨される(請求項25)。
試料が細胞又は生体試料である構成も推奨される(請求項26)。
本発明の試料輸送容器によれば、輸送中の試料温度の変動が極めて小さく、高精度な温度管理が要求される試料であっても容易かつ確実に輸送することができる。特に、0℃〜20℃といった冷蔵条件の温度領域ならびに冷蔵条件よりもやや高い温度域や、15〜36℃といった生体温度領域で試料を輸送するのに好適である。
本発明の試料輸送方法についても同様であり、高精度な温度管理が要求される試料であっても容易かつ確実に輸送することができる。
本発明の第一実施形態に係る試料輸送容器の外観を示す斜視図である。 図1の試料輸送容器の内部構造を示す断面図である。 図1の試料輸送容器の分解斜視図である。 試料輸送具と面状ヒータを示す斜視図であり、(a)は試料輸送具を面状ヒータで覆う前の状態、(b)は試料輸送具を面状ヒータで覆った状態を示す。 本発明の第二実施形態に係る試料輸送容器の外観を示す斜視図である。 図5の試料輸送容器の内部構造を示す断面図である。 図5の試料輸送容器の分解斜視図である。 本発明の第三実施形態に係る試料輸送容器の内部構造を示す断面図である。 図8の試料輸送容器の分解斜視図である。 本発明の第四実施形態における試料保持具と面状ヒータを示し、(a)は分解斜視図、(b)は正面図である。 試料輸送具と緩衝部材を示す斜視図であり、(a)は試料輸送具を緩衝部材で覆う前の状態、(b)は試料保持具を緩衝部材で覆った状態を示す。 本発明の第五実施形態で採用される緩衝部材の積層構造を示す分解斜視図である。 図12の緩衝部材の断面図である。 試料保持具を緩衝部材と共に真空断熱容器に収容した状態を示す斜視図である。 本発明の第六実施形態における緩衝部材と真空断熱容器を示す分解斜視図である。 図15の真空断熱容器の内部を示す平面図である。 本発明の第六実施形態に係る試料輸送容器の内部構造を示す断面図である。 実施例1で行った温度測定の結果を示すグラフである。 実施例2で行った温度測定の結果を示すグラフである。
図1〜3に示す第一実施形態に係る試料輸送容器1は、試料を入れた試料保持具2を収容して当該試料を目的温度域に維持しながら輸送するためのものであり、真空断熱容器(試料輸送容器本体)3と、面状ヒータ(電気ヒータ)5と、蓄熱剤6とを有する。真空断熱容器(試料輸送容器本体)3は、ステンレススチール製の円筒型真空二重容器(デュワー瓶)であり、密閉式の保冷・保温容器として一般に用いられているものである。真空断熱容器3は、真空断熱容器本体7と取り外し可能な蓋8からなり、蓋8を真空断熱容器本体7に装着することで、真空断熱容器3の内部に密閉された空間部10が形成される。空間部10のサイズは、内径80mm〜100mm程度、高さ(深さ)140mm〜180mm程度である。
図3,4に示す面状ヒータ(電気ヒータ)5は、柔軟性を有するシート状の発熱体であり、9ボルト程度の電池で駆動する小型のものである。面状ヒータ5は、試料を入れた試料保持具2を直接的に加温するためのものであり、空間部10の温度(すなわち庫内温度)を調節するためのものではない。面状ヒータ5は、通電をオン/オフ制御することによりその表面温度を予め設定された温度に維持・制御できる。そして、面状ヒータ5の表面温度を制御することにより、試料保持具2内の試料温度を目的温度域に維持可能である。目的温度域は、例えば0℃〜36℃の範囲から自由に選択され得る。面状ヒータ5の形状と大きさは、加温対象となる試料保持具2の形状や大きさに応じて適宜選択され得る。面状ヒータ5は図示しない電池で駆動する。
図3,4に示すように、本実施形態では、試料保持具2はその周囲を面状ヒータ5で覆われた状態で空間部10に設置される。本実施形態では輸送対象となる試料が細胞であり、50mL容のポリプロピレン製遠沈管が試料保持具2として採用されている。なお、細胞はゲル様の担体上に支持された状態で遠沈管内に収容されている。
図2に示すように、蓄熱剤6は、真空断熱容器(試料輸送容器本体)3の内壁と面状ヒータ5の外面との間を埋めるように、空間部10に複数設置されている。試料輸送容器1の使用時において、蓄熱剤6は前記の目的温度域に予めインキュベートされた状態で空間部10に設置される。つまり、試料輸送容器1においては、真空断熱容器3によって試料を外部環境温度から遮断することと、面状ヒータ5によって試料保持具2を直接的に加温することと、蓄熱剤6によって試料保持具2の周辺温度(空間部10の温度)を一定に維持することにより、試料保持具2内の試料が高精度で目的温度域に維持される。なお、図2では6個の蓄熱剤6が描かれているが、蓄熱剤6の数には特に限定はない。
試料輸送容器1の使用方法について説明する。まず、試料の種類に応じて試料を維持すべき目的温度域を決定する。目的温度域は、例えば0℃〜36℃程度の範囲から自由に選択され得る。1つの好ましい例では0℃〜20℃の範囲から選択し、より好ましくは5℃〜20℃、さらに好ましくは8℃〜18℃の範囲から選択する。別の好ましい例では15℃〜36℃の範囲から選択し、より好ましくは30℃〜36℃の範囲から選択する。次に、前準備として蓄熱剤6を予めインキュベートしておく。インキュベート温度は目的温度域と同等かやや低め(1℃〜2℃程度低め)とし、目的温度域を超えないようにする。さらに、面状ヒータ5の表面温度が目的温度に維持されるよう設定し、面状ヒータ5に通電する。そのまま表面温度が安定するまで待った後、図4(b)のように、試料を入れた試料保持具2(例えば、細胞を入れた前記の遠沈管)の周囲を面状ヒータ5で直接巻く。ただちに試料保持具2と面状ヒータ5の一体物を真空断熱容器3の空間部10に設置し、さらに、面状ヒータ5の周りに予めインキュベートした蓄熱剤6を設置する。このとき、面状ヒータ5まわりをできるだけ蓄熱剤6で埋め、隙間を必要以上に残さないようにする。ただちに蓋8を装着し、試料輸送容器1を密閉する。以上の手順により、試料輸送容器1への試料の収容が完了する。試料輸送容器1内において、空間部10は蓄熱剤6の作用によって目的温度域と同等か少し低い温度に維持される。このような温度雰囲気の中で、面状ヒータ5が試料輸送具2を直接的に加温し、試料温度が高精度で目的温度域に維持される。
本実施形態の試料輸送容器1は、試料輸送容器本体たる真空断熱容器3を備えているが、試料輸送容器本体として他の容器を採用してもよい。例えば、面状ヒータ5の仕様等に応じて、断熱性が緩やかで安価な容器を採用することができる。同様に、本実施形態の試料輸送容器1は蓄熱剤6を備えているが、面状ヒータ5の仕様や真空断熱容器3の性能等に応じて蓄熱剤6を省略することができる。
次に、本発明の第二実施形態について説明する。図5〜7に示す第二実施形態に係る試料輸送容器21は、真空断熱容器(試料輸送容器本体)3を収容する外容器22をさらに備えている。そして、外容器22の内壁と真空断熱容器3の外面との隙間に、複数の保冷剤23を有している。外容器22は立方体または直方体の形状を有する密閉可能な箱体であり、外容器本体25と開閉可能な蓋26からなる。外容器22は真空断熱パネル等の断熱材で構成されており、高い断熱性能を有している。一方、保冷剤23は高吸水性ポリマーを袋詰めしてなるものであり、試料輸送容器21の使用時において、0℃以下の温度、好ましくは−20℃〜−10℃程度に予め冷却(凍結)されている。なお、理解を容易にするために、図7では保冷剤23の図示を省略している。
真空断熱容器3、面状ヒータ5、蓄熱剤6については第一実施形態と同じ構成を採用している。すなわち本実施形態においても、図2〜4に示すように、試料保持具2はその周囲を面状ヒータ5が巻かれた状態で真空断熱容器3の空間部10に設置されており、面状ヒータ5の周りには蓄熱剤6が設置されている。なお、図6,7では真空断熱容器3のみを示し、その内部に設置された試料保持具2、面状ヒータ5、蓄熱剤6等の図示は省略している。
本実施形態では、保冷剤23によって真空断熱容器3を外側から強制的に冷却するので、空間部10が目的温度域以上の温度に上昇する可能性が極めて低い。その結果、試料をより安全に輸送することができる。なお、保冷剤23はさらに低温のものでもよく、例えば、ドライアイスでもよい。また、図6では6個の保冷剤23が描かれているが、保冷剤23の数には特に限定はない。
なお、本実施形態では真空断熱容器3と外容器22との間に保冷剤23を有しているが、保冷剤23を有さない実施形態も可能である。例えば、目的温度域が30℃以上の場合には、保冷剤23を入れずに外容器22のみで真空断熱容器3を覆う構成としても、特に問題はない。保冷剤23を省略することにより、試料輸送容器21の重量を小さくすることができ、取扱いが容易となる。
次に、本発明の第三実施形態について説明する。図8,9に示す第三実施形態に係る試料輸送容器31は、外容器22に加え、内容器32をさらに備えている。そして、真空断熱容器(試料輸送容器本体)3は内容器32に収容され、内容器32は外容器22に収容されている。さらに、外容器22と内容器32との隙間に保冷剤23を有し、内容器32と真空断熱容器3との隙間にも保冷剤33を有している。内容器23は直方体の形状を有する発泡スチロール製の箱であり、内容器本体35と取り外し可能な蓋36とからなる。内容器23は断熱性と衝撃吸収性に優れたものである。一方、保冷剤33は保冷剤23と同様に吸水性ポリマーを袋詰めしてなるものであり、試料輸送容器31の使用時において、0℃以下の温度、好ましくは−20℃〜−10℃程度に予め冷却(凍結)されている。保冷剤23は、保冷剤33と同程度かさらに低い温度に予め冷却(凍結)されている。なお、理解を容易にするために、図9では保冷剤23,33の図示を省略している。
真空断熱容器3、面状ヒータ5、蓄熱剤6については第一実施形態と同じ構成を採用している。すなわち本実施形態においても、図2〜4に示すように、試料保持具2はその周囲を面状ヒータ5が巻かれた状態で真空断熱容器3の空間部10に設置されており、面状ヒータ5の周りには蓄熱剤6が設置されている。なお、図8,9では真空断熱容器3のみを示し、その内部に設置された試料保持具2、面状ヒータ5、蓄熱剤6等の図示は省略している。
本実施形態では、真空断熱容器3の外側が内容器23、外容器22、及び保冷剤23,33で四重に囲まれており、試料が外界温度の影響を受ける可能性は殆どない。なお、図8では10個の保冷剤23と6個の保冷剤33が描かれているが、保冷剤23,33の数には特に限定はない。
なお本実施形態では、外容器22と内容器32と間に保冷剤23を、内容器32と真空断熱容器3との間に保冷剤33をそれぞれ有しているが、保冷剤23と保冷剤33のいずれか一方又は両方を有さない実施形態も可能である。例えば、目的温度域が30℃以上の場合には、保冷剤23と保冷剤33のいずれか一方又は両方を入れなくても、特に問題はない。保冷剤23,33を省略することにより、試料輸送容器31の重量を小さくすることができ、取扱いが容易となる。
上記した実施形態では、試料保持具2として遠沈管を採用しており、面状ヒータ5が当該遠沈管の周囲を覆っている。一方、図10に示す第四実施形態では、試料保持具37が板状であり、2枚の面状ヒータ38,39が試料保持具37を上下から直接挟んでいる。そして、面状ヒータ38,39の表面温度を目的温度域に制御することにより、試料保持具37に保持された試料の温度を目的温度域に維持する。板状の試料保持具37の例としては、細胞培養用のマルチウェルプレートが挙げられる。すなわち、ウェル内に細胞(試料)を入れたマルチウェルプレート(試料保持具37)を2枚の面状ヒータ38,39で上下から挟み、細胞を目的温度に維持しながら輸送する。第四実施形態に係る試料輸送容器における面状ヒータ38,39以外の構成は、上記した第一ないし第三実施形態の構成をそのまま採用することができ、使用方法も同じである。
上記した実施形態では、いずれも真空断熱容器3としてデュワー瓶からなる真空二重容器を採用している。しかし本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、外容器22で採用しているような真空断熱パネル製の密閉容器を真空断熱容器3として採用してもよい。
上記した第一ないし第四実施形態の試料輸送容器には、さらに、輸送中における試料保持具2の表面温度、面状ヒータ5の表面温度、蓄熱剤6の表面温度、空間部10内の温度等の各種温度を記録するためのデータロガーや温度センサを設けてもよい。また、当該温度センサの装着を容易にするポートを予め設けておき、必要に応じてデータロガーと温度センサを外付けする構成としてもよい。またさらに、空間部10内の清浄度保持やバイオハザード対応のために、真空断熱容器本体7と蓋8とをシリコン樹脂等のパッキンを介して接合する構成としてもよい。
上記した実施形態は、いずれも面状の電気ヒータを用いるものであるが、電気ヒータに代えて蓄熱体を採用することができる。以下に説明する第五・第六実施形態に係る試料輸送容器51,71は、いずれも電気ヒータに代えて蓄熱体を備えるものである。
本発明の第五実施形態に係る試料輸送容器51は、第二実施形態に係る試料輸送容器21(図5〜7)の面状ヒータ5(図2〜4)を面状の緩衝部材(蓄熱体)54に置換し、且つ蓄熱剤6を省略した構成を有する。すなわち、試料輸送容器51は、緩衝部材54、真空断熱容器3、保冷剤23、及び外容器22を有する。図11に示すように、緩衝部材54は緩衝性能と蓄熱性能とを兼ね備えた面状の柔軟性部材であり、試料保持具2の周りに巻いて使用することができる。第二実施形態(図6)と同様に、保冷剤23は真空断熱容器3の外面と外容器22の内壁との隙間に詰められている。
図12,13に示すように、緩衝部材54は、試料側支持体55、枠体56、及び背面側57が順に積層された三層構造を有しており、これらによって形成された空間65にゲル状の弾性体62が充填されている。
試料側支持体55と背面側支持体57はいずれもゴム製の薄いシートであり、緩衝部材54の両面を構成している。これらの厚みは、いずれも0.1mm〜1mm程度であるが、緩衝部材54の柔軟性が確保できる厚みであれば特に制限はない。試料側支持体55と背面側支持体57は、緩衝部材54の保形性を確保すると共に、緩衝部材54と輸送対象物との滑りを防ぎ、接触を確実にする作用を有する。試料側支持体55と背面側支持体57は基本的に同じものであり、外見上の区別はない。
枠体56は、試料側支持体55と背面側支持体57の間に配置されている。枠体56は、その外形が試料側支持体55ならびに背面側支持体57と略同じで、中央部分が長方形状に打ち抜かれた口の字状の形状を有している。枠体56はスポンジ製であり、軽量かつ柔軟性に富んでいる。枠体56は、ゲル状の弾性体62が充填される空間65を形成すると共に、充填された弾性体62が緩衝部材54の縁から漏出するのを防ぐ効果を有する。枠体56の厚みは3mm〜10mm程度、各辺の幅は5mm〜15mm程度であるが、緩衝部材54の柔軟性が確保できる幅や厚みであれば特に制限はなく、充填すべき弾性体62の量などに応じて自由に設定できる。
空間65にはゲル状の弾性体62が充填されている。弾性体62は緩衝材と熱源の両方の機能を担うものであり、弾性体62の存在によって、緩衝部材54は緩衝性能に加えて高度な温度維持機能(すなわち蓄熱性)を備えることができる。弾性体62は「特定温度域でゲル状となる弾性体材料」からなる。「特定温度域でゲル状となる弾性体材料」は、輸送の目的温度域に応じて選択することができる。すなわち、輸送の目的温度域が当該特定温度域の範囲内となるような弾性体材料を選択すればよい。特定温度域でゲル状となる弾性体材料の例としては、熱可塑性材料に属するものが挙げられ、具体的には、規定温度(例えば、80℃)以上になると流動性を示すが、当該規定温度よりも低い特定の温度域(例えば、0℃〜70℃)では粘度が高くなり、粘弾性を有したゲル状となる熱可塑性エラストマーが挙げられる。当該の熱可塑性エラストマーの例としては、耐震ゲル等として採用されているポリスチレン系樹脂とブチルゴムとを主成分とする熱可塑性エラストマーが挙げられ、必要に応じて、軟化剤、粘着付与樹脂、酸化防止剤等が添加されたものでもよい。なお、当該の熱可塑性材料を採用した場合には、「規定温度よりも低い特定の温度域」(例えば、0℃〜70℃)の範囲から輸送時の目的温度域(例えば、0℃〜36℃)を選択することができる。なお、特定温度域でゲルの状態を保つ弾性体であれば、熱可塑性材料以外の素材からなるものも採用可能である。
緩衝部材54は、例えば、以下のようにして作製することができる。まず、ゲル状の弾性体62の材料となる熱可塑性材料を規定温度以上に加熱して、流動体とする。次に、この流動体を規定温度以上に保持したまま空間65に充填する。これを常温まで冷ますことにより流動体がゲル状の弾性体62となる。
真空断熱容器3、外容器22、保冷剤23については、第一実施形態、第二実施形態のものと同じであるので、説明を省略する。
試料輸送容器51の使用方法は、基本的に、試料輸送容器1,21の使用方法と同じである。まず事前準備として、緩衝部材54(図11〜13)を予めインキュベートしておく。緩衝部材54をインキュベートすることにより、空間65内の弾性体62(図13)が熱源として作用できるようになる。ここで、インキュベート温度は試料輸送の目的温度(例えば、0℃〜36℃の範囲から選ばれた温度)と基本的に同じでよいが、試料の特性によって微調整してもよい。例えば、目的温度域より高い温度に晒されることを避けるべき試料の場合には、インキュベート温度を目的温度域と同じかやや低い温度に設定してもよい。一方、目的温度域より低い温度に晒されることを避けるべき試料の場合には、インキュベート温度を目的温度域と同じかやや高い温度に設定してもよい。すなわち、インキュベート温度は「目的温度又はその近傍温度」とすることができる。
同様に、保冷剤23も予めインキュベートしておく。インキュベート温度は、例えば、−20℃〜−10℃程度とする。
上記の事前準備が完了したら、インキュベートされた緩衝部材54を試料保持具2の周りに直接巻きつける(図11(b))。このとき、試料側支持体55が試料保持具2に接触するように巻く。これにより、緩衝部材54が試料保持具2を直接的に加温できるようになる。このとき、必要に応じて緩衝部材54の外周を結束バンド等で固定してもよい。
次に、試料保持具2と緩衝部材54との一体物を、別途用意した真空断熱容器3の本体7の内部に設置し(図14)、蓋8を閉じる。続いて、図6,7に示すように、真空断熱容器3を外容器22に収容すると共に、隙間に保冷剤23を詰める。最後に、蓋26を閉じる。以上の手順によって試料保持具2の試料輸送容器51への収容が完了し、輸送可能な状態となる。
本実施形態では電気ヒータを使用しないので、電池を内蔵する必要がなく、構成が簡単である。また第二実施形態と同様に、本実施形態では保冷剤23によって真空断熱容器3を外側から強制的に冷却するので、空間部10が目的温度域以上の温度に上昇する可能性が極めて低い。その結果、試料をより安全に輸送することができる。なお、保冷剤23がさらに低温のもの(例えば、ドライアイス)でもよいこと、並びに、保冷剤23の数には特に限定がないことも、第二実施形態と同様である。
本実施形態では、面状で柔軟性を有する緩衝部材54を蓄熱体として採用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の形状等の蓄熱体を採用することもできる。例えば、第一実施形態で用いた蓄熱剤6を本実施形態の蓄熱体として採用してもよい。例えば、蓄熱剤6で試料保持具2の周囲を覆う構成とすることができる。
また本実施形態では、ゲル状の弾性体を蓄熱性素材とした蓄熱体を採用しているが、他の蓄熱性素材からなるものでもよい。例えば、蓄熱性素材の相変化を利用した一般的な蓄熱剤をそのまま採用することができる。
第四実施形態(図10)と同様に、本実施形態の緩衝部材54で板状の試料保持具37を上下から挟む構成も採用できる。
第五実施形態では、試料保持具2を緩衝部材(蓄熱体)54で直接巻く例を示したが、他の実施形態も可能である。第六実施形態に係る試料輸送容器71は、第五実施形態と同様に、緩衝部材(蓄熱体)54、真空断熱容器3、外容器22、及び保冷剤23を有するが、図15,16に示すように、緩衝部材54が真空断熱容器3(真空断熱容器本体7)の内壁に沿って取り付けられている。その結果、緩衝部材54は筒状となっている。試料保持具58は真空断熱容器3の略中央に設置されており、緩衝部材54によってその周りを囲まれている。試料保持具58は発泡スチロール製の立方体形状であり、その内部に試料(図示せず)が固定されている。緩衝部材54は部分的に試料保持具58と接しており、緩衝材として機能すると共に試料保持具58に対して直接的に加温可能である。なお、図15,16においては、真空断熱容器3の蓋を省略して描いている。
図17に示すように、本実施形態の試料輸送容器71においても、第二実施形態(図6)と同様に、保冷剤23は真空断熱容器3の外面と外容器22の内壁との隙間に詰められている。
本発明の試料輸送容器および試料輸送方法の対象となる試料の例としては、細胞、生体組織、医薬品関連試料、半導体関連試料が挙げられる。細胞の代表例としては初代培養細胞を挙げることができるが、継代培養細胞や株化された細胞も輸送対象とすることができる。さらに、再生医療用の幹細胞が挙げられる。半導体関連試料としては、半導体レジストが挙げられる。
図8,9に示す第三実施形態に係る試料輸送容器31を用い、以下の手順で目的温度を13℃に設定した実験を行った。
試料保持具2として50mL容のポリプロピレン製遠沈管(住友ベークライト社)を用い、モデル試料として水50mLを入れた。遠沈管の周りを面状ヒータ5(住友精密工業社製、7.2W、9V仕様)で覆い、真空断熱容器(試料輸送容器本体)3(サーモス社製JLQ806、内径95mm、深さ160mm)に収容した。面状ヒータ5の外面と真空断熱容器3の内壁との隙間に、10℃に予めインキュベートした蓄熱剤6(三木理研工業社製LA−5−100;相変化温度5℃;粒子径100μm)約220gを詰めた。真空断熱容器3を密閉した。
発泡スチロール製の内容器32(肉厚20mm、内寸:縦170mm×横250mm×深さ160mm)に密閉した真空断熱容器3を設置した。真空断熱容器3の外面と内容器32の内壁との隙間に、0℃に予め冷却した保冷剤33(コーナン商事社製)約1.9kgを詰めた。内容器32を閉じて封をした。次に、真空断熱パネル(クラレ社)製の外容器22(内寸:縦285mm×横325mm×深さ315mm)に封をした内容器32を設置した。内容器32の外面と外容器22の内壁との隙間に、−16℃に予め冷却した保冷剤23(ロゴスコーポレーション社製)約6.3kgを詰めた。外容器22を閉じて封をし、試料輸送容器31とした。これにより、目的温度を13℃に設定した試料輸送容器31に試料が収容された。
試料が収容された上記の試料輸送容器31を40℃の恒温器に入れ、92時間に渡って各地点の温度を記録した。図18に結果を示す。図18中、Aは試料温度、Bは真空断熱容器3の外面と内容器32の内面との間の空間の温度(内容器32の内部温度)、Cは恒温器の庫内温度、破線は8℃〜18℃の範囲を示している。すなわち、少なくとも72時間に渡って試料温度(A)が13℃付近の温度域に一定に保たれていた。換言すれば、13℃を中心とし、かつ温度変動幅が極めて小さい目的温度域に試料温度が維持されていた。これにより、試料輸送容器31を用いることで、40℃の環境下で少なくとも3日間に渡って、温度変動が殆どない状態で13℃付近の温度を維持しながら試料を輸送可能であることが示された。なお、内容器32の内部温度(B)は試験開始から徐々に上昇して72時間付近で13℃を超えたが、この間の試料温度(A)への影響は認められず、試料温度は13℃付近の温度域に維持された。
図15〜17に示す第六実施形態に係る試料輸送容器71を用いて、以下の実験を行った。各部材等として以下の(1)〜(6)のものを使用した。
(1)緩衝部材54:縦125mm、横240mm、厚み1mmのゴム製シート2枚(試料側支持体55と背面側支持体57)で、スポンジ製の枠体56(厚み4mm)を挟んだもの。計2枚を並べて使用。
(2)弾性体62:エクスジェル(登録商標、株式会社加地)
(3)試料保持具58:発泡スチロール製の立方体の箱(一辺100mm)
(4)真空断熱容器3:ステンレススチール製のデュワー瓶(サーモス社D−6000型,内径185mm、深さ270mm)
(5)外容器22:真空断熱パネル製の外装ボックス(縦430mm、横330mm、高さ400mm)
(6)保冷剤23:ロゴスコーポレーション社製
予め0℃にインキュベートした緩衝部材54を、真空断熱容器3の内壁に取り付けた。試料保持具58を真空断熱容器3に収容し、封をした。この真空断熱容器3を外容器22の略中央に設置し、周りに−16℃の保冷剤23を6850g詰めて封をした。外容器22ごと50℃の恒温器に入れた状態で、試料保持具58内部の温度を32時間以上にわたって測定した。結果を図19に示す。図中、Aは試料保持具58内部の温度(試料温度)、Bは恒温器の庫内温度である。すなわち、少なくとも32時間にわたって試料温度(A)が0℃付近の温度域に一定に保たれていた。このように、外部温度が50℃の高温環境下でも、長時間にわたって試料温度を0℃付近に維持することができ、第六実施形態の試料輸送容器71によれば、電気ヒータを用いなくても冷蔵温度域での安定した輸送が可能であることが示された。
1,21,31,51,71 試料輸送容器
2,37,58 試料保持具
3 真空断熱容器(試料輸送容器本体)
5,38,39 面状ヒータ(電気ヒータ)
6 蓄熱剤
22 外容器
23,33 保冷剤
54 緩衝部材(蓄熱体)

Claims (26)

  1. 試料を入れた試料保持具を収容し、当該試料を目的温度域に維持しながら輸送するための試料輸送容器であって、
    試料保持具を収容可能な試料輸送容器本体と、電気ヒータとを備え、
    電気ヒータは試料保持具に対して直接的に加温するものであり、
    電気ヒータの表面温度を制御することにより試料温度を目的温度域に維持可能であることを特徴とする試料輸送容器。
  2. 電気ヒータは、試料保持具の周囲を覆うか挟むことが可能なものであることを特徴とする請求項1に記載の試料輸送容器。
  3. 電気ヒータは、面状ヒータであることを特徴とする請求項1又は2に記載の試料輸送容器。
  4. 試料輸送容器本体は、真空断熱容器であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の試料輸送容器。
  5. 試料輸送容器本体内に蓄熱剤をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の試料輸送容器。
  6. 断熱材からなる外容器をさらに備え、前記試料輸送容器本体は当該外容器内に収容されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の試料輸送容器。
  7. 試料輸送容器本体と外容器との間に保冷剤を有することを特徴とする請求項6に記載の試料輸送容器。
  8. 目的温度域は、0℃〜20℃の範囲から選択されたものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の試料輸送容器。
  9. 目的温度域は、15℃〜36℃の範囲から選択されたものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の試料輸送容器。
  10. 試料は、細胞又は生体試料であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の試料輸送容器。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の試料輸送容器の試料輸送容器本体内に、試料を入れた試料保持具を収容し、前記電気ヒータで試料保持具に対して直接的に加温すると共に電気ヒータの表面温度を制御し、試料温度を目的温度域に維持しながら前記試料を輸送することを特徴とする試料輸送方法。
  12. 電気ヒータで試料保持具の周囲を覆うか挟むことを特徴とする請求項11に記載の試料輸送方法。
  13. 目的温度域は、0℃〜20℃の範囲から選択されたものであることを特徴とする請求項11又は12に記載の試料輸送方法。
  14. 目的温度域は、15℃〜36℃の範囲から選択されたものであることを特徴とする請求項11又は12に記載の試料輸送方法。
  15. 試料は、細胞又は生体試料であることを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載の試料輸送方法。
  16. 試料を入れた試料保持具を収容し、当該試料を目的温度域に維持しながら輸送するための試料輸送容器であって、
    試料保持具を収容可能な試料輸送容器本体と、蓄熱体とを備え、
    試料輸送容器本体は、真空断熱容器であり、
    蓄熱体は試料保持具に対して直接的に加温するものであり、
    断熱材からなる外容器をさらに備え、前記試料輸送容器本体は当該外容器内に収容されており、
    試料輸送容器本体と外容器との間に保冷剤を有することを特徴とする試料輸送容器。
  17. 蓄熱体は、試料保持具の周囲を覆うか挟むことが可能なものであることを特徴とする請求項16に記載の試料輸送容器。
  18. 蓄熱体は、面状であることを特徴とする請求項16又は17に記載の試料輸送容器。
  19. 目的温度域は、0℃〜20℃の範囲から選択されたものであることを特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載の試料輸送容器。
  20. 目的温度域は、15℃〜36℃の範囲から選択されたものであることを特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載の試料輸送容器。
  21. 試料は、細胞又は生体試料であることを特徴とする請求項16〜20のいずれかに記載の試料輸送容器。
  22. 請求項16〜21のいずれかに記載の試料輸送容器の試料輸送容器本体内に、試料を入れた試料保持具を収容し、
    予めインキュベートした蓄熱体で試料保持具に対して直接的に加温すると共に前記保冷剤で試料輸送容器本体の外側を冷却し、試料温度を目的温度域に維持しながら前記試料を輸送することを特徴とする試料輸送方法。
  23. 蓄熱体で試料保持具の周囲を覆うか挟むことを特徴とする請求項22に記載の試料輸送方法。
  24. 目的温度域は、0℃〜20℃の範囲から選択されたものであることを特徴とする請求項22又は23に記載の試料輸送方法。
  25. 目的温度域は、15℃〜36℃の範囲から選択されたものであることを特徴とする請求項22又は23に記載の試料輸送方法。
  26. 試料は、細胞又は生体試料であることを特徴とする請求項22〜25のいずれかに記載の試料輸送方法。
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