JP2010163136A - エアバッグ作動判定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両に搭乗中に生じた乗員の急速な移動だけを検出してエアバッグを作動させることができるようにするエアバッグ作動判定装置を提供する。
【解決手段】エアバッグ作動判定装置はジャケット2内に組み入れられたエアバッグ14、15を作動させるかどうかを判定する。離脱検知装置5は、ワイヤ4で車両1に連結された可動部であるピストン29およびジャケット2に取り付けられた固定部であるシリンダ28、並びにシリンダ28に対するピストン29の動きによるシリンダ空間28dの圧力変化速度を検出するための圧力センサ32を含んでいる。ECU16は圧力変化速度が閾値を超えたときにインフレータ17を作動させる点火信号を出力する。前記シリンダ28、圧力センサ32、およびECU16はジャケット2に装着されている。
【選択図】図1
【解決手段】エアバッグ作動判定装置はジャケット2内に組み入れられたエアバッグ14、15を作動させるかどうかを判定する。離脱検知装置5は、ワイヤ4で車両1に連結された可動部であるピストン29およびジャケット2に取り付けられた固定部であるシリンダ28、並びにシリンダ28に対するピストン29の動きによるシリンダ空間28dの圧力変化速度を検出するための圧力センサ32を含んでいる。ECU16は圧力変化速度が閾値を超えたときにインフレータ17を作動させる点火信号を出力する。前記シリンダ28、圧力センサ32、およびECU16はジャケット2に装着されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、エアバッグ作動判定装置に関し、特に、乗員が通常に降車して車両から離れたときと、車両にかかる大きい加速度で乗員が車両から離れたときとの違いを判定し、急速離脱時にエアバッグ作動信号を出力することができるエアバッグ作動判定装置に関する。
自動二輪車を運転する乗員の着衣にエアバッグを組み入れたエアバッグジャケットが知られており、このエアバッグジャケット内のエアバッグを作動させる装置が種々提案されている。例えば、特許文献1には、車体とエアバッグジャケットとを連結するケーブル間に、二つの筒体と、該筒体同士をばねで付勢された球体を介して連結する連結装置とを備え、前記ばねの力を超える引張力が両筒体間に作用したときに乗員が車両から離脱したとしてエアバッグを作動させる装置が提案されている。
また、特許文献2には、エアバッグジャケットと車体とをケーブルで連結するとともに、ケーブルを巻き取り可能なドラムを設け、このドラムからのケーブルの引き出し長さや引き出し速度に基づいて乗員が車両から離脱したことを判定してエアバッグを作動させる装置が提案されている。
特許文献1によって提案されている装置は、乗員が通常に車両から離れたときに大きい力が連結装置に作用したのか、外部から車両にかかる衝撃で乗員が車両から離脱して大きい力が連結装置に作用したのかの判定はなされない。一方、特許文献2によって提案されている装置は、乗員が通常に車両から離れたのか、外部から車両にかかる衝撃で乗員が車両から離脱したのかを、ケーブルの引き出し速度に基づいて判定をすることができるので、乗員が通常に車両から離れたときは、エアバッグの作動信号は出力されない。
しかし、特許文献2によって提案されている装置は、車体側に配置されたドラムの回転量を検出する回転角度検出手段をドラムの軸に連結しているので、この角度検出手段で検出した信号をエアバッグジャケット側に送信するための配線が必要となる。したがって、ドラムとエアバッグジャケットとの間にケーブルと電気配線とが必要となるうえ、乗員の動きに自由度を持たせるため、ケーブルと同様、配線も伸縮自在に巻き取る必要があり、構成が複雑になることがある。
本発明の目的は、上記課題に対して、車両とエアバッグジャケットとの間を連結する構造を複雑にすることなく、車両から乗員が通常に離れたのか、外部から車両に加えられた衝撃で車両から乗員が離れたのかを検出してエアバッグ作動信号を的確に出力することができるエアバッグ作動判定装置を提供することにある。
前記目的を達成するための本発明は、乗員が着用するジャケット内に組み入れられたエアバッグを作動させるかどうかを判定するエアバッグ作動判定装置において、一端が車両に連結可能なワイヤと、前記ワイヤの他端が結合された離脱検知装置とを備え、前記離脱検知装置が、固定部および該固定部に対して係合された可動部、並びに前記固定部に対して前記可動部が変位したときに、前記固定部および可動部間に作用する圧力値の変化速度を検知するためのセンサ手段を有し、前記圧力値の変化速度が閾値を超えたときに前記エアバッグ用インフレータのスクイブに点火信号を入力するエアバッグ点火ECUをさらに備えている点に第1の特徴がある。
また、本発明は、前記離脱検知装置が、前記固定部としてのシリンダおよび前記可動部としてのピストンと、前記ピストンとシリンダとで区画されたシリンダ空間内に設置された前記センサ手段として圧力センサと、前記ピストンを、前記シリンダ空間を縮小する方向に付勢する復帰ばねと、前記復帰ばねによるピストンの移動を制限するためのストッパとを具備し、前記点火ECUが、前記圧力センサで検知された圧力値に基づいて該圧力値の変化速度を算出する算出部(微分演算手段)を含んでいる点に第2の特徴がある。
また、本発明は、前記点火ECUが、前記圧力値に応じて、該圧力値が所定の最大値より低くなるにつれて閾値が大きくなるように設定された閾値マップを備えている点に第3の特徴がある。
また、本発明は、前記シリンダの温度を検知するための温度センサを備え、前記点火ECUが、前記閾値を前記温度センサで検知された温度に応じて、該温度が高いほど前記閾値を高く補正する温度補正部を含んでいる点に第4の特徴がある。
第1〜第4の特徴を有する本発明によれば、離脱検知装置は、ワイヤで接続されている車両とジャケットとの間の引張力によって変化する固定部および可動部間の圧力値の変化速度が閾値を超えたときエアバッグを作動させるための点火信号がスクイブに入力されるように構成している。したがって、この圧力値の変化速度によって、乗員が通常に車両を停止させて車両から離れようとしたと判断されたときは点火信号は出力されない。そして、車両に外力が加わって乗員が急速に車両から離れた場合にだけエアバッグは展開し、乗員の通常動作では、エアバッグが展開しないようにすることができる。
第2の特徴を有する本発明によれば、通常の運転位置では、ピストンがシリンダのストッパに復帰ばねで押圧されていてシリンダ空間は最小になっており、シリンダ空間内の圧力は最大である。そして、ピストンがワイヤを通じて引っ張られると、シリンダ空間が拡張してシリンダ空間内の圧力は最大値から低下する。算出部は、この圧力の低下速度を算出して出力するので、圧力センサの出力によってエアバッグの展開要否を判定することができる。
第3の特徴を有する本発明によれば、乗員が車両に搭乗中に圧力値の変化があったか、車両から離れた状態で圧力値の変化があったかを検知圧力値によって推定し、該検知圧力値に応じて閾値を異ならせているので、乗員が車両搭乗中はエアバッグを作動しやすくし、車両から乗員が自力で離れた場合には、エアバッグを作動しにくくすることができる。
第4の特徴を有する本発明によれば、温度によってシリンダ空間内の雰囲気の密度が変化するので、この変化に応じて圧力値の変化速度の閾値を変化させ、より精度良く圧力変化速度を検出することができる。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るエアバッグ作動判定装置を含むエアバッグジャケットを着用した乗員が搭乗するスクータ型自動二輪車の側面図である。図2において、自動二輪車1に搭乗している乗員が着用しているジャケット2には、エアバッグおよびエアバッグを展開するための装置が組み込まれている。エアバッグの展開装置は乗員が急速に車両から離れたときにエアバッグを展開させるインフレータや点火装置(エアバッグ点火ECU)等を備える。エアバッグおよびエアバッグの展開装置は後述する。
乗員が着用しているジャケット2の裾(乗員の腰位置に対応)には、ジャケット2と自動二輪車1とを互いに連結するワイヤ4が、離脱検知装置5を介して接続される。ワイヤ4にはワイヤ4を途中で脱着することができるように連結装置6が設けられる。また、ワイヤ4が伸縮して乗員が自動二輪車1上である程度自由に動くことができるように、ワイヤ4の途中に緩衝部材3を設けて、この緩衝部材3を介してワイヤ4を車体フレーム等に接続する。緩衝部材3としては、後述するばねや緊急時固定引き込み装置(ELR)を使用することができる。ELR3は設定値以上の加速度を感知したときに、それ以上のシートベルトの引き出しを禁止して乗員を車両の座席に拘束するシートベルト巻き取り装置として周知である。
図3は、ジャケットの正面図、図4は、同背面図である。ジャケット2には使用者の脊椎を衝撃から保護するバックプロテクタ7と、バックプロテクタ7の下部左右に結合されて使用者の腰を保護するウェストプロテクタ8、9とを備える。ウェストプロテクタ8、9の両側端には、ウェストベルト10、11の一端が結合され、ウェストベルト10、11の他端同士はバックル12、13で着脱自在に連結される。
一方、着用時に使用者の背と胸および腹に対応するジャケット2の部分には、エアバッグ14、15(15a、15b)が、使用時に作動ガスで展開可能なように、折り畳まれてジャケット2に取り付けられている。エアバッグ14、15はジャケット2の表面側に取り付けられる。エアバッグ14は背に対応し、エアバッグ15は胸と腹に対応する。エアバッグ14、15は互いに分離していてもよいし、ガスが流通可能なように一体に連結されていてもよい。エアバッグ14はバックプロテクタ7を覆うようにしてジャケット2に取り付けられる。エアバッグ14、15は、縫い付けや接着等によりジャケット2へ固定されている。
エアバッグ14、15の展開装置として、エアバッグ点火ECU(以下、単に「点火ECU」という)16および離脱検知装置5がウェストプロテクタ9に取り付けられ、インフレータ17およびバッテリ18がウェストプロテクタ8に取り付けられる。
図5はエアバッグジャケットの要部拡大図である。図5に示すように、筒形状の離脱検知装置5は、ねじまたはリベット等のファスナ手段で右側のウェストプロテクタ9に固定されたベルト状の保持具19で保持される。離脱検知装置5の一端つまり引張力入力端は、手動で結合および結合解除可能な連結装置6の一方(ソケット側)にワイヤ4aを介して接続される。連結装置6の他方(プラグ側)には、圧縮コイルばねからなる緩衝部材3を介してワイヤ4bの一端が接続され、ワイヤ4bの他端は自動二輪車1の車体フレームやシートレール等に巻き付けてフック(例えばカラビナ風フック)21等で留められる。なお、緩衝部材3はコイルばねに代えてELRを使用してもよいのは既述のとおりである。
緩衝部材3は、ワイヤ4(4a、4b)を緊張状態にしてワイヤ4にたるみがないようにしつつ、自動二輪車1上で乗員がある程度自由に動けるようにする機能を果たしている。なお、連結装置6は、例えば、プラグ側に変形可能なフック部分を備え、ソケット側に該フック部分が係止されるラッチ部分を備えるものとする。このような連結装置6では、プラグ側をソケット側に押し込んだときに、ソケット側の内周壁で押されてフック部分が内側に変形し、さらにプラグ側を所定位置まで押し込んだ位置で、その弾性によりフックが原型に復帰してラッチ部分に係合する。このような構造は周知であり、例えば、バックル12、13と同様の構造である。
点火ECU16も、離脱検知装置5と同様、ねじまたはリベット等のファスナ手段でウェストプロテクタ9に固定されたベルト状の保持具22で保持される。離脱検知装置5の他端つまり信号出力端は信号線24を介して点火ECU16の信号入力端に接続される。
一方、左側のウェストプロテクタ8には、ねじまたはリベット等のファスナ手段でウェストプロテクタ8に取り付けられたベルト状の保持具25で筒形状のインフレータ17が固定される。また、バッテリ18は、ウェストプロテクタ8に形成されたポケット26に収納され、点火ECU16およびインフレータ17に電力を供給する。
インフレータ17はエアバッグ14、15を展開させるための作動ガスを発生するものであり、図示しないスクイブを含みスクイブの点火により作動してガスを発生する。インフレータ17のガス放出口17aは、エアバッグ14に結合されている。なお、エアバッグ14、15を互いに分離している場合は、インフレータ17のガス放出口17aは分岐して、エアバッグ15にも結合される。点火ECU16の出力端とインフレータ17のスクイブとは信号線27で接続される。
図9は連結装置6の具体例を示す断面図である。図9において、連結装置6は、互いに切り離し自在に結合されるソケット35とプラグ36とを有する。ソケット35は筒状であり、ワイヤ4aの端末をソケット35に連結するためのピン37が該筒状のソケット35を直径方向に横切るかたちで設けられている。ソケット35には、その外周面には摺動自在にスリーブ38が係合されている。ソケット35には、ワイヤ4aが連結される側とは反対側端部寄り、つまりプラグ36側にスリーブ38を付勢するコイルばね39が設けられる。コイルばね39で付勢されるスリーブ38がソケット35から脱落しないようにソケット35の端部外周面にストップリング40が設けられる。ソケット35には、その直径方向に変位自在にロックピン41、41が設けられ、スリーブ38の内周面には、このロックピン41、41がソケット35の軸方向へ変位するのを規制するための凸部381と凹部382が形成されている。
一方、プラグ36はソケット35の内周35aに適合する外形を有する筒状部材である。プラグ36の先端には、テーパ361が形成されており、このテーパ361に隣接して、前記ロックピン41、41が係合可能なように外周溝362が形成されている。また、プラグ36にはワイヤ4bの端末を連結するためのピン42が該筒状プラグ36の直径方向を横切るかたちで設けられている。
この連結装置6は、コイルばね39を圧縮する方向にスリーブ38を手で動かし、該スリーブ38の凹部382がロックピン41、41に対向する位置まで変位させる。この状態では、ロックピン41、41はスリーブ38の凹部382側に退避可能であるので、ソケット35にプラグ36を差し込むことができる。図9に2点鎖線36aで示した位置までプラグ36をソケット35に差し込むと、ロックピン41、41がプラグ36の外周溝362に対向するので、ここで、スリーブ38から手を離せば、スリーブ38はコイルばね39で付勢されて、凸部381によって、ロックピン41、41は外周溝362側に押し出され、両者は互いに係合し、プラグ36はソケット35から切り離しできない状態になる。
連結装置5の結合を解除する場合は、上述とは逆の操作をする。つまり、スリーブ38を、コイルばね39を圧縮する方向に手で動かして、スリーブ38の凹部382がロックピン41、41に対向する位置まで変位させれば、ロックピン41、41はソケット35の外周方向に変位可能になるので、プラグ36を引っ張れば、ソケット35から引き離すことができる。
図6は、離脱検知装置の構造を示す透視斜視図である。離脱検知装置5は固定部としてのシリンダ28とシリンダ28の内壁に対してシリンダ28の軸方向に摺動自在に設けられる可動部としてのピストン29とを備える。シリンダ28は一端が壁28aで封止されており、他端の壁28bは、ワイヤ4aが通過可能な孔28cを有していて外部に開放されている。この孔28cに通されたワイヤ4aはピストン29の中心部に接合されている。ピストン29と壁28bとの間にはピストン29を壁28a側に付勢するように作用するピストン押しばね(復帰ばね)30が介装される。壁28aとピストン29との間には周縁がシリンダ28の内周に固定された環状のストッパ31が配設されており、ピストン押しばね30で付勢されたピストン29はストッパ31に押圧されている。
ピストン29と壁28aとの間の空間(シリンダ空間)28dは流体(例えば、空気や不活性ガス)で充満されており、ピストン29がストッパ31に当接しているときが最も空間28d内の圧力が高く、ピストン29がワイヤ4aで引っ張られて空間28dが拡大すると次第に空間28d内の圧力が低下するように構成される。シリンダ空間28dから流体が漏出しないように、ピストン29の周縁とシリンダ28の内周面との間にはシール部材を介在させる。
シリンダ28内には空間28d内の圧力を検知する圧力センサ32と、圧力センサ32の出力を温度に応じて補正するための温度センサ33とが設けられる。なお、温度センサ33は必ずしもシリンダ空間28d内に設置しなくてもよく、離脱検知装置5の近傍、例えば、シリンダ28の外壁に取り付けてあってもよい。シリンダ外壁の温度と、シリンダ空間28dの温度とは相関関係があるからである。
圧力センサ32として、例えば、サファイア基板上にシリコン薄膜をエピタキシャル成長させたシリコン半導体ひずみゲージを使用することができる。また、温度センサ33として、例えば、温度変化に応じて抵抗値が変化することを利用したサーミスタセンサ温度センサを使用することができる。
図7(a)は、圧力センサの検知信号の変化を示す図であり、図7(b)は、圧力センサの検知信号の微分値(圧力変化速度)を示す図である。図7(a)に示すように離脱検知装置5のピストン29に急激な引張力が作用すると、圧力値P0は一瞬低下し、その後元に復帰する。この復帰は復帰ばね30の作用によるものである。この圧力値P0の微分値は、図7(b)に示すように、圧力値P0が最小になるまで圧力変化速度Pvは負の方向に変化し、その後、ゼロに変化し、そこから、圧力値P0の増大に従って圧力変化速度Pvは正の方向に変化し、圧力値P0が復帰するのに応じてゼロに近づく。
本実施形態のエアバッグ作動判定装置は、この圧力値P0の圧力変動速度Pvに基づいて点火信号の出力要否を判定する。
上記構成の離脱検知装置5では、ワイヤ4aによってピストン29が引かれたときにシリンダ空間28dが拡大し、該空間28d内の圧力が低下する。そこで、この圧力値P0を圧力センサ32で検知し、点火ECU16は検知された圧力値および圧力値の変化速度(圧力値の微分値)Pvのうち、少なくとも圧力値の変化速度に基づいて、乗員による通常の降車動作ではなく、外部からの力によって乗員が自動二輪車1から離れたと判定して、点火信号を信号線27に出力する。
図1は、エアバッグ作動判定装置の機能を示すブロック図である。図1において、圧力センサ32と温度センサ33は、シリンダ28の空間内28dの圧力および温度に応じた検知信号を点火ECU16に入力する。点火ECU16の圧力読込部160は、圧力センサ32の検知信号を所定のサンプリング周期で読み込み、記憶部161に記憶する。記憶部161は最新に検知された1回分の圧力値を記憶する。変化速度算出部162は、最新の圧力値P0と記憶部161に記憶されている前回サンプリング周期で検知された圧力値P-1とによって圧力変化速度を算出する微分回路である。
また、最新の圧力値P0は、閾値設定部163に入力される。閾値設定部163は閾値マップ(図8参照)を有しており、圧力値P0が入力されると、該圧力値P0に対応する圧力変化速度Pvの閾値Pvthを読み出す。閾値Pvthは温度補正部164に入力され、温度センサ33で検知された温度によって閾値を補正する。温度補正は、例えば、入力された閾値に検知温度毎の係数を乗算する。例えば、より高温では気体の密度が小さくなり、ワイヤ4aの引っ張り速度に応じた圧力変化速度Pvが大きくなるので、閾値は高くする(例えば、係数を1.0とする)。これに対してより低温では気体の密度が大きくなり、ワイヤ4aの引っ張り速度に応じた圧力変化速度Pvは小さくなるので、閾値は小さくする(例えば、係数を1.0未満とする)。
比較部165は、変化速度算出部162で算出された圧力変化速度Pvと、温度補正部164で補正された閾値Pvrefとを比較し、圧力変化速度Pvが閾値Pvrefより大きいときに、点火信号を出力する。点火信号は信号線27を通じてインフレータ17のスクイブ17aに入力される。スクイブ17aは点火信号により、インフレータ17に点火してガスを発生させる。ガスはエアバッグ14、15に供給されてエアバッグ14、15は膨張・展開される。
エアバッグ判定装置100を構成する圧力読込部160、記憶部161、変化速度算出部162、閾値設定部163、温度補正部164、および比較部165等はマイクロコンピュータ(CPU)で構成することができる。
次に、閾値設定部163に含まれるマップの例を説明する。図8は、閾値のマップの例を示す図であり、横軸は圧力P0、縦軸は圧力変化速度Pvの閾値Pvthを示す。圧力P0が高いほど閾値Pvthが小さいので、小さい圧力変化速度Pvによっても点火信号が出力される。これに対して、圧力P0が低い場合は、閾値Pvthが大きい(極端に圧力P0が低い場合は閾値Pvthは無限)ので、極めて大きい圧力変化速度Pvが生じた場合にのみ点火信号が出力される。
このように設定されたマップによって、エアバッグ作動判定装置は次のように動作する。自動二輪車1を運転中の車両と乗員との位置関係では、ピストン29はストッパ31に当接しているように、ピストン押しばね30と、緩衝部材としてのばね3との張力が設定される。したがって、この状態、つまり運転中の姿勢では、シリンダ空間28dの圧力値P0は最も高く、したがって、小さい圧力変化速度Pvであっても、通常の降車動作ではないと判断して点火信号が出力される。
これに対して、圧力値P0が低い場合、つまり乗員が、緩衝部材3が延びきる距離以上車両から離れ、ピストン29がストッパ31から離れた状態、つまり運転姿勢ではない場合、その位置で急速に圧力変化速度が高まったとしても、閾値は極めて大きいか無限大であるので、点火信号は出力されない。
こうして、乗員が運転姿勢であって、圧力変化が生じた場合は、点火信号は出力されるが、乗員が運転姿勢になくて圧力変化信号が高まった場合は点火信号は出力されない。したがって、乗員が連結装置6を外し忘れて、車両から遠ざかろうとした場合、圧力変化信号が生じるが、その場合は点火信号が出力されない。なお、圧力値P0の最大値に対応する圧力変化速度Pvの閾値Pvthは小さいといっても、少なくとも乗員が自力で体を前方に動かした程度では発生しない値に設定しておくのはもちろんである。
本明細書では、本発明を最適の実施形態に従って説明したが、本発明はこれに限定されない。当業者は、請求項に記載した範囲で、周知技術を適用する等して本発明を実施することができる。例えば、エアバッグを作動させるインフレータ17や点火ECU16等をジャケット2のどこに設置するかは任意に決定できるし、点火ECU16はジャケット2と分離して配置してもよい。
また、連結装置6は必須ではなく、例えば、フック21部分で車体側から切り離してもよい。さらに、離脱検知装置5のシリンダ28(固定部)をジャケット2側ではなく車体側に設け、ピストン29(可動部)を、ワイヤによってジャケット2側に接続するようにしてもよい。
また、温度補正は圧力変化速度Pvに対するものでなく、検知圧力P0に対して行うようにしてもよい。
1…自動二輪車、 2…エアバッグジャケット、 3…緩衝部材、 4…ワイヤ、 5…離脱検知装置、 6…連結装置、 8、9…ウェストプロテクタ、 14、15…エアバッグ、 16…エアバッグ点火ECU、 17…インフレータ、 18…バッテリ、 24、27…信号線、 28…シリンダ、 29…ピストン、 30…復帰ばね、 31…ストッパ、 32…圧力センサ、 33…温度センサ
Claims (5)
- 乗員が着用するジャケット(2)内に組み入れられたエアバッグ(14、15)を作動させるかどうかを判定するエアバッグ作動判定装置において、
一端が車両に連結可能なワイヤ(4)と、
前記ワイヤ(4)の他端が結合された離脱検知装置(5)とを備え、
前記離脱検知装置(5)が、固定部(28)および該固定部(28)に対して係合された可動部(29)、並びに前記固定部(28)に対して前記可動部(29)が変位したときに、前記固定部(28)および可動部(29)間に作用する圧力値の変化速度を検知するためのセンサ手段(32)を有し、
前記圧力値の変化速度が閾値を超えたときに前記エアバッグ用インフレータ(17)のスクイブ(17a)に点火信号を入力するエアバッグ点火ECU(16)をさらに備えていることを特徴とするエアバッグ作動判定装置。 - 前記離脱検知装置が、
前記固定部としてのシリンダ(28)および前記可動部としてのピストン(29)と、
前記ピストン(29)とシリンダ(28)とで区画されたシリンダ空間(28d)内に設置された前記センサ手段として圧力センサ(32)と、
前記ピストン(29)を、前記シリンダ空間を縮小する方向に付勢する復帰ばね(30)と、
前記復帰ばね(30)によるピストン(29)の移動を制限するためのストッパ(31)とを具備し、
前記点火ECU(16)が、前記圧力センサ(32)で検知された圧力値に基づいて該圧力値の変化速度を算出する算出部(162)を含んでいることを特徴とする請求項1記載のエアバッグ作動判定装置。 - 前記算出部(162)が、前記圧力値の変化速度を算出する前記圧力値の微分演算手段であることを特徴とする請求項2記載のエアバッグ作動判定装置。
- 前記点火ECU(16)が、前記圧力値に応じて、該圧力値が所定の最大値より低くなるにつれて閾値が大きくなるように設定された閾値マップを備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエアバッグ作動判定装置。
- 前記シリンダ(28)の温度を検知するための温度センサ(33)を備え、
前記点火ECU(16)が、前記閾値を前記温度センサで検知された温度に応じて、該温度が高いほど前記閾値を高く補正する温度補正部(164)を含んでいることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のエアバッグ作動判定装置。
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JP2009008973A JP2010163136A (ja) | 2009-01-19 | 2009-01-19 | エアバッグ作動判定装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110251929A (zh) * | 2019-05-30 | 2019-09-20 | 福洹体育用品(苏州)有限公司 | 一种气囊式防摔运动护具及其制备和使用 |
KR20220003317A (ko) * | 2020-07-01 | 2022-01-10 | 한국전력공사 | 안전 자켓 |
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2009
- 2009-01-19 JP JP2009008973A patent/JP2010163136A/ja active Pending
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