以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明に係るカテーテルの構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1には、本発明に従う構造を有するカテーテルの一実施形態が、示されている。図1から明らかなように、本実施形態のカテーテル10は、カテーテル本体12と、このカテーテル本体12の遠位端(先端)に設けられた柔軟なチップ14と、カテーテル本体12が、その近位端(手元側端部)において取り付けられたコネクタ16とを有している。
より具体的には、図1乃至図4から明らかなように、カテーテル本体12は、例えばガイドワイヤや別のカテーテル等の他の長尺な医療用具が挿入されるルーメン18を有する中空の長尺部材からなっている。それらの医療用具は、コネクタ16を通じて、カテーテル本体12内に挿入され、またカテーテル本体12内から引き抜かれるようになっている。そして、ここでは、このカテーテル本体12が、遠位側に位置する、第一の樹脂チューブたる第一チューブ20と、近位側に位置する、第二の樹脂チューブたる第二チューブ22とにて、構成されている。
第一チューブ20は、図2に示されるように、単一の樹脂層を有する樹脂チューブからなっている。この第一チューブ20を、二つ以上の樹脂層が積層されてなる多層構造としても、何等差し支えない。このような第一チューブ20を形成する樹脂材料としては、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、及びそれらの樹脂材料を含むエラストマ素材、或いはフッ素系、シリコーンゴム、ラテックスゴム等の各種エラストマ等が、それぞれ単独で、又はそれらの材料のうちの2種以上が組み合わされて、使用され得る。このような各種の材料の中でも、ポリアミドやポリアミドエラスマが、優れた加工性や柔軟性を有すること等から、好適に用いられる。本実施形態では、第一チューブ20の形成材料として、ポリアミドとポリアミドエラスマとのブレンド材料(ポリアミド・ポリアミドエラスマ)が用いられている。
それらの樹脂材料を用いて形成された第一チューブ20は、その曲げ弾性率が80〜1000MPaの範囲内の値とされていることが、望ましい。何故なら、第一チューブ20の曲げ弾性率が1000MPaを超える値となっている場合には、そのような第一チューブ20にて遠位側部分が構成されるカテーテル本体12において十分な柔軟性を確保することが困難となる可能性がある。そのため、カテーテル本体12を、例えば、血管等の人体の管状器官内等に挿入して、目標領域にまでスムーズに進行させるのが難しくなるといった懸念が生ずるからである。また、第一チューブ20の曲げ弾性率が80MPaを下回る値となっている場合には、カテーテル本体12の遠位側部分が余りも柔らかくなり過ぎて、血管内等への挿入時における操作性が低くなってしまう恐れがあるからである。それらの危惧をより確実に解消するには、第一チューブ20の曲げ弾性率が100〜850MPa程度の値とされていることが、更に望ましい。なお、本実施形態のカテーテル10においては、第一チューブ20の曲げ弾性率がが703MPaとされている。
また、上記と同様な理由から、第一チューブ20の硬度が40〜75とされていることが好ましく、更に、55〜72とされていることが、より好ましい。本実施形態のカテーテル10の第一チューブ20の硬度は70である。なお、ここで言う硬度は、ショアD硬度であり、以下に言う硬度も全てショアD硬度である。
第一チューブ20の長さや外径も、特に限定されるものではなく、例えば、カテーテル10の用途等に応じて適宜に決定されるところである。第一チューブ20の長さは、好ましくは5〜200mm程度であり、より好ましくは、10〜100mm程度である。また、第一チューブ20の外径は、望ましくは0.8〜2.8mm程度であり、より望ましくは1〜2mm程度である。本実施形態では、第一チューブ20の長さが20mmで、その外径が1.4mmとされている。
一方、図3及び図4に示されるように、第二チューブ22は、その遠位端側部分を除く大部分が、内側樹脂層24と、この内側樹脂層24を被覆する編組体26と、かかる編組体26を被覆する状態で、内側樹脂層24の外側に積層された外側樹脂層28とを有する3層の積層構造とされている。この第二チューブ22の遠位端側部分は、内側樹脂層24と外側樹脂層28とのみからなり、編組体26を有しない2層の積層構造とされている。なお、この第二チューブ22を、単一の樹脂層からなる単層構造、或いは三つ以上の樹脂層が積層されてなる多層構造としても、何等差し支えない。また、編組体26を省略することも可能である。更に、第二チューブ22の遠位端側部分を含めた全体を、編組体26を有する多層構造とすることも可能である。
第二チューブ22の内側樹脂層24を形成する樹脂材料としては、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、及びそれらの樹脂材料を含むエラストマ素材、或いはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)等のフッ素エチレン性重合体等が使用可能である。本実施形態では、第二チューブ22の内側樹脂層24の形成材料として、ポリアミドとポリアミドエラスマとのブレンド材料が用いられている。なお、この内側樹脂層24においては、有利には、機械的方法や化学的方法、プラズマ等を利用した電気的方法から選択された1種の方法又は2種以上を組み合わせた方法で、表面に対する改質が行われている。それによって、内側樹脂層24の外側樹脂層28に対する密着力が高められるようになる。
外側樹脂層28の形成材料には、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、及びそれらの樹脂材料を含むエラストマ素材、或いはシリコーンゴム、ラテックスゴム等の各種エラストマ等のうちの単独の材料、又はそれらの材料のうちの2種以上が組み合わされてなる材料等が、例示され得る。このような各種の材料の中でも、ポリアミドやポリアミドエラスマが、優れた加工性や柔軟性を有すること等から、好適に用いられる。本実施形態では、第二チューブ22の外側樹脂層28の形成材料として、ポリアミドが用いられている。また、それらの材料からなる外側樹脂層28については、その曲げ弾性率や硬度が、近位端側から遠位端側に向かって段階的に若しくは傾斜的に小さくされていることが、好ましい。それにより、カテーテル本体12に対して、優れたトルク伝達性や押込み性が付与され得る。
編組体26は、編組用金属素線の複数が、メッシュ状を呈するように交互に編み込まれてなる構造を有している。そして、このようなメッシュ構造を有する編組体26が、内側樹脂層24の遠位端側部分を除く外周面を被覆して、配置されて、外側樹脂層28により被覆されている。これにより、第二チューブ22、更にはカテーテル本体12に対して、耐圧性と耐キンク性、直線性(剛性)、回転追従性等が付与されている。
この編組体26を形成する金属素線としては、ステンレス、タングステン、ニッケル、チタン、ピアノ線、コバルト−クロム系合金、ニッケル−チタン系合金(超弾性合金)、アモルファス合金等からなる各種の金属素線が使用可能である。それらの中でも、加工性に優れ、且つ毒性の低いステンレス、タングステン、コバルト−クロム系合金、ニッケル−チタン系合金(超弾性合金)等からなる金属素線が、より好適に用いられる。
編組体26の構造は、メッシュ状の編込み構造に何等限定されるものではなく、例えば、素線を撚り合わせてなる構造や、素線を巻回したコイル構造等も、適宜に採用可能である。また、編組体26を形成する素線としても、金属素線以外に、樹脂素線、或いは金属素線と樹脂素線とを組み合わせてなる素線を用いることが出来るが、加工性や成形性を考慮すると、金属素線が好ましい。
素線の断面形状は、その材質に拘わらず、略円形状や略長方形状であることが、望ましい。その中でも、断面長方形状の素線は、編組密度を大きくすることが出来、それによって、カテーテル本体12の耐圧性と耐キンク性、直線性(剛性)、回転追従性等を有利に高めることが可能となるため、より好適に使用される。
編組体26を形成する素線のサイズも、特に限定されるものではなく、第二チューブ22やカテーテル本体12の外径や厚さ等に応じて適宜に決定されるところである。そして、第二チューブ22やカテーテル本体12の十分な内径を確保しつつ、それらの外径の無用な増大を抑制して、第二チューブ22やカテーテル本体12の薄肉化を実現するためには、断面が略円形状の素線の場合、直径が0.008〜0.05mm程度とされていることが好ましく、また直径が0.011〜0.03mm程度とされていることが、より好ましい。一方、断面が略長方形状の素線の場合には、厚さが0.004〜0.05mm程度で且つ幅が0.016〜0.2mm程度とされていることが望ましく、また厚さが0.007〜0.03mm程度で且つ幅が0.04〜0.12mm程度とされていることが、更に望ましい。本実施形態では、編組体26の金属素線として、長方形の断面を有し、厚さが0.025mm、幅が0.15mmのステンレス線が用いられている。
なお、図示されてはいないものの、カテーテル本体12は、その少なくとも一部、好ましくは全体が、親水性(又は水溶性)高分子物質からなる親水性被覆層にて被覆されていることが、望ましい。何故なら、そうした場合には、カテーテル10の使用に際して、カテーテル本体12の外周面が血液や生理食塩水等に接触したときに、カテーテル本体12の外周面の摩擦係数が減少して、潤滑性が有利に発揮され、それによって、カテーテル本体12の摺動性が一段と向上し、その結果、押込み性や回転追従性、耐キンク性、及び安全性が更に高められるからである。
そのような作用を発揮する親水性被覆層を形成する親水性高分子物質としては、例えば、セルロース系高分子物質(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)、アルギン酸、キチン、キトサン、ヒアルロン酸等の多糖類、無水マレイン酸系高分子物質(例えば、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体のような無水マレイン酸共重合体)、アクリルアミド系高分子物質(例えば、ポリアクリルアミド))等のような天然又は合成の高分子物質、或いはその誘導体等が例示され得る。その中でも、ヒアルロン酸が、低い摩擦係数が安定的に得らるため、好適に用いられる。
一方、チップ14は、図5に示されるように、カテーテル本体12(第一チューブ20)のルーメン18に連通するルーメン(内孔)30を備えた、筒状の全体形状を有している。このチップ12を形成する樹脂材料も、何等限定されるものではないものの、例えば、ポリウレタンエラストマ等が用いられる。また、チップ12は、カテーテル本体12(第一チューブ20及び第二チューブ22)よりも高い柔軟性を有していることが望ましい。その点からして、チップ14の曲げ弾性率が20〜200MPa程度で、その硬度が25〜55程度の値とされていることが好ましく、また、曲げ弾性率が20〜50MPa程度で、その硬度が25〜37程度の値とされていることが、更に好ましい。なお、本実施形態のカテーテル10においては、チップ14の曲げ弾性率が29MPaで、硬度が35とされている。
そして、本実施形態のカテーテル10では、図5から明らかなように、従来と同様にして、第一チューブ20の遠位端部が、チップ14の近位端部に挿入されて、溶着(例えば、熱溶着)されることにより、チップ14がカテーテル本体12の遠位端に接合されている。また、第二チューブ22の遠位端部が、第一チューブ20の近位端部内に挿入されて、溶着(例えば、熱溶着)されている。これにより、第一チューブ20と第二チューブ22とが一体的に接合されて、カテーテル本体12が形成されている。そして、ここでは、特に、それら第一チューブ20と第二チューブ22との接合構造が、従来には見られない特別な構造とされている。
すなわち、第二チューブ22と接合されるべき第一チューブ20の近位端部からなる第一接合端部32は、第一薄肉部34を有している。この第一薄肉部34は、後述するように、第一チューブ20と第二チューブ22との接合前に、外周面が、先端(開口端)に向かって徐々に小径化するテーパ面形状とされている(図6参照)。これによって、第一薄肉部34の肉厚が、その先端(開口端)に向かって徐々に薄くされている。このような第一薄肉部34の長さは、カテーテル10の用途やカテーテル本体12の全長等によって適宜に変更されるところであるものの、2〜5mm程度とされていることが好ましく、2.5〜4.5mm程度とされていることが、より好ましい。本実施形態では、第一薄肉部34の長さが4mmとされている。
また、第一薄肉部34には、その径方向に対向する部位に、第一切欠部36が、それぞれ1個ずつ、合計2個形成されている。それらの第一切欠部36は、全体として、軸方向内方に向かって延びるV字形状(三角形状)を有している(図7参照)。この第一切欠部36の形状は、軸方向内方に向かって延び、且つ軸方向内方に向かって徐々に狭幅となる形状であれば、V字形状以外の形状も採用され得る。即ち、第一切欠部36が、例えば、第一薄肉部34の開口端側が広幅とされた台形状や円弧形状、楕円の一部からなる形状等とされていても良く、或いは第一切欠部36の最深部を間に挟んで第一薄肉部34の周方向両側にそれぞれ位置する二つの辺縁部が、各々、波形状や階段状を呈する形状とされていても良い。
第一切欠部36の軸方向長さは、好ましくは1〜3mm程度とされ、本実施形態では、2mmとされている。第一切欠部36の開口幅は、何等限定されるものではない。但し、ここでは、第一切欠部36が、軸方向内方に向かって徐々に狭幅となる形状とされており、それによって、後述するように、第一接合端部32が第二チューブ22の第二接合端部38と接合された状態下で、それら第一接合端部32と第二接合端部38との接合部に対して、引っ張り力や曲げ力が加えられたときに、第一切欠部36の周縁部と第二接合端部38との境界部位において、第一薄肉部32の軸方向と周方向の両方向に生ずる応力を可及的に緩和され得るようになる。従って、そのような応力緩和作用が損なわれないように為す上で、例えば、第一切欠部36がV字形状を有する場合には、第一チューブ20と第二チューブ22との接合前の状態において、開き角度(図7にθで示される角度)が50〜70°程度とされていることが、望ましい。
一方、第一チューブ20と接合されるべき第二チューブ22の遠位端部からなる第二接合端部38は、第二薄肉部40を有している。この第二薄肉部40は、その基部側(近位端側)の部分が、テーパ部としてのテーパ状薄肉部42とされている一方、その先端側(遠位端側)の部分が、小径円筒部としての小径円筒状薄肉部44とされている。テーパ状薄肉部42は、第二薄肉部40(第二接合端部38)の先端(開口端)に向かって徐々に小径化するテーパ状の外周面を有している。小径円筒状薄肉部44は、テーパ状薄肉部42の最小外径と同一の外径で、且つ第二チューブ22の第二接合端部38以外の部分よりも外径の小さな円筒状の外周面を有している(図5及び図11参照)。
本実施形態では、第二薄肉部40の長さが3mmとされている。この第二薄肉部40の長さの好ましい範囲は、2〜5mm程度であり、より好ましくは2.5〜4.5mm程度である。また、第二薄肉部40に設けられるテーパ状薄肉部42の長さは、1〜3.5mm程度とされていることが望ましく、更に、小径円筒状薄肉部44の長さは、1〜1.5mm程度とされていることが好ましい。本実施形態では、テーパ状薄肉部42の長さが2mmとされ、小径円筒状薄肉部44の長さが1mmとされている。
このような第二薄肉部40にも、第一薄肉部34と同様に、径方向に対向する部位に対して、第二切欠部46が、それぞれ1個ずつ、合計2個形成されている。それら第二切欠部46は、第一薄肉部34に設けられた第一切欠部36と同様に、全体として、軸方向内方に向かって延びるV字形状(三角形状)を有している(図11参照)。この第二切欠部46の形状も、軸方向内方に向かって延び、且つ軸方向内方に向かって徐々に狭幅となる形状であれば、V字形状以外の形状も採用され得る。即ち、第二切欠部46も、第一切欠部36の変更可能な形状として先に例示された形状等に変更可能である。
第一切欠部36の軸方向長さは、好ましくは1〜3mm程度とされ、本実施形態では、2.5mmとされている。第二切欠部46の開口幅も、何等限定されるものではない。但し、第二切欠部46がV字形状とされる場合には、V字形状とされた第一切欠部36と同様に、開き角度が50〜70°程度とされていることが望ましい。
そして、図5から明らかなように、第二チューブ22の第二接合端部38の第二薄肉部40が、第一チューブ20の第一接合端部32の第一薄肉部34内に、第二切欠部46,46を第一切欠部34,34に対して周方向に90°の位相差で位置させた状態で、挿入されて、それら第一薄肉部34と第二薄肉部40の互いに重ね合わされた部分において溶着されている。
これにより、第一チューブ20の近位端部と第二チューブ22の遠位端部とが、互いに一体的に接合されて、カテーテル本体12が形成されている。そして、かかるカテーテル本体12の遠位端部に、チップ14が連通状態で接合され、近位端部に、コネクタ16が連通状態で取り付けられて、カテーテル10が構成されているのである。
ところで、このような構造とされたカテーテル10を製造する際には、例えば、第一チューブ20の遠位端部に、チップ14を取り付ける工程と、第一チューブ20と第二チューブ22とを互いに接合して、カテーテル本体12を形成する工程と、第二チューブ22をコネクタ16に取り付ける工程とが実施されるのであるが(各工程の実施順序は、特に限定されるものではない)、本実施形態では、カテーテル本体12の形成工程が、従来とは異なる方法で実施される。
すなわち、カテーテル本体12を形成する際には、先ず、公知の押出成形等により、一定の外径をもって軸方向に延びる円筒状の第一チューブ20を形成して、準備する。また、それとは別個に、従来と同様な手法により、内側樹脂層24と内部に編組体26が埋設された外側樹脂層28とからなる第二チューブ22を形成して、準備する。
その後、図6に示されるように、準備された第一チューブ20におけるチップ14の取付側端部とは反対側の第一接合端部32に対して、公知の研磨装置を用いた研磨加工等を行って、先端に向かって次第に小径となるテーパ状の外周面を有する第一薄肉部34を形成する。
ここで形成される第一薄肉部34の最大外径は、第一チューブ20の第一薄肉部34以外の部分の外径と同じように、0.8〜2.8mm程度であることが好ましく、より好ましくは1〜2mm程度である。また、その最小外径は、一般に1.1〜1.5mm程度とされる。本実施形態では、第一薄肉部44の最大外径が1.4mmで、最小外径が1.2mmとされる。
次いで、図7及び図8に示されるように、第一薄肉部34の径方向に対向して位置する2箇所に、V字形状(三角形状)をもって軸方向内方に延びる第一切欠部36を、それぞれ1個ずつ形成する。この第一切欠部36の形成には、例えば、V字状を呈する切削刃を用いて、第一薄肉部34の周方向に対向する二つの部位をV字状に切除する方法が、採用される。
その後、第一チューブ20の第一接合端部32を、図示しない公知のフレア加工機にセットする。そして、先端に向かって次第に小径となり、且つ最小外径が第一チューブ20の内径や第二チューブ22の内径と略同じ大きさとされたフレアピン(図示せず)を第一接合端部32の第一薄肉部34内に挿入して、第一薄肉部34を拡径する拡径加工を実施する。これにより、図9に示されるように、第一薄肉部34を、先端(開口端)に向かって次第に大径となり、且つ最大内径が第二チューブ22の外径よりも大きなテーパ筒形状に成形する。
一方、上記のように第一チューブ20の第一接合端部32に対する加工工程とは別に、図10に示されるように、第一チューブ20の第一接合端部32と接合されるべき第二チューブ22の第二接合端部38に対して、公知の研磨装置を用いた研磨加工等を行って、テーパ状薄肉部42と小径円筒状薄肉部44とからなる第二薄肉部40を形成する。
ここで形成される第二薄肉部40の最大外径は、第二チューブ22の第二薄肉部40以外の部分の外径と同じように、0.8〜2.8mm程度であることが好ましく、より好ましくは1〜2mm程度である。第二薄肉部40の最小外径は、一般に1.1〜1.5mm程度とされる。本実施形態では、かかる第二薄肉部40の最大外径が1.4mmで、最小外径が1.2mmとされる。
引き続き、第一薄肉部34に2個の第一切欠部36,36を形成する際と同様な切削加工を、第二薄肉部40に対して実施して、図11及び図12に示されるように、第二薄肉部40の径方向に対向する二つの部位に、V字形状(三角形状)をもって軸方向内方に延びる第二切欠部46を、それぞれ1個ずつ形成する。ここで形成される各第二切欠部46は、第二薄肉部40の開口端側部分たる小径円筒状薄肉部44を超えて、テーパ状薄肉部42の長さ方向中間部にまで達する長さを有している。なお、図示されてはいないものの、本実施形態では、第一切欠部36と第二切欠部46のそれぞれのV字状の頂点部位(最深部)が、半円形状を呈する湾曲角部とされる。
その後、図13に示されるように、第一チューブ20の第一接合端部32とは反対側となる遠位端側の開口部を通じて、芯金48を第一チューブ20内に挿入する。そして、第一接合端部32の開口部から、芯金48の先端部を突出させ、その状態で、芯金48を第一チューブ20に対して引抜可能に固定する。このとき、芯金48先端部の第一接合端部32からの突出長さが3〜4mm程度とされる。
次に、図14に示されるように、第一チューブ20の第一接合端部32の開口部から突出した芯金48の先端部を、第二チューブ22の第二接合端部38の開口部内に挿入し、それと共に、第二接合端部38の第二薄肉部40を、第一接合端部32の第一薄肉部34と重なり合うように、第一薄肉部34に対して略同軸的に挿入する。
このとき、第二薄肉部40の小径円筒状薄肉部44の全部とテーパ状薄肉部42の小径円筒状薄肉部44側の一部とが、第一薄肉部34内に位置するまで、第二薄肉部40が第一薄肉部34内に挿入される。即ち、テーパ状薄肉部42の小径円筒状薄肉部44側とは反対側の、例えば0.5〜0.8mm程度の長さを残して、第二薄肉部40部分が、第一薄肉部34内に挿入されて、第一薄肉部34と重ね合わされる。
また、第一薄肉部34に設けられた2個の第一切欠部36,36と、第二薄肉部40に設けられた2個の第二切欠部46,46とが、それぞれ周方向において互いに90°の位相差を有するように位置せしめられる。換言すれば、2個の第一切欠部36,36の間に挟まれた、径方向に対向する二つの第一薄肉部34部分と2個の第二切欠部46,46とが、それぞれ周方向の同一箇所に位置せしめられると共に、2個の第二切欠部46,46の間に挟まれた、径方向に対向する二つの第二薄肉部40部分と2個の第一切欠部36,36とが、それぞれ周方向の同一箇所に位置せしめられる。なお、ここでは、第一薄肉部34が先端に向かって次第に大径となるテーパ筒形状とされているため、第一薄肉部34内への第二薄肉部40の挿入操作がは容易となっている。
その後、図14に示されるように、第一薄肉部34と第二薄肉部40の互いの重合せ部分を含む第一チューブ20の第一接合端部32と第二チューブ22の第二接合端部38とに対して、公知の熱収縮チューブ50を外挿する。そして、これらを、従来より一般的に使用される溶着機(図示せず)内にセットした後、第一薄肉部34と第二薄肉部40の互いの重合せ部分を加熱して、溶着する。
これにより、各第一切欠部36,36と周方向の同一箇所に位置せしめられた第二薄肉部40部分が、各第一切欠部36,36内に入り込み、且つ各第二切欠部46,46と周方向の同一箇所に位置せしめられた第一薄肉部34部分が、各第二切欠部46,46内に入り込んだ状態で、第一接合端部32と第二接合端部38の互いに重ね合わされた部分が熱溶着されて、接合される。そうして、第一チューブ20と第二チューブ22とが接合されてなる接合品を得る。
次に、第一チューブ20と第二チューブ22との接合品を溶着機から取り出す。その後、熱収縮チューブ50を接合品から取り外す一方、接合品内から芯金48を引き抜く。かくして、図5に示されるような第一チューブ20と第二チューブ22との接合構造を有する目的とするカテーテル本体12を得る。そして、このカテーテル本体12の作製前に、或いは作製後に、カテーテル本体12の遠位端にチップ14が取り付けられる一方、近位端にコネクタ16が接続され、以て、目的とするカテーテル10が製造される。
このように、本実施形態のカテーテル10では、第一チューブ20と第二チューブ22とが、簡易な操作で、しかも比較的に設備費の安価な溶着操作により接合されて、カテーテル本体12が形成されている。そのため、例えば、カテーテル10の製造に際して、第一チューブ20や第二チューブ22として、曲げ弾性率等や軸方向長さが互いに異なるものを、予め、多数種類準備しておけば、最終的に得られるカテーテル10において、多種多様な要求性能に十分に対応可能な構造が安価に実現され得る。
また、かかるカテーテル10においては、第一チューブ20と第二チューブ22の第一及び第二薄肉部34,44に設けられた第一及び第二切欠部40,46内に、それらと周方向の同一箇所に位置せしめられた第一薄肉部34部分と第二薄肉部40部分が入り込んだ状態で溶着されることにより、第一チューブ20の第一接合端部32と第二チューブ22の第二接合端部38とが互いに接合されて、カテーテル本体12が形成されている。それ故、それら第一接合端部32と第二接合端部38との接合部における溶着強度が有利に高められている。
しかも、かかる接合部における第一接合端部32と第二接合端部38のそれぞれの接合端面(開口部の端面)の周方向長さが、各切欠部40,46の軸方向長さに応じて、十分に長くされる。このため、カテーテル本体12が屈曲させられた際に、第一チューブ20と第二チューブ22の接合部に生ずる応力が、周方向長さが大きなそれぞれの接合端面の全周にわたって効果的に分散されるようになる。それ故、例えば、互いに接合される遠位側及び第二チューブ20,22の曲げ弾性率等が互いに異なり、しかも、それらの曲げ弾性率等の違いが僅かなものであっても、カテーテル本体12の屈曲時に、第一チューブ20と第二チューブ22との接合部において、応力が集中し、それが原因で、かかる接合部に不自然な屈曲や亀裂等が生ずることが、有利に解消乃至は十分に抑制され得る。
従って、本実施形態のカテーテル10にあっては、互いに接合される第一チューブ20と第二チューブ22の曲げ弾性率等の差異の大きさに拘わらず、それら遠位側及び第二チューブ20,22間の接合強度が、極めて効果的に向上され得る。そして、その結果として、使用時における操作性や安全性が、飛躍的に高められ得る。
また、かかるカテーテル10では、第一及び第二切欠部40,46が、何れも、遠位側及び第二チューブ20,22の軸方向内方に延びるように形成されている。それ故、接合部に軸方向での引っ張り力が加えられた際にも、第一及び第二切欠部40,46が形成された第一及び第二接合端部32,42の各端面と、それらの端面が接合される第一及び第二接合端部32,42部分との間に生ずる応力が、各切欠部40,46の全長にわたって効果的に分散されるようになる。これにより、カテーテル本体12に対して軸方向への引っ張り力が加えられた際に、第一チューブ20と第二チューブ22との接合部の応力集中による不自然な屈曲の発生及びに亀裂等が生ずることが、有利に解消乃至は十分に抑制され得る。
さらに、本実施形態では、第二薄肉部40が先端に向かって次第に小径となるテーパ状の外周面を有する一方、第一薄肉部34が、先端に向かって大径となる逆テーパ状の内周面を有して、それら第一薄肉部34と第二薄肉部40とが互いに重ね合わされて、溶着されている。それ故、第一薄肉部34と第二薄肉部40とが、単純な円筒形状とされている場合に比して、それらの薄肉部34,44同士の相互の接触面積が有利に大きくされる。それによって、第一薄肉部34と第二薄肉部40との間、ひいては第一チューブ20と第二チューブ22との間の接合強度が、更に効果的に高められ得る。また、弾性率の異なる樹脂が互いに組み合わされることにより、せん断・圧縮・引っ張りによる力の進展方向を分散させることが可能となって、近位部から遠位部による力の伝達が円滑に行われ得るようになり、以て、接合部の伸度が効果的に高められ得る。
更にまた、本実施形態においては、第二薄肉部40が、テーパ状薄肉部42よりも開口端側に小径円筒状薄肉部44を有している。それ故、第二薄肉部40の第一薄肉部34に対する接触面積が更に有利に増大せしめられるだけでなく、接合部に軸方向での引っ張り力が加えられた際に、第一及び第二接合端部32,42部分との間に生ずる応力が、より効果的に分散されるようになる。これによっても、第一チューブ20と第二チューブ22との間の接合強度及び伸度が、更に一層効果的に高められ得る。
本実施形態のカテーテル10においては、第二薄肉部40に形成された第二切欠部46が、小径円筒状薄肉部44を超えて、テーパ状薄肉部42の長さ方向中間部にまで達する軸方向長さを有している。また、第一切欠部36と第二切欠部46とが、周方向において互いに90°の位相差を有する箇所に位置せしめられている。これらによっても、第一チューブ20と第二チューブ22との間の接合強度が、更に一層効果的に高められ得る。
なお、第一切欠部36と第二切欠部46との周方向での互いの位相差は、好ましくは45〜90°とされる。何故なら、かかる位相差が45°よりも小さい場合には、接合部の周方向に対し、介在する異なる弾性率の樹脂面積の相違幅が異なり過ぎるようになり、そのために、せん断・圧縮・引っ張り応力に対して不均一な力の伝達が生ずるといった不具合が発生する可能性があるからであり、また、かかる位相差が90を超える場合にあっても、それと同様な問題が生ずる恐れがあるからである。
以上、本発明の幾つかの実施形態について詳述してきたが、それらは、あくまでも例示であって、本発明は、そのような実施形態における具体的な記述によって何等限定的に解釈されるものでない。
前記実施形態では、第一チューブ20の第一接合端部32に、第一薄肉部34が形成される一方、第二チューブ22の第二接合端部38に、第二薄肉部40が形成されていたが、第一接合端部32に第一薄肉部34を設けることなく、第二接合端部38のみに第二薄肉部40を設けるか、或いは第二接合端部34に第二薄肉部40を設けることなく、第一接合端部32のみに第一薄肉部34を設けても良い。
また、切欠部40,46も、第一接合端部32と第二接合端部34のうちの少なくとも何れか一方に設けられておれば良い。更に、切欠部40,46を、薄肉部34,44が設けられていない第一接合端部32や第二接合端部34に設けることも出来る。
例えば、図15及び図16に示されるように、第一チューブ20の第一接合端部32に第一薄肉部34を設けると共に、この第一薄肉部34の周上の一箇所に、第一切欠部36を設ける。そして、薄肉部や切欠部が何等設けられていない第二チューブ22の第二接合端部38を、第一接合端部32の第一薄肉部34内に挿入した状態で、前記実施形態と同様に、熱収縮チューブ50を用いて、第二チューブ22の第二接合端部38と第一接合端部32の第一薄肉部34との重合せ部分を熱溶着して、目的とするカテーテル本体12を形成することも出来る。なお、図15及び図16、更には後述する図17乃至図21に示される幾つかの実施形態に関しては、前記実施形態と同様な構造とされた部位及び部材について、図1乃至図14と同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略した。
図17及び図18に示されるように、第一チューブ20の第一接合端部32に、第一薄肉部34を設けると共に、第二チューブ22の第二接合端部38に、第二薄肉部40を設ける。また、それら第一薄肉部34と第二薄肉部40とに対して、第一切欠部36と第二切欠部46とを、それぞれ1個ずつ形成する。そして、図19に示されるように、第二薄肉部40を第一薄肉部34内に挿入すると共に、第一切欠部36と第二切欠部46とを、周方向において互いに異なる位置に配置した状態で、前記実施形態と同様に、熱収縮チューブ50を用いて、第一薄肉部34と第二薄肉部40との重合せ部分を熱溶着して、目的とするカテーテル本体12を形成することも出来る。
また、第一接合端部32と第二接合端部38の両方に第一切欠部36と第二切欠部46とを形成する場合には、それら第一切欠部36と第二切欠部46の形状や大きさが、必ずしも同一とされている必要はなく、互いに異なるものとされていても、何等差し支えない。そのように、第一切欠部36と第二切欠部46の形状や大きさを互いに異なるものとすることにより、それら同一とされる場合に比して、第一接合端部32と第二接合端部38の溶着時に、各切欠部40,46内に入り込む接合端部42,32部分の領域が変化せしめられる。その結果、第一接合端部32と第二接合端部38の接合強度及び伸度の向上が図られ得る。
なお、第一切欠部36と第二切欠部46の形状や大きさを異ならせた場合、前記実施形態に示されるように、第一切欠部36と第二切欠部46とを共にV字形状と為す際には、例えば、それら各切欠部36,46の軸方向長さの差が1mm以内で、開き角度:θの差が5〜15°以内とされていることが望ましい。何故なら、各切欠部36,46の軸方向長さの差が1mmを超える場合には、使用時に発生する応力、特にせん断応力に対し、弾性率の異なる樹脂が交互に存在する結合部内において、周方向への応力分散がし難く、周方向への伸度が確保され難いといった不具合を生ずる恐れがあるからである。また、各切欠部36,46の開き角度:θの差が5°未満や15°超える大きさとされる場合にあっても、各切欠部36,46の軸方向長さが1mmを超える場合に生ずる問題と同様な問題を発生する懸念があるからである。
さらに、第一接合端部32に設けられる第一薄肉部34や第二接合端部38に設けられる第薄肉部44のそれぞれの形状は、例示のものに、何等限定されるものではない。例えば、図20に示されるように(第二薄肉部40のみを例示する)、接合端部38の外周部分を所定長さに亘って同一厚さで除去して、かかる接合端部38に、それ以外の部分よりも外径の小さな円筒部を形成し、この円筒部のみにて、薄肉部40を形成することも出来る。また、図21に示される如く(第一薄肉部34のみを例示する)、接合端部32の内周面が、先端側に向かって大径となるテーパ面形状となるように、接合端部32の内周部分を除去し、このテーパ面状の内周面を有する部部にて、薄肉部34を形成することも可能である。
前記実施形態では、第一薄肉部34に対して拡径加工が施されていたが、第一薄肉部34に代えて、第二薄肉部40に対して拡径加工を行っても良い。その場合には、第一薄肉部34が、第二薄肉部40内に挿入される。勿論、本発明手法において、かかる拡径加工は、何等必須のものではない。
第一接合端部32と第二接合端部38の溶着に際しては、その前に、内挿される接合端部(前記実施形態では、第二接合端部38)の外周面に、例えばエポキシ樹脂系接着剤等からなる接着剤層を形成しても良い。これによって、より高い接合強度を得ることが出来る。また、熱溶着の他、高周波溶着や、プラズマ溶着、レーザ溶着等、公知の溶着法が適宜に採用され得る。
本発明が適用なカテーテルとしては、その種類が何等限定されるものではなく、ガイディングカテーテルや、マイクロカテーテル、バルーンカテーテル、血管造影(診断)用カテーテル、血栓吸引カテーテル等が、例示され得る。
加えて、本発明は、第一チューブ20と第二チューブ22との接合構造に適用されるだけでなく、第一チューブ20とチップ14との接合構造にも、適用可能である。
以下に、本発明の実施例を幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等が加え得るものであることが、理解されるべきである。
先ず、図6乃至図14に示される如き操作手順により、本発明に従って、カテーテル本体(12)の製造作業を行って、図5に示されるような第一の樹脂チューブ(20)と第二の樹脂チューブ(22)との接合構造を有するカテーテル本体を3本作製して、準備した。それら3本のカテーテル本体の作製には、第一の樹脂チューブの薄肉部(34)や切欠部(40)が形成される前の素管として、ポリアミド・ポリアミドエラストマ[商品名:ダイアミド(ダイセルヒュルス社製)]を用いて押出成形された押出成形品を使用した。また、第二の樹脂チューブの薄肉部(44)や切欠部(46)が形成される前の素管として、ポリアミド・ポリアミドエラストマ[商品名:ダイアミド(ダイセルヒュルス社製)]を用いて押出成形された押出成形品内側樹脂層(24)及び外側樹脂層(28)と、テンレス素線からなる編組体(26)とを用いて形成されたものを使用した。そして、それら3本のカテーテル本体を、それぞれ本発明例1、2及び3とした。なお、本発明例1、2及び3のカテーテル本体の寸法諸元は、前記実施形態に示されるものと、それぞれ同一とした。
また、比較のために、第一の樹脂チューブの接合端部と第二の樹脂チューブの接合端部とに、薄肉部がそれぞれ形成されるものの、それら各薄肉部には、切欠部が何等設けられていない第一の樹脂チューブと第二の樹脂チューブとを、公知の押出成形により、それぞれ3本ずつ作製して、準備した。これら第一の樹脂チューブ及び第二の樹脂チューブは、本発明例1、2及び3のカテーテル本体を与える第一の樹脂チューブ及び第二の樹脂チューブと同じ材質とした。そして、準備された第一の樹脂チューブと第二の樹脂チューブとをそれぞれ1本ずつ、公知の手法に従って、熱溶着により接合して、従来と同様な構造を有するカテーテル本体を3本作製した。それら3本のカテーテル本体を、それぞれ比較例1、2、及び3とした。なお、これら比較例1、2及び3のカテーテル本体の寸法諸元は、前記実施形態に示されるものと、それぞれ同一とした。
次に、本発明例1、2及び3のカテーテル本体と比較例1、2及び3のカテーテル本体とを用い、それらに対して、引張強度試験を、ISO1055−1:AnnexBに準拠して、実施した。また、その引張強度試験によって破断した箇所を目視により確認した。なお、引張強度試験の試験条件は、サンプル長:30mm、チャック間距離:10mm、引張速度:200mm/minとした。本発明例1〜3のカテーテル本体の引張強度試験結果を下記表1に示し、比較例1〜3のカテーテル本体の引張強度試験結果を下記表2に示した。
それら表1及び表2から明らかなように、本発明に従う構造を有する本発明例1〜3のカテーテル本体では、破断点での変位量の平均値が47.84mmであり、最大点から破断点までの変位量の平均値が46.01mmであった。これに対して、従来構造を有する比較例1〜3のカテーテル本体では、破断点での変位量の平均値が7.57mmであり、最大点から破断点までの変位量の平均値が4.83mmであった。また、比較例1〜3のカテーテル本体では、破断箇所が、全て接合部における第一の樹脂チューブと第二の樹脂チューブのそれぞれの接合端部の端面同士の接合界面であった。これに対して、本発明例1〜3のカテーテル本体では、接合部のうちの切欠部形成部位とは異なる部位であった。これらは、本発明に従う構造を有するカテーテル本体が、従来構造を有するカテーテル本体に対して、極めて優れた接合強度を有することを、如実に示している。