JP2010161267A - 光透過性電磁波シールド材及びプラズマディスプレイパネル用光学フィルタ - Google Patents
光透過性電磁波シールド材及びプラズマディスプレイパネル用光学フィルタ Download PDFInfo
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Abstract
【課題】ガラス基板の表面にメッシュ状の導電層が設けられた構成を含む光透過性電磁波シールド材であって、低コストで防眩効果が付与されており、且つ良好な導電性、及び良好な光透過性を有する光透過性電磁波シールド材、及びPDP用光学フィルタを提供する。
【解決手段】ガラス基板2の表面にメッシュ状の導電層3が設けられた構成を含む光透過性電磁波シールド材10であって、当該導電層3が導電粒子と黒色系顔料を含有する層であり、メッシュ状の導電層3の平均線幅が18〜30μm、開口率が50〜76%であることを特徴とする光透過性電磁波シールド材10。また、本発明の光透過性電磁波シールド材10を含むPDP用光学フィルタ。
【選択図】図1
【解決手段】ガラス基板2の表面にメッシュ状の導電層3が設けられた構成を含む光透過性電磁波シールド材10であって、当該導電層3が導電粒子と黒色系顔料を含有する層であり、メッシュ状の導電層3の平均線幅が18〜30μm、開口率が50〜76%であることを特徴とする光透過性電磁波シールド材10。また、本発明の光透過性電磁波シールド材10を含むPDP用光学フィルタ。
【選択図】図1
Description
本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)の前面フィルタ等に用いられる光透過性電磁波シールド材、特にガラス基板の表面に導電層が形成された光透過性電磁波シールド材、及びそれを含むPDP用光学フィルタに関する。
PDPの漏洩電磁波を遮断するための光学フィルタに、ガラス基板の表面に導電層を形成して電磁波シールド機能を付与した光透過性電磁波シールド材が用いられている。電磁波シールド性を付与するための導電層としては、一般に、銅箔をエッチング加工した銅エッチングメッシュやポリエステル繊維メッシュに銅めっきを施したものが使われている。しかし、エッチングメッシュは加工工程が複雑でコストが高いという問題点がある。また、繊維メッシュは線幅を細くするのが難しく、また、繊維であるためメッシュ形状の精度が悪いという問題がある。
一方、ガラス基板に導電性インキをパターン印刷することにより、所望のメッシュ状の導電層を精度良くかつ低コストに形成する方法も提案されている。更に、特許文献1にはガラス基板に導電性粒子を含む導電性インクをパターン印刷した後、加熱処理することによりガラス基板への密着性を高める方法も開示されている。この場合、導電性粒子を含む導電層だけでは反射性が高いため、導電層の下層に黒色系顔料をパターン印刷した黒色層を設けることにより防眩効果を付与し視認性を高めることができる(特許文献1)。この場合、導電層と黒色層の2層を精度良く位置合わせすることは容易ではないため、例えば、紫外線硬化樹脂等を利用したフォト印刷法を用いることが有効である(特許文献1)。
しかしながら、フォト印刷法は操作が煩雑であり、高いコストが掛かるという問題がある。
従って、本発明の目的は、ガラス基板の表面にメッシュ状の導電層が設けられた構成を含む光透過性電磁波シールド材であって、低コストで防眩効果が付与されており、且つ良好な導電性、及び良好な光透過性を有する光透過性電磁波シールド材、及びPDP用光学フィルタを提供することにある。
上記目的は、ガラス基板の表面にメッシュ状の導電層が設けられた構成を含む光透過性電磁波シールド材であって、当該導電層が導電粒子と黒色系顔料を含有する層であり、メッシュ状の導電層の平均線幅が18〜30μm、開口率が50〜76%であることを特徴とする光透過性電磁波シールド材によって達成される。ガラス基板の表面のメッシュ状の導電層に導電性粒子及び黒色系顔料の両方が含有されているので、防眩効果が低コストで付与されており、更に導電層が前記平均線幅及び開口率で形成されていることにより、導電層のメッシュの密度が適正化されているので、良好な導電性を有し、且つ良好な光透過性を有する光透過性電磁波シールド材とすることができる。
ここで、開口率とは導電層の投影面積(メッシュ部分と開口部分との合計の面積)における開口部分の面積割合の百分率である。また、この場合、良好な導電性とは、表面抵抗が0.1Ω/□以下を言う。また、良好な光透過性とは、導電層を形成した段階での可視光透過率が60%以上を言う。
本発明の光透過性電磁波シールド材の好ましい態様は以下の通りである。
(1)前記導電層が、導電性粒子と黒色系顔料を含むインキをパターン印刷して、その後、加熱処理することにより形成される層であることを特徴とする。
(2)前記インキが、更にバインダ樹脂を含むことを特徴とする。
(3)前記インキが、更に無機粒子を含むことを特徴とする。
(4)前記無機粒子が低融点ガラスフリットである。
(5)前記加熱処理が300〜600℃で行われる。
(6)前記導電層の格子ピッチが80〜170μmの格子形状である。
(7)前記導電層の層厚が1〜20μmである。
(8)前記導電層に含有される、導電性粒子に対する黒色系顔料の質量比が1:0.1〜1:1である。
(9)前記黒色系顔料の平均粒径が10〜100nmである。
(10)更に色補正層を含むことを特徴とする。PDP用の光透過性電磁波シールド材において、ネオンカットや近赤外線吸収のための色補正層を含むことが好ましい。
(11)前記色補正層が、吸収スペクトルの半値幅が30nm以下のネオンカット色素を含むことを特徴とする。これにより、585nm付近のネオン光以外の可視光の透過率を上げることができるので、PDP用の光透過性電磁波シールド材としての可視光透過率を更に良好にすることができる。
(12)前記ネオンカット色素が、テトラアザポルフィリン系のネオンカット色素である。テトラアザポルフィリン系のネオンカット色素は前記ネオンカット色素として好適な色素である。
(13)前記色補正層が、イモニウム系の近赤外線吸収色素を含むことを特徴とする。イモニウム系の近赤外線吸収色素は可視光域の吸収が少ないため、PDP用の光透過性電磁波シールド材としての可視光透過率を更に良好にすることができる。
(14)更に、反射防止層、アンチグレア層、衝撃吸収層及び防汚層よりなる群から選ばれる1種以上の機能層を含むことを特徴とする。
(1)前記導電層が、導電性粒子と黒色系顔料を含むインキをパターン印刷して、その後、加熱処理することにより形成される層であることを特徴とする。
(2)前記インキが、更にバインダ樹脂を含むことを特徴とする。
(3)前記インキが、更に無機粒子を含むことを特徴とする。
(4)前記無機粒子が低融点ガラスフリットである。
(5)前記加熱処理が300〜600℃で行われる。
(6)前記導電層の格子ピッチが80〜170μmの格子形状である。
(7)前記導電層の層厚が1〜20μmである。
(8)前記導電層に含有される、導電性粒子に対する黒色系顔料の質量比が1:0.1〜1:1である。
(9)前記黒色系顔料の平均粒径が10〜100nmである。
(10)更に色補正層を含むことを特徴とする。PDP用の光透過性電磁波シールド材において、ネオンカットや近赤外線吸収のための色補正層を含むことが好ましい。
(11)前記色補正層が、吸収スペクトルの半値幅が30nm以下のネオンカット色素を含むことを特徴とする。これにより、585nm付近のネオン光以外の可視光の透過率を上げることができるので、PDP用の光透過性電磁波シールド材としての可視光透過率を更に良好にすることができる。
(12)前記ネオンカット色素が、テトラアザポルフィリン系のネオンカット色素である。テトラアザポルフィリン系のネオンカット色素は前記ネオンカット色素として好適な色素である。
(13)前記色補正層が、イモニウム系の近赤外線吸収色素を含むことを特徴とする。イモニウム系の近赤外線吸収色素は可視光域の吸収が少ないため、PDP用の光透過性電磁波シールド材としての可視光透過率を更に良好にすることができる。
(14)更に、反射防止層、アンチグレア層、衝撃吸収層及び防汚層よりなる群から選ばれる1種以上の機能層を含むことを特徴とする。
また、上記目的は、本発明の光透過性電磁波シールド材を含むプラズマディスプレイパネル用光学フィルタによっても達成される。本発明の光学フィルタは本発明の光透過性電磁波シールド材を含んでいるので、低コストで防眩効果が付与されており、良好な電磁波シールド性を有し、且つ良好な光透過性を有する。ここで、良好な光透過性とは、PDP用光学フィルタとして、可視光透過率が35%以上を言う。
本発明によれば、ガラス基板の表面にメッシュ状の導電層が設けられた構成を含む光透過性電磁波シールド材であって、低コストで防眩効果が付与されており、且つ良好な導電性、及び良好な光透過性が両立された光透過性電磁波シールド材とすることができる。従って、本発明のPDP用光学フィルタは低コストで高性能の光学フィルタであるといえる。
本発明の光透過性電磁波シールド材について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の光透過性電磁波シールド材の代表的な1例を示す概略断面図であり、図2は本発明の光透過性電磁波シールド材における、導電層の印刷パターンの代表的な1例を示す概略平面図である。
図1に示す光透過性電磁波シールド材10はガラス基板2の一方の表面に導電性粒子と黒色系顔料を含む導電層3が形成されている。導電層3に導電性粒子と黒色系顔料の両方を含ませることにより、低コストで防眩効果を付与することができている。ただし、黒色系顔料を混合することにより、導電層3における導電性粒子の含有量が減少するため、フィルタの表面抵抗が高くなり、導電性が低下する。一方、表面抵抗を下げるため、導電層3のメッシュを密にすると、光透過性が低下する。そこで、本発明においては、導電層3が平均線幅18〜30μm、開口率50〜76%になるように形成されており、導電層3のメッシュの密度が適正化され、良好な導電性及び良好な光透過性が両立されている。
また、図1においては、ガラス基板2の導電層が形成された面の反対側の面には、粘着層4を介して、一方の面に色補正層5及び他方の面に反射防止層7が形成されたポリエチレンテレフタレート(PET)基板6が接着されている。この光透過性電磁波シールド材10は、PDP用光学フィルタとして用いる場合、反射防止層7側を視聴者側にしてPDP本体(図示していない)から間隔をあけて設置される。
ガラス基板2としては、通常厚さ1.0〜3.0mm程度のものが用いられる。
導電層3を形成する導電性インキは、導電性粒子及び黒色系顔料、必要により無機粒子を適当なバインダ樹脂に分散させたものである。この導電性粒子としては、銅、銀、ITO(スズインジウム酸化物)等の金属又は金属酸化物、或いはこれらの金属の2種以上の合金よりなる微粒子の1種又は2種以上を用いることができる。このような導電性粒子は、形成される導電層3の導電性(電磁波シールド性)の確保及びPDPフィルタの光透過性の面から、粒径20μm以下、特に1nm〜10μm程度であることが好ましい。
黒色系顔料としては、導電性インキをパターン印刷し導電層が形成された際に、防眩効果を発揮する黒色となる顔料であれば、どのようなものでも良い。例えば、カーボンブラック、チタンブラック、黒色酸化鉄、黒鉛及び活性炭等を用いることが好ましい。これらは単独又は2種以上を混合して用いても良い。特に、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーストブラック等のカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックの平均粒径は、好ましくは0.1〜1000nm、更に好ましくは5〜500nm、特に10〜100nmが好ましい。
必要により添加される無機粒子としては、導電層の形成の際に加熱処理をする場合に、融解してガラス基板に導電層を密着させる無機粒子であれば良く、低融点ガラスフリット等が好適に用いられる。低融点ガラスフリットとしては、通常、軟化点650℃以下、好ましくは400〜600℃のガラスフリットが用いられる。ガラスフリットの軟化点が400℃未満の場合には、加熱処理(焼成)工程において後述の樹脂バインダが分解除去される前にガラスフリットの溶融が開始するため、処理後のパターンに有機残渣が残存する恐れがある。また、ガラスフリットの軟化点が600℃を越える場合には、加熱処理工程においてガラスフリットが充分溶融されず、処理後のパターンの密着性が不十分となる恐れがある。ガラスフリットの形状としては特に限定されない。ガラスフリットの組成としては、例えば、酸化ビスマス−酸化ホウ素−酸化ケイ素系(Bi2O3−B2O3−SiO2系)、酸化ビスマス−酸化ホウ素−酸化ケイ素−酸化アルミニウム系(Bi2O3−B2O3−SiO2−Al2O3系)、酸化ビスマス−酸化亜鉛−酸化ホウ素−酸化ケイ素系(Bi2O3−ZnO−B2O3−SiO2系)、酸化ビスマス−酸化亜鉛−酸化ホウ素−酸化ケイ素−酸化アルミニウム系(Bi2O3−ZnO−B2O3−SiO2−Al2O3系)、酸化鉛−酸化ホウ素−酸化ケイ素系(PbO−B2O3−SiO2系)、酸化鉛−酸化ホウ素−酸化ケイ素−酸化アルミニウム系(PbO−B2O3−SiO2−Al2O3系)、酸化亜鉛−酸化ホウ素−酸化ケイ素系(ZnO−B2O3−SiO2系)、酸化亜鉛−酸化ホウ素−酸化ケイ素−酸化アルミニウム系(ZnO−B2O3−SiO2−Al2O3系)、酸化鉛−酸化亜鉛−酸化ホウ素−酸化ケイ素系(PbO−ZnO−B2O3−SiO2系)、酸化鉛−酸化亜鉛−酸化ホウ素−酸化ケイ素−酸化アルミニウム系(PbO−ZnO−B2O3−SiO2−Al2O3系)等を挙げることができる。これらのガラスフリットの中でも、導電性ペースト組成物の経時安定性及び環境的な観点から、酸化ビスマスを主成分とする無鉛ガラスフリットを用いることが特に好ましい。
ガラスフリットの平均粒径は、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.5〜5μmである。ガラスフリットは、1種を単独で用いてもよく、異なるガラスフリット組成、異なる軟化点、異なる形状、異なる平均粒径を有するガラスフリットを2種以上組み合わせて使用することもできる。
バインダ樹脂としては、ガラス基板にパターン印刷する際に適当な粘度を付与し、印刷されたパターンをガラス基板に固定することができるものであれば、どのような樹脂でも使用することができる。導電層の形成の際に加熱処理をする場合は、加熱処理工程において、分解除去されるものが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂ウレタン樹脂、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリイミド樹脂、含ケイ素樹脂等を用いることができる。必要に応じて、紫外線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂を使用することができる。
導電性インキに含まれる導電性粒子及び黒色系顔料の含有量は、導電性と防眩効果とのバランスを考慮して適宜設定することができる。導電性インキ中の導電性粒子の含有量は20〜80質量%、特に40〜70質量%であることが好ましい。また、黒色系顔料の含有量は10〜70質量%、特に20〜50質量%であることが好ましい。導電性と防眩効果を適正とするために、導電性粒子に対する黒色系顔料の質量比は1:0.1〜1:1が好ましい。
導電層3の形成は、例えば、まず上記導電性インキを、必要に応じてトルエン、メチルエチルケトン(MEK)、キシレン、塩化メチレン、水等の溶媒で適当な濃度に希釈し、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷、フォト印刷等の各種の印刷法により、ガラス基板2上にパターン印刷する。パターン印刷の際、形成される導電層3の平均線幅が18〜30μm、開口率が50〜76%になるような印刷を行う。次いで、必要により紫外線照射や室温〜120℃で加熱乾燥して導電層3を形成する。
導電層3のガラス基板2への密着性を高めるため、好ましくは、その後、加熱処理を行う。加熱処理温度は300〜600℃が好ましく、バインダ樹脂を分解除去し、ガラスフリットによる導電層の固定を確実に行うためには500〜600℃が特に好ましい。加熱処理温度が過度に高いとガラス基板2が変形するなどの問題があるため、加熱処理温度は600℃以下であることが好ましい。加熱処理時間は、加熱温度や、導電性インキの樹脂含有量、形成される導電層3の厚さ等によっても異なるが、通常5〜30分程度である。
上述のように形成された導電層3は、上記の平均線幅と開口率を有することで、適正な密度で形成されており、良好な導電性(表面抵抗が0.1Ω/□以下)及び良好な光透過性(導電層を形成した段階での可視光透過率が60%以上)を両立することができる。
導電層3の印刷パターンの形状には特に制限はなく、例えば、正方形、長方形、円形、六角形、三角形又は楕円径の開口部を有する印刷パターンが形成されていても良い。図2に示すような、正方形又は長方形の開口部Wを有する格子形状が、平均線幅と開口率の制御が容易な点で好ましい。図2に示した導電層の印刷パターンにおいて、線幅は均一であり、線幅Dは18〜30μmである。開口率(導電層全体の投影面積(格子部と開口部Wの合計面積)に対する開口部Wの面積割合の百分率)を50〜76%に調整するため、格子ピッチP1及びP2が調整されている。格子ピッチP1及びP2は同一でも良く(この場合、開口部Wは正方形)、異なっていても良い(この場合、開口部Wは長方形)。格子ピッチP1及びP2は少なくとも一方、好ましくは両方が80〜170μmであることが好ましい。
導電層3の層厚は、導電層3のガラス基板2への密着性及び導電性のバランスの面から、0.5〜30μmに形成することが好ましい。層厚は導電性をより良好にするため、1〜20μmであることが特に好ましい。
粘着層4や、色補正層5及び反射防止層7を有するPET基板6は無くても良い。PDP用フィルタに用いられる、より高性能の光透過性電磁波シールド材とするにはこれらの機能層、特に色補正層5を有するのが好ましい。
色補正層5は、ネオンカット色素や近赤外線吸収色素を含みPDPの画像の色純度や色再現性を向上したり、PDPから発生する近赤外線を遮断したりする機能層を言う。色補正層5は各種色素を同一の層に混合したものでなくても良い。例えば、プロセス上の色素の溶解性に問題がある場合や、混合による色素間の反応や、耐熱性、耐湿性等の低下が認められる場合には、近赤外線吸収色素やネオンカット色素等をそれぞれ含む別々の層を積層して形成されていても良い。
色補正層5はPET基板6に紫外線硬化型等の合成樹脂塗工液中に各種色素を含有させた塗工液を塗工して形成することができる。PET基板6の厚さには制限はないが、25〜250μm程度が好ましい。また、同様な機能を有するフィルムを、PET基板6に貼り付けたものを用いても良く、PET基板6を用いず、そのフィルムをガラス基板2に粘着層を介して直接積層して接着しても良い。色補正層4の厚さには特に制限はないが、0.5〜50μmが好ましい。
色補正層5に含有するネオンカット色素としては、585nm付近のネオン光の選択吸収性を有する色素であれば特に制限はない。例えば、テトラアザポルフィリン系、シアニン系、スクアリリウム系、アントラキノン系、フタロシアニン系、ポリメチン系、ポリアゾ系、アズレニウム系、ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系等が挙げられる。ネオンカット色素はネオン光以外の可視光波長(500〜530nm付近の緑色発光、610〜630nm付近の赤色発光)に対して吸収が小さいことが必要である。従って、吸収極大波長が575〜595nmの範囲であり、吸収スペクトルの半値幅が40nm以下のものが好ましく、特に30nm以下のものが好ましい。これにより、PDP用光学フィルタに用いる場合に、より良好な光透過性を有する光透過性電磁波シールド材とすることができる。ネオンカット色素としては、特にテトラアザポルフィリン系の色素が好ましい。
色補正層5に含有する近赤外線吸収色素は800〜1200nmに吸収極大波長を有する色素であれば特に制限はない。例えば、イモニウム系(ジイモニウム系)、フタロシアニン系、金属錯体系、ニッケルジチオレン錯体系、シアニン系、スクアリリウム系、ポリメチン系、アゾメチン系、アゾ系、ポリアゾ系、アミニウム系、アントラキオノン系の色素が使用できる。近赤外吸収色素としては、特に可視光域の吸収が少ないイモニウム系色素が好ましい。これにより、PDP用光学フィルタに用いる場合に、より良好な光透過性を有する光透過性電磁波シールド材とすることができる。
反射防止層7は、外部光源の屈折率を制御して反射を防ぎ、視認性を向上させる機能層を言う。反射防止層7は、例えば(メタ)アクリレート、エポキシ系、オキセタン系等の硬化性樹脂に、0.01〜1μmのITO、TiO2、ZrO2、CeO2、Al2O3、Y2O3、LaO3、LaO2及びHo2O3等の金属酸化微粒子等の粒子を分散させ、屈折率が1.49〜1.80のハードコート層(高屈折率層)として形成される。さらに、その層上にMgF2、Al2O3、シリカ、フッ素樹脂等の粒子を硬化性樹脂中に分散させて屈折率が1.20〜1.50の低屈折率層を積層しても良い。反射防止層7の厚さには特に制限はないが、例えば上記ハードコート層の厚さは3.0〜10μmが好ましく、低屈折率層は10〜500nmが好ましい。
色補正層5や反射防止層7には光学フィルタとしての光学特性に大きな影響を与えない範囲であれば、更に、着色用の色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を添加しても良い。
粘着剤層4は、ガラス基板に接着する接着機能を有するものであればどのような樹脂でも使用することができる。例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、ブチルアクリレート等から形成されたアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、SEBS(スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン)及びSBS(スチレン/ブタジエン/スチレン)等の熱可塑性エラストマー(TPE)を主成分とするTPE系粘着剤及び接着剤等も用いることができる。粘着層4の厚さには特に制限はないが、5〜500μm、特に10〜100μmが好ましい。
本発明の光透過性電磁波シールド材は、光透過性が要求される用途、例えば電磁波を発生する各種電気機器のLCD、PDP、CRT等のディスプレイ装置のディスプレイ面に好適に適用される。特にPDP用光学フィルムに適している。
本発明のPDP用光学フィルタは、本発明の光透過性電磁波シールド材を含んでいれば良く、これにより、低コストで良好な電磁波シールド性及び良好な光透過性(光学フィルタとして可視光透過率が35%以上)が両立された高品質のPDP用光学フィルタとすることができる。
本発明の光透過性電磁波シールド材又はPDP用光学フィルタにおいて、その他の構成は適宜設定できる。例えば、更に、アンチグレア層、色調補正層、衝撃吸収層、防汚層、その他の機能層を含んでいても良い。
以下、本発明を実施例により説明する。
(実施例1〜5、及び比較例1,2)
1.光透過性電磁波シールド材の導電層の形成
以下の組成:
導電性粒子:平均粒形1μmの銀粒子; 70質量%
黒色系顔料:カーボンブラック(平均粒形10nm);10質量%
ガラスフリット:酸化ホウ素−酸化ケイ素−酸化亜鉛混合物系; 5質量%
バインダ樹脂:アクリレート系樹脂; 5質量%
有機溶剤:メチルエチルケトン; 10質量%
の導電性インキを用いて、ガラス基板の表面に表1に示した格子ピッチ及び平均線幅で正方形の開口部を有する格子状のパターン印刷を行い、600℃、10分間加熱処理し、図2に示したような導電層を形成した。
2.光透過性電磁波シールド材の評価
各導電層を形成させた光透過性電磁波シールド材の表面抵抗及び可視光透過率の測定結果を表1に示した。
(実施例1〜5、及び比較例1,2)
1.光透過性電磁波シールド材の導電層の形成
以下の組成:
導電性粒子:平均粒形1μmの銀粒子; 70質量%
黒色系顔料:カーボンブラック(平均粒形10nm);10質量%
ガラスフリット:酸化ホウ素−酸化ケイ素−酸化亜鉛混合物系; 5質量%
バインダ樹脂:アクリレート系樹脂; 5質量%
有機溶剤:メチルエチルケトン; 10質量%
の導電性インキを用いて、ガラス基板の表面に表1に示した格子ピッチ及び平均線幅で正方形の開口部を有する格子状のパターン印刷を行い、600℃、10分間加熱処理し、図2に示したような導電層を形成した。
2.光透過性電磁波シールド材の評価
各導電層を形成させた光透過性電磁波シールド材の表面抵抗及び可視光透過率の測定結果を表1に示した。
その結果、平均線幅18〜30μmで且つ開口率が50〜76%の場合に、合格品が得られ、良好な導電性及び光透過性を有する光透過性電磁波シールド材が得られることが明らかになった。
(実施例6〜8)
1.光透過性電磁波シールド材の作製
表2に示した色素及びポリメチルメタクリレートを含有させて調製した塗工液をPETフィルムの表面に塗工し、80℃、5分間乾燥させ色補正層を形成した。次いで、色補正層の上に、EVA系の粘着層を形成した。更に、PETフィルムの反対側の面に、ITO(平均粒形150nm)及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを含有させて調製した塗工液を塗工し、紫外線照射により効果させ反射防止層を形成した。
1.光透過性電磁波シールド材の作製
表2に示した色素及びポリメチルメタクリレートを含有させて調製した塗工液をPETフィルムの表面に塗工し、80℃、5分間乾燥させ色補正層を形成した。次いで、色補正層の上に、EVA系の粘着層を形成した。更に、PETフィルムの反対側の面に、ITO(平均粒形150nm)及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを含有させて調製した塗工液を塗工し、紫外線照射により効果させ反射防止層を形成した。
上記の各機能層が形成されたPETフィルムの粘着層側を、上記実施例3の導電層が形成された光透過性電磁波シールド材の、導電層が形成された反対側の面に接着して、図1に示したような光透過性電磁波シールド材を作成した。
2.光透過性電磁波シールド材の評価
各光透過性電磁波シールド材の可視光透過率を表2に示した。
2.光透過性電磁波シールド材の評価
各光透過性電磁波シールド材の可視光透過率を表2に示した。
その結果、何れの色素を用いた場合も光透過性電磁波シールド材の光透過性としては合格であったが、吸収スペクトルの半値幅が30nm以下のネオンカット色素を使用した実施例7、8がより光透過性が高いことが示された。
なお、本発明は上記の実施の形態の構成及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
2 ガラス基板
3 導電層
4 粘着層
5 色補正層
6 PET基板
7 反射防止層
10 光透過性電磁波シールド材
W 開口部
D 線幅
P1、P2 格子ピッチ
3 導電層
4 粘着層
5 色補正層
6 PET基板
7 反射防止層
10 光透過性電磁波シールド材
W 開口部
D 線幅
P1、P2 格子ピッチ
Claims (15)
- ガラス基板の表面にメッシュ状の導電層が設けられた構成を含む光透過性電磁波シールド材であって、当該導電層が導電粒子と黒色系顔料を含有する層であり、メッシュ状の導電層の平均線幅が18〜30μm、開口率が50〜76%であることを特徴とする光透過性電磁波シールド材。
- 前記導電層が、導電性粒子と黒色系顔料を含むインキをパターン印刷して、その後、加熱処理することにより形成される層であることを特徴とする請求項1に記載の光透過性電磁波シールド材。
- 前記インキが、更にバインダ樹脂を含むことを特徴とする請求項2に記載の光透過性電磁波シールド材。
- 前記インキが、更に無機粒子を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の光透過性電磁波シールド材。
- 前記無機粒子が低融点ガラスフリットである請求項4に記載の光透過性電磁波シールド材。
- 前記加熱処理が300〜600℃で行われる請求項2〜5のいずれか1項に記載の光透過性電磁波シールド材。
- 前記導電層の格子ピッチが80〜170μmの格子形状である請求項1〜6のいずれか1項に記載の光透過性電磁波シールド材。
- 前記導電層の層厚が1〜20μmである請求項1〜7のいずれか1項に記載の光透過性電磁波シールド材。
- 前記導電層に含有される、導電性粒子に対する黒色系顔料の質量比が1:0.1〜1:1である請求項1〜8のいずれか1項に記載の光透過性電磁波シールド材。
- 前記黒色系顔料の平均粒径が10〜100nmである請求項1〜9のいずれか1項に記載の光透過性電磁波シールド材。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の光透過性電磁波シールド材において、更に色補正層を含むことを特徴とする光透過性電磁波シールド材。
- 前記色補正層が、吸収スペクトルの半値幅が30nm以下のネオンカット色素を含むことを特徴とする請求項11に記載の光透過性電磁波シールド材。
- 前記ネオンカット色素が、テトラアザポルフィリン系のネオンカット色素である請求項12に記載の光透過性電磁波シールド材。
- 前記色補正層が、イモニウム系の近赤外線吸収色素を含むことを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の光透過性電磁波シールド材。
- 請求項1〜14のいずれか1項に記載の光透過性電磁波シールド材を含むプラズマディスプレイパネル用光学フィルタ。
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JP2009003307A JP2010161267A (ja) | 2009-01-09 | 2009-01-09 | 光透過性電磁波シールド材及びプラズマディスプレイパネル用光学フィルタ |
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JP2009003307A JP2010161267A (ja) | 2009-01-09 | 2009-01-09 | 光透過性電磁波シールド材及びプラズマディスプレイパネル用光学フィルタ |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP3667820A1 (de) * | 2018-12-14 | 2020-06-17 | Airbus Defence and Space | Verfahren zum herstellen einer schicht einer vorrichtung zur absorption von elektromagnetischer strahlung |
-
2009
- 2009-01-09 JP JP2009003307A patent/JP2010161267A/ja active Pending
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EP3667820A1 (de) * | 2018-12-14 | 2020-06-17 | Airbus Defence and Space | Verfahren zum herstellen einer schicht einer vorrichtung zur absorption von elektromagnetischer strahlung |
US11728573B2 (en) | 2018-12-14 | 2023-08-15 | Airbus Defence and Space GmbH | Method for producing a layer of a device for the absorption of electromagnetic radiation |
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